JP2005060255A - カルボキサミド類及びこれを有効成分とする有害生物防除剤 - Google Patents

カルボキサミド類及びこれを有効成分とする有害生物防除剤 Download PDF

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Eiji Takizawa
英二 滝澤
Itaru Okada
至 岡田
Kazuhiko Kikutake
和彦 菊武
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Nihon Nohyaku Co Ltd
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Abstract

【解決手段】式(I):
【化1】
Figure 2005060255

{式中、WはW又はW、QはQ〜Qなど、
【化2】
Figure 2005060255

(式中、RはC〜Cアルキル、RはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、RはH、ハロゲン、Xはハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、OH、CN、アルキルスルホニル等、nは0〜5。)、RはH、
〜Cアルキル。)}で表されるカルボキサミド類、該化合物を有効成分する殺菌・殺虫・殺ダニ剤及びその使用方法。
【効果】各種病原菌に対しても高い防除効果を示し、また、昆虫、ダニ類などの有害生物、特に従来の殺虫剤に抵抗性を示す各種害虫に対しても高い防除効果を低薬量で示す。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なカルボキサミド類及びこれらを有効成分として含有する有害生物防除剤並びに該防除剤の使用方法に関する。本発明の新規なカルボキサミド類は、農園芸用殺菌剤、殺虫剤及び殺ダニ剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
農園芸分野では、各種病害虫の防除を目的とした様々な殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤が開発され実用に供されている。しかしながら、従来汎用されている農薬では効果、スペクトラム、残効性の点あるいは施用薬量の低減等の要求を満足しているとは言えないものであった。
加えて、従来汎用の農薬に対して抵抗性を獲得した病害虫の出現も問題となっている。例えば、野菜、果樹、花卉、茶、ムギ類及びイネ等の栽培において、例えば、カーバメート系、ピレスロイド系、ベンゾイルウレア系、有機塩素系、有機リン系等の様々な型の殺虫剤に抵抗性を獲得した種々の害虫や、例えば、トリアゾール系、イミダゾール系、ピリミジン系、ベンズイミダゾール系、ジカルボキシイミド系、フェニルアミド系等の様々な型の殺菌剤等に抵抗性を獲得した種々の病原菌が各地で出現しており、これらの抵抗性害虫に起因する各種病害虫の防除が年々困難になっている。
従来汎用の農園芸用殺虫剤や殺菌剤に抵抗性を獲得した各種病原菌や害虫に対しても低薬量で十分な防除効果を示し、しかも環境への悪影響が少ない新規な農薬の出現が常に望まれている。
【0003】
N−ベンジルピラゾール−5−カルボキサミド誘導体が殺虫、殺ダニ活性を有することは本発明者らによって見いだされており、下記化合物等が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【化4】
Figure 2005060255
また、フェノキシ基を有する下記化合物等が殺虫、殺ダニ活性を示すことが開示されている。
【化5】
Figure 2005060255
【0004】
一方、本発明化合物と類似の構造を有するN−ピリジルメチルピラゾール−5−カルボキサミド誘導体としては、本発明化合物のXに該当する置換基がアルキル基である下記化合物(A)等が、殺虫、殺ダニ活性及び疫、べと病菌に代表される殺菌活性を有するとして記載されている(例えば、特許文献3参照。)。
【化6】
Figure 2005060255
また、下記化合物(B)等が殺虫、殺ダニ及び殺菌活性を有することが見出されている(例えば、特許文献4参照。)。
【化7】
Figure 2005060255
【0005】
さらに、下記化合物(C)等が同様の活性を有することが見出されている(例えば、特許文献5参照。)。
【化8】
Figure 2005060255
しかしながら、上記従来文献には本発明化合物のように含窒素芳香族5員環にベンゼン環が直接結合した化合物は全く記載がない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭64−25763号公報
【特許文献2】
特開平3−81266号公報
【特許文献3】
特開平2−62876号公報
【特許文献4】
特開平4−23518号公報
【特許文献5】
特開平5−255268号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、各種病原菌に対しても高い防除効果を示し、また、昆虫、ダニ類などの有害生物の防除に有用な新しい物質を提供することにあり、特に従来の殺虫剤に抵抗性を示す各種害虫に対しても高い防除効果を示し、更に低薬量で効果を奏し、残留毒性や環境汚染等の問題が軽減された安全性の高い物質を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、一般式(I)に示すフェニル含窒素芳香族5員環骨格を有し、ある特定の置換基の組み合わせを有する新規なカルボキサミド類が上記の要求を満足する優れた殺菌、殺虫、殺ダニ活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は下記一般式(I):
【化9】
Figure 2005060255
{式中、WはW又はW
【化10】
Figure 2005060255
(式中、RはC〜Cアルキル基を示し、RはC〜Cアルキル基又はC〜Cアルコキシ基を示し、Rは水素原子又はハロゲン原子を示す。)を示し、QはQ〜Q
【化11】
Figure 2005060255
(式中、Xは同一又は異なっても良く、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、ハロC〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ハロC〜Cアルコキシ基、C〜Cアルケニルオキシ基、ハロC〜Cアルケニルオキシ基、ヒドルキシル基、シアノ基、C〜Cアシルオキシ基、C〜Cアルキルチオ基、ハロC〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、ハロC〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基又はハロC〜Cアルキルスルホニル基から選択される置換基を示し、nは0〜5の整数を示す。)を示し、Rは水素原子又はC〜Cアルキル基を示す。}を示す。}で表されるカルボキサミド類及び該カルボキサミド類を有効成分として含有する有害生物防除剤に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(I)で表わされるカルボキサミド類の定義において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。C〜Cアルキル基とは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、イソペンチル基、2−エチルプロピル基、ネオペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−メチルイソブチル基等の炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖若しくは環状アルキル基を示し、C〜Cアルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、2−メチルブトキシ基、3−メチルブトキシ基、イソペントキシ基、2−エチルプロポキシ基、ネオペントキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、2−メチルイソブトキシ基等の炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルコキシ基を示す。
【0011】
ハロC〜Cアルキル基とは、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ジフルオロメチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1−(トリフルオロメチル)エチル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル基等の同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルキル基を示す。ハロC〜Cアルコキシ基とは、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリブロモメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、1−(トリフルオロメチル)エトキシ基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロポロポキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシ基等の同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルコキシ基を示す。C〜Cアルケニルオキシ基とは、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、メタリルオキシ基、クロチルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−メチル−2−ブテニルオキシ基、3−メチル−2−ブテニルオキシ基等の炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖アルケニルオキシ基を示す。ハロC〜Cアルケニルオキシ基とはフルオロプロペニルオキシ基、クロロプロペニルオキシ基、ジフルオロプロペニルオキシ基、ジクロロプロペニルオキシ基、トリフルオロプロペニルオキシ基等の同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖アルケニルオキシ基を示す。
【0012】
〜Cアシルオキシ基とはアセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、シクロプロパンカルボニルオキシ基、バレリルオキシ基等の炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖若しくは環状のアシルオキシ基を示す。C〜Cアルキルチオ基とは、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、3−メチルブチルチオ基、イソペンチルチオ基、2−エチルプロピルチオ基、ネオペンチルチオ基等の炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルキルチオ基を示す。ハロC〜Cアルキルチオ基とは、フルオロメチルチオ基、クロロメチルチオ基、ブロモメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、ジフルオロエチルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、トリクロロメチルチオ基、トリブロモメチルチオ基、2−フルオロエチルチオ基、2,2,2−トリフルオロエチルチオ基、1−(トリフルオロメチル)エチルチオ基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルチオ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルチオ基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルチオ基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルチオ基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルチオ基等の同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルキルチオ基を示す。
【0013】
〜Cアルキルスルフィニル基とは、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、n−プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、n−ブチルスルフィニル基、sec−ブチルスルフィニル基、イソブチルスルフィニル基、tert−ブチルスルフィニル基、n−ペンチルスルフィニル基、2−メチルブチルスルフィニル基、3−メチルブチルスルフィニル基、イソペンチルスルフィニル基、2−エチルプロピルスルフィニル基、ネオペンチルスルフィニル基等の炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルキルスルフィニル基を示す。ハロC〜Cアルキルスルフィニル基とは、フルオロメチルスルフィニル基、クロロメチルスルフィニル基、ブロモメチルスルフィニル基、ジフルオロメチルスルフィニル基、ジフルオロエチルスルフィニル基、トリフルオロメチルスルフィニル基、トリクロロメチルスルフィニル基、トリブロモメチルスルフィニル基、2−フルオロエチルスルフィニル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル基、1−(トリフルオロメチル)エチルスルフィニル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルスルフィニル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルスルフィニル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルスルフィニル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルスルフィニル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルスルフィニル基等の同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルキルスルフィニル基を示す。
【0014】
〜Cアルキルスルホニル基とは、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホニル基、2−メチルブチルスルホニル基、3−メチルブチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、2−エチルプロピルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基等の炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホニル基を示す。ハロC〜Cアルキルスルホニル基とは、フルオロメチルスルホニル基、クロロメチルスルホニル基、ブロモメチルスルホニル基、ジフルオロメチルスルホニル基、ジフルオロエチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、トリクロロメチルスルホニル基、トリブロモメチルスルホニル基、2−フルオロエチルスルホニル基、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル基、1−(トリフルオロメチル)エチルスルホニル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルスルホニル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルスルホニル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルスルホニル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルスルホニル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルスルホニル基等の同一又は異なっても良い1以上のハロゲン原子により置換された炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホニル基を示す。
【0015】
本発明の一般式(I)で表される化合物のうち、置換基Rとして特に好ましくはメチル基であり、置換基Rとして好ましくはC〜Cの直鎖アルキル基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基であり、置換基Rとして特に好ましくは水素原子であり、置換基Rとして特に好ましくは水素原子であり、置換基Xとして好ましくはハロC〜Cアルキル基又はハロC〜Cアルコキシ基であり、特に好ましくはトリフルオロメトキシ基又はジフルオロメトキシ基であり、置換位置としては4位のものが好ましく、nとして特に好ましくは1である。
本発明の一般式(I)で示される化合物は新規化合物であり、例えば下記反応式に従って製造することができる。
【0016】
製造方法1.
【化12】
Figure 2005060255
(式中、W、R及びQは前記に同じくし、halはハロゲン原子を示す。)
即ち、カルボン酸ハライド類(II)とフェニル含窒素芳香族5員環メチルアミン類(III)とを塩基の存在下又は非存在下、好ましくは溶媒を用いて反応させることにより、製造することができる。
【0017】
本反応で使用できる溶媒としては、本反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、アセトニトリル、水、ジメチルスルホキシド、ピリジン等を挙げることができる。
塩基としては、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類等を挙げることができる。塩基の使用量は一般式(II)で表されるカルボン酸ハライド類に対して0.8倍モル〜2倍モルの範囲で適宜選択すれば良い。
【0018】
反応温度は−10℃〜50℃の範囲で適宜選択すればよいが、好ましくは0℃〜25℃の範囲である。反応時間は反応スケール、反応温度により一定しないが、1時間〜48時間の範囲で適宜選択すれば良い。本反応は等モル反応であるので一般式(II)で表されるカルボン酸ハライド類と一般式(III)で表されるフェニル含窒素芳香族5員環メチルアミン類を等モル反応させれば良いが、いずれかを過剰に用いることもできる。
反応終了後、目的物である一般式(I)で表される化合物を単離するには、水に溶解する溶媒を用いた場合は、減圧下溶媒を留去し、水を加えた後、水に不溶のベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等で抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥し、減圧下で溶媒を留去すれば良い。水に不溶の溶媒を用いた場合は、反応混合物に水を加えた後分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥し、減圧下で溶媒を留去すれば良い。必要に応じて、溶媒留去後得られた残渣を再結晶、懸濁洗浄、カラムクロマトグラフィー等の方法で精製することができる。
【0019】
製造方法2.
また、下記反応に従って製造することもできる。
【化13】
Figure 2005060255
{式中、R、W、X、n及びQは前記に同じくし、ZはZ〜Z
【化14】
Figure 2005060255
(式中、Yは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチルスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基等の脱離基を示す。)を示す。}
【0020】
即ち、一般的には鈴木−宮浦カップリング反応として知られる反応であり、一般式(IV)で表されるカルボキサミド類と一般式(V)で表されるフェニルホウ酸類とを塩基及びリガンドの存在下又は非存在下、遷移金属触媒の存在下、好ましくは溶媒を用いて反応させることにより製造することができる。
本反応で使用できる溶媒としては、本反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、アセトニトリル、水、ジメチルスルホキシド、ピリジン等を挙げることができる。
塩基としては、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類等を挙げることができる。塩基の使用量は一般式(IV)で表されるカルボキサミド類に対して0.8倍モル〜2倍モルの範囲で適宜選択すれば良い。
【0021】
遷移金属触媒としては、例えば、酢酸パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム及びトリス(ジベンジルアセトン)パラジウム等のパラジウム化合物類、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルクロリド及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケルなどのニッケル化合物等を挙げることができる。遷移金属触媒の使用量は一般式(IV)で表されるカルボキサミド類に対して0.0001倍モル〜0.2倍モルの範囲で適宜選択すれば良いが、好ましくは0.001倍モル〜0.1倍モルの範囲である。
リガンドとしては、例えば、トリフェニルホスフィン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン、1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパン、1,4−ビスジフェニルホスフィノブタン等のホスフィン類等を挙げることができる。リガンドの使用量としては遷移金属触媒に対して0.5倍モル〜100倍モルの範囲で適宜選択すれば良いが、好ましくは等モル〜10倍モルの範囲である。
【0022】
反応温度は0℃〜150℃の範囲で適宜選択すれば良いが、好ましくは室温〜120℃の範囲である。反応時間は反応スケール、反応温度により一定しないが、1時間〜48時間の範囲で適宜選択すれば良い。本反応は等モル反応であるので一般式(IV)で表されるカルボキサミド類と一般式(V)で表されるフェニルボロン酸類を等モル反応させれば良いが、いずれかを過剰に用いることもできる。
反応終了後、目的物である一般式(I)で表される化合物を単離するには、水に溶解する溶媒を用いた場合は、減圧下溶媒を留去し、水を加えた後、水に不溶のベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等で抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥し、減圧下で溶媒を留去すれば良い。水に不溶の溶媒を用いた場合は、反応混合物に水を加えた後分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥し、減圧下で溶媒を留去すれば良い。必要に応じて、溶媒留去後得られた残渣を再結晶、懸濁洗浄、カラムクロマトグラフィー等の方法で精製することができる。
原料の一般式(IV)で表されるカルボキサミド類は、製造方法1に準じて製造することができる。一般式(V)で表されるフェニルホウ酸類は市販の試薬を使用することもできるが、公知の方法(J. Am. Chem. Soc., 80. 4291 (1958)、”Method of Element−organic Chemistry”, Vol. 1, North−Holland (1967).P.20.等)に準じて製造することもできる。
【0023】
製造方法3.
本発明の一般式(I)で表される化合物のうち、QがQである化合物(I−1)は下記反応式に従って製造することができる。
【化15】
Figure 2005060255
(式中、R、W、X、hal、nは前記に同じ。)
【0024】
即ち、一般式(VI)で表されるベンズアルデヒドオキシム類にN−クロロコハク酸イミド等のハロゲン化剤を室温で反応させ、一般式(VII)で表されるα−ハロゲン化オキシム類とした後、該α−ハロゲン化オキシム類を単離することなく一般式(VII)で表されるカルボキサミド類を塩基の存在下、好ましくは溶媒を用いて反応させることにより製造することができる。
本反応で使用できる溶媒としては、本反応を阻害しないものであれば特に限定されず、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン等の溶媒を挙げることができる。
ハロゲン化剤としては、N−クロロコハク酸イミドの他にN−ブロモコハク酸イミド、塩化スルフリル、次亜塩素酸ナトリウム等を使用することができる。ハロゲン化剤の使用量は一般式(VI)で表されるベンズアルデヒドオキシム類に対して0.8倍モル〜2倍モルの範囲で適宜選択すれば良い。
【0025】
塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類を挙げることができる。塩基の使用量は一般式(VIII)で表されるカルボキサミド類に対して0.8倍モル〜2倍モルの範囲で適宜選択すれば良い。反応温度は−50℃〜50℃の範囲で適宜選択すれば良いが、好ましくは−20℃〜室温の範囲である。反応時間は反応スケール、反応温度により一定しないが、1時間〜48時間の範囲で適宜選択すれば良い。
反応後、目的物である一般式(I−1)の化合物を単離するには、減圧下溶媒を留去し、水を加えた後、水に不溶のベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等で抽出し、飽和食塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥し、減圧下で溶媒を留去すればよい。溶媒留去後得られた残渣を必要に応じて再結晶、懸濁洗浄、カラムクロマトグラフィー等で精製すれば目的物である一般式(I−1)で表わされる化合物を製造することができる。
【0026】
製造方法4.
本発明の一般式(I)で示される化合物のうちQがQである化合物(I−2)は下記反応式に従って製造することもできる。
【化16】
Figure 2005060255
(式中、W、R、X、hal、nは前記に同じ。)
即ち、一般式(IX)で表されるカルボキサミド類と一般式(X)で表されるベンゾイルハライド類とを塩基の存在下、好ましくは溶媒を用いて反応させることにより製造できる。
【0027】
本反応で使用できる溶媒としては、本反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水、ピリジン等の極性溶媒等を挙げることができる。
塩基としては、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム等のアルカリ金属水素化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン、トリエチルアミン等の有機塩基類等を挙げることができる。塩基の使用量は一般式(IX)で表されるカルボキサミド類に対して0.8倍モル〜2倍モルの範囲で適宜選択すれば良い。
反応温度は室温〜反応溶媒の沸点域の範囲で適宜選択すれば良い。反応時間は反応スケール、反応温度により一定しないが、1時間〜48時間の範囲で適宜選択すれば良い。
【0028】
反応後、目的物である一般式(I−2)で表される化合物を単離するには、水に溶解する溶媒を用いた場合は、減圧下溶媒を留去し、水を加えた後、水に不溶のベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類等で抽出し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥し、減圧下で溶媒を留去すればよい。溶媒留去後得られた残渣を必要に応じて再結晶、懸濁洗浄、カラムクロマトグラフィー等で精製すれば目的物である一般式(I−2)で表わされる化合物を製造できる。
【0029】
以下に一般式(I)で表されるカルボキサミド誘導体の代表例を第1表乃至第7表に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
【表1】
Figure 2005060255
【0031】
【表2】
Figure 2005060255
【0032】
【表3】
Figure 2005060255
1)目的物/原料3−エチル−1−メチル−N−プロパギルピラゾール−5−カルボキサミド=60/40
2)目的物/原料3−エチル−1−メチル−N−プロパギルピラゾール−5−カルボキサミド=50/50
3)目的物/原料1−メチル−3−プロピル−N−プロパギルピラゾール−5−カルボキサミド=80/20
【0033】
【表4】
Figure 2005060255
【0034】
【表5】
Figure 2005060255
【0035】
【表6】
Figure 2005060255
【0036】
【表7】
Figure 2005060255
【0037】
【実施例】
以下、本発明を製造実施例、製剤例、試験例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの例に限定されるものではない。
実施例1. 3−エチル−1−メチル−N−[2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)チアゾール−5−イル]メチルピラゾール−5−カルボキサミド(化合物No.3)の製造
特開平5−255268号公報記載の方法に準じて合成したN−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボキサミド(1.00g、3.51ミリモル)、4−トリフルオロメトキシフェニルホウ酸(0.80g、3.86ミリモル)、2M炭酸ナトリウム水溶液(3.5ml、7.0ミリモル)とトルエン(7.0ml)の混合物を窒素気流下80℃に昇温後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.12g、0.096ミリモル)を加え、加熱還流下6時間撹拌した。反応混合物に水(20ml)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物1.07gを得た。
収率:74%
物性:融点 106〜108℃
【0038】
実施例2. 3−エチル−1−メチル−N−(3−フェニルイソキサゾール−5−イル)メチルピラゾール−5−カルボキサミド(化合物No.31)の製造ベンズアルデヒドオキシム(0.73g、6.03ミリモル)のTHF(14ml)溶液中にN−クロロコハク酸イミド(0.96g、7.23ミリモル)を加え、室温で1時間撹拌後、3−エチル−1−メチル−N−プロパギルピラゾール−5−カルボキサミド(0.57g、2.98ミリモル)とトリエチルアミン(0.73g、7.23ミリモル)を加え室温で5時間撹拌した。減圧下濃縮し、残渣に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物0.75gを得た。
収率:81%
物性:融点 121〜122℃
【0039】
実施例3. 3−エチル−1−メチル−N−[1−メチル−5−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピラゾール−3−イル]メチルピラゾール−5−カルボキサミド(化合物No.51)の製造
1−メチル−5−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピラゾール−3−イルメチルアミン(0.26g、1.02ミリモル)とトリエチルアミン(0.10g、0.99ミリモル)の酢酸エチル溶液に3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボン酸クロリド(0.17g、0.99ミリモル)を氷水冷却下に滴下し0.5時間撹拌後、室温にして3時間撹拌した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた結晶をヘキサン洗浄し、目的物0.33gを得た。
収率:85%
物性:融点 124〜125℃
【0040】
実施例4. 1,3−ジメチル−N−[3−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]メチルピラゾール−5−カルボキサミド(化合物No.59)の製造
4−1) α−アミノ−4−トリフルオロメトキシベンズアルデヒドオキシムの製造
4−トリフルオロメトキシベンゾニトリル(15.0g、80.1ミリモル)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(11.1g、160ミリモル)、トリエチルアミン(22ml、158ミリモル)のエタノール(90ml)溶液を、2時間加熱還流した。減圧下濃縮し、得られた結晶を水で洗浄後乾燥して目的物14.8gを得た。
収率:84%
物性:融点 117〜111℃
4−2) [3−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]メチルカルバミン酸tert−ブチルエスチルの製造
Boc−グリシン(5.96g、34.0ミリモル)のTHF(30ml)溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(7.36g、45.4ミリモル)を加え、室温で1時間撹拌した。ここに4−1)で得たα−アミノ−4−トリフルオロメトキシベンズアルデヒドオキシム(5.00g、22.7ミリモル)を加え4時間加熱環流した。水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減厚下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物6.71gを得た。
収率:82%
物性:融点 105〜107℃
【0041】
4−3) 3−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−1,2,4−オキシジアゾール−5−イルメチルアミン塩酸塩の製造
4−2)で得た[3−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イルメチル]カルバミン酸tert−ブチルエスチル(6.38g、17.8ミリモル)に4N−HCl・ジオキサン(45ml)を加え、1時間撹拌した。折出物をろ取し、ジオキサンで洗浄後乾燥し、目的物4.75gを得た。
収率:90%
物性:融点 235−240℃(分解)
4−4) 1,3−ジメチル−N−[3−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]メチルピラゾール−5−カルボキサミド(化合物No.59)の製造
4−3)で得た3−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イルメチルアミン塩酸塩(0.40g、1.35ミリモル)とトリエチルアミン(1ml、7.12ミリモル)のジクロロエタン(10ml)混合物を0〜5℃に冷却後、1,3−ジメチルピラゾール−5−カルボン酸クロリド(0.22g、1.39ミリモル)を加え、30分間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を希塩酸、水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物0.50gを得た。
収率:97%
物性:融点 127〜129℃
【0042】
実施例5. 3−エチル−1−メチル−N−[5−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]ピラゾール−5−カルボキサミド(化合物No.71)の製造
5−1) N−シアノメチル−3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボキサドの製造
アミノアセトニトリル塩酸塩(5.09g、55.0ミリモル)とトリエチルアミン(15.2g、150ミリモル)の酢酸エチル懸濁液に3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボン酸クロリド(8.63g、50.0ミリモル)を氷水冷却下に滴下し0.5時間撹拌後、室温にして3時間撹拌した。水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、目的物5.34gを得た。
収率:56%
物性: 屈折率(n)1.5110(25℃)
【0043】
5−2) N−(2−アミノ−2−ヒドロキシイミノエチル)−3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボキサミドの製造
5−1)で得たN−シアノメチル−3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボキサド(2.97g、15.5ミリモル)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.81g、26.0ミリモル)とトリエチルアミン(2.63g、26.0ミリモル)をエタノール(20ml)中で0.5時間加熱還流した。溶媒を減圧下で留去し、目的物2.60gを得た。
収率:75%
物性:融点 161〜163℃
5−3) 3−エチル−1−メチル−N−[5−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル]メチルピラゾール−5−カルボキサミド(化合物No.71)の製造
5−2)で得たN−(2−アミノ−2−ヒドロキシイミノエチル)−3−エチル−1−メチルピラゾール−5−カルボキサミド(0.23g、1.02ミリモル)と4−トリフルオロメトキシベンゾイルクロリド(0.22g、0.98ミリモル)をピリジン(1ml)中で1時間加熱還流した。減圧下濃縮し、残渣に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物0.08gを得た。
収率:21%
物性:融点 108℃〜110℃
【0044】
一般式(I)で表される本発明化合物はいもち病菌、うどんこ病菌、さび病菌、ベと病菌等の植物病原菌に対して高い殺菌効果を有しており、農園芸用の殺菌剤の有効成分として有用である。また、本発明の化合物はセジロウンカ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、オオヨコバイ等のヨコバイ類、モモアカアブラムシ等のアブラムシ類等の半翅目;ハスモンヨトウ、ニカメイチュウ、コブノメイガ、コナガ類等の鱗翅目;アズキゾウムシ等の鞘翅目、イエバエ、ネッタイシマカ、アカイエカ等の双翅目、直翅目の昆虫、並びにナミハダニ、ニセナミハダニ、ミカンハダニ等のダニ目の卵及び幼虫に対して高い防除活性を有しているので、農園芸用の殺虫剤及び殺ダニ剤の有効成分としても有用である。もっとも、本発明の化合物の防除対象になる植物病原菌、昆虫、ダニは上記に例示したものに限定されることはない。
【0045】
一般式(I)で示される本発明化合物を農園芸用の殺菌剤、殺虫剤、及び/又は殺ダニ剤として使用するには、単独で用いることもできるが、農薬製剤分野で汎用される農薬補助剤を用いて製造した製剤組成物の形態で用いることが好ましい。製剤組成物の形態は特に限定されないが、たとえば乳剤、水和剤、粉剤、フロアブル剤、細粒剤、粒剤、錠剤、油剤、噴霧剤、煙霧剤等の形態とすることが好適である。また、本発明化合物の1種又は2種以上を有効成分として配合することができる。
上記の農園芸用の殺菌剤、殺虫剤、及び/又は殺ダニ剤を製造するために用いられる農薬補助剤は例えば、農園芸用の殺菌剤、殺虫剤、及び/又は殺ダニ剤の効果の向上、安定化、分散性の向上等の目的で使用することができる。たとえば、担体(希釈剤)、展着剤、乳化剤、湿展剤、分散剤、崩壊剤等を用いることができる。
【0046】
液体担体としては、水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、ブタノール、グリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチルナフタレン、シクロヘキサン、動植物油、脂肪酸等を挙げることができる。また、固体担体としては、クレー、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、モンモリナイト、ベントナイト、長石、石英、アルミナ、鋸屑、ニトロセルロース、デンプン、アラビアゴム等を用いることができる。
乳化剤、分散剤も、通常の界面活性剤を使用することができ、例えば、高級アルコール硫酸ナトリウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリルベタイン等の陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤等を用いることができる。また、ポレオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル等の展着剤;ジアルキルスルホサクシネート等の湿展剤;カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の固着剤;リグニンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の崩壊剤を用いることができる。
【0047】
本発明の農園芸用殺菌剤、殺虫剤、及び/又は殺ダニ剤における有効成分の含有量は0.1〜99.5%の範囲から選ばれ、製剤形態、施用方法等の種々の条件により適宜決定すればよいが、例えば、粉剤では約0.5〜20重量%程度、好ましくは1〜10重量%、水和剤では約1〜90重量%程度、好ましくは10〜80重量%、乳剤では約1〜90重量%程度、好ましくは10〜40重量%の有効成分を含有するように製造することが好適である。
例えば、乳剤の場合、有効成分である上記化合物に対して溶剤及び界面活性剤等を混合して原液の乳剤を製造することができ、さらにこの原液を使用に際して所定濃度に水で希釈して施用することができる。水和剤の場合、有効成分の上記化合物、固形担体、及び界面活性剤等を混合して水和剤を製造し、さらにこの水和剤を使用に際して所定濃度に水で希釈して施用することができる。粉剤の場合、有効成分の上記化合物、固形担体等を混合してそのまま施用することができる。粒剤の場合には、有効成分の上記化合物、固形担体、及び界面活性剤等を混合して造粒することにより製造し、そのまま施用することができる。もっとも、上記の各製剤形態の製造方法は上記のものに限定されることはなく、有効成分の種類や施用目的等に応じて当業者が適宜選択することができるものである。
【0048】
本発明の農園芸用殺菌剤、殺虫剤、及び/又は殺ダニ剤には、有効成分である本発明の化合物以外に、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、昆虫生育調整剤、肥料、土壌改良剤等の任意の有効成分を配合してもよい。本発明の農園芸用殺菌剤、殺虫剤、及び/又は殺ダニ剤の施用方法は特に限定されるものではなく、茎葉散布、水面施用、土壌処理、種子処理等いずれの方法でも施用することができる。例えば、茎葉散布の場合、5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppmの濃度範囲の溶液を10アール当り100〜200リットル程度の施用量で用いることができる。水面施用の場合の施用量は通常、有効成分が5〜15%の粒剤では10アールあたり1〜10kgである。土壌処理の場合、5〜1000ppmの濃度範囲の溶液を1m当たり1〜10リットル程度の施用量で用いることができる。種子処理の場合、種子重量1kg当たり10〜1000ppmの濃度範囲の溶液を10〜100ml程度施用処理することができる。
【0049】
製剤例1.水和剤
本発明の化合物20重量部、カープレックス#80(ホワイトカーボン、塩野義製薬株式会社、商品名)20重量部、STカオリンクレー(カオリナイト、土屋カオリン社、商品名)52重量部、ソルポール9047K(アニオン性界面活性剤、東邦化学株式会社、商品名)5重量部、ルノックスP65L(アニオン性界面活性剤、東邦化学株式会社、商品名)3重量部を配合し、均一に混合粉砕して、有効成分20重量%の水和剤を得た。
製剤例2.粉剤
本発明の化合物2重量部、クレー(日本タルク社製)93重量部、カープレックス#80(ホワイトカーボン、塩野義製薬株式会社、商品名)5重量部を均一に混合粉砕して、有効成分2重量%の粉剤を製造した。
【0050】
製剤例3.乳剤
本発明の化合物20重量部をキシレン35重量部及びジメチルホルムアミド30重量部からなる混合溶媒に溶解し、これにソルポール3005X(非イオン性界面活製剤とアニオン性界面活製剤の混合物、東邦化学株式会社、商品名)15重量部を加えて、有効成分20重量%の乳剤を得た。
製剤例4.フロアブル剤
本発明の化合物30重量部とソルポール9047K 5重量部、ソルボンT−20(非イオン性界面活性剤、東邦化学株式会社、商品名)3重量部、エチレングリコール8重量部及び水44重量部ダイノミル(シンマルエンタープライゼス社製)で湿式粉砕し、このスラリー状混合物に1重量%キサンタンガム(天然高分子)水溶液10重量部を加え、よく混合粉砕して、有効成分30重量%のフロアブル剤を得た。
【0051】
試験例1.コムギうどんこ病に対する殺菌効果
本発明の各種化合物を製剤例3と同様にして調整した製剤を水で所定濃度に希釈して、径6cmのポットに育苗した1〜2葉期のコムギ(品質:農林61号)に、1ポット当たり10mlの割合で茎葉散布した。薬液風乾後、コムギうどんこ病菌(Erysophe graminis)に罹病したコムギ葉から得た胞子懸濁液を噴霧接種した後、温室内に7〜10日放置した。
評価は各種化合物についての発病面積比率を査定し、下記の式1より防除価を算出した。結果を第8表に示した。尚、比較化合物として前記の特開平2−62876号公報に開示された化合物(A)を用いた。
[式1]
Figure 2005060255
【0052】
試験例2 ナミハダニの成虫に対する殺ダニ効果
水を入れた試験管(容量:50ml)に初生葉1枚を残したいんげん苗の茎部を挿し、ナミハダニの雌成虫を1葉あたり15頭接種した。接種1日後にハダニの寄生した葉を、本発明の各種化合物を製剤例3の処方に従って製造した殺ダニ剤(乳剤)の水希釈液に浸漬処理(約5秒間)した(1濃度、2反復)。25℃の恒温室内に保持し、処理後5日目にいんげん葉上のハダニ雌成虫数を調査し、その結果に基づき殺成虫率(%)を求めた。結果を第9表に示した。尚、比較化合物として前記の特開平2−62876号公報に開示された化合物(A)を用いた。
【0053】
【表8】
Figure 2005060255
【0054】
【表9】
Figure 2005060255
【0055】
【表10】
Figure 2005060255
【0056】
【発明の効果】
本発明のピラゾールカルボキサミド類は、菌株、有害な昆虫、ダニ類に対して優れた防除効果を有し、農林業、防疫用の優れた殺虫、殺ダニ剤である。更に、畜産業、水産業の或いは各種の製品の保存上、公衆衛生上の各種有害生物に対する防除剤としても期待される。

Claims (11)

  1. 下記一般式(I):
    Figure 2005060255
    {式中、WはW又はW
    Figure 2005060255
    (式中、RはC〜Cアルキル基を示し、RはC〜Cアルキル基又はC〜Cアルコキシ基を示し、Rは水素原子又はハロゲン原子を示す。)を示し、QはQ〜Q
    Figure 2005060255
    (式中、Xは同一又は異なっても良く、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、ハロC〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ハロC〜Cアルコキシ基、C〜Cアルケニルオキシ基、ハロC〜Cアルケニルオキシ基、ヒドルキシル基、シアノ基、C〜Cアシルオキシ基、C〜Cアルキルチオ基、ハロC〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルキルスルフィニル基、ハロC〜Cアルキルスルフィニル基、C〜Cアルキルスルホニル基又はハロC〜Cアルキルスルホニル基から選択される置換基を示し、nは0〜5の整数を示す。)を示し、Rは水素原子又はC〜Cアルキル基を示す。)を示す。}で表されるカルボキサミド類。
  2. がメチル基である請求項1記載のカルボキサミド類。
  3. がメチル基又はエチル基である請求項1又は2記載のカルボキサミド類。
  4. Rが水素原子である請求項1乃至3のいずれか1項記載のカルボキサミド類。
  5. が水素原子である請求項1乃至4のいずれか1項記載のカルボキサミド類。
  6. XがハロC〜Cアルキル基又はハロC〜Cアルコキシ基である請求項1乃至5のいずれか1項記載のカルボキサミド類。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載のカルボキサミド類を有効成分として含有する有害生物防除剤。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項記載のカルボキサミド類を有効成分として含有する殺菌剤。
  9. 請求項1乃至6のいずれか1項記載のカルボキサミド類を有効成分として含有する殺虫・殺ダニ剤。
  10. 請求項8記載の殺菌剤の有効量を対象作物又は土壌に処理することを特徴とする殺菌剤の使用方法。
  11. 請求項9記載の殺虫・殺ダニ剤の有効量を対象作物又は土壌に処理することを特徴とする殺虫・殺ダニ剤の使用方法。
JP2003208055A 2003-08-20 2003-08-20 カルボキサミド類及びこれを有効成分とする有害生物防除剤 Pending JP2005060255A (ja)

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