JP2005065345A - 電動機コイル形成方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】巻枠と受け具を結合する際の巻枠の閉縮を自動化する。
【解決手段】電動機コイル形成装置は、巻付け周面と平行な任意の軸線回りに回転駆動され、コイルを形成するワイヤM/Wが周面に巻付けられる巻枠5と、巻上げ後のコイルを該巻枠から受取る受け具Bを備える。巻枠に、受け具との結合により、巻枠をコイル離脱可能状態に閉縮させる開閉機構50を設けた。これにより、巻上げ後のコイルの移動のための巻枠と受け具の結合により巻枠の閉縮が自動化される。
【選択図】 図23
【解決手段】電動機コイル形成装置は、巻付け周面と平行な任意の軸線回りに回転駆動され、コイルを形成するワイヤM/Wが周面に巻付けられる巻枠5と、巻上げ後のコイルを該巻枠から受取る受け具Bを備える。巻枠に、受け具との結合により、巻枠をコイル離脱可能状態に閉縮させる開閉機構50を設けた。これにより、巻上げ後のコイルの移動のための巻枠と受け具の結合により巻枠の閉縮が自動化される。
【選択図】 図23
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ、ジェネレータ等の電動機に用いるコイルの形成装置に関し、特に、車両に駆動源として搭載する電動機のステータコイルの形成に適したコイル形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機のコアのスロットに挿入されるコイルは、一般に、予めコイル形成装置により所定の予備形状(挿入状態とは異なる形状)に巻回され、該形成装置から所定の受け具(インサータ)に巻回部を吊下げ状態として排出させ、該受け具から最終形状に変形させながらコアのスロットに挿入される。前記予備形状の一形態として、互いに平行な軸線回りに複数の巻回部分を持つ形態のものがある。こうした形態のコイルを形成する装置としては、巻枠に対してワイヤを供給する側(フライヤ)を回転させる方式のものが一般的である。こうした方式の装置を開示する特許文献として、特許文献1がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−253631号公報
【0004】
上記方式のものは、巻枠よりフライヤが大径でなければならないため、装置が大型のものとならざるを得ない。また、フライヤの回転によりワイヤが捩れるため、多数のワイヤを平行な束とする巻回を行う場合、ワイヤの束を縒り線状態としないための工夫も必要となる。そこで、こうした問題を避ける他の方式の装置として、ワイヤを供給する側(ノズル)を固定として、巻枠を回転させる方式のものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように巻枠に巻付け形成されたコイルを電動機コアのスロットに挿入するために受け具に移動させる際に、巻枠からコイルを離脱させるための巻枠の閉縮が必要であり、従来、巻枠の閉縮には専用のアクチュエータが設けられていた。しかしながら、こうしたものでは、巻枠から受け具へのコイルの移動に際して、巻枠と受け具を結合するのに合わせたアクチュエータの制御が必要である。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑み案出されたものであり、巻枠と受け具を結合する際の巻枠の閉縮を自動化することを主たる目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、任意の軸線回りに回転駆動しながらコイルを形成するワイヤを巻枠の周面に巻付ける巻回工程と、該巻回工程により形成された巻上げ後のコイルを巻枠から受け具に渡す受渡し工程とを含む電動機コイル形成方法において、受渡しのために巻枠を受け具に結合させる際に、結合過程での巻枠と受け具の係合作動により巻枠の周面をコイル離脱可能状態に閉縮させることを特徴とする。
【0008】
上記の構成において、前記巻枠は、共通の巻枠ユニットのインデックス軸周りに複数配置され、各巻枠は、巻枠ユニットの旋回により任意の軸線回りに回転可能な位置に、インデックス軸回りの回転により順次角度方向設定可能とされるとともに、任意の軸線と同方向に軸線方向移動可能とされ、前記巻回工程は、各巻枠の前記角度方向設定による前記軸線方向移動状態で各巻枠ごとになされるのが望ましい。この場合、前記受渡し工程における各巻枠の閉縮は、各巻枠を全て同じ軸線方向位置として、巻枠ユニットと受け具の結合により、各巻枠について同時になされる。
【0009】
次に、本発明は、任意の軸線回りに回転駆動され、コイルを形成するワイヤが周面に巻付けられる巻枠と、巻上げ後のコイルを該巻枠から受取る受け具とを備える電動機コイル形成装置において、前記巻枠は、該巻枠から受け具へのコイルの移動のための受け具との結合により、巻枠をコイル離脱可能状態に閉縮させる開閉機構を備えることを特徴とする。
【0010】
上記の構成において、開閉機構は、前記巻枠に内蔵された構成とするのが有効である。具体的には、前記巻枠は、固定枠と、該固定枠に対して開閉可能な可動枠とを備え、前記開閉機構は、可動枠を固定枠に対して開閉動させるものとするのが有効である。更に具体的には、前記固定枠と可動枠は、それら相互の枢着点回りの回転により開閉可能とされ、相互に引張手段により閉鎖方向に付勢され、固定枠と可動枠との間に配置されたカムの引張手段による閉鎖方向への付勢力に抗する回転により開閉されることが望ましい。また、前記開閉機構は、前記カムを回転させるレバーを備え、前記巻枠は、レバーの回転により開閉されるのが有効である。また、前記受け具は、巻上げられたコイルの巻回部分の内側で巻枠内に挿入可能なブレードを備え、前記レバーは、受け具のブレードとの当接により回転する構成とされるのが望ましい。また、前記巻枠は、共通の巻枠ユニットのインデックス軸周りに複数配置され、各巻枠は、巻枠ユニットの旋回により任意の軸線回りに回転可能な位置に、インデックス軸回りの回転により順次角度方向設定可能とされるとともに、任意の軸線と同方向に軸線方向移動可能とされるのが有効である。
【0011】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1に記載の構成では、巻枠から受け具へコイルを移動させるべく巻枠に結合される受け具の巻枠への係合により巻枠が閉縮し、コイル移送可能状態となる。したがって、この構成によれば、格別の巻枠閉縮を行うことなく、コイル排出に先だって自動的にコイル排出可能状態を得ることができる。
【0012】
また、請求項2に記載の構成では、単独の巻枠ユニットにより、各巻枠へのワイヤ巻付け時の回転軸のぶれがない状態での巻回が可能となり、各巻回部分の配線密度の低下につながる巻乱れが少なくなるとともに、各巻回部分を渡り線でつないだ複数の巻回部分を持つ連極コイルの形成も容易に可能となる。しかも、このようにして形成した連極コイルを巻枠ユニットと受け具の結合により自動的に受け具への受渡し可能状態とすることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の構成では、各巻回部分を渡り線でつないだ複数の巻回部分を持つ連極コイルを、巻枠ユニットと受け具の結合により自動的に受け具への受渡し可能状態とすることができる。
【0014】
次に、上記請求項4に記載の構成では、巻枠から受け具へコイルを移動させるべく巻枠に結合される受け具の巻枠への係合により巻枠の開閉機構が作動し、それにより巻枠が閉じてコイル移送可能状態となる。したがって、この構成によれば、コイル排出のために専用のアクチュエータを別途設けることなく、自動的にコイル排出可能状態を得ることができる。
【0015】
次に、請求項5に記載の構成では、巻枠の開閉機構を巻枠外に配置する必要がなくなるため、装置のコンパクト化が可能となる。また、巻枠の外側に巻枠開閉のための余分なスペースを必要としないため、多数の巻枠の共通の巻枠ユニットへの接近配置も可能となる。
【0016】
次に、請求項6に記載の構成では、巻枠を実質的に2部材で構成することができるため、巻枠の複雑化を防ぐことができる。
【0017】
また、請求項7に記載の構成では、巻枠の枢着点を中心とする開閉により、巻枠の周長が部分ごとに異なるようになるため、巻枠に巻付けられるコイルの巻回部分について微妙にターンごとの周長が異なる巻回が可能となる。このようなコイルの巻回部分におけるターンごとの周長の微妙な違いは、コイルを電動機コアのスロットに挿入した場合に、コアの径方向外側への逃がし量を周長の大小と整合させることで、コイルエンド部分を小さく処理するのに有効である。
【0018】
また、請求項8に記載の構成では、レバー比の設定により小さな操作力で巻枠の閉鎖操作が可能となる。
【0019】
また、請求項9に記載の構成では、受け具側に格別の操作部材を設けることなく、本来コイルの引掛け支持のために巻枠に挿入される受け具側のブレードにより巻枠の閉鎖操作が可能となる。
【0020】
また、請求項10に記載の構成では、単独の巻枠ユニットにより、各巻枠に巻付け時の回転軸のぶれがない状態での巻回が可能となり、各巻回部分の配線密度の低下につながる巻乱れが少なくなるとともに、各巻回部分を渡り線でつないだ複数の巻回部分を持つ連極コイルの形成も容易に可能となる。しかも、このようにして形成した連極コイルを巻枠ユニットと受け具の結合により自動的に受け具への受渡し可能状態とすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明における巻枠は、開閉機構により閉縮状態とは異なる拡縮状態を実現可能とされるのが有効である。これにより1つの巻回部分内で、電動機コアへの挿入後のコイルエンド部分の処理のためにターンごとの周長を異ならせることができる。また、各巻枠を共通の巻枠ユニットに配置する場合、開閉機構は、各巻枠の他に巻枠間に配置される渡線巻枠内にも内蔵させることができ、これにより、巻枠ユニットと受け具との結合により渡線巻枠も同時に閉鎖して、巻上げ後のコイルの離脱を一層円滑化することができる。
【0022】
【実施例】
図1は、本発明の電動機コイル形成装置の巻枠ユニットの一実施例を示す斜視図である。巻枠ユニットAは、図示しないフレームに垂直軸線回りに旋回自在に支持され、かつ回転駆動装置にユニット旋回中心軸1を介して連結された板状の旋回アーム2と、旋回アーム2の旋回中心軸1に対して所定量偏心した位置にインデックス軸3回りに回転自在かつ所定角度位置の割出し及び位置保持可能に垂下されたインデックスホルダ4と、インデックスホルダ4に各々軸線方向移動(本例において昇降)自在に係合支持して、全体としてインデックスホルダ4の周囲を取巻くように配置され、外側周面が下方で開き方向に若干傾斜した開閉自在な蒲鉾状の複数(図示の例において4個)のコイル巻枠5A〜5Dと、各コイル巻枠5A〜5Dの間に配置された開閉自在な蒲鉾状の渡線巻枠(図示の例において3個)6A〜6Cと、渡線巻枠の配置位置に相当する位置の一箇所に渡線巻枠に代えて配置された円筒形のリード巻枠7とから構成されている。
【0023】
図2に下方からみた平面配置を示すように、各コイル巻枠5A〜5Dは、インデックスホルダ4を取巻く周方向における同じ径方向位置に均等な間隔(図示の例において90°間隔)で配置され、渡線巻枠6A〜6Cとリード巻枠7がそれらの間に配置されている。また、後記するインデックス操作のために、各巻枠5A〜5D,6A〜6C,7の中心軸線Za〜Zhとインデックスホルダ4の中心軸線Zoとの軸間距離は、旋回アーム2の旋回中心軸1に対するインデックスホルダ4の中心軸線Zoの偏心量に一致する配置とされている。
【0024】
こうした配列の各巻枠5A〜5D,6A〜6C,7に対して、コイル形成ワイヤM/Wは、図2に2点鎖線で示すように、図示しない供給ノズルから繰出されて、先ずリード巻枠7に反時計回り方向に多重に巻付けられ、リード巻枠7とコイル巻枠5Aの間を通してコイル巻枠5Aの裏側(巻枠ユニットAにおける径方向内側)から反時計回り方向に多重に巻付けられ、次にコイル巻枠5Aと渡線巻枠6Aの間を通して渡線巻枠6Aの表面側(巻枠ユニットAにおける径方向外側)のみ時計回りに巻付けられ、渡線巻枠6Aとコイル巻枠5Bの間を通してコイル巻枠5Bの裏側から反時計回り方向に多重に巻付けられて、2個の周回部分を持つコイルの巻付けが完了する。更に多くの周回部分を持つコイルとする場合は、これに続けて同様の巻付けを繰り返し、最終的にコイル巻枠5Dに多重に巻付けられて一巡の巻き掛けを終わる巻き順とされている。なお、図2において、各軸線Za〜Zh周りの矢印は、巻付けのための各巻枠5A〜5D,6A〜6C,7の回転方向を示し、各巻枠の周面に付した矢印は、ワイヤM/Wの供給方向を示す。したがって、この方向は、上記周回順序に対して逆向きとなる。
【0025】
次に示す図3〜図15は、巻付け手順を順を追って段階的に示す。先ず、図3を参照して、ワイヤM/Wのリード部分の処理のために、リード巻枠7だけを下降させ、他の巻枠が巻き付けの障害とならないようにする。この下降と併せてリード巻枠7をインデックスホルダ4のインデックス軸3回りに回転させて、リード巻枠7の中心軸線Zaを旋回アーム2の旋回軸1と整列させるインデックス操作を行う。そして、図示しない供給ノズルから供給されるワイヤM/Wのリードを適宜の手段でリード巻枠7に固定し、巻枠ユニットAを下方からみて反時計回り方向(以下に記す回転方向は、全て下方からみた方向とする。)に旋回させることで、リード巻枠7を旋回アーム2の旋回によりリード巻枠7の中心軸線Za回りに回転させて、リード巻枠7へのワイヤM/Wの巻付けを開始する。この巻枠ユニットAの多重旋回によりリード巻枠7にワイヤM/Wが多重に巻付けられた段階を次の図4に示す。
【0026】
次に、図5を参照して、リード巻枠7の下方視で右側に隣接するコイル巻枠5Aを下降させる。次いで、図6に示すようにインデックスホルダ4を反時計回り方向に45°回転させ、下降状態のコイル巻枠5Aをインデックスする。
【0027】
次に、図7を参照して、リード巻枠7を上昇させながら、ワイヤM/Wの繰出し側をコイル巻枠5Aの裏側に通す渡線処理を行う。こうしてリード巻枠7の上昇と渡線処理が終わったところで、巻枠ユニットAを時計回り方向に旋回させることで、ワイヤM/Wのコイル巻枠5Aへの巻付けを行う。この旋回を多重旋回とすることで、図8に示す途中段階を経て、図9に示す巻付け完了状態となる。
【0028】
次に、図10を参照して、コイル巻枠5Aの下方視で右側に隣接する渡線枠6Aを下降させる。更に、図11に示すようにインデックスホルダ4を反時計回り方向に45°回転させ、下降状態の渡線枠6Aをインデックスする。次に、図12に示すようにコイル巻枠5Aを上昇させながら、ワイヤM/Wの繰出し側を渡線枠6Aの表側に導く渡線処理を行う。こうしてコイル巻枠5Aの上昇と渡線処理が終わったところで、巻枠ユニットAを反時計回り方向に旋回させることで、図13に示すように、ワイヤM/Wの渡線枠6Aへの巻付けを行う。
【0029】
以下同様に、図14に示すように、渡線枠6Aの下方視で右側に隣接するコイル巻枠5Bを下降させる。次いで、図15に示すように、インデックスホルダ4を反時計回り方向に45°回転させ、下降状態のコイル巻枠5Bをインデックスする。以下同様の手順を繰り返してリード巻枠7の反対側に位置する最後のコイル巻枠5DへのワイヤM/Wの巻付けを完了することで、先の図2に示す巻枠ユニットAへのコイルの巻付けが完成する。
【0030】
本発明の主題に係る構成は、上記のように巻付けられたコイルの巻枠ユニットからの排出のために、巻枠ユニットの各コイル巻枠5A〜5Dに適用されている。次に示す図16は、巻枠ユニットAの下方部分の構成を断面で示す。コイル巻枠5は、コイル巻枠5から図示しない受け具としてのインサータツールへのコイルの移動のために、インサータツールとの係合によりコイル巻枠5をコイル離脱可能状態に閉縮させる開閉機構50を備えることを基本的特徴とする。この開閉機構50は、コイル巻枠5の内部に配置されている。
【0031】
コイル巻枠5は、図示の例では、コイル巻枠5を巻枠ユニットAのインデックスホルダ4に対して昇降自在に支持するための支持部材51と、支持部材51に固定した固定枠52と、固定枠52に開閉可能に連結した可動枠53と、可動枠53を固定枠52に対して開閉動させる開閉機構50から構成されている。固定枠52と可動枠53は、それら相互の枢着点54回りの回転により開閉可能とされ、相互に引張手段55により閉鎖方向に付勢され、固定枠52と可動枠53との間に配置されたカム56の引張手段55による閉鎖方向への付勢力に抗する回転により開閉される。カム56には、それを回転させるための閉鎖用レバー59Bが固定されている。また、カム56は、回転角を増大させる歯車対57,58を介してレバー59Aに連結され、開閉用レバー59Aの回転によりコイルの周長調整のために開閉される。そして、閉鎖用レバー59Bは、インサータツールのブレードとの当接により回転し、それによりコイル巻枠5が閉鎖する。
【0032】
以下、この実施例における各コイル巻枠5の細部構成を説明する。固定枠52は、インデックスホルダ4に昇降自在に支持するためのL字形の支持部材51の下方に延びるコ字枠状の枠部52aと、枠部52aの背面に添設された背面枠材52bを備える構成とされている。背面枠材52bには内側平面と平行に形成され、下方が開いたインサータツールのブレード挿入用のスリットsが設けられている。コ字枠状の枠部52aの内側は、開閉機構50の配置空間とされている。また、枠部52aの上方両外側は切欠かれ、可動枠53との枢止嵌合部とされている。
【0033】
可動枠53は、固定枠52と同幅の板状で、その上方から水平方向に延出し、上記固定枠52の枠部52aの上方両外側の切欠に嵌る二又状のヒンジ部を備える枠部53aと、枠部52aの背面に添設された前面枠材53bを備える構成とされている。前面枠材53bの表面側は、下方に向かって段階状に広がり、両側面と大きな円弧面でつながる階段状斜面とされている。
【0034】
こうした構成からなる固定枠52と可動枠53は、ヒンジ部でピン54により回転自在に連結されて、固定枠52に対して可動枠53の下側が接近・離反する動作により開閉自在とされている。
【0035】
開閉機構50は、可動枠53を固定枠52に閉鎖方向に付勢にすべく両端を固定枠52と可動枠53に支持した引張コイルスプリングからなる引張手段55と、固定枠52に回転自在に支持され、カム面を可動枠53の背面に対峙させた偏心扇形のカム56と、カム56の回転角を増大させるべく、一方がカム56と一体回転するように固定され、他方が固定枠52に回転自在に支持された歯車対57,58と、歯車57に固定された閉鎖用レバー59Bと、歯車58に固定された開閉用レバー59Aとから構成されている。
【0036】
こうした構成からなるコイル巻枠5は、巻付け後のコイルを排出すべくインデックスホルダ4に昇降自在に設けられたプッシャ41により開閉レバー59Aを操作することで開閉操作される。また、コイル巻枠5は、前記のように、閉鎖用レバー59Bとインサータツールのブレードとの当接による回転で閉鎖される。
【0037】
次に示す図17〜図29は、前記コイル形成からインサータツールへのコイルの受渡しまでの一連の操作を順を追って示す。図17に示す段階は、作業当初の巻枠ユニットAの状態を示す。この状態は、コイル巻枠5の全開状態であり、プッシャ41を最も上昇させた状態にある。この状態では、カム56のカム面の最大径部が可動枠53の背面に当接することで、可動枠53の前面側が下方に最大に開いた姿勢となる。この段階におけるプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を図18に斜視状態で示す。
【0038】
上記の状態からプッシャ41を下降させ、図19に示すように、プッシャ41の周面から径方向に張出す突起部41aが開閉レバー59Aの先端に当接する位置に達すると、それ以降のプッシャ41の下降量に応じてカム56のカム面の最大径部より小径の部分が可動枠53の背面に当接するようになり、それに応じて可動枠53の前面側の下方側の開きが次第に小さくなる姿勢に変化する。このため、コイル巻枠5に巻付けられるワイヤの巻回部のターンごとの周長が、プッシャ41の下降量に応じて調整可能となる。この段階におけるプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を、先の段階と同様に図20に斜視状態で示す。
【0039】
こうしてコイル巻枠5の開閉度によりコイルの周長の設定がなされたところで、図21に示すようにプッシャ41を巻線操作の障害とならない位置に退避させるべく上昇させ、図22に示すように巻線操作に入る。この操作の詳細は、図1〜図15を参照して先述したとおりである。なお、図22に示すコイル巻枠5の開閉度は、全開状態に対して若干閉じた状態を示す。
【0040】
巻線操作が完了したところで、今度は、巻枠ユニットAと心合わせして下方に待機させてあるインサータツールBに向けて巻枠ユニットAを下降させる。この下降によりコイル巻枠5とインサータツールBが結合した状態が、次の図23に示されている。また、このときのプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を、先の段階と同様に図24に斜視状態で示す。この段階では、インサータツールのブレード8の先端部分に形成したスリット81の底部が閉鎖用レバー59Bの先端に当接した状態となる。なお、図示の状態は閉鎖用レバー59Bの先端がブレード8の移動軌跡内に予め位置するようにコイル巻枠5を若干閉じた状態であるが、コイル巻枠5の全開状態で巻線操作を行った場合には、先の図17及び図18に示すように、閉鎖用レバー59Bの先端はブレード8の移動軌跡の外側にあり、そのままではブレード8の先端部分のスリット81の底部が閉鎖用レバー59Bの先端に当接し得ない。そこで、こうした場合には、巻枠ユニットAの下降に先行させてプッシャ41を下降させ、カムの回転に伴い閉鎖用レバー59Bの先端がブレード8の移動軌跡内まで回転するようにコイル巻枠5を若干閉じ状態にする。
【0041】
上記の状態から更に巻枠ユニットAを下降させると、次の図25に示すように、閉鎖レバー59Bの先端がインサータツールのブレード8に押されて回転し、それに連れてカム56が可動枠閉鎖方向に回転する。このときのプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を、先の段階と同様に図26に斜視状態で示す。この操作により、インサータツールのブレード8がコイルの巻線内に挿入されると共に、コイル巻枠5が閉鎖され、それにより図25に示すようにコイルのワイヤM/Wとコイル巻枠5との間に緩みが生じる。
【0042】
こうしてコイルが排出可能となったところで、次の図27に示すようにプッシャ41を再度下降させる。このプッシャ41の下降時には、先の閉鎖操作で開閉用レバー59Aの先端は、下方に回転した状態に退避しているため、プッシャ41の突起が開閉用レバー59Aと干渉することはない。このときのプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を、先の段階と同様に図28に斜視状態で示す。この操作で、図27に示すように、コイルはその各巻線の内側を押されて、コイル巻枠5からインサータツールBに移送される。
【0043】
最後に、巻枠ユニットAを上昇させることで一連の操作を完了する。このときの巻枠ユニットAとインサータツールBの引離し状態が図29に示されている。なお、各巻枠5の全開位置への復帰は、閉鎖用レバー59Bの回転操作によりなされる。かくして巻枠ユニットAは当初状態に復帰する。一方、インサータツールB側では、各ブレード8にコイルのワイヤM/Wの巻回部分が引掛け支持された状態に保持される。この後、インサータツールBは、電動機コアのスリットへのコイルの挿入操作に使用される。
【0044】
電動機コアのスリットへのコイルの挿入は、本発明の主題とは直接関係がないが、図30〜図32を参照して略説する。この操作は、図30に示すように、電動機コアCとインサータツールBを心合わせした状態で、両者を結合させることにより行われる。図30は結合段階を示しており、インサータツールBのブレード8が電動機コアCの内部に押込まれた状態を示す。この状態では、図31に電動機コアCのスロットC1とインサータツールBのブレード8の位置関係を示すように、コイルが挿入されるべきスロットC1内の空間以外は塞がれた状態になっている。
【0045】
この状態からインサータツールBの挿入コア82を押上げると、ブレード8に引掛け支持されたコイルの各巻回部の径方向内側の部分(ブレードより内側の部分)が、挿入コア82の周面角部に押され、各巻回部における径方向外側の部分(ブレードより外側の部分)が径方向外側への逃げ場のない状態で引上げられるため、電動機コアCの各スロットC1に押込まれて行き、最終的に挿入コア82がブレード8の先端まで達したところで、ブレード8による拘束がなくなったコイルの各巻回部のブレード8より内側の部分が外側に逃げて電動機コアCのスロットC1へのコイルの挿入が完了する。この状態が図32に示されている。
【0046】
上記の操作は、例えば3相コイルの場合、当初の操作をU相用の連極コイルに適用されるものとして、V相用及びW相用のコイルについてもスロットの位置を異ならせて同様に行われる。この2番目以降の相用のコイルを挿入する際、先に挿入されたコイルのコイルエンド部分を径方向外側に逃がす意味で、コイルエンド部分の径方向外側への押し曲げ操作が、最初に挿入されたU相用のコイルと、次に挿入されたV相用のコイルについて、インサータツールBとは別異の工具を用いて行われる。この操作の際、各相用のコイル間については、U相用のコイルの押し曲げ量が大きく、V相用のコイルの押し曲げ量がこれより小さくなる。また、これらの相用のコイルの各巻回部分について言えば、スロットの内側に位置するワイヤほど外側に位置するワイヤより押し曲げ量が大きくなる。しかも、U相用のコイルの内側と外側の押し曲げ量の差は、V相用のコイルの内側と外側の押し曲げ量の差より大きくなる。そこで、こうした押し曲げ量の違いに各巻回部分の周長を合わせるべく、各相用のコイル間については平均周長を異ならせ、1つの相用のコイルの巻回部分間については、各ターンごとに周長を異ならせる巻回が行われる。本実施例において、各巻枠を開閉自在としているのは、各ターンごとの周長の変化割合をU、V,W相用間で異ならせるためである。
【0047】
以上詳述したように、この実施例の装置によれば、コイル巻枠5からインサータツールBへコイルを移動させるべくコイル巻枠5に結合されるインサータツールBのコイル巻枠5への係合によりコイル巻枠5内の開閉機構50が作動し、それによりコイル巻枠5が閉じてコイル移送可能状態となる。したがって、コイル排出のために専用のアクチュエータを別途設けることなく、自動的にコイル排出可能状態を得ることができる。また、開閉機構50のコイル巻枠5内への内蔵により、コイル巻枠5の開閉機構50を巻枠外に配置する必要がなくなるため、装置のコンパクト化が可能となる。また、コイル巻枠5の外側に巻枠開閉のための余分なスペースを必要としないため、多数のコイル巻枠の共通の巻枠ユニットAへの接近配置も可能となる。
【0048】
また、コイル巻枠5を開閉式とすることで、巻枠を実質的に2部材で構成することができるため、巻枠の複雑化を防ぐことができる。更に、コイル巻枠5の枢着点を中心とする開閉により、巻枠の周長が部分ごとに異なるようになるため、コイル巻枠5に巻付けられるコイルの巻回部分について微妙にターンごとの周長が異なる巻回が可能となる。このようなコイルの巻回部分におけるターンごとの周長の微妙な違いは、コイルを電動機コアのスロットに挿入した後のコイルエンド部分の径方向外側への押し開きを無理なく行う上で有効である。
【0049】
また、開閉機構50の操作部をレバー59Bとすることで、レバー比の設定により小さな操作力でコイル巻枠5の閉鎖操作が可能となる。また、インサータツールBのブレード8で開閉機構50を操作することで、インサータツールB側に格別の操作部材を設けることなく、本来コイルの引掛け支持のためにコイル巻枠5に挿入されるインサータツールB側のブレード8によりコイル巻枠5の閉鎖操作が可能となる。
【0050】
更に、単独の巻枠ユニットAにより、各コイル巻枠5に巻付け時の回転軸のぶれがない状態での巻回が可能となり、各巻回部分の配線密度の低下につながる巻乱れが少なくなるとともに、各巻回部分を渡り線でつないだ複数の巻回部分を持つ連極コイルの形成も容易に可能となる。しかも、このようにして形成した連極コイルを巻枠ユニットAと受け具Bの結合により自動的に受け具Bへの受渡し可能状態とすることができる。
【0051】
以上本発明を、一実施例に基づき詳述したが、本発明はこの実施例に限るものではなく、特許請求の範囲に記載の事項の範囲内で、種々の具体的形態を変更して実施可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用に係る実施例の巻枠ユニットの斜視図である。
【図2】実施形態の巻枠ユニットの平面図である。
【図3】巻枠ユニットのリード巻付け段階の作動を示す斜視図である。
【図4】巻枠ユニットのリード巻付け完了段階の作動を示す斜視図である。
【図5】巻枠ユニットのコイル巻枠下降段階の作動を示す斜視図である。
【図6】巻枠ユニットのコイル巻枠インデックス段階の作動を示す斜視図である。
【図7】巻枠ユニットのリード巻枠からコイル巻枠への渡線段階の作動を示す斜視図である。
【図8】巻枠ユニットのコイル巻枠への巻付け途中段階の作動を示す斜視図である。
【図9】巻枠ユニットのコイル巻枠への巻付け完了段階の作動を示す斜視図である。
【図10】巻枠ユニットの渡線巻枠下降段階の作動を示す斜視図である。
【図11】巻枠ユニットのコイル巻枠からリード巻枠への渡線段階の作動を示す斜視図である。
【図12】巻枠ユニットのコイル巻枠上昇段階の作動を示す斜視図である。
【図13】巻枠ユニットの渡線巻枠への巻付け完了段階の作動を示す斜視図である。
【図14】巻枠ユニットの渡線巻枠からコイル巻枠への渡線段階の作動を示す斜視図である。
【図15】巻枠ユニットの渡線巻枠上昇段階の作動を示す斜視図である。
【図16】巻枠ユニットの断面図である。
【図17】巻枠ユニットの原位置状態を示す作動説明図である。
【図18】原位置状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図19】巻枠ユニットの開度調整状態を示す作動説明図である。
【図20】開度調整状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図21】巻枠ユニットの巻線待機状態を示す作動説明図である。
【図22】巻枠ユニットの巻線状態を示す作動説明図である。
【図23】巻枠ユニットとインサータツールの結合状態を示す作動説明図である。
【図24】結合状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図25】巻枠ユニットの巻枠閉鎖状態を示す作動説明図である。
【図26】巻枠閉鎖状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図27】巻枠ユニットのコイル離脱状態を示す作動説明図である。
【図28】コイル離脱状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図29】巻枠ユニットを上昇させた動作完了状態を示す作動説明図である。
【図30】電動機コアへのインサータツールの結合状態を示す作動説明図である。
【図31】電動機コアへのコイル挿入状態を示す作動説明図である。
【図32】電動機コアのスロットとインサータツールのブレードの結合状態での位置関係を示す断面図である。
【符号の説明】
M/W ワイヤ
A 巻枠ユニット
B インサータツール(受け具)
C 電動機コア
5 コイル巻枠(巻枠)
8 ブレード
50 開閉機構
52 固定枠
53 可動枠
54 ピン(枢着点)
55 コイルスプリング(引張手段)
56 カム
59B 閉鎖用レバー
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ、ジェネレータ等の電動機に用いるコイルの形成装置に関し、特に、車両に駆動源として搭載する電動機のステータコイルの形成に適したコイル形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機のコアのスロットに挿入されるコイルは、一般に、予めコイル形成装置により所定の予備形状(挿入状態とは異なる形状)に巻回され、該形成装置から所定の受け具(インサータ)に巻回部を吊下げ状態として排出させ、該受け具から最終形状に変形させながらコアのスロットに挿入される。前記予備形状の一形態として、互いに平行な軸線回りに複数の巻回部分を持つ形態のものがある。こうした形態のコイルを形成する装置としては、巻枠に対してワイヤを供給する側(フライヤ)を回転させる方式のものが一般的である。こうした方式の装置を開示する特許文献として、特許文献1がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−253631号公報
【0004】
上記方式のものは、巻枠よりフライヤが大径でなければならないため、装置が大型のものとならざるを得ない。また、フライヤの回転によりワイヤが捩れるため、多数のワイヤを平行な束とする巻回を行う場合、ワイヤの束を縒り線状態としないための工夫も必要となる。そこで、こうした問題を避ける他の方式の装置として、ワイヤを供給する側(ノズル)を固定として、巻枠を回転させる方式のものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように巻枠に巻付け形成されたコイルを電動機コアのスロットに挿入するために受け具に移動させる際に、巻枠からコイルを離脱させるための巻枠の閉縮が必要であり、従来、巻枠の閉縮には専用のアクチュエータが設けられていた。しかしながら、こうしたものでは、巻枠から受け具へのコイルの移動に際して、巻枠と受け具を結合するのに合わせたアクチュエータの制御が必要である。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑み案出されたものであり、巻枠と受け具を結合する際の巻枠の閉縮を自動化することを主たる目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、任意の軸線回りに回転駆動しながらコイルを形成するワイヤを巻枠の周面に巻付ける巻回工程と、該巻回工程により形成された巻上げ後のコイルを巻枠から受け具に渡す受渡し工程とを含む電動機コイル形成方法において、受渡しのために巻枠を受け具に結合させる際に、結合過程での巻枠と受け具の係合作動により巻枠の周面をコイル離脱可能状態に閉縮させることを特徴とする。
【0008】
上記の構成において、前記巻枠は、共通の巻枠ユニットのインデックス軸周りに複数配置され、各巻枠は、巻枠ユニットの旋回により任意の軸線回りに回転可能な位置に、インデックス軸回りの回転により順次角度方向設定可能とされるとともに、任意の軸線と同方向に軸線方向移動可能とされ、前記巻回工程は、各巻枠の前記角度方向設定による前記軸線方向移動状態で各巻枠ごとになされるのが望ましい。この場合、前記受渡し工程における各巻枠の閉縮は、各巻枠を全て同じ軸線方向位置として、巻枠ユニットと受け具の結合により、各巻枠について同時になされる。
【0009】
次に、本発明は、任意の軸線回りに回転駆動され、コイルを形成するワイヤが周面に巻付けられる巻枠と、巻上げ後のコイルを該巻枠から受取る受け具とを備える電動機コイル形成装置において、前記巻枠は、該巻枠から受け具へのコイルの移動のための受け具との結合により、巻枠をコイル離脱可能状態に閉縮させる開閉機構を備えることを特徴とする。
【0010】
上記の構成において、開閉機構は、前記巻枠に内蔵された構成とするのが有効である。具体的には、前記巻枠は、固定枠と、該固定枠に対して開閉可能な可動枠とを備え、前記開閉機構は、可動枠を固定枠に対して開閉動させるものとするのが有効である。更に具体的には、前記固定枠と可動枠は、それら相互の枢着点回りの回転により開閉可能とされ、相互に引張手段により閉鎖方向に付勢され、固定枠と可動枠との間に配置されたカムの引張手段による閉鎖方向への付勢力に抗する回転により開閉されることが望ましい。また、前記開閉機構は、前記カムを回転させるレバーを備え、前記巻枠は、レバーの回転により開閉されるのが有効である。また、前記受け具は、巻上げられたコイルの巻回部分の内側で巻枠内に挿入可能なブレードを備え、前記レバーは、受け具のブレードとの当接により回転する構成とされるのが望ましい。また、前記巻枠は、共通の巻枠ユニットのインデックス軸周りに複数配置され、各巻枠は、巻枠ユニットの旋回により任意の軸線回りに回転可能な位置に、インデックス軸回りの回転により順次角度方向設定可能とされるとともに、任意の軸線と同方向に軸線方向移動可能とされるのが有効である。
【0011】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1に記載の構成では、巻枠から受け具へコイルを移動させるべく巻枠に結合される受け具の巻枠への係合により巻枠が閉縮し、コイル移送可能状態となる。したがって、この構成によれば、格別の巻枠閉縮を行うことなく、コイル排出に先だって自動的にコイル排出可能状態を得ることができる。
【0012】
また、請求項2に記載の構成では、単独の巻枠ユニットにより、各巻枠へのワイヤ巻付け時の回転軸のぶれがない状態での巻回が可能となり、各巻回部分の配線密度の低下につながる巻乱れが少なくなるとともに、各巻回部分を渡り線でつないだ複数の巻回部分を持つ連極コイルの形成も容易に可能となる。しかも、このようにして形成した連極コイルを巻枠ユニットと受け具の結合により自動的に受け具への受渡し可能状態とすることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の構成では、各巻回部分を渡り線でつないだ複数の巻回部分を持つ連極コイルを、巻枠ユニットと受け具の結合により自動的に受け具への受渡し可能状態とすることができる。
【0014】
次に、上記請求項4に記載の構成では、巻枠から受け具へコイルを移動させるべく巻枠に結合される受け具の巻枠への係合により巻枠の開閉機構が作動し、それにより巻枠が閉じてコイル移送可能状態となる。したがって、この構成によれば、コイル排出のために専用のアクチュエータを別途設けることなく、自動的にコイル排出可能状態を得ることができる。
【0015】
次に、請求項5に記載の構成では、巻枠の開閉機構を巻枠外に配置する必要がなくなるため、装置のコンパクト化が可能となる。また、巻枠の外側に巻枠開閉のための余分なスペースを必要としないため、多数の巻枠の共通の巻枠ユニットへの接近配置も可能となる。
【0016】
次に、請求項6に記載の構成では、巻枠を実質的に2部材で構成することができるため、巻枠の複雑化を防ぐことができる。
【0017】
また、請求項7に記載の構成では、巻枠の枢着点を中心とする開閉により、巻枠の周長が部分ごとに異なるようになるため、巻枠に巻付けられるコイルの巻回部分について微妙にターンごとの周長が異なる巻回が可能となる。このようなコイルの巻回部分におけるターンごとの周長の微妙な違いは、コイルを電動機コアのスロットに挿入した場合に、コアの径方向外側への逃がし量を周長の大小と整合させることで、コイルエンド部分を小さく処理するのに有効である。
【0018】
また、請求項8に記載の構成では、レバー比の設定により小さな操作力で巻枠の閉鎖操作が可能となる。
【0019】
また、請求項9に記載の構成では、受け具側に格別の操作部材を設けることなく、本来コイルの引掛け支持のために巻枠に挿入される受け具側のブレードにより巻枠の閉鎖操作が可能となる。
【0020】
また、請求項10に記載の構成では、単独の巻枠ユニットにより、各巻枠に巻付け時の回転軸のぶれがない状態での巻回が可能となり、各巻回部分の配線密度の低下につながる巻乱れが少なくなるとともに、各巻回部分を渡り線でつないだ複数の巻回部分を持つ連極コイルの形成も容易に可能となる。しかも、このようにして形成した連極コイルを巻枠ユニットと受け具の結合により自動的に受け具への受渡し可能状態とすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明における巻枠は、開閉機構により閉縮状態とは異なる拡縮状態を実現可能とされるのが有効である。これにより1つの巻回部分内で、電動機コアへの挿入後のコイルエンド部分の処理のためにターンごとの周長を異ならせることができる。また、各巻枠を共通の巻枠ユニットに配置する場合、開閉機構は、各巻枠の他に巻枠間に配置される渡線巻枠内にも内蔵させることができ、これにより、巻枠ユニットと受け具との結合により渡線巻枠も同時に閉鎖して、巻上げ後のコイルの離脱を一層円滑化することができる。
【0022】
【実施例】
図1は、本発明の電動機コイル形成装置の巻枠ユニットの一実施例を示す斜視図である。巻枠ユニットAは、図示しないフレームに垂直軸線回りに旋回自在に支持され、かつ回転駆動装置にユニット旋回中心軸1を介して連結された板状の旋回アーム2と、旋回アーム2の旋回中心軸1に対して所定量偏心した位置にインデックス軸3回りに回転自在かつ所定角度位置の割出し及び位置保持可能に垂下されたインデックスホルダ4と、インデックスホルダ4に各々軸線方向移動(本例において昇降)自在に係合支持して、全体としてインデックスホルダ4の周囲を取巻くように配置され、外側周面が下方で開き方向に若干傾斜した開閉自在な蒲鉾状の複数(図示の例において4個)のコイル巻枠5A〜5Dと、各コイル巻枠5A〜5Dの間に配置された開閉自在な蒲鉾状の渡線巻枠(図示の例において3個)6A〜6Cと、渡線巻枠の配置位置に相当する位置の一箇所に渡線巻枠に代えて配置された円筒形のリード巻枠7とから構成されている。
【0023】
図2に下方からみた平面配置を示すように、各コイル巻枠5A〜5Dは、インデックスホルダ4を取巻く周方向における同じ径方向位置に均等な間隔(図示の例において90°間隔)で配置され、渡線巻枠6A〜6Cとリード巻枠7がそれらの間に配置されている。また、後記するインデックス操作のために、各巻枠5A〜5D,6A〜6C,7の中心軸線Za〜Zhとインデックスホルダ4の中心軸線Zoとの軸間距離は、旋回アーム2の旋回中心軸1に対するインデックスホルダ4の中心軸線Zoの偏心量に一致する配置とされている。
【0024】
こうした配列の各巻枠5A〜5D,6A〜6C,7に対して、コイル形成ワイヤM/Wは、図2に2点鎖線で示すように、図示しない供給ノズルから繰出されて、先ずリード巻枠7に反時計回り方向に多重に巻付けられ、リード巻枠7とコイル巻枠5Aの間を通してコイル巻枠5Aの裏側(巻枠ユニットAにおける径方向内側)から反時計回り方向に多重に巻付けられ、次にコイル巻枠5Aと渡線巻枠6Aの間を通して渡線巻枠6Aの表面側(巻枠ユニットAにおける径方向外側)のみ時計回りに巻付けられ、渡線巻枠6Aとコイル巻枠5Bの間を通してコイル巻枠5Bの裏側から反時計回り方向に多重に巻付けられて、2個の周回部分を持つコイルの巻付けが完了する。更に多くの周回部分を持つコイルとする場合は、これに続けて同様の巻付けを繰り返し、最終的にコイル巻枠5Dに多重に巻付けられて一巡の巻き掛けを終わる巻き順とされている。なお、図2において、各軸線Za〜Zh周りの矢印は、巻付けのための各巻枠5A〜5D,6A〜6C,7の回転方向を示し、各巻枠の周面に付した矢印は、ワイヤM/Wの供給方向を示す。したがって、この方向は、上記周回順序に対して逆向きとなる。
【0025】
次に示す図3〜図15は、巻付け手順を順を追って段階的に示す。先ず、図3を参照して、ワイヤM/Wのリード部分の処理のために、リード巻枠7だけを下降させ、他の巻枠が巻き付けの障害とならないようにする。この下降と併せてリード巻枠7をインデックスホルダ4のインデックス軸3回りに回転させて、リード巻枠7の中心軸線Zaを旋回アーム2の旋回軸1と整列させるインデックス操作を行う。そして、図示しない供給ノズルから供給されるワイヤM/Wのリードを適宜の手段でリード巻枠7に固定し、巻枠ユニットAを下方からみて反時計回り方向(以下に記す回転方向は、全て下方からみた方向とする。)に旋回させることで、リード巻枠7を旋回アーム2の旋回によりリード巻枠7の中心軸線Za回りに回転させて、リード巻枠7へのワイヤM/Wの巻付けを開始する。この巻枠ユニットAの多重旋回によりリード巻枠7にワイヤM/Wが多重に巻付けられた段階を次の図4に示す。
【0026】
次に、図5を参照して、リード巻枠7の下方視で右側に隣接するコイル巻枠5Aを下降させる。次いで、図6に示すようにインデックスホルダ4を反時計回り方向に45°回転させ、下降状態のコイル巻枠5Aをインデックスする。
【0027】
次に、図7を参照して、リード巻枠7を上昇させながら、ワイヤM/Wの繰出し側をコイル巻枠5Aの裏側に通す渡線処理を行う。こうしてリード巻枠7の上昇と渡線処理が終わったところで、巻枠ユニットAを時計回り方向に旋回させることで、ワイヤM/Wのコイル巻枠5Aへの巻付けを行う。この旋回を多重旋回とすることで、図8に示す途中段階を経て、図9に示す巻付け完了状態となる。
【0028】
次に、図10を参照して、コイル巻枠5Aの下方視で右側に隣接する渡線枠6Aを下降させる。更に、図11に示すようにインデックスホルダ4を反時計回り方向に45°回転させ、下降状態の渡線枠6Aをインデックスする。次に、図12に示すようにコイル巻枠5Aを上昇させながら、ワイヤM/Wの繰出し側を渡線枠6Aの表側に導く渡線処理を行う。こうしてコイル巻枠5Aの上昇と渡線処理が終わったところで、巻枠ユニットAを反時計回り方向に旋回させることで、図13に示すように、ワイヤM/Wの渡線枠6Aへの巻付けを行う。
【0029】
以下同様に、図14に示すように、渡線枠6Aの下方視で右側に隣接するコイル巻枠5Bを下降させる。次いで、図15に示すように、インデックスホルダ4を反時計回り方向に45°回転させ、下降状態のコイル巻枠5Bをインデックスする。以下同様の手順を繰り返してリード巻枠7の反対側に位置する最後のコイル巻枠5DへのワイヤM/Wの巻付けを完了することで、先の図2に示す巻枠ユニットAへのコイルの巻付けが完成する。
【0030】
本発明の主題に係る構成は、上記のように巻付けられたコイルの巻枠ユニットからの排出のために、巻枠ユニットの各コイル巻枠5A〜5Dに適用されている。次に示す図16は、巻枠ユニットAの下方部分の構成を断面で示す。コイル巻枠5は、コイル巻枠5から図示しない受け具としてのインサータツールへのコイルの移動のために、インサータツールとの係合によりコイル巻枠5をコイル離脱可能状態に閉縮させる開閉機構50を備えることを基本的特徴とする。この開閉機構50は、コイル巻枠5の内部に配置されている。
【0031】
コイル巻枠5は、図示の例では、コイル巻枠5を巻枠ユニットAのインデックスホルダ4に対して昇降自在に支持するための支持部材51と、支持部材51に固定した固定枠52と、固定枠52に開閉可能に連結した可動枠53と、可動枠53を固定枠52に対して開閉動させる開閉機構50から構成されている。固定枠52と可動枠53は、それら相互の枢着点54回りの回転により開閉可能とされ、相互に引張手段55により閉鎖方向に付勢され、固定枠52と可動枠53との間に配置されたカム56の引張手段55による閉鎖方向への付勢力に抗する回転により開閉される。カム56には、それを回転させるための閉鎖用レバー59Bが固定されている。また、カム56は、回転角を増大させる歯車対57,58を介してレバー59Aに連結され、開閉用レバー59Aの回転によりコイルの周長調整のために開閉される。そして、閉鎖用レバー59Bは、インサータツールのブレードとの当接により回転し、それによりコイル巻枠5が閉鎖する。
【0032】
以下、この実施例における各コイル巻枠5の細部構成を説明する。固定枠52は、インデックスホルダ4に昇降自在に支持するためのL字形の支持部材51の下方に延びるコ字枠状の枠部52aと、枠部52aの背面に添設された背面枠材52bを備える構成とされている。背面枠材52bには内側平面と平行に形成され、下方が開いたインサータツールのブレード挿入用のスリットsが設けられている。コ字枠状の枠部52aの内側は、開閉機構50の配置空間とされている。また、枠部52aの上方両外側は切欠かれ、可動枠53との枢止嵌合部とされている。
【0033】
可動枠53は、固定枠52と同幅の板状で、その上方から水平方向に延出し、上記固定枠52の枠部52aの上方両外側の切欠に嵌る二又状のヒンジ部を備える枠部53aと、枠部52aの背面に添設された前面枠材53bを備える構成とされている。前面枠材53bの表面側は、下方に向かって段階状に広がり、両側面と大きな円弧面でつながる階段状斜面とされている。
【0034】
こうした構成からなる固定枠52と可動枠53は、ヒンジ部でピン54により回転自在に連結されて、固定枠52に対して可動枠53の下側が接近・離反する動作により開閉自在とされている。
【0035】
開閉機構50は、可動枠53を固定枠52に閉鎖方向に付勢にすべく両端を固定枠52と可動枠53に支持した引張コイルスプリングからなる引張手段55と、固定枠52に回転自在に支持され、カム面を可動枠53の背面に対峙させた偏心扇形のカム56と、カム56の回転角を増大させるべく、一方がカム56と一体回転するように固定され、他方が固定枠52に回転自在に支持された歯車対57,58と、歯車57に固定された閉鎖用レバー59Bと、歯車58に固定された開閉用レバー59Aとから構成されている。
【0036】
こうした構成からなるコイル巻枠5は、巻付け後のコイルを排出すべくインデックスホルダ4に昇降自在に設けられたプッシャ41により開閉レバー59Aを操作することで開閉操作される。また、コイル巻枠5は、前記のように、閉鎖用レバー59Bとインサータツールのブレードとの当接による回転で閉鎖される。
【0037】
次に示す図17〜図29は、前記コイル形成からインサータツールへのコイルの受渡しまでの一連の操作を順を追って示す。図17に示す段階は、作業当初の巻枠ユニットAの状態を示す。この状態は、コイル巻枠5の全開状態であり、プッシャ41を最も上昇させた状態にある。この状態では、カム56のカム面の最大径部が可動枠53の背面に当接することで、可動枠53の前面側が下方に最大に開いた姿勢となる。この段階におけるプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を図18に斜視状態で示す。
【0038】
上記の状態からプッシャ41を下降させ、図19に示すように、プッシャ41の周面から径方向に張出す突起部41aが開閉レバー59Aの先端に当接する位置に達すると、それ以降のプッシャ41の下降量に応じてカム56のカム面の最大径部より小径の部分が可動枠53の背面に当接するようになり、それに応じて可動枠53の前面側の下方側の開きが次第に小さくなる姿勢に変化する。このため、コイル巻枠5に巻付けられるワイヤの巻回部のターンごとの周長が、プッシャ41の下降量に応じて調整可能となる。この段階におけるプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を、先の段階と同様に図20に斜視状態で示す。
【0039】
こうしてコイル巻枠5の開閉度によりコイルの周長の設定がなされたところで、図21に示すようにプッシャ41を巻線操作の障害とならない位置に退避させるべく上昇させ、図22に示すように巻線操作に入る。この操作の詳細は、図1〜図15を参照して先述したとおりである。なお、図22に示すコイル巻枠5の開閉度は、全開状態に対して若干閉じた状態を示す。
【0040】
巻線操作が完了したところで、今度は、巻枠ユニットAと心合わせして下方に待機させてあるインサータツールBに向けて巻枠ユニットAを下降させる。この下降によりコイル巻枠5とインサータツールBが結合した状態が、次の図23に示されている。また、このときのプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を、先の段階と同様に図24に斜視状態で示す。この段階では、インサータツールのブレード8の先端部分に形成したスリット81の底部が閉鎖用レバー59Bの先端に当接した状態となる。なお、図示の状態は閉鎖用レバー59Bの先端がブレード8の移動軌跡内に予め位置するようにコイル巻枠5を若干閉じた状態であるが、コイル巻枠5の全開状態で巻線操作を行った場合には、先の図17及び図18に示すように、閉鎖用レバー59Bの先端はブレード8の移動軌跡の外側にあり、そのままではブレード8の先端部分のスリット81の底部が閉鎖用レバー59Bの先端に当接し得ない。そこで、こうした場合には、巻枠ユニットAの下降に先行させてプッシャ41を下降させ、カムの回転に伴い閉鎖用レバー59Bの先端がブレード8の移動軌跡内まで回転するようにコイル巻枠5を若干閉じ状態にする。
【0041】
上記の状態から更に巻枠ユニットAを下降させると、次の図25に示すように、閉鎖レバー59Bの先端がインサータツールのブレード8に押されて回転し、それに連れてカム56が可動枠閉鎖方向に回転する。このときのプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を、先の段階と同様に図26に斜視状態で示す。この操作により、インサータツールのブレード8がコイルの巻線内に挿入されると共に、コイル巻枠5が閉鎖され、それにより図25に示すようにコイルのワイヤM/Wとコイル巻枠5との間に緩みが生じる。
【0042】
こうしてコイルが排出可能となったところで、次の図27に示すようにプッシャ41を再度下降させる。このプッシャ41の下降時には、先の閉鎖操作で開閉用レバー59Aの先端は、下方に回転した状態に退避しているため、プッシャ41の突起が開閉用レバー59Aと干渉することはない。このときのプッシャ41、コイル巻枠5及びインサータツールのブレード8の位置関係を、先の段階と同様に図28に斜視状態で示す。この操作で、図27に示すように、コイルはその各巻線の内側を押されて、コイル巻枠5からインサータツールBに移送される。
【0043】
最後に、巻枠ユニットAを上昇させることで一連の操作を完了する。このときの巻枠ユニットAとインサータツールBの引離し状態が図29に示されている。なお、各巻枠5の全開位置への復帰は、閉鎖用レバー59Bの回転操作によりなされる。かくして巻枠ユニットAは当初状態に復帰する。一方、インサータツールB側では、各ブレード8にコイルのワイヤM/Wの巻回部分が引掛け支持された状態に保持される。この後、インサータツールBは、電動機コアのスリットへのコイルの挿入操作に使用される。
【0044】
電動機コアのスリットへのコイルの挿入は、本発明の主題とは直接関係がないが、図30〜図32を参照して略説する。この操作は、図30に示すように、電動機コアCとインサータツールBを心合わせした状態で、両者を結合させることにより行われる。図30は結合段階を示しており、インサータツールBのブレード8が電動機コアCの内部に押込まれた状態を示す。この状態では、図31に電動機コアCのスロットC1とインサータツールBのブレード8の位置関係を示すように、コイルが挿入されるべきスロットC1内の空間以外は塞がれた状態になっている。
【0045】
この状態からインサータツールBの挿入コア82を押上げると、ブレード8に引掛け支持されたコイルの各巻回部の径方向内側の部分(ブレードより内側の部分)が、挿入コア82の周面角部に押され、各巻回部における径方向外側の部分(ブレードより外側の部分)が径方向外側への逃げ場のない状態で引上げられるため、電動機コアCの各スロットC1に押込まれて行き、最終的に挿入コア82がブレード8の先端まで達したところで、ブレード8による拘束がなくなったコイルの各巻回部のブレード8より内側の部分が外側に逃げて電動機コアCのスロットC1へのコイルの挿入が完了する。この状態が図32に示されている。
【0046】
上記の操作は、例えば3相コイルの場合、当初の操作をU相用の連極コイルに適用されるものとして、V相用及びW相用のコイルについてもスロットの位置を異ならせて同様に行われる。この2番目以降の相用のコイルを挿入する際、先に挿入されたコイルのコイルエンド部分を径方向外側に逃がす意味で、コイルエンド部分の径方向外側への押し曲げ操作が、最初に挿入されたU相用のコイルと、次に挿入されたV相用のコイルについて、インサータツールBとは別異の工具を用いて行われる。この操作の際、各相用のコイル間については、U相用のコイルの押し曲げ量が大きく、V相用のコイルの押し曲げ量がこれより小さくなる。また、これらの相用のコイルの各巻回部分について言えば、スロットの内側に位置するワイヤほど外側に位置するワイヤより押し曲げ量が大きくなる。しかも、U相用のコイルの内側と外側の押し曲げ量の差は、V相用のコイルの内側と外側の押し曲げ量の差より大きくなる。そこで、こうした押し曲げ量の違いに各巻回部分の周長を合わせるべく、各相用のコイル間については平均周長を異ならせ、1つの相用のコイルの巻回部分間については、各ターンごとに周長を異ならせる巻回が行われる。本実施例において、各巻枠を開閉自在としているのは、各ターンごとの周長の変化割合をU、V,W相用間で異ならせるためである。
【0047】
以上詳述したように、この実施例の装置によれば、コイル巻枠5からインサータツールBへコイルを移動させるべくコイル巻枠5に結合されるインサータツールBのコイル巻枠5への係合によりコイル巻枠5内の開閉機構50が作動し、それによりコイル巻枠5が閉じてコイル移送可能状態となる。したがって、コイル排出のために専用のアクチュエータを別途設けることなく、自動的にコイル排出可能状態を得ることができる。また、開閉機構50のコイル巻枠5内への内蔵により、コイル巻枠5の開閉機構50を巻枠外に配置する必要がなくなるため、装置のコンパクト化が可能となる。また、コイル巻枠5の外側に巻枠開閉のための余分なスペースを必要としないため、多数のコイル巻枠の共通の巻枠ユニットAへの接近配置も可能となる。
【0048】
また、コイル巻枠5を開閉式とすることで、巻枠を実質的に2部材で構成することができるため、巻枠の複雑化を防ぐことができる。更に、コイル巻枠5の枢着点を中心とする開閉により、巻枠の周長が部分ごとに異なるようになるため、コイル巻枠5に巻付けられるコイルの巻回部分について微妙にターンごとの周長が異なる巻回が可能となる。このようなコイルの巻回部分におけるターンごとの周長の微妙な違いは、コイルを電動機コアのスロットに挿入した後のコイルエンド部分の径方向外側への押し開きを無理なく行う上で有効である。
【0049】
また、開閉機構50の操作部をレバー59Bとすることで、レバー比の設定により小さな操作力でコイル巻枠5の閉鎖操作が可能となる。また、インサータツールBのブレード8で開閉機構50を操作することで、インサータツールB側に格別の操作部材を設けることなく、本来コイルの引掛け支持のためにコイル巻枠5に挿入されるインサータツールB側のブレード8によりコイル巻枠5の閉鎖操作が可能となる。
【0050】
更に、単独の巻枠ユニットAにより、各コイル巻枠5に巻付け時の回転軸のぶれがない状態での巻回が可能となり、各巻回部分の配線密度の低下につながる巻乱れが少なくなるとともに、各巻回部分を渡り線でつないだ複数の巻回部分を持つ連極コイルの形成も容易に可能となる。しかも、このようにして形成した連極コイルを巻枠ユニットAと受け具Bの結合により自動的に受け具Bへの受渡し可能状態とすることができる。
【0051】
以上本発明を、一実施例に基づき詳述したが、本発明はこの実施例に限るものではなく、特許請求の範囲に記載の事項の範囲内で、種々の具体的形態を変更して実施可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用に係る実施例の巻枠ユニットの斜視図である。
【図2】実施形態の巻枠ユニットの平面図である。
【図3】巻枠ユニットのリード巻付け段階の作動を示す斜視図である。
【図4】巻枠ユニットのリード巻付け完了段階の作動を示す斜視図である。
【図5】巻枠ユニットのコイル巻枠下降段階の作動を示す斜視図である。
【図6】巻枠ユニットのコイル巻枠インデックス段階の作動を示す斜視図である。
【図7】巻枠ユニットのリード巻枠からコイル巻枠への渡線段階の作動を示す斜視図である。
【図8】巻枠ユニットのコイル巻枠への巻付け途中段階の作動を示す斜視図である。
【図9】巻枠ユニットのコイル巻枠への巻付け完了段階の作動を示す斜視図である。
【図10】巻枠ユニットの渡線巻枠下降段階の作動を示す斜視図である。
【図11】巻枠ユニットのコイル巻枠からリード巻枠への渡線段階の作動を示す斜視図である。
【図12】巻枠ユニットのコイル巻枠上昇段階の作動を示す斜視図である。
【図13】巻枠ユニットの渡線巻枠への巻付け完了段階の作動を示す斜視図である。
【図14】巻枠ユニットの渡線巻枠からコイル巻枠への渡線段階の作動を示す斜視図である。
【図15】巻枠ユニットの渡線巻枠上昇段階の作動を示す斜視図である。
【図16】巻枠ユニットの断面図である。
【図17】巻枠ユニットの原位置状態を示す作動説明図である。
【図18】原位置状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図19】巻枠ユニットの開度調整状態を示す作動説明図である。
【図20】開度調整状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図21】巻枠ユニットの巻線待機状態を示す作動説明図である。
【図22】巻枠ユニットの巻線状態を示す作動説明図である。
【図23】巻枠ユニットとインサータツールの結合状態を示す作動説明図である。
【図24】結合状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図25】巻枠ユニットの巻枠閉鎖状態を示す作動説明図である。
【図26】巻枠閉鎖状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図27】巻枠ユニットのコイル離脱状態を示す作動説明図である。
【図28】コイル離脱状態での巻枠ユニットとインサータツールの各部材の位置関係を示す部分断面斜視図である。
【図29】巻枠ユニットを上昇させた動作完了状態を示す作動説明図である。
【図30】電動機コアへのインサータツールの結合状態を示す作動説明図である。
【図31】電動機コアへのコイル挿入状態を示す作動説明図である。
【図32】電動機コアのスロットとインサータツールのブレードの結合状態での位置関係を示す断面図である。
【符号の説明】
M/W ワイヤ
A 巻枠ユニット
B インサータツール(受け具)
C 電動機コア
5 コイル巻枠(巻枠)
8 ブレード
50 開閉機構
52 固定枠
53 可動枠
54 ピン(枢着点)
55 コイルスプリング(引張手段)
56 カム
59B 閉鎖用レバー
Claims (10)
- 任意の軸線回りに回転駆動しながらコイルを形成するワイヤを巻枠の周面に巻付ける巻回工程と、該巻回工程により形成された巻上げ後のコイルを巻枠から受け具に渡す受渡し工程とを含むコイル形成方法において、
受渡しのために巻枠を受け具に結合させる際に、結合過程での巻枠と受け具の係合作動により巻枠の周面をコイル離脱可能状態に閉縮させることを特徴とする電動機コイル形成方法。 - 前記巻枠は、共通の巻枠ユニットのインデックス軸周りに複数配置され、各巻枠は、巻枠ユニットの旋回により任意の軸線回りに回転可能な位置に、インデックス軸回りの回転により順次角度方向設定可能とされるとともに、任意の軸線と同方向に軸線方向移動可能とされ、
前記巻回工程は、各巻枠の前記角度方向設定による前記軸線方向移動状態で各巻枠ごとになされる、請求項1記載の電動機コイル形成方法。 - 前記受渡し工程における各巻枠の閉縮は、各巻枠を全て同じ軸線方向位置として、巻枠ユニットと受け具の結合により、各巻枠について同時になされる、請求項2記載の電動機コイル形成方法。
- 任意の軸線回りに回転駆動され、コイルを形成するワイヤが周面に巻付けられる巻枠と、巻上げ後のコイルを該巻枠から受取る受け具とを備える電動機コイル形成装置において、
前記巻枠は、該巻枠から受け具へのコイルの移動のための受け具との結合により、巻枠をコイル離脱可能状態に閉縮させる開閉機構を備えることを特徴とする電動機コイル形成装置。 - 前記開閉機構は、前記巻枠に内蔵された、請求項4記載の電動機コイル形成装置。
- 前記巻枠は、固定枠と、該固定枠に対して開閉可能な可動枠とを備え、前記開閉機構は、可動枠を固定枠に対して開閉動させるものである、請求項4又は5記載の電動機コイル形成装置。
- 前記固定枠と可動枠は、それら相互の枢着点回りの回転により開閉可能とされ、相互に引張手段により閉鎖方向に付勢され、固定枠と可動枠との間に配置されたカムの引張手段による閉鎖方向への付勢力に抗する回転により開閉される、請求項6記載の電動機コイル形成装置。
- 前記開閉機構は、前記カムを回転させるレバーを備え、前記巻枠は、レバーの回転により開閉される、請求項7記載の電動機コイル形成装置。
- 前記受け具は、巻上げられたコイルの巻回部分の内側で巻枠内に挿入可能なブレードを備え、前記レバーは、受け具のブレードとの当接により回転する、請求項8記載の電動機コイル形成装置。
- 前記巻枠は、共通の巻枠ユニットのインデックス軸周りに複数配置され、各巻枠は、巻枠ユニットの旋回により任意の軸線回りに回転可能な位置に、インデックス軸回りの回転により順次角度方向設定可能とされるとともに、任意の軸線と同方向に軸線方向移動可能とされた、請求項4〜9のいずれか1項記載の電動機コイル形成装置。
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