JP2005055448A - 分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 焼却炉排ガス中のダイオキシンを簡便に測定できるシステムを提供する。
【解決手段】 排ガス中のダイオキシンを充填剤に捕集した後、充填剤から抽出した溶液を大気圧化学イオン化質量分析計により分析し、ダイオキシン総量を計測する。
【選択図】 図1
【解決手段】 排ガス中のダイオキシンを充填剤に捕集した後、充填剤から抽出した溶液を大気圧化学イオン化質量分析計により分析し、ダイオキシン総量を計測する。
【選択図】 図1
Description
本発明は分析化学分野に属し、特にゴミ焼却炉排ガスや土壌などに含まれるダイオキシン類の計測に適した分析装置に関する。
ダイオキシン汚染が社会問題化し、様々な取り組みが行なわれている。特に、ダイオキシン類の主な発生源がゴミ焼却炉であるため、焼却炉排ガスに対する規制が強化されている。焼却炉排ガス中のダイオキシン計測において、従来は複雑な前処置を行なった後、高分解能のガスクロマトグラフ・質量分析計(Gas Chromatograph/Mass Spectrometer、以下ではGC/MSと記載する)を用いて異性体別に定量分析を行なう。これは、ダイオキシン類の毒性が異性体により大きく異なるためである。定量結果は、最も毒性の強い2,3,7,8-tetraclorodibenzo-p-dioxinの重量に換算されて毒性等量(Toxicity Equivalent Quantity、以下ではTEQと記載する)として表示される。この方法では、正確な測定が可能である反面、分析に手間がかかり、結果が出るまでに1ヵ月近くを要するのが現状である。1件あたりの分析費用も高額である。
従来技術において複雑な前処理が必要になるのは、質量分析計のイオン源として電子衝撃(Electron Impact、以下ではEIと記載する)を利用するためである。EIは試料物質に電子線を照射し、電子の衝撃によりイオンを生成する方法であり、極めて汎用性の高いイオン化法である。反面、分子の分解を引き起こしやすく、複数の物質が同時にイオン源に到達すると質量スペクトルが複雑になりすぎて測定誤差を生じる恐れがある。このため、不純物を除去し、各成分別に分離するという煩雑な操作が必要であった。
以上の様に、ダイオキシンの精密分析には多大な労力とコストを要するため、頻繁に分析を行うのは困難である。このため、ゴミ焼却炉の排気ガスは、年に2回分析される。その際、ガスのサンプリングは1分析当り4時間行なわれる。しかしながら、排ガス中に含まれるダイオキシン量は燃焼状態に大きく依存するため、年に2回の分析だけでは必ずしも焼却炉から長期間に渡って放出されるダイオキシン量を把握できるとは限らない。
より簡便にダイオキシン量を予測するために、ダイオキシン量と相関がある他の指標、例えばダイオキシン前駆体と考えられているクロロフェノールやクロロベンゼンの濃度を高速で計測しようとする取り組みが行なわれている。ダイオキシン前駆体計測により、排ガスに含まれているダイオキシン量を予測し、燃焼制御にフィードバックすることにより発生量を低減させようとする試みである。しかしながら、ダイオキシン前駆体はダイオキシン類に比べて排ガス中に103倍から104倍程度含まれているため、ダイオキシン前駆体の濃度とダイオキシン類の濃度との間の相関は十分に高いとは言えない。
本発明の目的は、TEQと相関の高いダイオキシン総量あるいはダイオキシン前駆体を簡便に計測することにより、焼却炉から環境中に放出されるダイオキシン量を長期間に渡って監視できるシステムを提供することにある。本発明の他の目的は、土壌中のダイオキシン量を簡便に計測することのできるシステムを提供することにある。
本発明によると、分析装置は、試料溶液が送流され末端から噴霧するパイプと、噴霧により生成された液滴を加熱により気化する気化部と、気化された試料をコロナ放電によりイオン化するイオン化部と、前記イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部と、前記イオン化部に流入するガス流量を制御するため前記気化部にガスを供給するガス供給管と、前記パイプに導入される前記試料溶液の流量に応じて、前記ガス供給管から前記イオン化部に供給されるガス流量を制御する制御装置とを有する。
本発明によれば、ダイオキシン類の高効率イオン化が可能となり、結果としてダイオキシン総量を簡便に計測することが可能となる。これにより、焼却炉から環境中に放出されるダイオキシン量を長期間に渡って監視できるシステムの構築が容易になる。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。以下の図において、同様の機能を有する部分には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾダイオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)およびコプラナーPCB(Co-PCB)の総称である。これらの化合物は、塩素数およびその置換位置の違いにより多数の同族体、異性体が存在する。各異性体間の毒性は大きく異なるため、最も毒性の高い2,3,7,8-T4CDD(4塩化ダイオキシン)の毒性を1として、各異性体の相対毒性、すなわち毒性等価係数(TEF)が表1のように定められている。
サンプル中のダイオキシン毒性等価量(TEQ)は、各異性体濃度にTEFを乗じて求めることができる。排ガス、水、土壌中のダイオキシン類濃度の排出規制はこのTEQで基準が設けられている。それに対し、ダイオキシン総量とは各異性体の濃度を単純に足して求めたものである。排ガス中のデータは様々な文献に紹介されているが、総量とTEQとの関係を纏めた結果を図15に示す。横軸は4塩化以上の塩素数のPCDD、PCDFの濃度の総和、縦軸は各異性体濃度にTEFを乗じTEQに換算した濃度を示している。相関係数が0.9239と良好な関係にあり、ダイオキシン総量を計測することで精度よくTEQを推計することができる。
図1は、本発明に関るシステムの全体構成を示す図である。焼却炉1において、ゴミ2の燃焼によって生じる排ガスは煙道3を介して煙突4より排出される。煙道3又は煙突4より排ガスを採取し、捕集部5に導入する。捕集部5には吸着剤が配置されており、ダイオキシンなどの排ガス成分は吸着剤に吸着される。次に、前処理部6により、吸着剤に吸着された成分の抽出及び濃縮が行なわれる。前処理部6における抽出や濃縮には有機溶剤が用いられる。ダイオキシン類がとけ込んだ溶液は質量分析計7に導入されて分析される。また、煙道3又は煙突4より採取された排ガスは、流路95を介し、捕集部5及び前処理部6を迂回して直接、質量分析計7に導入して分析することもできる。
質量分析計7で得られたデータは焼却炉燃焼制御室90に送り、制御室内に表示するようにしても良い。その場合、制御室90の運転員は、得られたデータを参照しながら焼却炉の燃焼制御を行うことができる。また、質量分析計7により計測されたダイオキシン量が、予め設定しておいた値よりも高い値となった場合には、制御室90内に、注意を喚起するための警報を発報するようにしてもよい。これにより制御室90の運転員はダイオキシン類の発生がより少なくなるように焼却炉1の運転条件を変更することができる。その結果、焼却炉によるダイオキシン類の生成が抑えられ、環境中に放出されるダイオキシン量を削減できる。
前処理部の構成を図2に示す。前処理部は、脱着部63、濃縮部64、試料移送部65から構成されている。脱着部63では煙道から排ガス中のダイオキシン類を捕集した吸着剤からダイオキシン類を溶出させる。まず、吸着剤をカラム66にセットする。この際、吸着剤がカラム66から流出して配管等を詰まらせるのを避けるため、カラム66内の底部にはフィルタを取りつけておく。ポンプ67aにより抽出溶媒槽68から抽出のための有機溶媒を送って溶媒をカラム66内に充満させる。次に、三方バルブ69を切り替え、バルブ70aを開けて高圧ボンベ71からの窒素ガスによりカラム内を加圧するとともに、ヒーター72aによりカラム66の温度を上げる。図示されてはいないが、カラム内には温度計等、温度計測手段が備えられている。80aは高圧ボンベ71から三方バルブ69へのガス流量を制御する流量計である。カラム66を高温・高圧にすることにより、吸着剤中に捕集されているダイオキシン類を抽出溶媒中に溶かし出す。カラム66には、液面センサ73aと圧カセンサ74が設けられ、カラム66内の有機溶媒の量や圧力がモニタされる。70bは、液面センサ73aや圧力センサ74を導通させている配管の終端となるバルブである。一定時間の抽出が行なわれた後、ダイオキシン類を含む溶液をバルブ70cを介して濃縮部64に送る。
濃縮部64では、ダイオキシン類を含む溶液を濃縮槽75にて所定の容量まで濃縮する。濃縮槽75はヒーター72bにより加熱される。溶液中の溶媒は熱により気化し、蒸気は加熱された導管76を介して冷却器77に送られる。冷却器77には冷却水槽78からの冷却水がポンプ67bにより送られる。冷却器77により冷却された蒸気は液化し、廃液瓶79に回収される。
ただし、溶液を加熱するだけでは蒸発に時間がかかり、濃縮に要する時間が長くなるという課題が発生する。そこで、高圧ボンベ71からの窒素ガスをバルブ70d、流量計80bを介して毎分200マイクロリットル程度で導入すると、約3時間で100倍程度の濃縮が可能である。また、導管76の途中に吸気ポンプ81を設け、濃縮槽75の圧力を下げる方法も有効である。70eは冷却器への導通を開閉するためのバルブである。大気庄に比して200トール程度減圧にすると、30分程度で濃縮することが可能であった。
なお、脱着部63、濃縮部64、試料移送部65は、信号ライン89a、89b、89cを介して制御装置88により制御されている。前述した液面センサ73a、73bや流量計80a、80b、温度計等での計測結果は制御装置88へフィードバックされ、制御装置はこれに基づいて脱着部63、濃縮部64、試料移送部65の制御を行なう。例えば、バルブ70a〜70eの開閉、カラム66、濃縮槽75の温度制御(ヒーター72a、72bへの電流のon/off)、ポンプ67a、67bの作動、停止、試料移送部65のバルブの開閉等の制御が制御装置88によって行われる。また、制御装置88は信号ライン89dを介して質量分析部82とも信号のやりとりを行う。
前処理部の処理手順を纏めると図3の様になる。ダイオキシン類を採取した吸着剤をカラムにセットし(工程101)、前処理部をスタートさせると、カラム内に抽出用の溶媒が充填され(工程102)、カラムの加熱・加圧によりダイオキシン類を抽出する(工程103)。次に、抽出されたダイオキシン類を含む試料を濃縮槽に移送する(工程104)。濃縮槽と導管が加熱され(工程105)、濃縮槽では一定容積まで濃縮が行なわれる。濃縮された試料溶液は吸引されてサンプルループに導入され(工程106)、有機溶媒と共に質量分析計に送液され分析される(工程107)。
図3に示した前処理部の動作の中で、抽出操作と濃縮操作の手順を図4に更に詳しく示した。図4(a)が抽出操作、図4(b)が濃縮操作である。便宜上、図を分けているが、抽出から濃縮まで操作は連続して行われる。まず、抽出操作について、図4(a)を用いて説明する。工程301で抽出・濃縮操作を開始する。工程302で抽出カウントAをゼロにリセットする。工程303でカラム66に溶剤を注入し、加圧する。工程304で液面センサ73aにより溶剤の注入を確認する。溶剤の注入が確認されれば、工程305によりカラムの加熱と高圧ボンベ71による加圧を行う。工程306によりカラム内の圧力を確認し、圧力が高すぎれば工程307によるカラムの圧抜きを行う。工程306により所定の圧力が確認されれば、工程308によりタイマーをスタートし、抽出を開始する。抽出中は、工程314によりタイマーを確認しながら、カラム内の温度と圧力が所定の値になるよう工程309から工程313により制御する。すなわち、工程309でカラムの温度を確認し、所定の温度になっていなければ工程311でカラムを加熱し、所定の温度になっていれば工程310で加熱を停止し、工程312に移って圧力を確認する。工程312の圧力確認で圧力が高すぎれば工程313によってカラムの圧抜きを行い、所定の圧力が確認されれば、工程314のタイマー確認に移る。
工程314でタイマーがオフ、すなわち所定の時間が経過したことが確認されると、工程315により抽出を停止し、カラムの加熱を停止する。工程316と317により、カラムを冷却した後、抽出された溶液を濃縮容器に移送するための窒素ガスによる加圧が工程318により行なわれる。工程319と320により、カラム内の圧力と送液時間を確認した後、工程321により加圧を停止する。次に、工程322により抽出カウントAに1を加える。工程323で抽出カウントAが指定回数Xに達しているかどうかを確認し、達していなければ工程303に戻って再度抽出を行う。通常、Xは2に設定されている。すなわち、上記の抽出作業を2回行う。抽出カウントAが指定回数Xに達していれば工程324に進み、抽出を終了して次の濃縮操作に移る。
次に、濃縮操作について、図4(b)を用いて説明する。工程401で洗浄回数カウントBをゼロにリセットする。工程402で濃縮槽75を加熱し、工程403で濃縮槽内を窒素ガスで加圧する。工程404から工程408で、濃縮槽内の温度を制御するとともに液面の位置を監視する。工程406は、濃縮槽の温度が所定温度に達していなかった場合であっても溶媒が目標量揮発している場合も考えられるために設けられる工程である。液面が目標値に達していた場合には、工程407に進んで濃縮槽の加熱を停止し、次の工程409へ進む。液面が目標値に達していなかった場合には、濃縮槽の加熱を続ける。工程408で濃縮槽内の液面が所定の高さまで下がっていることを確認した後、工程409により濃縮槽内への窒素ガスのパージを停止する。次に工程410から414により濃縮槽の洗浄が行なわれる。これは、再度濃縮槽内に溶剤を注入し、濃縮槽の壁面に付着している試料を溶かすためである。洗浄回数が所定の回数(Y、通常は2)に達すると、再度、工程415から423により濃縮操作が行なわれ、工程424により濃縮操作が終了する。工程415〜423の工程で行なわれる動作は、工程402〜412で行なわれる動作と同じなので説明を省略する。この様に、図2に示した前処理部の制御装置88は、図4に示した予め定められた手順に沿うよう前処理部を自動的に制御する。
脱着部63で使用する充填剤は、排ガス中のダイオキシン類を容易に吸着して、有機溶媒により脱着するものを使用する。また、充填剤に合わせ、抽出用の有機溶媒を選択することも重要になる。充填剤として表面積の異なる活性炭3種類及び有機吸着剤2種類の合計5種類、有機溶剤としてトルエン、アセトン、ジクロロメタン3種類について、ダイオキシン類の脱着状況を調べた。使用した充填剤は活性炭(表面積10、25, 250m2/g)、XAD-2(スチレンジビニルベンゼン共重合体)、テナックス(2,6-ジフェニル-p-フェニレンオキサイド)であり、抽出有機溶媒はアセトン、ジクロロメタン、トルエンとした。各吸着剤5gをそれぞれカラムに充填し、充填剤の上部にダイオキシン類溶液(1,2,3,4-T4CDD、1,2,3,4,6,7,9-H7CDD各0.5μg/mL)を2.0mL添加する。それぞれのカラムにアセトン、ジクロロメタン、トルエンの溶媒を別々に入れ、150℃、150kg/cm2の高温・高圧でダイオキシン類を抽出する。抽出液をデカンに転用して1.0mLとした後、GC/MSによりダイオキシン類の濃度を求めた。種々の吸着剤及び有機溶剤でのダイオキシンの回収率を求めた結果を表2に示す。
いずれの充填剤でも有機溶剤としてはトルエンでの回収率が高い値を示した。また、トルエンを使用した場合、XAD−2の回収率が最も高いことが分かる。また、活性炭では表面積の狭いものほどダイオキシンの回収率が高い傾向を示した。活性炭を改質することによりXAD−2以上の効果が期待できることが分かった。なお、テナックスは、今回の条件ではテナックス自身が有機溶媒に溶解したことから詳細な検討を行なわなかった。
濃縮部64から質量分析計82に溶液を送液するための試料移送部65の詳細は、図5と図6に示した。濃縮槽75の中にノズル83の先端が設けられている。まず、図5の様に、濃縮された溶液はシリンジ84に吸引することによりノズル83を介して吸い出され、サンプルループ85に導入される。次に流路切り替えバルブ86を切り替え、図6に示す様に、有機溶媒槽87からポンプ67cにより送られた有機溶媒によりサンプルループ85内の溶液が質量分析計82に送られる。
図7は質量分析計の概略を示す図であり、代表例としてイオントラップ質量分析器を有する質量分析計について説明する。前処理部6にて得られた試料溶液は、配管8を介してイオン源9に送られる。イオン源9により生成されたイオンは、細孔付電極10aに開口する第一のイオン導入細孔11a、排気系12aにより排気された差動排気部13、細孔付電極10bに開口する第二のイオン導入細孔11bを介して排気系12bにより排気された真空部14に導入される。細孔付電極10a、10bには、ドリフト電圧電源15により電圧を印加する。ドリフト電圧には、差動排気部13に取り込まれたイオンを第二のイオン導入細孔11bの方向にドリフトさせることでイオン導入細孔11bのイオン透過率を向上させる効果のほかに、差動排気部13に残留しているガス分子とイオンとを衝突させることでイオンに付着している水などの溶媒分子を脱離させる効果がある。細孔付電極10bには加速電圧電源16により加速電圧を印加する。この加速電圧は、イオンがエンドキャップ電極17aに設けられた開口部を通過する際のエネルギー(入射エネルギー)に影響する。イオントラップ質量分析器のイオン閉じ込め効率は、イオンの入射エネルギーに依存するので、閉じ込め効率が高くなるように加速電圧を設定する。
真空部14に導入されたイオンは、電極18a、18b、18cで構成されるイオン集束レンズにより収束された後、エンドキャップ電極17a、17b及びリング電極19により構成されるイオントラップ質量分析器に導入される。エンドキャップ電極17a、17bとリング電極19とは、石英リング20により保持される。質量分析器には、ガス供給器21からガス導入管22を介してヘリウムなどの衝突ガスが導入される。ゲート電極23は、イオントラップ質量分析器へのイオン入射のタイミングを制御するために設けられている。質量分析されて質量分析器の外に排出されたイオンは、変換電極24、シンチレータ25、フォトマルチプライヤ26で構成される検出器により検出される。イオンは、変換電極電源27によりイオンを加速する電圧が印加された変換電極24に衝突する。イオンと変換電極24の衝突により、変換電極24の表面より荷電粒子が放出される。この荷電粒子をシンチレータ25により検知し、信号をフォトマルチプライヤ26で増幅する。シンチレータ25とフォトマルチプライヤ26は、各々シンチレータ電源28とフォトマルチプライヤ電源29に接続されている。検出された信号はデータ処理装置30に送られる。データ処理装置30には、検出信号の処理に必要な情報が格納されている。また、イオン収束レンズやゲート電極は、各々電源31a、31bに接続されている。装置全体の制御は、制御装置32により行う。質量分析計の制御装置32は、信号ライン89dを介して前処理部の制御装置88と信号をやり取りすることで、前処理部の動作と質量分析計の動作とを同期させる。
まず、大気圧化学イオン化法におけるガス状態のダイオキシンの質量スペクトルを観測した。乾燥空気ボンベから送られるクリーンエアーにダイオキシンの蒸気を添加し、イオン源に導入した。図8に、7塩化ダイオキシン(1,2,3,4,6,7,9-H7CDD)を負のイオン化を行って測定した場合の質量スペクトルを示す。この試料の分子量は422であるが、塩素分子が1つ脱離し、酸素分子が1つ付加する形でイオン化され、(M - Cl + O)-として観測された(m/z = 403)。m/z = 405あるいは407などの信号は、各々塩素の同位体(35Cl、37Cl)によるものである。
図9は、本発明に係るイオン源の構造を示す図である。前処理部からの試料溶液は金属パイプ33に導入される。金属パイプ33は金属ブロック34に埋め込まれている。金属ブロック34には、ヒーター及び熱電対(ともに図示せず)が取りつけられており、200℃程度に加熱されている。試料溶液は熱により金属パイプ33の末端より噴霧される。噴霧された試料溶液は、更に別の気化用ブロック35に導入される。気化用ブロック35も加熱されており、噴霧により生成した液滴は熱により気化される。気化された試料は、壁面への吸着を防ぐために加熱された加熱配管36を介してイオン源に送られる。
イオン源には針電極37が配置され、対向電極38との間に高電圧が印加される。針電極37の先端付近にコロナ放電が発生し、まず窒素、酸素、水蒸気などがイオン化される。これらのイオンは一次イオンと呼ばれる。一次イオンは、電界により対向電極38側に移動する。気化された試料の一部又は全部は、対向電極38に設けられた開口部より針電極37側に流れ、一次イオンと反応することによりイオン化される。針電極37と対向電極38はイオン源保持部39にて保持される。針電極37側に流れるガスの流量は流量計40によりモニタされる。また、イオン源を通過したガスは排気チューブ41a、41bを介して質量分析計の外部に排気される。ガスの流量やイオン源の圧力を制御するため、排気チューブ41a、41bは吸気ポンプ42に接続しても良い。
対向電極38と細孔付電極10aとの間には1kV程度の電圧が印加されており、イオンは細孔方向に移動して、細孔を介して差動排気部に取り込まれる。差動排気部では断熱膨張が起こり、イオンに溶媒分子などが付着する、いわゆるクラスタリングが起きる。クラスタリングを軽減するため、細孔付電極10a、10bをヒーターなどで加熱することが望ましい。細孔付電極10a、10bの間に中間電極43を設け、差動排気部の圧力を制御しても良い。
また、図9では加熱により試料溶液を噴霧する加熱噴霧について記載したが、噴霧の方式としては静電噴霧やガス噴霧を用いても良い。ダイオキシンを分析するには、負のコロナ放電を用いた負イオン化モードが特に有効である。ダイオキシンの様にハロゲンを含む物質は電気陰性度が高いので、負イオン化されやすいという特徴がある。従って、夾雑成分が存在してもハロゲン化物を優先的にイオン化できるので、EIに比べて大幅に前処理を簡略化できる。負イオン化モードでは、酸素のイオン(O2-)が一次イオンになる。予めコロナ放電により酸素イオンを生成しておき、酸素イオンとダイオキシン分子が化学反応を起すことによりダイオキシンに由来する分子イオンが生成される。
しかしながら、コロナ放電では一酸化窒素(NO)も生成される。一酸化窒素は酸素イオンと結合し易い。すなわち、イオン源に一酸化窒素が多く存在すると酸素イオンの濃度が減少し、ダイオキシンのイオン化効率が低下するという問題が生じる。そこで、図9に示す様に、ガスを細孔付電極10a側に供給し、対向電極38を介して針電極37側に流す構成とすると、針電極先端付近のイオンの移動方向とガスの移動方向とが逆になるので、電荷を持たない一酸化窒素と酸素イオンが反応する確率を低くすることができる。一酸化窒素と酸素イオンはともにコロナ放電で生成されるが、電荷の有無により分離することで、一酸化窒素と酸素イオンの反応を抑制し、ダイオキシンのイオン化効率を高めることができる。
霧化により生成された噴流の中には、粒径の大きな液滴も含まれる。粒径の大きな液滴は容易には気化しないので、細孔を介して真空中に取り込まれると検出器まで到達してノイズとなり、装置のS/N(シグナル/ノイズ比)を悪化させるほか、針電極に付着すると針電極を汚す原因になる。図9に示した構成では、霧化が排気チューブ41bに向いて成されるため、大きな液滴は排気チューブ41bから排気され、真空中に取り込まれる液滴を減らすことができる。また、十分に気化したガスが対向電極38の開口部を介して針電極37の方向に流れるので、大きな液滴が針電極37に付着することを防止でき、針電極37の汚れも軽減できる。
図10は、試料溶液を霧化及び気化する部分の更に詳細な図である。ダイオキシンは有害な物質であるため、金属パイプ33から噴出された試料が実験室内に漏れて作業者に害をなさないよう、金属ブロック34と気化用ブロック35との間には気密保持部材44を設けると良い。噴霧された溶液の微粒化を促進するため、金属ブロック34と気化用ブロック35との間に衝突板45を設け、噴霧により生成された液滴を衝突板45との衝突により微粒化しても良い。また、イオン源に流入するガスの流量を制御するため、気化用ブロック35の一部にガス供給管46を設け、ガスを供給すると良い。
図11は、気化用ブロック35にガスを供給する構成の一例を示した図である。高圧ボンベ47からのガスは、減圧弁48、フローコントローラー49、流量計50を介してガス供給管46に送られる。ガスの種類は、乾燥空気、窒素、酸素、アルゴンなどが使用できる。ダイオキシンのイオンは、基本的に酸素イオンとの化学反応により生成されるが、酸素を使用すると放電が不安定になる場合があるので、ガス種としては乾燥空気が特に望ましい。
図12は、気化用ブロック35にガスを供給する別の方法を示した図である。高圧ボンベを準備するのが困難である場合には、大気を吸引し、送気ポンプ51を介して供給しても良い。図9に示した吸気ポンプ42の吸気量が十分である場合には、吸気ポンプ42により吸気することでガスを供給できるので、送気ポンプ51を省略することも可能である。
図13は、溶液の流量をパラメータとし、ガス導入量とイオン強度との関係を示したグラフである。ガスの種類は乾燥空気とした。ダイオキシンをメタノールに溶解させ、1ppmの濃度に調整し、一定流量で金属パイプ33に導入した。図13の上方は横軸のフルスケールをガス流量4l/分としたグラフ、下方は横軸のフルスケールを21l/分としたグラフである。
図13に示した結果から、ダイオキシンの信号強度はガスの流量に依存し、最適なガス流量は溶液の流量に応じて異なることが分かった。例えば、溶液流量が毎分0.2ミリリットルの場合、ガス流量は毎分1リットルが望ましく、溶液流量が毎分0.6ミリリットルの場合にはガス流量は毎分3リットルが望ましい。溶液が気化すると、体積は一般に1000倍に膨張する。今回の実験では、溶液が気化することによるガスの流量と、ガス供給管から供給されるガスの流量を、およそ1:5に設定した場合に良好な結果を得た。従って、溶液流量に応じてガス流量を変えることは重要である。
実験の結果、メタノールを溶媒とし、イオン源付近の温度を200℃とした場合、溶液流量に比してガス流量を1000倍以上にすることによりイオンを観測できるようになり、比が5000倍の時に効率良くイオン化できた。それ以上の比にすると、試料が希釈されるため徐々にイオン強度は低下するが、100000倍程度までは分析が可能であった。イオン源に試料を送液するための有機溶媒の種類を変えて検討したが、溶媒はメタノール、エタノールなどのアルコール類の感度が良い。また、アセトン、トルエン、ヘキサンなどでも使用できるが、感度は低くなる。
最適な溶液流量とガス流量との組み合わせは、使用する溶媒の種類やイオン源温度に依存するので、実際に測定に用いる条件において実験的に求めておくと良い。実験の結果、溶液流量に対応して好適なガス流量が求まるが、必ずしも溶液流量に比例してガス流量を増やせば良いとは限らない。例えば、イオン源の温度によっては試料の吸着や熱分解の影響が出るので、流量の比率だけでは最適条件が決まらないためである。
図14は、試料溶液の流量に応じてイオン源に供給するガスの流量を制御するための構成図である。試料溶液は、送液ポンプ60から配管56、コネクタ58を介して金属パイプ33に導入される。送液ポンプ60の設定流量に関する情報は、信号ライン62aを介して制御装置61に送られる。制御装置61では、予め実験的に求めておいたデータに基づき、設定された溶液流量条件において好適なガス流量を決定し、情報を信号ライン62bを介してフローコントローラー49に送る。フローコントローラー49は制御装置61からの信号によりイオン源に導入するガスの流量を調整する。
図7に示した質量分析計は、排ガス中のダイオキシン前駆体をリアルタイムで計測することが可能である。そこで、連続的にダイオキシン前駆体を計測するとともに、所定の時間捕集したダイオキシン類の総量を数時間に一度分析するといった形態の分析が可能である。従って、ダイオキシン前駆体モニタリングによる焼却炉の燃焼制御と、結果として環境中に放出されたダイオキシンの量の確認という2つの異なった役割を1台の装置で行うことができる。
図17は、ダイオキシン前駆体の計測とダイオキシン総量の計測とを行う際のガス供給の構成を示す図である。ダイオキシン前駆体計測時には流路切り替え部91を介して排ガスを連続的にイオン源に導入し、排ガス中のダイオキシン前駆体を計測する。数時間に一度、前処理部により処理されたダイオキシン類を含む溶液が金属パイプ33から供給される際には、流路切り替え部91でガスの流路を切り替え、排ガスを遮蔽し、高圧ボンベ47からのガスを所定の流量で気化用ブロック35に供給する。
図7に示した質量分析計のデータ処理装置30は、流路切り替え部91でガスの流路の切り替えに同期して、得られた質量スペクトルから、ダイオキシン総量の計測とダイオキシン前駆体の濃度計測とを切り替える。また、データ処理装置30に接続された記憶装置30aは、ダイオキシン総量に乗じて排ガス中に含まれるダイオキシンの毒性等量を求めるための第1の係数及びダイオキシン前駆体濃度に乗じて排ガス中に含まれるダイオキシンの毒性等量を推定するための第2の係数を記憶している。従って、データ処理装置30は、定期的に定量されるダイオキシン総量に記憶装置30aに記憶されている第1の係数を乗じることによってダイオキシンの毒性等量を高精度に推定することができ、また、定量したダイオキシン前駆体の濃度に記憶装置30aに記憶されている第2の係数を乗じることによってダイオキシンの毒性等量を簡易推定することができる。一定時間毎に定量したダイオキシン総量のデータ、連続的に定量したダイオキシン前駆体濃度のデータ、推定したダイオキシンの毒性等量の情報は制御室90に送信し、運転員が確認できるように制御室90内に表示する。
図16に、焼却炉の排ガス中に含まれるクロロフェノール濃度とダイオキシン類の毒性等量(TEQ)との関係を示す。クロロフェノールの様なダイオキシン前駆体と毒性等量との間には、図15に示したダイオキシン総量と毒性等量との相関ほどの強い相関は無い。これは、ダイオキシン前駆体の濃度がダイオキシン類の濃度に比べて103から104倍程度高い上、燃やすゴミの種類や燃焼状態によってダイオキシン類の生成量が異なるためである。そこで、ダイオキシン前駆体をリアルタイムで計測しながら燃焼制御を行う際、ダイオキシン前駆体の計測値に係数(記憶装置30aに記憶されている第2の係数)を乗じてダイオキシン類の発生量を推測するが、この係数を数時間毎に行うダイオキシン総量計測のデータを元に校正すると良い。すなわち、ある時刻におけるダイオキシン総量計測値からTEQを算出し、その時刻におけるダイオキシン前駆体の計測値とTEQの比(係数)を求め、この係数を第2の係数として記憶装置30aに記憶することで第2の係数の値を更新する。次に、ダイオキシン前駆体をリアルタイムで計測する際には、ダイオキシン前駆体の計測値にこの更新された第2の係数を乗じて求めたTEQの推定値が法規制値を超えないように焼却炉の燃焼を制御する。この様に、適宜ダイオキシン総量計測値を用いて記憶装置30aに記憶されている第2の係数を補正することにより、より好適に燃焼制御を行うことができる。これにより、燃焼制御によるダイオキシン類の抑制をより効果的に行うことができ、環境中に排出されるダイオキシン量を基準値以下に抑えることができる。
排ガスに含まれる夾雑成分(この場合、測定対象とするダイオキシン類以外の物質を意味する)の濃度が高く、ダイオキシン類の測定精度が悪くなる場合には、図18に示す様に、試料移送部と質量分析計82との間に分離カラム92を設けても良い。サンプルループ85に導入された溶液は、有機溶媒槽87からポンプ67cにより送られた有機溶媒により分離カラム92に送られ、分離される。図18の様に分離カラム92を設けておけば、測定したいダイオキシン類と夾雑成分とを時間的にずらして質量分析計82に導入することができる。従って、ダイオキシン類の測定時に夾雑成分の影響を軽減することができるため、より精度の高い測定が可能となる。上述の様に、イオン化効率はアルコール類が良いが、分離カラム92を使用する場合には、分離の効率を優先してアルコール以外の有機溶剤、例えばアセトン、アセトニトリル、それらを混合した溶媒などを有機溶媒槽87に用いても良い。
また、本発明は、土壌中のダイオキシン類の計測にも用いることができる。採取した土壌をバットなどに入れて金属製のヘラ等で固まりを押しつぶして砕きほぐし、秤量した後、ほこりなどが入らないようアルミホイル等で覆い、時々混ぜながら室内で数日間放置して風乾する。その後2〜3日ごとに秤量して、水分の減少がなくなったことを確かめる。風乾した土壌は、中小礫、木片、植物残渣等を除き、土塊、団粒を粉砕後、2mmの目のふるいを通過させる。その後、一定重量の土壌を計り取り、土壌試料とする。
土壌試料中の水分が分析に影響を与えるので、試料の概20%程度の重量の吸湿剤を試料に混ぜる。この吸湿剤には、無水硫酸ナトリウムやシリカゲルなどが良い。更に、土壌が流出してカラム66内の底部に設けたフィルタを詰まらせないよう、予めカラム66内にガラスビーズ等を入れておくと良い。吸湿剤と混ぜた土壌試料を図2のカラム66にセットし分析する。土壌中のダイオキシン類は、前処理部により抽出・濃縮され、質量分析計により分析される。装置や分析の手順は、排ガス中のダイオキシンを捕集した吸着剤をカラム66にセットして分析する場合と同じであるため、説明は繰り返さない。
より高速にスクリーニングを行いたい場合などは、風乾作業時に自然乾燥ではなく、熱風を用いて2〜3時間で強制的に乾燥させても良い。また、風乾作業を省いて、採取した土壌試料の重量の50%またはそれ以上の吸湿剤を試料に混ぜてカラム66にセットしてもよい。これらの様に風乾作業を簡素化または省略すると、正確な測定は困難であるが、汚染の状況を迅速に把握する上では有効である。
近年、土地取引などにおいて、工場跡地から環境汚染物質が発見され問題になる場合が増えている。この様な状況では、売買に先立ち土地を浄化する必要があるが、どの範囲の土地を浄化しなければならないかを判定するために、数メートル間隔で多数の土壌サンプルを採取し、分析センターにて精密分析を行う。このため、結果が得られるまで数日から数週間を要し、その間作業が中断するという課題がある。本発明の装置は車に搭載できる大きさであるため、車載して現地に赴き、その場で高速で結果を得ることができる。これにより、土地の浄化作業を極めて効率良く行うことができる上、作業終了後に土壌に含まれる汚染物質の濃度が基準値以下に保たれているかを簡便に確認できる。
ここまで主にダイオキシンを対象に記載したが、本発明で使用している負の大気圧化学イオン化法は電気陰性度の高いハロゲン化物に対してはイオン化効率が良い。従って、他のハロゲン化物、例えば臭素を含む臭素化ダイオキシン類やPCBの分析にも有効であり、例えば排ガス中や土壌に含まれる微量のPCBの検出に使用することができる。
また、本発明では、ダイオキシンとフランの各異性体の濃度の和であるダイオキシン総量を計測するが、TEQと相関がある他の物質の濃度を測定し指標としても良い。例えば、8塩化ダイオキシン(1,2,3,4,6,7,8,9−OCDD)の濃度とTEQとは相関があるので、8塩化ダイオキシンだけの濃度を測定しても良い。8塩化ダイオキシンの濃度からTEQを推計することができる。
なお、本発明に係る実験において、ダイオキシン類には発癌性があり、一部は特定化学物質に指定されているため、これらを試料瓶に充填する際は、ドラフト内で保護具を使用して慎重に取り扱った。また、イオン源等の試料ガスが通る部分はカバーで覆って密閉し、試料ガスが実験装置外に漏れないようにするとともに、排気ドラフトには活性炭フィルターを付けて試料ガスが外部環境中へ漏れないよう配慮した。
本発明の態様は以下の通りである。
(1)試料から分析対象となる成分を溶媒抽出する前処理部と、前記前処理部で得られた試料溶液に含まれる成分をコロナ放電によりイオン化するイオン化部と、前記イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部とを備えることを特徴とする分析装置。
(2)排ガスに含まれる成分を捕集する捕集部と、前記捕集部で捕集された成分を溶液に抽出する抽出部と、前記抽出部で得られた試料溶液に含まれる成分をコロナ放電によりイオン化するイオン化部と、前記イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部とを備えることを特徴とする排ガス分析装置。
(1)試料から分析対象となる成分を溶媒抽出する前処理部と、前記前処理部で得られた試料溶液に含まれる成分をコロナ放電によりイオン化するイオン化部と、前記イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部とを備えることを特徴とする分析装置。
(2)排ガスに含まれる成分を捕集する捕集部と、前記捕集部で捕集された成分を溶液に抽出する抽出部と、前記抽出部で得られた試料溶液に含まれる成分をコロナ放電によりイオン化するイオン化部と、前記イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部とを備えることを特徴とする排ガス分析装置。
(3)土壌に含まれる分析対象成分を溶液に抽出する抽出部と、前記抽出部で得られた試料溶液に含まれる成分をコロナ放電によりイオン化するイオン化部と、前記イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部とを備えることを特徴とする土壌分析装置。
(4)前記(1)記載の分析装置において、前記イオン化部は負のコロナ放電により分析対象成分をイオン化することを特徴とする分析装置。
(4)前記(1)記載の分析装置において、前記イオン化部は負のコロナ放電により分析対象成分をイオン化することを特徴とする分析装置。
(5)前記(1)記載の分析装置において、前記イオン化部は、コロナ放電のための針電極と、前記針電極と対向する対向電極とを有し、前記対向電極は前記針電極に対して分析対象成分を含むガスを導くための開口部を有することを特徴とする分析装置。
(6)前記(5)記載の分析装置において、前記針電極に負の電圧を印加する電源を備えることを特徴とする分析装置。
(6)前記(5)記載の分析装置において、前記針電極に負の電圧を印加する電源を備えることを特徴とする分析装置。
(7)前記(2)記載の排ガス分析装置において、前記捕集部及び前記抽出部を通さずに排ガスを前記イオン化部へ導く第1の流路と、前記抽出部で得られた試料溶液を前記イオン化部へ導く第2の流路と、前記イオン化部に前記第1の流路を連通させるか前記第2の流路を連通させるかを切り替える流路切り替え手段とを有することを特徴とする排ガス分析装置。
(8)前記(7)記載の排ガス分析装置において、前記質量分析部により得られた質量スペクトルに基づいてダイオキシン総量又はダイオキシン前駆体の濃度を求めるデータ処理部と、前記ダイオキシン総量に乗じて排ガス中に含まれるダイオキシンの毒性等量を推定するための第1の係数及び前記ダイオキシン前駆体濃度に乗じて排ガス中に含まれるダイオキシンの毒性等量を推定するための第2の係数を記憶した記憶手段とを更に備えることを特徴とする排ガス分析装置。
(8)前記(7)記載の排ガス分析装置において、前記質量分析部により得られた質量スペクトルに基づいてダイオキシン総量又はダイオキシン前駆体の濃度を求めるデータ処理部と、前記ダイオキシン総量に乗じて排ガス中に含まれるダイオキシンの毒性等量を推定するための第1の係数及び前記ダイオキシン前駆体濃度に乗じて排ガス中に含まれるダイオキシンの毒性等量を推定するための第2の係数を記憶した記憶手段とを更に備えることを特徴とする排ガス分析装置。
(9)前記(8)記載の排ガス分析装置において、前記データ処理部は、求められたダイオキシン総量に前記第1の係数を乗じて得られたダイオキシンの毒性等量と求められたダイオキシン前駆体の濃度に前記第2の係数を乗じて得られたダイオキシンの毒性等量とが一致するように、前記第2の係数を較正することを特徴とする排ガス分析装置。
(10)前記(8)記載の排ガス分析装置において、得られたダイオキシンの毒性等量が予め設定した値よりも高い場合には、警報のための信号を発生することを特徴とする排ガス分析装置。
(10)前記(8)記載の排ガス分析装置において、得られたダイオキシンの毒性等量が予め設定した値よりも高い場合には、警報のための信号を発生することを特徴とする排ガス分析装置。
1…焼却炉、2…ゴミ、3…煙道、4…煙突、5…捕集部、6…前処理部、7…質量分析計、8…配管、9…イオン源、10a,10b…細孔付電極、11a,11b…イオン導入細孔、12a,12b…排気系、13…差動排気部、14…真空部、15…ドリフト電圧電源、16…加速電圧電源、17a,17b…エンドキャップ電極、18a,18b,18c…電極、19…リング電極、20…石英リング、21…ガス供給器、22…ガス導入管、23…ゲート電極、24…変換電極、25…シンチレータ、26…フォトマルチプライヤ、27…変換電極電源、28…シンチレータ電源、29…フォトマルチプライヤ電源、30…データ処理装置、31a,31b…電源、32…制御装置、33…金属パイプ、34…金属ブロック、35…気化用ブロック、36…加熱配管、37…針電極、38…対向電極、39…イオン源保持部、40…流量計、41a,41b…排気チューブ、42…吸気ポンプ、43…中間電極、44…気密保持部材、45…衝突板、46…ガス供給管、47…高圧ボンベ、48…減圧弁、49…フローコントローラー、50…流量計、51…送気ポンプ、52…液体クロマトグラフ、53…移動相溶媒槽、54…液体クロマトグラフポンプ、55…インジェクタ、56…配管、57…分離カラム、58…コネクタ、59…絶縁材、60…送液ポンプ、61…制御装置、62a,62b…信号ライン、63…脱着部、64…濃縮部、65…試料移送部、66…カラム、67a,67b,67c…ポンプ、68…抽出溶媒槽、69…三方バルブ、70a,70b,70c,70d,70e…バルブ、71…高圧ボンベ、72a,72b…ヒーター、73a,73b…液面センサ、74…圧力センサ、75…濃縮槽、76…導管、77…冷却器、78…冷却水槽、79…廃液瓶、80a,80b…流量計、81…吸気ポンプ、82…質量分析計、83…ノズル、84…シリンジ、85…サンプルループ、86…流露切り替えバルブ、87…有機溶媒槽、88…制御装置、89a,89b,89c,89d…信号ライン、90…焼却炉燃焼制御室、91…流路、92…分離カラム
Claims (4)
- 試料溶液が送流され末端から噴霧するパイプと、噴霧により生成された液滴を加熱により気化する気化部と、気化された試料をコロナ放電によりイオン化するイオン化部と、前記イオン化部で生成されたイオンを質量分析する質量分析部と、前記イオン化部に流入するガス流量を制御するため前記気化部にガスを供給するガス供給管と、前記パイプに導入される前記試料溶液の流量に応じて、前記ガス供給管から前記イオン化部に供給されるガス流量を制御する制御装置とを有することを特徴とする分析装置。
- 請求項1の分析装置において、前記試料溶液は、ダイオキシンが溶解した溶液であることを特徴とする分析装置。
- 請求項2の分析装置において、前記試料溶液が気化することによるガスの流量と前記ガス供給管から供給されるガスの流量との比を1:5とすることを特徴とする分析装置。
- 請求項2の分析装置において、前記ガス供給管から供給されるガスの流量を前記試料溶液の流量に対して1000倍以上100000倍以下とすることを特徴とする分析装置。
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-
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- 2004-10-21 JP JP2004307057A patent/JP2005055448A/ja active Pending
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