JP2005057834A - 同期モータの位置推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】同期モータの種類によらず、同期モータの停止時及び低速回転時における回転子の初期位置を簡易に得ることができ、磁極の判定を簡易に行うことができる同期モータの位置推定方法を提供する。
【解決手段】同期モータの停止時あるいは低速回転時における回転子の初期位置を求めるための同期モータの位置推定方法であって、同期モータに重畳する電圧指令値と電流の測定値との関係を表す電圧電流特性を座標変換し、座標変換された電圧電流特性について、システム同定理論を適用して、電圧電流に関するパラメータ行列成分を求め、パラメータ行列成分から回転子の初期位置を演算する。また、d軸電流idが負の場合のd軸インダクタンスLd−が、正の場合のd軸インダクタンスLd+より大きい場合は、回転子の磁極はN極と判定され、小さい場合は、回転子の磁極はS極と判定される。
【選択図】 図1
【解決手段】同期モータの停止時あるいは低速回転時における回転子の初期位置を求めるための同期モータの位置推定方法であって、同期モータに重畳する電圧指令値と電流の測定値との関係を表す電圧電流特性を座標変換し、座標変換された電圧電流特性について、システム同定理論を適用して、電圧電流に関するパラメータ行列成分を求め、パラメータ行列成分から回転子の初期位置を演算する。また、d軸電流idが負の場合のd軸インダクタンスLd−が、正の場合のd軸インダクタンスLd+より大きい場合は、回転子の磁極はN極と判定され、小さい場合は、回転子の磁極はS極と判定される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期モータの停止時における回転子の初期位置あるいは低速回転時の回転子位置を求める同期モータの位置推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
同期モータとしては、表面磁石型同期モータ(SPMSM)、埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)が知られている。これら同期モータは、回転子の位置に応じて適切に電流を制御することにより高い制御性能やモータ効率を実現できるため、回転子の位置情報が重要である。従来、この種の同期モータの回転子の位置情報を得るために、エンコーダを取り付けて制御を行ったり、モータモデルや高周波信号を用いて位置を推定し制御するセンサレス制御等が用いられている。エンコーダを使用する場合は、コストや配線の簡易さを考慮してインクリメンタル型の同期モータを利用することが多いが、この場合、初期起動時には、最悪一回転するまで回転子位置がわからないため、センサレス制御と同様、逆回転する可能性がある。
【0003】
そのため、従来、磁石型同期モータを中心に回転子の初期位置を推定する方法が種々提案されている。例えば、回転子の突極性情報を利用した方法としては、非特許文献1,2,3に示す方法が知られている。非特許文献1,2では、インパルス電圧もしくは高周波信号を重畳することによって求めた突極性情報により回転子の位置を推定している。非特許文献3では、PWMのスイッチングを工夫することによって求めた突極性情報により回転子の位置を推定している。しかし、これらの方法は、モータへ印加した信号の突極性情報のみを利用して位置推定を行っているため、磁極情報を得るために再度同定信号を重畳して極性の判定を行う必要がある。そのために、アルゴリズムが複雑になったり、数回のパルスにより判定するため、ノイズによる誤判定が生じる可能性があった。
【0004】
一方、突極性情報を得ることができない表面磁石型同期モータに対しては、例えば非特許文献4に示すように、磁束飽和現象を利用する位置推定方法が提案されている。しかし、この方法は、埋め込み磁石型同期モータに適用することができないため、位置推定において汎用性に欠ける。
【0005】
【非特許文献1】
渡辺,宮崎,藤井,「永久磁石界磁同期電動機の回転子位置と速度のセンサレス検出の一方法」電学論D,電気学会,1990年11月,110,p1193−1200
【非特許文献2】
金子,岩路,坂本,遠藤,「IPMモータの停止時・初期位置推定方式」電学論D,電気学会,2003年2月,123,p140−148
【非特許文献3】
小笠原,松澤,赤木,「突極性に基づく位置推定法を用いた位置センサレスIPMモータ駆動システム」電学論D,電気学会,1998年5月,118,p652−660
【非特許文献4】
新中,熊倉,「回転高周波電圧印加によるSPM同期モータの新初期位置推定法」平成14年電気学会産業応用部門大会予稿,電気学会,2002年8月,p647−652
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、同期モータの種類によらず、同期モータの停止時における回転子の初期位置を簡易に得ることができると共に、磁極の判定を簡易に行うことができ、さらに低速回転時における回転子の位置を推定できる同期モータの位置推定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の第1の特徴は、同期モータの停止時における回転子の初期位置を求めるための同期モータの位置推定方法であって、同期モータに重畳する電圧指令値と電流の測定値との関係を表す電圧電流特性を座標変換し、座標変換された電圧電流特性について、システム同定理論を適用して電圧電流に関するパラメータ行列成分を求め、該パラメータ行列成分から回転子の初期位置を演算することにある。なお、座標変換は、固定座標系でも可能であるが、推定回転座標系に基づいて行われることが望ましい。
【0008】
ここで、システム同定理論とは、足達修一,「MATLABによる制御のためのシステム同定」,第1版,東京電機大学出版社,1996年11月30日,p115−118、に詳述されているが、同期モータのようなある制御対象の入力信号zと出力信号yを使って制御対象のパラメータを求める手法である。制御対象系の未知のパラメータθとして、入出力の関係式である下記数1がわかれば、パラメータθが求められる。しかし、実際には、下記数2に示すように、全ての信号y,zに対して数1はゼロにはならず誤差eを持つ。
【0009】
【数1】y−θz=0
【0010】
【数2】e=y−θz
【0011】
そのため、パラメータθを求める問題は、数2の誤差eをできるだけ小さくする問題となる。ここで、パラメータθの良し悪しを判断する評価関数Vを下記数3とする。
【0012】
【数3】V=e*e
【0013】
この評価関数Vを最小にするθが、求められる最適なパラメータとなる。そのため、数3をθで微分することにより、0となったときのθの値が評価関数Vを最小にする値であり、最適なパラメータθとなる。すなわち、下記数4を0にするθが最適パラメータとして求められる。
【0014】
【数4】V′=2e*e′=2(y−θz)*(−z)=0
【0015】
上記のように構成した請求項1の発明においては、システム同定理論に基づいて、同期モータの停止時の回転子の初期位置が、以下のようにして求められる。
同期モータの回転座標上での統一モデルは、下記数5で表される。
【0016】
【数5】
【0017】
ここで、各パラメータは次のとおりである。
vd,vq:d軸電圧,q軸電圧
id,iq:d軸電流,q軸電流
Ld:d軸定常(静的)インダクタンス
Lq:q軸定常(静的)インダクタンス
L′d:d軸過渡(動的)インダクタンス
L′q:q軸過渡(動的)インダクタンス
K′E:誘電電圧定数
ωre:電気角での角速度
p:微分演算子
静的インダクタンスLと動的インダクタンス L′とは、図5に示すように、駆動電流0での値と、駆動点での値となっている。なお、d軸,q軸は、図6に示すように、固定座標系のα軸,β軸から位置θr e回転させた座標の軸を示すもので、d軸は回転子の磁極方向を向き、q軸はd軸に直交する向きとなっている。ここでは、回転子が停止状態であることから、数5は数6に変形される。
【0018】
【数6】
【0019】
数6を推定回転座標系に座標変換を行うと、下記数7になる。γ軸,δ軸は、図7に示すように、回転座標系のd軸,q軸から位置推定誤差Δθr eずれた位置座標の軸を示すもので、γ軸はd軸からのずれであり、δ軸はq軸からのずれである。なお、数6を推定を行う固定座標系で座標変換を行うこともできるが、この場合は、回転子の初期位置は求められるが、回転子の磁極の判別までは行うことができないので、ここでは説明を省略する。
【0020】
【数7】
【0021】
推定回転座標上では、数7で得られたパラメータ行列成分より、下記数8で位置推定誤差Δθre(θ上の山形マークを省略する。以下、同様である)を同定することができる。さらに、推定回転座標系で位置推定誤差Δθreより初期位置θreを求めるには、下記数9の演算により求められる。
【0022】
【数8】
【0023】
【数9】
【0024】
上記数9において、K1,K2,K3は制御系の設計ゲインを示しており、これの大きさを変えることにより、推定の特性を変更することができる。また、1/sは積分を、1/s2は二重積分を表している。
【0025】
上記数7を計算機上で実行するためには離散化を行う必要がある。数7を離散化すると、下記数10になる。
【0026】
【数10】
【0027】
さらに、数10を数11へ変更する。ここで、Θは、数12で表されるパラメータ行列を示しており、y,zは測定した電圧電流値を示す。
【0028】
【数11】
【0029】
【数12】
【0030】
ここで、パラメータ行列Θを導出するために、下記数13、14で示す逐次型最小二乗法が適用される。
【0031】
【数13】
【0032】
【数14】
【0033】
このように求められたパラメータ行列Θを用いることにより、数9の演算により、回転子の初期位置θreが求められる。
【0034】
次に、回転子の停止時の磁極の判定方法について説明する。
表面磁石型同期モータ(SPMSM)、埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)については、上記方法では磁極の判定を行うことができないため、以下の方法により、磁極が求められる。なお、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)は、極性がないので位置推定のみでよい。
【0035】
図8及び図9に示すように、磁石型同期モータは永久磁石を有しているので、d軸電流が0の場合でも、d軸の磁束は誘起電圧定数KE分存在するため、d軸電流が負の場合と正の場合で動的インダクタンスが異なる。この原理を用いて、上記初期位置推定法において磁極判定が可能になるのである。
【0036】
上記数11,12で行うパラメータ同定をγ軸電流がプラスの場合とマイナスの場合の2つに分けてそれぞれ行う。すると、プラスとマイナスの場合で、得られるインダクタンスパラメータは異なるため、その大きさにより極性判別が可能になる。γ軸電流が正の場合は、そのときの電圧と電流値を下記数15のデータとして扱い、γ軸電流が負の場合は、そのときの電圧と電流値を下記数16で扱う。このように得られたデータより、2つのパラメータ行列成分Θ+と、Θ−を同定する。
【0037】
【数15】
【0038】
【数16】
【0039】
この場合の初期位置推定Δθreは、下記数17で求められる。
【0040】
【数17】
【0041】
パラメータ同定が収束したら、以下の条件で極性判定が行われ、回転子の初期位置θiniが決定される。すなわち、図8のようにd軸方向とN極の方向が合っている場合と、図9のようにd軸方向とN極の方向が反対の場合を見分けることになる。下記数18に示す、d軸電流idが正,負の場合に対応するd軸インダクタンスLd+,Ld−の大小により、回転子の初期位置θiniが,下記数19,数20のように決定されると共に、回転子の極性が判定される。
【0042】
【数18】
【0043】
【数19】
【0044】
【数20】
【0045】
すなわち、d軸電流が負の場合のd軸インダクタンスLd−が、正の場合のd軸インダクタンスLd+より大きいLdifが正の場合は、回転子の磁極はN極と判定される。また、d軸インダクタンスLd−がd軸インダクタンスLd+より小さいLdifが負の場合は、回転子の磁極はS極と判定される。この方法によれば、位置を推定している情報を用いて磁極の判別も行えるため、特別な磁極判別用の信号を重畳することなく回転子の初期位置と磁極判別が可能である。
【0046】
また、本発明の第2の特徴は、同期モータの低速回転時における回転子位置を求めるための同期モータの位置推定方法であって、同期モータに重畳する電圧指令値と電流の測定値との関係を表す電圧電流特性を推定回転座標系に基づいて座標変換し、座標変換された電圧電流特性についてシステム同定理論を適用して得られた電圧電流に関するパラメータ行列成分から逐次型最小二乗法を適用することにより位置推定誤差を同定し、位置推定誤差から回転子位置を演算することにある。
【0047】
低速回転時の回転子位置推定について、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)と、表面磁石型同期モータ(SPMSM)及び埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)に分けて説明する。
(1)シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)の場合
低速時には、ωreの成分が現れるため、上記数5は下記数21となる。
【0048】
【数21】
【0049】
数21について推定回転座標系により座標変換を行いさらに離散化を行うことにより、下記数22が得られる。数22でA,Bは数23で表され、Iは単位行列である。
【0050】
【数22】
【0051】
【数23】
【0052】
数22においては、位置情報を取り出すBの形状は変わっていないため、下記数24の演算を行うことにより、停止時と同様に回転子の位置推定誤差Δθreが決定され、低速回転時の位置推定が行われる。
【0053】
【数24】
【0054】
(2)表面磁石型同期モータ(SPMSM)及び埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)の場合
低速時には、ωreと共にKEの成分が現れるため、上記数5は下記数25となる。
【0055】
【数25】
【0056】
数25について推定回転座標系により座標変換を行いさらに離散化を行うことにより、下記数26が得られる。数26でA,Bは数27で表され、Iは単位行列である。
【0057】
【数26】
【0058】
【数27】
【0059】
このように、数26においては、停止時を除いて永久磁石による誘起電圧が外乱項として現れてくるため、上述したシステム同定理論を単純に適用しても、パラメータ及び位置情報を特定できない。そこで、外乱項を同定するために、数26に仮想入力を重畳することによって下記数28のように変形する。これは、外乱項の同定入力として1を加えることになる。
【0060】
【数28】
【0061】
これにより、誘電電圧項も数28により同定できるため、何らの近似もなく低速い機においても位置の同定が可能になった。同定による行列成分は下記数29、数30となる。これにより、回転子の位置推定誤差Δθreが数24により決定され、低速回転時の位置推定θreが行われる。
【0062】
【数29】
【0063】
【数30】
【0064】
以上に説明したように、本発明の同期モータの位置推定方法によれば、表面磁石型同期モータ(SPMSM)、埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)によらず全てのタイプの同期モータに適用されるため、汎用性が高く使い勝手が非常に良い。また、位置推定にモータパラメータを必要としないため、演算が簡易にされる。さらに、表面磁石型同期モータ(SPMSM)、埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)については、停止時においては、位置推定と共に磁極の極性を判別できるので非常に便利である。また、位置推定のために特別な装置の追加が必要ないので、位置推定手続が簡易にかつ安価に行われる。また、位置推定の収束速度と推定精度は自由に設定できるため、用途に応じた使用方法が可能になる。
【0065】
なお、本発明の同期モータの位置推定方法をコンピュータに実行させるための位置推定処理プログラムについても本発明の特徴となっている。このプログラムを多数の同期モータの制御に適用することにより、多数の同期モータにおいて位置推定が可能になる。
【0066】
また、上記初期位置推定処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も本発明の特徴の1つである。この記憶媒体の利用により、同期モータの位置推定方法の利用を広い範囲に広めることができる。
【0067】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について説明する。図1は、同実施例である同期モータの位置推定方法が適用される初期位置推定システムの概略構成をブロック図により示したものである。この初期位置推定システムは、インバータ1を介して同期モータ2に電圧指令値v*を給電すると共に、電流測定値iを入力して初期位置の推定を行う信号処理装置10を備えている。この電圧指令値及び電流測定値には、バンドパスフィルタなどの特別なフィルタは必要ない。
【0068】
信号処理装置10は、推定回転座標によるγ−δ電圧である電圧指令値v*を出力する電流制御器11と、電圧指令値v*を三相電圧に変換する推定回転座標γδ・三相uvw変換器12と、推定回転座標による電流測定値と電圧指令値とから初期位置推定を行う位置推定器14とを備えている。位置推定器14は、ROM,RAM,CPU,I/O等を含むマイクロコンピュータにより構成されており、ROMに記憶された「位置推定処理制御プログラム」を上記手順により実行するものである。
【0069】
次に、上記初期位置推定システムによる初期位置推定の実験結果について説明する。まず、推定位置の収束速度を速くすることにより、図2に示すように推定開始から約10ms程度で位置推定が完了することが明らかである。なお、図2において、上側は縦軸の1目盛が36電気角度、下側は縦軸の1目盛が10電気角度を示している。しかし、収束速度を速くすることにより推定誤差が大きくなる。これに対して、推定位置の収束速度を遅くすることにより、図3に示すように、位置推定が推定開始から約60ms程度要することになるが、図4に示すように、推定誤差Δθreが電気角で1°程度となり、高い推定精度が得られた。
【0070】
なお、本発明の実施態様としては、「位置推定制御プログラム」自体、及びこのプログラムを記憶したハードディスク,CDROM,FD等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も対象となり、発明の実施の促進に効果がある。また、上記実施例は、同期モータの初期位置推定システムについて説明しているが、低速回転時での同期モータの回転子の位置推定についても、同様の位置推定システムを用いて行われる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、同期モータの位置推定方法が、磁石型同期モータ、シンクロナスリラクタンスモータによらず全てのタイプの同期モータに適用されるため、汎用性が高く使い勝手が非常に良い。また、位置推定にモータパラメータを必要としないため、演算が簡易にされる。さらに、磁石型同期モータについては、停止時においては、位置推定と共に磁極の極性を判別できるので非常に便利である。また、位置推定のために特別な装置の追加が必要ないので、位置推定手続が簡易にかつ安価に行われる。また、位置推定の収束速度と推定精度は自由に設定できるため、用途に応じた使用方法が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である同期モータの位置推定方法が適用される初期位置推定システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】初期位置推定システムによる推定位置の収束速度を速くした場合の初期位置推定の実験結果を示すグラフである。
【図3】初期位置推定システムによる推定位置の収束速度を遅くした場合の初期位置推定の実験結果を示すグラフである。
【図4】初期位置推定システムによる推定位置の収束速度を遅くした場合の初期位置推定をすべての位置で行った推定誤差の実験結果を示すグラフである。
【図5】静的インダクタンスLと動的インダクタンス L′との関係を説明する説明図である。
【図6】同期モータにおける固定座標系のα−β座標と、回転座標系のd−q座標との関係を概略的に説明する説明図である。
【図7】同期モータにおける回転座標系のd−q座標と、推定回転座標系のγ−δ座標との関係を概略的に説明する説明図である。
【図8】d軸方向にN極が合っている場合のd軸電流と磁束Φとの関係を概略的に示すグラフである。
【図9】d軸方向にN極が反対の場合のd軸電流と磁束Φとの関係を概略的に示すグラフである。
【符号の説明】
10…信号制御装置、11…電流制御器、12…推定回転座標γδ・三相uvw変換器、14…位置推定器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期モータの停止時における回転子の初期位置あるいは低速回転時の回転子位置を求める同期モータの位置推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
同期モータとしては、表面磁石型同期モータ(SPMSM)、埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)が知られている。これら同期モータは、回転子の位置に応じて適切に電流を制御することにより高い制御性能やモータ効率を実現できるため、回転子の位置情報が重要である。従来、この種の同期モータの回転子の位置情報を得るために、エンコーダを取り付けて制御を行ったり、モータモデルや高周波信号を用いて位置を推定し制御するセンサレス制御等が用いられている。エンコーダを使用する場合は、コストや配線の簡易さを考慮してインクリメンタル型の同期モータを利用することが多いが、この場合、初期起動時には、最悪一回転するまで回転子位置がわからないため、センサレス制御と同様、逆回転する可能性がある。
【0003】
そのため、従来、磁石型同期モータを中心に回転子の初期位置を推定する方法が種々提案されている。例えば、回転子の突極性情報を利用した方法としては、非特許文献1,2,3に示す方法が知られている。非特許文献1,2では、インパルス電圧もしくは高周波信号を重畳することによって求めた突極性情報により回転子の位置を推定している。非特許文献3では、PWMのスイッチングを工夫することによって求めた突極性情報により回転子の位置を推定している。しかし、これらの方法は、モータへ印加した信号の突極性情報のみを利用して位置推定を行っているため、磁極情報を得るために再度同定信号を重畳して極性の判定を行う必要がある。そのために、アルゴリズムが複雑になったり、数回のパルスにより判定するため、ノイズによる誤判定が生じる可能性があった。
【0004】
一方、突極性情報を得ることができない表面磁石型同期モータに対しては、例えば非特許文献4に示すように、磁束飽和現象を利用する位置推定方法が提案されている。しかし、この方法は、埋め込み磁石型同期モータに適用することができないため、位置推定において汎用性に欠ける。
【0005】
【非特許文献1】
渡辺,宮崎,藤井,「永久磁石界磁同期電動機の回転子位置と速度のセンサレス検出の一方法」電学論D,電気学会,1990年11月,110,p1193−1200
【非特許文献2】
金子,岩路,坂本,遠藤,「IPMモータの停止時・初期位置推定方式」電学論D,電気学会,2003年2月,123,p140−148
【非特許文献3】
小笠原,松澤,赤木,「突極性に基づく位置推定法を用いた位置センサレスIPMモータ駆動システム」電学論D,電気学会,1998年5月,118,p652−660
【非特許文献4】
新中,熊倉,「回転高周波電圧印加によるSPM同期モータの新初期位置推定法」平成14年電気学会産業応用部門大会予稿,電気学会,2002年8月,p647−652
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、同期モータの種類によらず、同期モータの停止時における回転子の初期位置を簡易に得ることができると共に、磁極の判定を簡易に行うことができ、さらに低速回転時における回転子の位置を推定できる同期モータの位置推定方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の第1の特徴は、同期モータの停止時における回転子の初期位置を求めるための同期モータの位置推定方法であって、同期モータに重畳する電圧指令値と電流の測定値との関係を表す電圧電流特性を座標変換し、座標変換された電圧電流特性について、システム同定理論を適用して電圧電流に関するパラメータ行列成分を求め、該パラメータ行列成分から回転子の初期位置を演算することにある。なお、座標変換は、固定座標系でも可能であるが、推定回転座標系に基づいて行われることが望ましい。
【0008】
ここで、システム同定理論とは、足達修一,「MATLABによる制御のためのシステム同定」,第1版,東京電機大学出版社,1996年11月30日,p115−118、に詳述されているが、同期モータのようなある制御対象の入力信号zと出力信号yを使って制御対象のパラメータを求める手法である。制御対象系の未知のパラメータθとして、入出力の関係式である下記数1がわかれば、パラメータθが求められる。しかし、実際には、下記数2に示すように、全ての信号y,zに対して数1はゼロにはならず誤差eを持つ。
【0009】
【数1】y−θz=0
【0010】
【数2】e=y−θz
【0011】
そのため、パラメータθを求める問題は、数2の誤差eをできるだけ小さくする問題となる。ここで、パラメータθの良し悪しを判断する評価関数Vを下記数3とする。
【0012】
【数3】V=e*e
【0013】
この評価関数Vを最小にするθが、求められる最適なパラメータとなる。そのため、数3をθで微分することにより、0となったときのθの値が評価関数Vを最小にする値であり、最適なパラメータθとなる。すなわち、下記数4を0にするθが最適パラメータとして求められる。
【0014】
【数4】V′=2e*e′=2(y−θz)*(−z)=0
【0015】
上記のように構成した請求項1の発明においては、システム同定理論に基づいて、同期モータの停止時の回転子の初期位置が、以下のようにして求められる。
同期モータの回転座標上での統一モデルは、下記数5で表される。
【0016】
【数5】
【0017】
ここで、各パラメータは次のとおりである。
vd,vq:d軸電圧,q軸電圧
id,iq:d軸電流,q軸電流
Ld:d軸定常(静的)インダクタンス
Lq:q軸定常(静的)インダクタンス
L′d:d軸過渡(動的)インダクタンス
L′q:q軸過渡(動的)インダクタンス
K′E:誘電電圧定数
ωre:電気角での角速度
p:微分演算子
静的インダクタンスLと動的インダクタンス L′とは、図5に示すように、駆動電流0での値と、駆動点での値となっている。なお、d軸,q軸は、図6に示すように、固定座標系のα軸,β軸から位置θr e回転させた座標の軸を示すもので、d軸は回転子の磁極方向を向き、q軸はd軸に直交する向きとなっている。ここでは、回転子が停止状態であることから、数5は数6に変形される。
【0018】
【数6】
【0019】
数6を推定回転座標系に座標変換を行うと、下記数7になる。γ軸,δ軸は、図7に示すように、回転座標系のd軸,q軸から位置推定誤差Δθr eずれた位置座標の軸を示すもので、γ軸はd軸からのずれであり、δ軸はq軸からのずれである。なお、数6を推定を行う固定座標系で座標変換を行うこともできるが、この場合は、回転子の初期位置は求められるが、回転子の磁極の判別までは行うことができないので、ここでは説明を省略する。
【0020】
【数7】
【0021】
推定回転座標上では、数7で得られたパラメータ行列成分より、下記数8で位置推定誤差Δθre(θ上の山形マークを省略する。以下、同様である)を同定することができる。さらに、推定回転座標系で位置推定誤差Δθreより初期位置θreを求めるには、下記数9の演算により求められる。
【0022】
【数8】
【0023】
【数9】
【0024】
上記数9において、K1,K2,K3は制御系の設計ゲインを示しており、これの大きさを変えることにより、推定の特性を変更することができる。また、1/sは積分を、1/s2は二重積分を表している。
【0025】
上記数7を計算機上で実行するためには離散化を行う必要がある。数7を離散化すると、下記数10になる。
【0026】
【数10】
【0027】
さらに、数10を数11へ変更する。ここで、Θは、数12で表されるパラメータ行列を示しており、y,zは測定した電圧電流値を示す。
【0028】
【数11】
【0029】
【数12】
【0030】
ここで、パラメータ行列Θを導出するために、下記数13、14で示す逐次型最小二乗法が適用される。
【0031】
【数13】
【0032】
【数14】
【0033】
このように求められたパラメータ行列Θを用いることにより、数9の演算により、回転子の初期位置θreが求められる。
【0034】
次に、回転子の停止時の磁極の判定方法について説明する。
表面磁石型同期モータ(SPMSM)、埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)については、上記方法では磁極の判定を行うことができないため、以下の方法により、磁極が求められる。なお、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)は、極性がないので位置推定のみでよい。
【0035】
図8及び図9に示すように、磁石型同期モータは永久磁石を有しているので、d軸電流が0の場合でも、d軸の磁束は誘起電圧定数KE分存在するため、d軸電流が負の場合と正の場合で動的インダクタンスが異なる。この原理を用いて、上記初期位置推定法において磁極判定が可能になるのである。
【0036】
上記数11,12で行うパラメータ同定をγ軸電流がプラスの場合とマイナスの場合の2つに分けてそれぞれ行う。すると、プラスとマイナスの場合で、得られるインダクタンスパラメータは異なるため、その大きさにより極性判別が可能になる。γ軸電流が正の場合は、そのときの電圧と電流値を下記数15のデータとして扱い、γ軸電流が負の場合は、そのときの電圧と電流値を下記数16で扱う。このように得られたデータより、2つのパラメータ行列成分Θ+と、Θ−を同定する。
【0037】
【数15】
【0038】
【数16】
【0039】
この場合の初期位置推定Δθreは、下記数17で求められる。
【0040】
【数17】
【0041】
パラメータ同定が収束したら、以下の条件で極性判定が行われ、回転子の初期位置θiniが決定される。すなわち、図8のようにd軸方向とN極の方向が合っている場合と、図9のようにd軸方向とN極の方向が反対の場合を見分けることになる。下記数18に示す、d軸電流idが正,負の場合に対応するd軸インダクタンスLd+,Ld−の大小により、回転子の初期位置θiniが,下記数19,数20のように決定されると共に、回転子の極性が判定される。
【0042】
【数18】
【0043】
【数19】
【0044】
【数20】
【0045】
すなわち、d軸電流が負の場合のd軸インダクタンスLd−が、正の場合のd軸インダクタンスLd+より大きいLdifが正の場合は、回転子の磁極はN極と判定される。また、d軸インダクタンスLd−がd軸インダクタンスLd+より小さいLdifが負の場合は、回転子の磁極はS極と判定される。この方法によれば、位置を推定している情報を用いて磁極の判別も行えるため、特別な磁極判別用の信号を重畳することなく回転子の初期位置と磁極判別が可能である。
【0046】
また、本発明の第2の特徴は、同期モータの低速回転時における回転子位置を求めるための同期モータの位置推定方法であって、同期モータに重畳する電圧指令値と電流の測定値との関係を表す電圧電流特性を推定回転座標系に基づいて座標変換し、座標変換された電圧電流特性についてシステム同定理論を適用して得られた電圧電流に関するパラメータ行列成分から逐次型最小二乗法を適用することにより位置推定誤差を同定し、位置推定誤差から回転子位置を演算することにある。
【0047】
低速回転時の回転子位置推定について、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)と、表面磁石型同期モータ(SPMSM)及び埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)に分けて説明する。
(1)シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)の場合
低速時には、ωreの成分が現れるため、上記数5は下記数21となる。
【0048】
【数21】
【0049】
数21について推定回転座標系により座標変換を行いさらに離散化を行うことにより、下記数22が得られる。数22でA,Bは数23で表され、Iは単位行列である。
【0050】
【数22】
【0051】
【数23】
【0052】
数22においては、位置情報を取り出すBの形状は変わっていないため、下記数24の演算を行うことにより、停止時と同様に回転子の位置推定誤差Δθreが決定され、低速回転時の位置推定が行われる。
【0053】
【数24】
【0054】
(2)表面磁石型同期モータ(SPMSM)及び埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)の場合
低速時には、ωreと共にKEの成分が現れるため、上記数5は下記数25となる。
【0055】
【数25】
【0056】
数25について推定回転座標系により座標変換を行いさらに離散化を行うことにより、下記数26が得られる。数26でA,Bは数27で表され、Iは単位行列である。
【0057】
【数26】
【0058】
【数27】
【0059】
このように、数26においては、停止時を除いて永久磁石による誘起電圧が外乱項として現れてくるため、上述したシステム同定理論を単純に適用しても、パラメータ及び位置情報を特定できない。そこで、外乱項を同定するために、数26に仮想入力を重畳することによって下記数28のように変形する。これは、外乱項の同定入力として1を加えることになる。
【0060】
【数28】
【0061】
これにより、誘電電圧項も数28により同定できるため、何らの近似もなく低速い機においても位置の同定が可能になった。同定による行列成分は下記数29、数30となる。これにより、回転子の位置推定誤差Δθreが数24により決定され、低速回転時の位置推定θreが行われる。
【0062】
【数29】
【0063】
【数30】
【0064】
以上に説明したように、本発明の同期モータの位置推定方法によれば、表面磁石型同期モータ(SPMSM)、埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)によらず全てのタイプの同期モータに適用されるため、汎用性が高く使い勝手が非常に良い。また、位置推定にモータパラメータを必要としないため、演算が簡易にされる。さらに、表面磁石型同期モータ(SPMSM)、埋め込み磁石型同期モータ(IPMSM)については、停止時においては、位置推定と共に磁極の極性を判別できるので非常に便利である。また、位置推定のために特別な装置の追加が必要ないので、位置推定手続が簡易にかつ安価に行われる。また、位置推定の収束速度と推定精度は自由に設定できるため、用途に応じた使用方法が可能になる。
【0065】
なお、本発明の同期モータの位置推定方法をコンピュータに実行させるための位置推定処理プログラムについても本発明の特徴となっている。このプログラムを多数の同期モータの制御に適用することにより、多数の同期モータにおいて位置推定が可能になる。
【0066】
また、上記初期位置推定処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も本発明の特徴の1つである。この記憶媒体の利用により、同期モータの位置推定方法の利用を広い範囲に広めることができる。
【0067】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について説明する。図1は、同実施例である同期モータの位置推定方法が適用される初期位置推定システムの概略構成をブロック図により示したものである。この初期位置推定システムは、インバータ1を介して同期モータ2に電圧指令値v*を給電すると共に、電流測定値iを入力して初期位置の推定を行う信号処理装置10を備えている。この電圧指令値及び電流測定値には、バンドパスフィルタなどの特別なフィルタは必要ない。
【0068】
信号処理装置10は、推定回転座標によるγ−δ電圧である電圧指令値v*を出力する電流制御器11と、電圧指令値v*を三相電圧に変換する推定回転座標γδ・三相uvw変換器12と、推定回転座標による電流測定値と電圧指令値とから初期位置推定を行う位置推定器14とを備えている。位置推定器14は、ROM,RAM,CPU,I/O等を含むマイクロコンピュータにより構成されており、ROMに記憶された「位置推定処理制御プログラム」を上記手順により実行するものである。
【0069】
次に、上記初期位置推定システムによる初期位置推定の実験結果について説明する。まず、推定位置の収束速度を速くすることにより、図2に示すように推定開始から約10ms程度で位置推定が完了することが明らかである。なお、図2において、上側は縦軸の1目盛が36電気角度、下側は縦軸の1目盛が10電気角度を示している。しかし、収束速度を速くすることにより推定誤差が大きくなる。これに対して、推定位置の収束速度を遅くすることにより、図3に示すように、位置推定が推定開始から約60ms程度要することになるが、図4に示すように、推定誤差Δθreが電気角で1°程度となり、高い推定精度が得られた。
【0070】
なお、本発明の実施態様としては、「位置推定制御プログラム」自体、及びこのプログラムを記憶したハードディスク,CDROM,FD等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も対象となり、発明の実施の促進に効果がある。また、上記実施例は、同期モータの初期位置推定システムについて説明しているが、低速回転時での同期モータの回転子の位置推定についても、同様の位置推定システムを用いて行われる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、同期モータの位置推定方法が、磁石型同期モータ、シンクロナスリラクタンスモータによらず全てのタイプの同期モータに適用されるため、汎用性が高く使い勝手が非常に良い。また、位置推定にモータパラメータを必要としないため、演算が簡易にされる。さらに、磁石型同期モータについては、停止時においては、位置推定と共に磁極の極性を判別できるので非常に便利である。また、位置推定のために特別な装置の追加が必要ないので、位置推定手続が簡易にかつ安価に行われる。また、位置推定の収束速度と推定精度は自由に設定できるため、用途に応じた使用方法が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である同期モータの位置推定方法が適用される初期位置推定システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】初期位置推定システムによる推定位置の収束速度を速くした場合の初期位置推定の実験結果を示すグラフである。
【図3】初期位置推定システムによる推定位置の収束速度を遅くした場合の初期位置推定の実験結果を示すグラフである。
【図4】初期位置推定システムによる推定位置の収束速度を遅くした場合の初期位置推定をすべての位置で行った推定誤差の実験結果を示すグラフである。
【図5】静的インダクタンスLと動的インダクタンス L′との関係を説明する説明図である。
【図6】同期モータにおける固定座標系のα−β座標と、回転座標系のd−q座標との関係を概略的に説明する説明図である。
【図7】同期モータにおける回転座標系のd−q座標と、推定回転座標系のγ−δ座標との関係を概略的に説明する説明図である。
【図8】d軸方向にN極が合っている場合のd軸電流と磁束Φとの関係を概略的に示すグラフである。
【図9】d軸方向にN極が反対の場合のd軸電流と磁束Φとの関係を概略的に示すグラフである。
【符号の説明】
10…信号制御装置、11…電流制御器、12…推定回転座標γδ・三相uvw変換器、14…位置推定器。
Claims (6)
- 同期モータの停止時における回転子の初期位置を求めるための同期モータの位置推定方法であって、
同期モータに重畳する電圧指令値と電流の測定値との関係を表す電圧電流特性を座標変換し、
該座標変換された電圧電流特性について、システム同定理論を適用して電圧電流に関するパラメータ行列成分を求め、該パラメータ行列成分から回転子の初期位置を演算することを特徴とする同期モータの位置推定方法。 - 前記座標変換が推定回転座標系に基づいて行われ、座標変換された電圧電流特性についてシステム同定理論を適用して得られた電圧電流に関するパラメータ行列成分から逐次型最小二乗法を適用することにより位置推定誤差を同定し、該位置推定誤差から回転子の初期位置を求めることを特徴とする前記請求項1に記載の同期モータの位置推定方法。
- 前記位置推定情報を用いて、前記回転子の磁極方向の動的インダクタンスを求め、推定した回転子位置のN極方向と実際のN極方向が一致しているか否かにより、該回転子の磁極を判別することを特徴とする前記請求項2に記載の同期モータの位置推定方法。
- 同期モータの低速回転時における回転子位置を求めるための同期モータの位置推定方法であって、
同期モータに重畳する電圧指令値と電流の測定値との関係を表す電圧電流特性を推定回転座標系に基づいて座標変換し、
該座標変換された電圧電流特性についてシステム同定理論を適用して得られた電圧電流に関するパラメータ行列成分から逐次型最小二乗法を適用することにより位置推定誤差を同定し、該位置推定誤差から回転子位置を演算することを特徴とする同期モータの位置推定方法。 - 前記請求項1から4に記載の同期モータの位置推定方法をコンピュータに実行させるための位置推定処理プログラムである。
- 前記請求項5に記載の位置推定処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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2003
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