JP2005052824A - 発光型標示塗膜及びその形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トンネル内壁面100に、絶縁性塗料からなる非導電性の下地層1を形成し、その上に、発光性塗料からなる発光層2と、発光層2に電力を供給して適時に発光させる導電性塗料からなる配線層3を形成する。さらに発光層2と配線層3を覆うよう、下地層1を透明な絶縁性塗料からなる表面保護層4で被覆してなる発光型標示塗膜Aとした。発光層2は車両運転者の視線誘導ラインaとなるよう、トンネルの長手方向に沿って帯状に形成され、適時に発光する。
【選択図】 図1
Description
従来、この種視線誘導ラインは、トンネル内壁面に貼り着けるタイルやGRC等の化粧板で形成する場合もあったが、剥落などの問題から、近年では図5に示すように、トンネル内のコンクリート壁面100に、2〜3m程度の幅の白色塗料からなる下地層101をトンネル長手方向に沿って形成し、その下地層101の上に、赤色、緑色などの塗料からなる100〜200mm程度の幅の帯状のライン(視線誘導ライン)102を、運転者の視線の高さにあわせて形成するようになりつつある。
しかし、蓄光材の発光度はあまり高いものではなく、特にトンネル内のような陽の当らない空間内では蓄光量も低いため、視線誘導ラインとして不適当であると共に、トンネル内壁面は排気ガスの付着などで汚れ易く定期的にブラシ洗浄を行うので、該洗浄の際にガラスビーズ、蓄光材、ガラス砕などが剥れ落ちる虞れがある。
またこの場合、前記配線層を介して外部電源からの電力を前記発光層に適時に供給して、前記視線誘導ラインが常時発光又は点滅すよう構成することが好ましい(請求項4)。
若しくは、前記発光層が長さ方向に沿って複数に分割されると共に、前記配線層が各発光層ごとに電気的に接続される配線パターンに形成され、各発光層に適時に電力を供給して、各発光層が、トンネル内の車両走行状況に合わせて順次発光するよう構成しても良い(請求項5)。
すなわち、請求項3〜5に係る発光型標示塗膜は、トンネルの内壁面に形成されて車などの安全走行を図るための標示体(視線誘導ライン)を構成するものであり、この場合、前記下地層は、例えば白色に着色された絶縁性塗料を用いて、車両走行方向に沿う所定幅(好ましくは2〜3mの幅)の帯状に形成することが好ましい。
ここで、報知手段としては、電話回線や他の通信回線などを介してトンネル内や道路状況などを監視する監視所または警察署,消防署などにトンネル内事故発生情報を送る通知手段、トンネルの出入り口付近に配置されたサインボードや信号などの発光・点滅手段などをあげることができ、これら報知手段の作動は、検出手段からの断線検出信号を受信すると報知手段の作動開始指令信号を発するコントローラなどの制御手段により適時に制御することができる。
また、報知手段の他例として、発光層を視線誘導ラインの長さ方向に沿って複数に分割し、各発光層毎の断線を検出し得るよう検出手段を配設し、何れか一つの発光層の断線が検出されると、他の発光層が点滅したり、各発光層が順次点滅するスピードや、点滅する順番が変わるように、前記制御手段により制御可能に構成することもできる。
このように構成した場合、トンネル内で車両事故等が発生し車両がトンネル内壁面に接触する等して、視線誘導ラインを構成する発光層の一部が断線した場合、その断線発生をトンネル内事故発生として検知し、報知手段を介して、監視所,警察署,消防署等に事故発生を知らせたり、走行車両のドライバーに注意喚起することができる。
内装板の厚みは特に限定されるものではないが、トンネル内壁面上に固定される内装板としては通常、金属板は厚さ0.5〜1mm程度、スレート板は厚さ2〜4mm程度、GRC板は厚さ8〜10mm程度のものが用いられる。
また、内装板は大型の一枚板であっても良いが、通常、幅600〜1200mm程度、高さ1200〜2500mm程度の大きさのものを複数枚連設状に用いる。
(請求項1)
コンクリート製構造物の壁面に、所定の塗料からなる下地層、発光層、配線層、表面保護層を積層してなる発光型表示塗膜としたので、別途作製した照明灯や板状発光体などを多数用意しそれらを個々に取り付けた上で電気配線を行うような面倒且つ高コストな作業を必要とすることなく、発光性塗料による高い明るさをもった自己発光型の標示体を、壁面塗装により容易に形成することができる。
また、照明灯や板状発光体などの突起物が存在することなく、壁面に塗装された多層の塗膜により、電気配線を含む自己発光型の平滑な標示体を得られるので、壁面を洗浄する際に配線や標示体が邪魔になったり、洗浄により標示体や配線の剥落、損傷等が発生する虞れも少ない。
よって、ビル、橋、舗装路面、トンネルなどの外壁、内壁、路面など、各種のコンクリート製構造物の壁面に直接、標識、信号、看板、広告、ディスプレーなどの各種の標示体を形成し得る新規な発光型標示塗膜として好適に提供することができる。
コンクリート製構造物の壁面上に固定する内装板の表面に、所定の塗料からなる下地層、発光層、配線層、表面保護層を積層してなる発光型表示塗膜としたので、該内装板をコンクリート製構造物の壁面上に貼り着けて固定することで、請求項1による前述の効果を容易に得ることができる。
トンネルのコンクリート製内壁面又は該内壁面に固定する内装板の表面に、所定の塗料からなる下地層、発光層、配線層、表面保護層を積層してなる発光型表示塗膜としたので、別途作製した照明灯や板状発光体などを多数用意しそれらを個々に取り付けた上で電気配線を行うような面倒且つ高コストな作業を必要とすることなく、発光性塗料による高い明るさをもった自己発光型の標示体を、トンネル内壁に対し、壁面塗装により容易に形成することができる。
また、照明灯や板状発光体などの突起物が存在することなく、トンネル内壁面に塗装された多層の塗膜により、電気配線を含む自己発光型の平滑な標示体を得られるので、トンネル内壁面を洗浄する際に配線や標示体が邪魔になったり、洗浄により標示体や配線の剥落、損傷等が発生する虞れも少ない。
よって、トンネルのコンクリート製内壁面に、標識、信号、看板、広告、ディスプレーなどの各種の標示体を形成し得る新規な発光型標示塗膜として好適に提供することができる。
請求項3の効果に加え、発光層を、常時発光又は点滅させたり、若しくは、複数に分割された発光層をトンネル内の車両走行状況に合わせて順次発光させて該走行状況に対応した制限速度で走行し得るよう車両を誘導することにより、トンネル内の安全性を向上させることができる。
請求項3〜5の効果に加え、発光層を、トンネル内事故発生を検出するセンサーとして機能させ、トンネル内で事故が発生した場合、報知手段を介して、監視所,警察署,消防署等に事故発生を知らせたり、走行車両のドライバーに注意喚起することができる。
請求項1の効果を有する発光型標示塗膜を容易に形成し得る方法として好適に用いることができる。
請求項9の効果を有する発光型標示体を容易に形成し得る方法として好適に用いることができる。
図1及び図2に示す発光型標示塗膜(発光型標示体)Aは、コンクリート製のトンネル内壁面100に直接、自己発光型の視線誘導ラインaを形成するもので、トンネル内壁面100に形成した下地層1と、その上に形成した発光層2及び配線層3と、その上に形成した表面保護層4からなる。
ここで、絶縁性塗料としては、ケイ酸質系の無機塗料又は有機塗料を用いることが好ましいが、耐久性、耐候性、非導電性などの各種条件を考慮すれば、ケイ酸質系無機塗料(例えば、(株)シクソン社製の「絶縁性TSコート」)を用いることがより好ましい。また、トンネル内の美装や明るさの確保などを考慮すれば、白色のケイ酸質系無機塗料を用いることが好ましい。
ここで、発光性塗料としては、耐久性、耐候性、発光性などの各種条件を考慮すれば、ケイ酸質系無機バインダーに無機顔料又は有機顔料を添加した発光性塗料(例えば、(株)シクソン社製の「発光性TSコート」)を用いることが好ましい。
本例では、複数に分割された発光層2で視線誘導ラインaを構成しており、各発光層2ごとに接続された配線層3により各発光層2が適時に発光するようになている。
ここで、導電性塗料としては、ケイ酸質系無機塗料若しくは可塑性を有するバインダー(例えばアクリルなど)に、導電性の金属フィラー(例えばAg、Cu、Niなど)を所定量含有した導電性塗料(例えば、(株)シクソン社製の「導電性TSコート」)を用いることが好ましい。
ここで、絶縁性塗料としては、ケイ酸質系の無機塗料又は有機塗料を用いることが好ましいが、耐久性、耐候性、非導電性などの各種条件を考慮すれば、ケイ酸質系無機塗料(例えば、(株)シクソン社製の「絶縁性TSコート」)を用いることがより好ましい。
また、下地層1、発光層2によるトンネル内の美装、明るさの確保、発光層2による視線誘導ラインaの視認性などを考慮すれば、透明のケイ酸質系無機塗料を用いることは言うまでもない。
コントローラは、前記断線検出信号を受け取ると、通電状態にある残りの発光層2を一斉に点滅させたり、その点滅速度を速めるなどしてトンネル内事故発生を走行車両の運転者に知らせ、運転者に注意を喚起し得るよう構成されている。
また、制御ボックス6内に、前記断線検出信号を受け取ると、電話回線や他の通信回線などを介して、トンネル内事故発生情報として監視所,警察署,消防署などに送る通信手段を備えることもできる。
また、トンネル内壁に塗装された多層の塗膜により、電気配線を含む自己発光型の厚さ90〜550μm程度の平滑な標示体として得られるので、トンネル内壁面を洗浄する際に邪魔になったり、洗浄により発光層2、配線層3の剥落、損傷等が発生する虞れも少ない。
さらに、トンネル内を走行する車両の運転手の視線を誘導する視線誘導ラインaを自己発光型の発光層2で構成するので、明るく見やすい新規な視線誘導ラインaを提供し、トンネル内の車両走行の安全性を大幅に向上することが期待できる。
また、複数に分割された発光層を、トンネル内の車両走行状況に合わせて順次発光させることで、トンネル内の車両走行状況に対応した制限速度で走行し得るよう車両を誘導することができる。
また、トンネル内で車両事故等が発生し車両がトンネル内壁面100に接触する等して、視線誘導ラインaを構成する発光層2の一部が断線した場合、その断線発生をトンネル内事故発生として検知し、報知手段を介して、監視所,警察署,消防署等に事故発生を知らせたり、走行車両のドライバーに注意喚起することができるなど、多くの効果を有する。
またこの例では、幅600〜1200mm程度、高さ1200〜2500mm程度の大きさの内装板10を複数枚連設状に用いており、各内装板10は、アンカーボルトやその他の適宜固着手段を用いて、トンネル内壁面100の所定箇所に固定される。
また、トンネル内壁面100と各内装板10の間には支持金具11を設置して、トンネル内壁面100と各内装板10の間に、適宜寸法(例えば30〜100mm程度)の隙間Sを確保し、トンネル内壁面100からの水漏れが発光型標示塗膜Aに影響しないよう構成されている。
尚、前述の実施形態ではトンネル内壁面100に直接、発光型標示塗膜Aを形成することができるという利点があるが、各塗膜層1,2,3,4を積層状に塗布する際のたれ防止や養生、乾燥のために、トンネル内を所定の環境(温度、湿度など)に調整する必要がある。また、トンネル内壁面100からの水漏れ対策を別途施す必要がある。
これに対し、図3に示すように内装板10を用いる場合は、所定の環境(温度、湿度など)に調整された工場内で略水平状に支持された内装板10の表面に各塗膜層1,2,3,4を積層状に塗布して発光型標示塗膜Aを作製し、施工現場においては、この内装板10をトンネル内壁面100に固定するだけで良く、トンネル内壁面100からの水漏れ対策を別途施す必要もないので、作業が簡単で工期も短く、低コストで実施可能である等の利点がある。
a:視線誘導ライン
1:下地層
2:発光層
3:配線層
4:表面保護層
5:電気ケーブル
6:制御ボックス(外部電源,制御手段)
10:内装板
100:トンネル内壁面(コンクリート製構造物の壁面)
Claims (10)
- コンクリート製構造物の壁面に、絶縁性塗料からなる非導電性の下地層を形成すると共に、該下地層上に、発光性塗料からなる発光層と、該発光層に電気的に接続する導電性塗料からなる配線層を形成し、且つ前記発光層と配線層を覆うよう前記下地層を透明な絶縁性塗料からなる表面保護層で被覆してなる発光型標示塗膜。
- コンクリート製構造物の壁面上に固定する内装板の表面に、絶縁性塗料からなる非導電性の下地層を形成すると共に、該下地層上に、発光性塗料からなる発光層と、該発光層に電気的に接続する導電性塗料からなる配線層を形成し、且つ前記発光層と配線層を覆うよう前記下地層を透明な絶縁性塗料からなる表面保護層で被覆してなる発光型標示塗膜。
- 前記コンクリート製構造物の壁面がトンネルの内壁面であり、前記発光層が、車両運転者の視線の高さに位置し、且つトンネル内を走行する車両の走行方向に沿う帯状に形成されて視線誘導ラインを構成することを特徴とする請求項1又は2記載の発光型標示塗膜。
- 前記配線層を介して外部電源からの電力を前記発光層に適時に供給して、前記視線誘導ラインが常時発光又は点滅するよう構成したことを特徴とする請求項3記載の発光型標示塗膜。
- 前記発光層が視線誘導ラインの長さ方向に沿って複数に分割されると共に、前記配線層が各発光層ごとに電気的に接続される配線パターンに形成され、各発光層に適時に電力を供給して、各発光層が、トンネル内の車両走行状況に合わせて順次発光するよう構成したことを特徴とする請求項3記載の発光型標示塗膜。
- 請求項3〜5の何れか1項記載の発光型標示塗膜と、前記発光層の断線を検出する検出手段と、該検出手段からの断線検出信号に基づき、前記発光層の断線をトンネル内事故発生として報知する報知手段を備えたことを特徴とするトンネル内事故報知システム。
- コンクリート製構造物の壁面を洗浄処理し、該壁面に絶縁性塗料を塗布して非導電性の下地層を形成した後、該下地層上に、発光性塗料を塗布してなる適宜形状の発光層と、導電性塗料からなり前記発光層に電気的に接続する適宜パターンの配線層を形成し、次いで、前記発光層と配線層を覆うよう前記下地層を、絶縁性塗料からなる表面保護層でコーティングし、さらに、前記配線層の端部を外部電源に電気的に接続すること特徴とする請求項1記載の発光型標示塗膜の形成方法。
- トンネル内壁面上に形成される絶縁性塗料からなる非導電性の下地層と、該下地層上に形成される発光性塗料からなる発光層と、前記下地層上に形成され前記発光層に電気的に接続する導電性塗料からなる配線層と、前記発光層と配線層を覆うよう前記下地層上に形成される透明な絶縁性塗料からなる表面保護層からなる発光型標示体。
- トンネル内壁面上に固定する内装板と、該内装板の表面に形成された絶縁性塗料からなる非導電性の下地層と、該下地層上に形成される発光性塗料からなる発光層と、前記下地層上に形成され前記発光層に電気的に接続する導電性塗料からなる配線層と、前記発光層と配線層を覆うよう前記下地層上に形成される透明な絶縁性塗料からなる表面保護層からなる発光型標示体。
- トンネル内壁面上に固定される内装板の表面に、絶縁性塗料を塗布して非導電性の下地層を形成した後、該下地層上に、発光性塗料を塗布してなる適宜形状の発光層と、導電性塗料からなり前記発光層に電気的に接続する適宜パターンの配線層を形成し、次いで、前記発光層と配線層が覆われるよう前記下地層の表面を、絶縁性塗料からなる表面保護層でコーティングし、さらに、前記配線層の端部を外部電源に電気的に接続すること特徴とする請求項9記載の発光型標示体の形成方法。
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