JP2005058178A - 防根シート - Google Patents

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Abstract

【課題】透水性があり、かつ大型樹木のように根の貫通力が高い植生に対しても優れた防根性を発揮する防根シートを提供する。
【解決手段】重ね組織を有する織物からなる基材シートの少なくとも片面に高分子樹脂が付与されている防根シートである。
また、重ね組織を有する織物からなる基材シートの少なくとも片面に高分子樹脂が付与されており、透水性が1.0×10−2cm/sec以上であり、貫通抵抗が7kg以上であり、かつ剛軟度が経緯ともに70mm以上である防根シートである。
【選択図】なし



Description

本発明は、土木分野や造園分野にて樹木や雑草等の根の伸張を制限するために用いられる防根シートに関するものである。
防根シートは街路樹や公園植樹等の根域周囲地面に埋設して樹木の根の伸張を防止して歩道や公園の美観を維持するのに使用されたり、屋上緑化時の植栽の根域周囲や土中埋設管の周囲に巻き付けることで根の侵入を防いで建築物や水道管等を保護する目的で使われたり、或いは駐車場や庭のスロープにおいて砂利石の下敷きシートとして埋設することで雑草の繁殖を防ぐ目的で用いられている。
従来は防根資材としてプラスチック製の板状構造物や鉄板や銅版などを使用することが多かったが、これらの素材には透水性が無い為、根域を完全に包囲してしまうと包囲した区域内に降雨等により水が溜まってしまい、樹木が根腐れをおこしてしまうおそれがあった。
このような問題を解決するものとして特許文献1にあるように合繊長繊維使いの織物からなる透水性に優れた防根シートが開示されている。しかしながら、このような合繊長繊維使いの織物は、水稲や野菜など根の膨圧が低い苗床で使用し、根張りを制限することで植え替え時の作業性を改善することが主目的であり、根の貫通力が小さい植生に対しては有効であるが、モミジ、桜、松、竹、梅などの大型樹木のように根の貫通力が高い植生に対しては根の伸長を十分に制限できないという問題があった。
また近年においては特許文献2にあるように合成長繊維からなる不織布に防根剤を付与した防根資材が開示されているが、基材が特許文献1と同様に繊維構造物であるため、基材自体の強度が弱く、防根性に不安があり、さらに防根剤が高価であるため生産コストが高くなってしまい、街路樹や公園植樹などにおける根域制限という大型工事を考えた場合には可成りの予算が必要となる。
このように防根シートの透水性を考えるとシート基材は繊維構造物が最適ではあるが、その場合には防根性に乏しいという問題があった。よって繊維構造物からなる防根性に優れた防根シートは未だ得られていないというのが現状である。
特開昭62−87028号公報
特開2002−335762号公報
本発明の目的は上記の問題を解決するものである。すなわち、大型樹木のように根の貫通力が高い植生に対しても優れた防根性を発揮する繊維構造物からなる防根シートを提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため次のような手段を実施するものである。
すなわち、本発明は、重ね組織を有する織物からなる基材シートの少なくとも片面に高分子樹脂が付与されていることを特徴とする防根シートに関する。
さらに、前記重ね組織を有する織物が、経2重、緯2重または経緯2重の2重織であることが好ましい。
前記高分子樹脂の付与量が、乾燥重量で20g/m〜120g/mであることが好ましい。
また、本発明は、重ね組織を有する織物からなる基材シートの少なくとも片面に高分子樹脂が付与されており、透水性が1.0×10−2cm/sec以上であり、貫通抵抗が7kg以上であり、かつ剛軟度が経緯ともに70mm以上であることを特徴とする防根シートに関する。
本発明にて、透水性があり、かつ大型樹木のように根の貫通力が高い植生に対しても優れた防根性を発揮することができ、また、シ−トの剛軟度の値も高いため施工性にも優れた防根シートを提供することが出来る。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の防根シートは、基材シートとして重ね組織を有する織物を用い、さらに基材シートの少なくとも片面に高分子樹脂が付与されているものであることを基本的な特徴としている。
基材シートとして重ね組織を有する織物を用い、さらに基材シートの少なくとも片面に高分子樹脂が付与されている構成とすることにより、透水性があってかつ優れた防根性をもつ防根シートが達成出来る。
本発明において基材シートとして重ね組織を有する織物を採用する理由については、他の繊維構造物に比べて組織を密に構成することができ、透水性を保持しつつ防根性を発揮するためには最適であるからである。平織などの1重織をボンディング加工などの方法により2枚以上重ね合わせて上記目的を達成することも可能ではあると考えられるが、その場合、本発明と比較すると製造コストの高いものとなってしまう。
本発明の防根シートにおける重ね組織を有する織物としては、好適には経2重、緯2重または経緯2重の2重織が例示できる。3重織といったものも採用可能ではあるが、製織が複雑になり、生産コストも高くなるため2重織が最も好ましい。
また、2重織の表裏の組織については、平織、あや織、朱子織等いずれの組織も採用可能であるが、組織をより密に形成できて防根性を高めることができる理由から表裏両面を朱子織にしたものが特に好ましい。
使用される繊維の種類としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン等の合成繊維が強度、耐久性が良好であり、カビ、虫などの付着に対しても強いので好ましい。また、単糸繊度が0.5デシテックス〜4デシテックスであるマルチフィラメントタイプが製織された繊維間の空隙を少なくできることから好ましく、さらに総繊維度は77デシテックス〜330デシテックスのものが高密度で製織できるということから好ましい。
本発明においては上述した重ね組織を有する織物からなる基材シートの少なくとも片面に高分子樹脂を付与するが、高分子樹脂を付与することにより基材シートの糸のバラツキを押さえることができ、さらに防根性に優れたものとなる。また、高分子樹脂を付与することで、後述する優れた剛軟度を達成することが出来る。
基材シートの少なくとも片面に付与される高分子樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などが例示でき、特に限定されるものではないが、シート基材との接着性や使用後の廃棄を考慮した場合、基材シートと同種の樹脂を使用することが好ましい。
また、樹脂の付与方法としては、コーティング法、スプレー法、グラビアロール等による印刷法など従来公知の方法が使用でき、また、基材シートの両面に樹脂を付与する場合には、ディップ法にて基材シートに樹脂を含浸させてもよく特に限定はされない。
樹脂の付与量については、防根シートの透水性を保ちつつ優れた防根性を発揮できることから、乾燥重量で20g/m〜120g/mで付与することが好ましい。
本発明の防根シートの透水性としては、1.0×10−2cm/sec以上であることが好ましく、透水性が1.0×10−2cm/sec未満であると水抜けが悪くなって根腐りをおこすおそれがある。
また、本発明の防根シートの貫通抵抗としては、好ましくは7kg以上、さらに好ましくは10kg以上であると、街路樹のような大型樹木に対しても優れた防根性を発揮することができる。
さらに、本発明の防根シートの剛軟度としては、好ましくは経緯とも70mm以上、さらに好ましくは100mm以上であることが好ましい。70mmより小さいと防根シート施工時、シートが自己倒立できずに掘削穴内に折れ曲がって作業性が悪くなるおそれがある。
以下、本発明の実施例を比較例と共にあげ、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
〔評価方法〕
1.透水性(cm/sec)
JIS A 1218(土の透水試験法)に準じて測定した。
2.貫通抵抗性(kg)
TENSILON UTM−4−100引っ張り試験機を用い、JIS A5508 規定のN100タイプ鉄丸クギの頭部を60mmカットしたクギを試験セルに取り付け可能な貫通抵抗測定用器具(525〜530g重量鋼鉄製)にセットし、50mm/分のスピードで試験布に対して垂直に下降させて試験布に突き刺して得られる最大抵抗値で評価した。
3.剛軟度(mm)
JIS L 1096 8.19.1 (45°カンチレバー法)に準じて測定した。
4.防根性評価
実際に若竹の根域周囲に防根シートを埋設し、半年後、防根シート周囲の根の伸長状態について以下の如く評価を行った。
○…シートが破れて無く、根域制限がされている。
×…シートを突き破って根が伸びており、根域制限がされていない。
〔参考例〕
経糸に84dtex/36f ポリエステル加工糸(東レ(株)製)、緯糸に167dtex/48f ポリエステル加工糸(帝人(株)製)を用いて両面7枚朱子の経2重織(密度:経290本/インチ、緯94本/インチ)を織成して基材シートとした。
上記測定方法に従って測定した結果を表1に示す。
〔実施例1〕
参考例にて得られた基材シートに、プラスコート Z561(水溶性ポリエステル樹脂 互応化学(株)製)100量部とネオステッカーN(非イオン系活性剤 日華化学(株)製)10量部の混合液をナイフコーティング法にて樹脂の塗布量が乾燥重量で30g/mになるように塗布した後、120℃の温度で乾燥して本発明の防根シートを得た。
〔実施例2〕
基材シート付与する樹脂の塗布量を乾燥重量で100g/mとした以外は、実施例1と同様にして本発明の防根シートを得た。
上記測定方法に従って測定した結果を表1に示す。
〔比較例1〕
経糸に84dtex/36f ポリエステル加工糸(東レ(株)製)、緯糸に167dtex/48f ポリエステル加工糸(帝人(株)製)を用いて平織(密度:経150本/インチ、緯80本/インチ)を織成して基材シートとした。
その後の工程は実施例1と同様にして行い、得られた防根シートを上記測定方法に従って測定した。その結果を表1に示す。

Figure 2005058178
表1の結果より本発明の防根シートは透水性がありながら、高い貫通抵抗値を示しており、若竹のような根の貫通力が高い植生に対しても優れた防根性を発揮している。また、本発明の防根シートは剛軟度の値も高いため、シート施工時、シートが掘削穴内に折れ曲がることもなくシートを効率よく施工することができる。

Claims (4)

  1. 重ね組織を有する織物からなる基材シートの少なくとも片面に高分子樹脂が付与されていることを特徴とする防根シート。
  2. 重ね組織を有する織物が、経2重、緯2重または経緯2重の2重織であることを特徴とする請求項1記載の防根シート。
  3. 高分子樹脂の付与量が、乾燥重量で20g/m〜120g/mであることを特徴とする請求項1または2記載の防根シート。
  4. 重ね組織を有する織物からなる基材シートの少なくとも片面に高分子樹脂が付与されており、透水性が1.0×10−2cm/sec以上であり、貫通抵抗が7kg以上であり、かつ剛軟度が経緯ともに70mm以上であることを特徴とする防根シート。

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