JP2005050984A - 歪Si−SOI基板の製造方法及び該方法により製造された歪Si−SOI基板 - Google Patents
歪Si−SOI基板の製造方法及び該方法により製造された歪Si−SOI基板 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】歪Si層表面が平坦で欠陥が少なくかつ絶縁層上に歪Si層しか有しない歪Si−SOI基板を簡便に製造する。
【解決手段】SOI基板10のSi層13上にSiGe混晶層14を形成し、SiGe混晶層上に保護膜16を形成する。絶縁層とSi層の界面又は界面近傍に水素又はヘリウムをイオン注入した後、基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、950℃以上で熱処理してSiGe混晶層14を溶融するとともにSi層13の一部にGeを拡散する。基板を降温して溶融したSiGe混晶層19を固化し、固化したSiGe混晶層19a及びGeがSi層の一部に拡散して形成されたSiGe混晶層20を保護膜16とともに除去して絶縁層12上の歪Si層13aを露出させた歪Si−SOI基板21を得る。
【選択図】 図1
【解決手段】SOI基板10のSi層13上にSiGe混晶層14を形成し、SiGe混晶層上に保護膜16を形成する。絶縁層とSi層の界面又は界面近傍に水素又はヘリウムをイオン注入した後、基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、950℃以上で熱処理してSiGe混晶層14を溶融するとともにSi層13の一部にGeを拡散する。基板を降温して溶融したSiGe混晶層19を固化し、固化したSiGe混晶層19a及びGeがSi層の一部に拡散して形成されたSiGe混晶層20を保護膜16とともに除去して絶縁層12上の歪Si層13aを露出させた歪Si−SOI基板21を得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高性能半導体装置用の歪Si−SOI(Silicon−On−Insulator)基板の製造方法及びこの方法により製造された歪Si−SOI基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコンMOSデバイスは、スケーリング則に従った微細化や動作電圧の低減を行うことにより、高速化と低消費電力化を両立してきた。しかし、ゲート長が100nm以下の領域となると、上記の両立が困難となりつつある。このため、SOI基板及び歪シリコンの導入が検討され、特にSOI基板上に歪シリコンを導入した基板が究極の基板と考えられ、研究が進められている。
【0003】
第1の方法としてSOI基板とSiGeエピ技術との組み合わせが提供されている。例えば、SOI基板上にSiGeエピタキシャル層を形成してSiGe層の歪緩和を起こし、その上にSiエピタキシャル層を形成して歪Siとする方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。第2の方法として酸素イオン注入分離法(SIMOX)により埋め込み酸化膜上に歪緩和SiGe層を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。第3の方法としてSOI基板上にSiGe膜を形成し、その後に酸化雰囲気の熱処理によりGeを下方拡散させつつ薄膜濃縮化させて歪緩和を行う方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。第4の方法としてSOI基板上にSiGe膜を形成し、熱処理にSiGe層を溶融し、その後にGeを拡散させつつSiGe層を固化させることにより歪緩和を行う方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。第5の方法として、歪Si/SiGe−SOI基板の形成方法が開示されている(例えば、特許文献4及び5参照。)。第6の方法として、貼り合わせ法による埋め込み酸化膜上に歪Siのみ存在させる歪Si−SOI基板の形成法が発表されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−169926号公報
【特許文献2】
特開平9−321307号公報
【特許文献3】
特開2000−243946号公報
【特許文献4】
特願平10−116473号
【特許文献5】
特開2003−031495号
【非特許文献1】
2002年国際固体素子・材料コンファレンス(ISSDM2002)(名古屋)予稿集9−10頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1〜5の方法は、Si基板上に形成された絶縁層上に緩和したSiGe層を形成してその上に更に歪Siを形成する方法である。従って絶縁膜上にSiGe層があり、SOI基板をデバイスとして使用する場合には、Ge汚染に対する対策が必要である。
一方、第6の方法は、Si基板上に形成された絶縁層上に歪Siのみが形成されるけれども、貼り合わせ法により歪Si−SOI基板を作製するため、厚膜の歪Si/SiGe層をエピタキシャル成長する必要があると同時に、貼り合わせ工程、剥離工程、薄膜化工程等が必要になり、製造コストを押上げる欠点を有する。
【0006】
本発明の目的は、歪Si層表面が平坦で欠陥が少なくかつ絶縁層上に歪Si層しか有しない歪Si−SOI基板を簡便に製造する方法を提供することにある。本発明の別の目的は、この方法により製造された歪Si−SOI基板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、(a) Si基板11上に絶縁層12及びこの絶縁層12上に厚さ50nm以上の単結晶Si層13を有するSOI基板10を用意する工程と、(b) このSOI基板10のSi層13上にSiGe混晶層14を形成する工程と、(c) このSiGe混晶層14上に保護膜16を形成する工程と、(d) この絶縁層12とSi層13の界面又は界面近傍にイオン濃度のピークが位置するように水素又はヘリウムのイオンを注入する工程と、(e) このイオン注入した基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、950℃以上でシリコンの融点未満の温度で熱処理してSiGe混晶層14を溶融するとともにSi層13の一部にGeを拡散する工程と、(f) 工程(e)の基板を降温して溶融したSiGe混晶層19を固化する工程と、(g) この固化したSiGe混晶層(19a)及びGeがSi層の一部に拡散して形成されたSiGe混晶層(20)を保護膜(16)とともに除去して絶縁層(12)上の歪Si層(13a)を露出させる工程とを含むことを特徴とする。
この請求項1に係る方法では、工程(e)の熱処理によりSiGe混晶層14を溶融するとともにSi層13の一部にGeが拡散してSiGe混晶層20となる。同時にイオン注入した水素又はヘリウムが熱処理中に単結晶Si層13と絶縁層12との結合力を弱め、SiGe混晶層14が歪緩和するのを容易にする。その結果、所定の厚さで残留する単結晶Si層13が歪緩和したSiGe混晶層に格子整合して歪Si層13aとなる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(d)と工程(e)の間でイオン注入した基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、400〜650℃で30分〜6時間熱処理して注入した水素又はヘリウムを除去することを特徴とする。
この請求項2に係る方法では、イオン注入後に上記条件で熱処理することにより、注入した水素又はヘリウムを基板から除去するとともに緩和率を向上することができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(b)のSiGe混晶層14がエピタキシャル層であることを特徴とする。
この請求項3に係る方法では、工程(b)のSiGe混晶層14をエピタキシャル層にすることにより、SiGe混晶層14と歪Si層13との界面を平坦にし、欠陥を減らすことができる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(b)のSiGe混晶層14がアモルファス層であることを特徴とする。
この請求項4に係る方法では、工程(b)のSiGe混晶層14をアモルファス層にすることにより、工程(e)においてSiGe混晶層の溶解及びGeのSi層への拡散がそれぞれより容易になる。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(c)の保護膜16がSi層又は気相成長法により形成されたSiO2膜であることを特徴とする。請求項6に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(c)の保護膜16がSi層及びこのSi層上に気相成長法により形成されたSiO2膜からなる複合膜であることを特徴とする。
この請求項5又は6に係る方法では、保護膜をSi層又はSi層とSiO2膜の複合膜とすることにより、熱処理時にSiGe混晶層表面からGeが飛散して失われるのを防止するとともにSiGe混晶層の面荒れを防ぐ効果がある。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれか1項に記載の方法により製造され、Si基板11上に絶縁層12及びこの絶縁層12上に厚さ10nm以上100nm未満の歪Si層13aを有する歪Si−SOI基板21である。
本発明の方法で製造された歪Si−SOI基板は歪Si層表面が平坦で欠陥が少なくかつ絶縁層上に歪Si層しか有しない。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の歪Si−SOI基板は次の方法により製造される。先ず図1(a)に示すように、Si基板11上に絶縁層12及びこの絶縁層12上に単結晶Si層13を有するSOI基板10を用意する。このSOI基板としては、薄膜化される活性ウェーハと支持ウェーハを貼合わせて作製される貼り合わせSOI基板や、ウェーハ表面より酸素イオンを注入してウェーハ表面から所定の深さの領域に埋込み酸化膜層(Buried OXide、BOX層)を形成するSIMOX(Separation by IMplanted OXygen)法によるSOI基板がある。ここで、貼り合わせSOI基板には、活性ウェーハ側を機械加工及び化学エッチング、気相エッチング等によりウェーハの薄膜化処理したものや、活性ウェーハの所定の深さの領域に水素イオンを注入し、この注入層を起点としてウェーハを面平行に分割するスマートカット法によるものや、或いは貼り合わせ後の分割面にあらかじめ多孔質のポリSi層を形成しておくELTRAN法によるものがある。
SOI基板10のSi層13の厚さは50nm以上である。SIMOX法によるSOI基板のSi層の厚さは50〜100nmの範囲に設定され、貼り合わせ法によるSOI基板のSi層の厚さは50〜500nm又はそれ以上である。50nm未満では、後述するGeがSi層の一部に拡散するときに、未拡散部分のSi層を確保するのが困難であるからである。絶縁層12としてはSiO2膜が例示される。
【0014】
次いで図1(b)に示すように、SOI基板10のSi層12上にSiGe混晶層14を形成する。このSiGe混晶層14は、SOI基板10を分子線エピタキシ(以下、MBEという。)装置内に設置した後、シリコンとゲルマニウムを供給することにより、Si層12上にエピタキシャル層として形成される。このエピタキシャル層のSiGe混晶層は、結晶層でもよいが、後述するSiGe混晶層の溶解及びGeのSi層への拡散をそれぞれより容易にするために、アモルファス層であることが好ましい。SiGe混晶層は、MBE法以外に、CVD法により形成してもよい。
次に図1(c)に示すように、SiGe混晶層14上に保護膜16を形成する。この保護膜16は、Si層であるか、SiO2膜であるか、或いはSi層とこのSi層上に形成されたSiO2膜とからなる複合膜である。保護膜がSi層である場合、後述する熱処理を酸化性雰囲気で行うときに、酸化膜(SiO2膜)を形成して、Geの飛散防止を図るとともにSiGe混晶層表面の面荒れを防ぐ。また熱処理後のSiGe混晶層のGe濃度を設定するために使用する。保護膜がSiO2膜又はSi層とSiO2膜との複合膜である場合、熱処理を不活性ガス雰囲気で行うときに、Geの飛散防止を図る。保護膜としてのSi層又はSiO2膜或いはこれらの複合膜は、気相成長法によりSi層上に形成される。この気相成長法としては、MBE法、UHV−CVD法(超高真空化学気相堆積法)、CVD法等が例示される。MBE法で保護膜を形成する場合には、SiGe混晶層を形成した後にゲルマンガスの供給を停止して、Si層が形成される。このゲルマンガスの供給を停止してSi層を形成した後、基板をMBE装置から取り出し、電気炉に入れて酸化性雰囲気中、900℃以下の温度でこのSi層の全部又は一部を酸化してSiO2膜又は複合膜を形成することもできる。
【0015】
次に図1(d)に示すように、絶縁層12とSi層13の界面又は界面近傍にイオン濃度のピークが位置するように水素又はヘリウムのイオンを注入する。ピーク位置を界面にする理由は、イオン注入が絶縁層上のSi層とSiGe混晶層の緩和を促進するために行われ、緩和が絶縁層とSi層との界面で生じる必要があるからである。またピーク位置はこの界面近傍の絶縁層中又はSi層中でもよい。ピーク位置を界面近傍のSi層中にした場合には緩和しないSiと緩和したSiとの界面に格子定数の違いに応じた応力が働き易い。従ってピーク位置を界面近傍の絶縁層中にする方が好ましい。ピーク位置を界面近傍の絶縁層中にした場合であって、絶縁層がシリコン酸化膜のときには、1000℃以上の高温熱処理でこのシリコン酸化膜に粘弾性が生じ、シリコン酸化膜内で格子のすべりが生じても欠陥を発生せずに吸収する。ここで界面又は界面近傍とは、界面から0〜30nmの範囲が例示される。水素イオン(H+)の場合には、好ましくは1×1014atoms/cm2以上、より好ましくは5×1014atoms/cm2〜1×1017atoms/cm2のドーズ量でイオン注入する。水素イオンの注入に代えて、或いは水素イオンの注入とともに、ヘリウムイオン(He+)を注入してもよい。この場合、ヘリウムイオンのドーズ量は好ましくは1×1013atoms/cm2以上、より好ましくは3×1013atoms/cm2〜3×1016atoms/cm2である。ここで、図1(d)中の符号17はイオン濃度のピーク位置を含むイオン注入領域であり、このイオン注入領域17は絶縁層12とSi層13の界面に平行に形成される。イオン注入後、注入した水素又はヘリウムを基板から除去するために、酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、400〜650℃で30分〜6時間熱処理することが好ましい。
【0016】
次に図1(e)に示すように、イオン注入した基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、950℃以上でシリコンの融点未満(例えば1410℃)の温度で熱処理する。本発明で熱処理時の酸化性雰囲気とは酸素100%ガス雰囲気、酸素含有ガス雰囲気であり、不活性ガス雰囲気とは窒素ガス、Arガス、Heガス等の雰囲気である。熱処理温度は、後述する当該の固化したSiGe混晶層のGe濃度に応じた固相線より低い温度に設定する。更に熱処理時間はSOI基板の単結晶Si層13全体がSiGe層とならず、所定の厚さで単結晶Siを残すような時間設定とする。即ち、好ましい熱処理条件は、SiGe混晶層14が全て溶融し、かつSi層13の一部がSiGe混晶層となる温度に設定する。例えばSiGe混晶層の厚さが100nmでGe濃度が40%であって、更に絶縁層上のSi層の厚さが100nmでGeを含まないSi層の厚さを40nmに設定する場合には、温度は1120℃に設定し、熱処理時間は10分間とする。Si層のうちGeが拡散していない部分が次に述べる歪Si層13aの厚さとなる。
この熱処理によりSiGe混晶層14を溶融するとともにSi層13の一部にGeが拡散してSiGe混晶層20となる。同時にイオン注入した水素又はヘリウムが熱処理中に単結晶Si層13と絶縁層12との結合力を弱め、SiGe混晶層14が歪緩和するのを容易にする。その結果所定の厚さで残留する単結晶Si層13が歪緩和したSiGe混晶層に格子整合して歪Si層13aとなる。図1(e)の区切り線18より上の領域はSiGe混晶層の溶融領域19であり、区切り線18より下の領域はSi層13の一部にGeが拡散した領域20である。なお、上記熱処理を行う前に、ウェーハ裏面やウェーハの面取り部を研磨加工又は酸エッチング処理して、残留するGeを除去しておくことが好ましい。
【0017】
次に図1(f)に示すように、上記基板を降温して溶融したSiGe混晶層19を固化し、結晶層のSiGe混晶層19a及び20を得る。更に図1(g)に示すように、これらのSiGe混晶層19a及び20を保護膜16とともに除去して絶縁層12上の単結晶の歪Si層13aをSi層13の厚さより小さい厚さにする。これにより歪Si−SOI基板21が得られる。このSOI基板21の歪Si層13aは低欠陥で平坦な表面を有する。この保護膜16とSiGe混晶層19a及び20の除去方法としては、化学的機械研磨による平坦化加工(CMP、Chemical Mechanical Planarization)、プラズマエッチング、或いは水素ガスと塩化水素ガスの混合ガスによる除去法が例示される。この除去に際しては、SiGe混晶層とSi層とのミキシングが起きないように、温度は800℃以下にしておくことが好ましい。薄膜化の方法として、高濃度のボロンをドーピングしたSiGe混晶層を形成し、薄膜化時にこのSiGe混晶層をストップ層としてストップエッチングにより除去する方法を用いてもよい。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1〜5及び比較例1>
SIMOX法で作製された直径200mmのp型SOIウェーハを12枚用意した。単結晶Si層及び絶縁層である埋め込み酸化膜の膜厚は、それぞれ100nm及び140nmである。次に12枚のSOIウェーハを洗浄して、分子線エピタキシ装置にロードした。分子線エピタキシ装置内で高真空状態で表面を正常化させた後、室温でGeを50%含むアモルファス層からなるSiGe混晶層を50nm堆積した。この基板を取り出しプラズマCVD装置で50nmのシリコン酸化膜を形成した。続いて、上記シリコン酸化膜を形成したSOIウェーハ10枚をイオン注入装置にロードし、単結晶Si層と埋め込み酸化膜の界面近傍に注入量を5×1014atoms/cm2(実施例1)、1×1015atoms/cm2(実施例2)、5×1015atoms/cm2(実施例3)、1×1016atoms/cm2(実施例4)及び1×1017atoms/cm2(実施例5)の5条件で各2枚ずつに水素イオンを注入した。残りの2枚は水素イオン注入せず、比較例1とした。続いて、これら12枚のウェーハを熱処理炉にて窒素ガス雰囲気下で1150℃で1.5時間熱処理した後、降温した。実施例1〜5及び比較例1の各1枚ずつのウェーハについて、SiGe混晶層をシリコン酸化膜とともにCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残したSOIウェーハを得た。
【0019】
<比較試験と評価その1>
(1) 熱処理炉で熱処理した後の実施例1〜5及び比較例1のウェーハ(図1(f)に相当)を1枚ずつ採取し、ウェーハ表面のシリコン酸化膜をHFで除去して、SiGe混晶層をRaman散乱で評価した。その結果を表1に示す。水素イオン注入量が5×1014atoms/cm2の実施例1のSOIウェーハでは、熱処理後に形成されたSiGe混晶層の緩和率は60%であった。また水素イオン注入量が1×1015atoms/cm2以上の実施例2〜5のSOIウェーハでは、熱処理後に形成されたSiGe混晶層は完全に緩和していた(緩和率100%)。一方、水素イオン注入しなかった比較例1のSOIウェーハでは、その緩和率は50%であった。
(2) 熱処理炉で熱処理した後の実施例3のウェーハ(図1(f)に相当)の表面のシリコン酸化膜をHFで除去した後、SIMS(二次イオン質量スペクトル分析)で分析した。その結果、当初100nmの厚さを有していた単結晶Si層は40nmの厚さになり、Ge濃度40%のアモルファス層からなる厚さ100nmのSiGe混晶層はGe濃度25%で厚さ160nmのSiGe混晶層になっていた。図2(a)にGe濃度が40%で厚さ100nmのアモルファス層からなるSiGe混晶層を単結晶Si層上に有するSOIウェーハを示し、図2(b)に熱処理によりGe濃度が25%で厚さ160nmのSiGe混晶層を有するSOIウェーハを示す。
(3) SiGe混晶膜をCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残した実施例1〜5及び比較例1のSOIウェーハ(図1(g)に相当)を2分割して一方の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)で測定した。その結果、20μm□の測定面積で、全てのウェーハの平均粗さ(rms)は1nm以下であった。
(4) 次に上記(2)で表面粗さを測定した実施例1〜5及び比較例1のSOIウェーハ(図1(g)に相当)の表面を希釈seccoエッチングし、50%HF液に30分浸漬した。その後微分干渉顕微鏡で欠陥を計測した。その結果を表1に示す。水素イオン注入しなかった比較例1のウェーハの欠陥密度が4.5×104個/cm2であったのに対して、低いドーズ量で水素イオン注入した実施例1のウェーハの欠陥密度が2.2×103個/cm2であり、高いドーズ量で水素イオン注入した実施例2〜5のウェーハの欠陥密度は、全て1×103個/cm2以下であった。
(5) 更にSiGe混晶膜をCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残した実施例1〜5及び比較例1のSOIウェーハ(図1(g)に相当)を2分割した残りのウェーハについて、X線回折装置(高分解能X線回折装置)で2結晶法で(004)と(511)との回折強度を測定してSi層の格子歪み量を評価した。その結果を表1に示す。水素イオン注入しなかった比較例1のSi層の格子歪み量が0%であったのに対して、低いドーズ量で水素イオン注入した実施例1のSi層の格子歪み量が+0.6%であり、高いドーズ量で水素イオン注入した実施例2〜5のSi層の格子歪み量は+1%であり、除去したSiGe層のGe濃度に従って、Si層が引っ張り状態にあることが判った。
【0020】
【表1】
【0021】
<実施例6〜10及び比較例2>
SIMOX法で作製された直径200mmのp型SOIウェーハを12枚用意した。単結晶Si層及び絶縁層である埋め込み酸化膜の膜厚は、それぞれ80nm及び140nmである。次に12枚のSOIウェーハを洗浄して、分子線エピタキシ装置にロードした。分子線エピタキシ装置内で高真空状態で表面を正常化させた後、室温でGeを90%含むアモルファス層からなるSiGe混晶層を50nm堆積した。この基板を取り出しプラズマCVD装置で50nmのシリコン酸化膜を形成した。続いて、上記シリコン酸化膜を形成したSOIウェーハ10枚をイオン注入装置にロードし、単結晶Si層と埋め込み酸化膜の界面近傍に注入量を5×1014atoms/cm2(実施例6)、1×1015atoms/cm2(実施例7)、5×1015atoms/cm2(実施例8)、1×1016atoms/cm2(実施例9)及び1×1017atoms/cm2(実施例10)の5条件で各2枚ずつに水素イオンを注入した。残りの2枚は水素イオン注入せず、比較例2とした。続いて、これら12枚のウェーハを熱処理炉にて窒素ガス雰囲気下で1000℃で2時間熱処理した後、降温した。実施例6〜10及び比較例2の各1枚ずつのウェーハについて、SiGe混晶層をシリコン酸化膜とともにCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残したSOIウェーハを得た。
【0022】
<比較試験と評価その2>
(1) 熱処理炉で熱処理した後の実施例6〜10及び比較例2のウェーハ(図1(f)に相当)を1枚ずつ採取し、ウェーハ表面のシリコン酸化膜をHFで除去して、SiGe混晶層をRaman散乱で評価した。その結果を表2に示す。水素イオン注入量が5×1014atoms/cm2の実施例6のSOIウェーハでは、熱処理後に形成されたSiGe混晶層の緩和率は60%であった。また水素イオン注入量が1×1015atoms/cm2以上の実施例7〜10のSOIウェーハでは、熱処理後に形成されたSiGe混晶層は完全に緩和していた(緩和率100%)。一方、水素イオン注入しなかった比較例2のSOIウェーハでは、その緩和率は50%であった。
(2) 熱処理炉で熱処理した後の実施例7のウェーハ(図1(f)に相当)の表面のシリコン酸化膜をHFで除去した後、SIMSで分析した。その結果、当初80nmの厚さを有していた単結晶Si層は60nmの厚さになり、Ge濃度90%のアモルファス層からなる厚さ50nmのSiGe混晶層はGe濃度65%で厚さ70nmのSiGe混晶層になっていた。図3(a)にGe濃度が90%で厚さ50nmのアモルファス層からなるSiGe混晶層を単結晶Si層上に有するSOIウェーハを示し、図3(b)に熱処理によりGe濃度が65%で厚さ70nmのSiGe混晶層を有するSOIウェーハを示す。
(3) SiGe混晶膜をCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残した実施例6〜10及び比較例2のSOIウェーハ(図1(g)に相当)を2分割して一方の表面粗さをAFMで測定した。その結果、20μm□の測定面積で、全てのウェーハの平均粗さ(rms)は1nm以下であった。
(4) 次に上記(2)で表面粗さを測定した実施例6〜10及び比較例2のSOIウェーハ(図1(g)に相当)の表面を希釈seccoエッチングし、50%HF液に30分浸漬した。その後微分干渉顕微鏡で欠陥を計測した。その結果を表1に示す。水素イオン注入しなかった比較例2のウェーハの欠陥密度が4.5×105個/cm2であったのに対して、低いドーズ量で水素イオン注入した実施例6のウェーハの欠陥密度が4.3×103個/cm2であり、高いドーズ量で水素イオン注入した実施例7〜10のウェーハの欠陥密度は、全て1×103個/cm2以下であった。
(5) 更にSiGe混晶膜をCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残した実施例6〜10及び比較例2のSOIウェーハ(図1(g)に相当)を2分割した残りのウェーハについて、X線回折装置(高分解能X線回折装置)で2結晶法で(004)と(511)との回折強度を測定してSi層の格子歪み量を評価した。その結果を表2に示す。水素イオン注入しなかった比較例2のSi層の格子歪み量が0%であったのに対して、低いドーズ量で水素イオン注入した実施例6のSi層の格子歪み量が+1.8%であり、高いドーズ量で水素イオン注入した実施例7〜10のSi層の格子歪み量は+2.6%であり、除去したSiGe層のGe濃度に従って、Si層が引っ張り状態にあることが判った。
【0023】
【表2】
【0024】
以上述べた実施例では、シリコン酸化膜をCVD法で作成しているが、MBE装置内でSiGe膜形成後にSiを形成した後にウエーハを取り出し電気炉で900℃以下の酸化雰囲気で堆積したSi膜を酸化しても良い。
また、実施例ではSiGe膜の除去法としてCMPを採用したが、プラズマエッチや水素ガスと塩酸ガスの混合ガスでSiGe膜を除去しても差し支えない。但し、温度はSiGe層とSi層との界面ミクシングガ起きない温度、例えば800℃以下での実施が望ましい。ウエーハの裏面や面取り面のGe残留する可能性があり、熱処理前に裏面や面取り面を研磨加工又は酸エッチング処理して残留Geを除去しても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、歪Si層表面が平坦で欠陥が少なくかつ絶縁層上に歪Si層しか有しない歪Si−SOI基板を簡便に製造することができる。またこの歪Si−SOI基板はSiGe混晶層を有しないため、この基板をデバイス工程で使用したときに、デバイス工程をGeで汚染するおそれがなく、Ge汚染を防止するための特別の設備をデバイス工程に要しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歪Si−SOI基板の製造するまでの各工程での断面図。
【図2】(a)実施例3におけるSiGe混晶層形成後のSOIウェーハの断面図。
(b)実施例3における熱処理後のSOIウェーハの断面図。
【図3】(a)実施例7におけるSiGe混晶層形成後のSOIウェーハの断面図。
(b)実施例7における熱処理後のSOIウェーハの断面図。
【符号の説明】
10:SOI基板
11:Si基板
12:絶縁層
13:単結晶Si層
13a:歪Si層
14:SiGe混晶層
16:保護膜
19:溶融したSiGe混晶層
19a:固化したSiGe混晶層
20:GeがSi層に拡散形成されたSiGe混晶層
21:歪Si−SOI基板
【発明の属する技術分野】
本発明は高性能半導体装置用の歪Si−SOI(Silicon−On−Insulator)基板の製造方法及びこの方法により製造された歪Si−SOI基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコンMOSデバイスは、スケーリング則に従った微細化や動作電圧の低減を行うことにより、高速化と低消費電力化を両立してきた。しかし、ゲート長が100nm以下の領域となると、上記の両立が困難となりつつある。このため、SOI基板及び歪シリコンの導入が検討され、特にSOI基板上に歪シリコンを導入した基板が究極の基板と考えられ、研究が進められている。
【0003】
第1の方法としてSOI基板とSiGeエピ技術との組み合わせが提供されている。例えば、SOI基板上にSiGeエピタキシャル層を形成してSiGe層の歪緩和を起こし、その上にSiエピタキシャル層を形成して歪Siとする方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。第2の方法として酸素イオン注入分離法(SIMOX)により埋め込み酸化膜上に歪緩和SiGe層を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。第3の方法としてSOI基板上にSiGe膜を形成し、その後に酸化雰囲気の熱処理によりGeを下方拡散させつつ薄膜濃縮化させて歪緩和を行う方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。第4の方法としてSOI基板上にSiGe膜を形成し、熱処理にSiGe層を溶融し、その後にGeを拡散させつつSiGe層を固化させることにより歪緩和を行う方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。第5の方法として、歪Si/SiGe−SOI基板の形成方法が開示されている(例えば、特許文献4及び5参照。)。第6の方法として、貼り合わせ法による埋め込み酸化膜上に歪Siのみ存在させる歪Si−SOI基板の形成法が発表されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−169926号公報
【特許文献2】
特開平9−321307号公報
【特許文献3】
特開2000−243946号公報
【特許文献4】
特願平10−116473号
【特許文献5】
特開2003−031495号
【非特許文献1】
2002年国際固体素子・材料コンファレンス(ISSDM2002)(名古屋)予稿集9−10頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1〜5の方法は、Si基板上に形成された絶縁層上に緩和したSiGe層を形成してその上に更に歪Siを形成する方法である。従って絶縁膜上にSiGe層があり、SOI基板をデバイスとして使用する場合には、Ge汚染に対する対策が必要である。
一方、第6の方法は、Si基板上に形成された絶縁層上に歪Siのみが形成されるけれども、貼り合わせ法により歪Si−SOI基板を作製するため、厚膜の歪Si/SiGe層をエピタキシャル成長する必要があると同時に、貼り合わせ工程、剥離工程、薄膜化工程等が必要になり、製造コストを押上げる欠点を有する。
【0006】
本発明の目的は、歪Si層表面が平坦で欠陥が少なくかつ絶縁層上に歪Si層しか有しない歪Si−SOI基板を簡便に製造する方法を提供することにある。本発明の別の目的は、この方法により製造された歪Si−SOI基板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、(a) Si基板11上に絶縁層12及びこの絶縁層12上に厚さ50nm以上の単結晶Si層13を有するSOI基板10を用意する工程と、(b) このSOI基板10のSi層13上にSiGe混晶層14を形成する工程と、(c) このSiGe混晶層14上に保護膜16を形成する工程と、(d) この絶縁層12とSi層13の界面又は界面近傍にイオン濃度のピークが位置するように水素又はヘリウムのイオンを注入する工程と、(e) このイオン注入した基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、950℃以上でシリコンの融点未満の温度で熱処理してSiGe混晶層14を溶融するとともにSi層13の一部にGeを拡散する工程と、(f) 工程(e)の基板を降温して溶融したSiGe混晶層19を固化する工程と、(g) この固化したSiGe混晶層(19a)及びGeがSi層の一部に拡散して形成されたSiGe混晶層(20)を保護膜(16)とともに除去して絶縁層(12)上の歪Si層(13a)を露出させる工程とを含むことを特徴とする。
この請求項1に係る方法では、工程(e)の熱処理によりSiGe混晶層14を溶融するとともにSi層13の一部にGeが拡散してSiGe混晶層20となる。同時にイオン注入した水素又はヘリウムが熱処理中に単結晶Si層13と絶縁層12との結合力を弱め、SiGe混晶層14が歪緩和するのを容易にする。その結果、所定の厚さで残留する単結晶Si層13が歪緩和したSiGe混晶層に格子整合して歪Si層13aとなる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(d)と工程(e)の間でイオン注入した基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、400〜650℃で30分〜6時間熱処理して注入した水素又はヘリウムを除去することを特徴とする。
この請求項2に係る方法では、イオン注入後に上記条件で熱処理することにより、注入した水素又はヘリウムを基板から除去するとともに緩和率を向上することができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(b)のSiGe混晶層14がエピタキシャル層であることを特徴とする。
この請求項3に係る方法では、工程(b)のSiGe混晶層14をエピタキシャル層にすることにより、SiGe混晶層14と歪Si層13との界面を平坦にし、欠陥を減らすことができる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(b)のSiGe混晶層14がアモルファス層であることを特徴とする。
この請求項4に係る方法では、工程(b)のSiGe混晶層14をアモルファス層にすることにより、工程(e)においてSiGe混晶層の溶解及びGeのSi層への拡散がそれぞれより容易になる。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(c)の保護膜16がSi層又は気相成長法により形成されたSiO2膜であることを特徴とする。請求項6に係る発明は、請求項1に係る発明であって、工程(c)の保護膜16がSi層及びこのSi層上に気相成長法により形成されたSiO2膜からなる複合膜であることを特徴とする。
この請求項5又は6に係る方法では、保護膜をSi層又はSi層とSiO2膜の複合膜とすることにより、熱処理時にSiGe混晶層表面からGeが飛散して失われるのを防止するとともにSiGe混晶層の面荒れを防ぐ効果がある。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれか1項に記載の方法により製造され、Si基板11上に絶縁層12及びこの絶縁層12上に厚さ10nm以上100nm未満の歪Si層13aを有する歪Si−SOI基板21である。
本発明の方法で製造された歪Si−SOI基板は歪Si層表面が平坦で欠陥が少なくかつ絶縁層上に歪Si層しか有しない。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の歪Si−SOI基板は次の方法により製造される。先ず図1(a)に示すように、Si基板11上に絶縁層12及びこの絶縁層12上に単結晶Si層13を有するSOI基板10を用意する。このSOI基板としては、薄膜化される活性ウェーハと支持ウェーハを貼合わせて作製される貼り合わせSOI基板や、ウェーハ表面より酸素イオンを注入してウェーハ表面から所定の深さの領域に埋込み酸化膜層(Buried OXide、BOX層)を形成するSIMOX(Separation by IMplanted OXygen)法によるSOI基板がある。ここで、貼り合わせSOI基板には、活性ウェーハ側を機械加工及び化学エッチング、気相エッチング等によりウェーハの薄膜化処理したものや、活性ウェーハの所定の深さの領域に水素イオンを注入し、この注入層を起点としてウェーハを面平行に分割するスマートカット法によるものや、或いは貼り合わせ後の分割面にあらかじめ多孔質のポリSi層を形成しておくELTRAN法によるものがある。
SOI基板10のSi層13の厚さは50nm以上である。SIMOX法によるSOI基板のSi層の厚さは50〜100nmの範囲に設定され、貼り合わせ法によるSOI基板のSi層の厚さは50〜500nm又はそれ以上である。50nm未満では、後述するGeがSi層の一部に拡散するときに、未拡散部分のSi層を確保するのが困難であるからである。絶縁層12としてはSiO2膜が例示される。
【0014】
次いで図1(b)に示すように、SOI基板10のSi層12上にSiGe混晶層14を形成する。このSiGe混晶層14は、SOI基板10を分子線エピタキシ(以下、MBEという。)装置内に設置した後、シリコンとゲルマニウムを供給することにより、Si層12上にエピタキシャル層として形成される。このエピタキシャル層のSiGe混晶層は、結晶層でもよいが、後述するSiGe混晶層の溶解及びGeのSi層への拡散をそれぞれより容易にするために、アモルファス層であることが好ましい。SiGe混晶層は、MBE法以外に、CVD法により形成してもよい。
次に図1(c)に示すように、SiGe混晶層14上に保護膜16を形成する。この保護膜16は、Si層であるか、SiO2膜であるか、或いはSi層とこのSi層上に形成されたSiO2膜とからなる複合膜である。保護膜がSi層である場合、後述する熱処理を酸化性雰囲気で行うときに、酸化膜(SiO2膜)を形成して、Geの飛散防止を図るとともにSiGe混晶層表面の面荒れを防ぐ。また熱処理後のSiGe混晶層のGe濃度を設定するために使用する。保護膜がSiO2膜又はSi層とSiO2膜との複合膜である場合、熱処理を不活性ガス雰囲気で行うときに、Geの飛散防止を図る。保護膜としてのSi層又はSiO2膜或いはこれらの複合膜は、気相成長法によりSi層上に形成される。この気相成長法としては、MBE法、UHV−CVD法(超高真空化学気相堆積法)、CVD法等が例示される。MBE法で保護膜を形成する場合には、SiGe混晶層を形成した後にゲルマンガスの供給を停止して、Si層が形成される。このゲルマンガスの供給を停止してSi層を形成した後、基板をMBE装置から取り出し、電気炉に入れて酸化性雰囲気中、900℃以下の温度でこのSi層の全部又は一部を酸化してSiO2膜又は複合膜を形成することもできる。
【0015】
次に図1(d)に示すように、絶縁層12とSi層13の界面又は界面近傍にイオン濃度のピークが位置するように水素又はヘリウムのイオンを注入する。ピーク位置を界面にする理由は、イオン注入が絶縁層上のSi層とSiGe混晶層の緩和を促進するために行われ、緩和が絶縁層とSi層との界面で生じる必要があるからである。またピーク位置はこの界面近傍の絶縁層中又はSi層中でもよい。ピーク位置を界面近傍のSi層中にした場合には緩和しないSiと緩和したSiとの界面に格子定数の違いに応じた応力が働き易い。従ってピーク位置を界面近傍の絶縁層中にする方が好ましい。ピーク位置を界面近傍の絶縁層中にした場合であって、絶縁層がシリコン酸化膜のときには、1000℃以上の高温熱処理でこのシリコン酸化膜に粘弾性が生じ、シリコン酸化膜内で格子のすべりが生じても欠陥を発生せずに吸収する。ここで界面又は界面近傍とは、界面から0〜30nmの範囲が例示される。水素イオン(H+)の場合には、好ましくは1×1014atoms/cm2以上、より好ましくは5×1014atoms/cm2〜1×1017atoms/cm2のドーズ量でイオン注入する。水素イオンの注入に代えて、或いは水素イオンの注入とともに、ヘリウムイオン(He+)を注入してもよい。この場合、ヘリウムイオンのドーズ量は好ましくは1×1013atoms/cm2以上、より好ましくは3×1013atoms/cm2〜3×1016atoms/cm2である。ここで、図1(d)中の符号17はイオン濃度のピーク位置を含むイオン注入領域であり、このイオン注入領域17は絶縁層12とSi層13の界面に平行に形成される。イオン注入後、注入した水素又はヘリウムを基板から除去するために、酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、400〜650℃で30分〜6時間熱処理することが好ましい。
【0016】
次に図1(e)に示すように、イオン注入した基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、950℃以上でシリコンの融点未満(例えば1410℃)の温度で熱処理する。本発明で熱処理時の酸化性雰囲気とは酸素100%ガス雰囲気、酸素含有ガス雰囲気であり、不活性ガス雰囲気とは窒素ガス、Arガス、Heガス等の雰囲気である。熱処理温度は、後述する当該の固化したSiGe混晶層のGe濃度に応じた固相線より低い温度に設定する。更に熱処理時間はSOI基板の単結晶Si層13全体がSiGe層とならず、所定の厚さで単結晶Siを残すような時間設定とする。即ち、好ましい熱処理条件は、SiGe混晶層14が全て溶融し、かつSi層13の一部がSiGe混晶層となる温度に設定する。例えばSiGe混晶層の厚さが100nmでGe濃度が40%であって、更に絶縁層上のSi層の厚さが100nmでGeを含まないSi層の厚さを40nmに設定する場合には、温度は1120℃に設定し、熱処理時間は10分間とする。Si層のうちGeが拡散していない部分が次に述べる歪Si層13aの厚さとなる。
この熱処理によりSiGe混晶層14を溶融するとともにSi層13の一部にGeが拡散してSiGe混晶層20となる。同時にイオン注入した水素又はヘリウムが熱処理中に単結晶Si層13と絶縁層12との結合力を弱め、SiGe混晶層14が歪緩和するのを容易にする。その結果所定の厚さで残留する単結晶Si層13が歪緩和したSiGe混晶層に格子整合して歪Si層13aとなる。図1(e)の区切り線18より上の領域はSiGe混晶層の溶融領域19であり、区切り線18より下の領域はSi層13の一部にGeが拡散した領域20である。なお、上記熱処理を行う前に、ウェーハ裏面やウェーハの面取り部を研磨加工又は酸エッチング処理して、残留するGeを除去しておくことが好ましい。
【0017】
次に図1(f)に示すように、上記基板を降温して溶融したSiGe混晶層19を固化し、結晶層のSiGe混晶層19a及び20を得る。更に図1(g)に示すように、これらのSiGe混晶層19a及び20を保護膜16とともに除去して絶縁層12上の単結晶の歪Si層13aをSi層13の厚さより小さい厚さにする。これにより歪Si−SOI基板21が得られる。このSOI基板21の歪Si層13aは低欠陥で平坦な表面を有する。この保護膜16とSiGe混晶層19a及び20の除去方法としては、化学的機械研磨による平坦化加工(CMP、Chemical Mechanical Planarization)、プラズマエッチング、或いは水素ガスと塩化水素ガスの混合ガスによる除去法が例示される。この除去に際しては、SiGe混晶層とSi層とのミキシングが起きないように、温度は800℃以下にしておくことが好ましい。薄膜化の方法として、高濃度のボロンをドーピングしたSiGe混晶層を形成し、薄膜化時にこのSiGe混晶層をストップ層としてストップエッチングにより除去する方法を用いてもよい。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1〜5及び比較例1>
SIMOX法で作製された直径200mmのp型SOIウェーハを12枚用意した。単結晶Si層及び絶縁層である埋め込み酸化膜の膜厚は、それぞれ100nm及び140nmである。次に12枚のSOIウェーハを洗浄して、分子線エピタキシ装置にロードした。分子線エピタキシ装置内で高真空状態で表面を正常化させた後、室温でGeを50%含むアモルファス層からなるSiGe混晶層を50nm堆積した。この基板を取り出しプラズマCVD装置で50nmのシリコン酸化膜を形成した。続いて、上記シリコン酸化膜を形成したSOIウェーハ10枚をイオン注入装置にロードし、単結晶Si層と埋め込み酸化膜の界面近傍に注入量を5×1014atoms/cm2(実施例1)、1×1015atoms/cm2(実施例2)、5×1015atoms/cm2(実施例3)、1×1016atoms/cm2(実施例4)及び1×1017atoms/cm2(実施例5)の5条件で各2枚ずつに水素イオンを注入した。残りの2枚は水素イオン注入せず、比較例1とした。続いて、これら12枚のウェーハを熱処理炉にて窒素ガス雰囲気下で1150℃で1.5時間熱処理した後、降温した。実施例1〜5及び比較例1の各1枚ずつのウェーハについて、SiGe混晶層をシリコン酸化膜とともにCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残したSOIウェーハを得た。
【0019】
<比較試験と評価その1>
(1) 熱処理炉で熱処理した後の実施例1〜5及び比較例1のウェーハ(図1(f)に相当)を1枚ずつ採取し、ウェーハ表面のシリコン酸化膜をHFで除去して、SiGe混晶層をRaman散乱で評価した。その結果を表1に示す。水素イオン注入量が5×1014atoms/cm2の実施例1のSOIウェーハでは、熱処理後に形成されたSiGe混晶層の緩和率は60%であった。また水素イオン注入量が1×1015atoms/cm2以上の実施例2〜5のSOIウェーハでは、熱処理後に形成されたSiGe混晶層は完全に緩和していた(緩和率100%)。一方、水素イオン注入しなかった比較例1のSOIウェーハでは、その緩和率は50%であった。
(2) 熱処理炉で熱処理した後の実施例3のウェーハ(図1(f)に相当)の表面のシリコン酸化膜をHFで除去した後、SIMS(二次イオン質量スペクトル分析)で分析した。その結果、当初100nmの厚さを有していた単結晶Si層は40nmの厚さになり、Ge濃度40%のアモルファス層からなる厚さ100nmのSiGe混晶層はGe濃度25%で厚さ160nmのSiGe混晶層になっていた。図2(a)にGe濃度が40%で厚さ100nmのアモルファス層からなるSiGe混晶層を単結晶Si層上に有するSOIウェーハを示し、図2(b)に熱処理によりGe濃度が25%で厚さ160nmのSiGe混晶層を有するSOIウェーハを示す。
(3) SiGe混晶膜をCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残した実施例1〜5及び比較例1のSOIウェーハ(図1(g)に相当)を2分割して一方の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)で測定した。その結果、20μm□の測定面積で、全てのウェーハの平均粗さ(rms)は1nm以下であった。
(4) 次に上記(2)で表面粗さを測定した実施例1〜5及び比較例1のSOIウェーハ(図1(g)に相当)の表面を希釈seccoエッチングし、50%HF液に30分浸漬した。その後微分干渉顕微鏡で欠陥を計測した。その結果を表1に示す。水素イオン注入しなかった比較例1のウェーハの欠陥密度が4.5×104個/cm2であったのに対して、低いドーズ量で水素イオン注入した実施例1のウェーハの欠陥密度が2.2×103個/cm2であり、高いドーズ量で水素イオン注入した実施例2〜5のウェーハの欠陥密度は、全て1×103個/cm2以下であった。
(5) 更にSiGe混晶膜をCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残した実施例1〜5及び比較例1のSOIウェーハ(図1(g)に相当)を2分割した残りのウェーハについて、X線回折装置(高分解能X線回折装置)で2結晶法で(004)と(511)との回折強度を測定してSi層の格子歪み量を評価した。その結果を表1に示す。水素イオン注入しなかった比較例1のSi層の格子歪み量が0%であったのに対して、低いドーズ量で水素イオン注入した実施例1のSi層の格子歪み量が+0.6%であり、高いドーズ量で水素イオン注入した実施例2〜5のSi層の格子歪み量は+1%であり、除去したSiGe層のGe濃度に従って、Si層が引っ張り状態にあることが判った。
【0020】
【表1】
【0021】
<実施例6〜10及び比較例2>
SIMOX法で作製された直径200mmのp型SOIウェーハを12枚用意した。単結晶Si層及び絶縁層である埋め込み酸化膜の膜厚は、それぞれ80nm及び140nmである。次に12枚のSOIウェーハを洗浄して、分子線エピタキシ装置にロードした。分子線エピタキシ装置内で高真空状態で表面を正常化させた後、室温でGeを90%含むアモルファス層からなるSiGe混晶層を50nm堆積した。この基板を取り出しプラズマCVD装置で50nmのシリコン酸化膜を形成した。続いて、上記シリコン酸化膜を形成したSOIウェーハ10枚をイオン注入装置にロードし、単結晶Si層と埋め込み酸化膜の界面近傍に注入量を5×1014atoms/cm2(実施例6)、1×1015atoms/cm2(実施例7)、5×1015atoms/cm2(実施例8)、1×1016atoms/cm2(実施例9)及び1×1017atoms/cm2(実施例10)の5条件で各2枚ずつに水素イオンを注入した。残りの2枚は水素イオン注入せず、比較例2とした。続いて、これら12枚のウェーハを熱処理炉にて窒素ガス雰囲気下で1000℃で2時間熱処理した後、降温した。実施例6〜10及び比較例2の各1枚ずつのウェーハについて、SiGe混晶層をシリコン酸化膜とともにCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残したSOIウェーハを得た。
【0022】
<比較試験と評価その2>
(1) 熱処理炉で熱処理した後の実施例6〜10及び比較例2のウェーハ(図1(f)に相当)を1枚ずつ採取し、ウェーハ表面のシリコン酸化膜をHFで除去して、SiGe混晶層をRaman散乱で評価した。その結果を表2に示す。水素イオン注入量が5×1014atoms/cm2の実施例6のSOIウェーハでは、熱処理後に形成されたSiGe混晶層の緩和率は60%であった。また水素イオン注入量が1×1015atoms/cm2以上の実施例7〜10のSOIウェーハでは、熱処理後に形成されたSiGe混晶層は完全に緩和していた(緩和率100%)。一方、水素イオン注入しなかった比較例2のSOIウェーハでは、その緩和率は50%であった。
(2) 熱処理炉で熱処理した後の実施例7のウェーハ(図1(f)に相当)の表面のシリコン酸化膜をHFで除去した後、SIMSで分析した。その結果、当初80nmの厚さを有していた単結晶Si層は60nmの厚さになり、Ge濃度90%のアモルファス層からなる厚さ50nmのSiGe混晶層はGe濃度65%で厚さ70nmのSiGe混晶層になっていた。図3(a)にGe濃度が90%で厚さ50nmのアモルファス層からなるSiGe混晶層を単結晶Si層上に有するSOIウェーハを示し、図3(b)に熱処理によりGe濃度が65%で厚さ70nmのSiGe混晶層を有するSOIウェーハを示す。
(3) SiGe混晶膜をCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残した実施例6〜10及び比較例2のSOIウェーハ(図1(g)に相当)を2分割して一方の表面粗さをAFMで測定した。その結果、20μm□の測定面積で、全てのウェーハの平均粗さ(rms)は1nm以下であった。
(4) 次に上記(2)で表面粗さを測定した実施例6〜10及び比較例2のSOIウェーハ(図1(g)に相当)の表面を希釈seccoエッチングし、50%HF液に30分浸漬した。その後微分干渉顕微鏡で欠陥を計測した。その結果を表1に示す。水素イオン注入しなかった比較例2のウェーハの欠陥密度が4.5×105個/cm2であったのに対して、低いドーズ量で水素イオン注入した実施例6のウェーハの欠陥密度が4.3×103個/cm2であり、高いドーズ量で水素イオン注入した実施例7〜10のウェーハの欠陥密度は、全て1×103個/cm2以下であった。
(5) 更にSiGe混晶膜をCMPで除去して埋め込み酸化膜上にSi層のみを残した実施例6〜10及び比較例2のSOIウェーハ(図1(g)に相当)を2分割した残りのウェーハについて、X線回折装置(高分解能X線回折装置)で2結晶法で(004)と(511)との回折強度を測定してSi層の格子歪み量を評価した。その結果を表2に示す。水素イオン注入しなかった比較例2のSi層の格子歪み量が0%であったのに対して、低いドーズ量で水素イオン注入した実施例6のSi層の格子歪み量が+1.8%であり、高いドーズ量で水素イオン注入した実施例7〜10のSi層の格子歪み量は+2.6%であり、除去したSiGe層のGe濃度に従って、Si層が引っ張り状態にあることが判った。
【0023】
【表2】
【0024】
以上述べた実施例では、シリコン酸化膜をCVD法で作成しているが、MBE装置内でSiGe膜形成後にSiを形成した後にウエーハを取り出し電気炉で900℃以下の酸化雰囲気で堆積したSi膜を酸化しても良い。
また、実施例ではSiGe膜の除去法としてCMPを採用したが、プラズマエッチや水素ガスと塩酸ガスの混合ガスでSiGe膜を除去しても差し支えない。但し、温度はSiGe層とSi層との界面ミクシングガ起きない温度、例えば800℃以下での実施が望ましい。ウエーハの裏面や面取り面のGe残留する可能性があり、熱処理前に裏面や面取り面を研磨加工又は酸エッチング処理して残留Geを除去しても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、歪Si層表面が平坦で欠陥が少なくかつ絶縁層上に歪Si層しか有しない歪Si−SOI基板を簡便に製造することができる。またこの歪Si−SOI基板はSiGe混晶層を有しないため、この基板をデバイス工程で使用したときに、デバイス工程をGeで汚染するおそれがなく、Ge汚染を防止するための特別の設備をデバイス工程に要しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歪Si−SOI基板の製造するまでの各工程での断面図。
【図2】(a)実施例3におけるSiGe混晶層形成後のSOIウェーハの断面図。
(b)実施例3における熱処理後のSOIウェーハの断面図。
【図3】(a)実施例7におけるSiGe混晶層形成後のSOIウェーハの断面図。
(b)実施例7における熱処理後のSOIウェーハの断面図。
【符号の説明】
10:SOI基板
11:Si基板
12:絶縁層
13:単結晶Si層
13a:歪Si層
14:SiGe混晶層
16:保護膜
19:溶融したSiGe混晶層
19a:固化したSiGe混晶層
20:GeがSi層に拡散形成されたSiGe混晶層
21:歪Si−SOI基板
Claims (7)
- (a) Si基板(11)上に絶縁層(12)及びこの絶縁層(12)上に厚さ50nm以上の単結晶Si層(13)を有するSOI基板(10)を用意する工程と、
(b) 前記SOI基板(10)のSi層(13)上にSiGe混晶層(14)を形成する工程と、
(c) 前記SiGe混晶層(14)上に保護膜(16)を形成する工程と、
(d) 前記絶縁層(12)と前記Si層(13)の界面又は界面近傍にイオン濃度のピークが位置するように水素又はヘリウムのイオンを注入する工程と、
(e) 前記イオン注入した基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、950℃以上でシリコンの融点未満の温度で熱処理して前記SiGe混晶層(14)を溶融するとともに前記Si層(13)の一部にGeを拡散する工程と、
(f) 工程(e)の基板を降温して前記溶融したSiGe混晶層(19)を固化する工程と、
(g) 前記固化したSiGe混晶層(19a)及びGeがSi層の一部に拡散して形成されたSiGe混晶層(20)を保護膜(16)とともに除去して絶縁層(12)上の歪Si層(13a)を露出させる工程と
を含むことを特徴とする歪Si−SOI基板の製造方法。 - 工程(d)と工程(e)の間でイオン注入した基板を酸化性雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、400〜650℃で30分〜6時間熱処理して注入した水素又はヘリウムを除去する請求項1記載の製造方法。
- 工程(b)のSiGe混晶層(14)がエピタキシャル層である請求項1記載の製造方法。
- 工程(b)のSiGe混晶層(14)がアモルファス層である請求項1記載の製造方法。
- 工程(c)の保護膜(16)がSi層又は気相成長法により形成されたSiO2膜である請求項1記載の製造方法。
- 工程(c)の保護膜(16)がSi層及びこのSi層上に気相成長法により形成されたSiO2膜からなる複合膜である請求項1記載の製造方法。
- 請求項1ないし6いずれか1項に記載の方法により製造され、Si基板(11)上に絶縁層(12)及びこの絶縁層(12)上に厚さ10nm以上の歪Si層(13a)を有する歪Si−SOI基板。
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