JP2005052584A - スリング式子守帯 - Google Patents

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美記代 礒
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Abstract

【課題】 乳幼児を抱くときに乳幼児の体に優しく、且つ汗や汚れに対して衛生的に対処することができるスリング式子守帯を提供する。
【解決手段】 スリング式子守帯1は、たすき掛け可能なスリング本体2と、スリング本体2の少なくとも乳幼児を抱く領域において内側に着脱可能に重ねられたライナー3とを備えている。ライナー3として、柔らかく且つ着心地の良い素材を選択することにより、乳幼児は快適な状態で抱かれる。ライナー3が、乳幼児の汗を吸収するか、或いは授乳等の際に汚れた場合には、ライナー3をスリング本体2から取り外して、洗濯済等の清浄なライナーと取り替えることにより、乳幼児を継続して快適な状態で抱くことができる。
【選択図】 図4

Description

この発明は、乳幼児を抱くのに用いられるスリング式子守帯に関する。
従来、乳幼児を抱くために用いる子守帯としては、乳幼児の臀部を支持する尻支持部と、その支持部に接続されて乳幼児の背部を支持する背支持部と、更に背当て部に接続して乳幼児の後頭部を支える頭当て部とを有する形式のものがある。このような子守帯は、通常、首の座った乳幼児のために用いられており、乳幼児を抱く形態としては、背中に背負う形態と、体の前で抱く前抱きの形態がある。いずれにしても、この形式の子守帯は、乳幼児の特に胴部の姿勢を拘束するものであり、抱く者にとっても乳幼児にとっても負担が大きいという問題がある。
首が座った乳幼児のみならず首が座っていない新生児をも抱くことのできる子守帯として、スリング式の子守帯が提案されている。スリング式の子守帯は幅広の布を用いて構成されており、子守帯で乳幼児を抱く者は、子守帯を一方の肩から他方の脇へとたすき状に掛けることにより、体の前側において、肩幅広の布に乳幼児をくるむ状態に抱くことができる(特許文献1参照)。
特開2003−47542号公報(段落[0030]〜[0043]、図1及び図2)
別のスリング式子守帯の例として、外布と内布の二重の輪を形成し、肩からたすき掛けにして、輪内で乳幼児を横抱きに支えて、乳幼児の抱きに用いることを可能にしたものがある(特許文献2参照)。二重にすることにより、布幅を広く取ることができるとともに、汚れた場合の洗濯を容易にすることを図っている。
実開平5−20665号公報(段落[0006]、図1〜図3)
しかしながら、上記の内布と外布とから成るような二重布式の子守帯は、輪の互いに離れた二カ所において、リングや縫着部のような手段によって拘束されているだけであり、乳幼児を抱く部分では内外の布が互いに固定されておらず、使用中にずれを生じ、乳幼児を安定して支えることが困難になることが懸念される。また、内外の布の側縁部は特に何らの手段を備えていないので、尖った側縁部が乳幼児の顔や腕、足等の体に食い込むように当たることになり、好ましいものではない。
そこで、内布が外布に対してずれることを防止するとともに、子守帯の側縁部の乳幼児への肌への当たりを和らげる点で解決すべき課題がある。
この発明の目的は、乳幼児を抱くときに乳幼児の体に優しく、且つ汗や汚れに対して衛生的に対処することができるスリング式子守帯を提供することである。
上記の課題を解決するため、この発明によるスリング式子守帯は、たすき掛け可能なスリング本体と、前記スリング本体の少なくとも乳幼児を抱く領域において内側に着脱可能に重ねられたライナーとかを備えている。
このスリング式子守帯によれば、スリング本体の内側には、少なくとも乳幼児を抱く領域においてライナーが重ねられている。ライナーとして、柔らかく且つ季節等に応じて着心地の良い素材を選択することにより、乳幼児は快適な状態に抱っこされる。また、ライナーは、スリング本体に対して着脱可能に設けられているので、季節や気候に合わせて、着替えの感覚でライナーの選択が可能である。また、乳幼児がかいた汗をライナーが吸収するか、或いは授乳等の際にライナーが汚れた場合には、ライナーをスリング本体から取り外して、洗濯済等の清浄なライナーと取り替えてスリング本体に取り付けることにより、乳幼児を継続して快適な状態で抱くことができる。スリング本体は、たすき掛け可能であるので、乳幼児を状況に応じたいろんな姿勢で抱くことができ、抱く者も抱かれる者も負担が少ない。更に、ライナーの色彩や模様の選択によって、抱っこする人のファッションにも合わせることができる。
このスリング式子守帯において、前記ライナーは、その側縁部において、前記スリング本体の対応する側縁部に取り付けることができる。ライナーをスリング本体に重ね、ライナーの側縁部をスリング本体の側縁部に取り付けることにより、乳幼児が触れる可能性がある領域はすべてライナーとなり、乳幼児の触れ心地を良い状態に保つことができる。また、乳幼児の体重が子守帯にかかったとき、スリング本体とライナーとが最外側の側縁部で拘束されているので、側縁部以外の内側領域では互いに拘束されないにも関わらず、両者は互いの動きに融通性を備えながらも安定した重なり状態が維持される。取り付ける手段としては、隔置した位置に設けられたドットボタン、フック具、チャック具、あるいはスライドファスナーや面ファスナーとすることができる。
上記のライナーが側縁部においてスリング本体に取り付けられるスリング式子守帯において、前記ライナーの前記側縁部と前記スリング本体の前記側縁部は、外側に巻き込んだ状態に固定することができる。ライナーの素材には通常、綿等の柔らかいものが選択されるから、ライナーの側縁部とスリング本体の側縁部とをライナーの側縁部が外側になるように巻き込む態様で固定することにより、子守帯の側縁部はライナーの丸みを持つ形状となり、従来のスリング式子守帯で有り勝ちであったスリングの尖った側縁部が乳幼児の顔、手足等に当たるという不具合が避けられる。
このスリング式子守帯において、前記ライナーは、オーガニックコットンから作られていることから成る。オーガニックコットンは、綿花の栽培時から化学肥料や農薬に依存せず、紡績から布加工にも化学薬品等を使用しない純粋な天然素材として製造されている綿布であるので、乳幼児に対して直に接触する繊維素材として、最も好ましいと認識されているものである。
この発明によるスリング式子守帯は、上記のように、外側のスリング本体の内側にスリング本体に対して着脱自在なライナーを設けているので、ライナーが乳幼児の汗を吸収した場合や、授乳や食事に際しての汚れがライナーに付着した場合には、汚れたライナーをスリングから取り外して、洗濯済等の清浄なライナーに取り替えることができ、スリング式子守帯を継続して使用することができる。また、ライナーの素材、厚み、色や模様等の観点で予め複数の種類を用意しておけば、季節や気候に合わせて、また、乳幼児を抱く者のファッションに合わせて、スリング本体に対してライナーを着替え感覚で、選択・交換することができる。
以下、添付した図面に基づいて、この発明によるスリング式子守帯の実施例を説明する。図1はこの発明によるスリング式子守帯の一実施例を示す正面図であり、図2は図1に示すスリング式子守帯のスリング本体とライナーを広げた状態を示す平面図である。
図1及び図2に示すスリング式子守帯1は、たすき掛け可能な一枚の布から形成されるスリング本体2と、スリング本体2の少なくとも乳幼児を抱く領域において内側に着脱可能に重ねられた一枚の綿布製品から成るライナー3とを備えている。スリング本体2は、図2に示すように、その中央位置で最も幅広に形成されており、両端部5,5に向かうほど幅が次第に狭くなった中央領域4を有している。ライナー3もまた、その中央位置で最も幅広に形成されており、両端部7,7に向かうほど幅が次第に狭くなった中央領域6を有している。中央領域4、6は、乳幼児を抱く領域と略一致している。スリング本体2とライナー3との長手方向の両端部5,5及び7,7は、襞折り等の適宜の方法で絞られており、補強された固定用の布片8,8及び9,9によって両端部5,5又は7,7に縫い付けられている。スリング本体2において、両端部5,5は長さ調整可能な調整ベルト10で連結されている。調整ベルト10自体は、カバン等の肩下げベルトと同様の構造であってよく、乳幼児を抱く者の身長や胸周り等のサイズに合わせて長さを調整することができるものであればよい。
スリング本体2の外側には、図2に示すように、小物入れ12をオプションとして付設することができる。小物入れ12は、スリング本体2に対して、縫い込みであっても、着脱自在であってもよい。小物入れには、おむつや、帽子、ハンカチ、ティッシュペーパー、携帯電話等を収納することができ、外出時には便利である。
スリング本体2は、季節や外出機会等に応じて、適宜の繊維から成る布から作られる。例えば、夏であれば、通気性のよい素材から選ぶことが好ましい。また、雨期には、防水性のある素材に、更に冬季には、化学繊維のような保温性のある布材に変更することも可能である。
ライナー3は、乳幼児を抱く領域においては、スリング本体2と略同じ広さを持つ布から製作される。ライナー3は、スリング本体2に対して着脱自在である。この例では、スリング本体2とライナー3とはプラスチック製の複数のドットボタン16(一部にのみ符号を付す。)によって、互いに着脱自在である。ドットボタン16は、各両側縁部14,14;15,15において適宜の間隔を置き且つ互いに対応した位置に取り付けられた雄型又は雌型のボタン片から成っている。なお、取り付け手段として、ドットボタンの例を挙げたが、これに限らず、プラスチック製のループファスナー、面ファスナー、フック具、チャック具等の乳幼児の健康にとって安全な取り付け具を採用することもできる。
ライナー3には、農薬や化学肥料を一切使用せずに栽培された綿花から、紡績・製布まで染色や漂白等の化学処理を何ら施していない100%のオーガニックコットンを使用するのが好ましい。この場合、布には部分によって色調や明度に差が現れることがあるが、自然色である。オーガニックコットンによって、乳幼児の肌に対する化学的な刺激を少なくすることが期待される。オーガニックコットンは、高い吸水性、高い熱伝導性及び低帯電性を備えており、医療用としても使用されている程の健康指向性に優れた素材である。また、茶色の綿には、95%以上のUVカット性能があることが明らかにされている。
ライナー3には、側縁部15から内側へ寄った複数の位置にタブ取り出し用の切り込み17を形成することができる。ライナー3に切り込みを形成する位置は、図2に示すように、全体のバランスを考慮して4カ所とされている。スリング本体2には、タブ18の一端が縫い付け等の適宜の手段にて取り付けられており、タブ18の殆どの部分は、ライナー3の切り込み17を通してライナー3の表側に出ている。スリング本体2の表側には、ライナー3に切り込み17に対応して、タブ18の他端を固定するため、ドットボタンを構成する一方の型のボタン片19aが取り付けられており、タブ18には、ドットボタンを構成する他方の型のボタン片19bが取り付けられている。ライナー3は、綿製とすれば幾分の厚みがあるので、外側へ折り返したときにライナー3側の側縁部15が外側に出て丸みを帯びる。したがって、スリング本体2の側縁部14が表に出た場合にあり得る側縁部14の乳幼児の肌等へ食い込みを未然に防ぐことができる。
タブ18は、首の座らない新生児から乳児、或いは動きの自由な幼児までの成長の段階に応じて、サイズ調整のためにも用いることができる。図3(a)は、このサイズ調整の様子を子守帯1の内側から見た部分図であり、図3(b)は外側から見た斜視部分図である。図3(a)に示すように、タブ18はライナー3の切り込みから表側に引き出されており、その長手方向の互いに隔置した複数(この例では3つ)の位置にドットボタンのボタン片19bが並べて取り付けられている。スリング本体2にも、ドットボタンのボタン片19aがタブ18側と同じ個数(この例では3つ)だけ並べて取り付けられている。図3(b)に示すように、子守帯1の側縁部を外側に巻き込み、巻き込みの上をタブ18で押さえ、タブ18に取り付けられたボタン片19bとスリング本体2に取り付けられているもうボタン片19aとを巻き込み量に応じて選択して組み合わせて留めることにより、スリング式子守帯1の幅方向のサイズ調整をすることができる。
新生児又は乳児を抱っこの状態が、図4に示されている。図4に示すように、スリング本体2とライナー3とからなる簡単な構成のスリング式子守帯1によって、乳児を母親等の抱く者にぴったりと密着して抱っこすることができる。新生児又は乳児は、中央領域4,6において、最も幅広になる部分を中心として、胎児の姿勢に近い姿勢でライナー3に包まれるように深く安定して抱っこされることになるので、新生児又は乳児に安心感を与えることができる。
調整ベルト10の長さを調節することにより、母親のみならず、そのパートナーや、乳幼児の祖父母等もスリング式子守帯1を使用することができる。また、体格に個人差のある乳幼児に関わらず、同じ乳幼児でも首の座らない新生児から2歳程度までの動きが自由になる幼児までの成長に合わせて調整ベルト10の長さを調節し、乳幼児の上下位置を調整することによって、子守帯を買い換えることなく使用することができる。図5は、成長した幼児がスリング式子守帯1によって抱っこされている状態を示す図である。タブ18をスリング本体2から外し、子守帯1の幅が最大に広げられているので、体格が大きくなった幼児をも抱っこすることができる。なお、外されたタブ18は、取り外してもよいが、切り込み17からライナー3の内側に収納することもできる。
ライナー3はスリング本体2に対して着替えるように取り換えることができるものであるので、乳幼児がかいた汗をライナーが吸収した場合や、授乳や摂食の際にライナーを汚した場合には、スリング本体2の汚れがまったくない或いはそれほどではないときには、ライナー3のみをスリング本体2から取り外して、新しい清潔なライナー3を取り付けるだけで、直ちに、子守帯1として使用を再開することができる。汚れたライナー3は洗濯によって清潔にされ、次の取り換え用として用いることができる。更に、ライナー3がスリング本体2とは色彩や材料が異なるので、スリング本体2の縁取りとしてファッション性があるとともにベーシックでシンプルなデザイン性も備えており、ワーキングマザーの服装やスタイルにも合わせ易いという利点がある。
上記の実施例ではライナー3の大きさをスリング本体2と同じ大きさとしたが、ライナー3の大きさをスリング本体2よりも僅かに大きくし、スリング本体2の側縁部14からはみ出したライナー3の側縁部15をスリング本体2の外側へ、側縁部を包み込むように折り返し、その状態でライナー3の側縁部15をスリング本体2に取り付けてもよい。
ライナー3をスリング本体2に着脱自在とした実施例において、子守帯の巻き込んだ側縁部のタブ18を用いてするサイズ調整を説明したが、このようなサイズ調整は、ライナー3を持たないスリング式子守帯においても適用可能である。即ち、ライマーを持たないスリングのみから成る子守帯や、ライナーを容易には取り外しできないように本体に縫い付けた子守帯であっても、子守帯の側縁部を外側へ巻き込み、巻き込んだ側縁部の所々を子守帯に一端を取り付けたタブによって押さえ、ドット位置が変更可能なドットボタン19のように適宜の固定手段を用いてタブの他端側をスリング本体に取り付けることによって、首が座る前の新生児から動きが自由になる乳幼児まで、その体格や成長に合わせて、子守帯の幅をサイズ調整することができる。また、新生児や小柄の乳幼児においては、乳幼児の体格や成長に応じてのみならず、特に冬季の場合にような厳しい環境下では、子守帯のサイズを大きくする調整をして、新生児や乳幼児の全体を包み込むようにして、寒風や冷たい空気から保護しつつ抱っこすることもできる。
この発明によるスリング式子守帯の一実施例を示す正面図である。 図1に示すスリング式子守帯のスリング本体とライナーを広げた状態で示す平面図である。 図3(a)は、このサイズ調整の様子を子守帯の内側から見た部分図であり、図3(b)は子守帯の外側から見下ろした部分斜視図である。 図1に示すスリング式子守帯の使用態様の一例を示す図である。 図1に示すスリング式子守帯で、成長した幼児を抱っこする状態を示す図である。
符号の説明
1 スリング式子守帯 2 スリング本体
3 ライナー 4、6 中央領域
5、7 端部 8,9 補強用布片
10 調整ベルト 12 小物入れ
14,15 側縁部 16 ドットボタン(取り付け手段)
17 切り込み 18 タブ
19a,19b ドットボタンのボタン片

Claims (4)

  1. たすき掛け可能なスリング本体と、前記スリング本体の少なくとも乳幼児を抱く領域において内側に着脱可能に重ねられたライナーとから成るスリング式子守帯。
  2. 前記ライナーは、その側縁部において、前記スリング本体の対応する側縁部に取り付けられることから成る請求項1に記載のスリング式子守帯。

  3. 前記ライナーの前記側縁部と前記スリング本体の前記側縁部は、外側に巻き込んだ状態に固定されることから成る請求項2に記載のスリング式子守帯。
  4. 前記ライナーは、オーガニックコットンから作られていることから成る請求項1に記載のスリング式子守帯。
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