JP2005055132A - 石炭焚きボイラ - Google Patents

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Abstract

【課題】石炭焚きボイラの伝熱管の摩耗防止効果を失うことなく、火炉内で伝熱管と火炉壁との間でのガスパスを防ぐこと。
【解決手段】 火炉1内の後部横置き伝熱部3の伝熱管4群のガス流れ方向に対して上流側、下流側の伝熱壁6近傍の伝熱管4上と火炉壁面の伝熱壁6に多孔状に加工した略L字状の磨耗防止板18、19をそれぞれ配置し、両方の防止板18、19の水平部分18a、19bとの間及び磨耗防止板19の鉛直方向の折曲部分19aと磨耗防止板18の水平部分の折曲部分18aの先端との間にそれぞれボイラ運転中の磨耗防止板18、19同士、伝熱管4及び伝熱壁6の熱伸び差を考慮して上で隙間を最小にすることにより、伝熱壁近傍を流れるガス量が抑制され、伝熱壁や伝熱管の摩耗防止を図れるようになる。
【選択図】図1

Description

本発明は、伝熱管摩耗防止装置を備えた石焚きボイラに関するものであり、特に、事業用及び産業用ボイラ火炉内での燃料の燃焼により生じた燃焼ガスを排出するガス流路のうち比較的低温のガスが流通する流路内に設定される節炭器等の伝熱器に対するアッシュエロージョンを防止する伝熱管摩耗防止装置に関するものである。
事業用又は産業用ボイラの全体概要を説明するための側面図を図3に示す。火炉1の周囲を囲む壁面には内部に水が流通する伝熱管と連続または断続した平鋼とを交互に複数配置して溶接によりパネル化した伝熱壁が周囲に設けてあり、筐体構造となっている。火炉1上部には火炉1内部に燃料と燃焼用空気とを供給して燃焼させて発生した燃焼ガスを排出する筐体構造のガス流路が火炉内と連通して設けられている。
前記ガス流路は火炉上部からの比較的高温の燃焼ガスが水平方向に流れる上流側の高温ガス流路と、前記高温ガス流路で熱吸収されて比較的低温となった燃焼ガスが垂直下向きに流れる後部ガス流路とからなる。また前記火炉上部や高温ガス流路内には前記比較的高温の燃焼ガスの熱を吸収する複数の伝熱管からなる吊り下げ伝熱器2が設けられ、前記後部ガス流路内には前記比較的低温の燃焼ガスの熱を吸収する複数の伝熱管からなる横置き伝熱器が該流路の周壁6に片側または両側支持されて設けられている。
長手方向を水平に向けて配置されている前記横置き伝熱器、特に横置き伝熱器の最下流部に設けられる節炭器は、その内部に水が流通する重量物であること及び横置き伝熱器の支持のスパンが広いこと等により、横置き伝熱器の流路中間部での変形が生じ易いのでボイラ上部の鉄骨梁から節炭器を吊り下げ支持する目的でスリング管10が設けてある。また、スリング管10はメンテナンス性及び伝熱性確保のため、適宜上下方向に間隙が設けられている。
燃料である石炭中には灰が含まれるため、後部横置き伝熱部3(横置き伝熱器が設けられていることから後部ガス流路のことをこのように称することもある。)に流入する燃焼ガス中には灰粒子が存在する。
事業用又は産業用の石焚きボイラは、図3に示すように、燃料を燃焼させ、主として輻射伝熱により熱量を吸収する水壁6で構成された火炉1と該火炉1内に配置された燃焼ガスを吊り下げ伝熱部2と火炉後部に水平方向にその長手方向を向けて配置した後部横置き伝熱部3などで構成されている。
燃料の燃焼ガスは、輻射伝熱及び対流伝熱により吊り下げ伝熱部2及び後部横置き伝熱部3に熱量を吸収させる。後部横置き伝熱部3には多数の伝熱管群が、その長手方向を水平に向けて配置され、スリング管10で吊り下げられているが、メンテナンス性及び伝熱性能確保のため、伝熱管群同士には間隙が設けられている。
燃料である石炭中には灰が含まれるため、後部横置き伝熱部3に流入する燃焼ガス中には灰粒子が存在する。また、灰粒子中には鉱物質が含まれるため、灰粒子が伝熱管4と衝突すると、伝熱管4にはアッシュエロージョンが生じる。なお、アッシュエロージョンの大きさは、灰粒子が伝熱管4と衝突する際の速度、灰の濃度、灰が伝熱管4に衝突する時間、伝熱管4の材質等によって決定されるが、特に灰粒子の衝突速度の影響が最も大きいことが分かっている。従来のボイラ火炉では、伝熱管4と伝熱管配置部の水壁6の間でガス流速が最大となるため、この部位でアッシュエロージョンが発生している。
前記アッシュエロージョンを防止するためには、伝熱管4の材質を高品質のものに変更による方法、図4の伝熱管4の断面図に示すような伝熱管4へのプロテクター5の設置(実開昭61−186908号公報)による方法、図5のボイラ火炉内の伝熱管配置部の側面図に示すような伝熱管4の火炉水壁6に近い部分に耐摩耗材7を塗布する方法(特公昭61−38800号公報)、ガス中の灰粒子濃度を均一化する方法及び図6及び図7のボイラ火炉1内の伝熱管配置部の側面図又は平面図に示すように伝熱管4へ灰粒子が衝突する速度を低減するなどの方法(特開平8−110007号公報、特開平9−196357号公報、実開昭60−81406号公報、特開平6−34103号公報)が考えられる。図6に示す例は伝熱管4と火炉水壁6の間に複数の板片8を設置する方法であり、図7に示す例は火炉水壁6と伝熱管4との隙間を塞ぐように、各伝熱管4毎に板片9を設置する方法である。なお、図7(a)は後部横置き伝熱部3のコーナー部の平面図、図7(b)は図7(a)のA−A線矢視図、図7(c)は図7(a)のB−B線矢視図である。
しかしながら、伝熱管4におけるアッシュエロージョン量は灰粒子の伝熱管4への衝突速度の約3乗から4乗に比例して増大するため、伝熱管4の材質を変更したり、伝熱管4に耐摩耗材を塗布してもエロージョン量の大幅な抑制はできない。また、伝熱管4の材質変更や伝熱管4への耐摩耗材の塗布により、コストが増大すると共に、耐摩耗対策を実施していない伝熱管4ではアッシュエロージョンを生じるという問題がある。
次に、伝熱管4に耐摩耗材7の塗布または板片8や板片9などの防護材を設置することにより伝熱管4のエロージョンは防止できるが、コストが増大するとともに、防護材を設置した伝熱管4の下流側の防護材を設置していない伝熱管4では依然としてエロージョンが発生するという問題がある。これは、防護材の設置により防護材近傍の燃焼ガスの流速がかえって増大するためである。
また、灰粒子の伝熱管4への衝突速度を低減することで、エロージョン量を大幅に低減できるが、従来の技術では灰粒子の衝突速度を抑制するために各伝熱管4に板片9を設置したり、過剰に板片8等を設置していたため、コストが増大するとともに、メンテナンス性が悪いという問題がある。
これらの課題を解消するために図8の斜視図と図9の側面図に示すガスパス防止板構造である。これは、伝熱壁(本発明の説明では伝熱壁と称している。内部に水が流通する伝熱管で構成されていれば、火炉で説明したの同じ水壁となる。)6部分に多孔状のガスパス防止板11を伝熱壁6から垂直方向に向けて配置することにより伝熱管4と伝熱壁6間の隙間を流れるガス量を抑制し、伝熱管4の磨耗を防止するものである。
伝熱管4とガスパス防止板11間の水平部からの流れ込みを防止するため、ガスパス防止版11の伝熱壁6からの長さは約300mm以上は必要となる。ガスパス防止板11は伝熱壁6に溶接することにより固定しているが、ガスパス防止板11や堆積灰の自重及びガス流によって生じる下向きの作用力に耐えるように、ガスパス防止板11は伝熱壁6に端部が固定されたサポート12により支持されている。サポート12と伝熱壁6間の上下方向の熱伸び差を吸収するため、サポート12と伝熱壁6とはピン16とラグ17を介したリンク構造が採用されている。この理由は、前記サポート12によりガスパス防止板と伝熱壁とを溶接等で直接固定するかまたは取付金具等を介して間接的に支持した場合、伝熱壁の上下方向の熱伸びに対してガスパス防止板と伝熱壁へのサポート位置間との距離が大きいと変形を吸収できずに溶接部に割れが発生するため、これを防止するためである。
実開昭61−186908号公報 特開昭61−38800号 特開平8−110007号公報 特開平9−196357号公報 実開昭60−81406号公報 特開平6−34103号公報
図8と図9に示す多孔状のガスパス防止板11は伝熱管4の摩耗防止の面において効果はあるが、ガスパス防止板11は周壁側からサポート12等で支持する構造がとられているが、ガスパス防止板11の先端から伝熱管4とガスパス防止板11の間の水平部への流れ込みを防止するためにガスパス防止板11のオーバーハングを長く取る必要があり、熱伸び差に対応するリンク構造とあわせて製作コストや据付コストがかさむ欠点があった。
本発明の課題は前記技術の問題点を解決するためのものであり、石炭焚きボイラの伝熱管の摩耗防止効果を失うことなく、火炉内で伝熱管と火炉壁との間でのガスパスを防ぐことである。
本発明は上記課題は次のようなガスパス防止板(本発明においては磨耗防止板と称することとする。)を後部横置き伝熱部領域に設置することにより解決するものである。
すなわち、内部に水が流通する伝熱管と連続または断続した平鋼とを交互に複数配置して溶接によりパネル化した伝熱壁を周囲に設けて筐体構造とした火炉と、該火炉と連通して設けられ火炉内部に燃料と燃焼用空気とを供給して燃焼させて発生した燃焼ガスを排出する筐体構造の流路のうち比較的高温の燃焼ガスが流れる高温ガス流路と、該高温ガス流路と連通して設けられ比較的低温の燃焼ガスが流れる後部ガス流路と、前記火炉上部や高温ガス流路内に吊り下げて設けられ前記燃焼ガスの熱を吸収する複数の伝熱管からなる吊り下げ伝熱器と、前記後部ガス流路内に該流路の周壁に片側または両側支持されて設けられ前記燃焼ガスの熱を吸収する複数の伝熱管からなる横置き伝熱器とを備えた石炭焚きボイラにおいて、前記後部ガス流路内の横置き伝熱器のガス流れ方向に対して上流側及び下流側のうち、少なくとも上流側の周壁近傍の伝熱管上と周壁上に多孔状に加工した磨耗防止板をそれぞれ配置し、両方の磨耗防止板の水平部分は互いに上下方向に隙間をあけて設置した石炭焚きボイラである。
本発明の上記石炭焚きボイラは、伝熱管上に設置した磨耗防止板は鉛直上方向に折曲部分を備え、該鉛直上方向の折曲部分は後部ガス流路内の周壁上に設置した磨耗防止板の水平部分の先端との間に隙間を設けて設置することが望ましい。
本発明によれば、後部横置き伝熱部の伝熱器の燃焼ガス流れ方向に対して上流側及び下流側のうち、少なくとも上流側の伝熱壁近傍の伝熱器上と周壁上に多孔状に加工した磨耗防止板をそれぞれの上下方向、水平方向の隙間を設けて設置したが、前記隙間はそれぞれボイラ運転中の磨耗防止板同士、伝熱器及び伝熱壁の熱伸び差を考慮して決める。
上記熱伸び差を考慮した上で、前記隙間を最小にすることにより、伝熱壁近傍を流れるガスは、伝熱壁側と伝熱管側に設置した各磨耗防止板に設けられた多孔を通過する際と、各磨耗防止板同士の隙間を通過する際に大きな抵抗を受けるため、伝熱壁近傍を流れる燃焼ガスは、同流路断面内の伝熱器が密に配置された部分を流れるガス流速とほぼ同じになるため、伝熱器からのガスパス、すなわち伝熱壁とその近傍の伝熱器の隙間を流れるガス量が抑制され、伝熱壁や伝熱器の磨耗防止が図れる。
また、伝熱器側に設けた磨耗防止板の流路内側に向かう先端部を垂直上向きに折り曲げた構造(立ち上げ部とも称することにする。)としたことで、伝熱壁側からの磨耗防止板先端部から両方の磨耗防止板管に流入するガスパスを防止することができるので、伝熱壁側の板長さを短くすることができる。
また、前記伝熱器側の立ち上げ部も多孔構造とすることで、立ち上げ部から水平部にいたる新たな流れの発生を防止できるとともに、折り曲げ部に灰が堆積するのを多孔による立ち上げ部の流通構造により防止することができる。
本発明によれば、図8と図9に示す従来技術のガスパス防止板のサポート部材を廃止して、伝熱器と周壁の間に設けた磨耗防止板がガスパス防止機能を失うことなく、製作面にも、据え付け面においてもシンプルであるため、低コストで伝熱器、周壁の磨耗防止が図れる。
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。ボイラ火炉の後部横置き伝熱部における伝熱壁側の伝熱管配置部の側面図を図1に示し、平面図を図2に示す。
平板を折り曲げでL字状にした磨耗防止板18の一方の折曲片部分18aのみを多孔状に加工して水平状に配置し、孔を設けていない垂直部分18bを伝熱壁6に溶接固定する。
本実施例では低コスト化を図るため図8、図9に示す従来技術の磨耗防止板11の水平部分を支持するサポート13を設けていない。本実施例の磨耗防止板18の水平部分の長さは磨耗防止板18の自重及びガス流れの作用力に対する磨耗防止板18の強度より決定される。
また、もう一つの平板を折り曲げでL字状にした磨耗防止板19の両方の折曲片部分19a、19bには共に多孔状に加工して伝熱壁6近傍の伝熱管4上に配置する。図1と図2に示すように磨耗防止板19の一つの折曲片部分19bを伝熱管4の伝熱壁6側の上面に載置し、他の折曲片部分19aを伝熱管4の上に直立させる。磨耗防止板19の前記伝熱管4の上面に載置した折曲片部分19bの端部(直立折曲片部分19aの反対側端部)を伝熱壁6側に面した伝熱管4の側面側にさらに折り曲げ、この折曲部分19cを伝熱管4に溶接固定する。
磨耗防止板18の水平方向に伸びた折曲部分18aと磨耗防止板19の伝熱管4上に載置された折曲部分19bは、それらの上下方向に隙間hをおいて配置され、また磨耗防止板19の長さcの直立折曲片部分19aは前記磨耗防止板18の水平方向に伸びた折曲部分18aの先端部との間には隙間dを設けて配置されている。
磨耗防止板18と磨耗防止板19の上下方向の隙間h及び水平方向の隙間dは伝熱壁6と伝熱管4の運転中における相対熱伸び差を考慮して決定される。次に磨耗防止板19の伝熱管4からの立ち上がり量(磨耗防止板19の鉛直方向の長さ)cは(h+2d)以上とし、磨耗防止板18、19の上下方向の隙間hからのガスの流れ込みの防止を図っている。
なお、上記磨耗防止板18と磨耗防止板19は一つの伝熱管群の最下流側にも設けても良い。
本発明は、事業用及び産業用ボイラ火炉などに設置される伝熱管のアッシュエロージョンを防止した石炭焚きボイラに適用できる。
本発明の一実施例のボイラ火炉の後部横置き伝熱部における伝熱壁側の伝熱管配置部の側面図を示す図である。 図1の平面図である。 ボイラ全体の概略側面図を示し、磨耗防止板を設置する後伝部横置き伝熱部の配置を示す図である。 従来技術のボイラの伝熱壁近傍の伝熱管摩耗防止構造の断面図である。 従来技術のボイラの伝熱壁近傍の伝熱管摩耗防止構造の側面図である。 従来技術のボイラの伝熱壁近傍の伝熱管摩耗防止のためのガスパス防止構造の側面図である。 従来技術のボイラの伝熱壁近傍の伝熱管摩耗防止のためのガスパス防止構造図である。 従来技術のボイラの伝熱壁近傍の伝熱管摩耗防止のためのガスパス防止構造の斜視図である。 図8の側面図である。
符号の説明
1 火炉 2 吊り下げ伝熱部
3 後部横置き伝熱部 4 伝熱管
5 プロテクター 6 伝熱壁
7 耐摩耗材 8、9 板片
10 スリング管 11 磨耗防止板
12 サポート 13 ガス流れ
14 穴吊り下げ型伝熱管 15 メンブレンバー
16 ピン 17 ラグ
18、19 伝熱壁側磨耗防止板20、21 伝熱壁側溶接固定部
22、23 スペーサ

Claims (2)

  1. 内部に水が流通する伝熱管と連続または断続した平鋼とを交互に複数配置して溶接によりパネル化した伝熱壁を周囲に設けて筐体構造とした火炉と、該火炉と連通して設けられ火炉内部に燃料と燃焼用空気とを供給して燃焼させて発生した燃焼ガスを排出する筐体構造の流路のうち比較的高温の燃焼ガスが流れる高温ガス流路と、該高温ガス流路と連通して設けられ比較的低温の燃焼ガスが流れる後部ガス流路と、前記火炉上部や高温ガス流路内に吊り下げて設けられ前記燃焼ガスの熱を吸収する複数の伝熱管からなる吊り下げ伝熱器と、前記後部ガス流路内に該流路の周壁に片側または両側支持されて設けられ前記燃焼ガスの熱を吸収する複数の伝熱管からなる横置き伝熱器とを備えた石炭焚きボイラにおいて、
    前記後部ガス流路内の横置き伝熱器のガス流れ方向に対して上流側及び下流側のうち、少なくとも上流側の周壁近傍の伝熱管上と周壁上に多孔状に加工した磨耗防止板をそれぞれ配置し、両方の磨耗防止板の水平部分は互いに上下方向に隙間をあけて設置したことを特徴とする石炭焚きボイラ。
  2. 伝熱管上に設置した磨耗防止板は鉛直上方向に折曲部分を備え、該鉛直上方向の折曲部分は後部ガス流路内の周壁上に設置した磨耗防止板の水平部分の先端との間に隙間を設けて設置したことを特徴とする請求項1記載の石炭焚きボイラ。
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