JP2005058373A - 蒸し枠、蒸し食品および蒸し食品の製造方法 - Google Patents

蒸し枠、蒸し食品および蒸し食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 剥離紙を敷いて、生地を充填して蒸しを行う単純な構造の蒸し枠およびその利用方法の提供。
【解決手段】 蒸し枠に生地を充填して蒸すにあたり、該蒸し枠が、該蒸し枠を介して該蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱しうる断熱特性を発揮する枠厚を有する、樹脂製の蒸し枠であることを特徴とする蒸し食品の製造方法。枠厚が5mm以上有する樹脂製の蒸し枠に生地を充填して蒸すことを特徴とする。前記樹脂製の蒸し枠は、該蒸し枠を介して蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱しうる断熱特性を発揮することを特徴とする。前記樹脂がポリプロピレンであることを特徴とする。前記蒸し枠内に剥離紙を敷いて生地を充填することを特徴とする上記食品の製造方法。前記蒸し食品が蒸しパンである。上記方法により製造した蒸し食品。生地を充填して蒸す蒸し枠であり、該蒸し枠を介して蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱しうる断熱特性を発揮する枠厚を有する樹脂製の蒸し枠であることを特徴とする蒸し枠。生地を充填して蒸す、枠厚が5mm以上有する樹脂製の蒸し枠であることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、グラシン紙を敷いた枠に生地を充填して蒸しを行う食品用の樹脂製蒸し枠等に関する。
従来より、和菓子の枠蒸し製品は、木材枠に剥離紙を敷き、これに生地を充填した後、蒸していた。枠が木材で作られており、高温多湿の条件下で長期使用することで、木材の腐食が進行し、木のささくれ、木片が製品内に混入し、異物混入クレームの原因となっていた。
一方、各種食品を製造する際に使用するトレイとしてプラスチック素材が提案される。特許文献1には、高温可搬食品の成形、食品の煮沸等高温加工処理、食品のプレス加工等各種作業において使用できるポリカーボネートのトレイが提案されている。また、特許文献2には、蒸しパンや蒸しカステラ、蒸しまんじゅう等蒸してつくる菓子類を大量に生産するための菓子用蒸し台に関して、天板(2)の外周囲に支持壁(3)を設けた倒皿形の蒸し台本体(1)の、前記支持壁(3)には多数の上下方向リブ(9)を設けると共に、前記天板(2)には菓子外形状と同形の複数の凹部(4)を設け、該凹部(4)の底面部(5)が支持壁(3)の下端(8)と面一に形成された蒸し台を、硬質合成樹脂薄板を使用して真空成形手段により形成されてなることを特徴とする菓子用蒸し台が提案されている。
しかし、これらの従来の技術は、薄い樹脂シート(通常0.5mm以下の厚さ)を圧空成形か真空吸引成形することにより形成され得るものであるため、本願発明の蒸し枠に要求される断熱特性を発揮する枠厚を有するものでないことは明らかである。これまでは、剥離紙を敷いた蒸し枠に生地を充填して蒸しを行う単純な構造の蒸し枠については、樹脂枠で代替することについての提案は存在しなかった。
実開昭59−421281号公報 実用新案登録第2508037号公報
本発明は、(1)高温多湿の条件下での長期使用でも、腐食、劣化、破損しない、(2)木材枠を使用した場合と同等な生地膨張を達成した製品の生産が可能である、という少なくとも2点の条件を重視し、木材に代わる素材を使用した蒸し枠に、好ましくは剥離紙を敷いて、生地を充填して蒸しを行う単純な構造の蒸し枠、該蒸し枠を使用して蒸す蒸し食品および該蒸し食品の製造方法を提供することを目的としている。
上述したとおり、従来から、和菓子用の生地を剥離紙を敷いた枠に充填して蒸す工程では木枠が長年使われてきた。これを樹脂を使用した枠で代替することは、樹脂枠の熱伝導性の低さから、「製品の蒸れが悪くなる」とされ、樹脂を枠材として使用することは敬遠されてきた。しかし、本発明者らは、木枠が枠蒸し製品の製造で長年使われてきた理由は、木材の優れた断熱特性に由来していると考え、蒸し工程で木枠、樹脂枠、金属枠がどのように機能しているのか検証することで、樹脂枠の可能性を検討した。
各種素材を使用した枠の特性と、これを使用した場合の製品品質の関係から、枠素材に要求される特性の把握を行った。枠蒸し製品は、蒸し工程中に垂直方向への均一な生地膨張が求められる製品である。金属などの熱伝導性に優れた素材を枠材として使用した場合、枠材に接する生地に枠材を介し熱量が供給されるため、生地膨張の途中でボディーが形成される結果、製品の縁部分が十分に膨張しないことがわかった。ところが、熱伝導性に劣る樹脂枠を使用した場合、枠材を介して熱量が供給されないため、製品の縁部分が落ちることなく、均一に生地が膨張することがわかった。さらに、蒸し上がり後の放冷時、熱伝導性に優れた金属枠では、生地に比べて枠自体が急激に冷え、これに伴って枠に接している剥離紙が冷やされる結果、剥離紙と生地との間に急な温度差が生まれ、剥離紙と生地の間に著しい結露が生じることがわかった。しかし、熱伝導性が低い樹脂枠では、このような結露の発生を防ぐことができた。
これらの知見に基づいて本発明者らは、本発明を完成させることができた。
本発明は、以下の(1)ないし(6)の蒸し食品の製造方法を要旨としている。
(1) 蒸し枠に生地を充填して蒸すにあたり、該蒸し枠が、該蒸し枠を介して該蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱しうる断熱特性を発揮する枠厚を有する、樹脂製の蒸し枠であることを特徴とする蒸し食品の製造方法。
(2) 枠厚が5mm以上有する樹脂製の蒸し枠に生地を充填して蒸すことを特徴とする蒸し食品の製造方法。
(3) 前記樹脂製の蒸し枠は、該蒸し枠を介して蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱しうる断熱特性を発揮することを特徴とする上記(2)の蒸し食品の製造方法。
(4) 前記樹脂がポリプロピレンであることを特徴とする上記(1)、(2)または(3)の蒸し食品の製造方法。
(5) 前記蒸し枠内に剥離紙を敷いて生地を充填することを特徴とする上記(1)、(2)、(3)または(4)の蒸し食品の製造方法。
(6) 前記蒸し食品が蒸しパンであることを特徴とする上記(1)、(2)、(3)、(4)または(5)の蒸し食品の製造方法。
本発明は、以下の(7)の蒸し食品を要旨としている。
(7) 前記(1)、(2)、(3)、(4)または(5)に記載の蒸し食品の製造方法により製造することを特徴とする蒸し食品。
本発明は、以下の(8)または(9)の蒸し枠を要旨としている。
(8) 生地を充填して蒸す蒸し枠であり、該蒸し枠を介して蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱しうる断熱特性を発揮する枠厚を有する樹脂製の蒸し枠であることを特徴とする蒸し枠。
(9) 生地を充填して蒸す、枠厚が5mm以上有する樹脂製の蒸し枠であることを特徴とする蒸し枠。
本発明は、高温多湿の条件下での長期使用でも、腐食、劣化、破損しない、かつ、木材枠を使用した場合と同等な生地膨張を達成する製品の生産が可能であり、さらには製品の蒸し上がり後の放冷時に剥離紙と製品との間に結露の発生を防ぐことができる、樹脂製の食品用蒸し枠、該蒸し枠を使用して蒸す蒸し食品、および該蒸し食品の製造方法を提供することができる。
以下に本願発明について詳述する。
本願発明は、上述した通り、枠厚の樹脂製の蒸し枠に生地を充填して蒸すことにより蒸し食品を製造する方法であり、また該製造方法により製造される蒸し食品であり、さらには該枠厚の樹脂製の蒸し枠である。
まず、該枠厚とは、該蒸し枠の枠材が一定の厚さすなわち肉厚を有するということである。
本願発明の樹脂製の蒸し枠は、蒸し枠を介して蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱する断熱特性を発揮する枠厚を有することが必要である。この本願発明における断熱とか、断熱特性とは、蒸し工程において蒸し開始直後から蒸し熱の熱量が蒸し枠を介して蒸し枠内の生地、すなわち蒸し枠の内面に接している生地の周縁部分にそのまま伝達されることがないように、これを抑制し、遅延させることであり、またそのようなことができる性質をいう。
例えば、具体的には、前記蒸し食品が蒸しパンであるときには、蒸し枠の内面に接している生地の周縁部分の温度が、蒸し工程における蒸し開始から約3〜4分経過してから一般的な蒸しパン生地の澱粉が糊化したり、その蛋白成分が固化を開始する温度であると考えられる60℃前後になるようにする。またその後も前記生地周縁温度が穏やかな温度上昇曲線を示すように徐々に上昇するようにし、そして蒸し開始から約9〜10分経過してから前記生地周縁温度が95〜100℃になるようにするものである。この枠厚の樹脂製の蒸し枠の断熱性は、比較的熱伝導性の高いアルミニウム(金属)や枠薄の樹脂製の蒸し枠と比較してみると著しく高いものであることが明らかとなる。これらの比較例では、前記生地周囲温度が蒸し開始から約1分経過するともう60℃前後になり、その後も急激な温度上昇直線を示して上昇し、そして蒸し開始から約3〜4分経過するともう95〜100℃となる(図3参照)。
上記は、本願発明の断熱特性を、前記蒸し食品が蒸しパンであるときの具体的な例で説明したものであるが、該蒸し食品が蒸しパン以外の食品であるときには、食品の種類により温度上昇率は変化することがあり得るが、同様の温度上昇の傾向を示すような性質をいう。
また、本願発明の蒸し枠に要求される断熱特性は、該蒸し枠の枠表面および枠内層の両者を介して伝達される熱量を断熱しうるものでなければならない。もしもどちらか一方を介して伝達される熱量を断熱しうるが、他方を介して伝達される熱量は断熱しえないというのであれば、十分な断熱性を発揮しえない。その意味でも、前記枠厚の樹脂製の蒸し枠は最適である。
このような枠厚の蒸し枠は、その枠材の厚さすなわち肉厚が真空吸引成形法により成形することがおよそ不可能な程度の厚さを有する蒸し枠である。
そして、前記樹脂製の蒸し枠の枠厚を5mm以上とすることが望ましく、これにより通常は前記樹脂製の蒸し枠に前記断熱特性を発揮させることができるようになる。該蒸し枠の枠厚はこれを7mm以上とすることがより望ましく、これを10mm以上とすることがより一層望ましい。これにより確実に前記樹脂製の蒸し枠に前記断熱特性を発揮させることができるようになる。これに対し、該蒸し枠の枠厚の上限については、枠厚の下限に要求されるような条件は特にないため、蒸し食品の製造上の作業性、機械的適合性、運搬・保管等の取扱容易性、コスト、成形加工性等を考慮して決めることができるが、通常、11mm以上としたとしても上記本願発明の断熱特性を著しく向上させ、または改質するわけではない。従って、該樹脂製の蒸し枠の枠厚は5〜10mmが望ましく、7〜10mmがより望ましく、10mmが最も望ましいであろう。
また、この蒸し枠の枠厚は、一つの蒸し枠の部位により厚さを変えても構わない。
上述したような本願発明によれば、蒸し工程において蒸し開始直後から蒸し熱の熱量が蒸し枠を介して、蒸し枠内面に接している蒸し食品生地の周縁部分に伝達されるのを抑制、遅延し、従って、蒸し食品生地の周縁部分が膨張の途中で、その蛋白成分が固化しないため、ボディーを形成することなく、蒸し食品生地は、全体的に均一に膨張する。
また、本願発明の蒸し枠で蒸し食品を製造した場合には、蒸し工程終了後の放冷時における蒸し枠自体の温度低下は、比較的緩やかであり、また、枠と生地の隙間温度の冷却ピークと蒸し食品からの水分蒸散ピークの時間帯がずれるため、剥離紙と蒸し食品との間の結露の発生を防止することができる。従って、後述のような、食感の低下や剥離性の悪化を回避することができる。
前記樹脂としては、熱変形温度が100℃以上の耐熱性を有するものであれば使用可能であり、例えば、具体的には、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルファイド、ナイロン、ポリアセタール、その他が使用可能であるが、このなかでも、耐スチーム性があり、吸水性が小さく、木材と同等のコストであり、また食品衛生上の安全性や鋳型射出成形性等の観点から、ポリプロピレンが最適である。
また、本願発明の樹脂製の蒸し枠は、どのような製造方法で製造してもよく、例えば、予め蒸し枠の四辺を構成する個々の枠材を作成しておいて、これらの枠材をビス(金属製でもよいが、樹脂製が望ましい)で固定したり、もしくは嵌め込み式に組み合わせたり、または鋳型射出成形法で一体的に形成したりしてもよい。
また、本願発明は、前記蒸し枠内に剥離紙を敷いて生地を充填することからなる蒸し食品の製造方法である。該剥離紙としては、パルプ紙の少なくとも片面にシリコンまたはポリエステル等の樹脂をコーティングし、または貼付したものである。パルプ紙にシリコンまたは樹脂をコーティングし、または貼付することにより、該紙の熱伝導性を損なうことなく、該紙に耐水性・耐油性および剥離性を付与して、該蒸し枠内に該剥離紙を敷いてその上に流動状生地を充填することを可能とし、また該紙にシリコンまたは樹脂をコーティング等した面を上にして生地を充填して蒸すと、蒸しパンから該紙を剥離することが極めて容易になる。該剥離紙としては、パルプ紙の少なくとも片面にシリコンをコーティングしたグラシン紙が最適である。
本願発明により蒸し食品を製造した場合には、蒸し工程終了後の放冷時における蒸し枠自体の温度低下は、比較的緩やかであり、剥離紙と蒸し食品との間に大きな温度差が生じないために、両者間に結露が発生するのを防止することができる。従って、結露による蒸し食品の食感等の品質の低下や剥離性の悪化を回避することができる。
前記蒸し食品としては、その最適例として蒸しパンを挙げることができる。
本願発明において、蒸し枠に生地を充填して蒸すにあたり、金網等の蒸気通過性の生地載置手段に、必要に応じてパルプ紙を敷き、蒸し枠を載置し、好ましくは剥離紙を敷いてから、蒸し枠内に流動性の生地を充填して蒸すようにする。このとき、蒸し装置としては、バッチ式蒸しボックス(特開平3−57419号公報等参照)、連続式トンネルスチーマー(特公昭42−16393号公報、特開2001−314321号公報等参照)、連続式バーチカルスチーマー(特開62−34518号公報、上掲特開2001−314321号公報等参照)、その他の従来の蒸し装置で蒸すことができる。
本願発明の詳細を本実施例で説明する。本願発明は本実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例、実験例、および表2、図1、3〜7、9、10における「樹脂枠」は、本願発明の蒸し枠である。
本発明の実施例として黒糖蒸しパンを製造した。使用した蒸し枠は、枠厚10mm、内寸340mm×340mmのポリプロピレン製のもの(図1参照)であった。黒糖蒸しパンの配合、工程を表1に示した。蒸し工程は、金網にパルプ紙を敷いてから蒸し枠を載置し、剥離紙としてグラシン紙を敷いた、該蒸し枠に流動状の生地を充填して蒸しボックスにより行う。
このようにして製造した蒸しパンは、蒸し枠の内側に接していた製品の周縁部分が落ちることなく、中央部と同等に全体的にほぼ均一に生地が膨張していた。また、蒸し上げ後の放冷時にも蒸しパンと剥離紙(グラシン紙)との間には結露が生じていなかった。このために、放冷後に製品からグラシン紙を剥がしたときに、グラシン紙に生地が付着せず、製品の品質や製造工程上の作業性が損なわれることもない。
実験例
次に、本発明(前記実施例)と前記従来の技術(木材枠使用)その他の比較例とを比較試験した結果について、以下のとおり述べることにする。
試験に使用した各種蒸し枠の素材名、枠厚、素材の熱伝導率を表2に示した。木枠は従来使用しているものを用いた。また、本発明の樹脂枠の外観写真を図1に示した。
実験例1
まず、各種枠を使用した、前記実施例の配合・工程による蒸しパン生地の蒸し工程における温度上昇と変化率の比較検討を行った。
従来の技術による木材枠を使用した蒸し工程・放冷過程では、枠と生地の隙間温度(枠生地隙間温度ともいう)および蒸しボックス庫内温度(雰囲気温度)は図2に示すような温度経過をたどる。枠生地隙間温度は雰囲気温度にくらべ、1〜2分遅れて上昇を開始し、その後も緩やかに上昇していることがわかる。
蒸し工程開始初期で、各種枠を使用した場合の枠生地隙間温度を比較した(図3)。その結果、木材枠、樹脂枠と比べて金属枠、中空金属枠、樹脂薄枠は速く温度上昇することがわかった。図4の温度上昇と変化率(℃/分)の比較においても、木材枠と樹脂枠の温度上昇ピークが蒸し開始後2〜3分間に現れ、その変化率の最大値も10〜20℃/分と低い値を示したのに対し、金属枠、中空金属枠、樹脂薄枠では蒸し開始後1分以内に現れ、そのいずれのピーク値も30℃/分以上の値を示した。これらの結果から、金属枠、中空金属枠、樹脂薄枠の枠生地隙間温度は木材枠よりも速く温度上昇するのに対し、本発明の樹脂枠(枠厚10mm)のそれは木材枠とほぼ同等であることがわかった。
実験例2
次に、前記実施例の配合・工程による生地を各種蒸し枠を使用して蒸した蒸しパンの膨張について比較検討を行った。
図5に、各種枠で蒸した製品の内相写真を示した。図中hは枠と接していた生地部分の高さ、Hは中心部分の生地高さを示し、h/Hは製品中心部分の高さに対する製品の縁部分の高さであり、垂直方向への生地膨張の不均一性を示している。つまり、h/Hが小さいほど生地は凸状に膨張し製品外観が損なわれていると考えられる。木材枠のh/Hは67%であるのに対して、金属枠、中空金属枠、樹脂薄枠はそれぞれ41%、51%、53%とより小さい値を示していることから、これらの枠を使用した場合、枠と接している生地部分が十分に膨張していないことがわかった。一方、樹脂枠のh/Hは77%と木材枠よりも高い値を示し、樹脂枠を使用した場合、木材枠よりも均一に生地が膨張していることがわかった。
各種素材枠の枠生地隙間温度の比較、製品内相を比較した結果を考え併せると、金属などの熱伝導性に優れた素材を枠材として使用した場合、枠材に接する生地に枠材を介して熱量が供給されるため、生地膨張の途中でボディーが形成される結果、製品の縁部分が不十分な膨張で終わるのに対し、熱伝導性に劣る木材枠、樹脂枠を使用した場合、枠材を介して枠材に接する生地の周縁部分に熱量が供給されないため、製品の縁部分が落ちずに、均一に生地が膨張することがわかった。
以上、生地膨張に枠の断熱性が重要な要素であることがわかった。しかし、枠にどのような断熱性が求められるかについては不明である。この問題を解決すべく、中空金属枠、樹脂薄枠について比較検討を行った。まず、中空金属枠は枠管内に熱伝導性の低い空気(0.02kcal/mhdeg,20℃)が密閉されているため、中空金属枠を単一系とした場合、中空金属枠を断熱体とみることができる。しかし、図3および図4の結果から、中空金属枠の枠生地隙間温度の上昇は金属枠のそれとほぼ同様の挙動を示すことから、枠生地隙間温度の上昇は枠内部を通過する熱量伝達によるのではなく、枠表面の熱量伝達に影響されることがわかった。一方、熱伝導性が低く、且つ、枠厚を薄くした樹脂薄枠では、金属枠の枠生地隙間温度上昇とほぼ同様の挙動を示していることから、枠生地隙間温度の上昇には枠内層を通過する熱量伝達も影響していることがわかった。つまり、蒸し枠に求められる断熱特性は、蒸し枠の枠表面と枠内層を介して伝達される熱量を断熱しうる断熱特性であり、一定の枠厚を持つ樹脂枠は理想的な断熟性を有していることがわかる。
実験例3
さらに、上述したとおり蒸した蒸しパンの放冷経過時・後の結露および粘着性について比較検討した。
図6に樹脂枠、金属枠で蒸し、放冷した製品の側面のグラシン紙を剥がした様子を示した。金属枠のみに限らず中空金属枠、樹脂薄枠でも放冷後グラシン紙を剥がす際、写真のようにグラシン紙に生地が付着してしまい、製品の品質や作業性を損なうことがわかった。また、グラシン紙と接していた製品側面をスパーテルで擦過した場合、図7のように金属枠では湿った生地が付着してしまった。
図8に、蒸し工程終了後、放冷の際に一枠当たりの製品(2100g)から蒸散する水分量の経時変化を示した。放冷開始直後から、多量の水分が蒸散していることがわかった。もしも、放冷開始直後に製品近傍に冷却面があった場合、蒸散するはずの水分が冷却面で結露することが予想される。
図9および図10に放冷開始後の各種素材枠の枠生地隙間温度と製品中心温度の経時変化(図9)と各時間での温度変化率(℃/分)(図10)を示した。放冷開始後、製品中心温度に比べてすべての枠で枠生地隙間温度がより速く低下していることがわかる。その中でも、金属枠、中空金属枠、樹脂薄枠で顕著な低下が観察された。さらに温度変化率より、放冷開始1分以内に、金属枠、中空金属枠、樹脂薄枠では−20℃/min以下の冷却ピークを迎えるのに対し、木材枠、樹脂枠では−10℃/min程度の緩やかな冷却ピークに留まることがわかった。放冷開始1分以内は図8に見るように、製品から最も水分が蒸散する時間帯である。そして、金属枠、中空金属枠、樹脂薄枠の枠生地隙間温度の急冷ピークがこの時間帯と重なることで、生地と接するグラシン紙面が冷却面となり生地とグラシン紙の間に多量の結露が生じたと、推察された。この結露が原因で図6、図7の金属枠で見られたグラシン紙ヘの生地付着、側面生地の湿りが生じたと考えられた。
以上のことから、放冷時の結露およびグラシン紙ヘの生地付着の解消に対しても樹脂枠は有効に機能することがわかった。
樹脂枠の外観を示す図面に代わる写真である。 蒸し工程−放冷過程の経時枠生地隙間温度変化を示す図面である。 各素材枠を使用した場合の、蒸し過程初期の枠生地隙間温度変化を示す図面である。 各素材枠を使用した場合の、各時間での温度変化率の時間変化を示す図面である。 各素材枠を使用した場合の、図面に代わる製品内相写真である。Hは製品中心部の製品高さ、hは製品縁部分の製品高さ。 樹脂枠、金属枠で蒸し、放冷した製品の側面のグラシン紙を剥がした様子を示す図面に代わる写真である。 図6の製品側面をスパーテルで擦過した様子を示す図面に代わる写真である。 蒸し過程終了後、放冷の際に一枠当たりの製品(2100g)から蒸散する水分量の経時変化(水分蒸散量は製晶重量の減少量から算出した)を示す図面である。 各素材枠を使用した場合の、蒸し過程終了後、放冷過程の枠生地隙間温度変化を示す図面である。 各素材枠を使用した場合の、各時間での温度変化率の時間変化を示す図面である。

Claims (9)

  1. 蒸し枠に生地を充填して蒸すにあたり、該蒸し枠が、該蒸し枠を介して該蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱しうる断熱特性を発揮する枠厚を有する、樹脂製の蒸し枠であることを特徴とする蒸し食品の製造方法。
  2. 枠厚が5mm以上有する樹脂製の蒸し枠に生地を充填して蒸すことを特徴とする蒸し食品の製造方法。
  3. 前記樹脂製の蒸し枠は、該蒸し枠を介して蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱しうる断熱特性を発揮することを特徴とする請求項2の蒸し食品の製造方法。
  4. 前記樹脂がポリプロピレンであることを特徴とする請求項1、2または3の蒸し食品の製造方法。
  5. 前記蒸し枠内に剥離紙を敷いて生地を充填することを特徴とする請求項1、2、3または4の蒸し食品の製造方法。
  6. 前記蒸し食品が蒸しパンであることを特徴とする請求項1、2、3、4または5の蒸し食品の製造方法。
  7. 前記請求項1、2、3、4または5に記載の蒸し食品の製造方法により製造することを特徴とする蒸し食品。
  8. 生地を充填して蒸す蒸し枠であり、該蒸し枠を介して蒸し枠内の生地に伝達される熱量を断熱しうる断熱特性を発揮する枠厚を有する樹脂製の蒸し枠であることを特徴とする蒸し枠。
  9. 生地を充填して蒸す、枠厚が5mm以上有する樹脂製の蒸し枠であることを特徴とする蒸し枠。
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