JP2005059320A - 液体収容袋、液体収容体及び液体収容袋の製造方法 - Google Patents

液体収容袋、液体収容体及び液体収容袋の製造方法 Download PDF

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健朗 情野
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Abstract

【課題】 液体の収容体積を減少させずに、小型化を図ることができる液体収容袋、同液体収容袋を収容した液体収容体及び液体収容袋の製造方法を提供すること。
【解決手段】 プリンタのインクカートリッジに収容されるインクパック24は、フィルムの両側端部を互いに固着することにより第1の溶着部が形成されている。この第1の溶着部によって、フィルムが管状に形成されて袋部31となっている。さらに、袋部31の一方の開口は、供給部材27がフィルムの間に挟まれた状態で熱溶着されて第2の溶着部38となっている。また、袋部31の他方の開口は熱溶着により封止され、第3の溶着部39となっている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、液体収容袋、液体収容体及び液体収容袋の製造方法に関する。
液体噴射装置は、液体収容体と液体噴射ヘッドとを備え、液体収容体から導出された液体を液体噴射ヘッドから噴射して、同液体噴射ヘッドに対向するターゲットに吐出する。このような液体噴射装置として、例えばインクジェット式記録装置がある。
インクジェット式記録装置は、キャリッジと、同キャリッジに搭載された液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドと、液体収容体としてのインクカートリッジとを備えている。そして、キャリッジをターゲットとしての記録媒体に対して相対移動させながら、インクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給し、記録ヘッドに形成されたノズルからインクを吐出することによって、記録媒体に対して印刷が行われるようになっている。
このようなインクジェット式記録装置の中には、キャリッジへの負荷を低減させたり、装置を小型化、薄型化させたりするために、インクカートリッジをキャリッジに搭載させない構成(いわゆるオフキャリッジ型)とするものがある。そして、このようなインクカートリッジには、インクを収容するインクパックと、同インクパックを収容するケースとを備えているものがある。
このインクパックとして、例えば、図10に示すインクパック50がある。インクパック50は、2枚のフィルム51,52の4辺を互いに熱溶着して袋状に形成されている。また、図11に示すインクパック53もある。このインクパック53は、例えば4枚のフィルム54〜57の端部を互いに熱溶着して袋状に形成されている(例えば、特許文献1参照。)。これらのインクパック50,53は、各端部が熱溶着された溶着部Eを有しており、これらの溶着部Eによって袋状に形成されている。
特開2000−238291号公報
ところが、上記のインクパック50,53では、インクが収容された袋状部分から溶着部Eが外方に突出している。例えば、4枚のフィルム54〜57からなるインクパック53においては、図11中2点鎖線で示す溶着部Eが袋状部分から幅方向に突出するとともに、供給口側及び底部側から各溶着部Eが外方に突出している。このため、インクパックの長さ、幅、又は高さを大きくし、その結果、ケース内において溶着部Eを収容するスペースを確保する必要が生じることがある。又は、ケース自体の大きさの制限によって、収容するインク体積が少なくなってしまう場合がある。
本発明の目的は、液体の収容体積を減少させずに、小型化を図ることができる液体収容袋、同液体収容袋を収容した液体収容体及び液体収容袋の製造方法を提供することにある。
本発明の液体収容袋は、外部に液体を導出する液体導出部と、液体を収容するフィルムからなる液体収容部とを有する液体収容袋において、前記液体収容部は、1枚のフィルムの両側端部を互いに固着した第1の封止部と、前記第1の封止部によって、管状に形成された胴体部と、前記胴体部の一方の開口が、前記液体導出部を内側に挟んだ状態で封止さ
れた第2の封止部と、前記胴体部の他方の開口が封止された第3の封止部とを備えた。
これによれば、液体収容袋の液体収容部には、1枚のフィルムの両側端部を互いに固着した第1の封止部が形成される。そして、第1の封止部によって管状に形成された胴体部の一方の開口を液体導出部を挟んだ状態で封止した第2の封止部と、胴体部の他方の開口を封止した第3の封止部とが形成される。従って、前記液体収容部は、複数のフィルムを互いに固着して袋状に形成されるのではなく、1枚のフィルムを管状に曲げ、フィルムの両側の端部を封止するとともに、各開口を封止することで袋状に形成される。その結果、複数のフィルムを貼り合わせて袋を形成するよりも、胴体部に設けられる封止部を比較的少なくすることができる。すなわち、液体収容部から外方へ突出する封止部が少なくなることで、液体容積を減少させずに液体収容袋を小型化することができる。また、封止部が少なくなるため、液体収容部の端部を封止する工程を簡単にすることができる。
この液体収容袋において、前記管状の胴体部の側面に、その胴体部を長手方向に折り曲げられて形成されたマチ部が設けられている。
これによれば、管状の胴体部には、その胴体部を長手方向に折り曲げて形成されたマチ部が設けられているので、同液体収容部の液体容積を比較的大きくすることができる。また、胴体部に別のフィルムを貼り合わせることでマチ部を形成するのではなく、胴体部を折り曲げてマチ部を形成するので、外方に突出する封止部が新たに形成されることがない。
この液体収容袋において、前記第1の封止部は、前記マチ部から離間した位置に設けられている。
これによれば、第1の封止部は、マチ部から離間した位置に設けられているため、フィルムが複数重なるマチ部と、第1の封止部が重なることがない。このため、第2の封止部及び第3の封止部を形成する際、マチ部側の端部に更に第1の封止部が重なって、第1の封止部が封止の妨げになることがない。
この液体収容袋において、前記フィルムの内側と、前記液体導出部とは互いに熱溶着可能な材質からなるとともに、前記第1の封止部の基端は、前記液体導出部の一部と対向している。
これによれば、フィルムの内側と、液体導出部とは互いに熱溶着可能な材質からなる。また、第1の封止部の基端は、液体導出口の一部と対向している。このため、熱溶着により第2の封止部及び第3の封止部を形成する際、隙間が発生しやすい第1の封止部の基端に液体導出部が熱溶着されることにより、隙間を閉塞することができる。このため、第1の封止部の基端側のシール性を向上させることができる。
本発明の液体収容体は、外部に液体を導出する液体導出部と、液体を収容するフィルムからなる液体収容部とを有する液体収容袋と、同液体収容袋を収容するケースとを備えた液体収容体において、前記液体収容袋の前記液体収容部は、1枚のフィルムの両側端部を互いに固着した第1の封止部と、前記第1の封止部によって、管状に形成された胴体部と、前記胴体部の一方の開口が、前記液体導出部を内側に挟んだ状態で封止された第2の封止部と、前記胴体部の他方の開口が封止された第3の封止部とを備えた。
これによれば、ケースに収容される液体収容袋の液体収容部には、1枚のフィルムの両側端部を互いに固着した第1の封止部が形成される。そして、第1の封止部によって管状に形成された胴体部の一方の開口を液体導出部を挟んだ状態で封止した第2の封止部と、胴体部の他方の開口を封止した第3の封止部とが形成される。従って、前記液体収容部は、複数のフィルムを互いに固着して袋状に形成されるのではなく、1枚のフィルムを管状
に曲げ、フィルムの両側の端部を封止するとともに、各開口を封止することで袋状に形成される。その結果、複数のフィルムを貼り合わせて袋を形成するよりも、胴体部に設けられる封止部を比較的少なくすることができる。すなわち、液体収容部から外方へ突出する封止部が少なくなることで、液体容積を減少させずに液体収容袋を小型化することができる。従って、ケース内に封止部を収容するためのスペースを設ける必要がなく、効率良く液体収容袋を収容することができる。
この液体収容体において、前記管状の胴体部の側面に、その胴体部を長手方向に折り曲げられて形成されたマチ部が設けられている。
これによれば、液体収容部の胴体部には、その胴体部を長手方向に折り曲げて形成されたマチ部が設けられているので、同液体収容部の容積を比較的大きくすることができる。また、胴体部に新しいフィルムを貼り合わせることでマチ部を形成するのではなく、胴体部を折り曲げてマチ部を形成するので、外方に突出する封止部が新たに形成されることがない。
この液体収容体において、前記ケースに、前記液体収容袋を加圧する流体を導入する加圧流体導入口を設けた。
これによれば、液体収容体は、ケースに液体収容袋を加圧する流体を導入させる加圧流体導入口を備えている。このため、この加圧流体導入口を介して、流体を導入させることにより、前記液体収容袋を加圧することができるので、外部に液体を安定して導出できる。
この液体収容体において、前記液体収容袋は、前記第1の封止部が前記ケースの底面側に配置されて前記ケースに収容される。
これによれば、液体収容袋は、第1の封止部がケースの底面側に配置されてケースに収容されるため、ケース内において液体収容袋から外方へ突出することがない。このため、ケース内に封止部を収容するためのスペースを設ける必要がなくなる。
本発明の液体収容袋の製造方法は、外部に液体を導出する液体導出部と、液体を収容するフィルムからなる液体収容部とを有する液体収容袋の製造方法であって、1枚のフィルムの両側端部を互いに固着して第1の封止部を形成することにより、管状の胴体部を形成する第1の工程と、前記胴体部の一方の開口を、前記液体導出部を挟んだ状態で固着する第2の工程と、前記胴体部の他方の開口を固着して封止する第3の工程とを備えた。
これによれば、液体収容袋を製造する際に、1枚のフィルムの両側端部を互いに封止することにより、フィルムを管状にして胴体部を形成する。そして、胴体部の一方の開口を液体導出部を挟んだ状態で封止するとともに、他方の開口を封止してフィルムを袋状に形成する。従って、複数のフィルムを互いに封止して袋状に形成するよりも、封止部を少なくすることができるため、封止の工程を少なくすることができる。
この液体収容袋の製造方法において、前記第1の封止部と、前記胴体部の各開口とは、熱溶着により固着される。
これによれば、第1の封止部と、胴体部の各開口とは、熱溶着により固着されるため、比較的簡単に固着することができるとともに、生産性を良くすることができる。
この液体収容袋の製造方法において、前記胴体部の側面に、その胴体部を長手方向に折り曲げることによりマチ部を形成する工程をさらに備える。
これによれば、液体収容袋を製造する際に、胴体部を長手方向に折り曲げることによりマチ部を形成する工程をさらに備える。この工程では、胴体部に、新しいフィルムを貼り合わせることでマチ部を形成するのではなく、胴体部を長手方向に折り曲げてマチ部を形
成するので、比較的簡単にマチ部を形成することができる。
この液体収容袋の製造方法において、前記第1の工程は、前記マチ部と離間した位置に前記第1の封止部を設ける。
これによれば、液体収容袋の製造の際に、マチ部と離間した位置に前記第1の封止部を設ける。このため、マチ部と第1の封止部が重なることがない。すなわち、前記第2の工程又は第3の工程において、マチ部が設けられることによりフィルムが複数重なる端部を封止する際に、その端部にさらに第1の封止部が積層されて封止が妨げられるようなことがない。
この液体収容袋の製造方法において、前記第2の工程は、前記第1の封止部の基端の内側と、同第1の封止部と互いに熱溶着可能な材質からなる前記液体導出部とが対向した状態で、熱溶着する。
これによれば、第1の封止部の基端の内側と、液体導出部とは互いに熱溶着可能な材質からなり、第1の封止部の基端を、液体導出口の一部に対向させた状態で熱溶着する。このため、熱溶着により開口を封止する際、隙間が発生しやすい第1の封止部の基端に液体導出部が熱溶着されることにより、隙間を閉塞することができる。このため、第1の封止部の基端側のシール性を向上させることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9にしたがって説明する。図1は本実施形態の液体噴射装置としてのインクジェット式記録装置(以下、プリンタ11とする)の斜視図、図2はプリンタ11の要部斜視図である。図3は、プリンタ11に備えられるインクカートリッジ20の分解斜視図である。
図1に示すように、プリンタ11は、略直方体形状のフレーム12を備えている。そして、図2に示すように、このフレーム12内には、ガイド軸14、キャリッジ15、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド16を備えている。
ガイド軸14は棒状に形成され、フレーム12内に架設されている。キャリッジ15は、前記ガイド軸14に対して相対移動可能に貫挿されており、往復移動可能となっている。そして、キャリッジ15は、タイミングベルトを介してキャリッジモータ(いずれも図示せず)に接続され、このキャリッジモータの駆動によってガイド軸14に沿って往復移動する。
記録ヘッド16は、キャリッジ15の下面に設けられており、液体としてのインクを噴射するための複数のノズル(図示せず)を備えている。そして、記録ヘッド16は、図示しない紙送り手段によって搬送されたターゲットとしての記録媒体Pに向かって、前記ノズルの開口からインク滴を吐出する。
また、図1に示すように、フレーム12の前面にはカートリッジホルダ12aが設けられている。このカートリッジホルダ12aには、液体収容体としてのインクカートリッジ20が着脱可能に設けられている。本実施形態では、使用するインクの数に対応して、6個のインクカートリッジ20がカートリッジホルダ12aに配設されている。このインクカートリッジ20は、図3に示すように、ケース23内に、液体としてのインクを収容した液体収容袋であるインクパック24を備えている。このインクパック24は、液体導出部である供給部材27と可撓性のフィルムからなる液体収容部である袋部31(インク収容部)とにより形成されている。そして、カートリッジホルダ12aに配設されたインクカートリッジ20は、プリンタ11に設けられた板状の接続部21(図1参照)に接続さ
れる。
接続部21には、その長手方向に沿って、空気流路と供給部材27に挿入される液体導入部材であるインク供給針及びインク供給針と接続するインク流路とがそれぞれのインクカートリッジ20に対応するように本実施例では6本ずつ形成されている(いずれも図示せず)。接続部21の空気流路は、プリンタ11に備えられた加圧手段としての空気加圧ポンプ17と各インクカートリッジ20とを連通する流路を備えており、空気加圧ポンプ17から送出された空気を各インクカートリッジ20に分配する。接続部21から各インクカートリッジ20に導入された加圧流体である空気は、ケース23とインクパック24との隙間に流入される。この空気の流入によって、ケース23とインクパック24との間の隙間の圧力は上昇し、その結果、インクパック24が押圧される。このため、インクパック24からインクが押し出され、押し出されたインクは接続部21に形成された各インク供給針にそれぞれ導出される。
接続部21に形成された各インク流路は、同接続部21に接続された供給チューブ22(図2参照)に連通されている。帯状に形成された供給チューブ22には、接続部21に形成された各インク流路に対応して、図示しない6本のインク流路が形成されており、このインク流路は、接続部21のインク流路と記録ヘッド16とを連通している。従って、各インクカートリッジ20から接続部21に導出されたインクは、供給チューブ22を介して記録ヘッド16側に送出される。
次に、インクカートリッジ20について詳述する。図3に示すように、インクパック24を収容したケース23は、蓋部25及び本体ケース26から構成される。本体ケース26は、上面が開口した箱形状をなしている。本体ケース26の前面26aには、支持口28が形成されており、この支持口28は本体ケース26内部と外部とを連通している。本体ケース26の前面26aであって、支持口28の右側には、空気加圧ポンプ17と接続する加圧流体導入口である空気導入口29が形成されている。この空気導入口29は、本体ケース26内部と外部とを連通している。そして、空気導入口29は、インクカートリッジ20がカートリッジホルダ12aに配設された際に、前記接続部21に形成された空気流路に連通され、ケース23とインクパック24との間の隙間に空気を導入する流路として機能する。なお、空気導入口29は、インクカートリッジ20がカートリッジホルダ12aに装着されない時は大気と連通するように開放されており、ケース23内の内圧変化によってインクパック24を加圧することがないように形成されている。
本体ケース26の内側には、枠体26cが設けられている。インクパック24を加圧するための密閉空間を構成する枠体26cは、本体ケース26の内面と、若干間隔を空けた位置に設けられるとともに、上面が開口しており、ケース23の前面26a側に突出した部分を有する形状に形成されている。この枠体26cは、その内側に収容されるインクパック24を支持する。また、前記空気導入口29は、この枠体26cの内面において開口している。さらに、インクパック24を収容した枠体26cの上端面には、図示しないフィルムが貼着される。このため、枠体26c、本体ケース26の底面及び前記フィルムによって構成される空間は、ほぼ密閉状態に封止される。この空間には空気導入口29を介して空気加圧ポンプ17から送出された空気が導入される。
本体ケース26の内面と、枠体26cの外面との間は、溝部26dとなっている。溝部26dには、第1係合部26eが複数形成されている。この第1係合部26eは、枠体26c及び本体ケース26の間に架設された棒状の形状又は断面略コの字状をなしており、蓋部25の第2係合部25aを嵌合可能になっている。
蓋部25は、板状であって、略直方体形状をなしており、その縁端には第2係合部25
aが蓋部25から下方に向かって突出形成されている。この第2係合部25aは、先端に爪部25bを備えている。爪部25bは、蓋部25に対して外側に向かって突出しており、本体ケース26の溝部26dに設けられた第1係合部26eと係合可能に形成されている。そして、蓋部25は、枠体26cにインクパック24が収容され、枠体26cに前記フィルムが貼着された状態で、本体ケース26の開口を封止するようになっている。
次に、インクパック24について詳述する。図4は、インクパック24の斜視図、図5はインクパック24の下面図、図6はインクパック24の側面図である。図7はインクパック24の製造方法を説明するための斜視図、図8及び図9はインクパック24の製造方法を説明するための要部断面図である。
図3〜図5に示すように、インクパック24は、液体収容部を構成する胴体部としての袋部31を備え、この袋部31の一辺から液体導出部としての供給部材27を突出させている。図3に示すように、供給部材27は、ポリプロピレン等の樹脂からなる本体27aを備え、本体27a内には、インクを導出するための供給孔27bが貫通形成されている。この本体27aは、一側が袋部31から突出するとともに、他側に形成されたインク取出口(図示せず)が袋部31内に位置すると共に、袋部31の面方向に扁平した供給部材溶着部27cが袋部31に対して取着されている。袋部31から突出した本体27aの先端にはシール部材32が嵌合されている。このシール部材32の中央には、インクを流出するための供給孔32aが貫通形成されている。本体27aの供給孔27b内であって、シール部材32よりも内側には、ばね座33とコイルばね34とが備えられている。コイルばね34は、ばね座33をシール部材32側へ付勢しており、これによりばね座33はシール部材32の供給孔32aを閉塞している。カートリッジホルダ12aにインクカートリッジ20が配設されると、接続部21に設けられた図示しない前記インク供給針が、供給部材27内のシール部材32を貫通し、コイルばね34の弾性力に抗してばね座33を袋部31側に押圧する。ばね座33が押圧されて、シール部材32から離間すると、シール部材32とばね座33との間の隙間から袋部31のインクが外部へ流出する。
供給部材27が取り付けられた袋部31は、図8及び図9に示すように、複数の層が積層された1枚のフィルムFからなる。フィルムFは、ナイロン、アルミニウム等の複数の層が積層されたガスバリア層S1と、ポリプロピレン、又はポリエチレン等の複数の熱可塑性樹脂層が積層された樹脂層S2とから構成される。この樹脂層S2は、供給部材27の本体27aと熱溶着可能な材質となっている。袋部31は、図9に示すように、ガスバリア層S1を外側にしてフィルムFを管状に曲げるとともに、両側の端部F1,F2の内面(樹脂層S2)を互いに熱溶着させることにより形成された、第1の溶着部37を備えている。図5に示すように、この第1の溶着部37は、袋部31の中央部に長手方向に沿って延びるように設けられており、基端から折り曲げられている。そして、インクパック24がケース23に収容される際は、折り曲げられた第1の溶着部37が本体ケース26の底面側になるように収容される。この第1の溶着部37は、特許請求の範囲の第1の封止部に対応している。
さらに、袋部31は、管状に曲げられたフィルムFの一方の開口に、供給部材27を挟んだ状態で封止した第2の溶着部38と、袋部31の底部を封止した第3の溶着部39とを備えている。また、図7に示すように、袋部31の両側面には、前記第2の溶着部38及び第3の溶着部39が形成される前に、フィルムFが折り曲げられることにより形成されたマチ部36を有している。前記第1の溶着部37は、このマチ部36の間に、互いに重なることがない位置に配置されている。尚、第2の溶着部38及び第3の溶着部39は、それぞれ特許請求の範囲の第2の封止部及び第3の封止部に対応している。
次に、フィルムFを袋状に形成する手順について説明する。このフィルムFを管状に形
成する際は、図7に示すように、ガスバリア層S1が外側になるように管状に曲げた状態で、図示しない圧着具により、端部F1,F2を挟んでガスバリア層S1側から加熱する。すると、端部F1,F2の樹脂層S2が溶融し、さらに溶融した樹脂が固化することで、端部F1,F2が互いに固着され、第1の溶着部37が形成される。
さらに、管状にされたフィルムFは、図示しない金型に圧接されて、その長手方向に複数折り目が形成される。これによって、管状にされたフィルムFに、2つのマチ部36が形成される。マチ部36は、図9に示すように、断面略M字状に形成されている。また、このマチ部36は、各マチ部36の間に第1の溶着部37が配置されるように形成される。すなわち、第1の溶着部37は、各マチ部36から離間した位置に配置されている。
さらに、図7に示すように、管状に形成されたフィルムFの一方の開口に、供給部材27のシール部材32側を袋部31から突出させるとともに、反対側の端部を袋部31に挟み込んだ状態で、その開口側端部(図7中2点差線で示す端部)を熱溶着する。このとき、マチ部36の形成された側部は、図9に示すように、フィルムFが4重になっており、圧着具によって図中矢印方向にフィルムFを押圧及び加熱することにより、隅部Cの樹脂層S2が互いに熱溶着される。このとき、マチ部36の形成された側部は、第1の溶着部37と離間しているため、マチ部36に第1の溶着部37が重なることでフィルムFが6重の状態になることなく熱溶着される。
また、供給部材27側の開口を熱溶着する際は、図8に示すように、第1の溶着部37の基端に形成された隙間Sと、供給部材27の供給部材溶着部27cとが対向するように配置された状態で、図8中矢印方向に圧着具が押圧及び加熱することで熱溶着される。この隙間Sは、端部F1,F2の内面が互いに溶着されるとともに、第1の溶着部37が袋部31の側面に沿って折り曲げられて、一方の端部F2が端部F1に重なることにより生じるものである。そして、この隙間Sは、供給部材溶着部27cと対向するように配置されているため、熱溶着の際には、供給部材溶着部27cの一部が溶融した樹脂が隙間Sに流れこむ。その結果、隙間に流入した樹脂が冷却されて固化することによって、隙間Sが塞がれる。尚、図8は、インクパック24の幅方向における断面を、インクパックの底面側からみた状態を示している。
また、管状のフィルムFの他方の開口は、インクが内部に充填された後、圧着具によって加熱されることにより封止され、第3の溶着部39となる。そして、このように熱溶着により封止されたインクパック24は、第1の溶着部37を下にして、供給部材27を本体ケース26の支持口28に貫通させた状態で本体ケース26に収容される。そして、枠体26cに前記フィルムが貼着された状態で、蓋部25を本体ケース26に係合させることにより本体ケース26が封止される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、インクパック24に、フィルムFの両側の端部F1,F2の内面どうしを熱溶着した第1の溶着部37を設けた。また、管状のフィルムFの一方の開口を供給部材27をフィルムFの間に挟んだ状態で熱溶着した第2の溶着部38を設けた。さらに、フィルムFの他方の開口を熱溶着により封止した第3の溶着部39を設けた。このため、袋部31に形成される溶着部は3つとなり、複数枚のフィルムを互いに固着して形成したインクパックよりも、溶着部を比較的少なくすることができる。このため、袋部31から外方へ突出する溶着部が少なくなり、収容するインク体積をできるだけ多くした状態で、インクパック24を小型化することができる。従って、ケース23内における、溶着部を収容するためのスペースを小さくすることができ、インクパック24を効率よく収容することができる。また、溶着部が少なくなるため、フィルムFの端部を熱溶着する工程を減らすことができる。
(2)上記実施形態では、第1の溶着部37を、各マチ部36の間に配置し、マチ部36と離間した位置に設けるようにした。このため、管状のフィルムFの開口を熱溶着で封止して、第2の溶着部38及び第3の溶着部39を形成する際に、折り曲げられた第1の溶着部37と、マチ部36とが重なることがない。従って、フィルムFの開口側の側部(マチ部36)に熱が伝わりやすいため、より確実に溶着することができる。
(3)上記実施形態では、第1の溶着部37の基端が、供給部材27と対向するように配置した。すなわち、熱溶着の際に、第1の溶着部37の基端の内側に生じた隙間Sに、供給部材27の一部が溶融した樹脂を流入させ、隙間Sを閉塞するようにした。従って、第2の溶着部38のシール性を確保することができる。
(4)上記実施形態では、インクパック24にマチ部36を設けたので、インク容量を比較的大きくすることができる。また、袋部31に別のフィルムを貼り合わせることでマチ部を形成するのではなく、フィルムFを折り曲げてマチ部36を形成するので、外方に突出する溶着部が新たに形成されることがない。従って、インクパック24の幅又は高さを大きくすることなく、マチ部36を形成することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態は、インクカートリッジ20から記録ヘッド16にインクを供給するインク供給方法として、空気によってインクパック24を押圧する空気加圧式を採用したが、これ以外の方法でもよい。例えば、ケース23に板ばね等を設け、制御手段により板ばねを駆動し、適宜インクパック24を板ばねで押圧して、インクパック24からインクを導出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、第1の溶着部37を樹脂層S2どうしを相対向させて溶着するようにした。これ以外に、例えば、一方の端部F1のガスバリア層S1側に他方の端部F2の樹脂層S2を重ねることにより第1の溶着部37を形成してもよい。このとき、一方の端部F1のガスバリア層S1側にさらに新たな樹脂層S2を部分的に積層して、他方の端部F2の樹脂層S2と向かい合わせにして熱溶着するようにしてもよい。また、一方の端部F1のガスバリア層S1を一部切り欠いて、その端部F1の樹脂層S2と、他方の端部F2の樹脂層S2が重なるようにして熱溶着してもよい。
・上記実施形態では、袋部31の端部F1,F2、各開口を固着するときに、熱溶着により固着したが、例えば、接着剤による固着、高周波による溶着等、その他の固着方法によって、端部F1,F2及び各開口を封止してもよい。
・上記実施形態においては、液体噴射装置として、インクを吐出するプリンタ11について説明したが、その他の液体噴射装置であってもよい。例えば、ファックス、コピア等を含む印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。また、流体(液体)もインクに限られず、他の流体(液体)に応用してもよい。
本実施形態のプリンタの斜視図。 同プリンタの要部斜視図。 同プリンタに備えられるインクカートリッジの分解斜視図。 同インクカートリッジのインクパックの斜視図。 同インクパックの下面図。 同インクパックの側面図。 同インクパックの製造方法を説明するための斜視図。 同インクパックの要部断面図。 同インクパックの要部断面図。 従来のインクパックの斜視図。 従来のインクパックの斜視図。
符号の説明
20…液体収容体としてのインクカートリッジ、23…ケース、24…液体収容袋としてのインクパック、26c…密閉空間を構成する枠体、27…液体導出部としての供給部材、29…加圧流体導入口を構成する空気導入口、31…液体収容部を構成する胴体部としての袋部、36…マチ部、37…第1の封止部としての第1の溶着部、38…第2の封止部としての第2の溶着部、39…第3の封止部としての第3の溶着部、F…フィルム。

Claims (13)

  1. 外部に液体を導出する液体導出部と、液体を収容するフィルムからなる液体収容部とを有する液体収容袋において、
    前記液体収容部は、
    1枚のフィルムの両側端部を互いに固着した第1の封止部と、
    前記第1の封止部によって、管状に形成された胴体部と、
    前記胴体部の一方の開口が、前記液体導出部を内側に挟んだ状態で封止された第2の封止部と、
    前記胴体部の他方の開口が封止された第3の封止部と
    を備えたことを特徴とする液体収容袋。
  2. 請求項1に記載の液体収容袋において、
    前記管状の胴体部の側面に、その胴体部を長手方向に折り曲げられて形成されたマチ部が設けられていることを特徴とする液体収容袋。
  3. 請求項2に記載の液体収容袋において、
    前記第1の封止部は、前記マチ部から離間した位置に設けられていることを特徴とする液体収容袋。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の液体収容袋において、
    前記フィルムの内側と、前記液体導出部とは互いに熱溶着可能な材質からなるとともに、
    前記第1の封止部の基端は、前記液体導出部の一部と対向していることを特徴とする液体収容袋。
  5. 外部に液体を導出する液体導出部と、液体を収容するフィルムからなる液体収容部とを有する液体収容袋と、同液体収容袋を収容するケースとを備えた液体収容体において、
    前記液体収容袋の前記液体収容部は、
    1枚のフィルムの両側端部を互いに固着した第1の封止部と、
    前記第1の封止部によって、管状に形成された胴体部と、
    前記胴体部の一方の開口が、前記液体導出部を内側に挟んだ状態で封止された第2の封止部と、
    前記胴体部の他方の開口が封止された第3の封止部とを備えたことを特徴とする液体収容体。
  6. 請求項5に記載の液体収容体において、
    前記管状の胴体部の側面に、その胴体部を長手方向に折り曲げられて形成されたマチ部が設けられていることを特徴とする液体収容体。
  7. 請求項5又は6に記載の液体収容体において、
    前記ケースに、前記液体収容袋を加圧する流体を導入する加圧流体導入口を設けたことを特徴とする液体収容体。
  8. 請求項5〜7のいずれか一つに記載の液体収容体において、
    前記液体収容袋は、前記第1の封止部が前記ケースの底面側に配置されて前記ケースに収容されることを特徴とする液体収容体。
  9. 外部に液体を導出する液体導出部と、液体を収容するフィルムからなる液体収容部とを有する液体収容袋の製造方法であって、
    1枚のフィルムの両側端部を互いに固着して第1の封止部を形成することにより、管状の胴体部を形成する第1の工程と、
    前記胴体部の一方の開口を、前記液体導出部を挟んだ状態で固着する第2の工程と、
    前記胴体部の他方の開口を固着して封止する第3の工程と
    を備えたことを特徴とする液体収容袋の製造方法。
  10. 請求項9に記載の液体収容袋の製造方法において、
    前記第1の封止部と、前記胴体部の各開口とは、熱溶着により固着されることを特徴とする液体収容袋の製造方法。
  11. 請求項9又は10に記載の液体収容袋の製造方法において、
    前記胴体部の側面に、その胴体部を長手方向に折り曲げることによりマチ部を形成する工程をさらに備えることを特徴とする液体収容袋の製造方法。
  12. 請求項11に記載の液体収容袋の製造方法において、
    前記第1の工程は、前記マチ部と離間した位置に前記第1の封止部を設けることを特徴とする液体収容袋の製造方法。
  13. 請求項10〜12のいずれか一つに記載の液体収容袋の製造方法において、
    前記第2の工程は、前記第1の封止部の基端の内側と、同第1の封止部と互いに熱溶着可能な材質からなる前記液体導出部とが対向した状態で、熱溶着することを特徴とする液体収容袋の製造方法。
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