JP2005058951A - ホタテ貝内臓浸漬液中の重金属および脂肪とタンパク質の分離・除去・濃縮・回収方法 - Google Patents

ホタテ貝内臓浸漬液中の重金属および脂肪とタンパク質の分離・除去・濃縮・回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は脂肪やタンパク質が大量に存在しているボイルしたホタテ貝のウロの酸浸漬液中のカドミウム等の重金属を、浸漬液中より効率的に吸着ならびに脱着・溶離する方法を提供すると共に、重金属と共に酸浸漬液中に溶出した脂肪やタンパク質を効率的に分離・回収する方法を提供することをその課題とする。
【解決手段】 酸浸漬液に炭酸ナトリウム等の塩基性物質を添加して、pHを6程度に調整した後、ミ程度の混合攪拌した後、濾過を行う。カドミウカン搾汁残渣の吸着剤、ならびに少量の凝集剤を添加して、24時間ムは吸着剤に完全に吸着されると共に、脂肪とタンパク質も凝集・沈澱して分離され、清澄な液が得られる。吸着剤中の重金属は、電解尾液の硫酸を用いて電解採取に適した濃度の重金属水溶液として脱着・溶離される。脱着後の吸着剤は回収された脂肪やタンパク質と共に飼料、肥料、餌料として利用可能である。
【選択図】 図5



Description

本発明は、ホタテ貝の内臓の酸浸漬液中に溶出したカドミウム等の重金属、および脂肪とタンパク質を同時に、しかも効果的にそれぞれ吸着および凝集・沈澱させることによりこれらを分離・除去・回収する技術に関するものである。
魚介類、特にホタテ貝やスルメイカの内臓中には、海水中のカドミウム等の重金属が生物濃縮されることにより、かなりの濃度で蓄積されている。ホタテ貝は北海道や青森県で養殖により大量に産出している。これに伴いカドミウム等の重金属が濃縮・蓄積された内臓部分(以下ウロと称する)が大量に排出されている。このような重金属で汚染されたウロの処分方法として埋め立て処分や焼却処分などが考えられる。しかし前者では埋立地周辺の悪臭問題や埋め立て用地の確保の問題があり、後者ではウロが高濃度の塩分を含んでいるため、ダイオキシンを発生させる危険性がある。
ホタテ貝のウロは脂肪15%、タンパク質70%、灰分10%より成っており、エイコサペンタエン酸(EPA)等の共役不飽和脂肪酸も魚の3倍程度含まれている。したがって重金属が除去できれば肥料、飼料、餌料の優れた原料として利用できる。
産地の北海道では平成3年〜7年において北海道工業試験場等の5研究機関による共同研究「ホタテ貝副産物の処理・利用技術に関する研究・開発」を実施し、ウロからのカドミウム除去技術の検討、飼料・肥料化技術の開発等の研究を行った。ここでボイルしたウロを1%程度の硫酸に24時間浸漬させることにより重金属を溶出させ、これを電気分解することにより溶出した重金属を陰極板上に金属として析出させる技術が開発された。この酸浸漬−電解採取技術に関しては例えば非特許文献1〜3等の論文等に詳細が記述されている。
作田庸一ら「電解法によるホタテ貝廃棄物からのカドミウムの除去」廃棄物学会論文誌,9巻2号,p.61−68(1998) 作田庸一ら「ホタテ貝加工残渣の有効利用システムの開発」」廃棄物学会論文誌,11巻3号,p.145−154(2000) 作田庸一ら「ホタテ貝廃棄物からのカドミウム除去効率に及ぼす諸因子の影響」廃棄物学会論文誌,11巻4号,p.187−194(2000)
この酸浸漬−電解採取技術は更に平成7年には噴火湾連絡協議会による実証試験「カドミウム除去及び飼肥料化試験」、及び北海道地域産学官共同研究事業「ホタテ貝副産物の有効利用システムの開発」のプラント化試験等を経て、北海道砂原町及び長万部町にそれぞれ12トン/日及び7トン/日のウロの処理能力を有する処理施設が建設され、稼動するに至った。しかしながらこの場合のカドミウムの濃度は電気分解を行うには低すぎて多大の電力の浪費となっている。従って電気分解の前に何らかの方法によりカドミウムを濃縮することが求められている。
ウロの浸漬液中にはカドミウムの他、大量のタンパク質と脂肪が溶出している。このため、例えばイオン交換樹脂のような多孔性の吸着剤を使用すると、その細孔がこれらにより塞がれ、その吸着機能はほぼ完全に失われる。また吸着剤には大量の脂肪やタンパク質が付着するため、吸着したカドミウムを脱着・溶離しても再度の吸着操作に供することは困難であり、廃棄せざるを得ない。このため1回の使用で廃棄できるほど安価で、かつまた安全に廃棄可能な吸着剤でなければ本目的には適さない。
本発明は脂肪やタンパク質が大量に存在しているボイルしたホタテ貝のウロの酸浸漬液中のカドミウム等の重金属を、浸漬液中より吸着・分離することが可能な吸着剤、ならびにそれを用いた重金属の効率的な吸着方法と脱着・溶離方法を提供すると共に、重金属と共に酸浸漬液中に溶出した脂肪やタンパク質の効率的な分離・回収方法を提供することをその課題とする。
上記の目的に適合する安価で安全に廃棄可能な吸着剤の候補としては、特許文献1及び2において本発明者等が開発したミカンやリンゴの搾汁残渣が上げられる。本発明者等は、前記課題を解決すべくその後鋭意研究を重ねた結果、ミカン搾汁残渣の吸着剤が脂肪やタンパク質が大量に存在しているボイルしたホタテ貝のウロの酸浸漬液中のカドミウム等の重金属を、浸漬液中より効率的に吸着・分離可能であることを見出した。これらの研究成果に基づき、本発明を完成するに至った。
特開2002−254068号 特願2003−000056号
廃棄物学会論文誌、9巻2号、p.61-68(1998)に記載されている作田等の研究によれば、ホタテ貝のウロ中のカドミウムは1%程度の濃度の硫酸、または塩酸に24時間程度浸漬しておくことにより溶出される。また特許3245138において吉崎はボイルしたウロに2〜3倍量の1%リン酸を加え、室温でカドミウムを溶出させる方法を提案している。
作田等は溶出したカドミウムを電解採取により、また吉崎は強酸性陽イオン交換樹脂により吸着し、回収する方法を開発した。しかしウロからはカドミウムと共に大量の脂肪とタンパク質が溶出する。前記の2つの方法においてこのような脂肪やタンパク質の影響には触れられていない。特に多孔性の陽イオン交換樹脂を使用してカドミウムを吸着・除去する方法では、その細孔が脂肪やタンパク質により塞がれ、その吸着機能はほぼ完全に失われる。また樹脂には大量の脂肪やタンパク質が付着するため、吸着したカドミウムを脱着しても再度の吸着操作に供することは困難であり、イオン交換樹脂を充填したカラムを用いてカドミウムを除去・回収することは事実上不可能である。またカドミウムを電解採取により除去する方法では、電気分解を繰り返すうちに電解液中に脂肪やタンパク質が蓄積し、円滑な操業が困難となる。
上記のように浸漬液中の脂肪やタンパク質の除去・回収を考慮せず、カドミウムの除去のみを論ずることは現実的ではない。本発明はミカン搾汁残渣等のバイオマス廃棄物を有効利用することにより、このような脂肪やタンパク質をカドミウムの除去と同時に回収することを最大の特徴とするウロの浸漬液からの重金属の除去方法を提供する。
本発明によりホタテ貝のウロから浸漬液中に溶出したカドミウムが、効率的な電解採取に適した濃度に濃縮されるばかりでなく、浸漬液中にカドミウムと共に溶出した脂肪やタンパク質はミカン搾汁残渣等のバイオマス廃棄物に付着した形で回収され、このバイオマス廃棄物と共に家畜の飼料や魚介類の餌料として供することができる。すなわち本発明により、これまではそれぞれ難処理廃棄物、および低価格な廃棄物であったホタテ貝のウロとミカン搾汁残渣等のバイオマス廃棄物が同時に有効利用されるという、廃棄物の100%に近いゼロエミッション化が達成できる。
浸漬液中の脂肪やタンパク質、あるいはこれらと共に少量存在するホタテ貝の貝殻の破片や海藻類の切れ端等の固形分の微粒子は凝集剤を用いて凝集・沈澱させることにより容易に除去することが可能である。市販の凝集剤にはカチオン凝集剤、アニオン凝集剤、ノニオン凝集剤の3種があるが、いずれもpHが5〜8の中性付近でなければ機能しない。
またミカン搾汁残渣の吸着剤を使用することによる水溶液中のカドミウムイオンの効率的な吸着・除去には、後述するように水溶液のpHを5〜6以上に保つ必要がある。
一方、非特許文献1によれば、浸漬液として硫酸や塩酸を用いた場合、カドミウムの効率的な溶出には、浸漬液のpHを2以下に、好ましくは1以下に保つ必要がある。したがって浸漬液中よりカドミウムならびに脂肪とタンパク質を除去するためには、pHが1程度の浸漬液は、カドミウムの溶出の後、塩基性物質の添加により中和処理してpHを6程度に上昇させる必要がある。
ここで容易に入手可能な塩基性物質としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が上げられる。この内、アンモニア水は中和処理後の廃水処理に問題を残すので使用は困難である。水酸化カルシウムや炭酸カルシウム等のカルシウム化合物は最も廉価であり、その使用は現実的である。しかしカルシウム化合物の使用は塩酸の浸漬液では問題がないが、硫酸の浸漬液の場合には、水に難溶な硫酸カルシウム(石膏)の沈殿を大量に発生させるため、問題がある。水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは沈殿の発生等の問題は起こさず、容易にpHを上昇させることが可能であるが、比較的高価である。また酸化マグネシウムも沈殿を発生させないが、高価である。従って経済的には炭酸ナトリウムを用いるのが最も好ましい。
吸着の操作は処理液が清澄ではなく、多量の脂肪やタンパク質、更に微細な固形分を含む懸濁液であるため、多孔性の吸着剤を充填したカラムを使用する通常の吸着操作ではなく、攪拌タンクにミカン搾汁残渣の吸着剤と処理液とを入れて攪拌・混合後濾過して固液分離を行うバッチ法により行う。ここでカドミウムを完全に除去するためには18〜30時間、好ましくは20〜24時間攪拌・混合することが好ましい。またミカン搾汁残渣の吸着剤の添加量は、処理液1kgに対して15〜30g、好ましくは20〜25gである。
カドミウムと脂肪やタンパク質の除去は上記のバッチ方式のカドミウムの吸着操作を行う時に凝集剤を添加することにより同時に達成できる。凝集剤の添加量は通常の凝集・沈澱操作で行われているように0.1%程度の濃度の凝集剤を0.5ml程度加えるだけで十分である。
上記のバッチ方式の攪拌・混合による吸着及び凝集・沈澱を行った後、通常の濾過操作を行うことにより、カドミウムの全量と、大部分のタンパク質、脂肪が除去された清澄な液を得ることができる。液中の成分はウロからのカドミウムの溶出に使用された酸類のイオンである硫酸イオン、あるいは塩化物イオン、ならびに中和に使用したナトリウムイオンやカルシウムイオンであり、これらは水と共に外部に放流可能である。
ミカン搾汁残渣の吸着剤に吸着したカドミウムは比較的高濃度の硫酸を用いて溶離することができる。すなわちカドミウムの電解採取に用いられる比較的高濃度の硫酸の電解液そのものを使用して溶離することができる。ここで浸漬液と吸着剤、および吸着剤と硫酸の固液比を変えることにより、最終的に溶離液である硫酸中にカドミウムを濃縮することが可能で、電解採取に適した濃度のカドミウムの硫酸水溶液を得ることができる。
あるいはカドミウム等の重金属を吸着した後のミカン搾汁残渣の吸着剤は、溶離することなく、そのまま亜鉛等の非鉄金属の製錬所に持ち込み、鉱石由来の非鉄金属と共に乾式製錬の炉で処理することにより金属資源として山元還元することも可能である。
比較的高濃度の硫酸を用いてカドミウムを溶離した後のミカン搾汁残渣の吸着剤は脂肪やタンパク質が付着して再度吸着操作に供することは困難である。しかし炭酸カルシウムや水酸化カルシウムを用いて中和処理した後、乾燥すれば家畜の飼料として利用することが可能である。すなわちミカン搾汁残渣は現在既に家畜の飼料として利用されており、上記の使用後のミカン搾汁残渣の吸着剤を家畜の飼料として利用することには何ら問題が無い。更に栄養価の高い脂肪やタンパク質が付着しているので、家畜飼料としての価値は一層増大する。
後述するように浸漬液中の脂肪やタンパク質は吸着後に濾過を行った場合、ミカン搾汁残渣の吸着剤の濾過ケーキの上に層状に蓄積し、容易に回収することが可能であり、これは重金属除去後のウロと共に肥飼料の原料に供することが可能である。又は重金属の溶離後のミカン搾汁残渣の吸着剤と共に肥飼料の原料に供することが可能である。このような点を考慮すれば、脂肪やタンパク質のための凝集剤としては、合成の凝集剤よりも生物由来のキトサンやアルギン酸の凝集剤を用いることが好ましい。
以下に本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。なお本発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例1 ミカン搾汁残渣の吸着剤によるモデル水溶液からのカドミウムの吸着に及ぼすpHの効果
ミカン搾汁残渣の吸着剤のカドミウムに対する吸着挙動の基礎的な知見を得るためにタンパク質や脂肪を含まない、カドミウムのみを含むモデル水溶液からの吸着試験を行った。
図1に1mMの濃度のカドミウムを含む様々なpHの希硫酸水溶液15mlに25mgのミカン搾汁残渣の吸着剤を添加して、24時間振り混ぜて吸着を行った場合のカドミウムの吸着・除去%(縦軸)と吸着後の水溶液のpH(横軸)との関係を示す。pH=1~2の酸性領域においては20%以下の吸着しか達成されず、効果的な吸着を行うためには、pHを少なくとも5以上に上昇させる必要があることが分かる。ここで吸着・除去%は次式で定義される。
吸着・除去%=(吸着前の水溶液中の濃度−吸着後の水溶液中の濃度)/吸着前の水溶液中の濃度×100
実施例2 ミカン搾汁残渣の吸着剤によるモデル水溶液からのカドミウムの吸着に及ぼす固液比の効果
図2にpHを5.8に保った1mMの濃度のカドミウムを含むモデル水溶液1kgに様々な量のミカン搾汁残渣の吸着剤を添加し、24時間振り混ぜて吸着を行った場合のカドミウムの吸着・除去%(縦軸)と固液比(横軸)との関係を示す。ここで固液比とは1kgの水溶液に添加した吸着剤の乾燥重量をg/kgの単位で表した比である。カドミウムを完全に除去するには4g以上の吸着剤の添加が必要であることが分かる。
実施例3 ミカン搾汁残渣の吸着剤によるモデル水溶液からのカドミウムの吸着に及ぼす振り混ぜ時間の効果
図3に1mMの濃度のカドミウムを含むpHが6.09のモデル水溶液1kgに4gのミカン搾汁残渣の吸着剤を添加し、振り混ぜてカドミウムの吸着・除去を行った場合の吸着・除去%(縦軸)と振り混ぜ時間(横軸)との関係を示す。図より約60分で100%の除去が達成されることが分かる。
実施例4 ミカン搾汁残渣の吸着剤による実際のウロの硫酸浸漬液からのカドミウムの吸着に及ぼす振り混ぜ時間の効果
図4に11ppmの濃度のカドミウムの他、大量の脂肪とタンパク質を含む実際のウロの硫酸浸漬液に水酸化ナトリウムを添加することにより、pHを6.09に調整した水溶液にミカン搾汁残渣の吸着剤を固液比が20の割合で添加して、振り混ぜた場合の振り混ぜ時間(横軸)とカドミウムの吸着・除去%(縦軸)との関係を示す。実施例3に示したモデル水溶液の場合とは大きく異なり、固液比を5倍にしたにも拘わらず、100%の除去を達成するためには、20時間以上振り混ぜることが必要である。これは大量の脂肪やタンパク質がミカン搾汁残渣の吸着剤の表面に付着してカドミウムの吸着を妨害したためと考えられる。
実施例5 ミカン搾汁残渣の吸着剤による実際のウロの硫酸浸漬液からのカドミウムと亜鉛の吸着に及ぼす固液比の効果
図5にそれぞれ11ppmの濃度のカドミウムと亜鉛、ならびに大量の脂肪とタンパク質を含む実際のウロの硫酸浸漬液に水酸化ナトリウムを添加することにより、pHを6.09に調整した水溶液にミカン搾汁残渣の吸着剤を様々な固液比で添加して、24時間振り混ぜて吸着を行った場合の水溶液中に残存するカドミウムと亜鉛の濃度(縦軸)と固液比(横軸)との関係を示す。ここで固液比とは1kgの水溶液に添加した吸着剤の乾燥重量のg/kgの単位で表した比である。カドミウムを完全に除去するには20g以上の吸着剤の添加が必要であることが分かる。これに対してかなりの濃度の亜鉛が吸着されずに液中に残存するが、亜鉛の毒性は小さいので実際には問題とならない。
実施例6 カドミウムを吸着したミカン搾汁残渣の吸着剤からのカドミウムの溶離
図6に115ppmの濃度のカドミウムを含む実際の浸漬液からPCA-16にカドミウムを飽和吸着させた後、様々な濃度の硫酸水溶液と共に固―液比=13.33 g/kgの割合で振り混ぜることによりカドミウムの溶離を行った場合のカドミウムの溶離%(縦軸)と硫酸濃度(横軸)との関係を示す。図よりいずれの濃度においてもカドミウムはほぼ100%溶離されることが分かる。ここでカドミウムの溶離%は次式で定義される値である。
カドミウムの溶離%=(溶離前の吸着剤中に含まれるカドミウム量(重量、又はモル量)−
溶離液中に溶出したカドミウム量)/溶離前の吸着剤中に含まれるカドミウム量×100
以上の説明から明らかなように、ミカン搾汁残渣の吸着剤を使用することにより、ホタテ貝のウロの酸浸漬液中のカドミウムは完全に除去できる。除去されたカドミウムは電解尾液の比較的高濃度の硫酸により溶離され、効率的に電解採取可能な濃度にまで濃縮することができる。カドミウムと共にウロから溶出した脂肪やタンパク質は凝集剤を使用することにより、吸着剤と共に浸漬液中より凝集・沈澱・分離され、回収することができる。使用後の吸着剤は家畜の飼料や肥料として利用することができる。
25mgのミカン搾汁残渣の吸着剤を1mMの濃度のカドミウムを含むモデル水溶液15mlと24時間振り混ぜることにより、水溶液からのカドミウムの吸着・除去を行った場合のカドミウムの吸着・除去%(縦軸)と吸着後の水溶液のpHとの関係を示す。 様々な重量のミカン搾汁残渣の吸着剤と、1mMの濃度のカドミウムを含みpH=5.8のモデル水溶液1kgとを、24時間振り混ぜてカドミウムの吸着を行った場合の、カドミウムの吸着・除去%(縦軸)と固液比(g/kgの単位で表した添加した吸着剤の乾燥重量と水溶液の重量との比)(横軸)との関係を示す。 ミカン搾汁残渣の吸着剤と1mMの濃度のカドミウムを含み、pH=6.09のモデル水溶液とを、固―液比=4 g/kgで振り混ぜてカドミウムの吸着・除去を行った場合の、カドミウムの吸着・除去%(縦軸)と振り混ぜ時間(横軸)との関係を示す。 ミカン搾汁残渣の吸着剤と水酸化ナトリウムを用いてpH=6.09に調整した、11ppmの濃度のカドミウムを含む実際のホタテ貝のウロの硫酸浸漬液とを、固―液比=20で振り混ぜてカドミウムの吸着・除去を行った場合のカドミウムの吸着・除去%(縦軸)と振り混ぜ時間(横軸)との関係を示す。 それぞれ11ppmの濃度のカドミウムと亜鉛、ならびに大量の脂肪とタンパク質を含む実際のウロの硫酸浸漬液に水酸化ナトリウムを添加することにより、pHを6.09に調整した水溶液にミカン搾汁残渣の吸着剤を様々な固液比で添加して、24時間振り混ぜて吸着を行った場合の水溶液中に残存するカドミウムと亜鉛の濃度(縦軸)と固液比(g/kgの単位で表した添加した吸着剤の乾燥重量と水溶液の重量との比)(横軸)との関係を示す。●はカドミウムの濃度を示す。○は亜鉛の濃度を示す。 115ppmの濃度のカドミウムを含む実際のホタテ貝のウロの硫酸浸漬液からpH=6.09でミカン搾汁残渣の吸着剤にカドミウムを飽和吸着させた後、様々な濃度の硫酸水溶液と共に固―液比=13.33 g/kgの割合で振り混ぜることによりカドミウムの溶離を行った場合のカドミウムの溶離%(縦軸)と硫酸濃度(横軸)との関係を示す。

Claims (8)

  1. バイオマスを利用することを特徴とするホタテ貝内臓浸漬液中の重金属の分離・除去・回収・濃縮方法。
  2. 請求項1においてバイオマスがミカンの搾汁残渣であることを特徴とする重金属の分離・除去・回収・濃縮方法。
  3. 請求項2においてミカン搾汁残渣がアルカリ土類金属水酸化物を用いて化学処理したミカン搾汁残渣であることを特徴とする重金属の分離・除去・回収・濃縮方法。
  4. 請求項1においてホタテ貝内臓浸漬液が硫酸又は塩酸又は水の浸漬液であることを特徴とする重金属の分離・除去・回収・濃縮方法。
  5. 請求項1および2および3および4において重金属がカドミウムであることを特徴とする分離・除去・回収・濃縮方法。
  6. 請求項1において重金属の分離・除去・回収・濃縮時にホタテ貝内臓浸漬液中より脂肪とタンパク質を同時に分離・除去・回収することを特徴とする重金属の分離・除去・回収・濃縮方法。
  7. 請求項6においてホタテ貝内臓浸漬液中の脂肪とタンパク質をカチオン凝集剤、又はアニオン凝集剤、又はノニオン凝集剤を使用して凝集・沈澱させることを特徴とする脂肪とタンパク質の分離・除去・回収方法。
  8. 請求項7において凝集剤としてキトサン又はアルギン酸塩を使用して凝集・沈澱させることを特徴とする脂肪とタンパク質の分離・除去・回収方法。



















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