JP2005065877A - カーペットとその製造方法 - Google Patents
カーペットとその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005065877A JP2005065877A JP2003298021A JP2003298021A JP2005065877A JP 2005065877 A JP2005065877 A JP 2005065877A JP 2003298021 A JP2003298021 A JP 2003298021A JP 2003298021 A JP2003298021 A JP 2003298021A JP 2005065877 A JP2005065877 A JP 2005065877A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pile
- cut
- yarn
- twisted
- carpet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Carpets (AREA)
- Woven Fabrics (AREA)
Abstract
【課題】パイル面のくも現象や色変わりを抑え、体裁がよく、パイル表面の色合いに深みがあって、高級感を呈するカーペットとその製造方法を提供する。
【解決手段】基布1にパイル糸を植設してカットパイルを形成してなるカーペットAにおいて、S撚りのパイル糸によるカットパイルPsと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルPzとを、経緯の少なくとも1方向に交互に配設して、カットパイル面3の全面に渡って両カットパイルPs,Pzを混在させ、カットパイルの毛並みの方向が一定の方向に揃わないようにして倒れを防止する。
【選択図】 図1
【解決手段】基布1にパイル糸を植設してカットパイルを形成してなるカーペットAにおいて、S撚りのパイル糸によるカットパイルPsと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルPzとを、経緯の少なくとも1方向に交互に配設して、カットパイル面3の全面に渡って両カットパイルPs,Pzを混在させ、カットパイルの毛並みの方向が一定の方向に揃わないようにして倒れを防止する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、カットパイルによるカーペットとその製造方法に関するものである。
主にカットパイルが分繊され剪毛されてなるカーペットにおいては、無地パイルおよび柄パイルのいずれの場合も、図12のように、表面において光沢の変化および濃淡の変化等による島状の「くも(雲)現象」や、パイル倒れによる「色変わり」が発生し、使用上での外観的体裁や印象を悪化させるという問題がある。図12において、50はカットパイル面を、51はくも現象が生じた部位を示している。
前記の「くも現象」は、一定の方向に揃っていたカットパイルの毛並みが、何らかの要因で、部分的にまとまって別な方向に倒れ、その部分が雲のように光沢や色の濃淡が周辺部分とは変化し違って見える現象であり、世界的にシェーディングと呼ばれる現象である。また、前記の「色変わり」は、カットパイルの倒れ等によって、幅方向の左右半部や一部が縦方向に連続して、あるいは並列敷設されたカーペット同士の継ぎ目部分でカットパイル表面の色あるいは光沢等が変化して見える現象である。
カットパイルのカーペットは、使用されるパイル糸や製造装置の特性から、カットパイルの毛並みが略一定の方向に揃った状態で製造されるが、床面に敷設した状態において、毛並みの揃っているカットパイル面の比較的広い範囲の部分がまとまって当初の毛並みの方向とは異なった方向に倒れ、該部分の毛並みが変化することにより、当初の毛並みの周辺部分とは光沢や色の濃淡等が変化して視覚されることになり、これが前記のくも現象や色変わりの発生原因の一つになっているものと考えられる。
殊に、製造機械の特性等の関係で、一般に、タフテッドカーペットはファイナルの撚り(上撚り)がS撚りの機種とZ撚りの機種があり、ウイルトンカーペットやアキスミンスターカーペットはファイナルの撚り(上撚り)がS撚りになっており、それぞれ全てのパイル糸の撚り方向が一定である。これが毛並みの方向に大きく関係し、S撚り糸およびZ撚り糸のカットパイルの毛並みがそれぞれ一定の方向に揃って製造されるのであるが、これらいずれのカーペットにおいても、同様のくも現象や色変わりが発生している。
このことから、カットパイル面における毛並みの方向や倒れの状態が前記のくも現象や色変わりに大きく影響していると考えられる。
従来より、前記のくも現象や色変わりを防止するために種々の研究がなされているが、現在まで有効な防止の手段は提案されていない。
さらに、ウイルトンカーペットやアキスミンスターカーペットの場合、その製法上の特性により、カットパイルの毛並みが織り始めの方向に若干倒れる性質があり、これらのカーペットのパイル表面を織り始めの側からみると若干濃く見え、織り終わりの側から見ると若干うすく見える。すなわち、ホテル等において同色のカーペットを並べて敷き詰める場合、各カーペットの方向を合わせないと、カーペット毎に僅かに濃淡が生じたり、色が変わって見えることがあり、外観的に極めて不体裁なものになる。
そのため、複数のカーペットを並べて敷設する場合は、全てのカーペットを同じ方向に並べることが求められており、敷設作業の際に注意を要するものとなっている。特に、タイル型カーペットの場合は、敷設枚数が多いこともあって、その方向を合わせる作業が面倒なものである。
特許第3051846号公報
本発明は、上記に鑑みてなしたもので、上記のくも現象や色変わりの発生を抑制して、外観的体裁や印象がよく、色合いに深みがあって、高級感を呈するカーペット、さらには、複数のカーペットを並べて敷設する場合に方向を合わせなくても済むカーペットとその製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記の課題を解決するために、特に使用するパイル糸の撚り方向を工夫したものであり、基布にパイル糸を植設してカットパイルを形成してなるカーペットであって、S撚りのパイル糸によるカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとを、カットパイル面の全面に渡って混在させてなることを特徴とするものである。
前記の本発明のカーペットによれば、S撚りのカットパイルと、Z撚りのカットパイルとが混在していることにより、双方の撚り方向が反発しあってカットパイルの毛並みの方向、特にカットパイルを分繊し剪毛した後の毛並み方向も全面に渡って混在した状態になる。しかも、カットパイル面において部分的に倒れが生じようとした場合には、撚り方向を異にする前記双方のパイルがその倒れを相互に抑制するように作用し、仮に倒れが生じるにしても、S撚りのカットパイルとZ撚りのカットパイルの倒れの方向も異なることになって、一部分がまとまった状態で1方向に倒れてその毛並みの方向が揃うということもない。それゆえ、カットパイル表面において、光沢や濃淡の変化が生じ難くなり、以て、くも現象や色変わり等の発生を抑えることができる。
しかも、前記のS撚りのカットパイルとZ撚りのカットパイルとは、同色であっても殆ど目立たない程度に微妙に違った色に感じられるため、これらが混在した状態のパイル表面が深みのある色合いを呈するものになる。特に、2色以上の柄カーペットの場合、パイル表面の色柄が従来の単一の撚り方向の場合に比して一層深みのある色合いを呈するものになる。
また、ウイルトンカーペットやアキスミンスターカーペットの場合においても、前記のように混在する前記S撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸の撚り方向が反発しあいカットパイルによる毛並みの方向が混在するため、パイル表面を織り始めの側から見た場合の色感と、織り終わりの側から見た場合との色感との差は殆ど生じないことになる。
前記のカーペットとして、2色以上の柄カーペットである場合において、複数の各色の部分において、それぞれ同色のS撚りのパイル糸のカットパイルとZ撚りのパイル糸のカットパイルとが混在しているものが好ましい。これにより、柄における各色の部分が、それぞれ毛並みの方向や倒れ方向が前記各カットパイルの撚り方向によって異なり、一部分がまとまった状態で1方向に倒れるのを防止でき、各色の部分において光沢や濃淡の変化によるくも現象や色変わりの発生を防止でき、かつ深みのある色合いを呈するものになる。
前記のカーペットにおいて、前記S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとが、経緯の1方向において植設上の1ドット単位もしくは複数ドット単位毎に交互に配されてなるものとすることができる。例えば、経緯1方向にS撚りのカットパイルとZ撚りのカットパイルが交互に形成されて他方向に列をなしている場合、前記双方のカットパイルの列毎に毛並みの方向や倒れの方向が異なり、しかも一部分がまとまった状態で1方向に倒れるのを防止できる。
また、前記のカーペットにおいて、前記S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとが、経緯の両方向において植設上の1ドット単位もしくは複数ドット単位毎に交互に配されてなるものとすることができる。これにより、S撚りのカットパイルと、Z撚りのカットパイルとが、経緯両方向に交互にかつカットパイル面の全面に渡って市松柄状に略均等に存在することになり、以て、これら両カットパイルの毛並みも混在し、毛並みが1方向に揃うことがなく、一部分がまとまった状態で1方向に倒れるのを全面的に防止でき、前記の部分的な光沢や濃淡の変化等によるくも現象や色変わり防止の効果を一層良好に果たすことができる。
前記のカーペットにおいて、前記S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとが、全面に渡ってランダムに配設されてなるものとすることができる。この場合も、前記同様にS撚りのカットパイルと、Z撚りのカットパイルとがカットパイル面の全面に渡ってランダムに混在していることにより前記の部分的な光沢や濃淡の変化等によるくも現象や色変わり防止の効果を一層良好に果たすことができる。
前記のいずれの発明のカーペットの場合においても、前記S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとが、全面に渡って略均等な割合で配設されてなるものが、前記の光沢や濃淡の変化によるくも現象や色変わり発生の防止効果を全面に渡って均等に発揮でき、特に好ましい。
また、本発明のカーペットの製造方法は、ウイルトンカーペットの製造において、織幅方向に並列して基布に植設される各パイル列毎に、それぞれS撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを一組にして織口に供給するように配列しておいて、打ち込み毎にいずれか一方のパイル糸を選択して該パイル糸によるカットパイルを形成するように製織することにより、S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸のカットパイルとを全面に渡って混在させることを特徴とする。これにより、上記した各発明の構成をなし、かつくも現象や色変わり防止の効果を呈する本発明のカーペットを容易に製造できる。
さらに、前記のウイルトンカーペットの製造において、織幅方向に並列して基布に植設される織り方向の1もしくは数列のパイル列毎に、S撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを交互に配列しておいて、各パイル列のパイル糸により一斉にカットパイルを形成するように製織することにより、S撚りのパイル糸によるカットパイル列と、Z撚りのパイル糸によるカットパイル列とを、1もしくは数列毎に交互に形成することもできる。
これにより、従来と同様にして無地のカーペットを製造するものであっても、S撚りのカットパイルとZ撚りのカットパイルとを列状、つまりストライプ調に混在させることができ、くも現象や色変わり防止の効果を呈するカーペットを得ることができる。
また、本発明の他のカーペットの製造方法として、ジャカード式の糸選択手段を備えるアキスミンスター織機によるカーペットの製造において、カーペット幅方向に並列して植設される各パイル列毎に、各色のパイル糸についてそれぞれ同色でS撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを一組にして、糸選択装置の糸保持部材に保持させておき、各色毎にいずれか一方のパイル糸を選択して引き出しカットし、これを基布に植設することにより、S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸のカットパイルとを全面に渡って混在させることを特徴とする。この場合、上記した構成を有する本発明の多色柄のカーペットを容易に製造できる。
上記したように本発明のカーペットによれば、S撚りのカットパイルと、Z撚りのカットパイルとの混在により、カットパイルの毛並みが1方向に揃うことがなく、また一部分がまとまった状態で1方向に倒れるのを防止でき、前記の部分的な光沢や濃淡の変化等によるくも現象や色変わりの発生を抑制できる。しかも、パイル表面が従来にない深みのある色合いを呈するものとなる。特に、柄カーペットの場合、各色柄の色合いが一層の深みのあるものになり、外観的体裁や印象がよく、高級感を呈するものとなる。
しかも、本発明のカーペットは、カットパイル面において撚り方向を異にするカットパイルが混在してかつ毛並みの方向も混在した状態になることで、ウイルトンカーペットおよびアキスミンスターカーペットであっても、パイル表面を織り始めの側から見た場合の色感と、織り終わりの側から見た場合との色感とに差は殆ど生じず、そのため、ホテル等において同色のカーペットを並べて敷き詰める場合に、各カーペットの方向を合わせなくても、各カーペット毎に色が違って見えたり、濃淡が生じるおそれがない。それゆえ、敷設作業を簡略化でき、特にタイル型カーペットの敷設作業を作業効率を向上できることになる。
さらに、本発明のカーペットの製造方法によれば、ウイルトンカーペットあるいはアキスミンスターカーペットのいずれの場合も、前記の効果を呈するカーペットを容易に製造できる。
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1および図2は、それぞれS撚りのパイル糸のカットパイルとZ撚りのパイル糸のカットパイルとを混在させてなる本発明の実施例に係るカーペットAの一部の拡大断面図を示している。いずれも、ウイルトンカーペットの一種のワイヤカーペット織機(シングルウイルトン織機)で製される無地カーペットの場合の例を、パイル糸の係止状態を簡略化して示している。ウイルトンカーペットの織り組織としては、2越織り、3越織りその他の従来より公知のパイル織の組織を利用できるので、ここでは織り組織の詳しい説明は省略する。
図1の実施例のカーペットAの場合、基布1の経方向(製織方向)において、該基布1の緯方向(織幅方向)に多数本並列して該基布1に対し例えば緯糸2に係止されて植設されている連続した対をなすパイル2本を1ドット単位として、その1ドット単位毎に、S撚りのパイル糸によるカットパイルPsと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルPzとを交互に配している。
また、図2の実施例のカーペットAの場合、基布1の経方向(製織方向)において、前記同様の対をなすパイル2本を1ドット単位として、その2ドット単位毎に、S撚りのパイル糸によるカットパイルPsと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルPzとを交互に配している。
前記いずれの場合も、基本的には、緯方向(織幅方向)に多数本並列するカットパイルの全ての列について、前記のように経方向(製織方向)において対をなすパイル2本の1ドット単位もしくは2ドット以上の複数ドット単位毎に、S撚りのカットパイルPsと、Z撚りのカットパイルPzとを交互に配して、前記両カットパイルPs,Pzをカットパイル面3の全面に渡って混在させる。
この場合において、前記カーペットAの緯方向については、1列(1ドット単位)もしくは数列(複数ドット単位)毎に、S撚りのカットパイルPsとZ撚りのカットパイルPzとを交互に配することも、また、緯方向において前記S撚りのカットパイルPsとZ撚りのカットパイルPzとが同列で並列するように配することもできる。前者の場合は、後述の図3〜図5のように、経緯の両方向に前記両カットパイルPs,Pzが交互に配され、また後者の場合は、図6のように経方向のみにおいて前記両カットパイルPs,Pzが交互に配されて、それぞれカットパイル面3の全面に渡って混在することになる。
さらに、図7のように、S撚りのカットパイルPsの列と、Z撚りのカットパイルPzとを緯方向の各列毎もしくは数列毎に交互に配することもできる。また、図8のように、S撚りのカットパイルPsとZ撚りのカットパイルPzとを、カットパイル面の全面に渡ってランダムに混在するように配することもできる。
図3〜図8は、前記のS撚りのカットパイルPsと、Z撚りのカットパイルPzとの配列状態の例を、平面上の模式図で示している。同図中の各枡目は、それぞれカットパイルの植設上の1ドット単位、例えば前記のように緯糸2に係止された同じ撚り方向で連続した対をなすパイル2本の1ドット単位を表し、その中の○はS撚りのカットパイルPsの部分を、×はZ撚りのカットパイルPzの部分を示す。
図3は、前記のS撚りのカットパイルPsとZ撚りのカットパイルPzとを、経緯の両方向においてそれぞれ前記の1ドット単位毎に交互に市松柄状に配した場合を示し、図4は、経方向には前記の2ドット単位毎に、緯方向には前記の1ドット単位(1列)毎に、それぞれS撚りのカットパイルPsとZ撚りのカットパイルPzとを交互に配した場合を示し、図5は、経緯の両方向においてそれぞれ前記の2ドット単位毎に前記両カットパイルPs,Pzを交互に市松柄状に配した場合を示している。また、図6は経方向のみにおいて前記両カットパイルPs,Pzを交互に緯方向のストライプ柄状なすように配した例を示し、図7は緯方向のみにおいて前記両カットパイルPs,Pzを交互に経方向のストライプ柄状をなすように配した例を示している。図8はS撚りのカットパイルPsとZ撚りのカットパイルPzとを、全面に渡ってランダムに混在するように配した例を示している。
上記した配列形態において、前記両カットパイルPs,Pzを経方向および/または緯方向において交互に配するドット単位数は、1ドット単位もしくは2ドット単位に限らず、3ドット単位以上の複数ドット単位毎に交互に配することもでき、また部分的に前記ドット単位数を変化させて交互に配することもできる。さらに、前記の配列形態を適宜組み合わせて実施することもできる。
また、カットパイル面に複数色の柄が表現されたカーペットの場合においても、上記と同様に実施できるが、特に複数の各色の部分において、それぞれ上記した配列形態を利用して同色のS撚りのパイル糸のカットパイルPsとZ撚りのパイル糸のカットパイルPzとを混在させるのが好ましい。
なお、上記の例では、経方向(製織方向)において対をなすパイル2本を植設上の1ドット単位として説明したが、ダブルフェースウイルトンカーペットのように、製織方法やカットパイル形成の手段によっては、1本のカットパイルが植設上の1ドット単位になる場合があり、この場合の配列形態についても、上記と同様にして実施でき、また複数色の柄カーペットの場合においても、上記同様の配列形態にして実施できる。
上記したいずれの実施例の場合においても、前記S撚りのパイル糸のカットパイルPsと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルPzとは、全面に渡って略均等な割合になるように配設しておくのが、全体的なバランスの点から特に好ましい。前記の略均等な割合としては、S撚りのカットパイルPsとZ撚りのカットパイルPzのいずれか一方のカットパイル全体に対する割合が、30〜70%のもの、特に好ましくは40〜60%のものである。
上記のS撚りのカットパイルPsとZ撚りのカットパイルPzとが混在したカーペットAは、次のようにして製造することができる。
ウイルトンカーペットの場合、その製織の際、織幅方向に並列して基布に植設される各パイル列毎のパイル糸に、無地カーペットや柄カーペットの種別に応じて、それぞれのパイル糸として、同色でS撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを一組にして織口に供給するように配列しセットしておく。
すなわち、例えば図9のようなワイヤカーペット織機(シングルウイルトン織機)あるいは図10のようなダブルフェースカーペット織機による柄カーペットの製織においては、織幅方向に並列して基布に植設される織り方向(経方向)のパイル列の1列毎に、つまり筬4の1羽単位に配される各色分のパイル糸P1、P2、P3…について、それぞれ同色のS撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを整経し並列してかつそれぞれ糸選択のためのヘルドを通してセットしておけばよい。
また、無地カーペットの製織の場合においては、図示を省略しているが、経方向のパイル列の1列毎、つまり筬の1羽単位に、同色のS撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを交互に整経し並列してセットしておく。
こうして、S撚りとZ撚りの双方のパイル糸を織口に給糸し、設定したS撚りとZ撚りの配設形態に応じて、各パイル列について、それぞれ前記の植設上の1ドット単位に相当する1回の打ち込み毎に、あるいは複数単位に相当する打ち込み毎に、いずれか一方のパイル糸を選択してカットパイルを形成するように製織する。例えば、S撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを交互に選択してカットパイルを形成する。
これにより、例えば図3〜図8に例示する配列形態で、S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸のカットパイルとを全面に渡って混在させた柄カーペットや無地カーペットを得ることができる。
さらに、前記のウイルトンカーペットの製造において、経方向の1列もしくは数列(2〜3列)のパイル列毎に、S撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを交互に配列しておいて、各パイル列のパイル糸により一斉にカットパイルを形成するように製織することにより、S撚りのパイル糸によるカットパイル列と、Z撚りのパイル糸によるカットパイル列とを、1もしくは数列毎に交互に、つまりストライプ調に混在させることができる。
なお、図9中の5は地経糸、6は緯糸、7はヘルド、8はジャカード装置、9はパイル形成用のカッター付きワイヤであり、該ワイヤ9の引き抜きによりパイルがカットされ、カットパイルが形成される。図10中の15a,15bは表裏の地経糸、17はヘルド、18はジャカード装置を示し、表裏の基布に掛け渡されたパイル糸がカットされることにより、2枚のカットパイルカーペットが製作される。
また、アキスミンスター織機による柄カーペットの製織においては、例えば図11のように、幅方向に多数並列してかつそれぞれ複数色のパイル糸Pa、Pb…を保持してジャカード装置(図示せず)により上下動するキャリアと称する糸保持部材21と、各糸保持部材21の上下動により選択されたパイル糸PaまたはPbを引き出すグリッパー22とにより構成される糸選択装置20を備えたグリッパー・アキスミンスターの場合、前記各糸保持部材21における各糸保持部23…の上下2段ずつを一組にして、それぞれ同色のS撚りのパイル糸Pa−1、Pb−1…とZ撚りのパイル糸Pa−2、Pb−2…とを柄に応じた色数分だけ1ドット単位で保持させておく。そして、ジャカード装置により、柄に応じて選択される各色のパイル糸毎に、それぞれ同時にS撚りとZ撚りのパイル糸のいずれか一方を選択するように前記ジャカード装置のデータを作成しておき、こうして選択し引き出したパイル糸をカットして、従来同様に該クリッパーによりパイル形成部分に供給して基布に対し植設することにより、カットパイルカーペットを製造する。
これにより、例えば図3〜図8に例示する配列形態で、S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸のカットパイルとを全面に渡って混在させた柄カーペットを得ることができる。なお、前記糸保持部材21が12本分の糸保持部23を有するものであれば、6色分のS撚りとZ撚りのパイル糸を保持でき、6色の柄出しが可能になる。
また、スプールアキスミンスターによる場合は、複数の各色のパイル糸をスプールに整経しておく際、これらの各色について、それぞれ同色のS撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とのいずれかを選択して整経して配列しセットしておけばよい。この場合にも、図3〜図8に例示する配列形態で、S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸のカットパイルとを全面に渡って混在させた多色柄のカーペットを得ることができる。
なお、図示説明はしていないが、タフテッドカーペットの場合においても、経方向のパイル列の各列毎に、その給糸部分に同色でかつS撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを配列しておいて、いずれか一方のパイル糸を選択して基布に対し植設することにより、S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸のカットパイルとを全面に渡って混在させたカーペットを得ることができる。
上記したいずれの製織方法の場合においても、使用するパイル糸としては、従来同様に、ウール等の天然繊維の糸、アクリルやポリエステル等の合成繊維の糸その他の種々の糸を使用できる。中でも、ウール等の天然繊維の原料に熱融着性繊維を2〜20%程度を混紡した所謂熱融着性の混紡繊維の糸、あるいはウール等の天然繊維の糸で特に下撚りの撚り係数Kが120以上、上撚りの撚り係数Kが100以上の、通常のパイル糸の撚り数より比を高くした糸、あるいは染色時に撚りを安定化する薬剤を用いて撚りをセット加工した糸等を使用するのが、カットパイルの倒れ抑制やくも現象防止効果等を一層高めることができ、特に好ましい。
上記のようにして製造される本発明のカーペットは、S撚りのカットパイルPsと、Z撚りのカットパイルPzとが混在し、毛並みの方向も混在しているため、カットパイル面において部分的に倒れが生じようとした場合に、撚り方向を異にする前記双方のパイルPs、Pzがその倒れを相互に抑制できるとともに、仮に倒れが生じるにしても、一部分がまとまった状態で1方向に倒れてその毛並みの倒れ方向が揃うということもない。それゆえ、カットパイル表面において光沢や濃淡の変化が生じ難くなり、以て、くも現象や色変わり等の発生を抑えることができる。
しかも、前記のS撚りのカットパイルとZ撚りのカットパイルとが、同色であっても殆ど目立たない程度に微妙に違った色に感じられ、全体として深みのある色合いを呈するものになる。特に、2色以上の柄カーペットの場合は、パイル表面の色柄が従来の単一の撚り方向の場合に比して一層深みのある色合いを呈するばかりか、特にS撚りのカットパイルとZ撚りのカットパイルの配列形態によって、前記の両パイルの僅かな色の違いがストライプ柄状や市松柄状その他の種々の紋様をなすように形成することにより、僅かな色の違いが地紋のごとく微妙に淡く浮かび上がって視覚されることになり、デザイン的に一層の深みのある柄模様を構成でき、これが上記のくも現象や色変わり防止の効果とも相俟って、従来にない高級感を呈するものとなる。
また、ウイルトンカーペットやアキスミンスターカーペットの場合においても、パイル表面を織り始めの側から見た場合の色感と、織り終わりの側から見た場合との色感との差は殆ど生じないため、ホテル等において同色のカーペットを並べて敷き詰める場合にも、各カーペットの方向を合わせる必要がなく、敷設作業を簡略化できる。
本発明のカーペット及びその製造方法は、カットパイルを分繊してなるカーペットにおいて、特に柄カーペット及びその製造に好適に利用できる。
A:カーペット
P1,P2,P3…:パイル糸
1:基布
2:緯糸
3:カットパイル面
4:筬
5:地経糸
6:緯糸
7:ヘルド
8:ジャカード装置
9:ワイヤ
15a,15b:表裏の地経糸
17:ヘルド
18:ジャカード装置
20:糸選択装置
21:糸保持部材
22:グリッパー
23:糸保持部
Pa,Pb:パイル糸
Pa−1、Pb−1…:S撚りのパイル糸
Pa−2、Pb−2…:Z撚りのパイル糸
P1,P2,P3…:パイル糸
1:基布
2:緯糸
3:カットパイル面
4:筬
5:地経糸
6:緯糸
7:ヘルド
8:ジャカード装置
9:ワイヤ
15a,15b:表裏の地経糸
17:ヘルド
18:ジャカード装置
20:糸選択装置
21:糸保持部材
22:グリッパー
23:糸保持部
Pa,Pb:パイル糸
Pa−1、Pb−1…:S撚りのパイル糸
Pa−2、Pb−2…:Z撚りのパイル糸
Claims (9)
- 基布にパイル糸を植設してカットパイルを形成してなるカーペットであって、S撚りのパイル糸によるカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとを、カットパイル面の全面に渡って混在させてなることを特徴とするカーペット。
- 2色以上の柄カーペットであって、各色の部分において、それぞれ同色のS撚りのパイル糸のカットパイルとZ撚りのパイル糸のカットパイルとが混在している請求項1に記載のカーペット。
- 前記S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとが、経緯の1方向において植設上の1ドット単位もしくは複数ドット単位毎に交互に配されてなる請求項1または2に記載のカーペット。
- 前記S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとが、経緯の両方向において植設上の1ドット単位もしくは複数ドット単位毎に交互に配されてなる請求項1または2に記載のカーペット。
- 前記S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとが、全面に渡ってランダムに配設されてなる請求項1または2に記載のカーペット。
- 前記S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸によるカットパイルとが、全面に渡って略均等な割合で配設されてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載のカーペット。
- ウイルトンカーペットの製造において、織幅方向に並列して基布に植設される織り方向の各パイル列毎に、それぞれS撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを一組にして織口に供給するように配列しておいて、打ち込み毎にいずれか一方のパイル糸を選択して該パイル糸によるカットパイルを形成するように製織することにより、S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸のカットパイルとを全面に渡って混在させることを特徴とするカーペットの製造方法。
- ウイルトンカーペットの製造において、織幅方向に並列して基布に植設される織り方向の1もしくは数列のパイル列毎に、S撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを交互に配列しておいて、各パイル列のパイル糸により一斉にカットパイルを形成するように製織することにより、S撚りのパイル糸によるカットパイル列と、Z撚りのパイル糸によるカットパイル列とを1もしくは数列毎に交互に形成することを特徴とするカーペットの製造方法。
- ジャカード式の糸選択手段を備えるアキスミンスター織機によるカーペットの製造において、カーペット幅方向に並列して植設される各パイル列毎に、各色のパイル糸についてそれぞれ同色でS撚りのパイル糸とZ撚りのパイル糸とを一組にして、糸選択装置の糸保持部材に保持させておき、各色毎にいずれか一方のパイル糸を選択して引き出しカットし、これを基布に植設することにより、S撚りのパイル糸のカットパイルと、Z撚りのパイル糸のカットパイルとを全面に渡って混在させることを特徴とするカーペットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003298021A JP2005065877A (ja) | 2003-08-21 | 2003-08-21 | カーペットとその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003298021A JP2005065877A (ja) | 2003-08-21 | 2003-08-21 | カーペットとその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005065877A true JP2005065877A (ja) | 2005-03-17 |
Family
ID=34403645
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003298021A Pending JP2005065877A (ja) | 2003-08-21 | 2003-08-21 | カーペットとその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005065877A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012016482A (ja) * | 2010-07-08 | 2012-01-26 | Yasunori Matayoshi | パイル構造材及びその製造方法と装置 |
-
2003
- 2003-08-21 JP JP2003298021A patent/JP2005065877A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012016482A (ja) * | 2010-07-08 | 2012-01-26 | Yasunori Matayoshi | パイル構造材及びその製造方法と装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN1800463B (zh) | 织造织物的工艺及起毛织物 | |
US20100330327A1 (en) | Carpet tiles and methods of producing carpet tiles with diversity of color and texture | |
JP2004524452A (ja) | 直交的に曖昧なカーペットタイル | |
JP2004524452A5 (ja) | ||
KR100919854B1 (ko) | 양면 샤링을 통한 돌출 무늬층이 양면에 형성되는 자카드 직물 제직방법 및 그 직물 | |
CN108350625B (zh) | 用于面对面编织具有提花经纱的织物的方法 | |
CN104452038B (zh) | 一种机织枪刺地毯 | |
JP2005065877A (ja) | カーペットとその製造方法 | |
KR100875433B1 (ko) | 타월 직물 | |
US6095198A (en) | Method for weaving a pile fabric with high pile density | |
JP2551921B2 (ja) | タフテッド柄出方法 | |
CN105386199B (zh) | 拼接式剪花色织面料及其制备方法 | |
US2105190A (en) | Woven fabric | |
JP6288805B1 (ja) | 柄物パイル地 | |
US5404917A (en) | Single-spool weave without color mixing | |
JP2903345B2 (ja) | 工芸飾り織布の製造法 | |
JP3224704U (ja) | 多色より糸を利用したカーペット | |
KR100528820B1 (ko) | 벨벳조직을 가진 견직물 원단 및 그 원단제조방법 | |
CN113882064B (zh) | 一种水墨感多色经毛巾及其织造工艺 | |
JP2006130169A (ja) | タイルカーペット | |
EP0887449A1 (en) | Jacquard shadow velvet, apparatus and method for manufacturing such jacquard shadow velvet | |
KR200344618Y1 (ko) | 번아웃 가공용 직물지 | |
JP3054975U (ja) | 多重織によるファンシー織物 | |
KR200404856Y1 (ko) | 브로드테일벨벳직물지 | |
JP3080618U (ja) | ダブルラッシェル編地 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060403 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060711 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060908 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061212 |