JP2005054028A - 多糖類コーティング澱粉およびその製造方法 - Google Patents

多糖類コーティング澱粉およびその製造方法 Download PDF

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【課題】化学薬品や大量の用水を用いることなく、化学的に調整された架橋澱粉と同様の膨潤抑制効果をもつ澱粉および当該澱粉の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】澱粉と増粘多糖類の混合物を水分含量が15〜50%になるように調湿した後、乾式条件で100℃〜200℃にて加熱処理することを特徴とする多糖類コーティング澱粉の製造方法。

Description

本発明は、化学的な加工処理をすることなく、効率的に澱粉の膨潤糊化を抑制する効果を付与することのできる多糖類コーティング澱粉の製造方法に関するものである。
澱粉粒を多量の水存在下で加熱すると、ある一定の温度域で周囲の水により膨潤し、粘度を発生する。このような現象を、澱粉の糊化といい、糊化した澱粉は高い粘性を示すため、ソースやタレなどの増粘剤や、菓子やパンなどの食感改良剤として、広く用いられている。一方、天然に存在する澱粉の糊液は、高い機械的せん断力をうけたり、酸性状況下におかれたりすると、粘度が不安定になる。これは、膨潤した澱粉粒が機械せん断力や酸によって、損傷をうけ、澱粉粒を構成しているアミロペクチンやアミロースが溶出するためと考えられる。そこで、機械的なせん断力や酸性の状態で粘度を維持するために、アミロース、アミロペクチン鎖間に化学的架橋を施したリン酸架橋澱粉やアジピン酸架橋澱粉などの架橋澱粉(膨潤抑制澱粉)が製造されている。
このような架橋澱粉は、比較的低コストで、効果的な耐酸性、耐シェア特性が得られるため、広く食品に用いられている。また、架橋澱粉は通常の澱粉に比べ、加熱後のゲル強度が高く、食感も澱粉特有の糊っぽさがないため、ハム、ソーセージなど畜肉製品、かまぼこなどの水産練り製品や、うどん、中華麺、春巻きなどの麺体への練りこみ、フライ製品のバッターや、洋菓子、和菓子、パンなどに広く利用されている。
リン酸架橋澱粉の製造方法としては、pH10−11のアルカリ性の澱粉スラリーを調整し、オキシ塩化リンやトリメタリン酸ナトリウムなどの化学薬品を用いて架橋反応を行い、反応終了後、pHを調整し、洗浄、脱水するのが一般的である。使用する化学薬品は異なるが、アジピン酸架橋澱粉もほぼ、同様の工程をとる。このように架橋澱粉はその製造工程において未反応の薬品やpHの調整により生じた塩などを洗浄するために、大量の水が必要である。そのため、大量の工業排水が生じ、廃水処理にかかるコストが問題になっている。
また、近年消費者の食品に対する安全性への意識の高まりの影響から、より天然に近い食品素材へのニーズが増加している。このような背景より、化学薬品を用いた反応を利用しないで架橋澱粉と同様の効果を示す澱粉への需要が高まっている。未化工澱粉をある一定の水分下で、高温高圧加熱する事により膨潤抑制を抑えた湿熱処理澱粉(特許文献1)などはその例である。しかし、湿熱処理澱粉の製造には、減圧、加圧可能なバッチ式の設備が必要で、大量生産に不向きで、製造コストもかかる。
一方、増粘多糖類による澱粉の改質も種々試みられており、キサンタンガムと澱粉の組成物に関するもの(特許文献2)、アミロペクチンと増粘多糖類を含有する餅様食品に関するもの(特許文献3)、グァーガム分解物、アラビアガムおよびアラビノガラクタンを用いたもの (特許文献4)、オリゴ糖を用いたもの(特許文献5)等が知られている。これらは、澱粉と増粘多糖類を粉末または水溶液の状態で混合し、ともに糊化させて、澱粉糊液の性状を改質しようとするものであり、澱粉と増粘多糖類を乾式条件で加熱処理することについては些かの開示も示唆もされていない。
また、S.-T.Limらはキサンタンガム、CMCおよびアルギン酸の水溶液と澱粉を混合し、いったん脱水した後、更に乾燥することにより膨潤が抑制された澱粉が得られることを記している(非特許文献1)。しかしながら、本技術は、高粘度の増粘多糖類水溶液を少量の改質対象である澱粉に混合し、脱水、乾燥することにより、澱粉を改質する方法であり、実際に製造するに当たり、澱粉と増粘多糖類溶液の混合工程、脱水工程、乾燥工程と少なくとも3工程が必要となり、効率的な膨潤抑制澱粉の製造には不向きである。また、このような方法では澱粉に対して多量の水を使用し、かつ、粘調なスラリーから脱水するため、通常の化学的な反応に比べて、使用する水も労力もそれほど変わらない。
特許第2996707号公報 特開昭53-124633号公報 特開平11-75745号公報 特許第2807593号公報 特表2003-501494号公報 Cereal.Chemistry. 第79巻、 第 5号、601〜606頁 2002年
本発明は、化学薬品や大量の用水を用いることなく、化学的に調整された架橋澱粉と同様の膨潤抑制効果をもつ澱粉および当該澱粉の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、検討を重ねた結果、澱粉と増粘多糖類の混合物を水分含量が15−50%になるように調湿した後、乾式条件で100℃〜200℃にて加熱処理すると、澱粉の膨潤を抑制し、化学的な架橋澱粉と同様の膨潤抑制効果をもった澱粉を調整できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、澱粉と増粘多糖類の混合物を水分含量が15〜50%になるように調湿した後、乾式条件で100℃〜200℃にて加熱処理することを特徴とする多糖類コーティング澱粉の製造方法および、当該製造法によって得られたコーティング澱粉に関する。
本発明の多糖類コーティング澱粉の膨潤抑制作用について、詳細は不明だが、以下のように考えられる。増粘多糖類と澱粉の混合物に適当な水分が存在すると、澱粉と増粘多糖類で、水分を奪い合う。しかし、通常室温下においては、増粘多糖類のほうがより水分を吸収しやすいため、吸水、膨潤した増粘多糖類が、乾燥状態にくらべ、よりランダムな三次元構造をとると考えられる。その際に増粘多糖類が澱粉粒の表面を包み込むような部分がいくつも発生すると考えられる。このような増粘多糖類と澱粉の含水混合物を、乾式条件で100℃−200℃にて加熱処理すると、増粘多糖類が保持していた水分が急激に失われることにより、増粘多糖類の三次構造が不可逆的な変化をうける。その結果、澱粉表面と相互作用した状態で、乾燥するため、結果的に澱粉表面を保護した形になり、澱粉の糊化膨潤が抑えられるものと考える。増粘多糖類が膨潤できるほどの水分が存在しない場合は、澱粉と増粘多糖類の相互作用が起こりにくいため、このような膨潤抑制効果が起こらないと考える。
本発明における膨潤抑制澱粉の調整法は、澱粉と増粘多糖類と水を混合し、そのまま、加熱するのみであり、その他に煩雑な操作を必要としない。また、反応に、化学薬品を用いることがないため、反応終了後は、洗浄、脱水などの処理をすることなくそのまますべてを製品として使用することも可能であり、経済的かつ効率的である。以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明による水分含量が15〜50%の澱粉と増粘多糖類の混合物を乾式条件で加熱処理することにより得られる多糖類コーティング澱粉は、澱粉の膨潤を抑制することにより、通常このような用途で用いられている化学薬品を用いた架橋澱粉と同様に、麺、パン、菓子などの食感改良に適している。また、従来の架橋澱粉と異なり、乾式条件で製造するため、用水および排水も少なく効率的な製造が可能である。
本発明に用いられる増粘多糖類は、加熱により膨潤を抑制可能な、食品に使用されうる増粘多糖類であれば、特に限定を受けない。例示すれば、アラビアガム、トラガントガム、グァーガム、サイリウムシードガム、タマリンドガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ペクチン、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、セルロース、キチン、キトサン、グルコサミンなど、またはこれらの分解物を、1種、または二種以上組み合わせて使用できるが、膨潤抑制効果および増粘多糖類のコストからみて、キサンタンガムが望ましい。
本発明におけるキサンタンガムとは、微生物キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)が菌体外に生産する多糖類であり、通常、粉末または顆粒として食品に使用可能なグレードのものであれば、純品でも、デキストリンや、他の食品素材と混合された、製剤でも使用できる。
本発明に用いられる澱粉としては、通常に食品として利用されうる植物由来の澱粉、例示すれば、タピオカ、とうもろこし、米、小麦、馬鈴薯、甘藷などの澱粉および、それらのもち種、もしくはハイアミロース種、更に、例示された二種以上の澱粉の混合物、さらにこれらの澱粉を、エステル化処理、エーテル化処理、架橋処理、酸処理、酸化処理、湿熱処理、更にこれら二種以上の加工を組み合わせた化工澱粉のいずれを用いてもよいが、その中でも膨潤抑制効果が高いワキシーコーンスターチまたはタピオカ澱粉が望ましい。
本発明において、増粘多糖類の澱粉に対する添加量は、0.5−5重量部である。0.5重量部より少ないと十分な膨潤抑制効果が得られず、5重量部を超えると原材料コストが増加するばかりでなく、増粘多糖類自体がもつ風味や異味が最終食品の品質を害する可能性がある。
本発明の目的とする膨潤抑制効果をもたらすためには、添加した増粘多糖類が吸水・膨潤する必要がある。そのために、増粘多糖類と澱粉の混合物を加熱する前に、適当な水分になるように調湿する必要がある。増粘多糖類と澱粉の混合物の加熱前の水分は15%−50%、好ましくは、20%−45%である。15%より低いと、増粘多糖類が十分水和せず、澱粉表面と十分に相互作用することができない。その結果、膨潤抑制効果が乏しくなる。また、水分含量が50%を超えると、澱粉がスラリー状になってしまい、乾式条件での加熱工程で、澱粉のα化や造粒が起こる可能性がある。また、ハンドリングや乾燥に負荷がかかり、本発明の目的である、効率的な生産方法にそぐわないものとなる。
調湿方法としては、最終的に所定の水分域に収まる方法ならば、特に限定されないが、澱粉と増粘多糖類の粉体混合物に、所定の水分になるように、秤量された水を、混合しながら滴下もしくは、スプレーなどで噴霧する方法が一般的である。このときに、加える水層に増粘多糖類を分散、または、溶解させた状態で滴下もしくは噴霧してももちろん、本発明の効果は得られるが、その場合は増粘多糖類の効果により、水層の粘度が上昇し、このような粘調な液体を、粉体に均一に分散させることは難しいので、特に理由がない限り、増粘多糖類はあらかじめ澱粉と粉体混合しておいたほうが都合がよい。
本発明におけるコーティング澱粉の製造方法は、大きく分けて、澱粉と増粘多糖類と水を均一に混合する混合工程と、乾式加熱工程に分けられる。乾式加熱工程とは、加熱により材料の水分が減少していくような加熱方法であれば特に限定されない。例を挙げるなら、熱風と材料が直接接触する対流伝熱乾燥装置や熱媒体によって加熱された壁面からの熱伝導を利用した伝導伝熱乾燥装置などが使用できる。特に、混合と加熱を同時に行うことができ、滞留時間を長くすることが可能な、周囲を加熱可能なジャケットを備えた混合機形の加熱装置などを用いると、より効率よく、経済的である。加熱処理の際の温度の設定は、通常は、100〜200℃、好ましくは、120〜150℃である。100℃未満だと、水分の蒸発速度が遅く、コーティング効果を発揮するのに長時間の加熱が必要となるし、200℃より高温で加熱すると、部分的なα化が生じたり、澱粉の一部に加熱による分解・転移・再会合が起こり、デキストリンが生じる。また、澱粉に着色が生じたりして、商品価値が減じることがある。
加熱処理の時間は、処理温度の設定にもよるが、加熱温度が高い場合は、短時間で、加熱温度が低い場合は長時間とするのが望ましい。具体的には、30分から5時間、望ましくは1時間から、3時間である。加熱時間が短いと、増粘多糖類のコーティング効果が乏しく、加熱時間が長いと、澱粉の着色、分解が生じる。このようにして得られた膨潤抑制澱粉は、その後、必要に応じて、解砕、調湿、篩分などの工程を通すことも可能である。
本発明の多糖類コーティング澱粉を使用して製造できる食品としては、例えば、うどん、そば、スパゲティ、マカロニ、中華麺などの生もしくは半生タイプの製品、冷凍麺類、フライ、ノンフライ麺、食パン、ケーキ、クッキー類などの洋菓子類、フラワーペーストなどのペースト類、団子、練りあん、ようかんなどの和菓子類、餃子、春巻きの皮、中華饅頭の皮などの生地素材、ハム、ソーセージ、焼き豚などの魚畜肉製品、フライものの衣用バッターなどが例示される。
本発明において得られた膨潤抑制澱粉の評価としては加熱膨潤度の測定が使用される。膨潤度の測定方法は以下のとおりである。測定試料である澱粉混合物をドライベースで100mg密封可能な試験管に秤量し、脱イオン水を10mL加え、よく澱粉を分散させる。澱粉分散液を90℃で30分間加熱した後、5分間流水中で冷却する。3000 rpm、10分間遠心分離し、上澄みの水層を除去し、沈殿した澱粉糊液の重量を測定する。加熱膨潤度は以下の式より算出する。本発明の多糖類コーティング澱粉は、当該加熱膨潤度が35以下のものが好ましい。
加熱膨潤度 = 澱粉糊液重量 (mg)/ 100(mg)
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
参考例1
ワキシーコーンスターチ100mgを試験管に秤量し、加熱膨潤度を上記方法で測定した。その結果50.4であった。
参考例2
リン酸架橋ワキシーコーンスターチ(ジェルコールCT-2、ホーネンコーポレーション製) を試験管に秤量し、加熱膨潤度を上記方法で測定した。その結果19.6であった。
ワキシーコーンスターチ200gとキサンタンガム(モナードガムGS、大日本製薬株式会社製)4gを家庭用フードプロセッサーで1分間混合し、混合を続けながら、80gの水を滴下した。滴下終了後、さらに3分間混合し、水分が38%の澱粉多糖類含水混合物281gを得た。本混合物をアルミバットに広げ、熱風乾燥機内で、2時間150℃で加熱処理し、多糖類コーティング澱粉194gを得た。本澱粉の加熱膨潤度を測定した結果、18.2であった。これは、ワキシーコーンスターチの加熱膨潤度50.4と比べると大きく低下しており、キサンタンガムの作用により澱粉の膨潤が抑えられた結果と考えられる。
アセチル化タピオカ澱粉(EAT-02、ホーネンコーポレーション製)2000gに、キサンタンガム40gを高速攪拌混合機で1分間混合した後、さらに混合しながら、水を800g加えた。加水後更に3分間混合し、水分が38%の澱粉多糖類含水混合物2820gを得た。その後、本混合物を流動層乾燥機(大川原製作所)内で、2時間150℃で加熱処理し、多糖類コーティング澱粉1950gを得た。本澱粉の加熱膨潤度を測定した結果、29.3であった。アセチル化タピオカ澱粉の膨潤度45.1と比べると大きく低下しており、キサンタンガムの作用によりタピオカ澱粉の膨潤が抑えられた結果と考えられる。
アセチル化馬鈴薯澱粉(BA-1、ホーネンコーポレーション製)2000gに、キサンタンガム40gを高速攪拌混合機で1分間混合した後、さらに混合しながら、水を800g加えた。加水後更に3分間混合し、水分が35%の澱粉多糖類含水混合物2820gを得た。その後、本混合物をレディゲミキサー(マツボー株式会社)で、2時間150℃で加熱処理し、多糖類コーティング澱粉1950gを得た。本澱粉の加熱膨潤度を測定した結果、29.6であった。これは、アセチル化馬鈴薯澱粉の膨潤度50.1と比べると大きく低下しており、キサンタンガムの作用により馬鈴薯澱粉の膨潤が抑えられた結果と考えられる。
〔比較例1〕
家庭用フードプロセッサーでワキシーコーンスターチ200gを混合しながら60gの水を加えた。加水後、更に3分間混合し、水分が33.3%の含水澱粉258gを調整した。本試料をアルミバットに広げ、熱風乾燥機内で、2時間150℃で加熱処理し、194gの試料を得た。本澱粉の加熱膨潤度を測定した結果、42.9であった。これは、ワキシーコーンスターチの加熱膨潤度50.4と比べるとほとんど変化がなかった。
〔比較例2〕
ワキシーコーンスターチ200gとキサンタンガム4gを家庭用フードプロセッサーで3分間混合した後、加水することなくそのままアルミバットに広げ、熱風乾燥機内で、2時間150℃で加熱処理し、190gの澱粉を得た。本澱粉の加熱膨潤度を測定した結果、39.7であった。ワキシーコーンスターチの加熱膨潤度50.4と比べると膨潤抑制の程度は、それほど大きくなく、これは、キサンタンガムが吸水できなかったため、澱粉表面を均一にコーティングできなかった結果と考えられる。
〔比較例3〕
ワキシーコーンスターチ200gとキサンタンガム4gを家庭用フードプロセッサーで1分間混合し、混合を続けながら、80gの水を滴下した。滴下終了後、さらに3分間混合し、水分が38%の澱粉多糖類含水混合物281gを得た。その後、本混合物をアルミバットに広げ、熱風乾燥機内で、60℃で24時間加熱処理し、195gの澱粉を得た。本澱粉の加熱膨潤度を測定した結果、55.9であった。ワキシーコーンスターチの加熱膨潤度50.4に対して、膨潤抑制効果はほとんど見られなかった。膨潤抑制効果を得るためには、高い加熱温度による増粘多糖類の構造変化が必要であると考えられる。
〔比較例4〕
ワキシーコーンスターチ200gとキサンタンガム4gを家庭用フードプロセッサーで1分間混合し、混合を続けながら、160gの水を加えた。滴下終了後、さらに3分間混合し、水分が55%の澱粉多糖類含水混合物358gを得た。こうして調合した澱粉多糖類含水混合物をアルミバットに広げ、熱風乾燥機内で、150℃で加熱したところ、部分的に澱粉が糊化してしまい、多糖類コーティング澱粉が得られなかった。
原料澱粉を、ヒドロキシプロピル化タピオカ澱粉(POT-02, ホーネンコーポレーション製)にした以外は、実施例1と同様の手法および、表2の条件を用いて、コーティング澱粉を作成した。
〔試作例1〕
<うどんの作製>
<表2>記載の試料を用いて<表3>に示す配合のうどん麺を以下の製法にしたがって作成した。また、比較例8として、澱粉を配合しなかったうどん麺も同様に試作した。比較例8については、<表3>のように加水量を若干調整した。ミキサーにて、中力粉に試料を混合し、そこへ食塩水を加え更にそぼろ状になるまで攪拌。こうして得られた生地を常法により複合圧延、切断(切刃#10角、麺線厚み2.0mm)を行って得られた麺を沸騰水中で7分間茹でた後、流水で30秒間水洗し、茹でうどんを試作した。こうして得られた茹でうどんを50gずつ小分け包装し、4℃の冷蔵庫で24時間保存後、開封し、麺のほぐれ性、麺のつるみ、コシの強さ、全体的な食味について評価した。評価は5段階で、最も好ましいものを5、もっとも好ましくないものを1とし、パネラー10名の平均値で示した。
表4のように、多糖類でコーティングされたタピオカ澱粉を配合したうどん麺は、タピオカ澱粉特有のつるみを保持しながら、適度な膨潤抑制効果による麺のほぐれやすさと、独特のコシを有する優れたものであった。
〔試作例2〕
<表2>記載の試料を用いて<表5>に示す配合および作り方で食パンを作成した。
得られた食パンについてそれぞれ、作業性、外観(腰折れ)、および食感の評価を行った。その結果を表6に示す。
表6のように、増粘多糖類コーティング澱粉の配合により作業性にすぐれ、腰折れのないソフトで良好な食味の食パンに仕上がった。
〔試作例3〕
<表2>記載の試料を用いて<表7>に示す配合および作り方でクッキーを作成した。得られたクッキーについてそれぞれ、作業性、食感の評価を行った。その結果を、表8に示した。
表8のように、増粘多糖類コーティング澱粉の配合により作業性に優れ、よりサクミのある良好な食味のクッキーになった。
通常のワキシーコーンスターチと、キサンタンガムを用いたコーティングワキシーコーンスターチのアミログラフである。 通常のワキシーコーンスターチと、キサンタンガムを用いたコーティングワキシーコーンスターチの糊液の写真である。

Claims (6)

  1. 澱粉と増粘多糖類の混合物を水分含量が15−50%になるように調湿した後、乾式条件で100℃−200℃にて加熱処理することを特徴とする多糖類コーティング澱粉の製造方法。
  2. 加熱膨潤度が35以下であることを特徴とする請求項1に記載の多糖類コーティング澱粉の製造方法。
  3. 増粘多糖類が、キサンタンガムである請求項1または2に記載の多糖類コーティング澱粉の製造方法。
  4. 澱粉がワキシーコーンスターチおよび/またはタピオカ澱粉である請求項1〜3のいずれかに記載の多糖類コーティング澱粉の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法を用いてなる多糖類コーティング澱粉。
  6. 請求項5に記載の多糖類コーティング澱粉を使用することを特徴とする澱粉含有食品。
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