JP2005057812A - 弾性表面波装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 弾性体基板と誘電体薄膜との間にIDT電極及び/または反射器電極が形成されている弾性表面波装置において、IDT電極及び/または反射器電極のストリップの反射効率を高めることができる、弾性表面波装置を提供する。
【解決手段】 弾性体基板としての水晶基板2上に誘電体薄膜としてZnO薄膜3が形成されており、両者の間にIDT電極4が形成されており、IDT電極4が、表面波の半波長区間に1本のストリップを配置した区間を少なくとも1つ有し、あるいはIDT電極4が形成されている部分において、ZnO薄膜3に隆起部が構成されており、該隆起部の傾斜面の傾斜角度θが30度よりも大きくされている、弾性表面波装置1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば共振子や帯域フィルタとして用いられる弾性表面波装置に関し、より詳細には、弾性体基板上に誘電体薄膜が形成されており、該弾性体基板と誘電体薄膜との間にIDT電極及び/または反射器電極が形成された弾性表面波装置に関する。
従来、例えば移動体通信機器の帯域フィルタなどに弾性表面波装置が広く用いられている。弾性表面波装置では、圧電体と接するように少なくとも一対のくし歯電極よりなる少なくとも1つのインターデジタル電極(以下、IDT電極)が形成されている。
上記圧電体としては、様々な圧電材料からなる圧電基板が用いられている。また、ガラス基板や圧電基板などの弾性体基板上に、圧電性を有する誘電体薄膜を形成した構造や、圧電基板上に圧電性を有しない誘電体薄膜を形成した構造を有する弾性表面波装置も提案されている。例えば、弾性体基板上に誘電体薄膜を形成した弾性表面波装置は、下記の非特許文献1などに示されている。
従来の誘電体薄膜を用いた弾性表面波装置では、主として、所定距離を隔てて配置された複数のIDT電極を有する、トランスバーサル型の構造が用いられている。トランスバーサル型の構造では、IDT電極におけるストリップによるTTE(トリプル・トランジット・エコー)の反射により、不要リップルが生じる。そこで、このような不要リップルを抑制するために、電極のストリップにおける反射が極力抑制されることが望ましい。従って、IDT電極として、音響的な反射を生じないダブルストリップ型のIDT電極や、反射が抑制されたシングルストリップを有するIDT電極などが用いられていた。
他方、近年、損失の低減を図るために、一方向性ストリップを利用した弾性表面波装置が種々提案されている。一方向性ストリップを利用した構造を有する弾性表面波装置では、方向性を大きくするために、ストリップにおける反射を高める必要がある。
また、下記の非特許文献2などに開示されている共振器構造を有する弾性表面波装置に用いられる反射器では、反射量の大きなストリップにより反射器を構成することにより、少ないストリップ本数で所望の反射量が得られるとされている。また、上記「多対IDTの結合モード解析」に開示されている多対IDTでは、IDTを構成するストリップの反射量を増大させることにより、IDTの変換特性を急峻とし得ることが示されている。
「ZnO膜を用いたTV用SAWフィルタの実用化研究」(門田、26回EMシンポジウム、1997、pp.83−90) 「多対IDTの結合モード解析」(電通信論文誌、1977/9、Vol.J60−A No.9)
上述したように、従来、IDT電極や反射器におけるストリップの反射を高める必要がある弾性表面波装置が種々提案されていた。しかしながら、これらの弾性表面波装置では、圧電基板上にIDT電極や反射器電極が形成されていた。
他方、前述した誘電体薄膜を用いた弾性表面波装置、すなわちガラス基板や圧電基板上に圧電性を有する誘電体薄膜を形成した弾性表面波装置や、圧電基板上に圧電性を有しない誘電体薄膜もしくは圧電性を有する誘電体薄膜を形成した構造を有する弾性表面波装置では、IDT電極や反射器のストリップの反射係数が小さく、IDTの変換特性の急峻性を高めたり、小型化及び低損失化を図ることが困難であった。
本発明は、上述した従来技術の現状に鑑み、弾性体基板上に誘電体薄膜が形成されており、該誘電体薄膜と弾性体基板との間にIDT電極及び/または反射器電極が形成されている構造において、IDT電極及び/または反射器電極のストリップの反射係数を高めることができ、それによって変換特性の急峻性を高めることができ、かつ小型化及び低損失化を図ることができる弾性表面波装置の提供を目的とする。
本発明は、弾性体基板と、前記弾性体基板上に形成された誘電体薄膜とを備え、前記弾性体基板及び誘電体薄膜の少なくとも一方が圧電性材料からなり、前記弾性体基板と前記誘電体薄膜との間に形成されたIDT電極及び/または反射器電極をさらに備え、前記IDT及び/または反射器電極が、表面波伝搬方向において表面波の半波長区間に1本のストリップを配置した区間を少なくとも1つ有し、前記ストリップによる反射を利用した弾性表面波装置において、前記誘電体薄膜が前記IDT電極及び/または反射器電極のストリップを被覆している部分において、該ストリップ上の誘電体薄膜部分の上面がストリップから離れた誘電体薄膜部分に対して傾斜面を介して隆起されており、該傾斜面のストリップ上の誘電体薄膜部分の上面に対する傾斜角度が30度よりも大きくされていることを特徴とする。
本発明は、上記のように、弾性体基板上に、誘電体薄膜を形成した構造を有し、該弾性体基板と誘電体薄膜との間にIDT電極及び/または反射器電極が形成されている。ここで、弾性体基板としては、ガラス基板やアルミナ基板などの圧電性を有しない弾性体基板、または圧電セラミックスもしくは圧電単結晶からなる圧電基板が用いられる。また、上記誘電体薄膜としては、弾性体基板が圧電性を有しない場合には、圧電性を有する誘電体薄膜、例えばZnO膜などが用いられる。もっとも、弾性体基板が圧電性を有する場合、すなわち圧電基板である場合には、誘電体薄膜が圧電性を有する誘電体薄膜、すなわち圧電薄膜であってもよく、あるいは圧電性を有しない誘電体薄膜であってもよい。
また、弾性表面波装置を構成するために、通常、少なくとも1つのIDT電極が形成されるが、本発明においては、IDT電極及び/または反射器電極が、表面波伝搬方向において、表面波の半波長区間に1本のストリップを配置した区間を少なくとも1つ有し、該ストリップによる反射が利用されている。
本発明では、誘電体薄膜がIDT電極及び/または反射器電極のストリップを被覆している部分において、ストリップ上の誘電体薄膜部分がストリップから離れた誘電体薄膜部分に対して傾斜面を介して隆起されており、該傾斜面のストリップを被覆している誘電体薄膜部分の上面に対する傾斜角度が30度よりも大きくされており、それによってIDT電極及び/または反射器電極のストリップの反射係数が高められる。本発明においては、好ましくは、上記傾斜角度は40度よも大きくされ、それによってストリップの反射係数がより一層高められる。
本発明においては、IDT電極及び/または反射器電極の膜厚が、好ましくは、表面波の波長をλとしたとき、0.01λよりも大きくされ、それによってストリップによる反射係数がより一層高められる。
また、本発明においては、上記誘電体薄膜の密度は、好ましくは、IDT電極及び/または反射器電極の密度よりも高くされ、それによって、ストリップによる反射係数が効果的に高められる。
本発明において、IDT電極及び/または反射器電極を構成する材料としては、アルミニウム、アルミニウムに銅、シリコン、チタンなどを添加した合金、金または銅などの様々な金属もしくは合金が用いられる。また、上記誘電体薄膜としては、ZnO薄膜、Ta25薄膜またはCdS薄膜などが用いられ、上記弾性体基板材料として、水晶、ガラス、サファイアまたはシリコンなどが用いられる。
水晶やLT、LBOなどの圧電体基板上にIDT電極及び/または反射器電極を形成した従来の構成では、電極の膜厚や線幅が変化されたとしても、κ12の符号は変わらず、一定である。
ところが、本発明の特定の局面において、上記IDT電極及び/または反射器電極を構成する材料としてアルミニウムを用い、かつ上記誘電体薄膜としてZnO薄膜を用いた場合、上記誘電体薄膜の密度より上記IDT電極及び/または反射器電極を構成する材料の密度が小さくなる。このためIDT電極及び/または反射器電極を構成するストリップの線幅や膜厚の調整により、κ12の符号は正〜零〜負と変化し、|κ12|が最大値となるときのκ12の符号は負となり、したがって前記従来の構成とは異なる傾向を示す。
さらには、κ12の符号が負となる条件では、音響的な反射波と電気的再励起による反射波との位相が等しくなるため、ストリップを電気的に開放して構成した開放反射器を利用すると、電気機械結合係数K2に応じて大きな反射係数が得られる。
また、前記弾性体基板として、ガラス基板やサファイア基板を利用した構成は良く知られているが、周波数温度係数が正となる特定の切断方位の水晶基板を用いた場合、誘電体膜の負の周波数温度係数が打ち消され、周波数温度係数が零となる温度安定性に優れた表面波装置を得ることができる。
IDT電極及び/または反射器電極の構造は特に限定されないが、本発明の別の特定の局面では、IDT電極が備えられ、該IDT電極が一方向性IDT電極であり、従って、本発明により反射係数が高められた一方向性IDT電極が構成される。
本発明においては、誘電体薄膜がIDT電極及び/または反射器電極のストリップを被覆している隆起部分において、上述した傾斜角度が30度よりも大きくされているので、同様にストリップの反射効率を高めることができる。従って、IDT電極が形成されている部分において上記傾斜角度を30度よりも大きくした場合には、共振効率を高めることができ、フィルタ特性の急峻な共振器型フィルタやQの高い共振子を得ることができ、反射器電極が形成されている部分において上記傾斜角度を30度よりも大きくした場合には、反射器の小型化を図ることができる。
よって、本発明によれば、弾性体基板上に誘電体薄膜を形成し、両者の間にIDT電極及び/または反射器電極が形成されており、IDT電極及び/または反射器電極のストリップによる反射を利用した弾性表面波装置において、IDT電極及び/または反射器電極における上記ストリップの反射効率を高めることができるので、弾性表面波装置の小型化、及び低損失化を果たすことが可能となる。
以下、本発明の具体的な実施例を図面を参照しつつ説明することにより、本発明をより詳細に説明する。
(第1の実施例)
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施例に係る弾性表面波装置の略図的平面図及び図1(a)中のB−B線に沿う部分の模式的拡大断面図である。
本実施例の弾性表面波装置1では、回転27度Y板の水晶基板2上に、誘電体薄膜としてZnO薄膜3が形成されている。また、水晶基板2とZnO薄膜3との間に、アルミニウム薄膜により構成されたIDT電極4,5が設けられている。
弾性表面波装置1では、IDT電極4,5を励振すると、音速2500〜3000m/秒程度のX方向伝搬のレイリー波が生じる。
なお、上記ZnO薄膜3は、通常スパッタリングなどの薄膜形成方法により水晶基板2上に形成される。この場合、水晶基板2上に配置されたIDT電極4のストリップ4aが設けられている部分においては、ZnO薄膜3の上面に凹凸が生じる。図1(b)に示されているように、ZnO薄膜3の上面においては、ストリップ4aを被覆している部分が隆起している。すなわち、ZnO薄膜3の他の部分に対して傾斜面3bを介して隆起部3aが形成されることになる。
上記傾斜面3bの隆起部3aの上面とのなす傾斜角度θは、通常、30度とされている(例えば、「ZnO薄膜表面研磨よるSAWフィルタの周波数特性ばらつきの低減」(電子通信学会論文誌、Vol.J96−A No.10、1993/10))。
本願発明者は、「周期構造圧電性導波路の有限要素法解析」(電子通信学会論文誌、Vol.J68−C No.1、1985/1)第21〜第27頁に提案されている有限要素法を利用して、図1(b)に示すストリップ4aを半波長区間内に1本配置した構造において、開放ストリップ及び短絡ストリップの阻止域周波数と、自由表面における音速を求めた。また、「弾性表面波デバイスシミュレーション技術入門」(橋本、リアライズ社、233頁)」に提案されている方法に基づいて、上述したレイリー波のストリップにおける反射量を表すκ12/k0を求めた。κ12はモード結合理論に基づくモード間結合係数を示し、k0はλ/2πを示す。
結果を図2〜図4に示す。
図2(a)及び(b)、図3(a)及び(b)は、ZnO薄膜3の膜厚Tが0.2λ〜0.5λ、ストリップ4aの膜厚Hが0.01λ〜0.04λ、傾斜面3bの傾斜角度θが30度の場合のκ12/k0とデューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す図である。
また、図4は、ZnO薄膜の膜厚T=0.3λ、ストリップ4aの膜厚H=0.01λ〜0.08λ及び上記傾斜角度θ=90度の場合のκ12/k0と、デューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す図である。
図2(a)〜図4から明らかなように、デューティ比が小さい領域では、κ12の絶対値が小さく、ストリップの膜厚Hが小さい領域では、κ12は正の値を示すことがわかる。また、デューティ比が増加するとともに、κ12は負の値を示すことになる。この現象は、アルミニウムからなるストリップ4aの密度(=2.69g/cm3)よりも、ZnO薄膜3の密度(=5.68g/cm3)が大きいために生じると考えられる。
従って、上記傾斜角度θにより若干の変動が見られるものの、デューティ比を0.5より大きくすれば、デューティ比=0.5の場合に比べて、κ12の絶対値を大きくすることができ、ストリップによる反射量を増大し得ることがわかる。より好ましくは、デューティ比を0.6以上とすれば、κ12の絶対値の極大値を得ることができる。
なお、図5は、比較例として、ZnO薄膜の膜厚Tが0.3λ、ストリップ4aの膜厚Hが0.02λ、傾斜角度θ=30度の場合の電気機械結合係数K2と、上記デューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す図である。図5から明らかなように、電気機械結合係数K2はデューティ比が0.5付近で最大となり、0.5から外れると減少することがわかる。従って、例えば、共振子や共振器型フィルタを構成する場合、帯域幅は電気機械結合係数と相関が強いため、本実施例においては、デューティ比は、所望とする帯域幅に応じて選択すればよいことがわかる。
(第2の実施例)
図6は、本発明の第2の実施例の弾性表面波装置の電極構造を示す模式的平面図である。
この弾性表面波装置10では、IDT電極11,12間に、反射器13が配置されている。反射器13は、半波長区間に1本のストリップ13aを配置した区間Aを300区間表面波伝搬方向に連続した構造を有する。IDT電極11,12は、電極指の対数が20対のダブルストリップ型のIDT電極である。IDT電極11,12及び反射器電極13のストリップ配置ピッチは同一である。
また、弾性体基板としては、回転27度Y板の水晶基板を用い、該水晶基板上に、上記IDT電極11,12及び反射器電極13を形成した後、図示はしないが、ZnO薄膜を形成した。すなわち、第1の実施例の場合と同様、水晶基板とZnO薄膜との間に、図6に示されている電極構造が形成されている。また、上記IDT電極11,12及び反射器電極13は、アルミニウムにより構成した。
図6に示した弾性表面波装置10の周波数伝送特性では、IDT電極11からIDT電極12に伝搬する表面波は、反射器13の反射帯域では伝搬せず、反射器の反射帯域外では伝搬する。従って、弾性表面波装置10の周波数伝送特性では、中心周波数付近に阻止域が生じる。この阻止域の帯域幅により、下記の式(1)に基づいてκ12/k0を実測した。
κ12/k0=(阻止域の帯域幅/中心周波数)/2…式(1)
下記の表1は、上記のようにして実測されたκ12/k0の値を示す。
Figure 2005057812
表1から明らかなように、図2(b)に示された値と、上記実測値とがほぼ一致することがわかる。
(第3の実施例)
第1の実施例における水晶基板に代えてガラス基板を用いたことを除いては同様にして、第3の実施例の弾性表面波装置を構成した。この場合、音速2500〜2900/s付近にレイリー波が生じる。
図7(a)及び(b)、図8(a)及び(b)は、第3の実施例において、ZnO薄膜の膜厚T=0.1λ〜0.7λ、ストリップの膜厚H=0.01λ〜0.35λ及び傾斜面の傾斜角度θ=30度の場合のκ12/k0とデューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す。
図7及び図8から明らかなように、ZnO薄膜の膜厚が0.2λ以上であり、かつストリップの膜厚Hが0.01λの場合、デューティ比=0.5付近でほぼ無反射となり、デューティ比が0.5から外れるとともに、κ12が増加することがわかる。また、ストリップの膜厚Hを0.01λよりも厚くした場合、例えば0.35λとした場合には、デューティ比が0.5より大きくなると、デューティ比=0.5の場合に比べてκ12の絶対値が増大し、反射係数が高められることがわかる。また、デューティ比が0.6以上の場合には、κ12が極大値をとり、反射係数がより一層高められることがわかる。
図1と同様の弾性表面波装置を構成した。但し、ZnO薄膜3の膜厚T=0.3λ、ストリップ4aの膜厚H=0.02λとし、前述した傾斜角度θを20度〜80度の範囲で変化させ、κ12/k0と、デューティ比との関係を調べた。結果を図9に示す。
図9から明らかなように、デューティ比を最適化した場合のκ12の絶対値が傾斜角度θによって変動し、従来の傾斜角度である傾斜角度θ=30度に比べてθを大きくすると、κ12の絶対値も増加することがわかる。
図10は、傾斜角度θごとに、κ12の絶対値が最大となるデューティ比と、その場合のκ12/k0の値の関係を示す。図10から明らかなように、傾斜角度θを30度より大きくすると、κ12が大きくなり、好ましくは40度以上とすることにより、κ12を傾斜角度θの変化に対して安定化することができ、かつκ2の大きな弾性表面波装置の得られることがわかる。
なお、上記傾斜角度θは、ZnO薄膜をスパッタリングにより成膜する場合には、成膜粒子の入射角度の調整により容易にコントロールすることができる。例えば、「ZnO薄膜を用いたTV用SAWフィルタの実用化研究」(門田、26回EMシンポジウム、1997、pp.84、図3)に示されているプラネタリと基板との取り付け角度を調整し、成膜粒子の入射角度を垂直に近づけることにより、上記傾斜角度θを容易に30度よりも大きくすることができる。
また、電極ストリップの横断面における側面を弾性体基板表面に対して直交する方向に近づけるように、すなわち横断面において現れる側面を急峻化することにより、上記傾斜角度θを大きくすることができる。このように電極ストリップの横断面形状に現れる側面を急峻化するには、IDT電極や反射器電極の形成方法を選択することにより容易に達成され得る。例えば、電極ストリップの横断面形状を急峻化するには、ドライエッチング法が最も好ましく、リフトオフ法が次に好ましく、ウェットエッチング法が次に好ましい。
なお、上述した第1〜第4の実施例では、誘電体薄膜としてZnO薄膜を用いた場合を例にとり説明したが、ZnO薄膜の他、SiO2薄膜、AlN薄膜、Ta25薄膜及びCdS薄膜などの様々な誘電体薄膜を用いることができる。すなわち誘電体薄膜表面における隆起部における上記傾斜角度が表面波の反射量に影響を及ぼす適宜の誘電体薄膜を用いた場合にも、上記実施例と同様の効果が得られる。
また、上記実施例では、アルミニウムからなるIDT電極及び/または反射器電極が形成されていたが、銅や金などの一般的な金属材料を用いて弾性表面波装置を構成した場合にも、上記実施例と同様の効果が得られる。
さらに、第1の実施例及び第2の実施例では、回転27度Y板の水晶基板が用いられたが、他の結晶方位の水晶基板を用いてもよい。また、第3の実施例で用いられたガラス基板は、ほう珪酸ガラスまたはパイレックス(登録商標)ガラスなどの様々なガラスにより構成され得る。さらに、本発明においては、弾性体基板は、このような水晶基板やガラス基板に限らず、他の絶縁性基板により構成されてもよく、あるいは圧電単結晶や圧電セラミックスからなる圧電基板により構成されていてもよい。
なお、本発明に係る弾性表面波装置は、前述したように半波長区間に1本のストリップを配置した区間を、少なくとも1区間以上有しているが、この半波長区間を連続的に配置した構成が反射器に採用されている場合には、反射器のストリップの本数を従来に比べて少なくすることができる。また、半波長区間を連続的に配置した構造がIDT電極に採用されている場合には、IDT電極内部における共振効率を高めることができ、良好な共振器型フィルタやQの高い共振子を構成することができる。
さらに、上記半波長区間を、反射バンク型一方向性電極、FEUDTまたはEWC電極などの一方向性IDT電極の反射エレメントして利用した場合には、一方向性をより一層高めることができる。
(a)及び(b)は、第1の実施例に係る弾性表面波装置の模式的平面図及び(a)中のB−B線に沿う部分を拡大して示す断面図。 (a)及び(b)は、第1の実施例において、反射効率を示すκ12/k0と、デューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す図。 (a)及び(b)は、第1の実施例において、反射効率を示すκ12/k0と、デューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す図。 第1の実施例において、ZnO薄膜の膜厚T=0.3λ、ストリップの膜厚H=0.01λ〜0.08λ及び傾斜角度θ=90度した場合のκ12/k0とデューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す図。 第2の実施例において、ガラス基板上に形成されたZnO薄膜の膜厚T=0.1λ〜0.7λ、ストリップの膜厚H=0.01λ〜0.35λ及び傾斜角度θ=30度とした場合のκ12/k0と、デューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す図。 本発明の第3の実施例に係る弾性表面波装置の電極構造を示す模式的平面図。 (a)及び(b)は、第1の実施例において、反射効率を示すκ12/k0と、デューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す図。 (a)及び(b)は、第1の実施例において、反射効率を示すκ12/k0と、デューティ比及びストリップの膜厚Hとの関係を示す図。 第3の実施例において、ZnO薄膜の膜厚T=0.3λ、ストリップの膜厚H=0.02λ、傾斜角度θ=20度〜80度したときのκ12/k0とデューティ比との関係を示す図。 第3の実施例において、κ12の絶対値が最大となるデューティ比と、その場合のκ12/k0の値の傾斜角度依存性を示す図。
符号の説明
1…弾性表面波装置
2…水晶基板
3…ZnO薄膜
3a…隆起部
3b…傾斜面
10…弾性表面波装置
11,12…IDT
14…反射器電極
θ…傾斜角度

Claims (8)

  1. 弾性体基板と、
    前記弾性体基板上に形成された誘電体薄膜とを備え、前記弾性体基板及び誘電体薄膜の少なくとも一方が圧電性材料からなり、
    前記弾性体基板と前記誘電体薄膜との間に形成されたIDT電極及び/または反射器電極をさらに備え、
    前記IDT及び/または反射器電極が、表面波伝搬方向において表面波の半波長区間に1本のストリップを配置した区間を少なくとも1つ有し、前記ストリップによる反射を利用した弾性表面波装置において、
    前記誘電体薄膜が前記IDT電極及び/または反射器電極のストリップを被覆している部分において、該ストリップ上の誘電体薄膜部分の上面がストリップから離れた誘電体薄膜部分に対して傾斜面を介して隆起されており、該傾斜面のストリップ上の誘電体薄膜部分の上面に対する傾斜角度が30度よりも大きくされていることを特徴とする、弾性表面波装置。
  2. 前記傾斜面の傾斜角度が40度よりも大きい、請求項1に記載の弾性表面波装置。
  3. 前記IDT電極及び/または反射器の膜厚が表面波の波長λとしたときに、0.01λよりも大きくされている、請求項1または2に記載の弾性表面波装置。
  4. 前記誘電体薄膜の密度が、前記IDT電極及び/または反射器電極の密度よりも大きい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
  5. 前記IDT電極及び/または反射器電極がアルミニウムからなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
  6. 前記誘電体薄膜が、ZnO薄膜である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
  7. 前記弾性体基板が、水晶またはガラスからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
  8. 前記IDT電極及び/または反射器電極として、IDTを備え、該IDT電極が一方向性IDT電極である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の弾性表面波装置。
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