JP2005069365A - すべり軸受組立体及びすべり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】極低速、微小揺動の環境下でも数年間以上の長期間に渡って無給脂で摺動することができるすべり軸受組立体及びすべり軸受を提供する。
【解決手段】軸22とブッシュ16を有し、ブッシュ16は多数の気孔25を有する多孔質の焼結材からなるすべり軸受組立体12において、ブッシュ16には0.5〜50μmの多孔質粒子26を含有する潤滑油24が含浸されており、軸22とブッシュ16は6Kgf/mm2以上の面圧及び2〜5cm/秒の範囲内の摺動速度で使用される。
【選択図】 図2
【解決手段】軸22とブッシュ16を有し、ブッシュ16は多数の気孔25を有する多孔質の焼結材からなるすべり軸受組立体12において、ブッシュ16には0.5〜50μmの多孔質粒子26を含有する潤滑油24が含浸されており、軸22とブッシュ16は6Kgf/mm2以上の面圧及び2〜5cm/秒の範囲内の摺動速度で使用される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、すべり軸受組立体及びすべり軸受に関し、さらに詳しくは、極低速、微小揺動の環境下でも数年間以上の長期間に渡って無給脂で摺動することができるすべり軸受組立体及びすべり軸受に関する。
建設機械等の掘削機械においては、駆動機構を動作させるために、その駆動機構を構成する各部材を相対的に回動又は揺動可能に連結し、シリンダその他のアクチュエータで駆動するように構成している。例えば、油圧ショベルの作業装置においてはブームの先端にアームが連結されアームの先端にはバケットが連結されるが、掘削作業の際にはアームシリンダ及びバケットシリンダをそれぞれ駆動させ、アームをブームとの連結部を中心として、またバケットをアームとの連結部を中心として回動又は揺動させることにより、土砂等を掘削するようになっている。これらの連結部は、軸とブッシュとを備えたすべり軸受組立体を介して連結されている。
このすべり軸受組立体の従来技術としては、鉄系焼結合金からなる多孔質ブッシュに潤滑油を含浸させたものがある(例えば、特許文献1参照。)。このすべり軸受体においては、軸とブッシュとが摺動する際にはその摩擦熱によってブッシュに含浸させた潤滑油が摺動面に滲出し、薄い油膜を形成するようになっている。これにより、軸とブッシュとの間に介在させるグリースが不要となり、またブッシュに含浸させた潤滑油の流動性は極めて低いことから潤滑油の流失を抑制することができ、その結果、低速・高面圧の環境下でも数年間以上の長期間に渡って無給脂で摺動させることが可能なようになっている。
しかしながら、上記従来技術では以下のような課題が存在する。
すなわち、上記従来技術では、軸とブッシュとの摺動による摩擦熱によってブッシュに含浸させた潤滑油を滲出させるため、例えば軸とブッシュがわずか数mm程度しか摺動しない微小揺動時や極低速で摺動する際においては充分に潤滑効果を発揮できず、局所的な面圧が生じて軸表面又はブッシュ内周面に“かじり”等の局所的な摩耗・損傷が生じる可能性があった。
すなわち、上記従来技術では、軸とブッシュとの摺動による摩擦熱によってブッシュに含浸させた潤滑油を滲出させるため、例えば軸とブッシュがわずか数mm程度しか摺動しない微小揺動時や極低速で摺動する際においては充分に潤滑効果を発揮できず、局所的な面圧が生じて軸表面又はブッシュ内周面に“かじり”等の局所的な摩耗・損傷が生じる可能性があった。
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、極低速、微小揺動の環境下でも数年間以上の長期間に渡って無給脂で摺動することができるすべり軸受組立体及びすべり軸受を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも軸とブッシュを有し、前記ブッシュは多数の第1の気孔を有する多孔質の焼結材からなるすべり軸受組立体において、前記ブッシュには0.5〜50μmの多孔質粒子を含有する潤滑油が含浸されており、前記軸とブッシュは6Kgf/mm2以上の面圧及び2〜5cm/秒の範囲内の摺動速度で使用されるものとする。
本発明においては、軸とブッシュとが相対的に摺動すると、その摩擦熱によりブッシュの第1の気孔内に含浸されている潤滑油がブッシュの内周面上に表出し、薄い油膜を形成する。このとき、潤滑油に含有されている多孔質粒子についてもブッシュの内周面上に表出する。この多孔質粒子として、例えば多数の第2の気孔を有し、且つ粒子自体が層状構造からなり自己潤滑特性を有したものを用いる場合には、多孔質粒子がブッシュ内周面上に表出後、この多孔質粒子の第2の気孔に含浸されている潤滑油が軸とブッシュとの摺動面に滲出する。またこのとき、多孔質粒子を構成する微細な層が層方向に滑ることにより、多孔質粒子の自己潤滑効果が発揮される。そして、軸とブッシュとの摺動が停止すると、摺動面で油膜を形成している潤滑油はまず多孔質粒子が有する第2の気孔内に毛細管現象によって吸入され、その後、この多孔質粒子は周囲の潤滑油と共にブッシュが有する多数の第1の気孔内に吸入される。
ここで、例えば潤滑油が多孔質粒子を含まない前述した従来技術のような構造のすべり軸受組立体では、軸とブッシュとがわずか数mm程度しか摺動しない微小揺動や極低速摺動の場合には充分な摩擦熱が発生しないことから充分な潤滑効果を発揮できず、局所的な面圧が生じて軸の表面又はブッシュ内周面に“かじり”等の局所的な摩耗・損傷が生じる可能性があった。
これに対し、本発明のすべり軸受組立体によれば、潤滑油に含有される多孔質粒子の第2の気孔内にも潤滑油を含浸することが可能であるため、上述したようにブッシュの第1の気孔からの潤滑油の供給に加えて多孔質粒子の第2の気孔からも摺動面に潤滑油を供給することができる。これにより、潤滑効果を向上することができると共に、さらに多孔質粒子自体の自己潤滑特性によって優れたトライボロジ特性を得ることが可能となる。また、上述したように、ブッシュが有する第1の気孔のみでなく多孔質粒子が有する第2の気孔内にも潤滑油が含浸されるため、これらブッシュの第1の気孔内及び多孔質粒子の第2の気孔内に含浸された潤滑油は流動性が極めて低いことから、軸とブッシュとが摺動を繰り返しても潤滑油の流失を最小限に抑えることが可能である。以上のことから、極低速、微小揺動の環境下でも上記かじり等による軸の表面及びブッシュの内周面の摩耗・損傷を抑制することができ、数年間以上の長期間に渡って無給脂で摺動することができる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記多孔質粒子を含有する潤滑油の粘度は56〜1500cStの範囲内であるものとする。
一般に、潤滑油の粘度が1500cStを超えると流動性が低下するため、潤滑油がブッシュの気孔内に戻るための毛細管現象が起こりにくくなる。その結果、多孔質焼結合金(すなわちブッシュ)への含浸が困難となる。
本発明によれば、多孔質粒子を含有する潤滑油の粘度を1500cSt以内とするので、上記のような事態を防止することができ、長期的に安定した摺動特性を維持することができる。
本発明によれば、多孔質粒子を含有する潤滑油の粘度を1500cSt以内とするので、上記のような事態を防止することができ、長期的に安定した摺動特性を維持することができる。
(3)上記(1)において、また好ましくは、前記多孔質粒子は多数の第2の気孔を有しており、且つ粒子自体が自己潤滑特性を有しているものとする。
(4)上記(1)において、また好ましくは、前記軸は浸炭、高周波焼入れ、レーザ焼入れ及び窒化のうち少なくとも1つの処理を行った後、化成若しくは浸硫処理法により表面改質処理されているものとする。
これにより軸の耐摩耗性を向上することができると共に、軸の表面を例えばZn(亜鉛)、Mn(マンガン)、S(硫黄)等の極圧付与物質を用いて浸炭、高周波焼入れ、レーザ焼入れ又は窒化した後、化成若しくは浸硫処理法により表面改質処理を行うことにより、ブッシュ内及び多孔質粒子内に含浸されている潤滑油との“ぬれ性”が改善され、潤滑効果及びトライボロジ特性をさらに向上することができる。
(5)上記(1)において、また好ましくは、前記ブッシュは気孔率が5〜30%の複合焼結合金からなり、前記多数の第1の気孔は互いに連通され、前記ブッシュは浸炭、窒化及び浸流窒化処理法のうち少なくとも1つの方法により表面改質処理されているものとする。
このようにして、例えばブッシュの軸との摺動面に厚さ1mm〜3mm(好ましくは2mm)程度の浸炭硬化層を形成させることにより、ブッシュの耐摩耗性を向上することができる。
(6)上記(1)において、また好ましくは、前記潤滑油は、MoS2,WS2,六方晶形BN及びグラファイトのうち少なくとも1種類以上から構成され、粒径が500μm以下の固体潤滑性微粒子をさらに含有するものとする。
これにより、潤滑効果及びトライボロジ特性をさらに向上することができる。また、固体潤滑性微粒子の潤滑効果は潤滑油と異なり温度依存性が低いことから、例えば寒冷地で使用される場合であっても潤滑効果を充分に発揮することができる。
(7)上記目的を達成するために、本発明のすべり軸受は、多数の第1の気孔を有する多孔質の焼結材からなり、0.5〜50μmの多孔質粒子を含有する潤滑油が含浸され、6Kgf/mm2以上の面圧及び2〜5cm/秒の範囲内の摺動速度で使用されるものとする。
(8)上記(7)において、好ましくは、前記多孔質粒子を含有する潤滑油の粘度は56cSt〜1500cStの範囲内であるものとする。
(9)上記(7)において、また好ましくは、前記多孔質粒子は多数の第2の気孔を有しており、且つ粒子自体が自己潤滑特性を有しているものとする。
(10)上記(7)において、また好ましくは、浸炭、高周波焼入れ、レーザ焼入れ及び窒化のうち少なくとも1つの処理を行った後、化成若しくは浸硫処理法により表面改質処理された軸と共に使用されるものとする。
(11)上記(7)において、また好ましくは、気孔率が5〜30%の複合焼結合金からなり、前記多数の第1の気孔は互いに連通され、浸炭、窒化及び浸流窒化処理法のうち少なくとも1つの方法により表面改質処理されているものとする。
(12)上記(7)において、また好ましくは、前記潤滑油は、MoS2,WS2,六方晶形BN及びグラファイトのうち少なくとも1種類以上から構成され、粒径が500μm以下の固体潤滑性微粒子をさらに含有するものとする。
(13)上記(7)において、また好ましくは、掘削機械のフロント部品用軸受として使用されるものとする。
(14)上記(7)において、また好ましくは、クレーンのアーム用軸受として使用されるものとする。
(15)上記(7)において、また好ましくは、ダム水門のローラゲイト軸受として使用されるものとする。
(16)上記(7)において、また好ましくは、プレス金型の上下スライドカム軸受として使用されるものとする。
(17)上記(7)において、また好ましくは、水力発電水車案内羽根軸受として使用されるものとする。
(18)上記(7)において、また好ましくは、海上クレーンアンローダピン軸受として使用されるものとする。
本発明によれば、多孔質の焼結材からなるブッシュに0.5〜50μmの多孔質粒子を含有した潤滑油を含浸させる。これにより、ブッシュの気孔に加えて多孔質粒子の気孔にも潤滑油を含浸させることができるので、優れた耐荷重特性の向上効果を得ることができると共に、潤滑油の流失を最小限に抑えることができる。したがって、極低速、微小揺動の環境下でもかじり等による軸の表面及びブッシュの内周面の摩耗・損傷を抑制することができ、数年間以上の長期間に渡って無給脂で摺動することができる。
以下、本発明のすべり軸受組立体及びすべり軸受の一実施の形態を図1乃至図3を参照しつつ説明する。
図1は本発明のすべり軸受組立体の一実施の形態を備えた油圧ショベルの全体構造を表す側面図である。
図1は本発明のすべり軸受組立体の一実施の形態を備えた油圧ショベルの全体構造を表す側面図である。
この図1において、1は走行体、2はこの走行体1上に旋回可能に搭載した旋回体、3はこの旋回体2上の一方側(図1中左側)に設けた運転室、4は上記旋回体2上の他方側(図1中右側)に設けたエンジン室、5は上記旋回体2上の運転室3側に設けた作業装置であり、油圧ショベルはこれら走行体1、旋回体2、運転室3、エンジン室4、及び作業装置5によって概略構成されている。
また、6は上記旋回体2に俯仰動可能に設けたブーム、7はこのブーム6駆動用のブーム用油圧シリンダ、8はブーム6の先端に回動可能に設けたアーム、9はこのアーム8駆動用のアーム用油圧シリンダ、10はアーム8の先端に回動可能に設けたバケット、11はこのバケット10駆動用のバケット用油圧シリンダであり、上記作業装置5はこれらブーム6、アーム8、バケット10、及び各油圧シリンダ7,9,11により構成されている。
これら作業装置5の構成部材であるブーム6、アーム8、バケット10、及び各油圧シリンダ7,9,11は、すべり軸受組立体12によって相互に回動又は揺動可能に連結されている。なお、実際には作業装置5に使用される各すべり軸受組立体はその設置場所に応じて大きさ、形状等が異なるが、ここでは作業装置5に使用されるすべり軸受組立体はすべて同一とし、すべり軸受組立体12と総称する。
図2はこのすべり軸受組立体12の内部構造を示す断面図である。
この図2において、15はボス、16はこのボス15の内部に例えば焼きばめ又は冷却ばめ等の収縮ばめによって嵌着固定されたブッシュ、17,17はこのブッシュ16の両側面に配設された遮油部材、18,18はこれら遮油部材17,17をブッシュ16に向かって当接させるようにボス15内のブッシュ16の両側に圧入されたダストシール、19,19はボス15の両側に配置されるブラケット、20,20はこれらブラケット19,19とボス15との隙間にそれぞれ設けたシム、21,21はブラケット19,19とボス15との隙間の外周側にそれぞれ装着されたOリングである。また、22はブラケット19,19及びブッシュ16を貫通して挿入され、ブッシュ16と摺動可能な軸、23はこの軸22及びブラケット19を貫通して設けた回転係止ボルトであり、この回転係止ボルト23により軸22とブラケット19とは回転不能となっている。
この図2において、15はボス、16はこのボス15の内部に例えば焼きばめ又は冷却ばめ等の収縮ばめによって嵌着固定されたブッシュ、17,17はこのブッシュ16の両側面に配設された遮油部材、18,18はこれら遮油部材17,17をブッシュ16に向かって当接させるようにボス15内のブッシュ16の両側に圧入されたダストシール、19,19はボス15の両側に配置されるブラケット、20,20はこれらブラケット19,19とボス15との隙間にそれぞれ設けたシム、21,21はブラケット19,19とボス15との隙間の外周側にそれぞれ装着されたOリングである。また、22はブラケット19,19及びブッシュ16を貫通して挿入され、ブッシュ16と摺動可能な軸、23はこの軸22及びブラケット19を貫通して設けた回転係止ボルトであり、この回転係止ボルト23により軸22とブラケット19とは回転不能となっている。
上記ブッシュ16は例えば銅粉と鉄粉とから形成された多孔質複合焼結合金からなり、潤滑油24(後述の図3参照)を含浸させるための互いに連通した多数の気孔25(後述の図3参照)を有している。本実施の形態ではブッシュ16の気孔率は例えば20%程度である。なお、このブッシュの気孔率は5〜30%程度であることが好ましい。すなわち、気孔率が5%未満である場合には潤滑油の含浸量が不充分となり(その結果後述する多孔質粒子の気孔内への含浸量も不充分となり)、無給脂軸受として充分に機能しない可能性があるからである。一方、気孔率が30%よりも大きい場合には、ブッシュ16自身の機械的強度が低下するからである。なお、ブッシュ16を構成する複合焼結合金は、銅粉と鉄粉以外の他の素材から形成してもよい。
このようなブッシュ16に、本実施の形態では例えば460cStの粘度を有する潤滑油24を含浸させている。なお、この含浸させる潤滑油の粘度(正確には後述する多孔質粒子を含有した状態での粘度)は56〜1500cStの範囲内であることが好ましい。すなわち、粘度が1500cStを超えると潤滑油の流動性が低下するため、摩擦熱によって摺動部に滲み出た潤滑油が再びブッシュ16の気孔内に戻るための毛細管現象が起こりにくくなり、長期的に安定した摺動特性を維持できない可能性があるからである。なお、この潤滑油24としては、鉱物油あるいは合成油等、一般に市販されている組成の潤滑油は全て使用でき、粘度が上記範囲内のものであればその組成自体は特に限定されるものではない。但し、グリースについては繊維を含有していることからブッシュ16の気孔25に含浸させることができないため、除外される。
また本実施の形態では、上記ブッシュ16に含浸させる潤滑油24に、例えばMoS2(二硫化モリブデン)やカーボン粒子等からなる粒径0.5〜50μmの多孔質粒子26(後述の図3参照)を含有させている。この多孔質粒子26は多数の気孔(図示せず)を有し、また層状構造からなっており、それらの層が滑ることで自己潤滑特性を発揮できるようになっている。
なお、潤滑油24に、上記多孔質粒子26と共に、例えばMoS2,WS2(二硫化タングステン)、六方晶形BN(窒化ホウ素)、及びグラファイトのうち少なくとも1種類以上から構成され、粒径が500μm以下である固体潤滑性微粒子を含有させるようにしてもよい。これらの固体潤滑性微粒子も上記多孔質粒子26と同様に層状構造をなしているため、これらを加えることにより潤滑効果をさらに向上することができる上に、固体潤滑性微粒子の潤滑効果は温度依存性が低いため、例えば油圧ショベルが寒冷地で使用される場合であっても潤滑効果を充分に発揮することが可能である。
以上のような多孔質粒子26を含有した潤滑油24は、通常、以下のようにしてブッシュ16に含浸される。
まず、多孔質粒子26と潤滑油24とを十分に攪拌して多孔質粒子26を潤滑油24中に均一に分散させた上で、潤滑油24を加熱してより低粘度にして液状化させる。そして、この多孔質粒子26入りの潤滑油24内にブッシュ16を浸漬し、真空雰囲気下で静置する。
まず、多孔質粒子26と潤滑油24とを十分に攪拌して多孔質粒子26を潤滑油24中に均一に分散させた上で、潤滑油24を加熱してより低粘度にして液状化させる。そして、この多孔質粒子26入りの潤滑油24内にブッシュ16を浸漬し、真空雰囲気下で静置する。
これにより、ブッシュ16の気孔25内の空気が吸い出され、その代わりに多孔質粒子26入りの潤滑油24が気孔25内に吸引される。このようにして気孔25内に潤滑油24を含浸させた上でブッシュ16を空気中に取り出して室温まで放冷すると、多孔質粒子26入りの潤滑油24はブッシュ16の気孔25内で再び元の粘度に戻り、流動性を失う。このようにして、多孔質粒子26入りの潤滑油24をブッシュ16の気孔25内に留めることができるようになっている。
上記の多孔質粒子26入りの潤滑油24の加熱温度は特に限定されるものではなく、使用する潤滑油24の粘度に応じて変える必要があるが、潤滑油24が液状化するまで加熱するようにすれば足りる。但し、多孔質粒子26にポリエチレン、ポリイミド、ポリアセタール、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂系素材を用いる場合には、加熱温度はその樹脂の耐熱温度未満とする必要がある。また、多孔質粒子26入りの潤滑油24へのブッシュ16の浸漬時間及び真空度についても特に限定されるものではなく、使用する潤滑油24の粘度に応じて変えるものであるが、ブッシュ16の気孔25が多孔質粒子26入りの潤滑油24で飽和されるまで浸漬する必要がある。一例を挙げると、粘度が460cStの多孔質粒子入りの潤滑油を60℃〜80℃程度まで加熱し、2×10-2mmHgの真空化でブッシュを潤滑油に浸漬させる場合、ブッシュの気孔が多孔質粒子入り潤滑油で飽和されるのに約1時間を要する。
軸22は鉄鋼材から構成されており、その表面(外周面)は、浸炭、高周波焼入れ、レーザ焼入れ及び窒化のうち少なくとも1つの処理を行った後、化成(例えば燐酸亜鉛、燐酸マンガン等)若しくは浸硫処理法により表面改質処理されている。このようにZn(亜鉛)、Mn(マンガン)、S(硫黄)等の極圧付与物質を用いて軸22の表面改質処理を行うことにより、ブッシュ16及び多孔質粒子26内に含浸されている潤滑油24との“ぬれ性”も改善され、潤滑効果及びトライボロジ特性を向上することができるようになっている。
なお、ブッシュ16の軸22との摺動面(すなわち内周面)についても、軸22の表面と同様に浸炭、焼入れ、窒化、及び浸硫処理法等により表面改質処理を行うようにしてもよい。例えば、ブッシュ16の摺動面に厚さ1mm〜3mm(好ましくは2mm)程度の浸炭硬化層を形成させることにより、ブッシュ16の耐摩耗性を向上することができる。
以上において、気孔25は特許請求の範囲各項記載の第1の気孔を構成し、ブッシュ16は特許請求の範囲の請求項7乃至請求項18に記載のすべり軸受を構成すると共に、請求項13記載の掘削機械のフロント部品用軸受をも構成する。
次に、上記構成の本発明のすべり軸受組立体及びすべり軸受の一実施の形態の動作及び作用を図3を用いて以下に説明する。図3はブッシュ16と軸22との摺動面の模式的な部分拡大断面図である。
この図3に示すように、軸22とブッシュ16とが相対的に摺動すると、その摩擦熱によりブッシュ16の気孔25内に含浸されている潤滑油24がブッシュ16の内周面上に表出し、薄い油膜Mを形成する。このとき、潤滑油24に含有されている多孔質粒子26についてもブッシュ16の内周面上に表出する。そして、この多孔質粒子26の気孔に含浸されている潤滑油24がさらに軸22とブッシュ16との摺動面に滲出する。またこのとき、多孔質粒子26を構成する微細な層が層方向に滑って優れた潤滑効果を発揮する。そして、軸22とブッシュ16との摺動が停止すると、摺動面で油膜Mを形成している潤滑油24はまず多孔質粒子26の有する気孔内に毛細管現象によって吸入され、その後、この多孔質粒子26は周囲の潤滑油24と共にブッシュ16が有する気孔25内に吸入される。
この図3に示すように、軸22とブッシュ16とが相対的に摺動すると、その摩擦熱によりブッシュ16の気孔25内に含浸されている潤滑油24がブッシュ16の内周面上に表出し、薄い油膜Mを形成する。このとき、潤滑油24に含有されている多孔質粒子26についてもブッシュ16の内周面上に表出する。そして、この多孔質粒子26の気孔に含浸されている潤滑油24がさらに軸22とブッシュ16との摺動面に滲出する。またこのとき、多孔質粒子26を構成する微細な層が層方向に滑って優れた潤滑効果を発揮する。そして、軸22とブッシュ16との摺動が停止すると、摺動面で油膜Mを形成している潤滑油24はまず多孔質粒子26の有する気孔内に毛細管現象によって吸入され、その後、この多孔質粒子26は周囲の潤滑油24と共にブッシュ16が有する気孔25内に吸入される。
このとき、例えば潤滑油24が多孔質粒子26を含まない前述した従来技術のようなすべり軸受組立体では、軸とブッシュがわずか数mm程度しか摺動しない微小揺動や極低速摺動をする際には発生する摩擦熱が微量であることから充分な潤滑効果を発揮できず、局所的な面圧が生じて軸22の表面又はブッシュ16内周面に“かじり”等の局所的な摩耗・損傷が生じる可能性があった。
これに対し、本実施の形態のすべり軸受組立体12によれば、潤滑油24に含有される多孔質粒子26の気孔内にも潤滑油24を含浸することが可能であるため、上述したようにブッシュ16の気孔25からの潤滑油24の供給に加えて多孔質粒子26の気孔からも潤滑油24を供給することができる。これにより、すべり軸受組立体12の潤滑効果を向上することができ、さらに多孔質粒子26自体の自己潤滑特性により優れたトライボロジ特性を得ることが可能となる。また本実施の形態によれば、ブッシュ16が有する気孔25のみでなく多孔質粒子26が有する気孔内にも潤滑油24を含浸することが可能であるため、これらブッシュ16の気孔25内及び多孔質粒子26の気孔内に含浸された潤滑油24は流動性が極めて低いことから、潤滑油24の流失を最小限に抑えることが可能である。以上のことから、極低速、微小揺動の環境下でも上記かじり等による軸22の表面及びブッシュ16の内周面の摩耗・損傷を抑制することができ、数年間(例えば5年)以上の長期間に渡って無給脂で摺動することができる。
なお、本実施の形態のすべり軸受組立体12は6kgf/mm2以上の高面圧及び1.0kgf・m/mm2・s以上の高PV値の条件下で使用するのに適するものである。したがって、上述してきた油圧ショベルの作業装置5に用いる軸受組立体12のような掘削機械のフロント部品用軸受に限らず、例えば、クレーンのアーム用軸受、ダム水門のローラゲイト軸受、プレス金型の上下スライドカム軸受、水力発電水車案内羽根軸受、海上クレーンアンローダピン軸受等、低速、高面圧の条件下で用いられる軸受に適用可能である。
12 軸受組立体
16 ブッシュ(すべり軸受)
22 軸
24 潤滑油
25 気孔(第1の気孔)
26 多孔質粒子
16 ブッシュ(すべり軸受)
22 軸
24 潤滑油
25 気孔(第1の気孔)
26 多孔質粒子
Claims (18)
- 少なくとも軸とブッシュを有し、前記ブッシュは多数の第1の気孔を有する多孔質の焼結材からなるすべり軸受組立体において、前記ブッシュには0.5〜50μmの多孔質粒子を含有する潤滑油が含浸されており、前記軸とブッシュは6Kgf/mm2以上の面圧及び2〜5cm/秒の範囲内の摺動速度で使用されることを特徴とするすべり軸受組立体。
- 前記多孔質粒子を含有する潤滑油の粘度は56〜1500cStの範囲内であることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受組立体。
- 前記多孔質粒子は多数の第2の気孔を有しており、且つ粒子自体が自己潤滑特性を有していることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受組立体。
- 前記軸は浸炭、高周波焼入れ、レーザ焼入れ及び窒化のうち少なくとも1つの処理を行った後、化成若しくは浸硫処理法により表面改質処理されていることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受組立体。
- 前記ブッシュは気孔率が5〜30%の複合焼結合金からなり、前記多数の第1の気孔は互いに連通され、前記ブッシュは浸炭、窒化及び浸流窒化処理法のうち少なくとも1つの方法により表面改質処理されていることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受組立体。
- 前記潤滑油は、MoS2,WS2,六方晶形BN及びグラファイトのうち少なくとも1種類以上から構成され、粒径が500μm以下の固体潤滑性微粒子をさらに含有することを特徴とする請求項1記載のすべり軸受組立体。
- 多数の第1の気孔を有する多孔質の焼結材からなり、0.5〜50μmの多孔質粒子を含有する潤滑油が含浸され、6Kgf/mm2以上の面圧及び2〜5cm/秒の範囲内の摺動速度で使用されることを特徴とするすべり軸受。
- 前記多孔質粒子を含有する潤滑油の粘度は56cSt〜1500cStの範囲内であることを特徴とする請求項7記載のすべり軸受。
- 前記多孔質粒子は多数の第2の気孔を有しており、且つ粒子自体が自己潤滑特性を有していることを特徴とする請求項7記載のすべり軸受。
- 浸炭、高周波焼入れ、レーザ焼入れ及び窒化のうち少なくとも1つの処理を行った後、化成若しくは浸硫処理法により表面改質処理された軸と共に使用されることを特徴とする請求項7記載のすべり軸受。
- 気孔率が5〜30%の複合焼結合金からなり、前記多数の第1の気孔は互いに連通され、浸炭、窒化及び浸流窒化処理法のうち少なくとも1つの方法により表面改質処理されていることを特徴とする請求項7記載のすべり軸受。
- 前記潤滑油は、MoS2,WS2,六方晶形BN及びグラファイトのうち少なくとも1種類以上から構成され、粒径が500μm以下の固体潤滑性微粒子をさらに含有することを特徴とする請求項7記載のすべり軸受。
- 掘削機械のフロント部品用軸受として使用される請求項7記載のすべり軸受。
- クレーンのアーム用軸受として使用される請求項7記載のすべり軸受。
- ダム水門のローラゲイト軸受として使用される請求項7記載のすべり軸受。
- プレス金型の上下スライドカム軸受として使用される請求項7記載のすべり軸受。
- 水力発電水車案内羽根軸受として使用される請求項7記載のすべり軸受。
- 海上クレーンアンローダピン軸受として使用される請求項7記載のすべり軸受。
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