JP2006174525A - コア、電機子コア及びモータ - Google Patents

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由之 柴田
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Abstract

【課題】 従来に比べて欠けが生じ難くかつコストダウンを図ることが可能なコア、電機子コア及びモータを提供する。
【解決手段】 本発明によれば、形状の自由度を要するステータコア10の両端部を、軟質磁性体製のコア構成体20,20で構成し、それら軟質磁性体製のコア構成体20,20の間に、鋼板製のコア構成体21を設けたので、ステータコア10全体を鋼板製にした場合に比べて形状の自由度が高くなり、ステータコア10全体を軟質磁性体で構成した場合に比べて磁気抵抗を低減することができる。しかも、軟質磁性体は、磁性粉体の複合材料に比べて安価であると共に靱性が高く欠け難いので、従来のように、鋼板製のコア構成体と、磁性粉体製のコア構成体とを接合して構成されたステータコアに比べて、欠けが生じ難くかつコストダウンを図ることが可能になる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電線が巻回されて磁路になるコア、電機子コア及びモータに関する。
従来のモータに備えたステータコアとして、軸方向の中間部と両端部とで構造が異なり、その中間部のみが鋼板を積層して構成され、両端部が磁性粉体の複合材料で構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−201483号公報(段落[0006]、第2図)
しかしながら、上記した従来の構成のステータコアでは、磁性粉体が極めて高価であるという問題に加え、磁性粉体で構成された部位のうち肉厚が薄い部分(例えば、ティース先端部)が欠けるという問題が生じ得た。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来に比べてコアの欠けが生じ難くかつコストダウンを図ることが可能なコア、電機子コア及びモータの提供を目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るコアは、電線が巻回されるコアであって、鋼板を積層してなる鋼板製のコア構成体と、鋳鉄、フェライト系ステンレス鋼、炭素含有率が0.3質量%以下の炭素鋼その他の軟質磁性体の何れかで形成された軟質磁性体製のコア構成体とを接合して構成したところに特徴を有する。
請求項2の発明に係る電機子コアは、電動機、発電機その他の回転機に備えられて、電線が巻回される複数のティースを界磁との対向面に有した電機子コアであって、軸方向に並べられた複数のコア構成体を接合してなり、軸方向の両端部のコア構成体は、鋳鉄、フェライト系ステンレス鋼、炭素含有率が0.3質量%以下の炭素鋼その他の軟質磁性体の何れかで形成された軟質磁性体製のコア構成体で構成され、それら1対の軟質磁性体製のコア構成体の間に、鋼板を積層してなる鋼板製のコア構成体を挟みかつ、それら軟質磁性体製と鋼板製の各コア構成体に備えたティース同士を整合させてなるところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項2に記載の電機子コアにおいて、軟質磁性体製のコア構成体には、ティースの端面のうち界磁側に位置した部分を鋼板製のコア構成体と反対側の軸方向に延長してコア突部が形成され、コア突部の界磁と反対側部分に電線を配置したところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の電機子コアにおいて、軟質磁性体製のコア構成体のティースのうち鋼板製のコア構成体との反対面を、円弧状に形成したところに特徴を有する。
請求項5の発明に係るモータは、請求項2乃至4の何れかに記載の電機子コアを備えたところに特徴を有する。
[請求項1及び2の発明]
軟質磁性体は、磁性粉体の複合材料に比べて安価であると共に靱性が高く欠け難い。そして、請求項1の発明に係るコア、及び請求項2の発明に係る電気子コアは、鋼板製のコア構成体と、軟質磁性体製のコア構成体とを接合して構成しているので、従来のように、鋼板製のコア構成体と、磁性粉体製のコア構成体とを接合して構成されたコアに比べて、欠けが生じ難くかつコストダウンを図ることが可能になる。しかも、軟質磁性体は、鋼板に比べれば透磁率は下がるものの形状の自由度が高いので、請求項1及び2の構成によれば、コア全体を鋼板製にした場合に比べて形状の自由度が高くなり、コア全体を軟質磁性体で構成した場合に比べて磁気抵抗を低減することができる。
[請求項3及び4の発明]
請求項3の電機子コアの両端面では、ティースの内縁側に位置したコア突部より界磁と反対側の部分が低くなっており、ここに電線が配置される。これにより、従来のものに比べて電機子コアの端面における電線の突出量が抑えられる。また、電線は、コア突部によって他の部品との当接から保護されるので、電機子コアの取り扱いが容易になる。さらに、請求項4の電機子コアでは、軟質磁性体製のコア構成体のティースのうち鋼板製のコア構成体との反対面を円弧状にしたので、ティースに巻回される電線へのストレスが低減される。
[請求項5の発明]
本発明のモータは、従来のものより電機子コアの形状の自由度が高くなり、かつ安価に製造することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。本実施形態は、例えばブラシレスモータに備えたステータコア10(本発明の「電機子コア」に相当する)に本発明を適用したものである。図1に示すように、ステータコア10の内周面には複数のティース12が備えられ、ステータコア10の両端面には、ティース12の一部をステータコア10の軸方向に延長するようにしてコア突部14が突出形成されている。また、図3に示すように、コア突部14は、ステータコア10の径方向外側に向かうに従って、丸みを帯びつつなだらかに低くなっている。
ステータコア10は、輪切り状に3分割した3つの部品よりなる。詳細には、ステータコア10の軸方向の両端寄り位置を接合面10Sとして、それら接合面10S,10Sより端部側が1対の軟質磁性体製のコア構成体20,20で構成され、それら軟質磁性体製のコア構成体20,20の間に鋼板製のコア構成体21が挟まれている。図2に示すように、鋼板製のコア構成体21は、軸方向に複数同形状の珪素鋼板22を積層してなる。従って、鋼板製のコア構成体21は、積層する珪素鋼板22の数を変更することで、長さを容易に変更することができる。一方、軟質磁性体製のコア構成体20は、例えば球状黒鉛鋳鉄の鋳物である。そして、鋼板製のコア構成体21の両端面に軟質磁性体製のコア構成体20,20を接合すると共に、各コア構成体20,21に備えたティース12同士を整合させた状態にして含浸剤に浸され、その含浸剤の接着作用にて一体化されてステータコア10になる。
完成したステータコア10の各ティース12には電線40が巻回され、各コア構成体20,21が一体的に固定される。ここでステータコア10の端部においては、電線40はコア突部14より外側部分(界磁と反対側部分)に配置される。即ち、図3に示すようにステータコア10の端面のうちコア突部14より低い位置に電線40が収容される。これにより、電線40と他の部品との当接が規制され、電線40が保護される。また、電線40は、コア突部14に押し当てられて纏められるから、従来必要とされた電線40のバインド処理工程も不要となる。
なお、本実施形態では、軟質磁性体製のコア構成体20のうちコア突部14の両側縁部12A(図2参照)には、鋳物ならではのコーナーRが備えられているので、電線40に局所的な応力がかかることが防がれる。また、コア突部14の変形例として、コア突部14のうち鋼板製のコア構成体21との接合面と反対側を全体的に円弧面にして電線40への負担をさらに低減させた構成にしてもよい。
電線40の巻回処理を終えたステータコア10は、図示しない筒形ハウジング内に例えば焼嵌され、次いで、ステータコア10の内部にロータ16(本発明の「界磁」に相当する)が配される。ここで、ロータ16に備えた永久磁石16Mの長さL3は、図3に示すように、ティース12の軸方向の長さL1より若干長くなっている。また、ステータコア10のうち電線巻回部分の長さL2は、永久磁石16Mの長さL3よりも短くなっている。そして、同図に示すように、軸方向と直交する方向(図3の左右方向)において、永久磁石16Mの両端面の間に電線巻回部の全体が対面するようにロータ16を位置決めして、筒形ハウジングの両端部を閉塞処理し、もってモータが完成されている。
本実施形態の構成によれば、形状の自由度を要するステータコア10の両端部を、軟質磁性体製のコア構成体20,20で構成し、それら軟質磁性体製のコア構成体20,20の間に、鋼板製のコア構成体21を設けたので、ステータコア10全体を鋼板製にした場合に比べて形状の自由度が高くなり、ステータコア10全体を軟質磁性体で構成した場合に比べて磁気抵抗を低減することができる。しかも、軟質磁性体は、磁性粉体の複合材料に比べて安価であると共に靱性が高く欠け難いので、従来のように、鋼板製のコア構成体と、磁性粉体製のコア構成体とを接合して構成されたステータコアに比べて、欠けが生じ難くかつコストダウンを図ることが可能になる。また、ステータコア10が欠け難いので、電線40を従来よりステータコア10に強く密に巻回することが可能になる。さらに、ステータコア10の両端面にコア突部14を形成したことで、ティース12のうちロータ16側の長さ(図3のL1)をロータ16における永久磁石16Mの長さ(図3のL3)と同等に保ちつつ、電線巻回部の長さ(図3のL2)を、ロータ16における永久磁石16Mの長さよりも短くすることができる。これにより、銅損が減少し、効率が向上する。従って、従来のステータコアを備えたモータと本実施形態のステータコア10を備えたモータとで出力トルクを同じにした場合には、本実施形態のステータコア10を備えたモータの方が、効率が優れている分、従来のものに比べて小型化することができる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)本発明は、前記各実施形態で例示したブラシレスモータ以外の機器に備えたコアに適用してもよい。具体的には、DCモータ、ステッピングモータや誘導モータ、発電機、変圧器等に備えたコアに本発明を適用してもよい。
(2)前記実施形態では、ティース12の両端面にコア突部14が突出形成されていたが、ティースの両端面に凹部を形成してその凹部に電線が収容されるようにしてもよい。これにより、電線の保護を強化することができる。
(3)前記実施形態では、軟質磁性体として鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)を例示したが、フェライト系ステンレス鋼(具体的には、JIS規格のSUS410L、愛知製鋼の製品名AUM10,AUM15,AUM29等)や、炭素含有率が0.3質量%以下の炭素鋼(例えば、JIS規格でS15Cで標記される低炭素鋼)であってもよい。また、フェライト系ステンレス鋼の場合には、冷間鍛造で上記したコア構成体20を製造することができる。また、炭素鋼の場合には、機械加工等によって上記したコア構成体20を製造することができる。
(4)前記実施形態のステータコア10における鋼板製のコア構成体21を、周方向で複数に縦割り分割し、それらを合体させた構造としてもよい。
本発明の一実施形態に係るステータコアの斜視図 ステータコアの分解斜視図 ティースの側断面図
符号の説明
10 ステータコア(電機子コア)
12 ティース
14 コア突部
16 ロータ(界磁)
20 軟質磁性体製のコア構成体
21 鋼板製のコア構成体
22 珪素鋼板

Claims (5)

  1. 電線が巻回されるコアであって、
    鋼板を積層してなる鋼板製のコア構成体と、
    鋳鉄、フェライト系ステンレス鋼、炭素含有率が0.3質量%以下の炭素鋼その他の軟質磁性体の何れかで形成された軟質磁性体製のコア構成体とを接合して構成したことを特徴とするコア。
  2. 電動機、発電機その他の回転機に備えられて、電線が巻回される複数のティースを界磁との対向面に有した電機子コアであって、
    軸方向に並べられた複数のコア構成体を接合してなり、
    軸方向の両端部のコア構成体は、鋳鉄、フェライト系ステンレス鋼、炭素含有率が0.3質量%以下の炭素鋼その他の軟質磁性体の何れかで形成された軟質磁性体製のコア構成体で構成され、
    それら1対の軟質磁性体製のコア構成体の間に、鋼板を積層してなる鋼板製のコア構成体を挟みかつ、それら軟質磁性体製と鋼板製の各コア構成体に備えたティース同士を整合させてなることを特徴とする電機子コア。
  3. 前記軟質磁性体製のコア構成体には、前記ティースの端面のうち界磁側に位置した部分を前記鋼板製のコア構成体と反対側の軸方向に延長してコア突部が形成され、前記コア突部の界磁と反対側部分に前記電線を配置したことを特徴とする請求項2に記載の電機子コア。
  4. 前記軟質磁性体製のコア構成体のティースのうち前記鋼板製のコア構成体との反対面を、円弧状に形成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の電機子コア。
  5. 請求項2乃至4の何れかに記載の電機子コアを備えたことを特徴とするモータ。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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