JP2005067190A - 吸水性シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面の濡れ性が少ないうえ、吸収された水分によって形作られる輪郭が外部から視認されにくい吸水性シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 吸水性シート10は、第一層11及び第二層12からなる2層構造をなす。第一層11は乾燥重量で50%を越える含有量の疎水性繊維を含む第一不織布により構成され、第二層12は乾燥重量で50%を越える含有量の親水性繊維を含む第二不織布により構成される。さらに、前記第二不織布は第一不織布よりも繊維密度が高くなっている。第一層11の厚みd1は第二層12の厚みd2よりも厚く形成されているのが好ましい。第一不織布としては乾式法にて製造された不織布が好適に用いられ、第二不織布としては湿式法にて製造された不織布又は紙が好適に用いられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、使い捨ておむつ、生理用品、ドリップ(魚や肉などから浸み出す汁)吸収体などの吸水材料として用いられる吸水性シート及びその製造方法に関するものである。
従来より、この種の吸水性シートとしては、特許文献1に開示されているような機能性不織布が知られている。この機能性不織布は、単一の層からなる乾式パルプ不織布内部に機能性材料よりなる層が形成されているうえ、該不織布の構成繊維相互間並びに構成繊維と機能性材料とがバインダー材料を介して結合した構造を有している。前記機能性材料としては、架橋ポリアクリル酸塩、デンプンなどの吸水性ポリマーが用いられる。一方、この機能性不織布は、下層の繊維ウェブ程、繊維長が短く、繊維径の細い繊維を用いて繊維密度を密にし、上層の繊維ウェブ程、繊維長が長く、繊維径の太い繊維を用いて繊維密度を粗にした粗密構造タイプとすることもできるようになっている。
特開平7−268752号公報
ところが、前記従来の機能性不織布では、主として吸水性ポリマーよりなる層(吸水層)に尿やドリップを吸収させるように構成されているが、吸収後の尿やドリップについては前記吸水層中に保持され続けていること以外はほとんど配慮が払われていなかった。このため、この機能性不織布では、吸収後の尿やドリップが該不織布の外表面と吸水層との間に保持され続けて濡れ性が高められていたり、或いは該不織布の外表面から尿やドリップの色や輪郭がはっきりと視認されたりするなどの使用時の様々な不都合が発生するおそれがあった。
一方、前記粗密構造タイプの機能性不織布では、下層の繊維ウェブを構成する繊維の繊維長及び繊維径と、上層の繊維ウェブを構成する繊維の繊維長及び繊維径とをそれぞれ変化させることによって粗密構造タイプとなるように構成されていた。このとき、上層及び下層に用いる繊維の種類(特に繊維長及び繊維径)がそれぞれ大きく制限されることから、所望とする機能性を十分に発揮できなくなるケースがあった。つまり、この粗密構造タイプの機能性不織布では、粗密構造の形成と機能性の付与とが上手く両立できないケースが発生する可能性があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、表面の濡れ性が少ないうえ、吸収された水分によって形作られる輪郭が外部から視認されにくい吸水性シート及びその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の吸水性シートは、第一不織布からなる第一層と、第二不織布からなる第二層とが積層された層状構造をなす吸水性シートであって、前記第一不織布は50重量%を越える疎水性繊維を含み、前記第二不織布は50重量%を越える親水性繊維を含むとともに、前記第二不織布は第一不織布よりも繊維密度が高いことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明の吸水性シートは、請求項1に記載の発明において、前記第一層の厚みを第二層の厚みよりも厚く形成したことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明の吸水性シートは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第一層を乾式法にて製造された不織布により構成するとともに、前記第二層を湿式法にて製造された不織布又は紙により構成したことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明の吸水性シートは、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、さらに第三不織布からなる第三層を備え、当該第三層は前記第二層を挟んで前記第一層と対向位置に積層され、前記第三不織布は50重量%を越える疎水性繊維を含むとともに前記第二不織布よりも繊維密度が低いことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明の吸水性シートの製造方法は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吸水性シートを製造する方法であって、前記第一不織布を構成する第一の繊維ウェブと、前記第二不織布を構成する第二の繊維ウェブとを積層した状態でプレス加工する工程を備え、該工程時には第一の繊維ウェブの表面が軟質材からなる第一プレス面と当接するとともに、第二の繊維ウェブの表面が硬質材からなる第二プレス面と当接するように構成されていることを特徴とするものである。
本発明の吸水性シート及びその製造方法によれば、表面の濡れ性が少ないうえ、吸収された水分によって形作られる輪郭が外部から視認されにくくすることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)に模式的に示すように、本実施形態の吸水性シート10は、第一層11と第二層12とからなる2層構造をなしている。前記2層構造をなすとは、吸水性シート10の表面10a側と裏面10b側とをそれぞれ手などで摘んで引き剥がしたとき、第一層11と第二層12とが分離可能であることをさす。なおこのとき、分離後の第一層11側には第二層12を構成する繊維の10重量%未満、好ましくは5重量%未満が付着していてもよく、分離後の第二層12側には第一層11を構成する繊維の10重量%未満、好ましくは5重量%未満が付着していても構わない。この吸水性シート10は、必要に応じてその裏面10b側に織布、編布、不織布、樹脂フィルムなどからなるカバーを貼り付けることにより、使い捨ておむつ、生理用品、ドリップ吸収体などの吸水材料として用いられる。そして、この吸水性シート10は、尿、経血、ドリップなどを、図1(a)に矢印で示すように第一層11の表面10aから吸い取って第二層12へと透過させた後、第二層12中に拡散させながら保持するように構成されている。
第一層11は第一不織布により構成され、第二層12は第二不織布により構成されている。第一不織布は乾燥重量で50%を越える含有量の疎水性繊維が含有されており、第二不織布は乾燥重量で50%を越える含有量の親水性繊維が含有されている。このため、第一不織布からなる第一層11は、疎水性が高いことから、その表面10aから吸い取った水分(尿、経血、ドリップなど)を第二層12へと速やかに透過させる透水性能に優れている。さらに、前記第二不織布からなる第二層12は、親水性が高いことから、前記第一層11を透過した水分を拡散させながら保持する拡散保持性能に優れている。加えて、前記第一層11は、前述のように疎水性が高く保水性能に劣ることから、前記水分の透過中に吸水しにくくなっており、吸水性シート10の表面10aにおける濡れ性(リウェット性)が少なくなりやすい。
前記疎水性繊維としては、例えば、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維など)、ナイロン繊維、ポリエステル繊維(PET繊維など)、アクリル繊維、ラテックス繊維が好適に用いられる。これら疎水性繊維のうち、前記透水性能に優れるとともに保水性能に劣っていることから、ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種が特に好適に用いられる。前記親水性繊維としては、例えば、パルプ(木材、ケナフなど)、綿、架橋セルロース繊維、再生セルロース繊維(レーヨンなど)などのセルロース系繊維、或いはアラミド繊維や天然繊維などの親水性の高い繊維素材からなる繊維が好適に用いられる。これら親水性繊維のうち、前記拡散保持性能に優れていることから、セルロース系繊維が特に好適に用いられる。また、この親水性繊維としては、繊維素材自体の親水性の高低に関わらず、例えば、ポリエステル中空断面繊維などの多孔吸水繊維、混紡糸や2層構造糸などの親水性の高い立体構造を有する繊維、或いは原糸改質処理や後加工改質処理などの親水性を高める処理が施された繊維を用いてもよい。
さらに、この吸水性シート10においては、第二不織布の繊維密度が第一不織布の繊維密度よりも高くなるように構成されている。このため、第一不織布からなる第一層11は疎水性であることと相まってより一層優れた透水性能を発揮し、第二不織布からなる第二層12は親水性であることと相まってより一層優れた拡散保持性能を発揮し得る。第一不織布の繊維密度としては、透水性能が容易に高められることから、好ましくは0.03〜0.08g/cm3、より好ましくは0.04〜0.06g/cm3、さらに好ましくは0.045〜0.055g/cm3である。第二不織布の繊維密度としては、前記拡散保持性能が容易に高められることから、好ましくは0.08〜0.3g/cm3、より好ましくは0.08〜0.15g/cm3、さらに好ましくは0.085〜0.12g/cm3である。また、この吸水性シート10においては、第二不織布が第一不織布の繊維密度よりも高くなりやすいことから、第二不織布を構成する繊維の太さ(繊度)が第一不織布を構成する繊維の太さよりも細いのが好ましい。
また、この吸水性シート10においては、第一層11の厚みd1(図1(c)参照)が第二層12の厚みd2よりも厚くなるように形成されているとよく、第一層11の厚みd1が第二層12の厚みd2に対し好ましくは1.2〜5倍、より好ましくは1.5〜4倍、さらに好ましくは2〜3倍であるのが特に望ましい。このとき、吸水性シート10の表面10aから吸い取られた尿、経血、ドリップなどの水分は、図1(a)に矢印で示されるように毛細管現象により第一層11中を下方へと移動し、図1(b)にハッチング15で示されるように一時的に分布する。続いて、前記水分の大半は、吸水性シート10の裏面10bに沿って第二層12中を水平方向に放射状又は同心円状に拡散しながら吸着(保持)される。そして、前記第二層12中に吸着された水分は、図1(c)にハッチング15で示されるように水平方向に薄く拡がりながら広範囲に渡って分布した状態で継続的に保持される。
この図1(c)に示される状態において、吸水性シート10の上方(表面10a側)から前記水分を見たときには、まず、第二層12よりも厚い第一層11が視覚的な隠蔽効果を発揮して尿、経血又はドリップ中に含まれる色素成分が鮮明に視認されるのが防止されている。特に、前記第一層11が酸化チタン粒子を含む疎水性繊維を含有している場合には、前記視覚的な隠蔽効果が極めて良好に発揮され得る。さらにこのとき、ハッチング15からなる層の厚み(d2)が第一層11の厚みd1よりも薄いことから、前記色素成分についての上下方向の分布密度(光学密度)が低く、該色素成分が視認されにくくなっている。特にこのとき、前記ハッチング15からなる層の外縁15aも同様に視認されにくくなっていることから、その輪郭が鮮明に視認されるのが容易に抑えられ、見かけの隠蔽性が顕著に高められている。
なお、この吸水性シート10において、前記第二層12としては、水分の拡散性が容易に高められることから、湿式法にて製造された不織布又は紙が好適に用いられる。このとき、上記拡散保持性能及び隠蔽効果を同時に高めことができる。また、前記第一層11としては、透水性能が容易に高められることから、エアーレイド法やカード法などの乾式法にて製造された不織布が好適に用いられる。このとき、上記表面10aの濡れ性を容易に低減させることもできる。一方、この吸水性シート10においては、上記水分の拡散性が容易に高められることから、第二不織布を構成する繊維の繊維長(平均繊維長)が、第一不織布を構成する繊維の繊維長(平均繊維長)よりも長くなっているのが好ましい。
この吸水性シート10は、各層の繊維密度の調整が著しく容易であるうえ両層間の境界が明確になりやすいことから、各層を構成する不織布をそれぞれ別々にシート状に成形した後、第一層11と第二層12とを貼り合わせることによって製造するのが好ましい。また、この吸水性シート10は、図2(a)に示される第1の製造装置20a又は図2(b)に示される第2の製造装置20bを用いてエアーレイド法により製造することによって、該吸水性シート10の生産性を容易に高めることができる。
図2(a)に模式的に示すように、第1の製造装置20aは、吸水性シート10を構成する繊維ウェブを載置しながら運搬するメッシュ状の第1コンベア21及び第2コンベア22と、それら第1及び第2コンベア21,22間に配設されたプレス加工手段としての第1プレス加工手段23とを備えている。さらに、この第1の製造装置20aには、前記第2コンベア22の前方(進行方向)に熱風乾燥機24が配設されているうえ、該熱風乾燥機24の前方にはプレス加工手段としての第2プレス加工手段25が設けられている。
前記第1コンベア21の上方には、吸水性シート10を構成する繊維30a,30bをほぐしながら第1コンベア21上に吐出させるための複数のダクト開口部31a,31b,31cが設けられている。各ダクト開口部31a,31b,31cの真下には、エアの吸引によりダクト開口部31a,31b,31cより吐出された繊維30a,30bを第1コンベア21上で層状にまとめて繊維ウェブ32a,32bを形成させるための吸引機33a,33b,33cがそれぞれ設けられている。また、第2コンベア22の上方には、吸水性シート10を構成する繊維30a,30b同士を接着させるためのバインダー35を吐出するバインダー吐出部36が設けられている。このバインダー吐出部36の真下には、エアの吸引によりバインダー吐出部36より吐出されたバインダー35を繊維ウェブ32a,32bの内部に分散させるための第2吸引機37が設けられている。
前記第1プレス加工手段23は、いずれも横円柱状に形成された一対の上部プレスロール23aと下部プレスロール23bとを備えているうえ、それら上部及び下部プレスロール23a,23b間に層状にまとめられた繊維ウェブ32a,32bを挟み込んで上下方向にプレスするように構成されている。さらに、この第1プレス加工手段23においては、上部プレスロール23aの外周面(第一プレス面)はゴム、シリコーン、熱可塑性エラストマーなどの軟質材により構成され、下部プレスロール23bの外周面(第二プレス面)は熱可塑性エラストマーを除く合成樹脂や金属などの硬質材により構成されている。前記軟質材は可塑性を有しており、硬質材は可塑性を有していない。また、前記下部プレスロール23bの第二プレス面は、所定温度に加熱することができるように構成されているのが好ましく、この場合には該プレス面は主として金属材料により構成される。
前記第2プレス加工手段25は、前記第1プレス加工手段23と同様に構成されている。即ち、この第2プレス加工手段25は、一対の上部プレスロール25aと下部プレスロール25bとを備えているうえ、それら上部及び下部プレスロール25a,25b間に繊維ウェブ32a,32bを挟み込んで上下方向にプレスするように構成されている。さらに、この第2プレス加工手段25においては、上部プレスロール25aの外周面(第一プレス面)は軟質材により構成され、下部プレスロール25bの外周面(第二プレス面)は硬質材により構成されている。また、前記下部プレスロール25bの第二プレス面は、所定温度に加熱することができるように構成されているのが好ましい。
そして、この第1の製造装置20aを用いて上記2層構造の吸水性シート10を製造する際には、まず、ダクト開口部31a及び31bからそれぞれ第二不織布及び第一不織布を構成する繊維30a,30bを吐出し、第1コンベア21上に第二の繊維ウェブ32a及び第一の繊維ウェブ32bを順次積層しながらシート状に形成する。続いて、第1コンベア21にて繊維ウェブ32a,32bを積層状態で運搬した後、第1プレス加工手段23の上部プレスロール23aと下部プレスロール23bとの間で繊維ウェブ32a,32b全体を上下方向に押潰しながら第2コンベア22へと送り出す。
次に、第2コンベア22上では、必要に応じて、バインダー吐出部36から繊維ウェブ32a,32bに対してバインダー35が吐出される。このとき、前記バインダー35は第2吸引機37の助けをかりながら繊維ウェブ32a,32b内部の繊維間隙に分散される。続いて、前記繊維ウェブ32a,32bは、第2コンベア22によって熱風乾燥機24へと送り込まれ、該熱風乾燥機24内でバインダー35の熱架橋又は繊維30a,30b自体の熱融解により、繊維30a,30b同士が結合して吸水性シート10となる。最後に、前記吸水性シート10は、第2プレス加工手段25の上部及び下部プレスロール25a,25b間で再び上下方向に押潰され、第一層11と第二層12との間の繊維密度の相違がより一層強調される。
前記第1プレス加工手段23の上部及び下部プレスロール23a,23b間で積層状態の繊維ウェブ32a,32bが押潰されるときには、第二の繊維ウェブ32a側が硬質材からなる下部プレスロール23bの外周面によって押潰され、第一の繊維ウェブ32b側が軟質材からなる上部プレスロール23aの外周面によって押潰される。このため、この積層状態の繊維ウェブ32a,32bにおいては、上部プレスロール23aから加えられる第一の繊維ウェブ32b側への押潰し力が軟質材の可塑性によって大幅に軽減される一方で、第二の繊維ウェブ32a側への押潰し力は軽減されることはない。従って、押潰された後の繊維ウェブ32a,32bにおいては、第一の繊維ウェブ32b(第一不織布)に対する上下方向の圧縮量が小さく、第二の繊維ウェブ32a(第二不織布)に対する上下方向の圧縮力が大きくなるとともに、各繊維ウェブ32a,32bの繊維密度が前記圧縮量に反比例するように形成される。なお、前記第2プレス加工手段25においても同様にプレス加工される。これら第1及び第2プレス加工手段23,25において、下部プレスロール23b,25bの第二プレス面を100〜200℃程度に加熱しながらプレス加工する場合には、加熱による繊維30aの塑性変形が促進されやすいことから、第二プレス面と当接しながら押潰される第二層12の繊維密度がより一層高められやすくなる。
なお、前記繊維30a,30b中に熱融着繊維などが含有されている場合には、バインダー吐出部36からのバインダー35の吐出を行う必要はない。また、この第1の製造装置20aにおいて、上部プレスロール23aの外周面を硬質材、下部プレスロール23bの外周面を軟質材により構成し、ダクト開口部31aから第一不織布を構成する繊維を吐出し、ダクト開口部31bから第二不織布を構成する繊維を吐出した場合にも、同様な吸水性シート10が製造され得る。一方、この第1の製造装置20aは、前記吸水性シート10の製造工程において、さらにダクト開口部31cから同一又は別の繊維を吐出することによって、3層からなる層状構造の吸水性シート10を製造することもできる。
図2(b)に模式的に示すように、第2の製造装置20bは、前記第1コンベア21の後方にフィーダ41が設けられていること以外は上記第1の製造装置20aと同じ構成である。前記フィーダ41は、主として湿式法にて製造された不織布又は紙42が巻回されており、該不織布又は紙42を第1コンベア21へと連続的にフィードするようになっている。この第2の製造装置20bは、第二不織布としての不織布又は紙42からなる第二層12を備えた吸水性シート10を製造するために用いられる。そして、この第2の製造装置20bを用いて吸水性シート10を製造する際には、まず、前記不織布又は紙42をフィーダ41から第1コンベア21へとフィードしながら、ダクト開口部31aから第一不織布を構成する繊維43を吐出し、第1コンベア21上に不織布又は紙42と、第一の繊維ウェブとしての繊維ウェブ44とを順次積層する。以降、上記第1の製造装置20aの場合と全く同様に吸水性シート10の製造が行われる。
この第2の製造装置20bの第1及び第2プレス加工手段23,25において、積層状態の不織布又は紙42及び繊維ウェブ44が押潰されるときには、不織布又は紙42側が硬質材からなる下部プレスロール23b,25bの外周面によって押潰され、繊維ウェブ44側が軟質材からなる上部プレスロール23a,25aの外周面によって押潰される。このため、上部プレスロール23a,25aから加えられる繊維ウェブ44側への押潰し力が軟質材の可塑性によって大幅に軽減される一方で、不織布又は紙42側への押潰し力は軽減されることはないことから、繊維ウェブ44からなる第一層11の繊維密度が不織布又は紙42からなる第二層12の繊維密度よりも低くなる。
前記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の吸水性シート10は、第一層11と、その第一層11に接する第二層12とからなる2層構造を有しているうえ、第一層11は50%越の疎水性繊維を含有する低密度の第一不織布により構成され、第二層12は50%超の親水性繊維を含有する高密度の第二不織布により構成されている。即ち、この吸水性シート10では、性質の相反する2つの層が極めて明確に機能分化しながら積層体を構成している。
前記第一層11は、疎水性かつ低密度の第一不織布により構成されていることから、尿、経血、ドリップなどの水分(親水性溶媒又は極性溶媒)の透水性能が極めて良好であるうえ、それら水分を吸着(保持)しにくい。このため、この第一層11は、表面10aの濡れ性を低く保つことが容易であることから、おむつや生理用品の装着時におけるドライ感を高めて肌触りを良好にするのに役立つ。さらに、この第一層11は、尿、経血、ドリップなどの水分を保持しにくくなっていることから、表面10a側から見たとき、それら尿、経血、ドリップ中に含まれる色素成分が直視されるのが容易に防止され、吸水性シート10の外観を良好にすることが極めて容易である。なお、この吸水性シート10は通常、白を基調とした清潔感の高い色彩の不織布により構成されていることから、前記色素成分が視認されにくいという効果は重要である。
一方、前記第二層12は、親水性かつ高密度の第二不織布により構成されていることから、尿、経血、ドリップなどの水分の拡散保持性能に優れている。即ち、この第二層12では、毛細管現象が著しく進みやすいことから前記水分を広く薄く拡散させながら吸着させることができる。このため、この第二層12は、前記第一層11における高い透水性能と相まって前記濡れ性をより一層効果的に低減させることができる。さらにこのとき、前記第一層11は、表面10aと第二層12との間の隔離層として機能し、第二層12中における水分の水平方向への拡散をより一層促進させるとともに、前記濡れ性の低減効果をさらに高めることができる。特に、第一層11と第二層12との境界線が明確になっていることから、前記第二層12中における水分の水平方向への拡散効果は著しく高い。
また、前記第一層11は、表面10a側から第二層12を見えにくくするための隠蔽効果を発揮することから、第二層12中に保持されている尿、経血、ドリップ中の色素成分を間接的に視認しにくくすることができ、使用時及び使用後の吸水性シート10の外観の低下を容易に防止することができる。さらに、前記第二層12は、水分の拡散性能に著しく優れていることから、表面10a側から上下方向に吸水性シート10を見たとき、第二層12中に保持されている尿、経血、ドリップ中の色素成分の上下方向における分散密度が低くなりやすい。このため、この吸水性シート10では、吸収された尿、経血、ドリップ中の色素成分の色が表面10a側からより一層(間接的に)視認されにくくなることから、吸水性シート10の外観の低下をより一層容易に防止することができる。
一方、従来より、ラミネート加工された樹脂製のメッシュフィルム又は穴あけ加工された樹脂フィルムからなる第一層と、不織布からなる第二層とを積層した生理用品やドリップ吸収体などが知られている。しかしながら、これら従来の吸水材料では、ラミネート加工や穴あけ加工などの特別な加工を施すためにコストが著しく嵩むうえ、第一層と第二層とが全く異なる材料により構成されていることから、両層の協調作用がほとんど発揮されないといった欠点が存在している。これに対し、本実施形態の吸水性シート10では、前記特別な加工を施す必要がないうえ、第一層11と第二層12とが互いに協調的に作用し合って、上述のような多面的かつ有利な効果を同時に発揮するようになっている。また、この吸水性シート10は、繊維によって構成されていることから、前記メッシュフィルムや樹脂フィルムと比べて、肌触りが良好であるうえ、表面における濡れ性が少ないことからドライ感が増大して著しく良好であるといった利点もある。
・ この吸水性シート10では、第一層11の厚みd1が第二層12の厚みd2よりも厚くなるように形成されている。このため、この吸水性シート10では、前記濡れ性を低く保つ効果、水分を広範囲に渡って薄く拡散させながら吸着させる効果、隔離層としての機能、隠蔽効果、及び色素成分の上下方向における分散密度を低く抑える効果に大変優れている。また、この吸水性シート10では、第二層12の親水性が著しく効果的に高められることから、湿式法にて製造された不織布又は紙を用いるのが最も好ましい。
・ この吸水性シート10において、第二層12中に保持されている尿、経血、ドリップなどの水分は、図1(c)のハッチング15で示されるように水平方向に薄く拡がりながら広範囲に渡って分布している。即ち、ハッチング15の比表面積が著しく大きくなっている。このため、第二層12中に保持されている水分が蒸発しやすいことから、特にドリップ吸収体として長期間使用したとき、ドリップが経時的に蒸発して大量に溜まるのが防止されるという利点もある。
・ 実施形態の第1の製造装置20aは、一対の上部及び下部プレスロール23a,23b間に繊維ウェブ32a,32bを挟み込んで押潰す第1プレス加工手段23を備えているうえ、一方のプレスロール(上部プレスロール23a)の表面が軟質材により構成され、他方のプレスロール(下部プレスロール23b)の表面が硬質材により構成されている。そして、吸水性シート10を製造する際のプレス加工時には、第一の繊維ウェブ32bの表面が軟質材と当接し、第二の繊維ウェブ32aの表面が硬質材と当接しながら押潰されるようになっていることから、第一不織布の繊維密度よりも第二不織布の繊維密度を高くすることが極めて容易である。特に、この第1の製造装置20aでは、上部及び下部プレスロール23a,23b又はそれらの外周面の素材を変更するのみで、極めて容易に粗密構造の吸水性シート10を製造することができるうえ、該吸水性シート10を連続的に製造することができることから大量生産が容易である。
さらに、この第1の製造装置20aでは、前記第1プレス加工手段23に加えて、第2プレス加工手段25を備えていることから、前記作用効果をより一層高めることが容易である。加えて、前記第1及び第2プレス加工手段23,25では、第二層12の表面(10b)と当接する下部プレスロール23b,25bを所定温度に加熱しながらプレス加工することによって、第一層11の繊維密度と第二層12の繊維密度との差を拡大することが極めて容易である。また、実施形態の第2の製造装置20bについても全く同様な作用効果を発揮することができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図3に示すように、吸水性シート10を、第一層11、第二層12及び第三層46からなる3層構造に形成してもよい。前記第三層46は第二層12の裏面に設けられる。この第三層46は、50重量%を越える疎水性繊維を含む第三不織布から構成されるとともに、第二不織布よりも繊維密度が低く形成されているのが好ましい。さらに、前記第三不織布は乾式法にて製造されているのが好ましい。加えて、この第三層46の厚みは第二層12の厚みよりも厚く形成されているのが好ましい。即ち、この第三層46は前記第一層11と同様に構成されているのが好ましい。ちなみに、この吸水性シート10は、例えば図2(a)に示される第1の製造装置20aにおいて、3つのダクト開口部31a〜31cから第一、第二及び第三不織布を構成する繊維30a,30bをそれぞれ吐出させることにより製造される。なおこのとき、前記第1の製造装置20aにおいて、第一プレス面及び第二プレス面を同一の材質により構成してもよく、この場合には吸水性シート10の表裏を同一の形状・風合いに仕上げるのが容易となる。
このように構成した場合、吸水性シート10の表面10aから内部へと吸収される水分が、同吸水性シート10の裏面10bから浸み出しにくくなるため、吸水性シート10の裏面10bにおける濡れ性を低く保つ効果にも優れる。特に、この吸水性シート10では、第三層46が第二層12よりも疎水性であるため、第一層11から第二層12へと移動した水分が第三層46へと透過されにくく、第二層12中を広範囲に拡散しやすくなっている。このため、吸水性シート10の裏面10bにおける濡れ性が容易に低減されるとともに、尿、経血、ドリップなどの水分が第二層12中で広く薄く拡散されることから、それら水分に含まれる色素成分も視認されにくくなる。また、水分を多量に吸収した第二層12の上下に通気性の高い第一層11及び第三層46が存在していることから、第二層12中の水分が蒸発しやすくなるという効果も期待できる。またこのとき、両面使用が可能であるうえ、吸水性シート10の表裏面ともに濡れ性が少ない点も優れている。
一方、前記吸水性シート10において、第一層11及び/又は第三層46を疎水性繊維100%にて構成する場合には、ドリップなどの水分による表面及び/又は裏面の濡れ性をさらに少なくし、かつドリップなどの色や輪郭を視認しにくくできる点でより好ましい。また、第二層12を親水性繊維100%にて構成する場合には、ドリップなどの水分の吸液性及び拡散性が容易に高められる点でより好ましい。
・ 図3に示すように、吸水性シート10の裏面10b(図中では第三層46の外面)にシート又はフィルムからなるカバー47(2点鎖線で示される)を設けてもよい。前記カバー47は通水性を有しないシート又はフィルムから構成されているのが好ましい。また、同カバー47は、通気性を有しているのが好ましいが、有していなくても構わない。なお、この吸水性シート10において、第三層46を省略し、第二層12の外面にカバー47が設けられていても構わない。このように構成した場合、吸水性シート10の表面10aから内部へと吸収される水分が、同吸水性シート10の裏面10bから浸み出しにくいため、吸水性シート10の近傍が濡れて外観が悪化するという不具合の発生が容易に低減され得る。
・ 第一不織布は、全て疎水性繊維によって構成されているのが好ましいが、50%未満の含有量の親水性繊維が含有されていても構わない。また、第二不織布は、全て親水性繊維によって構成されているのが好ましいが、50%未満の含有量の疎水性繊維が含有されていても構わない。
・ 第二層12を、吸水性シート10の中央部(水平方向の中央部;例えば尿や経血の吸収量が最も大きな部位)において厚く形成し、同吸水性シート10の外端部において薄く形成してもよい。このように構成した場合、水分の吸収量を容易に高めることができるとともに、該水分によって形作られる輪郭(外縁15a)をぼかす効果を容易に高めることができる。さらにこのとき、第二層12を、吸水性シート10の外端部側ほど薄くなるように形成するのが好ましく、この場合には、吸収された水分によって形作られる輪郭をぼかす効果をさらに容易に高めることが可能である。
・ 第1プレス加工手段23又は第2プレス加工手段25を省略してもよい。或いは、第二不織布としての不織布又は紙42からなる第二層12を備えた吸水性シート10を製造するための第2の製造装置20bにおいて、第1及び第2プレス加工手段23,25の両方を省略しても構わない。
・ 第一層11と第二層12との間に別の層を追加しても構わない。なお、前記別の層は不織布から構成されているのが好ましい。このように構成した場合でも、第一層11と第二層12とが積層されているうえ、両層がそれぞれ特有の機能を発揮し得ることから、表面10aの濡れ性が少ないうえ、吸収された水分によって形作られる輪郭が外部から視認されにくくすることができる。また、図3に示される吸水性シート10において、第二層12と第三層46との間に、織布、編布、不織布、樹脂フィルムなどからなる別の層が設けられていても構わない。
試験例1〜4の吸水性シート10を下記表1に示される2種類の不織布を熱融着(PP/PE繊維表面の熱融解など)にて貼り合わせることにより構成した。なお、表1のPP/PE繊維は、芯部がポリプロピレン、鞘部がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維を表し、括弧内はその繊維の繊度を示す。また、表1のパルプ不織布はエアーレイド法、PET混抄紙は芯部及び鞘部ともにPET繊維からなる芯鞘型複合繊維を20%配合し湿式法にて製造した。
Figure 2005067190
比較例1の吸水材料は、表2に示される物性を備えた乾式パルプ不織布からなる単層構造のシートを用いた。比較例2の吸水材料は、第一層としてラミネート加工された樹脂製のメッシュフィルム、第二層として坪量43.0g/cm2、厚み0.90mm、繊維密度0.048g/cm3の乾式パルプ不織布(45g/m2)を2層構造に貼り合わせることによって製造された。比較例3の吸水材料は、第一層として穴あけ加工された樹脂フィルム、第二層として前記乾式パルプ不織布(45g/m2)を2層構造に貼り合わせることによって製造された。
これら試験例1〜4の吸水性シート10及び比較例1〜3の吸水材料からなる各試験片を用いて、表2,3に示される各種物性試験を行った。なお、表2,3に示される坪量は、各試験片を重量計(株式会社エー・アンド・デイ製の電子天秤EK−120)にて重量を測定し、1m2あたりの重量に換算することによって求めた。厚みは、各試験片について厚み計(株式会社尾崎製作所製のピーコック直読型デジタルリニアゲージPDN−12)を用いて測定した。
拡散面積は、図4(a)、(b)に示される試験器具50を用いて測定した。前記試験器具50は、100mm×100mmの透明な樹脂板51の中央に直径26mmの円孔52が貫設されているうえ、該円孔52の周縁に沿って透明な樹脂からなる円筒状の吸水筒53が立設されている。そして、前記拡散面積は、第一層が上に位置するように水平方向に拡げられた100mm×100mmの試験片(1枚)上に試験器具50を載せた状態で、シリンジを用いて吸水筒53内に着色した水1mlを注入し、該吸水筒53内の水がなくなった直後に各層中で水が水平方向に拡散した面積を測定することによって求めた。なお、前記水が拡散した領域は概ね楕円とみなされることから、前記拡散面積は楕円の面積として求めた。
リウェット性試験は、まず、第一層が上に位置するように水平方向に拡げられた100mm×100mmの試験片(1枚)上に試験器具50を載せた状態で、シリンジを用いて吸水筒53内に水1mlを注入する。そして、前記吸水筒53内の水がなくなった直後に前記試験片上から試験器具50を取り除いた後、該試験片上に濾紙(125mm×125mm)及び円柱状に形成された金属製の重り(直径100mm、高さ72mm、総重量3kg)を載せる。1分後、前記濾紙の重量変化を測定することによって濾紙に吸収された水の重量(g)を求め、それをリウェット性試験の結果とした。結果を表2,3に示す。
Figure 2005067190
Figure 2005067190
表2,3より、各試験例の吸水性シート10は、比較例1,3の吸水材料と比べて、リウェット性試験値が低くなっており、表面10aにおける濡れ性が少なくなっていた。また、第二層12の繊維密度が0.117g/cm3程度と高い試験例2,4の吸水性シート10では、リウェット性試験値が顕著に低かった。さらに、試験例2,4の吸水性シート10では、第二層12の拡散面積が顕著に高いことから、吸着された着色水の輪郭(外縁15a)が鮮明に視認されるのが容易に抑えられ得る。さらに、これら試験例2,4の吸水性シート10は、第二層12が湿式法にて製造された紙で構成されていることも注目に値する。
上記比較例2,3の第二層を構成する乾式パルプ不織布を比較例4の不織布として用いた。上記試験例1,3の第二層を構成するパルプ不織布を試験例5の不織布、試験例2,4の第二層を構成するPET混抄紙を試験例6の不織布として用いた。これら不織布の物性と、各不織布について上記実施例1と同様に拡散面積を求めた結果とを表4に示す。
Figure 2005067190
表4より、試験例5,6の不織布は、比較例4の不織布に対して厚みが約1/2倍及び約1/3倍となっているが、拡散面積は予想される2〜3倍ではなく約3倍及び約7倍と増大していたことが示された。従って、各試験例の不織布を備えた吸水性シート10は、比較例4の不織布を備えた吸水材料と比べて、不織布の厚みの減少割合を遙かに上回る量の拡散面積の増大が見られ、吸収された水分によって形作られる輪郭が外部から視認されにくくすることが極めて容易であることが強く示唆され得る。
試験例7,8の吸水性シート10を表5に示される2種類の繊維30a,30bを用いて第1の製造装置20aにより製造した。この第1の製造装置20aにおいて上部プレスロール23a,25aの第一プレス面の材質はゴム(NBR)、下部プレスロール23b,25bの第二プレス面の材質は鉄(表面テフロン(R)加工)、第二プレス面は130℃に加熱、第1及び第2プレス加工手段23,25のプレス圧は2kg/cmである。さらに、バインダー35としてアクリルエマルジョンバインダーを吸水性シート10重量の17%塗布するとともに、熱風乾燥機24内の乾燥温度を145℃とした。これら試験例7,8の吸水性シート10について上記実施例2と同様に物性試験を行った結果を表5に示す。
Figure 2005067190
表5より、試験例7及び8はいずれも、上記試験例1〜4と同様に、表面10aの濡れ性が少ないうえ、吸収された水分によって形作られる輪郭が外部から視認されにくいことが容易に推測され得る。なお、表5中の各層の厚みについては、各試験例7,8の吸水性シート10の表裏面を手で摘んで引き剥がすことによって第一層11側と第二層12側とに分離した後に測定したことから、両層の厚みの総和が全体の厚みよりも若干大きくなっている(表2,3についても同様)。
試験例9の吸水性シート10を、下記表6に示される2種類の繊維を用いて、上記試験例7と同様の製造方法により製造した。このとき、この吸水性シート10は、第1の製造装置20aにおいて、3つのダクト開口部31a〜31cから第一、第二及び第三不織布を構成する繊維をそれぞれ吐出させるとともに、当該吸水性シート10の表裏を同一の材質(鉄)からなる第一プレス面及び第二プレス面によりプレス加工して製造した。試験例9及び上記試験例1〜4の吸水性シート10について、上記実施例1と同様に各種物性試験を行った。なお、リウェット性試験では、吸水性シート10の表面又は裏面に濾紙を敷設する条件で、該吸水性シート10の表裏面における濡れ性を評価した。結果を表6に示す。
Figure 2005067190
表6より、試験例9は、試験例1〜4と比べて、吸水性シート10の裏面におけるリウェット性試験値が低くなっており、裏面10bにおける濡れ性も大幅に低減されていたことが確認された。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 請求項3に記載の吸水性シートを製造する方法であって、前記第一不織布を構成する第一の繊維ウェブと、前記湿式法にて製造された不織布又は紙とを積層した状態でプレス加工する工程を備え、該工程時には第一の繊維ウェブの表面が軟質材からなる第一プレス面と当接するとともに、前記湿式法にて製造された不織布又は紙の表面が硬質材からなる第二プレス面と当接するように構成されていることを特徴とする吸水性シートの製造方法。このように構成した場合、表面の濡れ性が少ないうえ、吸収された水分によって形作られる輪郭が外部から視認されにくい吸水性シートを容易に製造することができる。
・ 前記第二プレス面を所定温度に加熱しながらプレス加工することを特徴とする請求項5に記載の吸水性シートの製造方法。
・ 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吸水性シートを製造する装置であって、軟質材からなる第一プレス面と硬質材からなる第二プレス面とが設けられたプレス加工手段を備え、該プレス加工手段は、第一不織布を構成する第一の繊維ウェブと第二不織布を構成する第二の繊維ウェブとを積層した状態で第一プレス面と第二プレス面との間に挟んでプレス加工するとともに、第一の繊維ウェブの表面が第一プレス面と当接するとともに第二の繊維ウェブの表面が第二プレス面と当接するように構成されていることを特徴とする吸水性シートの製造装置。このように構成した場合、表面の濡れ性が少ないうえ、吸収された水分によって形作られる輪郭が外部から視認されにくい吸水性シートを容易に製造することができる。
(a)〜(c)はいずれも実施形態の吸水性シートを模式的に示す断面図。 (a)は実施形態の第1の製造装置を示す模式図、(b)は同じく第2の製造装置を示す模式図。 実施形態以外の吸水性シートを示す断面図。 (a)は実施例の試験器具を示す斜視図、(b)は図4(a)の4b−4b線から見た試験器具を示す断面図。
符号の説明
10…吸水性シート、11…第一層、12…第二層、32a…第二の繊維ウェブ、32b…第一の繊維ウェブ、42…第二の繊維ウェブとしての不織布又は紙、44…第一の繊維ウェブ、46…第三層、d1…第一層の厚み、d2…第二層の厚み。

Claims (5)

  1. 第一不織布からなる第一層と、第二不織布からなる第二層とが積層された層状構造をなす吸水性シートであって、
    前記第一不織布は50重量%を越える疎水性繊維を含み、前記第二不織布は50重量%を越える親水性繊維を含むとともに、前記第二不織布は第一不織布よりも繊維密度が高いことを特徴とする吸水性シート。
  2. 前記第一層の厚みを第二層の厚みよりも厚く形成したことを特徴とする請求項1に記載の吸水性シート。
  3. 前記第一層を乾式法にて製造された不織布により構成するとともに、前記第二層を湿式法にて製造された不織布又は紙により構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸水性シート。
  4. さらに第三不織布からなる第三層を備え、当該第三層は前記第二層を挟んで前記第一層と対向位置に積層され、
    前記第三不織布は50重量%を越える疎水性繊維を含むとともに前記第二不織布よりも繊維密度が低いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吸水性シート。
  5. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の吸水性シートを製造する方法であって、
    前記第一不織布を構成する第一の繊維ウェブと、前記第二不織布を構成する第二の繊維ウェブとを積層した状態でプレス加工する工程を備え、
    該工程時には第一の繊維ウェブの表面が軟質材からなる第一プレス面と当接するとともに、第二の繊維ウェブの表面が硬質材からなる第二プレス面と当接するように構成されていることを特徴とする吸水性シートの製造方法。
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