JP2005050953A - 半導体基板加工用粘着テープ - Google Patents

半導体基板加工用粘着テープ Download PDF

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直哉 織田
Takeshi Marumo
剛 丸茂
Hiroshi Tazawa
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Abstract

【課題】半導体基板加工に際して、PKG表面への粘着剤屑付着が少なく、かつ放射線照射後、ピックアップした際にPKG裏面への付着(糊残り)が少ない半導体基板加工用粘着テープを提供すること。
【解決手段】紫外線及び/又は電子線に対し透過性を有するフィルム基材面上にベース樹脂、放射線重合性化合物、放射線重合性重合開始剤、並びに架橋剤からなる粘着剤を塗布してなる半導体基板加工用粘着テープであって、粘着剤厚みが8〜30μmであり、かつ粘着剤が、ベース樹脂100重量部、放射線重合性化合物20〜100重量部、放射線重合性重合開始剤1〜10重量部及び架橋剤1〜10重量部からなる粘着剤であり、その放射線重合性化合物が、500以上1000以下の分子量を持つ5官能以上のアクリレートモノマーからなることを特徴とする半導体基板加工用粘着テープ。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム基材と粘着剤層とを備える半導体基板加工用粘着テープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体ウエハに貼りつけ、ダイシング、エキスパンティング等を行い、次いで該半導体ウエハを切断したチップをピックアップすると同時にマウンティングする際に用いる半導体ウエハ加工用テープとして、紫外線及び/又は電子線に対し透過性を有する基材上に紫外線及び/又は電子線により重合硬化反応をする粘着剤層が塗布された粘着テープを用い、ダイシング後に紫外線及び/又は電子線を粘着剤層に照射し、粘着剤層を重合硬化反応をさせ、粘着力を低下せしめて切断された半導体ウエハ(チップ)をピックアップする方法が知られている。例えば、特許文献1.2には、粘着剤層を構成する光重合性開始剤として、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート等の分子内に紫外線及び/又は電子線重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個以上有するアクリル樹脂系化合物を用いることが提案されている。
【0003】
しかしながら、最近の技術動向としてウエハを切断するだけでなく樹脂を一括で封止した基板を切断する(切断された基板をパッケージ:PKGという)方法が取られるようになってきた。そこで従来の方法ではダイシング時に粘着強度が不足しPKGが飛散するという不具合が発生したり、強度不足を補うために粘着剤の厚みを増加させた場合、ブレードの回転によってかきとられる粘着剤が多いために、PKG表面に粘着剤屑が付着するという不具合が発生する。また、粘着剤厚みが厚いとピックアップした際にPKG/粘着剤界面で粘着剤が剥離できず、粘着剤自身の破壊が起こり、PKG裏面に粘着剤が残る(糊残り)現象が起こり、不具合となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−196956号公報
【特許文献2】
特開昭60−223139号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、半導体基板加工に際して、PKG表面への粘着剤屑付着が少なく、かつ放射線照射後、ピックアップした際にPKG裏面への粘着剤付着(糊残り)が少ない半導体基板加工用粘着テープを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、紫外線及び/又は電子線に対し透過性を有するフィルム基材面上にベース樹脂、放射線重合性化合物、放射線重合性重合開始剤、並びに架橋剤からなる粘着剤を塗布してなる半導体基板加工用粘着テープであって、粘着剤厚みが8〜30μmであり、かつ粘着剤が、ベース樹脂100重量部、放射線重合性化合物20〜100重量部、放射線重合性重合開始剤1〜10重量部及び架橋剤1〜10重量部からなる粘着剤であり、その放射線重合性化合物が、500以上1000以下の分子量を持つ5官能以上のアクリレートモノマーからなることを特徴とする半導体基板加工用粘着テープである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられる紫外線及び/又は電子線に対して透過性を有するフィルム基材としては、紫外線及び/又は電子線に対して透過性を有するものであれば特に限定されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、エチレン酢ビ共重合体、アイオノマー、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ビニルポリイソプレン、ポリカーボネート等の一般的な熱可塑性樹脂からなる透明フィルムを用いることができる。さらに透明であればこれらの樹脂の混合物からなるフィルムあるいはこれらの樹脂の積層フィルムでもあってもよい。
また粘着剤との密着性を上げるために、これら基材の表面にコロナ処理を行ってもよい。
【0008】
本発明に用いるベース樹脂としては、Tg、分子量等を限定しないが、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、酢酸ビニル等の共重合体が好ましい。
【0009】
本発明に用いる粘着剤中の放射線重合性化合物の混合割合は、ベース樹脂100重量部に対して、放射線重合性化合物が20〜100重量部である。放射線重合性化合物の割合が20重量部未満であると硬化後の粘着力の低下が十分でなくチップのピックアップが困難になり、100重量部を越えると粘着剤層の凝集力が不足し好ましくない。
【0010】
本発明に用いる放射線重合性化合物は、紫外線及び/又は電子線による硬化反応前には半導体基板に対して十分な粘着力を有し、硬化反応後には粘着力が低下し半導体基板(チップ)のピックアップを容易に行うことができる。放射線重合性化合物に5官能以上のアクリレートモノマーを使用するのは硬化後の粘着剤層の架橋密度を上げ、粘着力を十分に低下させるためのであり、チップのピックアップが容易になる。500以上1000以下の分子量を持つ5官能以上のアクリレートモノマーは、2種類の5官能以上アクリレートモノマーを併用しても良い。
【0011】
また放射線重合性化合物である5官能以上アクリレートモノマーとしては、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることができる。
【0012】
本発明に用いる粘着剤中の放射線重合性開始剤の混合割合は、ベース樹脂100重量部に対して、放射線重合性開始剤が1〜10重量部である。1重量部未満であると紫外線及び/又は電子線照射における放射線重合性化合物の硬化反応が乏しくなり粘着力の低下が不十分となりピックアップ時にPKGが取れなくなるので好ましくなく、10重量部を越えると硬化時に架橋反応が短鎖で終点を迎え、分子量の小さなものが残り、パーティクルの原因になることや硬化の粘着力が低すぎるために、PKGのピックアップの際にPKGがテープから外れるので好ましくない。
【0013】
放射線重合性重合開始剤としては、例えば、2−2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。
【0014】
本発明に用いる粘着剤中の架橋剤の混合割合は、ベース樹脂100重量部に対して、1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部である。1重量部未満であると、粘着剤層の凝集力が不足し、PKG表面への糊付着が増加する。また、10重量部を超える量で用いられると、放射線照射前の粘着力が不足し、PKG飛びの原因となり、好ましくない。
【0015】
架橋剤としては、具体的には多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物およびポリイソシアート化合物の三量体、上記ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート化合物の三量体または末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類などで封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0016】
多価イソシアネートの具体例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4−4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2−4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4−4’−ジイソシアネート、ジシキウロヘキシルメタン−2−4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネートなどがあげられる。
【0017】
また本発明の粘着剤には、凝集力を高めるためにロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等の粘着付与剤等を添加しても構わない。
【0018】
さらに上記の粘着剤中に帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止剤を添加することにより、エキスパンド時あるいはピックアップ時に発生する静電気を抑制できるため、チップの信頼性が向上する。帯電防止剤としては、具体的にはアニオン性、カチオン性、非イオン性、ないし両イオン性の一般に公知の界面活性剤、カーボンブラック、銀、ニッケル、アンチモンドープスズ酸化物、スズドープインジウム酸化物などの粉体が用いられる。
【0019】
本発明において、前記粘着剤層の厚さは8〜30μm、好ましくは15〜25μmである。厚みが下限値未満であると、粘着力が充分でなくダイシング時にPKGが飛散する問題があり、上限値を超えるとPKGのピックアップが困難になる。
本発明において、前記粘着剤層を前記基材上に形成し、半導体基板加工用粘着テープを製造するには、粘着剤層を構成する成分をそのまま、または適当な有機溶剤により溶液化し、コンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなど一般に公知の方法に従って適宜の厚みに塗布又は散布等により基材上に塗工し、例えば80〜100℃、30秒〜10分程度加熱処理等で乾燥させることにより得ることができる。
【0020】
本発明の半導体基板加工用粘着テープを使用するには公知の方法を用いることができ、例えば半導体基板加工用粘着テープを半導体基板に貼り付けて固定した後、回転丸刃で半導体基板をチップに切断する。その後、前記加工用粘着テープの基材側から紫外線及び/又は電子線を照射し、次いで専用治具を用いて前記基板加工用粘着テープ放射状に拡大しチップ間を一定間隔に広げた後、PKGをニードル等で突き上げるとともに、真空コレット、エアピンセット等で吸着する方法等によりピックアップすると同時にマウンティングすればよい。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定するものではない。
《実施例1》
アクリル酸ブチル70重量部とアクリル酸2−エチルヘキシル25重量部と酢酸ビニル5重量部とを共重合して得られた重量平均分子量500000の共重合体からなるベース樹脂(A)50重量部とアクリル酸2−エチルヘキシル50重量部とアクリル酸ブチル10重量部、酢酸ビニル37重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル3重量部とを共重合して得られた重量平均分子量300000の共重合体からなるベース樹脂(B)50重量部からなるベース樹脂100重量部に対し、分子量が700の5官能アクリレートモノマー(C)を50重量部、放射線重合性重合開始剤(D)として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを6重量部、ポリイソシアネート系架橋剤(E)を6重量部を配合した粘着剤層となる樹脂溶液を、剥離処理した厚さ38μmのポリエステルフィルムに乾燥後の厚さ(塗工厚み)が25μmになるように塗工し、80℃5分間乾燥した。その後、基材として厚さ100μmのポリエチレンフィルム(タマポリ、SE−620N)をラミネートし、サンプルを作製した。
なお以下の評価は、剥離処理したポリエステルフィルムを剥離した後の半導体加工用粘着テープを用いて実施した。
【0022】
《実施例2》(A)を70重量部、(B)を30重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《実施例3》(A)を30重量部、(B)を70重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《実施例4》 (C)を20重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《実施例5》 (C)を90重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《実施例6》 (D)を2重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《実施例7》 (D)を8重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《実施例8》 (E)を2重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《実施例9》 (E)を8重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《実施例10》塗工厚みを15μmに変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《実施例11》塗工厚みを30μmに変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
【0023】
《比較例1》 (C)を10重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《比較例2》 (C)を120重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《比較例3》 (D)を0.1重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《比較例4》 (D)を20重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《比較例5》 (E)を0.1重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《比較例6》 (E)を20重量部に変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《比較例7》塗工厚みを5μmに変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
《比較例8》塗工厚みを40μmに変えた以外は実施例1と同様の方法でサンプルを作成し、評価した。
【0024】
【表1】
Figure 2005050953
【0025】
【表2】
Figure 2005050953
【0026】
尚、実施例及び比較例の評価は、以下の評価方法を用いた。
(1)放射線照射前粘着力
実施例あるいは比較例において得られた塗工後7日後の粘着フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下で、SUS304鏡面に2kg/cmのゴムローラーを往復させることにより貼り付け、20分放置した後、万能型引っ張り試験機(TENSILON)を用いて剥離強度300mm/minで180゜剥離粘着力を測定した。 JISZ0237準拠。粘着力が7.5N/25mm幅以上のものを合格とした。7.5Nより低い粘着力ではダイシングの際にPKGが飛散する恐れがある。
(2)放射線照射後粘着力
(1)と同様の条件で貼り付け、放置後、基材フィルム側から85mW/cmの高圧水銀灯でライン速度5m/minで紫外線照射した後、同様に180゜剥離粘着力を測定した。粘着力が1N/25mm幅以下のものを合格とした。1N/25mmより高い粘着力ではダイシング後PKGを取ることが出来ない可能性がある。
(3)凝集力
23℃、1時間保持でズレを測定する。JISZ0237準拠で凝集力のズレが、3mm以下のものを合格とした。3mmよりズレが大きい粘着剤では、ダイシングの際にPKG表面に粘着剤付着の問題がある。
(4)PKG飛び
封止材を、粘着テープに保持固定し、ダイシングソー(DISCO製 DAD−651)を用いてスピンドル回転数30,000rpm、カッティングスピード120mm/min.で、5mm□のチップサイズにカット後、粘着テープより剥離したPKGの総数をカウントし、評価した。
評価基準
○:5個以下
×:6個以上
(5)PKG表面・裏面の糊残り
封止材を、粘着テープに保持固定し、ダイシングソー(DISCO製 DAD−2H6M)を用いてスピンドル回転数30,000rpm、カッティングスピード120mm/min.でチップサイズにカット後、PKGを粘着テープより剥離しその表面・裏面の糊残りの状態を実体顕微鏡で観察することにより評価した。
評価基準
○:PKG表面・裏面の糊残りが5個以下のもの
×:PKG表面・裏面の糊残りが10個以上のもの
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体基板加工に際して、PKG表面への糊残りが少なく、かつPKG裏面への糊付着の少ない半導体基板加工用粘着テープが得られる。

Claims (1)

  1. 紫外線及び/又は電子線に対し透過性を有するフィルム基材面上にベース樹脂、放射線重合性化合物、放射線重合性重合開始剤、並びに架橋剤からなる粘着剤を塗布してなる半導体基板加工用粘着テープであって、粘着剤厚みが8〜30μmであり、かつ粘着剤が、ベース樹脂100重量部、放射線重合性化合物20〜100重量部、放射線重合性重合開始剤1〜10重量部及び架橋剤1〜10重量部からなる粘着剤であり、その放射線重合性化合物が、500以上1000以下の分子量を持つ5官能以上のアクリレートモノマーからなることを特徴とする半導体基板加工用粘着テープ。
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