JP2005069036A - 燃料噴射ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料噴射後のキャビテーションの発生に伴う溢流用サブポートの口元等のエロージョンを防止する。
【解決手段】燃料の噴射タイミングを変化させる低温始動進角機構を備えた燃料噴射ポンプであって、燃料圧室31に設けた溢流用サブポート36と、燃料ギャラリー47との連通を分断することにより進角制御を行うものとするとともに、前記燃料ギャラリー47から溢流用サブポート36への方向への燃料の移動を規制する逆流防止機構60を備える構成とする。そして、前記逆流防止機構60は、低温始動進角機構のピストン35内に設けた逆止弁61により、前記溢流用サブポート36と燃料ギャラリー47の連通を分断させる構成とする。
【選択図】図2
【解決手段】燃料の噴射タイミングを変化させる低温始動進角機構を備えた燃料噴射ポンプであって、燃料圧室31に設けた溢流用サブポート36と、燃料ギャラリー47との連通を分断することにより進角制御を行うものとするとともに、前記燃料ギャラリー47から溢流用サブポート36への方向への燃料の移動を規制する逆流防止機構60を備える構成とする。そして、前記逆流防止機構60は、低温始動進角機構のピストン35内に設けた逆止弁61により、前記溢流用サブポート36と燃料ギャラリー47の連通を分断させる構成とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、低温始動進角機構を備えるディーゼル機関用の燃料噴射ポンプの制御機構に関するものであり、より詳しくは、燃料噴射終了時に発生するスピル圧力に伴うキャビテーション・エロージョン防止に関するものである。
従来より、プランジャーバレル内にてプランジャーを上下摺動させることで、分配軸に圧送される燃料を、分配軸により複数の吐出弁へ送出し、各吐出弁から燃料噴射ノズルへ圧送する構成とするディーゼル機関用の燃料噴射ポンプが知られている。
また、この燃料噴射ポンプにおいては、前記プランジャーバレルに溢流用サブポートを形成し、進角用アクチュエータを作動させて前記溢流用サブポートの開閉を行うことにより、燃料の噴射タイミングを変化させる低温始動進角機構(以下、「CSD」(Cold Start Device)とする)を備えるものが知られており、低温始動時においては、前記サブポートを閉じることにより、噴射時期を進める制御、即ち、進角制御を行うことでエンジンの始動性を向上させている(例えば、特許文献1参照。)。
また、この燃料噴射ポンプにおいては、前記プランジャーバレルに溢流用サブポートを形成し、進角用アクチュエータを作動させて前記溢流用サブポートの開閉を行うことにより、燃料の噴射タイミングを変化させる低温始動進角機構(以下、「CSD」(Cold Start Device)とする)を備えるものが知られており、低温始動時においては、前記サブポートを閉じることにより、噴射時期を進める制御、即ち、進角制御を行うことでエンジンの始動性を向上させている(例えば、特許文献1参照。)。
該CSDの構成は、例えば、図5に示すごとくの構成であり、プランジャーバレル133の側方にCSD130のピストンバレル134を設け、該ピストンバレル134内のピストン135を進角用アクチュエータ138にて上下動させる構成とするものである。プランジャーバレル133内のプランジャー132は、メインポート139から供給された燃料ギャラリー147内の燃料を、燃料圧室131内で圧縮するものであり、該圧縮燃料を吐出ポート141より排出するようにしている。
そして、前記プランジャーバレル133の燃料圧室131の内壁面には溢流用サブポート136が形成されており、燃料圧室131と燃料ギャラリー147とが、ドレン油路137a、ピストン135の周面に形成した油路135a、ドレン油路137bを介することにより連通される構成としている。
以上のCSDの構成において、前記進角用アクチュエータ138の作動時では、ピストン135が上方に移動して、前記ドレン油路137a等を介しての溢流用サブポート136とハイドロリックヘッド146の燃料ギャラリー147との連通が分断され、噴射時期の進角制御が行われるものである。
一方、前記進角用アクチュエータ138の非作動時では、ピストン戻しバネ148の作用によりピストン135が下方に移動して、前記ドレン油路137a等を介しての溢流用サブポート136とハイドロリックヘッド146の燃料ギャラリー147とが連通し、プランジャー132によって圧縮される燃料の一部を前記燃料ギャラリー147に溢流させ、噴射時期の遅角制御が行われるものである。
そして、前記プランジャーバレル133の燃料圧室131の内壁面には溢流用サブポート136が形成されており、燃料圧室131と燃料ギャラリー147とが、ドレン油路137a、ピストン135の周面に形成した油路135a、ドレン油路137bを介することにより連通される構成としている。
以上のCSDの構成において、前記進角用アクチュエータ138の作動時では、ピストン135が上方に移動して、前記ドレン油路137a等を介しての溢流用サブポート136とハイドロリックヘッド146の燃料ギャラリー147との連通が分断され、噴射時期の進角制御が行われるものである。
一方、前記進角用アクチュエータ138の非作動時では、ピストン戻しバネ148の作用によりピストン135が下方に移動して、前記ドレン油路137a等を介しての溢流用サブポート136とハイドロリックヘッド146の燃料ギャラリー147とが連通し、プランジャー132によって圧縮される燃料の一部を前記燃料ギャラリー147に溢流させ、噴射時期の遅角制御が行われるものである。
近年の燃料の高圧噴射化の流れにおいて、上記構成の燃料噴射ポンプにおいては、噴射終了時において発生するスピル圧力が燃料ギャラリー147内へ伝わることにより、安定した燃料噴射に悪影響が及ぼされるといった問題がある。
そして、前記燃料ギャラリー147内へ伝わったスピル圧力は、前記ドレン油路137a等を介して溢流用サブポート136まで到達し、該溢流用サブポート136の口元においてキャビテーションを発生させてしまい、該キャビテーションにより、溢流用サブポート136の口元、及びプランジャー132の表面にエロージョンを発生させるといった問題もある。このようなキャビテーションによるエロージョンは、噴射量の減少や、噴射時期の遅れといった不具合を発生し、エンジン性能に悪影響を及ぼすことになる。
本発明は、以上の検討より、前記スピル圧力を前記溢流用サブポート136にまで伝達させないようにすることで、キャビテーションの発生に伴うエロージョンを防止する構成を実現することを課題とするものである。
そして、前記燃料ギャラリー147内へ伝わったスピル圧力は、前記ドレン油路137a等を介して溢流用サブポート136まで到達し、該溢流用サブポート136の口元においてキャビテーションを発生させてしまい、該キャビテーションにより、溢流用サブポート136の口元、及びプランジャー132の表面にエロージョンを発生させるといった問題もある。このようなキャビテーションによるエロージョンは、噴射量の減少や、噴射時期の遅れといった不具合を発生し、エンジン性能に悪影響を及ぼすことになる。
本発明は、以上の検討より、前記スピル圧力を前記溢流用サブポート136にまで伝達させないようにすることで、キャビテーションの発生に伴うエロージョンを防止する構成を実現することを課題とするものである。
本発明の解決しようとする課題は以上のごとくであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1に記載のごとく、燃料の噴射タイミングを変化させる低温始動進角機構を備えた燃料噴射ポンプであって、前記低温始動進角機構は、燃料圧室に設けた溢流用サブポートと、燃料ギャラリーとの連通を分断することにより進角制御を行うものとするとともに、前記燃料ギャラリーから溢流用サブポートへの方向への燃料の移動を規制する逆流防止機構を備えることである。
また、請求項2に記載のごとく、前記逆流防止機構は、低温始動進角機構のピストン内に設けた逆止弁により、前記溢流用サブポートと燃料ギャラリーの連通を分断させる構成とすることである。
また、請求項3に記載のごとく、前記ピストン内には、前記逆止弁の移動範囲を規制するストッパーが設けられることである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、請求項1に記載のごとく、燃料の噴射タイミングを変化させる低温始動進角機構を備えた燃料噴射ポンプであって、前記低温始動進角機構は、燃料圧室に設けた溢流用サブポートと、燃料ギャラリーとの連通を分断することにより進角制御を行うものとするとともに、前記燃料ギャラリーから溢流用サブポートへの方向への燃料の移動を規制する逆流防止機構を備えるので、燃料噴射後のスピル圧力に伴う燃料ギャラリーから燃料圧室への燃料の逆流が防止されるため、前記溢流用サブポートの口元においてキャビテーションが発生することもなく、該キャビテーションの発生に伴う、溢流用サブポートの口元、及びプランジャーの表面のエロージョンの発生を防止することができる。そして、該エロージョンの防止により、エンジン性能が維持され、信頼性を向上することができる。
また、請求項2に記載のごとく、前記逆流防止機構は、低温始動進角機構のピストン内に設けた逆止弁により、前記溢流用サブポートと燃料ギャラリーの連通を分断させる構成とするので、従来の低温始動進角機構の構成にそのまま適用可能であり、他にスペースが必要とされることもないという利点を有する。
また、請求項3に記載のごとく、前記ピストン内には、前記逆止弁の移動範囲を規制するストッパーが設けられるので、前記逆止弁をより早く閉じることができるようになる。これにより、燃料の逆流を極力少なくすることができ、上述したエロージョンの発生を確実に防止することができる。
燃料噴射後のキャビテーションの発生に伴う溢流用サブポートの口元等のエロージョンを防止するという目的を、前記燃料ギャラリーから溢流用サブポートへの方向への燃料の移動を規制することで達成する。
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明を適用する燃料噴射ポンプの構成を示す側面断面図、図2はCSDの構成を示す側面一部断面図、図3は本発明に係る制御装置に関する構成を示すブロック図、図4はプランジャカムの角度に対応する各部の圧力を示す図、図5は従来のCSDの構成を示す側面一部断面図である。
図1は本発明を適用する燃料噴射ポンプの構成を示す側面断面図、図2はCSDの構成を示す側面一部断面図、図3は本発明に係る制御装置に関する構成を示すブロック図、図4はプランジャカムの角度に対応する各部の圧力を示す図、図5は従来のCSDの構成を示す側面一部断面図である。
図1に示すごとく、該燃料噴射ポンプ1は、ポンプハウジング45とハイドロリックヘッド46の部分を上下に接合して構成されている。ポンプハウジング45の部分の前側面には、電子制御ガバナ装置7のケーシング8が付設され、該ケーシング8の左側よりラックアクチュエータ40が挿嵌固定されている。
前記ラックアクチュエータ40は、摺動軸3を前後方向に進退させるものであり、該摺動軸3の先端部は、リンクレバー23の中途部に枢結されている。
該リンクレバー23は、その下部において基部ピン24を中心に回動自在に配される一方、上端部にはコントロールレバー6が枢結されており、前記摺動軸3が前後方向に進退すると、リンクレバー23は、基部ピン24を回動中心として前後方向に回動し、これにより、コントロールレバー6が前後方向に移動して、プランジャー32を回動させる図示せぬ調量ラックが操作される、即ち、燃料噴射量の増量・減量の制御が行われるものである。
また、前記ケーシング8の下部には、前記ポンプカム軸2の回転数を検知するための回転センサー22が取付けられている。
前記ラックアクチュエータ40は、摺動軸3を前後方向に進退させるものであり、該摺動軸3の先端部は、リンクレバー23の中途部に枢結されている。
該リンクレバー23は、その下部において基部ピン24を中心に回動自在に配される一方、上端部にはコントロールレバー6が枢結されており、前記摺動軸3が前後方向に進退すると、リンクレバー23は、基部ピン24を回動中心として前後方向に回動し、これにより、コントロールレバー6が前後方向に移動して、プランジャー32を回動させる図示せぬ調量ラックが操作される、即ち、燃料噴射量の増量・減量の制御が行われるものである。
また、前記ケーシング8の下部には、前記ポンプカム軸2の回転数を検知するための回転センサー22が取付けられている。
また、図1及び図2に示すごとく、前記ハイドロリックヘッド46には、プランジャーバレル33が挿嵌されており、該プランジャーバレル33内にプランジャー32が上下摺動自在に内装され、ポンプカム軸2に形設したカム4の回転により、タペットローラー11(図1)及びタペット12を介して、プランジャー32が上下移動するように構成されており、プランジャーバレル33のメインポート39より圧縮燃料を分配軸9(図1)に供給するようにしている。
また、ハイドロリックヘッド46におけるプランジャーバレル33の側方には、低温始動進角機構(以下、「CSD30」とする)のピストンバレル34が挿嵌されており、該ピストンバレル34内のピストン35を進角用アクチュエータ38にて上下摺動させる構成としている。
そして、前記プランジャーバレル33に形設した溢流用サブポート36は、燃料ギャラリー47とドレン油路37aを介して通じており、前記進角用アクチュエータ38の作動時では、ピストン35が上方に移動して、前記ドレン油路37aを介しての溢流用サブポート36とハイドロリックヘッド46の燃料ギャラリー47との連通が分断され、噴射時期の進角制御が行われるものである。
一方、前記進角用アクチュエータ38の非作動時では、ピストン35が下方に移動して、前記ドレン油路37aを介しての溢流用サブポート36とハイドロリックヘッド46の燃料ギャラリー47とが連通し、プランジャー32によって圧縮される燃料の一部を前記燃料ギャラリー47に溢流させ、噴射時期の遅角制御が行われるものである。
また、ハイドロリックヘッド46におけるプランジャーバレル33の側方には、低温始動進角機構(以下、「CSD30」とする)のピストンバレル34が挿嵌されており、該ピストンバレル34内のピストン35を進角用アクチュエータ38にて上下摺動させる構成としている。
そして、前記プランジャーバレル33に形設した溢流用サブポート36は、燃料ギャラリー47とドレン油路37aを介して通じており、前記進角用アクチュエータ38の作動時では、ピストン35が上方に移動して、前記ドレン油路37aを介しての溢流用サブポート36とハイドロリックヘッド46の燃料ギャラリー47との連通が分断され、噴射時期の進角制御が行われるものである。
一方、前記進角用アクチュエータ38の非作動時では、ピストン35が下方に移動して、前記ドレン油路37aを介しての溢流用サブポート36とハイドロリックヘッド46の燃料ギャラリー47とが連通し、プランジャー32によって圧縮される燃料の一部を前記燃料ギャラリー47に溢流させ、噴射時期の遅角制御が行われるものである。
そして、図3に示すごとく、前記電子制御ガバナ装置7のラックアクチュエータ40、及びCSD30の進角用アクチュエータ38は、コントローラー20に接続されている。また、ポンプカム軸2の回転数を検知するための回転センサー22、及びエンジンの冷却水温を検知するための水温センサー25が、コントローラー20に接続されている。
次に、CSD30の構成について説明する。
図2に示すごとく、本発明に係るCSD30は、燃料の噴射タイミングを変化させる低温始動進角機構であり、燃料圧室31に設けた溢流用サブポート36と、燃料ギャラリー47との連通を分断することにより進角制御を行うものとするとともに、前記燃料ギャラリー47から溢流用サブポート36への方向への燃料の移動を規制する逆流防止機構60を備える構成としている。
そして、前記逆流防止機構60は、CSD30のピストン35内に設けた逆止弁61により、前記溢流用サブポート36と燃料ギャラリー47の連通を分断させる構成とするものである。
図2に示すごとく、本発明に係るCSD30は、燃料の噴射タイミングを変化させる低温始動進角機構であり、燃料圧室31に設けた溢流用サブポート36と、燃料ギャラリー47との連通を分断することにより進角制御を行うものとするとともに、前記燃料ギャラリー47から溢流用サブポート36への方向への燃料の移動を規制する逆流防止機構60を備える構成としている。
そして、前記逆流防止機構60は、CSD30のピストン35内に設けた逆止弁61により、前記溢流用サブポート36と燃料ギャラリー47の連通を分断させる構成とするものである。
前記ピストン35には、その下降時(CSD OFF時)には、前記溢流用サブポート36と燃料ギャラリー47を連通させる一方、上昇時(CSD ON時)には、前記溢流用サブポート36と燃料ギャラリー47を分断させる油路71が形成されている。
該油路71は、側面断面視において略「コ」字状に形成されるものであり、CSD30がOFFである通常運転時では、該油路71の上側横方向の油路71aを前記ドレン油路37aと連通させる一方、該油路71の下側の横方向の油路71bを前記ドレン油路37bと連通させるようにしている。そして、該油路71a・71bは、上下方向の油路71cと、該油路71cよりも下側であって、該油路71cよりも内径を大とする油室72を介して連通されている。
一方、CSDがONである低温始動時では、進角用アクチュエータ38を作動させてピストン35を上昇させることにより、前記油路71aとドレン油路37aの連通、及び、前記油路71bとドレン油路37bの連通をそれぞれ分断するようにしている。
また、前記油室72には、逆止弁61が上下方向移動自在に配されており、油室72の上面を弁座とし、該逆止弁61が上昇した際には油路71cが閉じられる構成となっている。
また、該逆止弁61は、油室72内に設けられたスプリング62により上方へ移動する方向、即ち、油路71cを閉じる方向に付勢されている。
該油路71は、側面断面視において略「コ」字状に形成されるものであり、CSD30がOFFである通常運転時では、該油路71の上側横方向の油路71aを前記ドレン油路37aと連通させる一方、該油路71の下側の横方向の油路71bを前記ドレン油路37bと連通させるようにしている。そして、該油路71a・71bは、上下方向の油路71cと、該油路71cよりも下側であって、該油路71cよりも内径を大とする油室72を介して連通されている。
一方、CSDがONである低温始動時では、進角用アクチュエータ38を作動させてピストン35を上昇させることにより、前記油路71aとドレン油路37aの連通、及び、前記油路71bとドレン油路37bの連通をそれぞれ分断するようにしている。
また、前記油室72には、逆止弁61が上下方向移動自在に配されており、油室72の上面を弁座とし、該逆止弁61が上昇した際には油路71cが閉じられる構成となっている。
また、該逆止弁61は、油室72内に設けられたスプリング62により上方へ移動する方向、即ち、油路71cを閉じる方向に付勢されている。
以上の構成において、CSD30がOFFである通常運転時では、前記油路71aがドレン油路37aと通じ、燃料圧室31の高圧燃料が油路71cへ流れ、スプリング62の付勢力に抗して逆止弁61を下方に押圧する。これにより、油路71cと油室72とが連通し、高圧燃料は、該油室72から油路71b、ドレン油路37bを介して燃料ギャラリー47へ溢流される。
このように、通常運転時では、燃料圧室31内の高圧燃料を逆止弁61を介して燃料ギャラリー47へ溢流させることにより、噴射時期の遅角制御が行われるようにしている。
一方、CSD30がONである低温始動時では、前記油路71aとドレン油路37aの連通、及び、前記油路71bとドレン油路37bの連通をそれぞれ分断し、燃料圧室31から燃料ギャラリー47への高圧燃料の溢流を無くすことにより、噴射時期の進角制御が行われるようにしている。
このように、通常運転時では、燃料圧室31内の高圧燃料を逆止弁61を介して燃料ギャラリー47へ溢流させることにより、噴射時期の遅角制御が行われるようにしている。
一方、CSD30がONである低温始動時では、前記油路71aとドレン油路37aの連通、及び、前記油路71bとドレン油路37bの連通をそれぞれ分断し、燃料圧室31から燃料ギャラリー47への高圧燃料の溢流を無くすことにより、噴射時期の進角制御が行われるようにしている。
そして、CSD30がOFFである通常運転時において、燃料噴射後に発生するスピル圧力により燃料ギャラリー47内に伝わった場合には、燃料ギャラリー47から燃料圧室31側へ燃料が逆流しようとすることになるが、前記逆流防止機構60の逆止弁61の作用によって、燃料の逆流が阻止される。即ち、燃料噴射後は、燃料圧室31内は燃料ギャラリー47よりも低圧となるため、燃料ギャラリー47内の燃料は、ドレン油路37b、油路71bを通って油室72に流入し、さらに、油路71cに流れようとするが、該燃料が逆止弁61を上方に移動させるため、これにより、油路71cと油室72の連通が分断されるものである。
以上のようにして、燃料噴射後において、燃料ギャラリー47に伝わったスピル圧力が燃料圧室31へ伝わることが防止される、つまりは、燃料ギャラリー47から燃料圧室31への燃料の逆流が防止されるため、前記溢流用サブポート36の口元においてキャビテーションが発生することもなく、該キャビテーションの発生に伴う、溢流用サブポート36の口元、及びプランジャー32の表面のエロージョンの発生を防止することができる。
図4では、前記プランジャー32を上下動させるカム4(図4参照)の角度に対応する各部の圧力を示すものであり、本発明の逆流防止機構60により、噴射終了時において発生するスピル圧力を吸収し、溢流用サブポート36の圧力の変動が抑えられるようになっていることを示している。
以上のようにして、燃料噴射後において、燃料ギャラリー47に伝わったスピル圧力が燃料圧室31へ伝わることが防止される、つまりは、燃料ギャラリー47から燃料圧室31への燃料の逆流が防止されるため、前記溢流用サブポート36の口元においてキャビテーションが発生することもなく、該キャビテーションの発生に伴う、溢流用サブポート36の口元、及びプランジャー32の表面のエロージョンの発生を防止することができる。
図4では、前記プランジャー32を上下動させるカム4(図4参照)の角度に対応する各部の圧力を示すものであり、本発明の逆流防止機構60により、噴射終了時において発生するスピル圧力を吸収し、溢流用サブポート36の圧力の変動が抑えられるようになっていることを示している。
上述した逆止弁61においては、燃料の逆流を極力少なくするべく、逆流開始後は瞬時に閉じることが望ましい。
そこで、図2に示すごとく、前記ピストン35内には、前記逆止弁61の移動範囲を規制するストッパー63を設けることとしている。
具体的には、前記油室72内において、スプリング62の内側に上下方向に長い棒状のストッパー63を配し、該ストッパー63の台座63aと、逆止弁61の間に前記スプリング62を挟装し、逆止弁61が油室72の上面に当着した状態において、逆止弁61とストッパー63との間に所定の間隔が形成されるように構成するものである。尚、前記台座63aは、ピストン35に対し嵌着等により固定されるものである。
以上の構成により、逆止弁61の移動が許容される範囲を、所定の間隔に抑えることができ、ストッパー63を設けない場合と比較して、逆止弁61をより早く閉じることができるようになる。これにより、燃料の逆流を極力少なくすることができ、上述したエロージョンの発生を確実に防止することができる。尚、ここでいう所定の間隔とは、通常運転時の燃料溢流を妨げないようにすべく、逆止弁61の下方向への十分な移動を許容する間隔をいうものである。
そこで、図2に示すごとく、前記ピストン35内には、前記逆止弁61の移動範囲を規制するストッパー63を設けることとしている。
具体的には、前記油室72内において、スプリング62の内側に上下方向に長い棒状のストッパー63を配し、該ストッパー63の台座63aと、逆止弁61の間に前記スプリング62を挟装し、逆止弁61が油室72の上面に当着した状態において、逆止弁61とストッパー63との間に所定の間隔が形成されるように構成するものである。尚、前記台座63aは、ピストン35に対し嵌着等により固定されるものである。
以上の構成により、逆止弁61の移動が許容される範囲を、所定の間隔に抑えることができ、ストッパー63を設けない場合と比較して、逆止弁61をより早く閉じることができるようになる。これにより、燃料の逆流を極力少なくすることができ、上述したエロージョンの発生を確実に防止することができる。尚、ここでいう所定の間隔とは、通常運転時の燃料溢流を妨げないようにすべく、逆止弁61の下方向への十分な移動を許容する間隔をいうものである。
また、以上の逆止弁61、スプリング62、ストッパー63等から構成される前記逆流防止機構60は、前記溢流用サブポート36と、燃料ギャラリー47とを連通又は分断させるピストン35内に設けられるものであり、従来のCSD30の構成にそのまま適用可能であり、他にスペースが必要とされることもないという利点を有する。
本発明は、上記構成のCSDを備えるあらゆる燃料噴射ポンプに適用可能である。
31 燃料圧室
35 ピストン
36 溢流用サブポート
47 燃料ギャラリー
60 逆流防止機構
61 逆止弁
35 ピストン
36 溢流用サブポート
47 燃料ギャラリー
60 逆流防止機構
61 逆止弁
Claims (3)
- 燃料の噴射タイミングを変化させる低温始動進角機構を備えた燃料噴射ポンプであって、
前記低温始動進角機構は、燃料圧室に設けた溢流用サブポートと、燃料ギャラリーとの連通を分断することにより進角制御を行うものとするとともに、前記燃料ギャラリーから溢流用サブポートへの方向への燃料の移動を規制する逆流防止機構を備えることとした、燃料噴射ポンプ。 - 前記逆流防止機構は、低温始動進角機構のピストン内に設けた逆止弁により、前記溢流用サブポートと燃料ギャラリーの連通を分断させる構成とする、ことを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射ポンプ。
- 前記ピストン内には、前記逆止弁の移動範囲を規制するストッパーが設けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射ポンプ。
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JP (1) | JP2005069036A (ja) |
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2003
- 2003-08-20 JP JP2003296609A patent/JP2005069036A/ja active Pending
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