JP2005068069A - 血流改善作用および心拍数低下作用を有するカモミール抽出エキスとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カモミールの花部又は葉部の熱水もしくはアルコール抽出エキスを有効成分として含有する末梢皮膚温上昇作用および心拍数低下作用を有する組成物、カモミールの花部又は葉部を熱水もしくはアルコールで抽出し、濃縮後、凍結乾燥することを特徴とするカモミール抽出エキスの製造方法、および、該エキスを含有するゲル状食材。
【選択図】 なし
Description
しかし、このカモミールのどの部分に末梢皮膚温上昇作用や心拍数低下作用、さらには血流増大効果をもたらす成分が含まれているのか、その作用成分を含む部分を分離したという報告は未だなされていない。
本発明の目的は、ジャーマンカモミールやローマンカモミールの血流改善作用および心拍数低下作用を有する成分を明確にするとともに、その抽出法を確立することである。また、該方法により得られた血流改善作用および心拍数低下作用を有する成分を含有する組成物や食材を提供することを目的としている。
請求項2記載の本発明は、カモミールの花部又は葉部の熱水抽出エキスもしくは熱水抽出後のアルコール抽出エキスを有効成分として含有する心拍数低下作用を有する組成物である。
請求項3記載の本発明は、カモミールの花部又は葉部を熱水で抽出して得たエキス、もしくは該熱水抽出エキスをアルコールで抽出して得たエキスを、濃縮後、凍結乾燥することを特徴とするカモミール抽出エキスの製造方法である。
請求項4記載の本発明は、請求項3記載の方法で得られたカモミール抽出エキスを含有するゲル状食材である。
したがって、当該組成物は、食品素材や健康食品原料および医薬品原料などとして利用することができ、有用性が高い。また、本発明により、カモミール抽出エキスの効果的な製造法が提供される。
ジャーマンカモミールからエキスを抽出する方法としては、熱水による抽出方法や該抽出後にアルコール等の有機溶媒による抽出方法が挙げられる。抽出エキスを食品に用いるには、残留による危険性の問題が懸念されないアルコールや、その他の限られた有機溶媒あるいは熱水を用いることが望ましいが、それらに限定されるものではない。中でも熱水による抽出法がもっとも安全で、簡易であるため好ましい。熱水は、温度100〜10℃のものが適当であり、100〜70℃のものが好適である。
ジャーマンカモミールの熱水抽出は、例えば熱水1Lあたり1〜100g、望ましくは10〜50gの割合の乾燥ジャーマンカモミールおよび熱水を同時に容器、例えばガラス製または磁器製容器、好ましくは密閉可能な容器に入れて、10秒〜30分間、好ましくは30秒〜10分間、より望ましくは1〜3分間抽出することにより行う。抽出される成分は、揮発性および/または水溶性のエキスである。
さらに、得られたエキス粉末を水に溶解し、あるいは前記の抽出液を、DIAION(HP-20、三菱化学株式会社製)などのイオン交換樹脂に吸着させた後、水で溶出し、100%水溶出画分としたり、50%エタノール水溶液で溶出し、有機溶媒画分として、分画することができる。
このようにして得られたエキスは、変質を避けるため、-30℃程度の低温下で保存し、必要に応じ水に溶かして用いることができる。
また、請求項4記載のカモミール抽出エキスを含有するゲル状食材は、上記のカモミール抽出エキスを水などに溶解したものに、カラギーナン、ジェランガム等のゲル化剤等を加えてゲル状とした食材である。
熱水抽出による揮発性および水溶性のエキスの製造は、50gのジャーマンカモミール乾燥花部および1Lの沸騰水(100℃)を同時にガラス製容器に入れ、3分間抽出した後、固−液分離することにより行った。
一方、熱水抽出による揮発性エキスの製造は、50gのジャーマンカモミール乾燥花部および1Lの沸騰水(100℃)を密閉可能な構造のガラス製容器に入れ、3分間抽出を行い、ジャーマンカモミール抽出残渣を除いて、該容器に封入した揮発性の香り画分のエキスを得た。
次に、100%水の代わりに50%エタノール水溶液500mlを用いて溶出を行い、画分(2)を得た。画分(2)の収量は2.4gであった。また、100%エタノールによる溶出で画分(3)を得た。画分(3)の収量は0.4gであった。画分(1)および(2)のエキスは-30℃で保存し、必要に応じて、解凍し水に溶かして用いることとした。
実施例1で得た揮発性の抽出エキスと該エキスからの画分(1)および(2)を被験者に吸引・摂取(香りを嗅ぐ)させ、人体への影響を調べるため、図1に示すようなタイムスケジュールで実験を行い、摂取前および摂取後における末梢皮膚温の経時変化を測定した。なお、被験者は、女性パネル10名(年齢30〜40歳、平均年齢39.4歳、平均体重51.3kg、平均身長158.4cm)である。
揮発性の画分の香りを嗅ぐ前の皮膚温の平均値を基準とし、香りを嗅いだ後の皮膚温との差を求め、各グループについて、その吸引前と閉眼時(吸引後4分後、同11分後、同19分後)の末梢皮膚温の経時変化を測定した。結果を図2に示した。
さらに、図2に示すように、閉眼時の末梢皮膚温について比較すると、カモミールの抽出エキスの香りを嗅いだグループが時間の経過とともにより高くなっており、対照よりも最大0.36℃高かった。この皮膚温上昇傾向は、香りを嗅いだ後21分間程度までその効果が持続することも明らかとなった。
実施例1で得たカモミール抽出エキス画分(1)の飲用摂取による人体への影響を調べるため、女性パネル6名(年齢30〜40歳、平均年齢37.4歳、平均体重52.6kg、平均身長158.5cm)を被験者として、図1に示したタイムスケジュールで実験を行った。
なお、実験は基本的に実施例2と同様に行った。その結果、液温を55℃とした白湯(対照)またはカモミール抽出エキス画分(1)の各100mlを飲用した後の末梢皮膚温(左手第5指の付け根における平均値、N=6)の二群間の変動には差があることが示された(二元配置分散分析、p<0.0044)。
一方、白湯(対照)を飲用した場合には、飲用前から飲用後19分間までの間の末梢皮膚温に有意な上昇効果は認められなかった。
また、主観テスト(MCL-S.1)の実施の結果、抽出エキスを飲用したグループ(N=6)の快感情が、吸引前と比べて吸引後に有意に増加(P<0.05)することが明らかになった。さらに、有意とは言えはないが、不安感が減少し、リラックス感が高くなることが認められた。
実施例1で得たカモミール抽出エキスの香り画分の人体への影響を調べるため、女性パネル11名(年齢30〜40歳、平均年齢37.4歳、平均体重52.6kg、平均身長158.5cm)を被験者として、図1に示したタイムスケジュールで実験を行った。
この例では、主に抽出エキスによる心拍数の低下効果に着目し、アクティブトレーサーを用いて被験者の心拍数を記録し、心拍数や心電図のR波のピーク間隔の変動解析を行った。得られた結果に基づき、交感神経と副交感神経のバランスについて、HF(高周波帯域:0.15〜0.50Hz)を心臓副交感神経活動の活動指標として、LF/HF(HFと低周波帯域:0.04〜0.12Hzの比)を心臓交感神経活動の指標として検討した。
カモミール抽出エキスの香り画分の吸引前の閉眼時の心拍数を100%とし、吸引19分後の閉眼時の変化を、対照(白湯)の場合と比較した結果を図4に示す(N=11)。
各グループにおける吸引前と吸引19分後の心拍数平均値について、対応のあるt検定により比較すると、対照(白湯)の香りを嗅いだグループでは有意ではなく、カモミールの香りを嗅いだグループでは有意(p<0.05)に減少することが明らかになった。なお、交感神経と副交感神経のバランスについてHFやLF/HFについて検討したが、経時変化に大きな差は認められなかった。
カモミール抽出エキス画分(1)の飲用前の閉眼時の心拍数を100%とし、飲用19分後の閉眼時の変化を、対照(白湯)の場合と比較した結果を図5に示す(N=10)。
飲用前と飲用19分後の心拍数平均値について、対応のあるt検定により比較すると、対照(白湯)を飲用したグループとカモミール抽出エキス画分(1)を飲用したグループの間には、preと比べると有意な減少が認められなかったが、対照(ブランク)よりもカモミールの抽出エキスを飲用した方が心拍数が低下していた。なお、交感神経と副交感神経のバランスについて、上記(I)と同様にHFやLF/HFを検討したが、有意な差は認められなかった。
実施例2と同様に、カモミール抽出エキスの香りの画分を被験者(女性、40代)に吸引・摂取(香りを嗅がせる)させて、被験者の左手第3指の第2関節部の細静脈の血管径の変化を測定した。
測定は、シスメックス社製のアストリムを用いて近赤外画像から血管径を計測することにより行った。測定は5回繰り返して行い、その平均値を求めた。
カモミールの揮発性の香り画分と水溶性の画分を分離せず両者を含有したカモミールの水抽出エキスを作製し、これにゲル化剤や糖類などの物質を加えて、以下の組成のゲル状食材を試作した。なお、pHを約4.0に調整した75mLのゲル状食材(ゼリー)をプラスチック製容器に充填し、製品とした。
カラギーナン 0.2g
ジェランガム 0.1g
果糖およびショ糖 7g
レモン水 適量
水を加えて合計 100g
Claims (4)
- カモミールの花部又は葉部の熱水抽出エキスもしくは熱水抽出後のアルコール抽出エキスを有効成分として含有する血流改善作用を有する組成物。
- カモミールの花部又は葉部の熱水抽出エキスもしくは熱水抽出後のアルコール抽出エキスを有効成分として含有する心拍数低下作用を有する組成物。
- カモミールの花部又は葉部を熱水で抽出して得たエキス、もしくは該熱水抽出エキスをアルコールで抽出して得たエキスを、濃縮後、凍結乾燥することを特徴とするカモミール抽出エキスの製造方法。
- 請求項3記載の方法で得られたカモミール抽出エキスを含有するゲル状食材。
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JP2003299519A JP2005068069A (ja) | 2003-08-25 | 2003-08-25 | 血流改善作用および心拍数低下作用を有するカモミール抽出エキスとその製造方法 |
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