JP2005052041A - 調味料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来にない旨味、コク、後味を有する調味料組成物を提供すること。
【解決手段】ナトリウム系旨味成分及びマンゴスチン抽出物を含有してなることを特徴とする調味料組成物。ナトリウム系旨味成分としては、L−グルタミン酸モノナトリウムを好適に使用できる。L−グルタミン酸モノナトリウム100質量部に対し、マンゴスチン抽出物の非水溶性成分の配合量は、通常、0.1〜20質量部とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、旨味、コク、後味等の良好な調味料組成物に関する。より詳しくは、ナトリウム系旨味成分とマンゴスチン抽出物とを含有する調味料組成物に関する。
ナトリウム系旨味成分の1つであるL−グルタミン酸モノナトリウム(以下「グルタミン酸ソーダ」と称することがある。)は、旨味調味料の代表的な成分として古くから広く使用されている。しかし、旨味の持続性、すなわち後味の良好さに欠けているという問題がある。
他方、マンゴスチン抽出物は、下記のような有用な生理作用(薬効)を有するとされている。
1)食品中の脂質の酸化を抑制し、生物を酸化的障害から保護する抗酸化作用(特許文献1等)、
2)プロスタグランジン類の生合成を抑制するシクロオキシゲナーゼ阻害作用(特許文献2等)、
3)ケミカルメディエーターの受容体への結合を阻害する抗アレルギー作用(特許文献3等)、
4)日焼けによる色素沈着を抑制する美白、抗炎症作用(特許文献4等)、
5)男性型脱毛の進行を抑えるテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用(特許文献5等)、
6)有害微生物の増殖による異臭・悪臭に対し優れた抗菌・消臭作用(特許文献6〜12等)、
7)光、熱等による香味又は香気の劣化抑制作用(特許文献13、14等)。
しかし、マンゴスチン抽出物を用いた調味に関する先行技術は、本発明者らが知る限りにおいては未だ存在しない。
特開平8−225783号公報 特開2002−47180公報 特開平10−72357号公報 特開平4−244004号公報 特開平5−17365号公報 特開平7−147951号公報 特開平7−250658号公報 特開平7−250658号公報 特開平8−231396号公報 特開平9−95453号公報 特開平9−110688号公報 特開2001−247469号公報 特開2002−180081号公報 特開2002−330741号公報
本発明は、L−グルタミン酸モノナトリウム(グルタミン酸ソーダ)等のナトリウム系旨味成分とマンゴスチン抽出物とを併用することにより、従来にない旨味、コク、持続性(後味)を有する調味料組成物を提供することを目的(課題)とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究・開発に努力した結果、マンゴスチン抽出物をナトリウム系旨味成分と併用することにより旨味とコクが増すだけでなくそれらの後味(持続性)の向上をもたらすことを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は下記の如き構成を有するものである。
「ナトリウム系旨味成分及びマンゴスチン抽出物を含有してなることを特徴とする調味料組成物。」
上記構成において、ナトリウム系旨味成分としては、グルタミン酸ソーダを好適に使用できる。L−グルタミン酸モノナトリウムは、ナトリウム系旨味成分の代表的なものとして広く使用されているものである。
また、上記構成において、マンゴスチン抽出物は実質的に非水溶性成分とすることが望ましい。非水溶性成分の方が水溶性成分に比して、上記本発明の効果(旨みとコクの増大及びそれらの持続性向上)を奏しやすい。
なお、上記調味料組成物におけるグルタミン酸ソーダ100質量部に対し、マンゴスチン抽出物の非水溶性成分の配合量は0.1〜20質量部とする。
なお、前記ナトリウム系旨味成分としては、その他一般的に使用されている核酸系物質のナトリウム塩を使用することもできる。
本発明の調味料組成物は、マンゴスチン抽出物をナトリウム系旨味成分と併用することにより旨味とコクが増すだけでなく後味持続性をもたらすことができた。特に、後述の実施例に示す如く、L−グルタミン酸モノナトリウム100質量部に対しマンゴスチン抽出物の非水溶性成分を0.1〜20質量部配合することで、従来にない旨味と後味を有する調味料製剤を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明を行う。以下の説明で配合単位「部」、「%」及び配合比は、特に断らない限り質量単位とする。
本発明の調味料組成物は、ナトリウム系旨味成分及びマンゴスチン抽出物を含有してなることを特徴とする。
ナトリウム系旨味成分とは、旨味成分として広く使用されているナトリウム化合物を指す。ナトリウム系旨味成分としては、一般的に食品の旨味成分として使用されているものであればいずれも適用可能である。例えば、
グルタミン酸、タウリン、ベタイン、グリシン、クレアチン、アラニン等に代表されるアミノ酸類のナトリウム塩、
イノシン酸(IMP)、シチジル酸(CMP)、アデニル酸(アデノシン一りん酸、AMP)、グアニル酸(GMP)に代表される核酸系物質のナトリウム塩、
コハク酸等その他有機酸類のナトリウム塩、
等を例示できる。
上記のうち、L−グルタミン酸モノナトリウム(以下、単に「グルタミン酸ソーダ」という。)は、ナトリウム系旨味成分の代表的なものとして広く使用されており商品化が容易である。したがって、本明細書においては、グルタミン酸ソーダを、主として例に採り、説明を行う。
他方、マンゴスチンとは、学名「Garcinia mangostana L.」と称される、タイを原産国とするオトギリソウ科の一群の植物で、東南アジア地域に広く栽培されているものである。なお、マンゴスチンの果肉は甘味と酸味が適度に調和して上品な味で好まれ、また、果皮はコレラや赤痢の治療、下痢止め、さらに中枢神経系鎮静剤や血圧上昇剤として使用されている。
マンゴスチン抽出物は、マンゴスチンの果実全体、若しくは果皮の破砕物又は粉砕物を公知の方法により含水有機溶媒にて抽出後、溶媒を除去して得られる水溶性成分及び非水溶性成分のそれぞれ又はそれらの混合物である。マンゴスチン抽出物自体は、僅かに苦味を有する。抽出に使用するマンゴスチン果実は未熟でも完熟でもよく、また、乾燥及び未乾燥(生)の何れでも好適である。
ここで「抽出物」とは、「抽剤(溶剤)」中に、「抽料(原料)」から溶解状態で移動、即ち「浸出又は溶出」してきた物質(本来の抽出物)ばかりでなく、非溶解状態で移動してきた物質も含む。抽剤としては、水及びメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノン(アセトン)などの、水と自由に混和する有機溶媒、又は、ブタノール、酢酸エチル等の水に対して易溶な有機溶媒が使用可能であり、単一又は混合して用いる、当然のことながら、毒性の低いものを選択する。これらのうちで、エタノール、が抽出性に優れ及び毒性の問題がほとんどないため特に好ましい。
なお、マンゴスチン抽出物のうち、水溶性成分でも使用可能であるが、本実施形態では本発明の前記効果を奏し易い非水溶性成分を使用する。
該非水溶性成分はそのまま単独では水に溶けない。よって、水に添加したとき均一に溶解又は分散させるために;
(1)α−、β−、γ−シクロデキストリン、分岐(又は分枝)シクロデキストリンなどの包接剤、
(2)グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンなどの界面活性剤、
等を配合した混合物として配合することが望ましい。
このときの、マンゴスチン抽出物の非水溶性成分100部に対する上記包摂剤・界面活性剤の配合比は、好ましくは、包摂剤:2〜30部(さらに好ましくは3〜20部)、界面活性剤:0.5〜20部(さらに好ましくは1〜10部)とする。
そして、上記調味料組成物において、グルタミン酸ソーダ100部に対し、マンゴスチン抽出物の非水溶性成分の配合量は約0.1〜20部が好ましい。当該配合量は、さらに好ましくは約0.3〜15部、最も好ましくは0.8〜6.0部であり、特に、1.5〜3.0部が最も好ましい。マンゴスチン抽出物の非水溶性成分の配合量が少なすぎると、旨味、コクの改善及び後味(持続性効果)を得難い。逆にマンゴスチン抽出物の非水溶性成分の配合量が多すぎると苦味が現れ始めるおそれがある。
上記非水溶性成分における「非水溶性」とは、実質的に非水溶性であればよく、難溶性ないし不溶性を含む概念である。
上記本発明の実施形態における調味料製剤には、
(1)L−グルタミン酸以外のグリシン、アラニン、リジン、アスパラギン酸、ヒスチジン、アルギニン、ベタインなどのアミノ酸又はその塩、
5´−イノシン酸、5´−グアニル酸などの核酸又はその塩、
(2)酢酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸などの有機酸又はその塩、
(3)塩化ナトリウム、塩化カリウム、りん酸水素二ナトリウム、りん酸二水素カリウム、ホエイソルトなどの無機塩などの調味料、
(4)蛋白加水分解物、酵母エキス、野菜エキス、昆布エキス、煮汁、漁醤などの天然調味料、
等を適宜配合することができる。さらに、澱粉、デキストリン、乳糖、りん酸カルシウムなどの賦形剤・固結防止剤などを配合することもできる。
以下、本発明を実施例、参考例及び試験例により詳細に説明する。
<参考例1>
未熟マンゴスチン果実528gを40%エタノール10kg中で破砕し、室温で3日間浸漬後、2枚重ねガーゼで濾過した。黄褐色の濾液を減圧濃縮し、濃縮物の半量を凍結乾燥してマンゴスチン抽出物を淡黄色粉末として29g得た。残りの半量から析出する黄色物質を濾布で分取し、40℃で減圧乾燥して非水溶性マンゴスチン抽出物を黄色微粉末として6.3g得た。濾液を凍結乾燥して水溶性マンゴスチン抽出物を微褐色粉末として21.8g得た。
<参考例2>
熟したマンゴスチン果皮346gを70%エタノール1.1kg中で破砕し、70℃で5時間浸漬後、濾紙濾過した。濾液を減圧濃縮してエタノールを留去し、濃縮物の半量を凍結乾燥してマンゴスチン抽出物を赤色粉末として20.1g得た。残りの半量から析出する黄色物質を遠沈して分取後、凍結乾燥して非水溶性マンゴスチン抽出物を黄色微粉末として3.1g得た。上澄み液を凍結乾燥して水溶性マンゴスチン抽出物を赤色粉末として16.9g得た。
<試験例1>
L−グルタミン酸モノナトリウム0.07g、食塩2g及びβ−シクロデキストリン0.1gを含む80℃の温湯200mlの溶液に、<参考例1>の非水溶性マンゴスチン抽出物(3.5mg/ml)を含む50%エタノール溶液を表1の通り添加(無添加を含む。)して各試料液を調製した。
また、比較対照例は、非水溶性マンゴスチン抽出物の50%エタノール溶液の代わりに、参考例1の水溶性マンゴスチン抽出物10mgを添加したものである。
該各試料液について、パネル10人による官能評価(5段階評価:なし0、僅かにあり1、ややあり2、かなりあり3、著しくあり4)を行った。その結果を5段階評価の和として表1に示す。
マンゴスチン抽出物の非水溶性成分は弱い苦味を持っている。しかし、マンゴスチン抽出物の非水溶性成分をグルタミン酸ソーダ100部に対し本発明の範囲内(約0.1〜20部、望ましくは約0.3〜15部)、は表1に示すように旨味・コクが増強され、持続性をもたらすという結果が認められた。さらに、0.8〜6.0部の範囲、特に1.5〜3.0部の範囲で効果(旨み・コク・後味)のピークが現れていることが分かる。なお、マンゴスチン抽出物の水溶性成分(試験例No.7:対照)は、後味において、非水性成分に比して、劣ることが分かる。
なお、先にβ−シクロデキストリン0.1g及び非水溶性マンゴスチン抽出物1.4mgを含む50℃の温湯200mlの溶液を口に含んだ後、グルタミン酸ソーダ0.07g及び食塩を含む50℃の温湯200mlの溶液を口に含んだときは同様の効果がみられたが、逆に行うと効果がなかった。このような現象は、舌にある味雷中の味細胞の細胞膜貫通たんぱく質であるGたんぱく質共役型受容体(GPCR)とマンゴスチン抽出物の非水溶性成分の間に相互作用を生じ、グルタミン酸ソーダの旨味信号(シグナル)を増幅し、持続させているためであると考えられる。
<実施例1>
<参考例1>のマンゴスチン抽出物10g、グルタミン酸ソーダ220g及びデキストリン120gを混合して本発明の調味料組成物350gを得た(マンゴスチン抽出物/グルタミンソーダ≒4.5/100)。適当な大きさにカットした白菜1kgを漬物容器に入れ、食塩40g及び本調味料組成物0.7g(グルタミン酸ソーダ含量:0.44g)を添加してよく混ぜ、一夜加重して浅漬けを調製した。
この浅漬けは本調味料組成物の代わりに、グルタミン酸ソーダ0.5gを添加して調製した浅漬けより味にコクと持続性があった。
<実施例2>
<参考例2>のマンゴスチン抽出物14g、グルタミン酸ソーダ156g及びβ−シクロデキストリン100gを混合して本発明の調味料組成物270gを得た(マンゴスチン抽出物/グルタミンソーダ≒9.0/100)。
薄口醤油70g、味醂2g、砂糖3g、かつおだし汁100g及び本調味料組成物0.4g(グルタミン酸ソーダ含量:0.23g)をお湯900gに添加して、うどんつゆを調製した。このうどんつゆは本調味料組成物の代わりにグルタミン酸ソーダ0.3gを添加して調製したうどんつゆより味にコクと持続性があった。
<実施例3>
<参考例1>で得られたマンゴスチン抽出物16g、分岐シクロデキストリン(日研化学;イソエリートP)144g及びデキストリン(松谷化学;パインデックス1)80gを50%エタノール800mlに溶解後、噴霧乾燥してマンゴスチン抽出物の包接体として淡黄色粉末のマンゴスチン抽出物組成物218gを得た(マンゴスチン抽出物/グルタミン酸ソーダ≒11.1/100)。
この組成物160g、グルタミン酸ソーダ55g、グリシン30g、酢酸ナトリウム46.5g及び5´−イノシン酸1.5gを混合して本発明の調味料組成物293gを得た。無塩すり身3kgに食塩75g、澱粉240g、本調味料組成物70g(グルタミン酸ソーダ含量:13g)及び氷水900gを添加してらい潰し、板付け後、90℃の蒸器で20分間蒸して蒲鉾を調製した。この蒲鉾は本調味料組成物の代わりにグルタミン酸ソーダ15gを添加して調製した蒲鉾より旨味・コクが強く、後味があった。
<実施例4>
<参考例1>で得られた非水溶性マンゴスチン抽出物2gの熱エタノール溶液20mlにグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン;ポエムM−100)3gを溶解して減圧濃縮後、プロピレングリコール2gを添加して黄色ペースト状のマンゴスチン抽出物組成物7gを得た。
本調味料組成物5g、澱粉25g、グルタミン酸ソーダ28g及び酵母エキス2gを混合して本発明の調味料組成物60gを得た。合挽肉580g、玉ねぎ150g、パン粉70g、大豆蛋白60g、卵白60g、コショウ1g、ナツメグ1g、食塩4g、本調味料組成物1g(グルタミン酸ソーダ含量:0.47g)及び水80gを均一に混合し、適量を楕円形に成形し、230℃のオーブンで薄い焦げが見られるまで加熱してハンバーグを調製した。このハンバーグは本調味料組成物の代わりにグルタミン酸ソーダ0.5gを添加して調製したハンバーグより旨味・コクが強く、後味があった。

Claims (5)

  1. ナトリウム系旨味成分及びマンゴスチン抽出物を含有してなることを特徴とする調味料組成物。
  2. 前記ナトリウム系旨味成分が、L−グルタミン酸モノナトリウムであることを特徴とする請求項1記載の調味料組成物。
  3. 前記マンゴスチン抽出物が実質的に非水溶性成分からなることを特徴とする請求項1又は2記載の調味料組成物。
  4. L−グルタミン酸モノナトリウム100質量部に対し、マンゴスチン抽出物の非水溶性成分が0.1〜20質量部配合されていることを特徴とする請求項3記載の調味料組成物。
  5. 前記ナトリウム系旨味成分が、核酸系物質のナトリウム塩であることを特徴とする請求項1記載の調味料組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009173564A (ja) * 2008-01-23 2009-08-06 Yamasa Shoyu Co Ltd 唾液分泌促進剤
JP2013094089A (ja) * 2011-10-31 2013-05-20 Kikkoman Corp 呈味改善剤
JP2013224322A (ja) * 2013-07-03 2013-10-31 Yamasa Shoyu Co Ltd 唾液分泌促進剤

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