JP2005058011A - 川小魚を捕食する鳥からその川小魚を保護する方法、及び防鳥ネットのセット方法 - Google Patents

川小魚を捕食する鳥からその川小魚を保護する方法、及び防鳥ネットのセット方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鮎を川鵜による食害から、簡易な手段で保護する。
【解決手段】河川の水中に、鮎は通過可能で、川鵜は通過不能又は通過困難な網目からなる防鳥ネット1をセットする。防鳥ネット1の水面寄りをなす上縁11の適所にフロート12を取付けておき、川底105寄りをなす下縁15の適所に錘16を取付けておく。河川101を横断する配置で索体21を張る。防鳥ネット1の一端部18を索体21に連結する。これによって、防鳥ネット1の上縁11を水面寄りに保持しかつ下縁15を川底寄りに保持し、網面3を河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状にセットする。こうすることで、鮎が川鵜に追われた際、鮎のみを防鳥ネット1の網目を通過させることで、川鵜から保護する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川(清流)に生息する鮎等の川小魚を捕食する川鵜等の鳥から、その川小魚を保護する方法、及び鮎等の川小魚を捕食する川鵜等の鳥から、その川小魚を保護するための防鳥ネットのセット方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
鮎は、川釣り(清流釣り)における代表的な釣り対象魚であるが、近年の鮎は養殖された稚鮎、或いは別途、仕入れた稚鮎を河川(清流)に放流し、そこで成魚に向けて育てて、適切な体長になるのを待って、或いは、適切時期を待って釣解禁とされて一般釣り人に提供されるのが普通である。ところが、近年、とくに川鵜が異常繁殖しており、鮎を食い荒らしているという被害(食害)が多く報告されている。とくに、100羽単位で飛来してくる川鵜は、1度の飛来において1羽で、体長が10cm未満の稚鮎なら数十匹、場合によっては100匹以上も食べてしまうため、その食害が問題とされている。この川鵜による食害は、地域によっては深刻で、漁業関係者のみならず、釣り人にとっても重大な問題となっている。
【0003】
一方、川鵜は、その保護政策により、容易に駆除できない。川鵜による食害からの鮎の保護としてのその駆除は、その条件や駆除可能数が厳格に規制されるため、有効策とはならない。このため、従来、鮎を川鵜から保護する方法として取り得る対策としては、基本的には、脅しのための発砲、音響或いは花火程度しかない。しかし、このような発砲等では、当初は有効であるが、短時間で川鵜にその安全性が知られてしまい、鮎を川鵜から保護する有効な手段とならないのが実情である。そして、このような食害は、鮎に限られるものではなく、あまご、いわな、うぐい、おいかわ等、清流や渓流に生息する川小魚全般にも及んでいる。
加えて、このような川小魚を潜って捕食する鳥は、川鵜に限られるものではなく、カワアイサも同様の食害の原因となっている。その他、河川に生息する鮎を川鵜から保護する方法についての先行技術に関する文献情報は出願人の知る限りにおいては存在しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、鮎、あまご、いわな、うぐい、おいかわ等、清流や渓流に生息する川小魚を、川鵜やカワアイサ等のように、潜って捕食する鳥による食害から保護することをその課題とし、川鵜等を殺傷することなく、簡易に実効性のあるその保護方法を提供することをその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、河川の水中に、川小魚は通過可能で、その川小魚を捕食する鳥は通過不能又は通過困難な網目からなる防鳥ネット(網)をセットし、前記川小魚が該川小魚を捕食する鳥に追われた際に該川小魚のみを防鳥ネットの網目を通過させることによって該川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法である。本明細書において、川小魚とは、鮎、あまご、いわな、うぐい、おいかわ、又はやまめのうちのいずれかをいう。また、本明細書において、川小魚を捕食する鳥とは、鳥類のうち、川鵜、又はカワアイサをいう。なお、以下、川小魚については適宜、鮎を例示し、川小魚を捕食する鳥については川鵜を例示して説明する。
【0006】
川鵜が水中に潜って鮎を追うと、追われた鮎は反射的に川鵜から逃げる。このとき、本発明によれば、追われた鮎は前記防鳥ネットの網目をくぐって、網の反対側に逃げることができる。一方、川鵜は、防鳥ネットでその前進が停止又は阻害されるため、鮎はその間に逃げ延びることができる。したがって、川鵜を特に害することもないし、鮎はこのような網がない場合に比べると、確実に川鵜による食害から保護される。すなわち、本発明によれば、鮎を川鵜から簡易な手段によりかつ効率的に保護できる。
【0007】
なお、川鵜は、河川における鮎の溜まり場に飛来して鮎を急襲するため、前記防鳥ネットは、鮎の溜まり場に適宜にセットすることで、その効果が得られる。
また、鮎は通常、略水平ないし水面に対して斜めに回遊、移動する習性がある。
したがって、前記防鳥ネットは、請求項2に記載のように、その網面が水面(川面)に対して縦に(水平でなく略垂直状に)なるようにセットするか、請求項3に記載のように、その網面が水面に対して斜めになるようにセットするとよい。
【0008】
請求項2にかかる発明は、前記防鳥ネットを、その網面が水面に対して縦になるようにセットすることを特徴とする、請求項1に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法である。また、請求項3にかかる発明は、前記防鳥ネットを、その網面が水面に対して斜めになるようにセットすることを特徴とする、請求項1に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法である。
【0009】
請求項4にかかる発明は、前記防鳥ネットを複数、しかもその各網面が互いに対面するようにセットすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法である。
【0010】
このように、防鳥ネットをセットしておけば、1つの防鳥ネットの両面から川鵜が鮎を追うようなときでも、鮎は対面する別の防鳥ネットの網目を通って逃げることができる。このため、鮎を川鵜からより効果的に保護することができる。
【0011】
請求項5にかかる発明は、前記防鳥ネットをその網面が河川の上流から下流に向けてその流れに沿うようにセットすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法である。
【0012】
このように防鳥ネットを水の流れに沿うようにセットすれば、防鳥ネットに対する水流による水圧を小さくできるため、防鳥ネットを痛めることが少ない。
【0013】
請求項6にかかる発明は、前記防鳥ネットの水面寄りをなす上縁の適所に或いは上縁に沿ってフロート(浮き)を取付けておくとともに、該防鳥ネットの川底寄りをなす下縁の適所に或いは下縁に沿って錘を取付けておく一方、
河川を横断する配置で索体を張り、
前記防鳥ネットの一端部を前記索体に直接又は間接に連結することによって、前記防鳥ネットの上縁を水面寄りに保持しかつ該防鳥ネットの下縁を川底寄りに保持するとともに、該防鳥ネットの網面を河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状に保持することによって該防鳥ネットをセットすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法である。なお、本明細書において、索体とは、ワイヤ(金属線)、ロープ(鋼索、織糸綱等の綱)、針金、縄、紐等の線状体をいう。
【0014】
請求項7にかかる発明は、前記川小魚が鮎であり、前記捕食する鳥が川鵜であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法である。
【0015】
請求項8にかかる発明は、川小魚は通過可能で、その川小魚を捕食する鳥は通過不能又は通過困難な網目からなる防鳥ネットの一側縁の適所に、或いはその一側縁に沿ってフロートを取付けておくとともに該一側縁に対向する側の対向側縁の適所に或いは該対向側縁に沿って錘を取付けておく一方、
河川を横断する配置で索体を張り、
前記防鳥ネットの一端部を前記索体に直接又は間接に連結することによって、前記防鳥ネットの前記一側縁を水面寄りに保持しかつ該防鳥ネットの前記対向側縁を川底寄りに保持するとともに、該防鳥ネットの網面を河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状に保持することによって該防鳥ネットを河川の水中にセットすることを特徴とする、防鳥ネットのセット方法である。
【0016】
請求項7又は8にかかる発明においては、防鳥ネットを河川の水面と川底との上下方向については、フロートと錘で展開状に保持するとともに、上流から下流に向けては、防鳥ネットの一端部を索体に取付けることで、流れにまかせることで展開状に保持するものであるため、防鳥ネットのセットが容易にできる。しかも、セット位置の変更が容易にできる。すなわち、鮎の溜まり場よりも上流側において河川を横断する配置で索体を設けておき、この索体と、防鳥ネットの一端部との連結を、直接又は別の索体(ロープやワイや)を介して連結しておき、防鳥ネットの一端部と連結する索体の長さを変えることで、セットする河川の上下流域を容易に変更できる。また、防鳥ネットの一端部を索体に取付けることでセットする方法のため、防鳥ネットの回収(片付け)も、その索体を川岸から引寄せることでできる。したがって降雨時や増水時などの緊急時においても、防鳥ネットを簡易、迅速に回収できる。なお、河川を横断する配置で張る索体は、水面上の空中に張ってもよいし、景観を損ねるようであれば、水中において張ればよいなど、どの位置に張ってもよい。なお、このような索体は、両川岸に杭を打ち込み、その各杭に、両端をそれぞれ連結するようにし、索体に適宜の引張力を付与するようにすればよい。なお、索体には、例えば、ステンレス合金製のワイヤ、或いは合成樹脂製のロープを用いるとよい。請求項9にかかる発明は、前記川小魚が鮎であることを特徴とする、請求項8に記載の防鳥ネットのセット方法である。
【0017】
請求項10にかかる発明は、川小魚を捕食する鳥が通過不能又は通過困難な網目からなる防鳥ネットは、その網面が略水面に位置するように適所にフロートを取付けておくとともに、側縁に沿って適宜の間隔で、両側縁の間に適度の張りを保持させるように両側縁の間隔保持部材を介在させる一方、
河川を横断する配置で索体を張り、
前記防鳥ネットの一端部を前記索体に直接又は間接に連結することによって、前記防鳥ネットの両側縁の間に適度の張りを保持しつつ、前記防鳥ネットの網面を河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状に保持することによって、該防鳥ネットを河川の水面にセットすることを特徴とする、防鳥ネットのセット方法である。
【0018】
この発明は、河川の水面に対し、鮎を川鵜から保護する防鳥ネットをセットする方法であるが、このような防鳥ネットのセット方法によれば、簡易に、鮎を川鵜から保護できる防鳥ネットを水面に展開状にセットできる。また、その回収も容易にできる。なお、フロートは、防鳥ネットの両側縁の適所に、或いは、両側縁に沿って設けてもよいし、網面の中間部位に設けてもよい。防鳥ネットの形状、サイズによって適宜に設定すればよい。
【0019】
請求項11にかかる発明は、川小魚を捕食する鳥が通過不能又は通過困難な網目からなり、それ自体が水に浮く素材からなる防鳥ネットであって、側縁に沿って適宜の間隔で、両側縁の間に適度の張りを保持させるように両側縁の間隔保持部材を介在させる一方、
河川を横断する配置で索体を張り、
前記防鳥ネットの一端部を前記索体に直接又は間接に連結することによって、前記防鳥ネットの両側縁の間に適度の張りを保持しつつ、前記防鳥ネットの網面を河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状に保持することによって、該防鳥ネットを河川の水面にセットすることを特徴とする、防鳥ネットのセット方法である。
【0020】
請求項10にかかる発明では、防鳥ネットにフロートを取付ける必要があるが、このものでは、その取付けを要しない分、より簡易にそのセットができる。請求項12にかかる発明は、前記川小魚が鮎であり、前記捕食する鳥が川鵜であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の防鳥ネットのセット方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態を図1〜図5を参照しながら詳細に説明する。図中、1は防鳥ネットであり、各々は展開してみたときは、その全体で例えば、細長い長方形をなしている。そして、その防鳥ネット1における1つの網目2は、任意の多角形(例えば、矩形)とされており、その開口の大きさは本形態では、鮎(成魚)は通過可能で、川鵜(成鳥)は通過不能又は通過困難な大きさとされている。そして、このような防鳥ネット1は、河川101の水中102に、例えば、その網面3が水面103に対して縦(上下)になるようにセットされている(図2、3参照)。なお、本例では、略同一形状、略同一サイズの防鳥ネット1が複数(図示3枚)、しかもその各網面3が互いに対面するように、或いは平行となるようにセットされている。
【0022】
そして、防鳥ネット1は、本形態では展開したときの全体形状である長方形をなす一方の長辺(水面103寄りをなす上縁。以下、上縁ともいう)11が、水面103寄りをなし、他方の長辺(川底105寄りをなす下縁。以下、下縁ともいう)15が川底105寄りをなすように、河川101の水中102に配置されるように次のように形成されている。すなわち、本形態では、防鳥ネット1の水面103寄りをなす上縁11の適所に、或いは上縁11に沿ってフロート(浮き)12がロープ13等により連結されている。そして、防鳥ネット1の川底105寄りをなす下縁15の適所に、或いは下縁15に沿って錘16がロープ17等により連結されている。ただし、フロート12は、防鳥ネット1を流れのない水中102に入れ、その上縁である長辺11に沿ってある程度の引張力を付与したとき、その上縁を、水面103又はその近傍の水中102に位置させ得る浮力のあるものとされている。また、この時、防鳥ネット1の下縁である長辺の適所に或いは下縁15に沿って取付けられた錘16によって、防鳥ネット1は、水中102で垂れ下がり状となるように設定されている。したがって、水深が、防鳥ネット1の短辺18、19の長さより大きめのときに、その網面3が水面103に対して略縦になるように設定されている。本形態の防鳥ネット1は、その短辺18、19に沿う上下方向への展開がこのようにフロート12と錘16によって展開されるように設定されている。フロート12は、それ自体が比重の極めて小さいプラスチック、又は内部に空気が溜まっているプラスチック容器状のものでよい。また、錘16は、フロート12とで防鳥ネット1を上下に展開できればよく、適宜の比重、重量のものであればよい。したがって、金属塊又は錨形状のものでもよい。
【0023】
一方、本形態の防鳥ネット1は、その長辺11、15に沿う方向への展開、つまり、長辺に沿う方向の網面3は、河川101の上流(図1の右上、又は図3の右側)から下流(図1の左下、又は図3の左側)に向けてその流れ(図中の破線矢印)まかせることで行なうように設定されている。このため、防鳥ネット1の一方の短辺(図1の右上、又は図3の右側)18を、河川101におけるセッティング場所の最上流位置として位置決めし、そこで一応の固定をすることで、防鳥ネット1を河川の水中102にセット(設置)すればよい。
【0024】
なお、このような防鳥ネット1のセットにおける固定は、本形態では次のようにされている。図1〜3に示したように、河川101を横断する配置で索体(例えば、ステンレス合金製のワイヤ。以下、ワイヤともいう)21を張る。これは、河川101の両岸111、112に杭115、116を打ち込み、その杭にワイヤ21の各端を適度のテンションを付与して連結する。そして、このワイヤ21に防鳥ネット1の一方の短辺(一端部)18を例えば、索体21と同様のワイヤ22、23を介して連結している。なお、本形態では短辺18に沿って、例えば図示はしないが樹脂製の棒(又はパイプ)が取付けられており、防鳥ネット1の一端部18である前端部の上下がタイトになるように構成されており、その上下からワイヤ22、23をのばして、河川101を横断する配置で張られた索体21に取付けられている。ただし、この取付けは、ワイヤ22、23の先端に例えばステンレス合金製のリング(環状体)25を連結してその中に索体21を通した形とされている。つまり、このリング25を索体21にスライド自在にして遊嵌状として取りつけられている。
【0025】
また、本形態では、このリング25を索体21に沿って移動させることで防鳥ネット1を河川101に設置し、或いはその設置位置を可変し、或いは川岸に引寄せて回収できるように、図4に示したように、そのリング25に別設のロープ27が設けられている。なお、本形態では、別設のロープ27は、一方の川岸112から操作できるように、他方の川岸111に取付けられたブロック(滑車)28を介して折り返され、ロープ27の両端が一方の川岸112においてそれぞれ例えばウインチ29、30に巻かれている。しかして、防鳥ネット1を河川101の水中にセットするときは一方のウインチ29を緩めてそれに巻かれているロープ27を繰り出し、他方のウインチ30を回して繰り出されたロープ27を巻き取り、適宜の位置としたところで、ロープ27の両端をウインチに固定することで、そのセットができる。また、防鳥ネット1を回収するときは、その逆を行なえばよい。すなわち、他方のウインチ30を緩めてそれに巻かれているロープ27を繰り出し、一方のウインチ29を回して繰り出されたロープ27を巻き取ることで、その回収ができるように構成されている。
【0026】
しかして、本形態においては、防鳥ネット1は、その上縁11を水面103寄りに保持しかつ下縁15を川底105寄りに保持するとともに、河川の上流側に位置する一端部18を索体21に連結することで、その水中にセットされている。そして、網面3をその長辺11、15に沿って河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状に保持させることで、その防鳥ネット1はセットされる。
【0027】
このように、防鳥ネット1を、一方の短辺(一端部)18をワイヤ21に直接又は間接に連結し、河川101の鮎の溜まり場をなす水中102に、一方の長辺を水面103寄りに保持しかつ他方の長辺を川底105寄りに保持する。そして、このような防鳥ネット1は、その網目2が、鮎は通過可能で、川鵜は通過不能又は通過困難な、形状、大きさのものである。したがつて、このような防鳥ネット1が鮎の溜まり場をなす水中102に水没させておくことで、次のような効果がある。すなわち、図4に示したように、鮎Fが川鵜Kに追われた際には、鮎Fは、防鳥ネット1の網目2を通過して逃げる。一方、川鵜Kは、その網目2が通過不能又は通過困難に形成されているため、鮎Fを襲うことが不可能または困難になる。したがって、川鵜Kを痛めることもなく、鮎Fを川鵜Kによる食害から効果的に防止できる。
【0028】
上記においては、その網面3が水面103(川面)に対して縦に(水平でなく略垂直状に)なるようにセットしたが、その網面3が水面103に対して斜めになるようにセットしてもよい。
【0029】
とりわけ、本形態では、防鳥ネット1を複数、しかもその各網面3が略平行状になるように、間隔をおいてセットしたため、1つの防鳥ネット1を跨ぐ位置に、それぞれ川鵜が潜行してきても、隣の防鳥ネット1を通して鮎を逃がすことができるため、極めて効果的である。
【0030】
また、本形態では、防鳥ネット1のセットについて、これをその網面3が河川101の上流から下流に向けてその流れに沿うようにセットするようにしているため、前記したように、防鳥ネット1に対する水流による水圧を小さくできるため、防鳥ネット1を痛めることが少ない。加えて、セットが容易であるという効果もある。
【0031】
とくに、本形態では、防鳥ネット1は、その水面103寄りをなす上縁11の適所に或いは上縁11に沿ってフロート12が取付けてあり、川底105寄りをなす下縁15の適所に或いは下縁に沿って錘16が取付けてあるため、上下にも安定して展開できる。そして、河川101を横断する配置で索体21を張っておき、防鳥ネット1側の一端部にリング(環状体)25を取付け、索体21に対しリング25がスライド自在に遊嵌されており、このリング25を索体21に沿って移動することで、川幅における任意の位置に防鳥ネット1の一端部18を移動できる。しかも、その移動は、川岸の一方において、別設のセット用又は回収用のロープ27の操作でできるため、極めて便利である。なお、防鳥ネット1の一端部18を、索体21にロープ22、23を介して連結した場合を例示したが、直接連結してもよい。また、本発明において、河川を横断する配置で索体を張る、ということについては、索体21は河川を確実に横断していなくともよい。つまり、前記形態における一方又は両方の杭(115、116)が、川岸に打ち込まれることなく、川岸(111、112)寄りの水中において打ち込まれていてもよいことを意味する。
【0032】
なお、ここで本発明に用いる防鳥ネット1についての網目2について説明する。網目2は、前記したように、保護対象魚である鮎(成魚)は通過可能で、その食害原因となっている川鵜は通過不能又は通過困難であればよく、その形状のいかんは問われない。網目2は任意の多角形(例えば、矩形)でよい。通過困難とは、通過できるとしても、川鵜の羽根又は脚ひれが邪魔となって、川鵜が円滑に網目を通過できない状態をいう。また、通過困難である網目2の大きさは、本願発明者らによる川鵜(成鳥)を用いた実験によれば、例えばそれが矩形(正方形に近い長方形)の場合には、短辺が、約25cm以下である。また、鮎が通過可能である網目2の大きさは、例えばそれが矩形(長方形)の場合には、短辺が、約3cm以上である。したがって、本発明における網目2の大きさは、それが矩形(正方形又は長方形)の場合には、一辺又は短辺を、5〜22cmの範囲とするのが好ましく、特に好ましくは10〜20cmの範囲である。もっとも、三角又は五角形以上の多角形としてもよいが、その場合には、多角形の具体的形状にあわせて、川鵜が通過困難である網目2の大きさに設定(設計)すればよい。
【0033】
さて次に、本発明の防鳥ネットのセット方法の別の実施の形態について図6に基づいて説明する。
【0034】
このものは、防鳥ネット51が、川鵜が通過不能又は通過困難な網目2からなる矩形をなしており、その網面3が略水面103に位置するように適所にフロート12を備えている。そして、その対向する側縁(長辺)52、53に沿って適宜の間隔で、両側縁52、53の間に適度の張りを保持させるように両側縁52、53の間に、間隔保持部材である棒又はパイプ55が適数本(図示では両端部のものも含めて4本)、介在されている。なお、両側縁52、53の間に介在させる間隔保持部材は、棒又はパイプでなくともよい。
【0035】
そして、上記した発明の場合と同様に、河川101を横断する配置で索体21を張っておき、防鳥ネット51の一端部(図6右上)58を索体21に、直接、又は例えばロープ22を介して間接に連結する。このとき、防鳥ネット51の両側縁52、53の間には適度の張りが保持されているとともに、防鳥ネット51の網面3はフロート12によって浮かされる。このため、防鳥ネット51は、河川101の上流(図6右上)から下流(図6左下)に向けてその水流によって展開状に保持される。かくして、防鳥ネット51を河川101の水面103にセットすることにより、この防鳥ネット51の下にいる鮎は、川鵜による食害から保護される。なお、図6中、115、116は、両川岸111、112に打ち込んだ杭であり、索体21は、この両杭の間で河川101を横断する配置で張られている。
【0036】
このような防鳥ネットのセット方法によれば、簡易にそのセット、及び回収ができるため、例えば、川鵜の飛来、退去に応じて、そのセット、回収ができるため極めて便利である。なお、索体21に対する防鳥ネット51の連結は、防鳥ネット51の前端部58に取付けたロープ22の先端に、図4に示したのと同様に、リング25を取り付けておくとともに、そのリングを索体21にスライド自在に遊嵌しておき、別の索体(又はロープ)でそのリングを川岸から離間又は引寄せ操作するようにしておいてもよい。
【0037】
なお、図6に示した前記の実施の形態において、フロート12を用いることなく、防鳥ネット51自体を水に浮く素材からなるもの(例えば、ポリプロピレン等の公知の樹脂素材)で形成してもよい。このようにすれば、別途にフロートを要することなく、防鳥ネット51を浮かばせることができる。したがって、別途にフロートを要しない分、その構成の簡略化が図られる。
【0038】
本発明は、上記した実施の形態のものに限定されるものではなく、適宜に設計変更して具体化できる。例えば、防鳥ネットの平面形状については、矩形又は長方形のもので具体化したが、これ以外の形状のものとしても具体化できる。また、防鳥ネットは、網面が平面をなすものにおいて具体化したが、ある程度の厚みを有するように立体網構造のものを用いてもよい。また、河川を横断する索体は水中において張られていてもよい。さらに、上記においては、川小魚を鮎とし、捕食する鳥を川鵜として具体化したが、これに限定されるものでない。すなわち、川小魚については、鮎以外に、あまご、いわな、うぐい、おいかわ、又はやまめのように、清流や渓流に生息する川小魚を対象とできる。また、川鵜の他、カワアイサ等のようにこれらの川小魚を潜って捕食する鳥による食害から、同川小魚を保護するのに具体化できる。なお、網目の大きさは、保護対象魚と捕食する鳥の体長ないし胴周り等の大きさから適宜に設定すればよい。ただし、網目の大きさが矩形(正方形又は長方形)の場合には、一辺又は短辺(開口の有効長さ)を、5〜22cmの範囲であれば、保護対象魚と捕食する鳥に関係なく有効である。もっとも、より好ましいのは、網目の大きさが矩形(正方形又は長方形)の場合には、一辺又は短辺が、10〜20cmの範囲である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、川鵜等を害することなく、鮎等の川小魚を、川鵜等による食害から有効に防止できる。また、本発明にかかる防鳥ネットのセット方法によれば、簡易、迅速に防鳥ネットのセット、及び回収ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の説明用の斜視図。
【図2】図1において河川を横断する形の断面図。
【図3】図1において河川を縦断する形の断面図。
【図4】図1のおけるA部拡大図。
【図5】図1のおける部分拡大図。
【図6】本発明の別の実施の形態の説明用の斜視図。
【符号の説明】
1、51 防鳥ネット
2 防鳥ネットの網目
3 防鳥ネットの網面
11 防鳥ネットの上縁
12 フロート
15 防鳥ネットの下縁
16 錘
18 防鳥ネットの一端部
21 河川を横断する配置の索体
101 河川
103 水面
105 川底
F 鮎
K 川鵜

Claims (12)

  1. 河川の水中に、川小魚は通過可能で、その川小魚を捕食する鳥は通過不能又は通過困難な網目からなる防鳥ネットをセットし、前記川小魚が該川小魚を捕食する鳥に追われた際に該川小魚のみを防鳥ネットの網目を通過させることによって該川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法。
  2. 前記防鳥ネットを、その網面が水面に対して縦になるようにセットすることを特徴とする、請求項1に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法。
  3. 前記防鳥ネットを、その網面が水面に対して斜めになるようにセットすることを特徴とする、請求項1に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法。
  4. 前記防鳥ネットを複数、しかもその各網面が互いに対面するようにセットすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法。
  5. 前記防鳥ネットをその網面が河川の上流から下流に向けてその流れに沿うようにセットすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法。
  6. 前記防鳥ネットの水面寄りをなす上縁の適所に或いは上縁に沿ってフロートを取付けておくとともに、該防鳥ネットの川底寄りをなす下縁の適所に或いは下縁に沿って錘を取付けておく一方、
    河川を横断する配置で索体を張り、
    前記防鳥ネットの一端部を前記索体に直接又は間接に連結することによって、前記防鳥ネットの上縁を水面寄りに保持しかつ該防鳥ネットの下縁を川底寄りに保持するとともに、該防鳥ネットの網面を河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状に保持することによって該防鳥ネットをセットすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法。
  7. 前記川小魚が鮎であり、前記捕食する鳥が川鵜であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の川小魚を捕食する鳥から該川小魚を保護する方法。
  8. 川小魚は通過可能で、その川小魚を捕食する鳥は通過不能又は通過困難な網目からなる防鳥ネットの一側縁の適所に、或いはその一側縁に沿ってフロートを取付けておくとともに該一側縁に対向する側の対向側縁の適所に或いは該対向側縁に沿って錘を取付けておく一方、
    河川を横断する配置で索体を張り、
    前記防鳥ネットの一端部を前記索体に直接又は間接に連結することによって、前記防鳥ネットの前記一側縁を水面寄りに保持しかつ該防鳥ネットの前記対向側縁を川底寄りに保持するとともに、該防鳥ネットの網面を河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状に保持することによって該防鳥ネットを河川の水中にセットすることを特徴とする、防鳥ネットのセット方法。
  9. 前記川小魚が鮎であることを特徴とする、請求項8に記載の防鳥ネットのセット方法。
  10. 川小魚を捕食する鳥が通過不能又は通過困難な網目からなる防鳥ネットは、その網面が略水面に位置するように適所にフロートを取付けておくとともに、側縁に沿って適宜の間隔で、両側縁の間に適度の張りを保持させるように両側縁の間隔保持部材を介在させる一方、
    河川を横断する配置で索体を張り、
    前記防鳥ネットの一端部を前記索体に直接又は間接に連結することによって、前記防鳥ネットの両側縁の間に適度の張りを保持しつつ、前記防鳥ネットの網面を河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状に保持することによって、該防鳥ネットを河川の水面にセットすることを特徴とする、防鳥ネットのセット方法。
  11. 川小魚を捕食する鳥が通過不能又は通過困難な網目からなり、それ自体が水に浮く素材からなる防鳥ネットであって、側縁に沿って適宜の間隔で、両側縁の間に適度の張りを保持させるように両側縁の間隔保持部材を介在させる一方、
    河川を横断する配置で索体を張り、
    前記防鳥ネットの一端部を前記索体に直接又は間接に連結することによって、前記防鳥ネットの両側縁の間に適度の張りを保持しつつ、前記防鳥ネットの網面を河川の上流から下流に向けてその水流によって展開状に保持することによって、該防鳥ネットを河川の水面にセットすることを特徴とする、防鳥ネットのセット方法。
  12. 前記川小魚が鮎であり、前記捕食する鳥が川鵜であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の防鳥ネットのセット方法。
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