JP2005069019A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアクリーナの大気開口部の断面積を可変とした場合において、エアクリーナの下流側に配置されたエアフローメータの出力に基づき推定される吸入空気量が不正確となることを防止する内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】大気開口部の断面積を可変とするエアクリーナ11と、エアクリーナの下流側に配置されたエアフローメータ7とを具備する内燃機関の制御装置であって、エアフローメータの出力を吸気脈動及び吸気偏流の少なくとも一方の影響に基づき補正するための補正係数を有し、現在のエアクリーナにおける大気開口部の断面積に適合させて補正係数を変更する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機関吸気系に配置されたエアクリーナは、大気開口部の断面積を大きくして吸気抵抗を低減することが好ましい。しかしながら、吸気騒音が大気開口部を介して外部へ洩れるために、大気開口部の断面積を大きくすると、吸気騒音はあまり減少されることなく、そのまま外部へ洩れることとなる。この吸気騒音は、特に、排気音やエンジン音、あるいは、ロードノイズが低くなる車両の低速走行時において問題となる。
【0003】
この問題を解決するために、エアクリーナの大気開口部の断面積を可変とすることにより、車両低速走行時には大気開口部の面積を小さくし、外部へ洩れる吸気騒音を低減することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−93785号公報
【特許文献2】
特開平11−93785号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
機関吸気系のエアクリーナ下流側には、一般的に、エアフローメータが配置されて吸入空気量の推定に使用される。しかしながら、前述のように、エアクリーナの大気開口部の断面積を変化させると、そのままではエアフローメータの出力の信頼性が低下して吸入空気量の推定が不正確となる。
【0006】
従って、本発明の目的は、エアクリーナの大気開口部の断面積を可変とした場合において、エアクリーナの下流側に配置されたエアフローメータの出力に基づき推定される吸入空気量が不正確となることを防止する内燃機関の制御装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載の内燃機関の制御装置は、大気開口部の断面積を可変とするエアクリーナと、前記エアクリーナの下流側に配置されたエアフローメータとを具備する内燃機関の制御装置であって、前記エアフローメータの出力を吸気脈動及び吸気偏流の少なくとも一方の影響に基づき補正するための補正係数を有し、現在の前記エアクリーナにおける前記大気開口部の断面積に適合させて前記補正係数を変更することを特徴とする。
【0008】
また、本発明による請求項2に記載の内燃機関の制御装置は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記補正係数を使用して補正された前記エアフローメータの出力に基づき前記エアクリーナの圧力損失を算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明による請求項3に記載の内燃機関の制御装置は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記補正係数を使用して補正された前記エアフローメータの出力に基づきスロットル弁より下流側の下流側吸気圧におけるスロットル弁全開時の定常値を算出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明による請求項4に記載の内燃機関の制御装置は、請求項3に記載の内燃機関の制御装置において、さらに、前記補正係数を使用して補正された前記エアフローメータの出力に基づきスロットル弁より下流側の下流側吸気圧における各スロットル弁開度の定常値を算出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明による請求項5に記載の内燃機関の制御装置は、大気開口部の断面積を可変とするエアクリーナと、前記エアクリーナの下流側に配置されたエアフローメータとを具備し、前記エアフローメータの出力に基づき前記エアクリーナの圧力損失又はスロットル弁より上流側の上流側吸気圧を算出する内燃機関の制御装置であって、算出された前記圧力損失又は上流側吸気圧は現在の前記エアクリーナにおける前記大気開口部の断面積に応じて補正されることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による制御装置が取り付けられる内燃機関を示す概略図である。同図において、1は機関本体であり、2は各気筒共通のサージタンクである。3はサージタンク2と各気筒とを連通する吸気枝管であり、4はサージタンク2の上流側の吸気通路である。各吸気枝管3には燃料噴射弁5が配置され、吸気通路4におけるサージタンク2の直上流側にはスロットル弁6が配置されている。スロットル弁6は、アクセルペダルに連動するものでも良いが、ここではステップモータ等の駆動装置によって自由に開度設定可能なものとしている。7は吸気通路4のスロットル弁6より上流側に配置されたエアフローメータである。吸気通路4の最上流部にはエアクリーナ11が配置されている。本実施形態では、特に、エアフローメータ7はエアクリーナ11の直下流側に位置している。機関本体1において、8は吸気弁であり、9は排気弁であり、10はピストンである。
【0013】
本実施形態におけるエアクリーナ11は、第一大気開口部11aと第二大気開口部11bとを有し、第二大気開口部11bには閉鎖弁11cが配置されている。閉鎖弁11cを開弁すれば、吸気は第一大気開口部11a及び第二大気開口部11bの両方からエアクリーナ11に取り入れられ、エアクリーナ11の大気開口部全体の断面積を大きくすることができる。それにより、エアクリーナ11の吸気抵抗は小さくなる。
【0014】
しかしながら、吸気騒音は、エアクリーナ11の大気開口部を介して外部へ洩れるために、特に、排気音等が小さくなる車両低速走行時において、この吸気騒音は耳障りとなる。本実施形態では、車両低速走行時に閉鎖弁11cを閉弁し、吸気を第一大気開口部11aだけから取り入れるようにしている。それにより、エアクリーナ11の大気開口部全体の断面積は小さくなり、外部へ洩れる吸気騒音を低減することができる。この時において、エアクリーナ11の吸気抵抗は増大することとなるが、車両低速走行時には、一般的に多量の吸気を必要としないために、それほど問題とはならない。
【0015】
ところで、吸気通路4内ではスロットル弁開度に応じた吸気脈動が発生しており、この吸気脈動がエアフローメータ7の出力に影響を与えることがある。スロットル弁開度が小さい時には、吸気脈動は非常に小さいために、これがエアフローメータ7の出力に影響を与えることはない。しかしながら、スロットル弁開度が大きくなると、吸気脈動が徐々に大きくなり、この当初は、エアフローメータ7の出力を実際より低下させる。さらにスロットル弁開度が大きくなって吸気脈動が大きくなると吸気の逆流が発生する。エアフローメータ7は、この逆流する吸気の流量も測定してしまうために、エアフローメータ7の出力は実際より増大してしまう。
【0016】
このような吸気脈動の影響を考慮して、一般的には、図2に実線で示すようにマップ化した脈動補正係数K1を使用してエアフローメータ7の出力を補正している。しかしながら、本実施形態のように、エアクリーナ11の大気開口部の断面積を小さく変化させると、特に、スロットル弁開度が比較的大きな領域において吸気脈動が大きくなる傾向があり、同じ脈動補正係数K1を使用してエアフローメータ7の出力を補正しても、出力の信頼性を高めることができない。それにより、本実施形態において、この時には、図2に点線で示すような現在の大気開口部の断面積に適合させてマップ化した脈動補正係数K1’を使用してエアフローメータ7の出力を補正するようにしている。
【0017】
また、エアフローメータ7は、その検出部が存在する位置における吸気流量を検出するものであるが、一般的に、吸気は吸気通路断面を一様に通過しておらず、エアフローメータ7の出力を実際の吸気流量とするためには、偏流補正係数K2を設定して、それによる補正が必要である。エアクリーナ11の大気開口部の断面積を変化させることによって、吸気通路断面を通過する吸気の偏流の仕方が変化するために、エアクリーナ11の大気開口部の断面積を小さく変化させた時に、同じ偏流補正係数K2を使用してエアフローメータ7の出力を補正しても、出力の信頼性を高めることはできない。それにより、本実施形態においては、エアクリーナ11の大気開口部の各断面積形状に適合させて偏流補正係数K2’を設定して置き、現在の大気開口部の断面積に適合した偏流補正係数K2又はK2’を使用してエアフローメータ7の出力を補正するようにしている。
【0018】
このように、エアクリーナ11の大気開口部の断面積を変化させる時に、それに適合した脈動補正係数及び偏流補正係数を使用してエアフローメータ7の出力を補正することにより、エアフローメータ7の出力の信頼性を高めることができ、機関定常時においては、この出力から気筒内へ流入した正確な吸入空気量を把握することができる。
【0019】
内燃機関1における燃焼空燃比を、例えば、理論空燃比等の所望空燃比にするためには、機関定常時だけでなく、機関過渡時にも吸入空気量を正確に把握しなければならない。エアフローメータ7は応答遅れを有するために、機関過渡時において、現在の出力を脈動補正係数及び偏流補正係数により補正しても、それをそのまま吸入空気量とすることはできない。それにより、本実施形態では、機関吸気系を以下のようにモデル化して吸入空気量を推定するようにしている。
【0020】
先ず、スロットル弁6をモデル化することにより、吸気がスロットル弁6を通過する際のエネルギ保存則、運動量保存則、及び、状態方程式を使用して、今回のスロットル弁通過空気量mt(i)(g/sec)が、次式(1)によって表される。以下の式を含めて、スロットル弁通過空気量等の変数の添え字(i)は今回(現在)を示し、(i−1)は前回を示している。
【数1】
Figure 2005069019
【0021】
ここで、μ(i)は流量係数であり、A(i)はスロットル弁6の開口面積(m)である。もちろん、機関吸気系にアイドルスピードコントロールバルブ(ISC弁)が設けられている時には、A(i)には、ISC弁の開口面積が加えられる。流量係数及びスロットル弁の開口面積は、それぞれがスロットル弁開度TA(i)(度)の関数となっており、図2及び3には、それぞれのスロットル弁開度TAに対するマップが図示されている。それにより、流量係数と開口面積との積をスロットル弁開度TAの関数とすることができる。Rは気体定数であり、Taはスロットル弁上流側の吸気温度(K)であり、Pac(i)はスロットル弁より上流側の上流側吸気圧(kPa)であり、Pm(i)はスロットル弁下流側の吸気管圧力、すなわち、下流側吸気圧(kPa)である。また、関数Φに関しては後述する。
【0022】
現在のスロットル弁上流側の吸気温度Ta(i)は、吸気通路4のスロットル弁6の上流側に温度センサ(図示せず)を配置して、この温度センサにより検出することが好ましいが、この吸気温度は、エアクリーナ11の圧力損失とは無関係に外気温度とほぼ等しいと考えることができ、外気温度センサにより検出された外気温度を吸気温度として使用しても良い。
【0023】
一方、上流側吸気圧は、刻々変化するために、スロットル弁通過空気量mtを算出する毎に圧力センサ(図示せず)によって現在の上流側吸気圧Pac(i)を検出すれば良い。
【0024】
関数Φ(Pm(i)/Pac(i))は、比熱比κを使用して次式(2)によって表されるものであり、図4にはPm/Pacに対するマップが図示されている。
【数2】
Figure 2005069019
【0025】
ところで、式(1)において、上流側吸気圧Pac(i)は、圧力センサを使用しないで算出することも可能である。大気圧Paと上流側吸気圧Pacとの差、すなわち、エアクリーナ11の圧力損失は、ベルヌーイの定理により、次式(3)のように表すことができる。
【数3】
Figure 2005069019
【0026】
ここで、ρは大気密度であり、vはエアクリーナ11を通過する空気の流速であり、Gaはエアクリーナ11を通過する空気の流量であり、kはvとGaとの間の比例係数である。標準大気密度ρ0と、標準大気密度ρ0を現在の大気密度ρへ変換するための圧力補正係数ekpa及び温度補正係数ekthaとを使用すれば、式(3)は式(3)’のように置き換えることができる。さらに、式(3)’は、流量Gaだけを変数とする関数f(Ga)を使用して式(3)’’のように置き換えることができる。
【0027】
式(3)’’は、現在の上流側吸気圧Pac(i)を表す式(4)のように変形することができる。式(4)において、現在の流量Ga(i)は、エアフローメータ7により検出することができる。また、圧力補正係数ekpaは、検出される現在の大気圧により設定可能であり、温度補正係数ekthaは、検出される現在の大気温度により設定可能である。ここで、現在の流量Ga(i)として使用するエアフローメータ7の出力は、前述したように、流動補正係数K1又はK1’及び偏流補正係数K2又はK2’により補正されることにより、信頼積を高めることができ、正確な上流側吸気圧Pac(i)を算出することが可能となる。
【0028】
式(3)’において、現在の流量として使用するエアフローメータ7の出力は、全く補正しないようにして、又は、常に、一方の流動補正係数K1又はK1’及び一方の偏流補正係数K2又はK2’により補正するようにし、正確な圧力損失が算出されるように、エアクリーナ11の大気開口部の断面積に応じて比例係数kを変更するようにしても良い。また、式(3)’’において、現在の流量として使用するエアフローメータ7の出力は、全く補正しないようにして、又は、常に、一方の流動補正係数K1又はK1’及び一方の偏流補正係数K2又はK2’により補正するようにし、正確な圧力損失が算出されるように、エアクリーナ11の大気開口部の断面積に応じて関数fを変更するようにしても良い。このように、正確な吸入空気量を算出するために、エアフローメータの出力に基づくエアクリーナ11の圧力損失を、エアフローメータ11の大気開口部の断面積に応じて補正するようにしても良い。
【0029】
また、同様に、式(4)において、現在の流量として使用するエアフローメータ7の出力は、全く補正しないようにして、又は、常に、一方の流動補正係数K1又はK1’及び一方の偏流補正係数K2又はK2’により補正するようにし、正確な上流側吸気圧が算出されるように、エアクリーナ11の大気開口部の断面積に応じて関数fを変更するようにしても良い。このように、正確な吸入空気量を算出するために、エアフローメータの出力に基づく上流側吸気圧Pac(i)を、エアフローメータ11の大気開口部の断面積に応じて補正するようにしても良い。
【0030】
また、エアフローメータ7の出力を試験機等においてスロットル弁開度TAと機関回転数Neとに基づき予め測定して、エアクリーナ11の圧力損失の一部を成す関数fを予めマップ化することができる。この場合において、スロットル弁開度TAと機関回転数Neとに基づき測定されるエアフローメータ7の出力は、エアクリーナ11の大気開口部の断面積を大きくした時と小さくした時とで測定され、それぞれに適した流動補正係数K1又はK1’及び偏流補正係数K2又はK2’により補正されて関数fの算出に使用される。こうして、図6に示すように、エアクリーナ11の大気開口部の断面積を大きくした場合の関数fのマップ(A)と、エアクリーナ11の大気開口部の断面積を小さくした場合の関数f’(断面積を大きくした時の関数fと区別するためにダッシュを付している)のマップ(B)とが設定される。
【0031】
次いで、吸気弁をモデル化する。気筒内へ供給される吸入空気量mc(i)(g/sec)は、下流側吸気圧、すなわち、吸気管圧力Pm(i)に基づきほぼ線形に変化するものであるために、次式(5)に示す一次関数によって表すことができる。
【数4】
Figure 2005069019
【0032】
ここで、Tm(i)はスロットル弁下流側の吸気温度(K)であり、a及びbは一次関数を特定するためのパラメータである。bは気筒内の残留既燃ガス量に相当する値であり、バルブオーバーラップがある場合には、吸気管へ既燃ガスが逆流するために、bの値は無視できないほど増加する。また、バルブオーバーラップがある場合において、吸気管圧力Pmが所定圧力以上である時には、吸気管圧力が高いほど既燃ガスの逆流が顕著に減少するために、所定値以下である時に比較して、aの値は大きくされると共にbの値は小さくされる。
【0033】
このように、吸入空気量mcを算出するために使用される一次関数は、内燃機関毎に異なるものであると共に機関運転状態によっても変化するものである。それにより、内燃機関毎及び機関運転状態毎にパラメータa,bをマップ化しておくことが好ましい。
【0034】
次いで、吸気管をモデル化する。吸気管内に存在する吸気の質量保存則、エネルギ保存則、及び、状態方程式を使用して、吸気管圧力Pmとスロットル弁下流側の吸気温度Tmとの比における時間変化率は次式(6)によって表され、また、吸気管圧力Pmの時間変化率は次式(7)によって表される。ここで、Vは吸気管の容積(m)、すなわち、機関吸気系におけるスロットル弁下流側の容積であり、具体的には、吸気通路4の一部とサージタンク2と吸気枝管3との合計容積である。
【数5】
Figure 2005069019
【0035】
式(6)及び式(7)は離散化され、それぞれ、次式(8)及び(9)が得られ、式(9)によって今回の吸気管圧力Pm(i)が得られれば、式(8)によって今回の吸気管内の吸気温度Tm(i)を得ることができる。式(8)及び(9)において、離散時間Δtは、吸入空気量mc(i)を算出するためのフローチャート(図8)における実行間隔とされ、例えば8msである。
【数6】
Figure 2005069019
【0036】
ところで、式(1)において、現在のスロットル弁開度が暫く持続した機関定常時を考えると、次式(10)が成り立つ。ここで、mtta及びPmtaは、この機関定常時におけるスロットル弁通過空気量及び下流側吸気圧である。機関定常時におけるスロットル弁通過空気量は、吸入空気量mcと等しくなるために、式(5)を使用すると、スロットル弁通過空気量mttaは、現在の機関運転状態におけるパラメータa,bに基づいて式(11)のように表すことができる。
【数7】
Figure 2005069019
【0037】
式(11)を変形すると次式(12)を得ることができ、この式(12)を使用すると、式(1)を次式(13)のように変形することができる。式(1)においては、特に、流量係数μを正確に適合させることが困難であるが、各スロットル弁開度TAに対して機関運転状態毎(例えば、機関回転数毎)に定常下流側吸気圧Pmtaを設定して置けば、式(13)により流量係数を使用することなく、スロットル弁通過空気量mt(i)を算出することができる。
【数8】
Figure 2005069019
【0038】
ところで、各スロットル弁開度TAに対する機関運転状態毎の定常下流側吸気圧Pmtaは、試験機等において、各スロットル弁開度TAに対して機関回転数毎の定常運転を実現し、この時のエアフローメータ7の出力をスロットル弁通過空気量mtとして、式(1)を使用して逆算することが好ましい。この場合においても、エアフローメータ7の出力は、エアクリーナ11の大気開口部の断面積が大きくされた時と小さくされた時とで、それぞれに適した流動補正係数及び偏流補正係数とにより補正される。
【0039】
それにより、図7に示すように、エアクリーナ11の大気開口部の断面積が大きくされた時の定常下流側吸気圧Pmtaのマップ(A)と、エアクリーナ11の大気開口部の断面積が小さくされた時の定常下流側吸気圧Pmta’(断面積が大きくされた時の定常下流側吸気圧Pmtaと区別するためにダッシュを付している)のマップ(B)とが設定される。ところで、これらマップに設定された各定常下流側吸気圧は、スロットル弁上流側の吸気温度を標準値T0とし、また、上流側吸気圧を標準値Pa0とした時の値である。
【0040】
次に、吸入空気量mcを算出するための図8に示すフローチャートを説明する。本フローチャートは、機関始動完了と同時に実行される。先ず、ステップ101において、現在のエアクリーナ11の大気開口部の断面積に基づき、エアフローメータ7の出力を補正するための脈動補正係数マップ(K1又はK1’)が選択される。次いで、ステップ102において、現在のエアクリーナ11の大気開口部の断面積に基づき、エアフローメータ7の出力を補正するための偏流補正係数マップ(K2又はK2’)が選択される。次いで、ステップ103では、現在のエアクリーナ11の大気開口部の断面積に基づき、エアクリーナ11の圧力損失を算出するのに必要な関数マップ(f又はf’)が選択される。
【0041】
次いで、ステップ104において、現在のエアクリーナ11の大気開口部の断面積に基づき定常下流側吸気圧のマップ(Pmta又はPmta’)が選択される。次いで、ステップ105では、ステップ103において選択されたマップにから現在の機関回転数Ne及び現在のスロットル弁開度TAに基づき決定される関数値を使用して、式(4)により今回の上流側吸気圧Pac(i)が算出される。
【0042】
次いで、ステップ106では、式(9)を使用して下流側吸気圧(吸気管圧力)Pm(i)が算出される。式(9)において、前回の吸気管圧力Pm(i−1)(初期値は大気圧Pa)と、前回のスロットル弁通過空気量mt(i−1)と、前回のスロットル弁より上流側の吸気温度Ta(i−1)と、前回の吸入空気量mc(i−1)と、前回の吸気管内の吸気温度Tm(i−1)(初期値は上流側の吸気温度)とを使用して、今回の吸気管圧力Pm(i)を算出する。スロットル弁通過空気量mt(i−1)の初期値は、他の初期値を使用して式(1)又は(13)により算出され、吸入空気量mc(i−1)の初期値は、他の初期値を使用して式(5)により算出される。
【0043】
次いで、ステップ107において、今回の下流側吸気圧Pm(i)が今回のガード値Pmmax(i)より大きくなっているか否かが判断され、この判断が否定される時にはそのままステップ109へ進むが、肯定される時にはステップ108において、今回の下流側吸気圧Pm(i)を今回のガード値Pmmax(i)へ置換した後にステップ109へ進む。
【0044】
下流側吸気圧の今回のガード値Pmmax(i)は、ステップ106において算出された今回の下流側吸気圧Pm(i)が非現実的な値となった時に置換するためのものであり、次式(14)により算出される。
Pmmax(i)=Pmtamax*Pac(i)/Pa0 ・・・(14)
ここで、Pmtamaxは、ステップ104において選択した定常下流側吸気圧のマップにおいて、現在の機関回転数と最大スロットル弁開度(スロットル弁全開時)とに基づき決定される値である。Pac(i)はステップ105において算出された今回の上流側吸気圧であり、その初期値は大気圧とされる。また、Pa0は定常下流側吸気圧を設定する際に使用した上流側吸気圧の基準値である。
【0045】
次いで、ステップ109において、式(8)を使用して今回の吸気管内の吸気温度Tm(i)が算出される。次いで、ステップ110において、式(13)を使用して、今回のスロットル弁通過空気量mt(i)が算出される。式(13)において、定常下流側吸気圧Pmtaは、ステップ104において選択されたマップから現在の機関回転数Ne及び現在のスロットル弁開度TAに基づき決定された値である。現在のスロットル弁開度TA(i)は、現在のアクセルペダルの踏み込み量に対してスロットル弁の駆動装置(ステップモータ)の応答遅れ等が考慮されて推定される。
【0046】
次いで、ステップ111では、今回の下流側吸気圧Pm(i)及び今回の下流側吸気温度Tm(i)に基づき式(5)を使用して今回の吸入空気量mc(i)を算出する。次いで、フローチャートには示していないが、今回の下流側吸気圧Pm(i)、今回の下流側吸気温度Tm(i)、今回のスロットル弁通過空気量mt(i)、今回の吸入空気量mc(i)、及び、今回の上流側吸気温度Ta(i)は、それぞれ前回値として記憶され、次回のフローチャートの実施に備えられる。
【0047】
本実施形態において、制御を簡素化するために、定常下流側吸気圧は、機関回転数毎に設定するようにしたが、厳密には、可変バルブタイミング機構が設けられている場合には、この制御値によっても定常下流側吸気圧は変化する。それにより、可変バルブタイミング機構のような定常下流側吸気圧に影響する機構が設けられている場合には、機関回転数毎に加えて、その制御値毎に定常下流側吸気圧をマップ化するようにしても良い。
【0048】
ところで、燃焼空燃比を正確に制御するためには、燃料噴射を開始する以前に気筒内への正確な吸入空気量を推定して、燃料噴射量を決定しなければならない。しかしながら、正確な吸入空気量を推定するためには、厳密には、吸気弁閉弁時における吸入空気流量を算出しなければならない。すなわち、燃料噴射量を決定する時において、現在の吸入空気量mc(i)ではなく、吸気弁閉弁時における吸入空気量mc(i+n)を算出しなければならない。これは、図1に示すような吸気枝管3に燃料を噴射する内燃機関だけでなく、吸気行程において筒内へ直接燃料を噴射する内燃機関においても同様である。
【0049】
そのためには、現在において、現在のスロットル弁開度TA(i)だけでなく、吸気弁閉弁時までの時間Δt毎のスロットル弁開度TA(i+1),TA(i+2),・・・TA(i+n)に基づき、式(13)において定常下流側吸気圧Pmtaを変化させ、各時間のスロットル弁通過空気量mtを算出することが必要となる。
【0050】
各時間のスロットル弁開度TAは、現在の時間に対するアクセルペダルの踏み込み変化量に基づき、この踏み込み変化量が吸気弁閉弁時まで持続するとして、各時間のアクセルペダルの踏み込み量を推定し、それぞれの推定踏み込み量に対して、スロットル弁アクチュエータの応答遅れを考慮して決定することが考えられる。この方法は、スロットル弁がアクセルペダルと機械的に連結されている場合にも適用することができる。
【0051】
しかしながら、こうして推定される吸気弁閉弁時におけるスロットル弁開度TA(i+n)は、あくまでも予測であり、実際と一致している保証はない。吸気弁閉弁時におけるスロットル弁開度TA(i+n)を実際と一致させるために、スロットル弁を遅れ制御するようにしても良い。アクセルペダルの踏み込み量が変化した時に、アクチュエータの応答遅れによって、スロットル弁開度は遅れて変化するが、この遅れ制御は、このスロットル弁の応答遅れを意図的に増大させるものである。
【0052】
例えば、機関過渡時において、燃料噴射量を決定する時における現在のアクセルペダルの踏み込み量に対応するスロットル弁開度が、吸気弁閉弁時に実現されるように、実際の応答遅れ(無駄時間)を考慮してスロットル弁のアクチュエータを制御すれば、現在から吸気弁閉弁時までの時間毎のスロットル弁開度TA(i),TA(i+1),・・・TA(i+n)を正確に把握することができる。さらに具体的に言えば、アクセルペダルの踏み込み量が変化する時には、直ぐにアクチュエータへ作動信号を発するのではなく、燃料噴射量を決定する時から吸気弁閉弁時までの時間から無駄時間を差し引いた時間だけ経過した時にアクチュエータへの作動信号を発するようにするのである。もちろん、現在のアクセルペダルの踏み込み量に対応するスロットル弁開度を、吸気弁閉弁時以降に実現するようにスロットル弁の遅れ制御を実施しても良い。
【0053】
【発明の効果】
請求項1に記載の内燃機関の制御装置によれば、エアフローメータの出力を吸気脈動及び吸気偏流の少なくとも一方の影響に基づき補正するための補正係数が、現在のエアクリーナにおける大気開口部の断面積に適合させて変更されるために、エアフローメータの出力の信頼性低下を抑制することができ、エアフローメータの出力に基づき推定される吸入空気量が不正確となることを防止することができる。
【0054】
また、請求項5に記載の内燃機関の制御装置によれば、エアフローメータの出力に基づきエアクリーナの圧力損失又はスロットル弁より上流側の上流側吸気圧が算出され、算出された圧力損失又は上流側吸気圧は、現在のエアクリーナにおける大気開口部の断面積に応じて正確な値となるように補正されるために、圧力損失又は上流側吸気圧に基づき算出される吸入空気量が不正確となることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による制御装置が取り付けられる内燃機関の概略図である。
【図2】脈動補正係数のマップである。
【図3】スロットル弁開度TAと流量係数μとの関係を示すマップである。
【図4】スロットル弁開度TAとスロットル弁の開口面積Aとの関係を示すマップである。
【図5】下流側吸気圧Pmと上流側吸気圧Pacとの比と、関数Φとの関係を示すマップである。
【図6】エアクリーナの圧力損失を算出するための関数のマップである。
【図7】定常下流側吸気圧のマップである。
【図8】吸入空気量を算出するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1…機関本体
2…サージタンク
3…吸気枝管
4…吸気通路
6…スロットル弁
7…エアフローメータ
11…エアクリーナ

Claims (5)

  1. 大気開口部の断面積を可変とするエアクリーナと、前記エアクリーナの下流側に配置されたエアフローメータとを具備する内燃機関の制御装置であって、前記エアフローメータの出力を吸気脈動及び吸気偏流の少なくとも一方の影響に基づき補正するための補正係数を有し、現在の前記エアクリーナにおける前記大気開口部の断面積に適合させて前記補正係数を変更することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記補正係数を使用して補正された前記エアフローメータの出力に基づき前記エアクリーナの圧力損失を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記補正係数を使用して補正された前記エアフローメータの出力に基づきスロットル弁より下流側の下流側吸気圧におけるスロットル弁全開時の定常値を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  4. さらに、前記補正係数を使用して補正された前記エアフローメータの出力に基づきスロットル弁より下流側の下流側吸気圧における各スロットル弁開度の定常値を算出することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 大気開口部の断面積を可変とするエアクリーナと、前記エアクリーナの下流側に配置されたエアフローメータとを具備し、前記エアフローメータの出力に基づき前記エアクリーナの圧力損失又はスロットル弁より上流側の上流側吸気圧を算出する内燃機関の制御装置であって、算出された前記圧力損失又は上流側吸気圧は現在の前記エアクリーナにおける前記大気開口部の断面積に応じて補正されることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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