JP2005068461A - 接触部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 軸受の潤滑性能を向上させるとともに、軸受寿命を向上させる。
【解決手段】 内輪や外輪に機械加工により多数の突起を備える接触面を形成する(ステップS31〜S35)。この接触面の突起は油膜を破断する尖端を備えるため、リン酸塩処理によって突起の尖端を浸蝕除去する(ステップS36)。そして、リン酸塩処理に伴って生成された皮膜をクロム酸溶液によって溶解除去する(ステップS37)。これにより、接触面には、先端がなだらかな突起と、突起相互間の油溜まりとが形成されるため、接触面上に安定した油膜を形成することができ、潤滑性能を向上させることができる。しかも、予め皮膜を除去しておくため、剥離した皮膜粉によって軸受寿命を低下させることもない。
【選択図】 図2

Description

本発明は、転動体や軌道輪などの接触部材およびその製造方法に関し、特に、接触面の潤滑性能を高める際に適用して有効な技術に関する。
たとえば、回転軸を備える装置にあっては、転がり接触によって回転軸を支える転がり軸受や、滑り接触によって回転軸を支える滑り軸受が組み込まれている。転がり軸受は、接触部材である軌道輪と転動体とを備えており、大小2つの軌道輪間に複数の転動体が組み込まれることによって2つの軌道輪は相対回転自在となっている。このような転がり軸受には、転動体としてボールを用いた玉軸受や、転動体としてローラを用いたころ軸受などがある。一方、滑り軸受は接触部材である円筒状の軸受メタルを備えており、この軸受メタルの内周面によって接触部材である軸を摺動自在に支持している。
このような軸受に設けられる接触面は、潤滑油による油膜によって保護されている。つまり、接触部材間に形成される油膜により、接触部材同士の直接接触を抑制することによって、接触部材を焼き付きなどから保護している。このように、転がり軸受や滑り軸受の焼き付きを回避するためには、接触面上に油膜が形成され易いとともに破断し難いという潤滑性能が重要となっている。また、転動体や軌道輪の接触面に発生する剥離現象つまりフレーキングを抑制するためにも、接触面における潤滑性能が重要となっている。
このような接触部材の接触面における潤滑性能を向上させるため、精密仕上げ加工を施した接触面を荒らすことなく、モリブデンやタングステンの酸化物を含む皮膜を接触面上に形成するようにした皮膜技術が開発されている(たとえば、特許文献1参照)。また、歯車における歯面の潤滑性能を向上させるため、歯面研削加工を行った後に、研削加工に伴う突起部を除去することによって歯面強度を向上させるとともに、保油性の高い皮膜を歯面上に形成するようにした皮膜技術が開発されている(たとえば、特許文献2参照)。
特開2001−73167号公報(第2−3頁) 特開平7−293668号公報(第3−5頁)
しかしながら、接触面に皮膜を形成して潤滑性能を向上させようとすると、使用時には皮膜が剥離して不純物つまり皮膜粉が生成されるおそれがある。このため、転がり軸受や滑り軸受にこれらの皮膜技術を適用すると、剥離した皮膜粉によって、接触面の摩耗や油膜の破断が助長されるため、軸受の焼き付きやフレーキングを引き起こし易くなり、軸受寿命を低下させてしまうおそれがある。
また、軸受以外に皮膜技術の適用を考えた場合、たとえば、トロイダルCVTの接触部材であるディスクや変速ローラに皮膜技術を適用した場合であっても、皮膜粉によって耐久性低下を引き起こすおそれがあるだけでなく、作動油に混入する皮膜粉によって油圧制御系に不調をきたすおそれがある。
このように、潤滑性能を向上させるために皮膜を形成するという技術は、皮膜粉による影響を考慮すると、必ずしも全ての接触部材に適用できるものではなかった。
本発明の目的は、接触部材の潤滑性能を向上させるとともに、接触部材の耐久性を向上させることにある。
本発明の接触部材は、機械加工され多数の突起を備える機械加工面から、化成処理により前記突起の尖端を浸蝕除去し、化成処理に伴い生成された皮膜を除去して形成され、多数の油溜まりを備える皮膜除去面を有することを特徴とする。
本発明の接触部材は、リン酸塩溶液により前記尖端が浸蝕除去されることを特徴とする。また、強酸性溶液または強アルカリ性溶液により前記皮膜が除去されることを特徴とする。
本発明の接触部材は、前記皮膜除去面は転がり軸受の転動体または軌道輪に形成される接触面であることを特徴とする。また、前記皮膜除去面は滑り軸受またはこれに支持される軸に形成される接触面であることを特徴とする。また、前記皮膜除去面はトラクションドライブ式無段変速機の入力ディスク、出力ディスクまたは変速ローラに形成される接触面であることを特徴とする。
本発明の接触部材の製造方法は、多数の突起を備える機械加工面を加工する機械加工工程と、化成処理により前記機械加工面から前記突起の尖端を浸蝕除去する化成処理工程と、化成処理に伴い生成された皮膜を前記機械加工面から除去し、多数の油溜まりを備える皮膜除去面に加工する皮膜除去工程とを有することを特徴とする。
本発明の接触部材の製造方法は、リン酸塩溶液により前記尖端を浸蝕除去することを特徴とする。また、強酸性溶液または強アルカリ性溶液により前記皮膜を除去することを特徴とする。
本発明の接触部材の製造方法は、前記接触部材は転がり軸受の転動体または軌道輪であることを特徴とする。また、前記接触部材は滑り軸受またはこれに支持される軸であることを特徴とする。また、前記接触部材はトラクションドライブ式無段変速機の入力ディスク、出力ディスクまたは変速ローラであることを特徴とする。
本発明によれば、多数の突起を備える機械加工面から、化成処理により突起の尖端を浸蝕除去し、化成処理に伴い生成された皮膜を除去するようにしたので、多数の油溜まりを備える皮膜除去面を形成することができる。これにより、皮膜除去面上に安定した油膜を形成することができ、接触部材の潤滑性能を高めることができる。
しかも、化成処理に伴う皮膜を除去するため、皮膜が剥離して皮膜粉を発生させることがなく、皮膜粉による潤滑性能の低下を回避することができる。これにより、接触部材の耐久性を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(A)は円錐ころ軸受10を示す断面図であり、図1(B)は玉軸受20を示す断面図である。まず、図1(A)に示すように、複列型の円錐ころ軸受10は、軌道輪としての内輪11と外輪12とを備えており、内輪11と外輪12との間には転動体である複数のローラ13が2列になって組み込まれている。
組み込まれたローラ13はテーパ形状を備えており、内輪11の外周面11aに沿って所定の間隔で並んだ複数のローラ13は保持器14によって位置決めされている。また、内輪11の外周面11aにはローラ13を収容する軌道溝15が形成されており、軌道溝15の側壁はローラ13の端面13aに対する突き当て面15aとなっている。この突き当て面15aを備える軌道溝15を形成することにより、ローラ13の内輪11に対する軸方向移動が規制されている。
このように、ローラ13に形成される外周面13bは、外輪12に形成される内周面12aと、内輪11の軌道溝15に形成される底面15bとに転がり接触する一方、ローラ13に形成される端面13aは、軌道溝15に形成される突き当て面15aに滑り接触することになる。つまり、これらの端面13a、外周面13b、内周面12a、突き当て面15aおよび底面15bは、それぞれに接触面となっている。
続いて、図1(B)に示すように、玉軸受20は、軌道輪である内輪21と外輪22とを備えており、内輪21と外輪22との間には転動体である複数のボール23が組み込まれている。内輪21の外周面21aに沿って所定の間隔で並んだ複数のボール23は保持器24によって位置決めされている。また、内輪21の外周面21aと外輪22の内周面22aとには、ボール23の形状に対応した軌道溝25,26が形成されており、ボール23に形成される接触面としての表面23aは、軌道溝25,26に形成される接触面つまり湾曲面25a,26aに転がり接触することになる。
図2は図1(A)および(B)に示す軸受10,20の製造過程を示す工程図である。図2に示すように、軸受10,20を構成する内輪11,21、外輪12,22、転動体13,23、保持器14,24をそれぞれ加工した後に、これらの各部品を組み立てることによって軸受10,20は製造される。
まず、転動体であるローラ13やボール23は、軸受鋼の線材を鍛造加工することによって球形や円錐台形に粗加工される(ステップS11)。続いて、表面に所定の硬化層を形成するため、熱処理である浸炭焼入れ焼戻し処理が施され(ステップS12)、鍛造加工時の余肉部などを除去するためバレル加工が施される(ステップS13)。次いで、熱処理による歪みを改善するために粗研削加工および仕上げ研削加工が施され(ステップS14,S15)、更に形状精度を向上させるために超仕上げ加工であるラッピング加工が施される(ステップS16)。
また、ローラ13やボール23を所定間隔毎に保持するための保持器14,24は、鋼板から環状の素材を打ち抜いた後に、これをプレス成型することによってローラ13やボール23を保持する形状に形成される(ステップS21)。そして、ショットバレル加工によりプレス成型時の余肉部が除去される(ステップS22)。
続いて、内輪11,21や外輪12,22を製造する際に適用される本発明の一実施の形態である製造方法について説明する。軌道輪である内輪11,21や外輪12,22は、切り出された軸受鋼を鍛造加工することによって環状に粗加工される(ステップS31)。続いて、旋盤などの旋削機械により表面が旋削加工され(ステップS32)、表面に所定の硬化層を形成するために熱処理である浸炭焼入れ焼戻し処理が施される(ステップS33)。次いで、熱処理による歪みを改善するために砥石を用いた仕上げ研削加工が施され(ステップS34)、更に形状精度を向上させるため、仕上げ研削加工よりも粒度の細かい砥石を用いた超仕上げ加工が施される(ステップS35)。このように、ステップS31〜S35に示される工程は機械加工工程となっている。
続いて、仕上げられた内輪11,21と外輪12,22との接触面の潤滑性能を更に向上させるため、続く化成処理工程においては、脱脂剤等を用いて清浄された内輪11,21や外輪12,22がリン酸塩溶液中に漬け込まれ、化成処理であるリン酸塩処理が施される(ステップS36)。ここで、図3は化成処理による加工状態を示す説明図である。図3に示すように、化成処理であるリン酸塩処理を施すと、内輪11,21や外輪12,22の表面は、リン酸塩溶液によって浸蝕されるとともに、リン酸塩結晶からなる皮膜によって覆われることになる。このとき形成されるリン酸塩結晶の厚みをtとすると、リン酸塩溶液によって浸蝕される浸蝕深さは2/3tとなる。なお、内輪11や外輪12を加工する際のリン酸塩処理としては、リン酸亜鉛処理やリン酸マンガン処理が好適である。このようなリン酸塩処理が施された後には、図2に示すように、続く皮膜除去工程において、内輪11や外輪12をクロム酸溶液中に漬け込む皮膜除去処理が施され、リン酸塩結晶の皮膜32はクロム酸溶液によって溶解除去される(ステップS37)。
次いで、前述の工程を経て製造される内輪11,21と外輪12,22との接触面12a,15a,15b,25a,26aについて説明する。図4は接触面の断面形状を概略的に示す説明図であり、(A)は超仕上げ加工後の断面形状を示し、(B)は化成処理後の断面形状を示し、(C)は皮膜除去後の断面形状を示している。
まず、機械加工工程(ステップS31〜S35)においては、図4(A)に示すように、各種加工時に使用される切削刃や砥粒によって、接触面12a,15a,15b,25a,26aは、多数の微少な突起30を備える機械加工面に加工される。これら突起30は鋭い尖端30aを備えており、突起30相互間には多数の溝31が形成されることになる。このような機械加工面は溝31に多くの潤滑油を保持できるが、油膜が突起30の尖端30aによって破断されてしまうため、焼き付きやフレーキングを引き起こしてしまうおそれがある。
そこで、化成処理工程(ステップS36)において、内輪11,21や外輪12,22をリン酸塩溶液に漬け込むことにより、図4(B)に示すように、突起30の尖端30aは浸蝕によって除去され、突起30の先端はなだらかに形成される。また、リン酸塩処理に伴って接触面にはリン酸塩結晶からなる皮膜32が生成されるため、リン酸塩処理によって接触面の表面形状を整えた後には、内輪11や外輪12をクロム酸溶液に漬け込むことによってリン酸塩結晶の皮膜32が除去される。そして、皮膜32を除去した後には、図4(C)に示すように、接触面12a,15a,15b,25a,26aは、突起30相互間に形成される多数の油溜まり33と、突起30の先端になだらかに形成される油膜支持部30bとを備える皮膜除去面に加工されることになる。なお、内輪11,21と外輪12,22との表面を覆う皮膜32を形成するリン酸塩結晶は、強酸性溶液や強アルカリ性溶液に溶け込む両性物質であるため、化成処理後の内輪11,21と外輪12,22とを強酸性溶液であるクロム酸溶液中に漬け込むことによってリン酸塩結晶を除去することができる。ここで、リン酸塩結晶を除去する際に用いられる強酸性溶液や強アルカリ性溶液としては、pH5以下の酸性溶液やpH12以上のアルカリ性溶液が好適であるが、これらの水素イオン指数は皮膜構造に応じて適宜変更することができる。
このように、油溜まり33と油膜支持部30bとを備える接触面を形成すると、接触面の潤滑性能を高めることができる。多数の油溜まり33には潤滑油が保持されるため、接触面上に油膜が形成され易くなり、油膜支持部30bによって面圧の過度な上昇を抑制できるため、油膜の破断を防止することができる。つまり、内輪11,21および外輪12,22と転動体13,23との間に、安定した油膜を形成することができ、潤滑状態を良好に保つことができる。
また、良好な潤滑状態により、金属同士の接触を回避することができ、摩擦熱による温度上昇も回避することができる。このため、滑り接触や転がり接触する接触面の焼き付きやフレーキングを抑制することができ、軸受10,20の軸受寿命を延ばすことができる。さらに、良好な潤滑状態により、内輪11,21、外輪12,22および転動体13,23の摩耗量を低減して、経年変化による軸受隙間の増大を抑制することができるため、軸受10,20に加えられる初期予圧を軽減することができ、軸受10,20の回転抵抗を軽減することができる。
このように、軸受10,20の接触面12a,15a,15b,25a,26aを図4(C)に示す断面形状に形成することによって、潤滑性能の高い軸受10,20を得ることができる。しかも、このような製造方法を用いると、化成処理としてのリン酸塩処理によって、容易かつ低コストに尖端30aを浸蝕して除去することができる。そして、クロム酸溶液に漬けることによって、リン酸塩処理に伴う皮膜32を予め除去しておくようにしたので、軸受10,20に不純物つまり剥離した皮膜粉を排出して軸受寿命を低下させることもない。
このように、化成処理によって突起30の尖端30aを取り除き、化成処理に伴う皮膜32を除去して形成される皮膜除去面の表面形状は、内輪11,21や外輪12,22の接触面に限られることはなく、ローラ13やボール23の接触面13a,13b,23aに適用しても良い。また、転がり軸受10,20に限られることはなく、図5に示すような滑り軸受34の接触面である内周面34aや、これに支持される軸35の接触面である外周面35aに化成処理と皮膜除去処理とを施しても良い。なお、滑り軸受としては、軸を回転自在に支持する滑り軸受であっても良く、軸を往復動自在に支持する滑り軸受であっても良い。
さらに、転がり軸受や滑り軸受に限られることはなく、潤滑油によって潤滑されるとともに高面圧下で使用される接触部材であっても良く、たとえば、トラクションドライブ式無段変速機のディスクやパワーローラであっても、本発明を有効に適用することができる。
ここで、図6はトラクションドライブ式無段変速機36を示す概略図である。図6に示すように、トラクションドライブ式無段変速機つまりトロイダルCVT36は、エンジン37に連結される入力ディスク38と、図示しない駆動輪に連結される出力ディスク39とを備えており、入力ディスク38と出力ディスク39とは傾動自在に設けられる変速ローラつまりパワーローラ40を介して連結されている。このパワーローラ40を傾動させてディスク38,39の接触半径を変化させることにより、入力ディスク38の回転を変速させて出力ディスク39に伝達している。
このような、入力ディスク38、出力ディスク39、パワーローラ40の接触面38a〜40aに、仕上げ研削加工や超仕上げ加工などを施して突起30を形成した後に、化成処理によって突起30の尖端30aを除去し、化成処理に伴う皮膜32を強酸性溶液や強アルカリ性溶液によって除去することにより、図4(C)に示すような、断面形状を形成することができる。これにより、ディスク38,39とパワーローラ40との間の潤滑状態を良好に保つことができ、焼き付きなどを回避することができる。また、化成処理に伴う皮膜32を予め除去するようにしたので、油圧回路に不純物が入り込むことはなく、油圧制御系に不調をきたすこともない。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、旋削加工や超仕上げ加工などを複合的に施して機械加工面を加工しているが、切削加工、研削加工、ラッピング加工などによって加工しても良く、様々な加工を施すことなく単一の加工を施すようにしても良い。
また、突起30の尖端30aを除去するため、リン酸亜鉛処理やリン酸マンガン処理などのリン酸塩処理を施しているが、これらに限られることはなく、他の化成処理であっても良い。さらに、化成処理に伴って形成される皮膜32を除去するため、クロム酸溶液を用いているが、他の強酸性溶液や強アルカリ性溶液であっても良いことはいうまでもない。
さらに、接触部材としては、軸受10,20などに限られることはなく、湿式クラッチ機構に組み込まれるクラッチプレートにも、本発明を有効に適用することができる。クラッチプレートに適用することにより、クラッチプレートの耐焼き付き性能や耐摩耗性能を向上させることができる。
さらに、ディファレンシャル装置に組み込まれるピニオンギヤの球面座に本発明を適用しても良く、マニュアルトランスミッションに組み込まれスラスト力を受ける摺動部に本発明を適用しても良い。これにより、摩擦係数低減によるフリクションロスの低減を達成するとともに、接触部強度、耐摩耗性能および耐焼き付き性能を向上させることができる。なお、ディファレンシャル装置のピニオンギヤは、2つのサイドギヤに噛み合って差動回転を行うギヤであり、ピニオンギヤの球面座は、ピニオンギヤの背面側に球面状に形成されディファレンシャルケースの内周面に摺動接触する接触面である。また、マニュアルトランスミッションの摺動部としては、シンクロメッシュ機構のシンクロリングやコーン部などがある。
なお、図1(A)に円錐ころ軸受10を示し、図1(B)に玉軸受20を示しているが、転がり軸受としてはこれらに限られることはなく、たとえば、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、球面ころ軸受、アンギュラ玉軸受に本発明の製造方法を適用することができる。また、ラジアル軸受に限られることはなく、スラスト軸受に本発明の製造方法を適用しても良いことはいうまでもない。
(A)は円錐ころ軸受を示す断面図であり、(B)は玉軸受を示す断面図である。 軸受の製造過程を示す工程図である。 化成処理による加工状態を示す説明図である。 接触面の断面形状を概略的に示す説明図であり、(A)は超仕上げ加工後の断面形状を示し、(B)は化成処理後の断面形状を示し、(C)は皮膜除去後の断面形状を示している。 滑り軸受を示す断面図である。 トラクションドライブ式無段変速機を示す概略図である。
符号の説明
11 内輪(接触部材,軌道輪)
12 外輪(接触部材,軌道輪)
12a 内周面(接触面,機械加工面,皮膜除去面)
13 ローラ(接触部材,転動体)
13a 端面(接触面,機械加工面,皮膜除去面)
13b 外周面(接触面,機械加工面,皮膜除去面)
15a 突き当て面(接触面,機械加工面,皮膜除去面)
15b 底面(接触面,機械加工面,皮膜除去面)
21 内輪(接触部材,軌道輪)
22 外輪(接触部材,軌道輪)
23 ボール(接触部材,転動体)
23a 表面(接触面,機械加工面,皮膜除去面)
25a,26a 湾曲面(接触面,機械加工面,皮膜除去面)
30 突起
30a 尖端
30b 油膜支持部
31 溝
32 皮膜
33 油溜まり
34 滑り軸受(接触部材)
34a 内周面(接触面,機械加工面,皮膜除去面)
35 軸(接触部材)
35a 外周面(接触面,機械加工面,皮膜除去面)
36 トロイダルCVT(トラクションドライブ式無段変速機)
38 入力ディスク(接触部材)
38a 接触面(機械加工面,皮膜除去面)
39 出力ディスク(接触部材)
39a 接触面(機械加工面,皮膜除去面)
40 パワーローラ(接触部材,変速ローラ)
40a 接触面(機械加工面,皮膜除去面)

Claims (12)

  1. 機械加工され多数の突起を備える機械加工面から、化成処理により前記突起の尖端を浸蝕除去し、化成処理に伴い生成された皮膜を除去して形成され、多数の油溜まりを備える皮膜除去面を有することを特徴とする接触部材。
  2. 請求項1記載の接触部材において、リン酸塩溶液により前記尖端が浸蝕除去されることを特徴とする接触部材。
  3. 請求項1または2記載の接触部材において、強酸性溶液または強アルカリ性溶液により前記皮膜が除去されることを特徴とする接触部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の接触部材において、前記皮膜除去面は転がり軸受の転動体または軌道輪に形成される接触面であることを特徴とする接触部材。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の接触部材において、前記皮膜除去面は滑り軸受またはこれに支持される軸に形成される接触面であることを特徴とする接触部材。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の接触部材において、前記皮膜除去面はトラクションドライブ式無段変速機の入力ディスク、出力ディスクまたは変速ローラに形成される接触面であることを特徴とする接触部材。
  7. 多数の突起を備える機械加工面を加工する機械加工工程と、
    化成処理により前記機械加工面から前記突起の尖端を浸蝕除去する化成処理工程と、
    化成処理に伴い生成された皮膜を前記機械加工面から除去し、多数の油溜まりを備える皮膜除去面に加工する皮膜除去工程とを有することを特徴とする接触部材の製造方法。
  8. 請求項7記載の接触部材の製造方法において、リン酸塩溶液により前記尖端を浸蝕除去することを特徴とする接触部材の製造方法。
  9. 請求項7または8記載の接触部材の製造方法において、強酸性溶液または強アルカリ性溶液により前記皮膜を除去することを特徴とする接触部材の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の接触部材の製造方法において、前記接触部材は転がり軸受の転動体または軌道輪であることを特徴とする接触部材の製造方法。
  11. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の接触部材の製造方法において、前記接触部材は滑り軸受またはこれに支持される軸であることを特徴とする接触部材の製造方法。
  12. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の接触部材の製造方法において、前記接触部材はトラクションドライブ式無段変速機の入力ディスク、出力ディスクまたは変速ローラであることを特徴とする接触部材の製造方法。

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