JP2005056965A - 半導体レーザ駆動制御装置、光ディスク装置及びレーザパワー制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 デジタルAPCによる処理制御において、ノイズ振幅の影響を受けることなく、デジタル制御を正しく行なわせる。
【解決手段】 電流電圧変換手段により変換される電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算可能とし、光ディスクに対する記録時に(S6)、P2用の比較手段の比較結果に応じてフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御することで、P2用の比較手段の比較出力に応じて(S9)、レーザパワーを検出した信号に対してオフセット電圧信号を注入する(S10)、又は、このオフセット電圧信号を注入しない(S12)ようにすることで、デジタル的な自動パワー制御処理における設定誤差が減る。
【選択図】 図3
【解決手段】 電流電圧変換手段により変換される電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算可能とし、光ディスクに対する記録時に(S6)、P2用の比較手段の比較結果に応じてフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御することで、P2用の比較手段の比較出力に応じて(S9)、レーザパワーを検出した信号に対してオフセット電圧信号を注入する(S10)、又は、このオフセット電圧信号を注入しない(S12)ようにすることで、デジタル的な自動パワー制御処理における設定誤差が減る。
【選択図】 図3
Description
本発明は、半導体レーザ駆動制御装置、光ディスク装置及びレーザパワー制御方法に関する。
CD−R(Compact Disc Recordable),DVD(Digital Versatile Disc)−R等の追記型光ディスク或いはCD−RW(Rewritable),DVD−RW等の書換え型光ディスクでは、例えば、有機色素系記録材料を塗布形成したディスクにレーザ光を照射して記録ピットを形成することにより情報を記録するようにしている。
光ディスクに記録ピットを一定条件で安定して形成するには、常に一定のレーザパワーが得られるように書込み光源である半導体レーザ(以下、適宜LD(Laser Diode)と略して示す)の駆動電流を制御する必要がある。
即ち、光ディスク装置におけるデータの記録は、例えばCD−RではCD−R上の記録膜にLDから発光される強い光量のレーザ光を光ビームとして照射し、その熱反応により、光ディスク媒体に穴(ピット)を開けることにより行われる。また、CD−RWでは記録膜の結晶状態を変化させることによって行われる。一方、光ディスクに書き込まれたデータはLDから発光される弱い光量のレーザ光を光ビームとして記録膜上に照射した場合に得られる反射光量から読み取ることができる。
ところで、前述したように光ディスクの記録は、LDから出射される光ビームによって光ディスクにピットを開けることで行われるが、このときのレーザ光の発光波形は図5に示すようになっている。
図5において、LDからは第1の発光パワー(光量レベル)P1と第1の光量パワーよりも高い第2の発光パワー(光量レベル)P2がデジタル変調により繰り返し出射される。この第2の発光パワーP2が記録パワーでP2レベルのところがピットとなる。また、第1の発光パワーP1は再生パワーであり、P1レベルのところがそのままスペースとなる。さらに、CD−Rでは、P3>P2なる第3の発光パワー(光量レベル)P3がエクストラパワーとしてP2の先頭部分に設けられて、P1,P2,P3の3値で記録パワー発光波形を生成することがある。即ち、第3の発光パワーP3をピット先頭に位置付けるようにして、ピットエッジを先鋭化している。
図5では、時間t(ライトスタート)より前(左側)が光ディスクからデータを再生するときの発光波形、時間t(ライトスタート)より後(右側)が光ディスクにデータを記録する場合の発光波形を示している。前述したように、光ディスクのデータを再生するときLDから発光されるパワーは低く、DC発光であり、一般的にP1は1mWほどである。一方、記録時にLDから発光されるレーザ光のパワーは高く、レベルP2は一般に数mW〜数10mWである。記録時はこのような2つの発光レベルP1,P2の発光が繰返されることで光ディスクにピットが形成されるものである。
ところで、近年では、再生速度、記録速度がともに上昇しつつある傾向にある。再生速度では32倍速のものもあり、記録速度では12倍や16倍になるものもある。例えば、CD−Rの12倍速で記録させる場合であれば、記録パワーは再生パワーに対して30倍くらいになることもあり、これは再生パワーが1mWの時に記録パワーが30mWであることを示す。また、LDは自らの発振による温度上昇等によってその発光パワーが変化する(特に、発光パワーが高パワーであるとき温度上昇する時間は短くなる)ので、光ディスク装置等において受光素子でLD出力をモニタしながらLDを駆動する電流を制御することで、LDの発光パワーを一定にしている。
図6に発光パワーを定パワー制御するLD駆動制御回路の構成例を示す。この定パワー制御(以下、APC=Auto Power Controllとする)はデジタル制御で行っている。図6においてPD100に入射された光は光電変換により光量に比例した電流の形で出力される。ただし、PD100によるモニタはLD101からのレーザ光の一部をモニタするのであり、レーザ光の大部分は光ディスク(図示せず)の記録膜へ照射される。次に、PD100から出力された電流は電流電圧変換器(I/V変換器)102により電流を電圧に変換され電圧値として出力される。この出力電圧において、第1の発光レベルP1に対応したものをV(P1)、第2の発光レベルP2に対応したものをV(P2)とする。記録時における出力は再生時と異なりV(P1)とV(P2)が交互に変化する信号のため、S/H回路(サンプリングホールド回路)103a,103bによってV(P1)とV(P2)に分離される。
ここに、S/H回路103aにおけるサンプル信号1は再生時は常にS/H回路103a内のアナログスイッチ104aをオンさせる信号であり、記録時は記録用光量レベルP1で発光している期間、或いは、それより短い期間のみサンプリングホールド回路103a内のアナログスイッチ104aをオンさせ、また、再生用光量レベルP2で発光している期間はS/H回路103a内のアナログスイッチ104aをオフさせてコンデンサ105aで再生用の光量レベルP1に対応した電圧Vs(P1)のみをアンプ106aにより取り出すようにコントロールしている。
一方、S/H回路103bにおけるサンプル信号2は再生時は常にS/H回路103b内のアナログスイッチ104bをオフさせる信号であり、記録時は記録用の光量レベルP2で発光している期間、或いはそれより短い期間のみS/H回路103b内のアナログスイッチ104bをオンさせ、記録時に再生用の光量レベルP1で発光している期間はS/H回路103b内のアナログスイッチ104bをオフさせコンデンサ105bで光量レベルP2に対応した電圧Vs(P2)のみをアンプ106bにより取り出すようにコントロールしている。
これらのS/H回路103a,103bによってI/V変換器102の出力電圧から分離された各Vs(P1)及びVs(P2)はコンパレータ107a,107bに各々入力される。コンパレータ107aでは電圧信号Vs(P1)と予め設定されている所定の目標電圧レベルP1VREFとを比較し、同様に、コンパレータ107bでは電圧信号Vs(P2)と予め設定されている所定の目標電圧レベルP2VREFとを比較している。これらのコンパレータ107a,107bからは入力された電圧信号が各々の目標電圧レベルに対して大きいか小さいかのみを示す信号、つまり、2値の値(デジタル値)が出力され、CPU108で読み込む形となっている。
このCPU108からはデジタル値をアナログ値に変換するD/Aコンバータ109aにデータが送られ、このD/Aコンバータ109aからは入力されたデータに比例した電圧がアナログ電圧信号として出力される。さらに、この出力に比例した電圧値がV/I変換器110aによって電流信号に変換されて出力される。同様に、D/Aコンバータ109bにもCPU108よりデータが送られて、このD/Aコンバータ109bからは入力されたデータに比例した電圧がアナログ電圧信号として出力され、さらに、この出力に比例した電圧値がV/I変換器110bによって電流信号に変換されて出力される。
さらに、各々のV/I変換器110a,110bの出力電流が電流増幅器111a,111bによって増幅されるわけであるが、再生時にはLDON信号によりスイッチ112がオンすることで電流増幅器111aの出力が電流加算器114を通してLD115に流れて光量レベルP1としてLD115から発光される。また、記録時はライトパルス重畳信号によりスイッチ113がオンすることで電流増幅器111bの出力が電流加算器114によって電流増幅器111aからの出力電流と加算されてLD115に流れることで、この駆動電流によってLD115は記録用の光量レベルP2として発光する。
ところで、再生開始時、CPU108はまずD/Aコンバータ109aにデータ0を出力する。これにより、LD115の発光パワー分の電流は0からスタートとなる。そして、CPU108はD/Aコンバータ109aに出力するデータを徐々に増加させながら、コンパレータ107aの出力が反転するまで(つまり、Vs(P1)がP1VREFより大になるまで)増加させる。その後、コンパレータ107aの出力が常に反転を繰り返すように(つまり、Vs(P1)=P1VREFとなるように)、D/Aコンバータ109aに出力するデータを常に可変する。これにより、LD115から出射される再生パワーは図7に示すように一定レベルに保たれる。
同様に、記録開始時から記録パワーレベルが一定に保たれるまでの様子を図8に示す。図8で再生発光時にはCPU108はD/Aコンバータ109bの出力を0にしておく。次に、記録発光が開始されるとCPU108はD/Aコンバータ109bに出力するデータを1ずつないしは所定量ずつ上げていく。これに伴い、D/Aコンバータ109bの出力電圧に比例した電流がLD115に記録パワーの電流としてD/Aコンバータ109aの出力電圧に比例した電流に重畳されるため、これをモニタして、サンプルホールドしたS/H回路103bの出力電圧も所定量ずつ増加していく。そして、やがてS/H回路103bの出力電圧がP2VREFを超えるとコンパレータ107bの出力が反転する。反転するとCPU108は、その前とは逆方向に動かしたデータをD/Aコンバータ109bに送出する。これによりLD115の電流が減少し、また、コンパレータ107bが反転する。反転すると、CPU108は、その前とは逆方向に…という具合にCPU108はD/Aコンバータ109bを操作し、常にS/H回路103bの出力電圧とP2VREFが跨ぎ合うように操作する。これにより、LD115から一定の光量レベルP2のレーザ光が出射されることになる。
なお、コンパレータ107の出力が変化した後、直ぐにD/Aコンバータ109を変更させるかというとそうではなく、或る一定期間後にCPU108がコンパレータ107の値を検出た後、D/Aコンバータ109を操作するようになっている。この一定期間というのは遅すぎると発光パワーは次にD/Aコンバータ109を変更するまでにLD115の温度特性により下がってしまうし、早すぎてもLD115の発光がD/Aコンバータ109の設定の応答に間に合わなくなるので、制御ができる期間はそのシステムにより変わり、予め決めておくものである。
以上のように構成されたフィードバックループにより、基準電圧(目標電圧)により決定される一定レベルのパワー光がLD115から出射されることとなる。図6に示す例は、CPU108とD/Aコンバータ109a,109b等を用いたデジタル制御である。
ところで、コンパレータ107a,107bの目標電圧レベルP1VREF,P2VREFと光量レベルP1,P2との関係は製造工程などにおいて、例えば、関係式の形で予め求めておく。図9はLDの駆動電流対発光パワー特性図である。この図からも分かる通り、LDからの発光パワーとLD駆動電流とは或る閾値Ithより上では1次関数的な特性を示す。もちろん、この傾きはLDによって多少ばらつきもあるが、LD駆動電流と発光パワーの関係に或る傾きがあるなら、LD駆動電流を設定するD/Aコンバータ109a,109bの設定電圧値とも発光パワーは関係を持つことがわかる。さらに、D/Aコンバータ109a,109bの設定電圧値は元々コンパレータ107a,107bの目標電圧レベルP1VREF,P2VREFによって決まるものなので、コンパレータ107a,107bの目標電圧レベルP1VREF,P2VREFと発光パワーとは或る一定の傾きで1次関数的な関係があるといえる。従って、この傾きを予め求めておけば、目標電圧レベルP1VREF,P2VREFに対して発光パワーを求めることができる。実際はその傾きや切片をメモリ等に記憶させておくことでその制御はたやすくなる。つまり、コンパレータ107の目標電圧とP1又はP2の関係は製造工程などにおいて、例えば関係式の形で予め求めておく。実際の発光時はこの関係からP1,P2の設定を行っておくようにする。また、前述の傾きは個々のLDの特性により温度などで傾きが変わったり、閾値電流Ithがシフトしたりするが、コンパレータ107a,107bの基準電圧を跨ぐようにCPU108がLD駆動電流を変えるので一定パワーで制御できる。このLD115からの発光パワーが一定になるように制御することをAPCという。図6では特に基準電圧と比較してその基準電圧になるようにV/I変換器110a,110bへ電圧を制御するCPU108までをAPC部116とし、V/I変換器110a,110b以降をLDドライバ部117としている。
ところで、PD100出力、つまりI/V変換器102の出力は、装置毎に異なる上、回路内にはオフセット電圧があるが、これは実際に使用する場合と上述の傾きを求める場合の回路オフセットが異なる場合があり、さらにLD115が同じ発光パワーで発光していてもPD100のとりつけ位置のばらつきなどによりオフセットが異なることが多く、このオフセットが大きいと発光パワーに影響が出る。実際に発光させるなどして関係を求め発光させたとしても、目標電圧を最も大きくしたときの発光パワーにばらつきが出てしまう。
そこで、I/V変換器102の出力を可変ゲインアンプ等の出力で、若しくは電圧増幅手段の入力でオフセットを除くためのD/Aコンバータをおき、S/H回路への入力をオフセットをとるなどしてできるだけ一定になった状態で目標電圧とP1又はP2の関係を求めるのが一般的になっている。
前述したようなAPCをデジタル制御で行う場合、図10に示すようにサンプルホールドされた後の信号がノイズがない場合、目標電圧がP2VREF1、P2VREF、P2VREF3のどの場合でもコンパレータ109bの出力はD/Aコンバータ110bを変化させるまでの一定期間中ずっと同じレベルを保つことができる。
ところが、図11に示すようにサンプルホールドの後の信号がノイズが大きい場合に、目標電圧P2VREFをノイズの振幅分で超えてしまう場合にそのコンパレータ107bの出力も一定期間でばらばらになってしまう。このようにばらついている状態でCPU108がコンパレータ107bの出力を検出してしまい、APCを行なってしまうと、実際はパワーを上げたいのにLD駆動電流としてのD/Aコンバータ110bの値を下げてしまったりする。もちろんその逆も大いにあり得る。
つまり、コンパレータ107bの出力によってD/Aコンバータ109bの値を変えるように動作してしまうため、通常であればAPCでは±1LSBでD/Aコンバータ109bの出力は変化しているのを3LSB変動することも考えられる。この時点で1LSBの誤差が生じており、さらに次にD/Aコンバータ109bの変化まで同じレベルで発光させてしまうため、その期間誤ったパワーで記録してしまう。
そこで、本発明は、デジタルAPCによる処理制御において、ノイズ振幅の影響を受けることなく、デジタル制御を正しく行なわせることである。
請求項1記載の発明は、記録可能な光ディスクに照射させるレーザ光として半導体レーザを第1の光量レベルP1とこの第1の光量レベルP1よりも大きい第2の光量レベルP2との少なくとも2つの光量レベルでデジタル変調させて発光させるようにした半導体レーザ駆動制御装置であって、前記半導体レーザに対する駆動電流を供給する駆動電流供給手段と、前記半導体レーザから出力されるレーザ光の発光パワーを検出し、その発光パワーに応じた電流信号を出力する発光パワー検出手段と、この発光パワー検出手段から出力される電流信号を電圧信号に変換して出力する電流電圧変換手段と、この電流電圧変換手段により変換された前記電圧信号のレベルと前記光量レベルP1,P2に対応させて各々予め設定された目標電圧レベルとを比較するP1用,P2用の各々の比較手段と、これらの比較手段の比較結果に応じて前記半導体レーザの光量レベルを調整するP1用,P2用の各々の光量レベル調整手段と、前記電流電圧変換手段により変換される前記電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算させるオフセット電圧注入手段と、前記光ディスクに対する記録時にP2用の前記比較手段の比較結果に応じて前記オフセット電圧注入手段により前記オフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御するオフセット電圧注入制御手段と、を備える。
従って、電流電圧変換手段により変換される電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算させるオフセット電圧注入手段を備え、光ディスクに対する記録時にP2用の比較手段の比較結果に応じてこのオフセット電圧注入手段によりオフセット電圧信号を加算させるか加算させないかをオフセット電圧注入制御手段により切換え制御することで、P2用の比較手段の比較出力に応じてレーザパワーを検出した信号に対してオフセット電圧信号を注入する、又は、このオフセット電圧信号を注入しないようにすることで、デジタル的な自動パワー制御処理における設定誤差を減らすことができる。よって、デジタルAPCによる処理制御において、ノイズ振幅の影響を受けることなく、デジタル制御を正しく行なわせることができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の半導体レーザ駆動制御装置において、前記オフセット電圧注入手段によるオフセット電圧の電圧値は、個々の装置毎に予め測定されたノイズ振幅に基づき可変設定自在である。
従って、オフセット電圧の電圧値を、個々の装置毎に予め測定されたノイズ振幅に基づき可変設定自在とすることにより、装置によってはオフセット電圧値の過不足により精度が悪くなってしまうのを抑制でき、個々の装置に応じた対応をとることができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の半導体レーザ駆動制御装置において、前記光ディスクに対する記録速度に応じて前記オフセット電圧注入手段を有効とするオフセット設定モードとするか否かを切換え制御するモード制御手段を、備える。
従って、記録速度に応じてオフセット設定モードとするか否かを切換え制御することで、オフセット電圧を注入しなくてよい場合にはオフセット電圧を注入しないようにできるため設定誤差を減らすことができ、さらにAPCにおけるパワー設定時間を短くすることができる。
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の半導体レーザ駆動制御装置において、前記光ディスクの特性に応じて前記オフセット電圧注入手段を有効とするオフセット設定モードとするか否かを切換え制御するモード制御手段を、備える。
従って、高速記録向き等の光ディスクの特性に応じてオフセット設定モードとするか否かを切換え制御することで、オフセット電圧を注入しなくてよい場合にはオフセット電圧を注入しないようにできるため設定誤差を減らすことができ、さらにAPCにおけるパワー設定時間を短くすることができる。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一記載の半導体レーザ駆動制御装置において、P2用の前記光量レベル調整手段における前記レーザダイオード駆動手段に対する電圧信号の分解能が可変の場合、その分解能の可変に応じて前記オフセット電圧注入手段により加算するオフセット電圧の電圧値を可変設定するオフセット電圧調整手段を、備える。
従って、半導体レーザ駆動電流の分解能の大きさに応じてオフセット電圧値を可変設定するようにすることで、設定誤差を減らすことができ、オフセット量の過不足により精度が悪くなるのを抑えることができる。
請求項6記載の発明の光ディスク装置は、記録可能な光ディスクを回転駆動する駆動源と、半導体レーザ及び対物レンズを有して前記光ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、前記半導体レーザの駆動を制御する請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザ駆動制御装置と、を備える。
従って、請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザ駆動制御装置を備えるので、請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザ駆動制御装置の作用を奏する光ディスク装置を提供できる。
請求項7記載の発明は、記録可能な光ディスクに照射させるレーザ光として半導体レーザを第1の光量レベルP1とこの第1の光量レベルP1よりも大きい第2の光量レベルP2との少なくとも2つの光量レベルでデジタル変調させて発光させるようにしたレーザパワー制御方法であって、前記半導体レーザから出力されるレーザ光の発光パワーを検出し、その発光パワーに応じた電流信号を電流電圧変換手段により電圧信号に変換し、変換された前記電圧信号のレベルと前記光量レベルP1,P2に対応させて各々予め設定された目標電圧レベルとをP1用,P2用の各々の比較手段により比較し、これらの比較手段の比較結果に応じてP1用,P2用の各々の光量レベル調整手段により前記半導体レーザの光量レベルを調整するデジタル的な自動パワー制御処理を行う際に、前記光ディスクに対する記録時にP2用の前記比較手段の比較結果に応じて前記電流電圧変換手段により変換される前記電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御する処理を含む。
従って、電流電圧変換手段により変換される電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算可能とし、光ディスクに対する記録時にP2用の比較手段の比較結果に応じてフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御することで、P2用の比較手段の比較出力に応じてレーザパワーを検出した信号に対してオフセット電圧信号を注入する、又は、このオフセット電圧信号を注入しないようにすることで、デジタル的な自動パワー制御処理における設定誤差を減らすことができる。よって、デジタルAPCによる処理制御において、ノイズ振幅の影響を受けることなく、デジタル制御を正しく行なわせることができる。
請求項1記載の発明によれば、電流電圧変換手段により変換される電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算させるオフセット電圧注入手段を備え、光ディスクに対する記録時にP2用の比較手段の比較結果に応じてこのオフセット電圧注入手段によりオフセット電圧信号を加算させるか加算させないかをオフセット電圧注入制御手段により切換え制御することで、P2用の比較手段の比較出力に応じてレーザパワーを検出した信号に対してオフセット電圧信号を注入する、又は、このオフセット電圧信号を注入しないようにしたので、デジタル的な自動パワー制御処理における設定誤差を減らすことができ、よって、デジタルAPCによる処理制御において、ノイズ振幅の影響を受けることなく、デジタル制御を正しく行なわせることができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の半導体レーザ駆動制御装置において、オフセット電圧の電圧値を、個々の装置毎に予め測定されたノイズ振幅に基づき可変設定自在としたので、装置によってはオフセット電圧値の過不足により精度が悪くなってしまうのを抑制でき、個々の装置に応じた対応をとることができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の半導体レーザ駆動制御装置において、記録速度に応じてオフセット設定モードとするか否かを切換え制御するようにしたので、オフセット電圧を注入しなくてよい場合にはオフセット電圧を注入しないようにできるため設定誤差を減らすことができ、さらにAPCにおけるパワー設定時間を短くすることができる。
請求項4記載の発明によれば、請求項1又は2記載の半導体レーザ駆動制御装置において、高速記録向き等の光ディスクの特性に応じてオフセット設定モードとするか否かを切換え制御するようにしたので、オフセット電圧を注入しなくてよい場合にはオフセット電圧を注入しないようにできるため設定誤差を減らすことができ、さらにAPCにおけるパワー設定時間を短くすることができる。
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一記載の半導体レーザ駆動制御装置において、半導体レーザ駆動電流の分解能の大きさに応じてオフセット電圧値を可変設定するようにしたので、設定誤差を減らすことができ、オフセット量の過不足により精度が悪くなるのを抑えることができる。
請求項6記載の発明の光ディスク装置によれば、請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザ駆動制御装置を備えるので、請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザ駆動制御装置の効果を奏する光ディスク装置を提供できる。
請求項7記載の発明によれば、電流電圧変換手段により変換される電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算可能とし、光ディスクに対する記録時にP2用の比較手段の比較結果に応じてフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御することで、P2用の比較手段の比較出力に応じてレーザパワーを検出した信号に対してオフセット電圧信号を注入する、又は、このオフセット電圧信号を注入しないようにしたので、デジタル的な自動パワー制御処理における設定誤差を減らすことができ、よって、デジタルAPCによる処理制御において、ノイズ振幅の影響を受けることなく、デジタル制御を正しく行なわせることができる。
本発明を実施するための最良の形態を図1ないし図4に基づいて説明する。本実施の形態は、一度だけ書込み可能でCDフォーマットに準拠した記録可能なCD−R(CD−Recordable)なる追記型の光ディスク1を対象とする光ディスク装置への適用例を示し、そのCD−Rドライブ装置の構成例を図1に示す。図1はこの光ディスク装置(ドライブ装置)の構成を示す概略ブロック図である。
図1を参照して光ディスク装置の概略構成及び動作について説明する。まず、CD系ディスクではディスク基板上にデータ列をピットと呼ばれる穴の有無で表現し、これにレーザ光を当てて、その反射光の変化でデータを読み取る。このデータ列はレコードのようにディスク基板上に螺旋状に並べられている。この螺旋状に配された線をトラックと呼んでおり、隣り合うトラック間の距離は1.6μmである。
このような光ディスク1は駆動手段としてのスピンドルモータ2によって回転駆動される。スピンドルモータ2はモータドライバ3とサーボ手段4とによって線速度一定(CLV)又は回転数一定(CAV)となるように制御される。その線速度は段階的に変更が可能である。光ピックアップ5は後述する半導体レーザ、光学系、フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ、受光器、ポジションセンサ等を内蔵しており、レーザ光を光ディスク1の記録面に照射する。
光ピックアップ5は図示しないシークモータによりスレッジ方向(ディスク半径方向)に移動可能とされている。これらのフォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ、シークモータは受光器やポジションセンサから得られる信号に基づきモータドライバ3とサーボ手段4とによってレーザスポットを光ディスク1上の目的の場所に位置させるように制御する。
データ再生時には、光ピックアップ5で得られた再生信号をリードアンプ6で増幅してイコライザ処理や2値化(デジタル化)処理した後、CDデコーダ7に入力してEFM復調する。即ち、EFM信号は、光学的に再生又は記録しやすいように8ビットデータを14ビットデータに変調したデータであり、EFM復調されたデータはデインターリーブ(並べ替え直し処理)とエラー訂正の処理を行う。さらに、そのデインターリーブとエラー訂正の処理後のデータをCD−ROMデコーダ8に入力してデータの信頼性を高めるためのエラー訂正処理を行う。
その後、CD−ROMデコーダ8で処理したデータをバッファマネージャ9によって一旦バッファRAM10に蓄積し、セクタデータとして揃ったときにATAPIやSCSIといったインタフェース11によってホスト側へ一気に転送する。また、音楽データの場合、CDデコーダ7から出力されるデータをD/Aコンバータ12に入力してアナログのオーディオ信号を取り出す。
一方、データ記録時には、ATAPIやSCSIといったインタフェース11によってホストから転送されたデータを受信すると、そのデータをバッファマネージャ9によって一旦バッファRAM10に蓄積する。バッファRAM10に或る程度のデータが溜まったときに記録を開始するが、その前にレーザスポットを書き込み開始地点に位置させる。その書き込み開始地点はトラック(プリグルーブ)の蛇行によって予め光ディスク1に刻まれているウォブル信号であるATIP(Absolute Time In Pre-groove)信号によって求められる。ATIP信号は光ディスク上の絶対番地を示す時間情報であり、ATIPデコーダ13によってATIP信号の情報を取り出すとともに、ATIPエラーを検出してATIP信号の検出エラー率を計測する。
また、ATIPデコーダ13が生成する同期信号はCDエンコーダ14に入力されて正確な位置でのデータの書き出しを可能にしている。バッファRAM10のデータは、CD−ROMエンコーダ15やCDエンコーダ14でエラー訂正コードの付加やインターリーブ(並べ替え)を行った後、EFM変調され、レーザコントロール回路16、光ピックアップ5を介して光ディスク1に記録される。
このような光ディスク装置は、上述の各部の動作を制御するためのCPU17、ROM18及びRAM19からなるマイクロコンピュータ20を備えている。
ここで、本実施の形態では、半導体レーザの発光波形としては、図5に示したような、記録ピットを形成するための記録用に第2の光量レベルP2とこの第2の光量レベルP2よりも小さくて記録ピットを形成しない第1の光量レベルP1との2つの光量レベルでデジタル変調させて交互に発光させる波形を用いる場合への適用例とする。
次に、レーザコントロール回路16を中心とする半導体レーザ駆動制御装置の回路構成例を図2を参照して説明する。基本的構成は、図6に示した場合と同様である。まず、光ピックアップ5中に設けられて制御対象となる半導体レーザ(LD)21に対して、その出射光の一部(前方光でも後方光でもよい)を直接又は間接的に受光するモニタ用受光素子(PD)22が設けられている。このPD22からはPD22に入射される光パワーに比例した電流が出力される。ここに、PD22はLD21から出力されるレーザ光の発光パワーを検出し、その発光パワーに応じた電流信号を出力する発光パワー検出手段として機能する。
このPD22の出力側にはその電流信号を電圧信号に変換するI/V変換器(電流電圧変換手段)23が設けられている。このI/V変換器23の出力側には、一方の系(P1用)として、サンプリングホールド回路(S/H回路)24aとコンパレータ(比較手段)25aとが順に接続され、コンパレータ25aの出力がCPU17に入力されている。ここに、S/H回路24aにおけるサンプル信号1は再生時には常にS/H回路24a内のアナログスイッチ26aをオンさせる信号であり、記録時は記録用の光量レベルP2で発光している期間、或いは、それより短い期間のみサンプリングホールド回路24a内のアナログスイッチ26aをオンさせ、また、再生用光量レベルP2で発光している期間はS/H回路24a内のアナログスイッチ26aをオフさせてコンデンサ27aで再生用の光量レベルP1に対応した電圧Vs(P1)のみをアンプ28aにより取り出すようにコントロールしている。コンパレータ25aに対しては光量レベルP1用の目標電圧レベルP1VREFが設定されている。
また、I/V変換器23の出力側には、他方の系(P2用)として、サンプリングホールド回路(S/H回路)24bとコンパレータ(比較手段)25bとが順に接続され、コンパレータ25bの出力がCPU17に入力されている。このS/H回路24bにおけるサンプル信号2は再生時には常にS/H回路24b内のアナログスイッチ26bをオフさせる信号であり、記録時は記録用の光量レベルP2で発光している期間、或いはそれより短い期間のみS/H回路24b内のアナログスイッチ26bをオンさせ、記録時に再生用の光量レベルP1で発光している期間はS/H回路24b内のアナログスイッチ26bをオフさせコンデンサ27bで光量レベルP2に対応した電圧Vs(P2)のみをアンプ28bにより取り出すようにコントロールしている。コンパレータ25bに対しては光量レベルP2用の目標電圧レベルP2VREFが設定されている。
これらのS/H回路24a,24bによってI/V変換器23の出力電圧から分離された各Vs(P1)及びVs(P2)はコンパレータ25a,25bに各々入力される。コンパレータ25aでは電圧信号Vs(P1)と予め設定されている所定の目標電圧レベルP1VREFとを比較し、同様に、コンパレータ25bでは電圧信号Vs(P2)と予め設定されている所定の目標電圧レベルP2VREFとを比較している。これらのコンパレータ25a,25bからは入力された電圧信号が各々の目標電圧レベルに対してが大きいか小さいかのみを示す信号、つまり、2値の値(デジタル値)が出力され、CPU17で読み込む形となっている。
このCPU17からはデジタル値をアナログ値に変換するD/Aコンバータ29aにデータが送られ、このD/Aコンバータ29aからは入力されたデータに比例した電圧がアナログ電圧信号として出力される。さらに、この出力に比例した電圧値がV/I変換器30aによって電流信号に変換されて出力される。同様に、D/Aコンバータ29bにもCPU17よりデータが送られて、このD/Aコンバータ29bからは入力されたデータに比例した電圧がアナログ電圧信号として出力され、さらに、この出力に比例した電圧値がV/I変換器30bによって電流信号に変換されて出力される。
さらに、各々のV/I変換器30a,30bの出力電流が電流増幅器31a,31bによって増幅されるわけであるが、再生時にはLDON信号によりスイッチ32がオンすることで電流増幅器31aの出力が電流加算器34を通してLD21に流れて光量レベルP1としてLD21から発光される。また、記録時はライトパルス重畳信号によりスイッチ33がオンすることで電流増幅器31bの出力が電流加算器34によって電流増幅器31aからの出力電流と加算されてLD21に流れることで、この駆動電流によってLD21は記録用の光量レベルP2として発光する。
なお、タイミング制御信号であるサンプル信号1,2、LDON信号、ライトパルス重畳信号は各々CDエンコーダ14によって出力される。
また、図2では、基準電圧と比較してその基準電圧になるようにV/I変換器30a,30へ電圧を制御するCPU17までをAPC部35とし、V/I変換器30a,30b以降を駆動電流供給手段としてのLDドライバ部(ドライバ)36としている。また、CPU17とD/Aコンバータ29a,29bとがデジタル制御方式の光量レベル調整手段を構成している。
さらに、本実施の形態では、I/V変換器23の後段にゲインアンプ37が付加されている。パワーが低い場合、I/V変換器23からの出力も小さくなるため、信号を大きくした方が目標電圧との比較でも誤差が小さくなるので、一般的にゲインを高くしておく。このとき、S/H回路24でゲインを大きくするように構成してもよいし、S/H回路24以外にゲインアンプをつなげることで系の総合ゲインを大きくすることで実現してもよいが、本実施の形態では、前者のようにS/H回路で実現するものとして、S/H回路24aの方がS/H回路24bよりも大きいとする。さらに、本実施の形態では、このようなゲインアンプ37に対してD/A変換器38によってオフセット電圧を注入できる構成とされている。つまり、回路系のオフセットを除くためI/V変換器23の出力以降においてオフセットを相殺させるために上述のD/Aコンバータ29a,29bとは別のD/A変換器38を付加しておくものである。即ち、このD/A変換器38はCPU17による制御の下にI/V変換器23により変換される電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算させるオフセット電圧注入手段として機能する。また、CPU17は、後述する処理制御のように、光ディスク1に対する記録時にP2用のコンパレータ25bの比較結果に応じてD/A変換器38によりオフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御するオフセット電圧注入制御手段としての機能が発揮される。
また、本実施の形態では、当該回路系のオフセット分は、予め製造工程の段階で求めておくものとする。例えば、製造工程などでノイズ振幅を測定しておく。測定方法としては実際にオシロスコープなどで測定というのが最も正確であるが、CPU17でコンパレータ25の入力をA/Dコンバータなどでサンプリングしその最大値と最小値を求め、この差分をノイズ振幅とする。もちろん、これら以外の方法でもノイズ振幅を求めることができる方法であればよく、特に限定はされない。また、ノイズ振幅に対して実際に変更させるオフセット分の大きさを予め決めておくことで、求められたノイズ振幅に対するオフセット電圧値を設定する。このときのノイズ振幅とオフセット電圧値との関係は関係式(例えば、1次関数の傾きと切片)として求められていてもよいし、特に関係式ではなくテーブルとして決められていてもよい。
このような構成において、ROM18に格納されたプログラムによりCPU17によって実行される発光パワー制御動作例の一例の概略を図3に示すフローチャートを参照して説明する。基本的にはデジタル的なAPC処理を行う際に、光ディスク1に対する記録時にP2用のコンパレータ25bの比較結果に応じてI/V変換器23により変換される記電圧信号に対してD/A変換器38によりオフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御する処理を含ませるようにしたものである。
まず、事前の処理として、製造工程において光ピックアップ5とレーザコントロール回路16等の回路を接続した後、電源オンし、その後、S/H回路24bの出力の振幅を測定し、これをノイズの振幅として保持しておく(ステップS1)。
このような事前処理が行われている条件下に、光ディスク1を光ディスク装置に装填して実際に記録を行う際には、記録対象となる光ディスク1がどのような種類のものかは一般的に予めディスク情報を読み出すことにより判っているので、このときの情報から当該光ディスク1の種類(特性)が高速記録用光ディスクかどうかを判定する(S2)。高速記録用光ディスクであれば(S2のY)、記録時にオフセットを有効とするオフセット設定モードとする(S3)。このステップS3の処理がモード制御手段の機能として実行される。
例えば、高速記録用記録媒体のように高速記録で高パワーに対応した光ディスク1がある。これは高速で記録する場合は記録品質がいいが、逆にあまりに低い速度では記録品質が悪くなってしまう。そこで、光ディスク1がどの程度パワーを必要とするかを予め調べておき、予め実験等でどのような光ディスクであればオフセット電圧を付加しなくても影響が少ないかを決めておく。実際に記録する際は、設定された光ディスク1に応じてオフセット電圧を付加するモードとする/しないを決めておくことで、必要な場合でのみオフセット電圧を付加設定できるようになり、APCを遅くしないで済む。
次に、パワー設定を行う際にパワーが低い場合は分解能を上げるようにする必要が出てくるケースがある。もちろん、これはデバイスが分解能を変更できることが前提であるが、このように分解能を可変設定する場合(S4のY)、D/Aコンバータ38の記録時に付加するオフセット電圧量を設定し直す(S5)。即ち、P2用のD/Aコンバータ29bにおける電圧信号の分解能が可変の場合、その分解能の可変に応じてD/Aコンバータ38により加算するオフセット電圧の電圧値を可変設定するものであり、このステップS5の処理がオフセット電圧調整手段の機能として実行される。
即ち、LD21への駆動電流設定のための電圧信号の分解能を変えることができるというのは、即ち、駆動電流の分解能を変えることができることを指すが、例えばLD21への駆動電流設定のための電圧信号の設定最大値が可変である場合、この値が小さくなれば分解能は細かくなり、逆に大きくなれば粗くなる。もちろん、この大きさによってコンパレータ25bへの入力も変わってくるため、この値が粗い場合はノイズの影響はあまり受けないが、もし、分解能が細かくノイズ振幅とあまりかわらないようであれば、確実にノイズ振幅の影響を受けないようにする必要が出てくる。そこで、分解能によってオフセット電圧値を可変設定するようにしておけば、オフセット電圧値としてより最適な値となり、コンパレータ25bの出力がばらつかなくなり、設定誤差を減らすことができる。また、オフセット量の過不足により精度が悪くなるのを防ぐことができる。
この後、実際に記録開始となり(S6)、パワーはAPCより制御されるが、コンパレータ25bの出力を確認し(S7)、オフセット設定モードでなれば(S8のN)、D/Aコンバータ29bの出力を変えてLDドライバ部36への電流値を変え、コンパレータ25bの出力を確認して…という通常のAPC動作を行う。
一方、オフセット設定モードであれば(S8のY)、デジタル制御においてコンパレータ25bの出力を確認し、コンパレータ25bの出力が目標電圧レベルP2VREFよりも大きい場合(S9のY)、D/Aコンバータ38によりI/V変換器23の出力、従って、S/H回路24bの入力に対して決められたオフセット電圧信号を付加させる(S10)。次に、D/Aコンバータ29bの出力を変えてLDドライバ部36への電流値を変え(S11)、再び、コンパレータ25bの出力を確認してそれに応じたオフセット電圧値を付加させる…というルーチンが続く。
逆に、コンパレータ25bの出力が目標電圧レベルP2VREFよりも小さい場合は(S9のN)、オフセット電圧値を付加せず(D/Aコンバータ38の値を元に戻し)(S12)、D/Aコンバータ29bの出力を変えてLDドライバ部36への電流値を変え(S11)、再び、コンパレータ25bの出力を確認してそれに応じたオフセット電圧値を付加させる…というルーチンが続く。これらのステップS10,S12の処理が、光ディスク1に対する記録時にP2用のコンパレータ25bの比較結果に応じてD/Aコンバータ38によりオフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御するオフセット電圧注入制御手段の機能として実行される。
即ち、コンパレータ25bの入力のうち目標電圧レベルP2VREFよりもS/H回路24bによりサンプルホールドされた電圧レベルの方が大きい場合、D/Aコンバータ38によりオフセットを大きくする方向で設定する。即ち、サンプルホールド電圧値は付加されたオフセット電圧信号分を含むものとなる。その後、LD駆動電流用のD/Aコンバータ29bの電流レベルを設定すると、ノイズ振幅を含めたサンプルホールドからの出力が目標電圧レベルP2VREFよりも大きくなる。そのため、次にコンパレータ25bの出力を確認するときは、目標電圧レベルP2VREFに比べてサンプルホールドされた電圧レベルが大きいためコンパレータ25bの出力は“L”となり、このレベルが固定される。
ここに、目標電圧レベルP2VREFのほうが低いため、その後、LD駆動電流用のD/Aコンバータ29bのレベルを1つ小さくするわけであるが、この前にオフセット電圧値を元の値に戻すようにする(即ち、オフセット電圧信号分の付加がない状態)。D/Aコンバータ29bのレベルを1つ小さくして設定する時点で目標電圧レベルP2VREFよりもサンプルホールドされた電圧レベルが小さくなる。
このようにすることで、コンパレータ25bの入力経路にノイズなどがあっても発光パワーの設定を±1LSBの変動という通常のデジタルAPCを行うことができるようになり、実際にノイズ振幅がない場合と同様にデジタル制御が正しく行われる。つまり、コンパレータ25bの出力がばらつかなくなり、設定誤差を減らすことができる。
次に、CPU17によって実行される発光パワー制御動作例の他例の概略を図4に示すフローチャートを参照して説明する。この発光パワー制御動作例は、基本的には、図3に示した場合と同様であるが、ステップS2の処理に代えて、ここでは、実際に記録動作を行うに際して、光ディスク1に対する記録速度が高速記録モードであるか否かを判断し(S13)、高速記録モードであれば(S13のY)、記録時にオフセットを有効とするオフセット設定モードとする(S3)ようにしたものである。このステップS3の処理がモード制御手段の機能として実行される。
例えば、高速記録時は高パワーであるのが一般的であるが、高パワーであればあるほど低パワーに比べて、設定パワーに対する分解能による誤差分の影響は小さくなる。ただし、高パワーというのは一般的に高速記録時に出力されるが、オフセット設定があるためにAPCのシーケンスが遅くなってしまう。そこで、予め実験等でオフセット電圧を付加しなくても影響が少ない記録速度を決めておく。実際に記録する際は設定された記録速度に応じてオフセット電圧を付加するモードとする/しないを決めておくことで、必要な場合でのみオフセット電圧を付加設定できるようになり、APCを遅くしないで済む。
1 光ディスク
2 駆動手段
5 光ピックアップ
17 CPU、光量レベル調整手段
21 半導体レーザ
22 発光パワー検出手段
23 電流電圧変換手段
25 比較手段
29 光量レベル調整手段
38 オフセット電圧注入手段
2 駆動手段
5 光ピックアップ
17 CPU、光量レベル調整手段
21 半導体レーザ
22 発光パワー検出手段
23 電流電圧変換手段
25 比較手段
29 光量レベル調整手段
38 オフセット電圧注入手段
Claims (7)
- 記録可能な光ディスクに照射させるレーザ光として半導体レーザを第1の光量レベルP1とこの第1の光量レベルP1よりも大きい第2の光量レベルP2との少なくとも2つの光量レベルでデジタル変調させて発光させるようにした半導体レーザ駆動制御装置であって、
前記半導体レーザに対する駆動電流を供給する駆動電流供給手段と、
前記半導体レーザから出力されるレーザ光の発光パワーを検出し、その発光パワーに応じた電流信号を出力する発光パワー検出手段と、
この発光パワー検出手段から出力される電流信号を電圧信号に変換して出力する電流電圧変換手段と、
この電流電圧変換手段により変換された前記電圧信号のレベルと前記光量レベルP1,P2に対応させて各々予め設定された目標電圧レベルとを比較するP1用,P2用の各々の比較手段と、
これらの比較手段の比較結果に応じて前記半導体レーザの光量レベルを調整するP1用,P2用の各々の光量レベル調整手段と、
前記電流電圧変換手段により変換される前記電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算させるオフセット電圧注入手段と、
前記光ディスクに対する記録時にP2用の前記比較手段の比較結果に応じて前記オフセット電圧注入手段により前記オフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御するオフセット電圧注入制御手段と、
を備えることを特徴とする半導体レーザ駆動制御装置。 - 前記オフセット電圧注入手段によるオフセット電圧の電圧値は、個々の装置毎に予め測定されたノイズ振幅に基づき可変設定自在であることを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ駆動制御装置。
- 前記光ディスクに対する記録速度に応じて前記オフセット電圧注入手段を有効とするオフセット設定モードとするか否かを切換え制御するモード制御手段を、備えることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体レーザ駆動制御装置。
- 前記光ディスクの特性に応じて前記オフセット電圧注入手段を有効とするオフセット設定モードとするか否かを切換え制御するモード制御手段を、備えることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体レーザ駆動制御装置。
- P2用の前記光量レベル調整手段における前記レーザダイオード駆動手段に対する電圧信号の分解能が可変の場合、その分解能の可変に応じて前記オフセット電圧注入手段により加算するオフセット電圧の電圧値を可変設定するオフセット電圧調整手段を、備えることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一記載の半導体レーザ駆動制御装置。
- 記録可能な光ディスクを回転駆動する駆動源と、
半導体レーザ及び対物レンズを有して前記光ディスクにレーザ光を照射する光ピックアップと、
前記半導体レーザの駆動を制御する請求項1ないし5の何れか一記載の半導体レーザ駆動制御装置と、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。 - 記録可能な光ディスクに照射させるレーザ光として半導体レーザを第1の光量レベルP1とこの第1の光量レベルP1よりも大きい第2の光量レベルP2との少なくとも2つの光量レベルでデジタル変調させて発光させるようにしたレーザパワー制御方法であって、
前記半導体レーザから出力されるレーザ光の発光パワーを検出し、その発光パワーに応じた電流信号を電流電圧変換手段により電圧信号に変換し、変換された前記電圧信号のレベルと前記光量レベルP1,P2に対応させて各々予め設定された目標電圧レベルとをP1用,P2用の各々の比較手段により比較し、これらの比較手段の比較結果に応じてP1用,P2用の各々の光量レベル調整手段により前記半導体レーザの光量レベルを調整するデジタル的な自動パワー制御処理を行う際に、前記光ディスクに対する記録時にP2用の前記比較手段の比較結果に応じて前記電流電圧変換手段により変換される前記電圧信号に対してオフセット電圧信号を加算させるか加算させないかを切換え制御する処理を含むことを特徴とするレーザパワー制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003284637A JP2005056965A (ja) | 2003-08-01 | 2003-08-01 | 半導体レーザ駆動制御装置、光ディスク装置及びレーザパワー制御方法 |
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JP (1) | JP2005056965A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7643396B2 (en) | 2005-05-31 | 2010-01-05 | Funai Electric Co. Ltd. | Output voltage adjusting method for laser power monitoring |
-
2003
- 2003-08-01 JP JP2003284637A patent/JP2005056965A/ja active Pending
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