JP2005055336A - 室内化学物質測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型の設備で、JIS小形チャンバー法に対応して現場における瞬時値の測定を行なうことができ、発生源の特定が容易であると共に、サンプラによる高精度な測定ができ、しかも加速試験を行なって短時間に測定することができる室内化学物質測定装置を提供するものである。
【解決手段】下部に開口部11を有するケーシング10と、このケーシング内の上部に設けたヒーターユニット13と、ケーシング10の壁面にそれぞれ設けられた計測機器20のプローブ挿着口22および室内空気をケーシング内にフィルター25を介して取り入れる空気取入口24と、ケーシング10にサンプラ取付け部30を介して接続された排気ポンプ27とから構成されているものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内装材から放散される揮発性有機化合物(VOC)やホルムアルデヒドなどのガス状化学物質を現場で測定する室内化学物質測定装置に関するものである。
一般に、新築の戸建住宅や集合住宅などでは、複合床仕上材の仕上げ面や、これに使用した接着剤、壁材や天井構造材あるいは壁仕上材の接着剤などから揮発性有機化合物(VOC)やホルムアルデヒドなどのガス状化学物質が発生し、これがシックハウス症候群の誘発物質として問題となっている。
このため建材や内装材の選定にあたり、これらから放散されるガス状化学物質の放散量を測定し、これを評価する必要がある。このガス状化学物質の放散量を測定する方法としては、JISA1901小形チャンバー法による測定が一般に行なわれている。
このJIS小形チャンバー法は、建材などの試験片を収納したチャンバーに、湿度を調整した空気を規定量送りながら、チャンバー内を規定された温度に保持して、試験片の表面から放散されるガス状化学物質を捕集管で捕集し、排気中の揮発性有機化合物の放散濃度を測定する方法である。
しかしながら、JIS小形チャンバー法は高い精度で測定することはできるが、、チャンバー内に供給する空気の温度や湿度の調整機構、ポンプ機構などの装置が大掛りとなり、しかも現場で測定できない問題があった。
このため室内の状況において簡易に測定できる検出装置が提案されている。これは図5に示すように、建材1に当接される開口部2を有するケーシング3と、このケーシング3のサンプラ用開口部である挿入孔4に外部から着脱可能に挿入されるサンプラ6とからなり、このサンプラ6は、建材1から放散するガス状化学物質を吸着する吸着剤7を内部に収納する容器本体8に形成された透過フィルター9から構成されたものである(特許文献1)。
この検出装置は、所定の時間、建材1に当接させた状態で保持して、建材1から発生するホルムアルデヒドがサンプラ6内に拡散し、吸着剤7に吸着される。所定の時間経過したら、サンプラ6を引き抜いて持ち帰り、高速液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフあるいは分光光度計などにより、ホルムアルデヒドの捕集量を計測するものである。
しかしながらこの検出装置では室内におけるガス状化学物質の放散状況を測定できるサンプラ6を引き抜いて一旦、持ち帰ってから測定するので、現場における瞬時的な測定を行なうことができず、発生源の特定などが難しく、リフォームなどの要求に対応するのが難しかった。またこの検出装置では、ケーシング3を建材1の測定部分に被せて内部空気の移動がない状態に保持するだけであり、JIS小形チャンバー法による測定のように、チャンバー内の温度や湿度の調整と換気が行なわれていないので、その検出値とJIS小形チャンバー法による検出値との対応関係がなく、客観的な評価ができない欠点があった。
特開2002−122521号公報
本発明は上記問題を改善し、小型の設備で、現場で放散しているガス状化学物質濃度を瞬時値で、JIS小形チャンバー法に対応して測定することができ、発生源の特定が容易であると共に、サンプラによる高精度な測定ができ、しかも加速試験を行なって短時間に測定することができる室内化学物質測定装置を提供するものである。
本発明の請求項1記載の室内化学物質測定装置は、下部に開口部を有するケーシングと、このケーシング内の上部に設けたヒーターユニットと、ケーシングの壁面にそれぞれ設けられた計測機器のプローブ挿着口および室内空気をケーシング内にフィルターを介して取り入れる空気取入口と、ケーシングにサンプラ取付け部を介して接続された排気ポンプとから構成されていることを特徴とするものである。
本発明の請求項2記載の室内化学物質測定装置は、更にケーシングに、湿度制御装置の接続口を設けたことを特徴とするものである。本発明の請求項3記載の室内化学物質測定装置は、更にケーシングの開口部に、可撓性のリング状シーリング材が取付けられていることを特徴とするものである。
本発明に係る請求項1記載の室内化学物質測定装置によれば、ケーシング内の上部に設けたヒーターユニットと、ケーシングの壁面にそれぞれ設けられた計測機器のプローブ挿着口および室内空気をケーシング内にフィルターを介して取り入れる空気取入口と、ケーシングにサンプラ取付け部を介して接続された排気ポンプとから構成されているので、小型の設備で、JIS小形チャンバー法に対応して現場で発生しているガス状化学物質の瞬時値を測定することができ、発生源の特定が容易であると共に、サンプラによる高精度な測定ができ、しかも加速試験を行なって短時間に測定することができると共に、クリーニングも容易である。
また請求項2記載の室内化学物質測定装置によれば、ケーシングに、湿度制御装置の接続口を設け、ここに湿度制御装置を取付けることによりケーシング内の湿度を調整して、JIS小形チャンバー法に準拠した瞬時値の測定を行なうことができる。
また請求項3記載の室内化学物質測定装置によれば、更にケーシングの開口部に、可撓性のリング状シーリング材が取付けられているので、被測定物である建材との密着性が良く、しかも測定する放散面積を一定に保持して正確な濃度を測定することができる。
本発明は室内の測定現場におけるガス状化学物質の瞬時値を測定できると共に、サンプラによる高精度な測定ができ、しかも加速試験を行なって短時間に測定することができる室内化学物質測定装置を実現した。
以下本発明の実施例を図1を参照して詳細に説明する。図において10はステンレスやガラスで形成されたケーシングで、このケーシング10の底面が開口して、この開口部11にシリコンラバーなどのリング状シーリング材12が取付けられている。このケーシング10の容積は300〜20000mlに形成されている。
このケーシング10の内側天井面にはヒーターユニット13が設けられている。このヒーターユニット13は、電熱ヒーター14と、ファン15、温度センサー16、および温度制御装置17とから構成され、例えば28〜260℃の温度範囲でケーシング10内の温度を一定に制御するようになっている。
またケーシング10の壁面には、計測機器20のプローブ21を挿着するプローブ挿着口22が設けられている。この計測機器20としては、検知管や半導体センサー、PID(光イオン)センサー、PAS(光音響法)センサーなどを用い、これらは測定精度は低いが瞬時値を測定することができる。
またケーシング10の壁面には、室内空気を取り入れる空気取入口24が設けられている。この空気取入口24の外側には、活性炭、ゼオライト、または化学吸着剤を充填したフィルター25が設けられて、空気を清浄にしてケーシング10内に取入れるようになっている。
またケーシング10の壁面には、排気管28が取付けられ、この先端に三方切換えバルブ29が設けられている。この三方切換えバルブ29には、サンプラ取付部30と放出管31とが接続され、何れか一方に切換えられるようになっている。更にサンプラ取付部30と放出管31の先端は排気ポンプ27に接続されている。この排気ポンプ27は例えば1時間当りケーシング容量の半分を換気できるように、少しずつ排気するように制御されている。
このサンプラ取付部30に取付けるサンプラ6としては、例えば揮発性有機化合物(VOC)を検出する場合にはDNPHカートリッジを用い、ホルムアルデヒドを検出する場合にはTenax捕集管などを用いる。
更にケーシング10の壁面には、湿度制御装置32の接続口33が設けられている。この湿度制御装置32は例えば空気を相対湿度が50%に連続的に調整される装置や、予め相対湿度が50%に調整された空気を封入したボンベなどを用いる。
上記構成の室内化学物質測定装置は、建材1の上に開口部11を下にしてケーシング10を被せると、リング状シーリング材12が建材1に密着して、所定の表面積だけ建材1が露出する。この状態でヒーターユニット13のスイッチを入れ、温度制御装置17で例えば28℃に設定して、電熱ヒーター14でケーシング10内を加熱する。
一方、湿度制御装置32のスイッチを入れ、湿度を調整した空気を接続口33からケーシング10内に供給すると共に、排気ポンプ27を駆動させる。この排気ポンプ27はマスフロー可変流量制御装置で制御され、単位時間当りの排気流量を調整する。排気ポンプ27の運転開始時には、三方切換えバルブ29を放出管31側に切換えて、ケーシング10内の濃度が平常の濃度に安定するまで外部に排出する。濃度が安定したら三方切換えバルブ29をサンプラ取付部30側に切換えて、ここに装着したサンプラ6に流通させる。この場合、サンプラ6内の吸着剤としては、測定するガス状化学物質の種類に応じて選択する。
また同時に、ケーシング10に挿着した計測機器20のプローブ21で、ケーシング10内のガス状化学物質の濃度を連続的に測定する。この結果、建材1から放散するガス状化学物質の濃度を瞬時的に測定でき、しかも湿度を調整した空気を規定量送りながら、ケーシング10内を規定された温度に保持して測定するので、JIS小形チャンバー法に準拠した測定値を得ることができる。このため現場でのガス状化学物質の発生源の特定を容易に行なうことができる。
また、排気ポンプ27から排気した空気に含まれるガス状化学物質は、サンプラ6により捕集され、これを持ち返って、高速液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフあるいは分光光度計などにより、濃度を高精度に測定することができる。
またケーシング10内にヒーターユニット13を備えているので、温度の低い冬期間でも、規定の28℃に保持して測定することができる。また加速試験を行なう場合は、ヒーターユニット13の設定温度を高くすることにより、建材1からのガス状化学物質の放散を促進させて、短時間に放散量や発生原因を特定することができる。
また測定終了後は、従来の方法ではケーシングをエタノールなどで洗浄して付着した化学物質を除去しているが、本発明では、金属板の上にケーシング10をセットして、ヒーターユニット13の設定温度を、例えば260℃の高温度に設定して加熱することによりケーシング10の内壁面を清浄化することができる。
図2は本発明の他の実施例を示すもので、湿度制御装置32を取付けず、フィルター25を通して清浄化した空気を排気ポンプ27で吸引することにより、湿度調整はできないが、ほぼJIS小型チャンバー法に準拠した測定値を得ることができる。
図3は本発明の他の実施例を示すもので、湿度制御装置32を取付けず、支柱35を立設して、床面から高さ1.0〜1.2mの位置にサンプラ取付け部26を取付け、これと空気取入口24に設けたフィルター25とをチューブ36で接続したものである。
これは排気ポンプ27を運転することにより、ケーシング10内に室内の床面から高さ1.0〜1.2mの空気がサンプラ6を通して吸引され、このとき室内ガス状化学物質が吸引されて室内濃度を測定することができる。
図4は本発明の異なる他の実施例を示すもので、蛇腹状のシーリング材37をケーシング10の開口部11に取付けたものである。これはシーリング材34が蛇腹状になっているので、床と壁との間の継ぎ目に取付けた幅木38を覆うようにセットすると密着して、幅木38の凹凸のある部分から放散するガス状化学物質を測定することができる。これにより廻り縁なども同様に測定することができる。
本発明は室内におけるガス状化学物質の測定に限らず、開口部11を金属板で塞いで、建材などの試験片を測定し、ここから発生するガス状化学物質の測定にも適用することができる。
本発明の実施例による室内化学物質測定装置の断面図である。 本発明の他の実施例による室内化学物質測定装置の断面図である。 本発明の異なる他の実施例による室内化学物質測定装置の断面図である。 本発明の異なる他の実施例による室内化学物質測定装置の断面図である。 従来の室内化学物質測定装置を示す断面図である。
符号の説明
1 建材
2 開口部
3 ケーシング
4 サンプラ用挿入孔
6 サンプラ
7 吸着剤
8 容器本体
9 透過フィルター
10ケーシング
11開口部
12リング状シーリング材
13ヒーターユニット
14電熱ヒーター
15ファン
16温度センサー
17温度制御装置
20計測機器
21プローブ
22プローブ挿着口
24空気取入口
25フィルター
26サンプラ取付け部
27排気ポンプ
28排気管
29三方切換えバルブ
30サンプラ取付部
31放出管
32湿度制御装置
33接続口
35支柱
36チューブ
37蛇腹状のシーリング材
38幅木

Claims (3)

  1. 下部に開口部を有するケーシングと、このケーシング内の上部に設けたヒーターユニットと、ケーシングの壁面にそれぞれ設けられた計測機器のプローブ挿着口および室内空気をケーシング内にフィルターを介して取り入れる空気取入口と、ケーシングにサンプラ取付け部を介して接続された排気ポンプとから構成されていることを特徴とする室内化学物質測定装置。
  2. 請求項1記載の室内化学物質測定装置において、更にケーシングーに、湿度制御装置の接続口を設けたことを特徴とする室内化学物質測定装置。
  3. 請求項1記載の室内化学物質測定装置において、更にケーシングの開口部に、可撓性のリング状シーリング材が取付けられていることを特徴とする室内化学物質測定装置。
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