JP2005057816A - 界磁機およびそれを用いた同期機 - Google Patents
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Abstract
【課題】界磁機(ロータ)の磁気抵抗と鉄損を低減し磁束(B)を増大することができる界磁機およびそれを用いた同期機を提供する。
【解決手段】周囲に配置された永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機であって、前記該永久磁石の内側の領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、該分割された領域の境界部が前記永久磁石と交差する位置に配置されており、前記永久磁石の内側の領域は、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成することを特徴とする界磁機およびそれを用いた同期機。
【選択図】 図2
【解決手段】周囲に配置された永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機であって、前記該永久磁石の内側の領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、該分割された領域の境界部が前記永久磁石と交差する位置に配置されており、前記永久磁石の内側の領域は、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成することを特徴とする界磁機およびそれを用いた同期機。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周囲に配置された永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機、および、それを用いた同期機に関する。
具体的には、例えば、界磁機としてのロータ、およびそれを用いた永久磁石同期機に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石同期機は、ステータ(固定子)に電流を流すことにより発生する磁場が、ロータ(回転子)に埋め込まれた永久磁石に働いて、ロータが回転する同期機であって、保守性、制御性、耐環境性に優れ、高効率、高力率運転が可能な電動機として産業・民生家電分野を問わず広く用いられている。この場合、電気エネルギーを同期機に流して、回転駆動力を得るようにするのが同期電動機であり、逆に、同期機を回転させて電気エネルギーを同期機より取り出す場合は、同期発電機となる。ここでは、両者を想定し、あわせて、同期機としている、両者の構造は基本的には同じなので、以下詳細説明では、同期電動機の例を中心に説明する。
【0003】
図5および図6は、従来の同期機の断面を示しており、ヨーク1およびティース2からなるステータ7の中心に、ロータ8が配置されている。
ロータ8には永久磁石9が埋め込まれており、ステータ7に三相交流を流すことにより発生する磁場が、この永久磁石9に働くことによりロータ8が回転する。
従来、同期機のロータは、鉄損を低減するために無方向性電磁鋼板(NO)を積層することにより作られていた。
【0004】
無方向性電磁鋼板は、鋼板表面のどの方向にも一様な比透磁率を有する鋼板であって、比較的鉄損の小さい材料として広く用いられているが、長時間連続運転する同期機のステータに用いる材料としては十分な磁気特性が得られていなかった。
同期機に用いられる電磁鋼板の種類については、特開平7−67272号公報に、ステータのティースとヨークとを分割する構造とし、ヨークには円周方向を磁化容易方向とする方向性電磁鋼板(GO)を用い、ティースには径方向を磁化容易方向とする方向性電磁鋼板を用いることにより鉄損を低減する方法が開示されている。
【0005】
しかし、従来のロータは無方向性電磁鋼板により構成されており、磁束の方向と鋼板の磁化ようい方向とが一致していなかったため、磁気抵抗を十分に低減することができず、その結果として、ロータの鉄損を小さくするうえで大きな制約になっていた。
さらに、特開平7−59280公報には、永久磁石の励磁方向を界磁機(ロータ)の周方向とする同期電動機が開示されている。
しかし、この従来技術は、永久磁石の磁極面に略垂直に複数のスリットを設けることにより、磁束をガイドするものであり、本発明のように、二方向性電磁鋼板を利用することは全く開示されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平7−67272号公報
【特許文献2】特開平7−59280公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決し、界磁機(ロータ)の磁気抵抗と鉄損を低減し磁束(B)を増大することができる界磁機およびそれを用いた同期機を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、界磁機(ロータ)の内周部分に二方向性電磁鋼板を用いることにより、界磁機の磁気抵抗と鉄損を低減し磁束(B)を増大することができる界磁機およびそれを用いた同期機を提供するものであり、その要旨は特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)周囲に配置された永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機であって、前記永久磁石の内側の領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、該分割された領域の境界部が前記永久磁石と交差する位置に配置されており、前記永久磁石の内側の領域は、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成することを特徴とする界磁機。
(2)前記永久磁石の外周に、磁化容易方向が前記界磁機の径方向である方向性電磁鋼板を配置することを特徴とする(1)に記載の界磁機。
(3)回転軸の径方向に配置された複数の永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機であって、前記永久磁石により挟まれた領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、該分割された領域の境界部が前記永久磁石上に配置されており、前記永久磁石により挟まれた領域は、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成することを特徴とする界磁機。
(4)前記永久磁石の極配置は、隣合う永久磁石の対向する側を同極とすることを特徴とする(3)に記載の界磁機。
(5)(1)乃至(4)に記載の界磁機を有することを特徴とする同期機。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1乃至図および図7を用いて詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態である界磁機(以下ロータと云う)を用いた同期機の構造を示す図である。
図1において、1はヨーク、2はティース、3はヨークとヨークとの接合部、4はヨークとティースとの接合部、5はロータの内周部、6は回転軸、7は励磁機(以下ステータと云う)、8はロータ、9は永久磁石、10はロータを分割した境界部を示す。
ステータは、外周部分のヨーク1と、ティース2とから主に構成され、ヨーク1とティース2がロータ8の周囲に円周状に配置されている。
ロータ8は、周方向に配置された永久磁石9により直流磁場を発生させ、磁束がステータ7からロータ8に流れることにより回転する。
【0010】
本発明においては、ロータ8の周囲に組み込まれた永久磁石9の内側の領域5は、ロータの周方向に分割されており、該分割された領域5の境界部10が前記永久磁石9と交差する位置に配置されている。
このように、境界部10と永久磁石9とを交差する位置に配置することによって、ステータ7からのロータ8への磁束が永久磁石9の間を流れ易くすることができるので、ロータ8における鉄損を低減することができる。
【0011】
また、永久磁石9の内側の領域は、図1に矢印にて示すように磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成する。
このように、二方向性電磁鋼板を用い、その磁化容易方向を主磁束が流れる方向と一致させることによって、磁束を流れ易くすることができるので、磁気抵抗と鉄損を低減させることができる。
ここに、二方向性電磁鋼板は、磁化容易方向が二方向である電磁鋼板であり、磁化容易方向については無方向性電磁鋼板より優れた磁気特性を有する。
例えば、図4に示すように、二方向性電磁鋼板は、圧延方向の比透磁率μRおよび圧延方向と垂直方向の比透磁率μTが、その他の方向に比べて著しく大きくなっており、圧延方向およびその垂直方向に磁束を流し易い性質を持っている。
なお、本実施形態においては、永久磁石9の外周に配置する鋼板の材質は問わず、例えば、無方向性電磁鋼板やステンレス鋼板(SUS)を用いてもよい。
【0012】
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態であるロータを用いた同期機の構造を示す図である。
図1において、1はヨーク、2はティース、3はヨークとヨークとの接合部、4はヨークとティースとの接合部、5はロータの内周部、6は回転軸、7はステータ、8はロータ、9は永久磁石、10はロータを分割した境界部を示す。
本実施形態は、永久磁石9の外周に磁化容易方向をロータの径方向である方向性電磁鋼板を配置している。
方向性電磁鋼板の磁化容易方向をステータ7からロータ8に磁束の流れる方向と一致させることによって、ロータ8の磁気抵抗および鉄損を低減させることができる。
ここに、方向性電磁鋼板は、磁化容易方向が特定の方向である電磁鋼板であり、磁化容易方向については無方向性電磁鋼板より優れた磁気特性を有する。
例えば、図3に示すように、方向性電磁鋼板は、圧延方向の比透磁率μRが、非圧延方向の比透磁率μTに比べて著しく大きくなっており、圧延方向に磁束を流し易い性質を持っている。
なお、永久磁石9の内側の領域をロータの周方向に分割する点、該分割された領域の境界部が前記永久磁石と交差する位置に配置する点、永久磁石9の内側の領域を、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層する点については、前述の第1の実施形態と同様なので省略する。
【0013】
<第3の実施形態>
図7は、本発明の第3の実施形態であるロータを用いた同期機の構造を示す図である。
図7において、1はヨーク、2はティース、3はヨークとヨークとの接合部、4はヨークとティースとの接合部、5はロータの内周部、6は回転軸、7はステータ、8はロータ、9は永久磁石、10はロータを分割した境界部を示す。
本実施形態は、図7に示すように、回転軸の径方向に配置された複数の永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機である。
前述の図1および図2に示す界磁機は、界磁機の外周に永久磁石が配置されているため、発生する磁束密度は、界磁機の外形の大きさで決まってしまう。
これに対し、本実施形態では、永久磁石の長さを界磁機の径方向に長くすると、その分だけ、界磁機が発生する磁束密度を大きくすることができ、発生する磁束密度が大きい方が、同期機としての電磁トルクが大きくなるので、同期機の特性を向上させることができる。
このため、例えば2極モータなど極数が少ない同期機では図1および図2に示す実施形態の方式が有利である一方で、例えば6極以上の極数が多い同期機では本実施形態の方が有利になる。
【0014】
また、本実施形態では、前記永久磁石により挟まれた領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、該分割された領域の境界部が前記永久磁石上に配置されている。
このように、境界部10を永久磁石9の上に配置することによって、境界部10における鉄損を低減させることができる。
さらに、図7に示すように、隣合う永久磁石の対向する側を同極とすることによって、ロータ8内の磁束の流れを集中させることができるので、ロータ8における鉄損を低減することができる。
なお、永久磁石により挟まれた領域を、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層する点は第1および第2の実施形態と同様である。
【0015】
<第1〜第3共通の実施形態>
前記第1〜第3の実施形態に示すロータ(界磁機)を、電動機(同期機)に適用することによって、さらに鉄損が少なく出力トルクが大きい電動機(同期機)を提供することができる。
また、図1、図2および図7に示すように、ステータを構成するヨーク1を周方向に分割し、ヨーク1およびヨーク2には、磁化容易方向をそれぞれ周方向および径方向とする方向性電磁鋼板を用いることによって、ステータにおける磁気抵抗および鉄損を低減することができ、同期機全体としての鉄損を著しく低減することができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、界磁機(ロータ)の内周部分に二方向性電磁鋼板を用いることにより、界磁機の磁気抵抗と鉄損を低減し磁束(B)を増大することができる界磁機およびそれを用いた同期機を提供することができ、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である界磁機(ロータ)を用いた同期機の構造を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である界磁機(ロータ)を用いた同期機の構造を示す図である。
【図3】本発明に用いる方向性電磁鋼板の比透磁率(μ)の特性を示す図である。
【図4】本発明に用いる二方向性電磁鋼板の比透磁率(μ)の特性を示す図である。
【図5】従来の同期機の断面図である。
【図6】従来の同期機の断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態である界磁機(ロータ)を用いた同期機の構造を示す図である。
【符号の説明】
1・・・ヨーク、
2・・・ティース、
3・・・ヨークとヨークとの接合部、
4・・・ヨークとティースとの接合部、
5・・・永久磁石の内側の領域、
6・・・回転軸、
7・・・ステータ(励磁機)、
8・・・ロータ(界磁機)、
9・・・永久磁石、
10・・・永久磁石内側の分割領域の境界部
11・・・永久磁石の外周部
【発明の属する技術分野】
本発明は、周囲に配置された永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機、および、それを用いた同期機に関する。
具体的には、例えば、界磁機としてのロータ、およびそれを用いた永久磁石同期機に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石同期機は、ステータ(固定子)に電流を流すことにより発生する磁場が、ロータ(回転子)に埋め込まれた永久磁石に働いて、ロータが回転する同期機であって、保守性、制御性、耐環境性に優れ、高効率、高力率運転が可能な電動機として産業・民生家電分野を問わず広く用いられている。この場合、電気エネルギーを同期機に流して、回転駆動力を得るようにするのが同期電動機であり、逆に、同期機を回転させて電気エネルギーを同期機より取り出す場合は、同期発電機となる。ここでは、両者を想定し、あわせて、同期機としている、両者の構造は基本的には同じなので、以下詳細説明では、同期電動機の例を中心に説明する。
【0003】
図5および図6は、従来の同期機の断面を示しており、ヨーク1およびティース2からなるステータ7の中心に、ロータ8が配置されている。
ロータ8には永久磁石9が埋め込まれており、ステータ7に三相交流を流すことにより発生する磁場が、この永久磁石9に働くことによりロータ8が回転する。
従来、同期機のロータは、鉄損を低減するために無方向性電磁鋼板(NO)を積層することにより作られていた。
【0004】
無方向性電磁鋼板は、鋼板表面のどの方向にも一様な比透磁率を有する鋼板であって、比較的鉄損の小さい材料として広く用いられているが、長時間連続運転する同期機のステータに用いる材料としては十分な磁気特性が得られていなかった。
同期機に用いられる電磁鋼板の種類については、特開平7−67272号公報に、ステータのティースとヨークとを分割する構造とし、ヨークには円周方向を磁化容易方向とする方向性電磁鋼板(GO)を用い、ティースには径方向を磁化容易方向とする方向性電磁鋼板を用いることにより鉄損を低減する方法が開示されている。
【0005】
しかし、従来のロータは無方向性電磁鋼板により構成されており、磁束の方向と鋼板の磁化ようい方向とが一致していなかったため、磁気抵抗を十分に低減することができず、その結果として、ロータの鉄損を小さくするうえで大きな制約になっていた。
さらに、特開平7−59280公報には、永久磁石の励磁方向を界磁機(ロータ)の周方向とする同期電動機が開示されている。
しかし、この従来技術は、永久磁石の磁極面に略垂直に複数のスリットを設けることにより、磁束をガイドするものであり、本発明のように、二方向性電磁鋼板を利用することは全く開示されていない。
【0006】
【特許文献1】特開平7−67272号公報
【特許文献2】特開平7−59280公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決し、界磁機(ロータ)の磁気抵抗と鉄損を低減し磁束(B)を増大することができる界磁機およびそれを用いた同期機を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、界磁機(ロータ)の内周部分に二方向性電磁鋼板を用いることにより、界磁機の磁気抵抗と鉄損を低減し磁束(B)を増大することができる界磁機およびそれを用いた同期機を提供するものであり、その要旨は特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)周囲に配置された永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機であって、前記永久磁石の内側の領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、該分割された領域の境界部が前記永久磁石と交差する位置に配置されており、前記永久磁石の内側の領域は、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成することを特徴とする界磁機。
(2)前記永久磁石の外周に、磁化容易方向が前記界磁機の径方向である方向性電磁鋼板を配置することを特徴とする(1)に記載の界磁機。
(3)回転軸の径方向に配置された複数の永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機であって、前記永久磁石により挟まれた領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、該分割された領域の境界部が前記永久磁石上に配置されており、前記永久磁石により挟まれた領域は、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成することを特徴とする界磁機。
(4)前記永久磁石の極配置は、隣合う永久磁石の対向する側を同極とすることを特徴とする(3)に記載の界磁機。
(5)(1)乃至(4)に記載の界磁機を有することを特徴とする同期機。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1乃至図および図7を用いて詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態である界磁機(以下ロータと云う)を用いた同期機の構造を示す図である。
図1において、1はヨーク、2はティース、3はヨークとヨークとの接合部、4はヨークとティースとの接合部、5はロータの内周部、6は回転軸、7は励磁機(以下ステータと云う)、8はロータ、9は永久磁石、10はロータを分割した境界部を示す。
ステータは、外周部分のヨーク1と、ティース2とから主に構成され、ヨーク1とティース2がロータ8の周囲に円周状に配置されている。
ロータ8は、周方向に配置された永久磁石9により直流磁場を発生させ、磁束がステータ7からロータ8に流れることにより回転する。
【0010】
本発明においては、ロータ8の周囲に組み込まれた永久磁石9の内側の領域5は、ロータの周方向に分割されており、該分割された領域5の境界部10が前記永久磁石9と交差する位置に配置されている。
このように、境界部10と永久磁石9とを交差する位置に配置することによって、ステータ7からのロータ8への磁束が永久磁石9の間を流れ易くすることができるので、ロータ8における鉄損を低減することができる。
【0011】
また、永久磁石9の内側の領域は、図1に矢印にて示すように磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成する。
このように、二方向性電磁鋼板を用い、その磁化容易方向を主磁束が流れる方向と一致させることによって、磁束を流れ易くすることができるので、磁気抵抗と鉄損を低減させることができる。
ここに、二方向性電磁鋼板は、磁化容易方向が二方向である電磁鋼板であり、磁化容易方向については無方向性電磁鋼板より優れた磁気特性を有する。
例えば、図4に示すように、二方向性電磁鋼板は、圧延方向の比透磁率μRおよび圧延方向と垂直方向の比透磁率μTが、その他の方向に比べて著しく大きくなっており、圧延方向およびその垂直方向に磁束を流し易い性質を持っている。
なお、本実施形態においては、永久磁石9の外周に配置する鋼板の材質は問わず、例えば、無方向性電磁鋼板やステンレス鋼板(SUS)を用いてもよい。
【0012】
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態であるロータを用いた同期機の構造を示す図である。
図1において、1はヨーク、2はティース、3はヨークとヨークとの接合部、4はヨークとティースとの接合部、5はロータの内周部、6は回転軸、7はステータ、8はロータ、9は永久磁石、10はロータを分割した境界部を示す。
本実施形態は、永久磁石9の外周に磁化容易方向をロータの径方向である方向性電磁鋼板を配置している。
方向性電磁鋼板の磁化容易方向をステータ7からロータ8に磁束の流れる方向と一致させることによって、ロータ8の磁気抵抗および鉄損を低減させることができる。
ここに、方向性電磁鋼板は、磁化容易方向が特定の方向である電磁鋼板であり、磁化容易方向については無方向性電磁鋼板より優れた磁気特性を有する。
例えば、図3に示すように、方向性電磁鋼板は、圧延方向の比透磁率μRが、非圧延方向の比透磁率μTに比べて著しく大きくなっており、圧延方向に磁束を流し易い性質を持っている。
なお、永久磁石9の内側の領域をロータの周方向に分割する点、該分割された領域の境界部が前記永久磁石と交差する位置に配置する点、永久磁石9の内側の領域を、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層する点については、前述の第1の実施形態と同様なので省略する。
【0013】
<第3の実施形態>
図7は、本発明の第3の実施形態であるロータを用いた同期機の構造を示す図である。
図7において、1はヨーク、2はティース、3はヨークとヨークとの接合部、4はヨークとティースとの接合部、5はロータの内周部、6は回転軸、7はステータ、8はロータ、9は永久磁石、10はロータを分割した境界部を示す。
本実施形態は、図7に示すように、回転軸の径方向に配置された複数の永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機である。
前述の図1および図2に示す界磁機は、界磁機の外周に永久磁石が配置されているため、発生する磁束密度は、界磁機の外形の大きさで決まってしまう。
これに対し、本実施形態では、永久磁石の長さを界磁機の径方向に長くすると、その分だけ、界磁機が発生する磁束密度を大きくすることができ、発生する磁束密度が大きい方が、同期機としての電磁トルクが大きくなるので、同期機の特性を向上させることができる。
このため、例えば2極モータなど極数が少ない同期機では図1および図2に示す実施形態の方式が有利である一方で、例えば6極以上の極数が多い同期機では本実施形態の方が有利になる。
【0014】
また、本実施形態では、前記永久磁石により挟まれた領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、該分割された領域の境界部が前記永久磁石上に配置されている。
このように、境界部10を永久磁石9の上に配置することによって、境界部10における鉄損を低減させることができる。
さらに、図7に示すように、隣合う永久磁石の対向する側を同極とすることによって、ロータ8内の磁束の流れを集中させることができるので、ロータ8における鉄損を低減することができる。
なお、永久磁石により挟まれた領域を、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層する点は第1および第2の実施形態と同様である。
【0015】
<第1〜第3共通の実施形態>
前記第1〜第3の実施形態に示すロータ(界磁機)を、電動機(同期機)に適用することによって、さらに鉄損が少なく出力トルクが大きい電動機(同期機)を提供することができる。
また、図1、図2および図7に示すように、ステータを構成するヨーク1を周方向に分割し、ヨーク1およびヨーク2には、磁化容易方向をそれぞれ周方向および径方向とする方向性電磁鋼板を用いることによって、ステータにおける磁気抵抗および鉄損を低減することができ、同期機全体としての鉄損を著しく低減することができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、界磁機(ロータ)の内周部分に二方向性電磁鋼板を用いることにより、界磁機の磁気抵抗と鉄損を低減し磁束(B)を増大することができる界磁機およびそれを用いた同期機を提供することができ、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である界磁機(ロータ)を用いた同期機の構造を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施形態である界磁機(ロータ)を用いた同期機の構造を示す図である。
【図3】本発明に用いる方向性電磁鋼板の比透磁率(μ)の特性を示す図である。
【図4】本発明に用いる二方向性電磁鋼板の比透磁率(μ)の特性を示す図である。
【図5】従来の同期機の断面図である。
【図6】従来の同期機の断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態である界磁機(ロータ)を用いた同期機の構造を示す図である。
【符号の説明】
1・・・ヨーク、
2・・・ティース、
3・・・ヨークとヨークとの接合部、
4・・・ヨークとティースとの接合部、
5・・・永久磁石の内側の領域、
6・・・回転軸、
7・・・ステータ(励磁機)、
8・・・ロータ(界磁機)、
9・・・永久磁石、
10・・・永久磁石内側の分割領域の境界部
11・・・永久磁石の外周部
Claims (5)
- 周囲に配置された永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機であって、
前記永久磁石の内側の領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、
該分割された領域の境界部が前記永久磁石と交差する位置に配置されており、
前記永久磁石の内側の領域は、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成することを特徴とする界磁機。 - 前記永久磁石の外周に、磁化容易方向が前記界磁機の径方向である方向性電磁鋼板を配置することを特徴とする請求項1に記載の界磁機。
- 回転軸の径方向に配置された複数の永久磁石により直流磁場を発生させる界磁機であって、
前記永久磁石により挟まれた領域は、前記界磁機の周方向に分割されており、
該分割された領域の境界部が前記永久磁石上に配置されており、
前記永久磁石により挟まれた領域は、磁化容易方向が前記界磁機の周方向および径方向である二方向性電磁鋼板を積層して構成することを特徴とする界磁機。 - 前記永久磁石の極配置は、隣合う永久磁石の対向する側を同極とすることを特徴とする請求項3に記載の界磁機。
- 請求項1乃至請求項4に記載の界磁機を有することを特徴とする同期機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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2003
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