以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第一の実施の形態にかかる面実装型コネクタ1−1を示す断面図である。同図に示すように面実装型コネクタ1−1は、オス型コネクタ挿入部11を設けたケース10と、ケース10内にインサート成形されるフレキシブル基板30と、フレキシブル基板30をその背面側から弾発する弾発部材50とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
図2はフレキシブル基板30の平面図である。同図に示すようにフレキシブル基板30は、略矩形状にカットされた可撓性を有する合成樹脂(例えばポリフェニレンスルフイドやポリイミド)製のフイルム31の表面に複数本の線状の導体パターン33を並列に形成して構成されている。導体パターン33は、その一方の側をオス型コネクタ接続用パターン33aとし、他方の側を面実装用パターン33bとし、これらの間を連結する部分を連結パターン33cとしている。
導体パターン33は、フイルム31に貼り付けた銅箔をエッチングすることや、導電ペースト(銀ペーストや銀カーボンペースト等)を印刷したものを焼成することや、金属を物理的蒸着(PVD、physical vapor deposition)又は化学的蒸着(CVD、chemical vapor deposition)して金属薄膜としたもの、などによって形成されている。ここで物理的蒸着の方法としては、真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着等を用いる。化学的蒸着の方法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等を用いる。蒸着する導体パターン33の材質としては、例えばニクロム下地の上に銅層と金層とを順番に蒸着によって形成したものを用いる。
一方フイルム31のオス型コネクタ接続用パターン33a側の端部は、ケース10を構成する成形樹脂内に挿入して固定される固定部35となっており、またフイルム31の面実装用パターン33b側の端部は、下記する弾発部材50によって固定される固定部37となっている。固定部37には、三つのスリット状の固定孔39が設けられている。またフイルム31の各導体パターン33間の部分と、導体パターン33全体の両外側部分には、それぞれケース10を構成する成形樹脂を通すことでケース10内にフレキシブル基板30を固定するための貫通孔41,43が設けられている。
図3は面実装型コネクタ1−1を上側から見たときの分解斜視図、図4は面実装型コネクタ1−1を下側から見たときの分解斜視図である。両図及び図1に示すように、ケース10は、合成樹脂を略直方体形状に成形して構成されており、一方の長尺な側面には下記するオス型コネクタ70(図5,図6参照)をスライド挿入する寸法形状のスリット状の穴からなるオス型コネクタ挿入部11が設けられ、またその下面には凹状の弾発部材収納部15が設けられている。弾発部材収納部15内には、下記する弾発部材50の各弾発片53を挿入するスリット状の弾発部挿入部17が設けられ、各弾発部挿入部17は前記オス型コネクタ挿入部11に連通している。また弾発部挿入部17の一方の側には、三つのスリット状の係止部挿入穴19が設けられている。各係止部挿入穴19間のピッチは前記フレキシブル基板30に設けた各固定孔39間のピッチと同一としている。フレキシブル基板30の固定部37を突出した側に位置するケース10の下面の辺は基板載置部45となっている。一方ケース10の短い側の両側面には、それぞれ上下方向に向かう係合溝47が設けられ、またこれら係合溝47に連なってケース10の上面にも係合凹部49が設けられている。
そして前述のようにケース10内にはフレキシブル基板30がインサート成形されているが、その際図1に示すように、フレキシブル基板30のオス型コネクタ接続用パターン33a(図2参照)を形成した部分はオス型コネクタ挿入部11の下面に設置されてオス型コネクタ接続用パターン33aはオス型コネクタ挿入部11内に露出している。またフレキシブル基板30の固定部35はケース10を構成する成形樹脂内に入り込ませることで固定されており、またフレキシブル基板30の連結パターン33c(図2参照)を設けた部分も貫通孔41(図2参照)を貫通する成形樹脂によってケース10内に固定されている。そして図3,図4に示すように、フレキシブル基板30の面実装用パターン33bを設けた側の部分38は、ケース10のオス型コネクタ挿入部11を設けた側面に対向する側面から外部に露出すべく突出している。
次に弾発部材50は、弾性を有する金属板を加工することで構成され、図3,図4に示すように、長尺の略矩形状の基部51の長い側の一辺から多数本のアーム状の弾発片53を突出し、弾発片53を上方向に180°折り曲げてその先端に上方向に突出する弾発部55を形成している。また弾発片53を突出している辺の両端には基板固定部57を突出して設けている。なお基板固定部57は下記するケース10下面に取り付く面実装用パターン33bと同じ水平面(面実装面)に位置すべく弾発部材50の基部51の面より所定寸法下方向に一旦折り曲げられ、更にその先端部は下記する回路基板90上の固定用パターン95と接続すべく所定の平面を有する形状となっている。また弾発部材50の短い側の両辺には、舌片状の係止片59が突出しており、その根元部分を90°折り曲げることで上向きとしている。また弾発部材50の弾発片53を突出した辺の反対側の辺からは、三つの係止部61を突出し、その根元部分を90°折り曲げることで上向きとしている。
そして前記フレキシブル基板30をインサート成形したケース10と弾発部材50とによって面実装型コネクタ1−1を組み立てるには、図3,図4において、ケース10のオス型コネクタ挿入部11を設けた側面に対向する側の側面のほぼ中央から突出するフレキシブル基板30の面実装用パターン33bを設けた側の部分38を、ケース10の外面に沿うように下記する側面基板載置部46,下面基板載置部45上に沿って折り曲げる(折り返す)。それと同時に折り曲げたフレキシブル基板30の先端の固定部37を弾発部材50の基部51と弾発片53の間に挿入した状態で、フレキシブル基板30の各固定孔39に弾発部材50の各係止部61を挿入して係止し、さらにこの弾発部材50をケース10の弾発部材収納部15に挿入し、弾発部材50の両係止片59をケース10の両係合溝47に挿入してその先端を折り曲げてケース10の係合凹部49に当接する。これによって面実装型コネクタ1−1が完成する。完成した面実装型コネクタ1−1は、図1に示すように、弾発部材50の各弾発部55がフレキシブル基板30の各オス型コネクタ接続用パターン33aを形成した部分をその背面側から弾発してこれを少し押し上げ、オス型コネクタ挿入部11内の上面とフレキシブル基板30上面との隙間tが、下記する端子部77の厚みTより小さい寸法(t<T)になっている。
図5,図6は以上のようにして完成した面実装型コネクタ1−1にオス型コネクタ70を接続する状態を示す図であり、図5は面実装型コネクタ1−1を取り付ける回路基板90を含めて上側から見た斜視図、図6は下側から見た斜視図である。図6から分かるように、フレキシブル基板30に形成した面実装用パターン33bは、ケース10の側面の側面基板載置部46(オス型コネクタ挿入部11を設けた側面に対向する側の側面、図1参照)上と、ケース10の下面基板載置部45(図1,図4参照)上に露出しており、これによってこの面実装型コネクタ1−1はその下面又は側面を回路基板90上に当接した状態で面実装可能となっている。同時に弾発部材50に設けた基板固定部57も、ケース10の下面に位置している。
一方図5,図6に示すように、オス型コネクタ70は、可撓性を有する合成樹脂(例えばポリエチレンテレフタレートやポリフェニレンスルフイドやポリイミド)製で長方形状(帯状)のフイルム71の一方の面の端部に複数本の端子パターン73を並列に引出し、その裏面に合成樹脂製の補強板75を貼り付けて端子部77を構成している。端子部77以外のパターン上には絶縁層79が設けられている。端子パターン73の本数及びピッチは、前記フレキシブル基板30のオス型コネクタ接続用パターン33a(図2参照)の本数及びピッチと同一である。また端子部77の幅寸法は、オス型コネクタ挿入部11の幅寸法とほぼ同一である。また端子部77の厚み寸法Tは、この端子部77がオス型コネクタ挿入部11内にスライド自在に挿入できるように、オス型コネクタ挿入部11内部の上下方向の隙間寸法T1(図1参照)とほぼ同一寸法(T1≒T)となっている。
回路基板90は硬質基板91の表面に並列に配置した複数本の接続パターン93と、接続パターン93の両側に配置した固定用パターン95とを設けて構成されている。接続パターン93と固定用パターン95は、何れも銅箔等の金属箔を所望形状にエッチングすることで形成されている。各接続パターン93は前記各面実装用パターン33bに対応する位置に設けられ、また各固定用パターン95は前記各基板固定部57に対応する位置に設けられている。また接続パターン93と固定用パターン95の上面にはそれぞれリフロー用の半田が付けられている。
そして面実装型コネクタ1−1は、回路基板90上に直接載置されて、ケース10の下面に位置する各面実装用パターン33bを半田を付けた各接続パターン93に当接し、同時に各基板固定部57を半田を付けた各固定用パターン95に当接し、その状態でリフロー等によって、前記各当接部分をそれぞれ直接接続固定する。基板固定部57と固定用パターン95間を固定するのは、面実装用パターン33bと接続パターン93間の固定だけでは機械的固定力が十分でないことを考慮して補強するためであり、場合によっては必ずしも必要ない。
そして回路基板90に面実装した面実装型コネクタ1−1のオス型コネクタ挿入部11に、オス型コネクタ70の端子部77を挿入する。ここで前述のようにケース10内にインサート成形したフレキシブル基板30の各オス型コネクタ接続用パターン33aを形成した部分は弾発部材50の各弾発部55によってその背面側から弾発され、オス型コネクタ挿入部11内の上面とフレキシブル基板30上面との隙間tが、前述のとおり厚みTより小さく設定(t<T)しているため、挿入したオス型コネクタ70の各端子パターン73と、図2に示す各オス型コネクタ接続用パターン33aとは弾発部材50の各弾発部55によって圧接され、これによって両パターン33a,73間の接続が確実に行える。
図7は本発明の第二の実施の形態にかかる面実装型コネクタ1−2を示す断面図、図8はフレキシブル基板30の平面図、図9は面実装型コネクタ1−2を下側から見たときの分解斜視図、図10は完成した面実装型コネクタ1−2にオス型コネクタ70を接続する状態を下側から見た斜視図である。この実施の形態において、前記実施の形態と同一又は相当部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。この面実装型コネクタ1−2も、オス型コネクタ挿入部11を設けたケース10と、ケース10内にインサート成形されるフレキシブル基板30と、フレキシブル基板30をその背面側から弾発する弾発部材50とを具備して構成されている点は上記実施の形態と同一である。この面実装型コネクタ1−2において前記面実装型コネクタ1−1と相違する点は、フレキシブル基板30の固定部37を設けず、その代わりにケース10の外面に露出したフレキシブル基板30の面実装用パターン33bを設けた部分(フレキシブル基板30をケース10の外面に沿うように折り曲げた部分)38を直接ケース10の側面基板載置部46と下面基板載置部45の表面に固着した点のみである。
即ち図8に示すフレキシブル基板30において図2に示すフレキシブル基板30と相違する点は、図2に示すフレキシブル基板30において設けていた固定部37の部分を削除した点である。従って三つのスリット状の固定孔39も削除されている。そして金型によってケース10を成形する際に、図7,図9に示すように、フレキシブル基板30のケース10の外面に沿うように折り曲げた部分(折り返した部分)、即ちフレキシブル基板30の面実装用パターン33bを設けた部分38を直接ケース10の側面基板載置部46と下面基板載置部45の表面に(つまりケース10の側面から下面に渡って)固着している。なおこの面実装型コネクタ1−2には残しているが、弾発部材50の係止部61と、ケース10の係止部挿入穴19とは不要である。そして図10に示すように、弾発部材50をケース10の弾発部材収納部15に挿入し、弾発部材50の両係止片59をケース10の両係合溝47に挿入してその先端を折り曲げてケース10上面の係合凹部49に当接すれば、面実装型コネクタ1−2が完成する。この面実装型コネクタ1−2によれば、弾発部材50によってフレキシブル基板30を係止する必要がないので、さらに面実装型コネクタ1−2の組み立てが容易になる。
図11は本発明の第三の実施の形態にかかる面実装型コネクタ1−3を下側から見たときの分解斜視図、図12は完成した面実装型コネクタ1−3にオス型コネクタ70を接続する状態を示す斜視図である。この実施の形態において、前記実施の形態と同一又は相当部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。即ちこの面実装型コネクタ1−3も、オス型コネクタ挿入部11を設けたケース10と、ケース10内にインサート成形されるフレキシブル基板30と、フレキシブル基板30をその背面側から弾発する弾発部材50とを具備して構成されている点は同一である。この面実装型コネクタ1−3において前記面実装型コネクタ1−1と相違する点は、弾発部材50に設ける基板固定部57を、この面実装型コネクタ1−3を回路基板90(図12参照)上に面実装した際に、ケース10のオス型コネクタ挿入部11が上方向を向くように、形成した点のみである。つまり弾発部材50の両端から、下方向(オス型コネクタ70をオス型コネクタ挿入部11に挿入する方向)に基板固定部57を所定の長さで設けたことである。
弾発部材50をこのように構成すれば、図12に示すように、基板固定部57はケース10の側面(オス型コネクタ挿入部11を設けた側面に対向する側の側面)と同一面に位置する。このため面実装型コネクタ1−3を立てた状態で回路基板90に取り付ければ、ケース10の側面基板載置部46上に露出している面実装用パターン33bが回路基板90の予め半田が付けられている接続パターン93に当接し、同時に各基板固定部57が予め半田を付けた各固定用パターン95に当接し、その状態でリフロー等によって各当接部分をそれぞれ直接接続固定する。
図13(a),(b),(c)はそれぞれ本発明の第四,第五,第六の実施の形態にかかる面実装型コネクタ1−4,1−5,1−6を示す断面図である。これらの実施の形態において、前記実施の形態と同一又は相当部分には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。面実装型コネクタ1−4において、図7に示す面実装型コネクタ1−2と相違する点は、弾発部材50を省略し、その部分のケース10に設けていた弾発部挿入部17をなくしてこの部分を樹脂で埋め、一方オス型コネクタ挿入部11の内部の上面に、突起部21を設けることで、その幅を狭くした狭部23を形成した点である。狭部23における隙間tの寸法は、オス型コネクタ70の端子部77の厚み寸法Tよりも小さい寸法となっている(t<T)。このように構成した面実装型コネクタ1−4のオス型コネクタ挿入部11内に図5,図6に示すようなオス型コネクタ70の端子部77を挿入すれば、端子部77は狭部23においてケース10を構成する成形樹脂を押し広げるので、その反作用で強く挟持され、これによってオス型コネクタ70の各端子パターン73とオス型コネクタ接続用パターン33aとが確実に圧接接続される。
面実装型コネクタ1−5も面実装型コネクタ1−4と同様に、弾発部材50を省略し、その部分のケース10に設けていた弾発部挿入部17をなくしてこの部分を樹脂で埋め、一方オス型コネクタ挿入部11の内部を奥に向かって徐々にその上下幅を狭くしていくように構成することで、その幅を狭くした狭部23を形成して構成されている。即ちこのオス型コネクタ挿入部11内部の上下方向の隙間寸法は、入口部分はオス型コネクタ70の端子部77の厚み寸法Tよりも少し大きい寸法Aであるが、奥に行くに従って狭くなり、最も奥の部分における上下方向の隙間寸法aは端子部77の厚み寸法Tよりも小さくなっている(a<T<A)。このように構成した面実装型コネクタ1−5のオス型コネクタ挿入部11内に図5,図6に示すようなオス型コネクタ70の端子部77を挿入すれば、端子部77は奥に向かって狭くなる狭部23においてケース10を構成する成形樹脂を押し広げるので、その反作用で強く挟持され、これによってオス型コネクタ70の各端子パターン73とオス型コネクタ接続用パターン33aとが確実に圧接接続される。
これら面実装型コネクタ1−4,1−5によれば、弾発部材50が省略でき、部品点数が削減できるばかりか、製造も簡単になる。
面実装型コネクタ1−6において、図7に示す面実装型コネクタ1−2と相違する点は、面実装型コネクタ1−2の上下を逆転し、面実装型コネクタ1−2の上面を下面に、面実装型コネクタ1−2の下面を上面となる構成をとることにより、これによって弾発部材50をケース10の上面側に設置した点である。これにより、弾発部材50によるフレキシブル基板30の弾発方向は、この面実装型コネクタ1−6の面実装面に向く方向となる。そして面実装型コネクタ1−2の上面に相当する面実装型コネクタ1−6の下面からフレキシブル基板30の面実装用パターン33b側の部分38を直接露出するように突出させた後、ケース10の下面基板載置部45に沿うように折り曲げてさらにその先端側をケース10の側面基板載置部46に沿わせ、これによってケース10の下面基板載置部45と側面基板載置部46の両者に面実装用パターン33bが露出するようにしている。また弾発部材50に一体に設けた基板固定部57もケース10の下面と同一面となるように引き出されている。
図15は本発明の第七の実施の形態にかかる面実装型コネクタ1−7を示す断面図である。この実施の形態において、前記実施の形態と同一又は相当部分には同一符号を付す。この面実装型コネクタ1−7も、オス型コネクタ挿入部11を設けたケース10と、ケース10内にインサート成形されるフレキシブル基板30と、フレキシブル基板30をその背面側から弾発する弾発部材50とを具備しており、さらにこの面実装型コネクタ1−7においては、弾発部材50をその背面側から押えて補強する補強部材100を具備して構成されている。
図16はフレキシブル基板30を示す図であり、図16(a)は平面図、図16(b)は側断面図(図16(a)のD−D断面図)である。但し図16(b)における各部材の厚みは図示の都合上、実際よりもかなり厚く示している。同図に示すようにこのフレキシブル基板30は、金属箔(例えば銅箔)製の複数本並列に配置された導体パターン33上に、合成樹脂(例えばポリイミドやポリフェニレンスルフイド)を印刷又は塗布して形成される可撓性を有するフイルム31を配置して構成され、フイルム31は接続用パターンフイルム31−1と面実装用パターンフイルム31−2とからなっている。具体的に言えば、導体パターン33は、オス型コネクタ接続用パターン33aと連結パターン33cと面実装用パターン33bの部分を有し、オス型コネクタ接続用パターン33a及び連結パターン33cの部分の上面を覆った上でさらにオス型コネクタ接続用パターン33a側の端部から寸法L1分外方まで接続用パターンフイルム31−1を配置し、一方面実装用パターン33bの部分の下面を覆った上でさらに面実装用パターン33bの端部から寸法L2分外方まで面実装用パターンフイルム31−2を配置して構成されている。即ち面実装用パターン33bは、面実装領域のためその上面側を露出させており、またオス型コネクタ接続用パターン33a及び連結パターン33cは、弾発部材50がこれを押圧する領域のためその上面側に接続用パターンフイルム31−1を位置させている。このためフイルム31は連結パターン33cと面実装用パターン33bの境界部分で導体パターン33上に配置するフイルム31の上下配置を変えている。なお境界部分での接続用パターンフイルム31−1,面実装用パターンフイルム31−2の配置については、導体パターン33が上下面で一部露出するように、接続用パターンフイルム31−1,面実装用パターンフイルム31−2の対向している端面が導体パターン33の長手方向(図16のA方向)にて間隔を有しても良いし、重なり合ってもかまわない。なお導体パターン33の厚みは例えば21μm、両フイルム31−1,31−2の厚みは例えば20μmである。
一方フレキシブル基板30の接続用パターンフイルム31−1側の端部は、ケース10を構成する成形樹脂内に挿入して固定される固定部35となっており、またフレキシブル基板30の面実装用パターンフイルム31−2側の端部もケース10を構成する成形樹脂内に挿入して固定される固定部37となっている。固定部35には、三つの円形の固定孔39が設けられている。また接続用パターンフイルム31−1の各導体パターン33の間の部分には、ケース10を構成する成形樹脂を通すことでケース10内にフレキシブル基板30を固定するための貫通孔41が形成され、また導体パターン33全体の両外側部分には、フレキシブル基板30をケース10内にインサート成形する際にその位置決めを行なうための貫通孔43が形成されている。
このフレキシブル基板30を製造するには、まず銅箔をエッチングする等して複数本の線状の薄い可撓性を有する導体パターン33を形成する。次に前記複数本の並列に配置した導体パターン33のオス型コネクタ接続用パターン33a及び連結パターン33cの一方の面と、面実装用パターン33bの他方の面とに、それぞれ絶縁材からなるペースト状の合成樹脂を平面状に印刷・硬化することによって可撓性を有する接続用パターンフイルム31−1と面実装用パターンフイルム31−2とを互い違いに形成する。このとき導体パターン33の両面の内のそれぞれ接続用パターンフイルム31−1と面実装用パターンフイルム31−2を形成していない部分が導体パターン33の露出面となり、接続用パターンフイルム31−1と面実装用パターンフイルム31−2のそれぞれの面上にそれぞれオス型コネクタ接続用パターン33aと面実装用パターン33bとが露出するように形成される。これにより連結パターン33cと面実装用パターン33bの導体パターン33の長手方向と直交する方向(図16ではB方向)に沿った境界部分を境にしてフイルム31上の導体パターン33が上下入れ替わったことになる。つまりこのフレキシブル基板30においては、スルーホールなどの手段を用いることなくフイルム31の両面にオス型コネクタ接続用パターン33aと面実装用パターン33bとをそれぞれ設けることができる。
図17は面実装型コネクタ1−7の分解斜視図である。同図及び図15に示すように、ケース10は、合成樹脂を略直方体形状に成形して構成されており、一方の長尺な側面には下記するオス型コネクタ70(図18参照)をスライド挿入する寸法形状のスリット状の穴からなるオス型コネクタ挿入部11が設けられ、またその上面には平面状の弾発部材収納部15が設けられている。弾発部材収納部15内には、下記する弾発部材50の各弾発片53を挿入する凹状の弾発部挿入部17が設けられている。この弾発部挿入部17はオス型コネクタ挿入部11に連通している(実際は両者間にフレキシブル基板30が介在しているので連通しない)。この実施の形態における弾発部挿入部17は前記図4に示すスリット状の弾発部挿入部17のスリットをなくしてその全体を1つの穴としたものである。なお図15に示すように、フレキシブル基板30の面実装用パターン33bを露出する側のケース10の側面の辺を側面基板載置部46、下面の辺を下面基板載置部45としている点は、上記各実施の形態と同様である。またケース10の短い方の両側面には、それぞれ上下方向に向かう二本ずつの係合溝47,48(図17では一方側のみ示す)が設けられ、また係合溝47に連なってケース10の下面には係合凹部49(図15,図17参照)が設けられている。係合凹部49の形状は、図3に示す係合凹部49と略同一形状である。なおケース10の上面の前記フレキシブル基板30の二つの貫通孔43に対応する位置には、フレキシブル基板30をケース10内にインサート成形する際にその位置決めを行なうために挿入するピンによって形成される穴401,401が設けられている。
そして前述のようにケース10内にはフレキシブル基板30がインサート成形されているが、その際図15に示すように、フレキシブル基板30のオス型コネクタ接続用パターン33aを形成した部分をオス型コネクタ挿入部11内の上部に設置することでオス型コネクタ接続用パターン33aをオス型コネクタ挿入部11内上面側に露出する。またフレキシブル基板30の固定部35はケース10を構成する成形樹脂内に入り込ませることで固定されている。またフレキシブル基板30の面実装用パターン33bを設けた側の部分38は、ケース10のオス型コネクタ挿入部11の開口を設けた側面に対向する側面から外部に露出し、側面基板載置部46と下面基板載置部45上に沿って折り曲げられた後、その先端側の固定部37をケース10を構成する成形樹脂内に入り込ませることで固定している。
弾発部材50は弾性を有する金属板によって構成され、図17に示すように、略矩形状で平板状の基部51の長い方の両側辺の内の一辺から多数本のアーム状の弾発片53を突出し、弾発片53を下方向に180°折り曲げてその先端に下方向に突出する弾発部55(図15参照)を形成している。また前記ケース10に設けた穴401,401に対向する位置にはそれぞれ位置決め穴56,56が設けられている。
補強部材100は金属板によって構成され、図17に示すように、略矩形状で平板状の押え部101の短い方の両側辺から下方向に向かって係止片103と基板固定部105とを突出している。基板固定部105の下端部は直角に外方に向けて折り曲げられその下面が下記するケース10下面に取り付く面実装用パターン33bと同じ水平面(面実装面)に位置するようにしている。また押え部101の前記ケース10の穴401,401に対向する位置には位置決め穴107,107が設けられている。
そして面実装型コネクタ1−7を組み立てるには、図17において、フレキシブル基板30をインサート成形したケース10の弾発部材収納部15上に弾発部材50の基部51を載置し、この弾発部材50の上に補強部材100を載置し、そのとき補強部材100の係止片103と基板固定部105とをそれぞれケース10の係合溝47と係合溝48に挿入し、係止片103の下端部をケース10の下面側に折り曲げてその係合凹部49内に収納する。なおケース10に設けた穴401と弾発部材50に設けた位置決め穴56と補強部材100に設けた位置決め穴107はこれらの組み立ての際の位置決めに利用する。これによって面実装型コネクタ1−7が完成する。完成した面実装型コネクタ1−7は、図15に示すように、弾発部材50の各弾発部55がフレキシブル基板30の各オス型コネクタ接続用パターン33aを形成した部分をその背面側から弾発してこれを少し押し下げ、オス型コネクタ挿入部11内の下面とフレキシブル基板30との隙間tが、下記するオス型コネクタ70の端子部77の厚みTより小さい寸法(t<T)となっている。また図15から分かるように、フレキシブル基板30に形成した面実装用パターン33bは、ケース10の側面の側面基板載置部46上と、下面基板載置部45上に露出しており、これによってこの面実装型コネクタ1−7もその下面又は側面を面実装可能となっている。
図18は以上のようにして完成した面実装型コネクタ1−7にオス型コネクタ70を接続する状態を、この面実装型コネクタ1−7を取り付ける回路基板90と共に示す図である。同図に示すオス型コネクタ70も、可撓性を有する合成樹脂(例えばポリエチレンテレフタレートやポリフェニレンスルフイドやポリイミド)製で長方形状のフイルム71の一方の面の端部に複数本の端子パターン73を並列に引出し、その裏面に合成樹脂(紙等の他の材質でも良い)製の補強板75を貼り付けて端子部77を形成して構成されている。端子部77以外のパターン上には絶縁層79が設けられている。端子パターン73の本数及びピッチは、前記フレキシブル基板30のオス型コネクタ接続用パターン33aの本数及びピッチと同一である。また端子部77の幅寸法は、オス型コネクタ挿入部11の幅寸法とほぼ同一である。また端子部77の厚み寸法Tは、この端子部77がオス型コネクタ挿入部11内にスライド自在に挿入できるように、オス型コネクタ挿入部11内部の上下方向の隙間寸法T1(図15参照)とほぼ同一寸法(T1≒T)となっている。
回路基板90は硬質基板91の表面に並列に配置した複数本の接続パターン93と、接続パターン93の両側に配置した固定用パターン95とを設けて構成されている。各接続パターン93は前記各面実装用パターン33bに対応する位置に設けられている。なお接続パターン93と固定用パターン95の上面にはそれぞれリフロー用の半田が付けられている。
そして面実装型コネクタ1−7はその下面(面実装面1a)が回路基板90上に直接載置され、その際ケース10の下面に位置する面実装用パターン33bが各接続パターン93に当接され、同時に各基板固定部105が各固定用パターン95に当接され、その状態でリフロー等によって、前記各当接部分を直接接続固定する。基板固定部105と固定用パターン95間を固定するのは、補強のためであり、場合によっては必ずしも必要ない。
そして回路基板90に面実装した面実装型コネクタ1−7のオス型コネクタ挿入部11に、オス型コネクタ70の端子部77を挿入する。ここで前述のようにケース10内にインサート成形したフレキシブル基板30の各オス型コネクタ接続用パターン33aを形成した部分は弾発部材50の各弾発部55によってその背面側から弾発され、オス型コネクタ挿入部11内の下面とフレキシブル基板30との隙間tが厚みTより小さく設定(t<T)されているため、挿入したオス型コネクタ70の各端子パターン73と、各オス型コネクタ接続用パターン33aとは弾発部材50の各弾発部55によって圧接され、両パターン33a,73間の接続は確実になる。
ところでこの実施の形態にかかる面実装型コネクタ1−7の場合、前記面実装型コネクタ1−1と相違し、弾発部材50によるフレキシブル基板30の弾発方向を、この面実装型コネクタ1−7の面実装を行う側の面(面実装面1a)に向く方向となるようにしている。即ち面実装型コネクタ1−7の上側からその下側に位置するフレキシブル基板30の背面を下方向に向かって弾発している。このように構成したのは、このように構成することによって弾発部材50がケース10の上側に設置されることとなり、従って弾発部材50が面実装型コネクタ1−7の面実装面1aから離れるので、回路基板90の面実装型コネクタ1−7が対向する面90Aの部分に各種回路パターン等が形成されていても、これら回路パターンに弾発部材50が接近又は接触してショートすることを確実に防止できるからである。図1に示す面実装型コネクタ1−1の場合、この面実装型コネクタ1−1を面実装する回路基板90に接近して弾発部材50が位置することとなるので、回路基板90の弾発部材50に対向する面に各種回路パターンを設けるのを避けたり、また別途弾発部材50の表面やこれに対向する回路基板90の各種回路パターンの表面に絶縁処理を施す必要が生じる恐れがある。また弾発部材50を回路基板90から離すために面実装型コネクタ1−1の厚み寸法が大きくなってしまう恐れもある。これに対してこの面実装型コネクタ1−7によればこれらの問題を全て解消できる。
またこの面実装型コネクタ1−7の場合、前記面実装型コネクタ1−1と相違し、弾発部材50の基部51を、その背面側に設置した補強部材100の押え部101によって押えることで補強している。これは以下の理由による。即ち面実装型コネクタ1−1の場合、弾発部材50はその基部51の両端に設けた係止片59の部分がケース10に固定されるので、基部51の長さが長いような場合、多数ある弾発片53の内の両端近傍の弾発片53によるフレキシブル基板30の弾発力は強く保てるが、中央付近の弾発片53によるフレキシブル基板30の弾発力は基部51が撓むことで弱くなる恐れがある。特にこの弾発部材50は弾性を有する金属によって構成されるため、撓み易いので、上記問題を生じ易い。そこでこの面実装型コネクタ1−7においては、弾発部材50の基部51をその背面側に設置した剛性の高い補強部材100によって押えることでこれを補強し、多数ある弾発片53によるフレキシブル基板30の弾発力を均一に強くなるようにしているのである。
またこの面実装型コネクタ1−7の場合、前記面実装型コネクタ1−1と相違し、弾発部材50にではなく補強部材100に基板固定部105を設けたが、このように構成したのは、以下の理由による。即ち何れの部材に基板固定部57又は105を設けても、面実装型コネクタ1−1又は1−7の回路基板90への固定が確実になる点では同一である。しかしながらバネ弾性を要求される剛性の低い弾性金属板製の弾発部材50よりもバネ弾性を要求されない剛性の高い材質からなる補強部材100の方が、基板固定部105の加工が容易であるばかりでなく、弾発部材50に回路基板90への固定による力のストレス等を直接かけることがなくなるからである。
なお上記フレキシブル基板30においては、その上下面にオス型コネクタ接続用パターン33aと面実装用パターン33bとを露出させるために金属箔製の導体パターン33の両面に接続用パターンフイルム31−1と面実装用パターンフイルム31−2を印刷して形成したが、その代わりに金属箔の両面に可撓性を有する合成樹脂製の接続用パターンフイルム31−1と面実装用パターンフイルム31−2を貼り付けてフレキシブル基板30を構成しても良く、また一枚の合成樹脂製のフイルム31の両面に導体パターン33を印刷形成して両者をスルーホールで接続してフレキシブル基板30を構成しても良い。
また補強部材100の形状及び基板固定部105の形状を変形することで、前記図11,図12に示すように、面実装型コネクタ1−7をそのオス型コネクタ挿入部11が上方向を向くように回路基板90に設置するようにしても良い。この場合、ケース10の側面基板載置部46上に露出している面実装用パターン33bが回路基板90の接続パターン93に接続固定されることとなる。また補強部材100は図1に示すような、ケース10の下面側に弾発部材50を設置する構造の面実装型コネクタ1−1の前記弾発部材50を補強するのに用いても良い。
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば前記実施の形態では回路基板90として硬質基板を用いたが、フレキシブル基板を用いても良い。また上記実施の形態ではケース10内にフレキシブル基板30をインサート成形したが、フレキシブル基板30をケース10にインサート成形しないで、他の固定手段でケース10にフレキシブル基板30を張設するなどして取り付けても良い。また上記実施の形態では面実装型コネクタと回路基板は半田によって固定したが、その他の低融点金属や導電性接着剤によって固定しても良い。また弾発部材50はゴム等からなる弾性体で構成しても良い。またオス型コネクタ70は、補強板75を伴った可撓性の合成樹脂フイルムにて構成したが、補強板75を伴わない積層樹脂基板からなる硬質基板によって構成してもかまわない。