JP2005052738A - カチオン交換樹脂の再生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂を、硫酸と接触させて、硫酸カルシウムを生成させながら再生し、酸性廃液を発生させることなく、硫酸をカチオン交換樹脂の再生のために使い尽くすことができるカチオン交換樹脂の再生方法を提供する。
【解決手段】カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂を、硫酸と接触させて、硫酸カルシウムを生成させながら再生することを特徴とするカチオン交換樹脂の再生方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、カチオン交換樹脂の再生方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂を、硫酸と接触させて、硫酸カルシウムを生成させながら再生し、酸性廃液を発生させることなく、硫酸をカチオン交換樹脂の再生のために使い尽くすことができるカチオン交換樹脂の再生方法に関する。
紙パルプ工場は、プロセスにおいて水を多量に使用するために、典型的な用水型産業といわれる。最も使用量が多いのは、原料、半製品、製品が直接触れる用水であり、この水質の良否と使用量の多寡によって製品の品質に影響が及ぶ。しかし、水資源は貴重になって、大量の新水の使用が制約を受けるようになり、紙パルプ工場でもプロセス水を循環、回収、再使用する割合が増加している。
紙パルプ工場のプロセス水には、古紙や木材チップなどからカルシウムがもたらされるために、プロセス水の再利用が進むと、カルシウムスケールによる障害が発生する。逆に、このスケール障害が原因で、水の再利用率を高めることが妨げられる。
プロセス水中のカルシウムを低減させる手段としてカチオン交換樹脂を用いると、樹脂の再生に関して多くの問題が発生する。再生剤として塩化ナトリウムを用いると、粉体の運搬と溶解作業が煩雑であり、加えて塩化物イオンがプロセス水の中に増加し、ステンレス鋼の腐食などが懸念される。塩酸も同様に塩化物イオンが増加し、また酸性の再生廃液が多量に発生するために、工場排水処理の負荷となる。
硫酸は工場内で多く使われているが、再生剤として使用すると、硫酸カルシウムが生成してカラムが詰まるおそれがあり、通常は実用的ではない。本発明者らは、先に、高濃度の硫酸を用いて硫酸カルシウムの析出を防止しながらカチオン交換樹脂を再生する方法として、原水の通水方向と逆方向に硫酸を通液して再生する向流式の再生方法において、硫酸通液時に、樹脂層の中間部に硫酸カルシウムの析出抑制剤を添加する方法を提案した(特許文献1)。この方法によれば、硫酸カルシウムによるカラムの詰まりを防止することができるが、カルシウムイオンを含む酸性の再生廃液が発生し、その処理が必要になる。これらのことから、紙パルプ工場のプロセス水中のカルシウムを除去する目的において、カチオン交換樹脂を適用することは困難であった。
特開昭57−12834号公報(第1頁、第2頁)
本発明は、カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂を、硫酸と接触させて、硫酸カルシウムを生成させながら再生し、酸性廃液を発生させることなく、硫酸をカチオン交換樹脂の再生のために使い尽くすことができるカチオン交換樹脂の再生方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂を、硫酸と接触させて、硫酸カルシウムを生成させながら再生し、再生液中に含まれる硫酸カルシウムを分離することにより、再生液に含まれる硫酸を再利用し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂を、硫酸と接触させて、硫酸カルシウムを生成させながら再生することを特徴とするカチオン交換樹脂の再生方法、
(2)カチオン交換樹脂を流動状態で再生する第1項記載のカチオン交換樹脂の再生方法、及び、
(3)再生によって発生した硫酸カルシウム含有硫酸を、硫酸カルシウムを除去したのち、再生用硫酸として使用する第1項又は第2項記載のカチオン交換樹脂の再生方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(4)カチオン交換樹脂の再生を、バッチ方式で行う第1項又は第2項記載のカチオン交換樹脂の再生方法、
(5)液中への気体の吹き込みによりカチオン交換樹脂を流動状態にする第2項記載のカチオン交換樹脂の再生方法、
(6)生成した硫酸カルシウムを、再生液を上向流で通液することにより再生液とともに分離する第1項記載のカチオン交換樹脂の再生方法、
(7)再生液とともに分離された硫酸カルシウムを、沈降、脱水により固液分離し、再生液と硫酸カルシウムを回収する第5項記載のカチオン交換樹脂の再生方法、及び、
(8)回収された再生液に硫酸を添加して濃度調整し、カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂と接触させる第6項記載のカチオン交換樹脂の再生方法、
を挙げることができる。
本発明のカチオン交換樹脂の再生方法によれば、カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂を硫酸と接触させ、カチオン交換樹脂をH形として再生するとともに、生成する硫酸カルシウムを再生液中に懸濁状態に分散させて分離し、硫酸カルシウムによるカチオン交換樹脂の詰まりを防止することができる。また、再生剤として硫酸を用いることにより、塩酸を用いた場合に比べて、カチオン交換樹脂の再生率を向上することができる。さらに、固液分離により硫酸カルシウムと再生液を分離して回収し、再生液に硫酸の減少分を補充して、カチオン交換樹脂の再生に用いる硫酸とすることができるので、硫酸を完全にカチオン交換樹脂の再生に使い尽くし、酸性の再生廃液が発生することがない。これにより、紙パルプの工場において、カチオン交換樹脂によるカルシウムの除去が可能となり、プロセスで発生するスケール障害を防ぐとともに、さらなる節水が可能となる。本発明のカチオン交換樹脂の再生方法は、カルシウムイオンの多い水をイオン交換した際のカチオン交換樹脂の再生にも適用することができ、軟化装置の再生にも適用することができる。
本発明のカチオン交換樹脂の再生方法においては、カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂を、硫酸と接触させて、硫酸カルシウムを生成させながら再生する。本発明方法においては、カチオン交換樹脂を流動状態で再生することが好ましい。
図1は、本発明方法を実施するための装置の一態様の工程系統図である。本態様の装置は、反応槽1、沈降槽2、硫酸槽3及び脱水槽4を有する。反応槽は、円筒形でも角筒形でもよい筒状の槽であり、底部付近にカチオン交換樹脂は通さないが水は通す多孔板5が設けられ、容器上部に樹脂分離部6を介して処理水取り出し溝7が設けられている。樹脂分離部は、反応槽の一周壁側から中央部よりやや反対側まで延びる傾斜した傾斜板8と、その上端部から垂直方向に水面より下方まで延びる区画垂直壁9と、傾斜板の上部で区画垂直壁と周壁との間に水面より上方から水面下に延びる区画壁10及び周壁によって形成されている。底部の多孔板と樹脂分離部との間は、縦方向に設けられた仕切壁11によって、下向流室12と上向流室13とに区分されている。仕切り板の上端と下端において、下向流室と上向流室とは連通し、上向流室と樹脂分離部とは連通している。傾斜板の下端と周壁の間には、樹脂返送口14が設けられている。上向流室の多孔板直上付近に散気管15が設けられ、散気管はブロワに連結し、上向流室の上方には排気口16が設けられている。
図1に示す態様においては、原水供給管17は下向流室に開口しているが、原水供給管は下向流室又は上向流室の任意の位置に関口することができる。処理水排出管18は処理水取り出し溝に連結している。処理水排出管から分岐して再生液排出管19が設けられ、その他端は沈降糟に連結している。多孔板下方に排液管20が設けられ、排液管の他端は硫酸槽に開口している。排液管には分岐排水管21が連結している。また、硫酸槽と反応槽とは、硫酸供給管22によって連結している。さらに、沈降槽の上澄液部と硫酸槽は、回収管23で連結され、沈降槽の底部の硫酸カルシウム排出管24は脱水槽と連絡している。脱水槽のろ液を沈降槽に返送できるように、ろ液返送管25が設けられている。なお、本図に示す脱水槽は、減圧脱水槽である。
図1に示す反応槽は、垂直な板状の仕切壁で下向流室と上向流室に区分しているが、反応槽を円筒形とし、その内部に円筒形の仕切壁を同心状に配置し、円筒形の仕切壁の内部を下向流室又は上向流室とし、容器周壁と仕切壁の間を他方の室とすることもできる。樹脂分離部は、室の上方に環状に形成する。また、反応槽を上方と下方に連通部を有する2本の筒形とし、一方の筒形を下向流室とし、他方の筒形を上向流室とすることもできる。樹脂分離部は、上方の連通部に形成する。図2は、これらの反応槽の概略図である。
カルシウムイオンを含有する原水からカルシウムイオンを除去するために、カチオン交換樹脂を入れた反応槽1に原水を通水する。原水供給管17から反応槽1に原水を供給し、散気管15を設置した上向流室13に散気管から空気を導入する。空気上昇によるエアリフト効果により、原水は上向流室13を上昇し、下向流室12を下降して両室を循環するとともに、原水流入量に応じた水量が上部の樹脂分離部6から処理水取り出し溝7を経由して処理水として取り出される。反応槽1内のカチオン交換樹脂は水流とともに流動状態となり、この間に原水中のカルシウムイオンなどのカチオンは樹脂に吸着されて除去される。カチオン交換樹脂の一部は、水流に伴って樹脂分離部6に入るが、樹脂分離部の水が処理水取り出し溝7に向かって上昇する間に、樹脂と水の比重差のために沈降し、傾斜板8と周壁との間に設けられた樹脂返送口14から下向流室12に戻される。散気管15から導入された空気は、上部の排気口16から放出される。図1において、排気口16は反応槽の上壁に設けられているが、上壁を設けず、上部開放の反応槽を用いることもできる。
処理水の水質が所定の水準より低下したとき、あるいは所定の処理水量を得たとき、あるいは所定時間が経過したとき、カチオン交換樹脂の再生工程に移行する。再生工程においては、原水の供給を停止し、反応槽内の水を分岐排水管21を介して排出する。次いで、硫酸槽3から反応槽1へ、上向流室13と下向流室12が満たされて両室を循環する量の硫酸を供給する。硫酸の供給を停止し、散気管15から空気を送給して空気撹拌しつつ、反応槽内で硫酸とカチオン交換樹脂を流動状態で接触させて、カチオン交換樹脂を再生する。カチオン交換樹脂から溶離したカルシウムイオンは、硫酸と反応して硫酸カルシウムを生成し、析出した硫酸カルシウムが懸濁状態で存在する。
次いで、硫酸をさらに供給する。このとき、空気の供給は継続したままでもよいが、停止してもよい。反応槽内の液を硫酸で置換するので、空気の供給は停止するのが好ましい。反応槽内の再生液の液面が区画垂直壁9を超え、再生液は析出した硫酸カルシウム及びカチオン交換樹脂の一部とともに樹脂分離部6に入る。そこでカチオン交換樹脂は比重差により分離されて、樹脂返送口14から下向流室12に返送され、硫酸カルシウムは微小粒子であるので分離されることなく、硫酸カルシウム粒子を含む再生液は、再生液排出管19を経由して沈降槽2へ送られる。反応槽1の容量の1〜3倍量の硫酸を供給することにより、90重量%以上の硫酸カルシウム粒子を沈降槽へ送ることができる。所定量の硫酸を供給したのち、反応槽の底部の排液管20から反応槽内の再生液を硫酸槽3へ抜き取る。必要に応じて、反応槽に工業用水などの洗浄水を供給して、容器内のカチオン交換樹脂を洗浄することができる。その後、ふたたび通水工程に戻り、原水中のカルシウムイオンを吸着除去する。
本発明方法においては、再生によって発生した硫酸カルシウム含有硫酸を、硫酸カルシウムを除去したのち、再生用硫酸として使用することができる。沈降槽2へ送られた硫酸カルシウムを含む再生液は、硫酸カルシウム粒子が濃縮され、上澄液の硫酸は硫酸槽3へ送って回収され、濃縮スラリーは脱水槽4で脱水処理される。脱水槽4で得られた液分は、少量の硫酸カルシウム粒子を含むので、ろ液返送管25を介して沈降槽2へ返送され、再度沈降処理される。脱水処理された硫酸カルシウムは、回収される。沈降槽において上澄液として回収した硫酸は、硫酸カルシウムの生成により濃度が低下しているので、硫酸槽において濃度の高い硫酸を添加し、所定の濃度に調整してカチオン交換樹脂の再生に使用する。
本発明方法においては、反応槽から流出する再生液は、硫酸のほかには溶離したカルシウムイオンから生成した硫酸カルシウムを含むのみであるから、硫酸カルシウムを分離すると、残った硫酸は濃度調整して再生液として再使用することができる。したがって、処理の必要な再生廃液が発生することがない。
本発明方法において、カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂の再生に使用する硫酸の濃度は2〜15重量%であることが好ましく、3〜12重量%であることがより好ましい。硫酸の濃度が2重量%未満であると、カチオン交換樹脂の再生効率が低下し、硫酸カルシウムの生成が不十分となるおそれがある。硫酸の濃度が15重量%を超えると、再生液の粘度が高くなり操作性が低下するおそれがある。
本発明方法においては、反応槽を2基以上備えることが好ましい。反応槽を2基以上備えることにより、一方が通水工程にあるときに、他方でカチオン交換樹脂の再生を行い、順次交互に使用することにより、常時原水の処理を行うことができる。
反応槽は、図1に示したものに限らず、任意の形状のものを用いることができる。例えば、通常のイオン交換塔であってもよい。イオン交換塔にカチオン交換樹脂を充填し、カルシウムイオンを含有する原水を下向流又は上向流で通水して原水中のカルシウムイオンを吸着分離する。カチオン交換樹脂層は、固定床であっても流動床であってもよい。カチオン交換樹脂が飽和した段階で、再生工程に移行する。再生工程においては、硫酸をイオン交換塔の下部から導入して樹脂層に上向流で供給し、カチオン交換樹脂を流動状態としながら再生する。カチオン交換樹脂を再生したのち、塔内の樹脂と硫酸カルシウム粒子とを含む再生液を全量塔外に移送し、分級装置によりカチオン交換樹脂を分離し、さらに硫酸カルシウム粒子を含む液を固液分離装置を用いて、硫酸と硫酸カルシウムに分離することができる。あるいは、通水工程はイオン交換塔で行い、再生と分離を塔外で行うこともできる。本発明方法に使用するカチオン交換樹脂に特に制限はなく、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂のいずれをも用いることができ、また、ポーラス型、ゲル型のいずれをも用いることができる。
本発明方法において、カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂の再生に硫酸を用いると、Ca形のカチオン交換樹脂は、次式の反応により再生されてH形となり、生成した硫酸カルシウムが固体として析出する。
2−Ca + 2H+ + SO4 2- → 2R−H + CaSO4
再生液中のカルシウムイオンの濃度は、通常は600〜1,000mg/Lであり、硫酸カルシウムを分離した再生液に硫酸を添加して濃度調整することにより、カチオン交換樹脂の再生に再利用することができる。再利用する再生液は、硫酸カルシウムが生成して再生液中のカルシウムイオン濃度が低く維持されるために、カチオン交換樹脂の再生率が他の酸に比べて優れている。例えば、カチオン交換樹脂の再生に塩酸を用いると、次式で示されるように再生液中にカルシウムイオンが多量に含まれるために、再利用することができない。
2−Ca + 2H+ + 2Cl- → 2R−H + Ca2+ + 2Cl-
本発明方法においては、生成した硫酸カルシウムによるカチオン交換樹脂の詰まりを防ぐために、カチオン交換樹脂を流動状態で再生することが好ましい。下向流で再生すると、詰まりを生ずるおそれがある。カチオン交換樹脂を上向流で再生することが好ましく、また、再生液の滞留部をなくすことが好ましい。このために、空気を吹き込んでエアリフトにより再生液の上向流を発生させることが好ましい。さらに、好ましくはバッチ方式により再生する。バッチ方式では、カチオン交換樹脂と硫酸との接触時間を任意に設定できるので、一過式再生より長い時間接触させることができる。接触時間を長くすることにより、微細な結晶が多数析出し、これらの結晶表面積が壁面面積よりはるかに大きくなって、硫酸カルシウムの結晶は壁面に付着することなく、微細結晶表面に析出していく。生成した硫酸カルシウムは、再生液を上向流で通液することにより、ほぼ分離することができる。分離した硫酸カルシウムは、沈降槽で濃縮してスラッジとし、ろ布などを用いて吸引又は加圧脱水する。得られる脱水ケーキは、含水率30〜50重量%であり、硫酸を含むので原水で洗浄し、硫酸カルシウム二水和物として回収することが好ましい。沈降槽の上澄液及び脱水で回収した液は、硫酸以外の異物をほとんど含まないので、硫酸を補充して濃度を調整し、カチオン交換樹脂の再生に再利用することができる。
本発明方法は、紙パルプ工場の使用済みプロセス水をイオン交換により水を回収する際のカチオン交換樹脂の再生に適している。本発明方法ではカチオン交換樹脂の再生において酸性の再生廃液を多量に発生させることはないので、紙パルププロセス排水の水回収手段としてイオン交換方法を採用することが可能となる。水回収においては、プロセス排水をカチオン交換樹脂と接触させてカルシウムイオンを除去したのち、アニオン交換樹脂と接触させることにより、水中のアニオンを除去することができる。アニオン交換の方法は、既知の方法を任意に採用でき、通常、アニオン交換樹脂を充填したアニオン交換塔にカチオン交換処理水を通水すればよい。アニオン、例えば、塩素イオン、硫酸イオンを完全に除去する必要はなく、プロセス水として使用可能な水質レベルに除去すればよい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
抄紙工程で発生する白水のカチオン交換樹脂処理と、該処理によりカルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂の再生を行った。白水の水質は、電気伝導率3.83mS/cm、pH5.31、カルシウム硬度1,425mgCaCO3/L、硫酸2,301mg/Lであった。
容器3個にそれぞれカチオン交換樹脂[三菱化学(株)、ダイヤイオンSK1B]10mLと、撹拌子とを入れ、2個の容器を直列につなぎ、白水を15mL/分で供給するとともに、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながらカチオン交換処理を23分間行い、処理水を処理水タンクに移した。次いで、上流側の容器をはずして再生した。再生では、はずされた容器(再生容器という)に9.2重量%硫酸10mLを入れ、同様に5分間撹拌してカチオン交換樹脂を再生した。その後、再生容器内の生成した硫酸カルシウムを含む再生廃液を、4.8重量%硫酸が100mL入った沈降分離容器に、一方、沈降分離容器の上澄液(硫酸)を再生容器に、それぞれ5mL/分で10分間相互に移し替えた。この操作により、カチオン交換樹脂と硫酸カルシウム粒子とを分離した。その後、再生容器の上部の硫酸は、沈降分離容器へ返送し、再生容器に残ったカチオン交換樹脂は水洗して再生を終えた。水洗されたカチオン交換樹脂を含む再生容器は、次回の通水工程における下流側の容器として使用され、前の通水工程で下流側にあった容器は上流側に移されて使用される。この操作を1サイクルとして、合計11サイクルの処理を行い、白水3,795mLを処理した。得られた処理水の水質は、電気伝導率13.2mS/cm、pH1.63、カルシウム硬度195mgCaCO3/L、硫酸3,102mg/Lであった。この処理水のうち850mLを、さらに弱塩基性アニオン交換樹脂[三菱化学(株)、ダイヤイオンWA20]20mLを充填したカラムに、1時間かけて通水した。カラムからの流出水の水質は、電気伝導率2.76mS/cm、pH2.90、カルシウム硬度195mgCaCO3/L、硫酸1,046mg/Lであった。
沈降分離容器の上澄液をビーカーに移し、さらに沈降物をNo.5Cろ紙を用いてろ過し、スラッジ約40mLを回収した。上澄液とろ液の混合物は190mL、
5.3重量%硫酸であった。スラッジを105℃で24時間乾燥することにより、硫酸カルシウム8.2gが得られた。
上澄液とろ液の混合物である5.3重量%硫酸の一部を希釈して4.8重量%硫酸100mLとして沈降分離容器にとり、残部に濃硫酸を加えて9.2重量%硫酸としてカチオン交換樹脂の再生に使用し、上記と同様にして、合計11サイクルのカチオン交換処理と樹脂再生処理を繰り返した。最初の11サイクルの処理と全く同じ結果が得られ、樹脂再生により発生した低濃度の硫酸も、硫酸を補充して濃度を調整することにより、カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂の再生に使用し得ることが確認された。
実施例2
図1に示す装置を用いて、実施例1と同じ抄紙工程で発生する白水のカチオン交換樹脂処理と、該処理によりカルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂の硫酸との接触による再生を行った。
反応槽は、縦10cm、横10cm、高さ70cm、容量7Lの角筒状であり、この中にカチオン交換樹脂[三菱化学(株)、ダイヤイオンSK1B]3Lを入れた。沈降槽は、直径50cm、深さ10cm、液量10Lであり、硫酸槽は、直径30cm、深さ30cm、液量10Lであり、脱水槽は、直径30cm、深さ20cmで、底部にろ布を備えた減圧脱水槽である。
反応槽に空気10L/分を吹き込みながら、白水2.8L/分を30分間供給したのち、空気の吹き込みを止めて、5分間で反応槽内の水を排出し、次いで空気10L/分を吹き込みながら、4.8重量%硫酸を槽内で循環できる量を供給して10分間再生し、次いで空気供給を止め、1.4L/分で同硫酸を10分間供給したのち、5分間で反応槽内の再生液を排出する操作を1サイクルとして繰り返した。
処理水取り出し溝から流出する硫酸カルシウム粒子を含む再生液は、再生液排出管を経由して沈降槽に送って、硫酸カルシウムを沈降分離させた。沈降槽の上澄液は硫酸槽に送り、濃硫酸を加えて、硫酸槽内の硫酸の濃度を4.8重量%に調整した。沈降槽から30分ごとにスラッジを脱水槽に送り、減圧ろ過した。平均180g(乾燥)/回の硫酸カルシウムが得られた。脱水槽のろ液は、沈降槽に返送した。
72時間の処理で、処理水排出管から排出される処理水の平均水質は、電気伝導率12.5mS/cm、pH1.7、カルシウム硬度250mgCaCO3/L、硫酸2,600mg/Lであった。
本発明方法を実施するための装置の一態様の工程系統図である。 反応槽の他の態様の概略図である。
符号の説明
1 反応槽
2 沈降槽
3 硫酸槽
4 脱水槽
5 多孔板
6 樹脂分離部
7 処理水取り出し溝
8 傾斜板
9 区画垂直壁
10 区画壁
11 仕切壁
12 下向流室
13 上向流室
14 樹脂返送口
15 散気管
16 排気口
17 原水供給管
18 処理水排出管
19 再生液排出管
20 排液管
21 分岐排水管
22 硫酸供給管
23 回収管
24 硫酸カルシウム排出管
25 ろ液返送管

Claims (3)

  1. カルシウムイオンを捕捉したカチオン交換樹脂を、硫酸と接触させて、硫酸カルシウムを生成させながら再生することを特徴とするカチオン交換樹脂の再生方法。
  2. カチオン交換樹脂を流動状態で再生する請求項1記載のカチオン交換樹脂の再生方法。
  3. 再生によって発生した硫酸カルシウム含有硫酸を、硫酸カルシウムを除去したのち、再生用硫酸として使用する請求項1又は請求項2記載のカチオン交換樹脂の再生方法。
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