JP2005050550A - 内燃機関用スパークプラグ及びその製造方法 - Google Patents

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JP2005050550A JP2003202779A JP2003202779A JP2005050550A JP 2005050550 A JP2005050550 A JP 2005050550A JP 2003202779 A JP2003202779 A JP 2003202779A JP 2003202779 A JP2003202779 A JP 2003202779A JP 2005050550 A JP2005050550 A JP 2005050550A
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Mamoru Kodera
守 小寺
Akikazu Taido
明和 泰道
Yoshihiro Matsubara
佳弘 松原
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Abstract

【課題】セミ沿面放電による絶縁体の早期消耗・貫通破壊を抑制することができ、且つ沿面接地電極の曲げ加工が容易で安価な内燃機関用スパークプラグ、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の内燃機関用スパークプラグ100は、絶縁体140、中心電極120、主体金具130、及び沿面接地電極110を備えている。このうち、沿面接地電極110は、主体金具130の先端面132から延び主体金具130の軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態の基端部111と、絶縁体140の先端141bより軸線C方向先端側に位置する先端面113と、絶縁体先端部141との間でセミ沿面ギャップG2を形成する内側面114とを有している。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用スパークプラグ、特に、沿面接地電極と絶縁体との間では気中放電し、絶縁体と中心電極との間では絶縁体の先端部表面を経由した沿面放電形態で伝播する火花放電が発生する内燃機関用スパークプラグに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジン性能の改良に伴い、内燃機関用スパークプラグには更なる長寿命化や耐汚損性向上等が求められている。例えば、耐汚損性を改善した内燃機関用スパークプラグとして、セミ沿面放電を生じさせるスパークプラグが知られている(例えば、特許文献1参照)。セミ沿面放電とは、沿面接地電極と絶縁体との間では気中放電し、絶縁体と中心電極との間では絶縁体の先端部表面を経由した沿面放電形態で伝播する火花放電のことをいう。一般に、内燃機関用スパークプラグは、低温環境下で長時間使用されると、いわゆる「燻り」や「かぶり」の状態となり、絶縁体の先端部表面がカーボンなどの導電性汚損物質で覆われて作動不良が生じやすくなる。これに対し、上記のように、セミ沿面放電を生じさせるスパークプラグは、絶縁体の先端部表面に沿う沿面放電によってカーボンなどの汚損物質を焼き切ることができるので、耐汚損性に優れている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−68032号公報(第1図、第2図)
【特許文献2】
特表平11−510958号公報(第1図)
【0004】
ところで、特許文献1のセミ沿面放電型スパークプラグでは、沿面接地電極の先端面が絶縁体先端部に対向しているため、沿面接地電極と絶縁体先端部との間の電界強度が過度に強くなる虞があった。従って、セミ沿面放電により、絶縁体が早期消耗し、あるいは貫通破壊してしまう危険性があった。
これに対し、特許文献2の第1図に示されるセミ沿面放電型スパークプラグでは、沿面接地電極の先端面が絶縁体先端部に対向することなく、さらに、絶縁体先端部の径方向外側にも存在することなく、沿面接地電極のうち中心電極側を向いて沿面接地電極の長手方向に延びる内側面と絶縁体先端部との間でセミ沿面ギャップ(沿面接地電極と絶縁体先端部との最短距離のことを言う)を形成している。これにより、沿面接地電極と絶縁体先端部との間の電界強度が過度に強くならず、セミ沿面放電による絶縁体の早期消耗、貫通破壊を抑制するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献2の第1図に示されるセミ沿面放電型スパークプラグでは、沿面接地電極の内側面と絶縁体先端部との間でセミ沿面ギャップを形成するために、沿面接地電極を2回屈曲させている。このような沿面接地電極の曲げ加工は容易でないため、高価なスパークプラグとなってしまう。このような沿面接地電極の曲げ加工は、スパークプラグを小型化(小径化)するほど困難となる。特に、主体金具のネジ径をM12以下(主体金具の先端外径を10.1mm以下)とした場合には、成形不可能となる虞があった。
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、セミ沿面放電による絶縁体の早期消耗・貫通破壊を抑制することができ、且つ沿面接地電極の曲げ加工が容易で安価な内燃機関用スパークプラグ、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
その解決手段は、軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、上記軸孔に挿設された中心電極であって、上記絶縁体の先端から突出する中心電極先端部を有する中心電極と、筒状の主体金具であって、上記絶縁体の周囲を取り囲み、自身の先端より上記絶縁体が突出するように配置された主体金具と、上記主体金具の先端面に固着された1または複数の沿面接地電極であって、この沿面接地電極と上記中心電極先端部との間に生じさせる火花放電の放電経路の一部に、上記絶縁体のうち上記主体金具の先端よりも先端側に突出する絶縁体先端部の表面に沿う沿面放電経路を含むように、上記絶縁体先端部及び上記中心電極先端部に対する形態を定めてなる沿面接地電極と、を備える内燃機関用スパークプラグであって、上記沿面接地電極は、上記主体金具の上記先端面から延び上記軸線方向先端側ほど上記中心電極に近づく形態の基端部と、上記絶縁体の先端より上記軸線方向先端側に位置する先端面と、上記中心電極側を向いて当該沿面接地電極の長手方向に延びる内側面であって、上記絶縁体先端部との間でセミ沿面ギャップを形成する内側面と、を有する内燃機関用スパークプラグである。
【0008】
本発明の内燃機関用スパークプラグの沿面接地電極は、その先端面が絶縁体の先端より軸線方向先端側に位置し、中心電極側を向いて沿面接地電極の長手方向に延びる内側面と絶縁体先端部との間でセミ沿面ギャップを形成している。このため、沿面接地電極と絶縁体先端部との間の電界強度が過度に強くならず、セミ沿面放電(沿面接地電極と絶縁体との間で気中放電し、絶縁体と中心電極との間では絶縁体先端部の表面に沿って沿面放電する火花放電をいう)による絶縁体の早期消耗、貫通破壊を抑制することができる。
【0009】
ところで、従来の内燃機関用スパークプラグ(特許文献2,Fig.1)の沿面接地電極は、基端部が主体金具の先端面から軸線方向に延びる形状であった。このため、沿面接地電極のうち中心電極側を向いて沿面接地電極の長手方向に延びる内側面と絶縁体先端部との間でセミ沿面ギャップを形成するために、一旦沿面接地電極を中心電極側に屈曲させて、絶縁体先端部に近づける必要があった。
これに対し、本発明の内燃機関用スパークプラグの沿面接地電極は、主体金具の先端面から延び、軸線方向先端側ほど中心電極に近づく形態の基端部を有している。従って、沿面接地電極を中心電極側に屈曲させることなく、沿面接地電極の内側面と絶縁体先端部との間でセミ沿面ギャップを形成することができる。このため、沿面接地電極の形成が容易となり、低コストとなる。
【0010】
さらに、本発明の内燃機関用スパークプラグでは、上記のように沿面接地電極の基端部を中心電極に近づけるために屈曲させる必要がないため、沿面接地電極のセミ沿面ギャップ付近の形状を特許文献2(Fig.1)の形状と同一にする場合は、スパークプラグの軸線方向及び径方向のそれぞれについて、沿面接地電極の長さを短縮することができる。反対に、沿面接地電極を特許文献2(Fig.1)と同じ軸線方向長さにする場合には、特許文献2(Fig.1)の形状よりも緩やかなカーブを描かせこの部分での電界集中を緩和するなど、適切なセミ沿面放電が生じるように、適切な形状を選択する選択範囲を広げることができる。
【0011】
なお、沿面接地電極の基端部は、主体金具の先端面から延び、軸線方向先端側ほど中心電極に近づく形態を有していれば良い。例えば、主体金具の先端面を軸線方向先端側ほど軸線から遠くなる斜面とし、この斜面から垂直に延びる直棒形状の基端部が挙げられる。また、主体金具の先端面を、特許文献2(Fig.1)と同様に軸線方向に垂直な面とするが、沿面接地電極のうち主体金具の先端面と接合する接合端面を基端部の延びる方向に対し斜めにして接合するようにしても良い。また、基端部は直棒形状に限らず、湾曲棒形状としても良い。
また、本発明の内燃機関用スパークプラグとしては、例えば、中心電極との間で火花放電する電極として沿面接地電極のみを有するセミ沿面放電型スパークプラグが挙げられる。また、このセミ沿面放電型スパークプラグに、中心電極先端部との間で気中放電ギャップを形成する気中電極を組合わせたスパークプラグとしても良い。
【0012】
さらに、上記の内燃機関用スパークプラグであって、前記主体金具の前記先端面のうち少なくとも上記沿面接地電極が固着された固着面は、前記軸線方向先端側ほど軸線から遠くなる傾斜を有してなる内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0013】
本発明の内燃機関用スパークプラグは、主体金具の先端面のうち少なくとも沿面接地電極が固着された固着面は、軸線方向先端側ほど軸線から遠くなる傾斜を有している。このため、本発明では、沿面接地電極の基端部が延びる方向を、主体金具の固着面の傾斜角度によって、容易に定めることができる。
なお、本発明の内燃機関用スパークプラグに用いる沿面接地電極の基端部の形態としては、直棒形状を有し、主体金具の固着面と接合する接合端面が基端部の延長方向を向くものが挙げられる。
【0014】
さらに、上記の内燃機関用スパークプラグであって、前記沿面接地電極の前記基端部は、直棒形状であって、上記固着面に対し垂直に固着されてなる内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0015】
本発明の内燃機関用スパークプラグでは、沿面接地電極の基端部は、直棒形状であって、主体金具の固着面に対し垂直に固着されている。これにより、沿面接地電極の基端部が軸線方向先端側ほど中心電極に近づく形態となる。
従って、沿面接地電極の基端部が延びる方向が主体金具の固着面の傾斜角度によって定められるので、基端部の延長方向を精度良く定めることができ、ひいては、沿面放電ギャップの寸法精度が良好となる。また、沿面接地電極の基端部を主体金具の固着面に対し垂直に固着するため、沿面接地電極と主体金具との接続(溶接)が容易となる。
【0016】
さらに、上記の内燃機関用スパークプラグであって、前記沿面接地電極は、前記基端部より先端側で屈曲され、当該沿面接地電極の先端部が、当該沿面接地電極を上記基端部の延長方向に直線状に延ばした仮想沿面接地電極の仮想先端部に比して、前記中心電極から上記内燃機関用スパークプラグの径方向に離れて位置してなる内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0017】
本発明の内燃機関用スパークプラグでは、沿面接地電極は、基端部より先端側で屈曲し、当該沿面接地電極の先端部が、当該沿面接地電極を基端部の延長方向に直線状に延ばした仮想沿面接地電極の仮想先端部に比して、中心電極からスパークプラグの径方向に離れて位置している。このような沿面接地電極の先端部の形状としては、例えば、特許文献2(Fig.1)のように、軸線方向に延びる形状が挙げられる。ところで、特許文献2(Fig.1)では、適切なセミ沿面ギャップを形成しつつ、沿面接地電極の先端部を軸線方向に延びる形状とするために、沿面接地電極を2カ所で屈曲した形態としていた。これに対し、本発明では、沿面接地電極を1カ所だけ屈曲した形態とすることで、適切なセミ沿面ギャップを形成しつつ、沿面接地電極の先端部を軸線方向に延びる形状とすることができる。
【0018】
従って、本発明の内燃機関用スパークプラグについて、沿面接地電極のセミ沿面ギャップ付近の形状を特許文献2(Fig.1)の形状と同一にする場合は、屈曲部分を1カ所削減できる分、スパークプラグの軸線方向及び径方向のそれぞれについて、沿面接地電極の長さを短縮することができる。このため、内燃機関用スパークプラグの小型化(小径化)を図ることができる。反対に、沿面接地電極を特許文献2(Fig.1)と同じ軸線方向長さにする場合には、例えば、屈曲部分の曲げ半径を大きくすることで電界強度を緩和させ、より一層絶縁体の早期消耗、貫通破壊を抑制することができる。
なお、沿面接地電極の先端部の形状は、直棒形状に限らず、湾曲棒形状としてもも良い。
【0019】
さらに、上記の内燃機関用スパークプラグであって、前記沿面接地電極の先端部は、前記軸線方向に延びる直棒形状を有し、前記絶縁体の先端の径方向外側に、上記沿面接地電極の上記先端部が位置してなる内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0020】
本発明の内燃機関用スパークプラグでは、絶縁体の先端の径方向外側に、軸線方向に延びる直棒形状を有する沿面接地電極の先端部が位置する。このようにすることで、特に、セミ沿面ギャップ付近の電界集中を緩和することができ、セミ沿面放電による絶縁体の早期消耗、貫通破壊を抑制することができる。
【0021】
さらに、上記いずれかの内燃機関用スパークプラグであって、前記主体金具の先端外径は10.1mm以下である内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0022】
近年、内燃機関の高出力化に伴って燃焼室内における吸気及び排気バルブの大型化や4バルブ化が検討され、また、エンジンが小型化される傾向から、内燃機関用スパークプラグは小型化を望まれている。しかし、セミ沿面放電型スパークプラグ等の沿面放電するスパークプラグでは、小型化(小径化)するほど絶縁体の肉厚は薄くなる傾向にある。このため、絶縁体の早期消耗・貫通破壊の問題は、特に、主体金具のネジ径をM12以下(主体金具の先端外径を10.1mm以下)とした場合に深刻となる。
【0023】
ところで、スパークプラグを小型化(小径化)するほど、主体金具のうち沿面接地電極が固着される固着面と絶縁体先端部との径方向距離は短くなる。また、主体金具の先端からの絶縁体及び中心電極の突出量が小さくなる傾向にある。これに対し、特許文献2(Fig.1)のように2カ所で屈曲する形態の沿面接地電極では、スパークプラグの軸線方向及び径方向のそれぞれについて、自身の長さを短くするには限界があり、M12以下の小径プラグに適用することは困難であった。
【0024】
これに対し、本発明のスパークプラグでは、前述のように、沿面接地電極について中心電極側に屈曲する部分を削減できる分、スパークプラグの軸線方向及び径方向のそれぞれについて沿面接地電極の長さを短くすることができるので、M12以下の小径プラグについても適切なセミ沿面ギャップを形成することができる。
従って、本発明の内燃機関用スパークプラグは、主体金具の先端外径を10.1mm以下(ネジ径がM12以下の主体金具の先端外径に相当する)としても、沿面接地電極と絶縁体先端部との間の電界強度が過度に強くならず、セミ沿面放電による絶縁体の早期消耗、貫通破壊を抑制することができる。
【0025】
なお、主体金具の先端外径とは、主体金具の先端角部に形成された面取り部を除いた先端の外径をいい、本発明は、主体金具の外側面に取付ネジ部が形成されていない、いわゆるネジなしプラグについても適用できる。
【0026】
さらに、上記いずれかの内燃機関用スパークプラグであって、前記主体金具に固着され、前記中心電極先端部との間で気中放電ギャップを形成する気中電極を有する内燃機関用スパークプラグとすると良い。
【0027】
本発明は、セミ沿面放電型スパークプラグに、中心電極先端部との間で気中放電ギャップを形成する気中電極を組合わせたスパークプラグについても適用することができる。このようなスパークプラグにおいても、セミ沿面放電による絶縁体の早期消耗、貫通破壊を抑制することができる。
なお、気中放電ギャップとは、中心電極先端部と気中電極との最短距離をいう。
【0028】
他の解決手段は、直棒形状を有する1または複数の沿面接地電極を筒状の主体金具の先端面に固着する沿面接地電極固着工程であって、上記沿面接地電極を先端側ほど上記主体金具の軸線に近づく形態とする沿面接地電極固着工程と、上記沿面接地電極を屈曲させる曲げ工程であって、当該沿面接地電極の先端部を上記主体金具の軸線から遠ざける曲げ工程と、を有する内燃機関用スパークプラグの製造方法である。
【0029】
本発明の製造方法では、まず、沿面接地電極固着工程において、直棒形状の沿面接地電極が先端側ほど主体金具の軸線に近づくように、沿面接地電極を主体金具の先端面に固着する。このため、特許文献2(Fig.1)のように、沿面接地電極を主体金具の先端面から軸線方向に延びるように固着した場合に比して、沿面接地電極を中心電極に近づけるために屈曲させる必要がない。従って、本発明の製造方法を用いることで、沿面接地電極を中心電極に近づけるための曲げ工程を削減することができるので、沿面接地電極の曲げ加工が容易となり、製造コストを削減できる。
【0030】
さらに、曲げ工程において、沿面接地電極を屈曲させ、その先端部を主体金具の軸線から遠ざける。これにより、沿面接地電極の先端面と絶縁体先端部とが対向することがなく、沿面接地電極と絶縁体先端部との間の電界強度が過度に強くならず、セミ沿面放電による絶縁体の早期消耗、貫通破壊を抑制することが可能となる。
なお、本発明の曲げ工程によって屈曲した沿面接地電極の先端部の形態としては、例えば、屈曲前と同様に軸線方向先端側ほど軸線に近づく形態であるが、屈曲前に比して、主体金具の軸線より遠くに位置するものが挙げられる。あるいは、さらに先端部を主体金具の軸線から遠ざけて、沿面接地電極の先端部を軸線方向に延びる形状としても良い。あるいは、さらに先端部を主体金具の軸線から遠ざけて、軸線方向先端側ほど軸線から遠ざかる形態としても良い。
【0031】
また、本発明の製造方法では、沿面接地電極の他に、中心電極先端部との間で気中放電ギャップを形成する気中電極を、主体金具の先端面に固着するようにしても良い。例えば、直棒形状の気中電極を主体金具の軸線方向に延びる形態で固着し、その後、当該気中電極を所定の位置で屈曲させ、当該気中電極の先端部を中心電極の先端面と対向させる手法が挙げられる。
【0032】
さらに、上記の内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、前記曲げ工程は、前記沿面接地電極の屈曲位置を位置決めする位置決め部材を、上記沿面接地電極について前記主体金具の軸線側とは反対側の所定の位置に配置する配置工程と、上記沿面接地電極を押圧する押圧部材を、前記主体金具の筒内を挿通させる形態で上記軸線方向先端側に移動させ、当該沿面接地電極を上記軸線方向先端側に押圧して屈曲させる押圧屈曲工程と、を備える内燃機関用スパークプラグの製造方法とすると良い。
【0033】
本発明の曲げ工程は、沿面接地電極の屈曲位置を位置決めする位置決め部材を、沿面接地電極について主体金具の軸線側とは反対側の所定の位置に配置する配置工程と、沿面接地電極を押圧する押圧部材を軸線方向先端側に移動させ、沿面接地電極を軸線方向先端側に押圧する押圧屈曲工程とを備えている。このため、位置決め部材によって定められた所定の屈曲位置で、沿面接地電極を適切に屈曲させることができる。
【0034】
さらに、上記の内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、前記押圧部材は、柱形状で、その中心軸に平行な外側面を有し、前記押圧屈曲工程では、上記押圧部材の中心軸を前記主体金具の軸線に一致させて上記押圧部材を上記軸線方向に移動させ、前記沿面接地電極の先端部を上記押圧部材の上記外側面に沿うように屈曲させる内燃機関用スパークプラグの製造方法とすると良い。
【0035】
本発明の押圧屈曲工程では、柱形状で、その中心軸に平行な外側面を有する押圧部材を用いており、この押圧部材の中心軸を主体金具の軸線に一致させて押圧部材を軸線方向に移動させ、沿面接地電極の先端部を押圧部材の外側面に沿うように屈曲させている。これにより、沿面接地電極の先端部が主体金具の軸線方向に延びるように、当該沿面接地電極を屈曲させることができる。沿面接地電極の先端部の形状をこのようにすることで、より一層セミ沿面ギャップ付近の電界集中を緩和することができ、セミ沿面放電による絶縁体の早期消耗、貫通破壊を抑制することができる。
さらに、このような押圧屈曲工程では、沿面接地電極が複数固着されている場合でも、これらの沿面接地電極を1度に屈曲することができるので、効率よくスパークプラグを製造することができる。
【0036】
さらに、上記の内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、直棒形状の気中電極を前記主体金具の軸線方向に延びる形態で主体金具の先端面に固着する気中電極固着工程を有し、上記気中電極を上記主体金具の軸線方向に延びる形態としたままで、前記押圧屈曲工程を行う内燃機関用スパークプラグの製造方法とすると良い。
【0037】
本発明の製造方法では、気中電極固着工程において、直棒形状の気中電極を主体金具の軸線方向に延びる形態で主体金具の先端面に固着し、この気中電極を主体金具の軸線方向に延びる形態としたままで、押圧屈曲工程を行うようにしている。このように、直棒形状の気中電極を主体金具の軸線方向に延びる形態としたままで、沿面接地電極を押圧屈曲すれば、押圧部材の外側面は気中電極の内側を平行に移動することになるので、押圧部材が気中放電に接触して、誤って気中放電を変形させてしまう危険性がない。従って、本発明の製造方法は、沿面接地電極の他に、気中電極を設けたスパークプラグを製造する場合に好適である。
【0038】
さらに、上記いずれかの内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、前記主体金具の前記先端面のうち少なくとも前記沿面接地電極を固着する固着面を、当該主体金具の前記軸線方向先端側ほど軸線から遠くなる傾斜面に加工する主体金具加工工程を有し、前記沿面接地電極固着工程では、上記沿面接地電極を上記固着面に対し垂直に固着する内燃機関用スパークプラグの製造方法とすると良い。
【0039】
本発明の製造方法では、主体金具の先端面のうち少なくとも沿面接地電極を固着する固着面を、主体金具の軸線方向先端側ほど軸線から遠くなる傾斜面に加工し、沿面接地電極を固着面に対し垂直に固着している。従って、本発明の製造方法では、沿面接地電極の延びる方向を、主体金具の固着面の傾斜角度によって定めることができる。このため、沿面接地電極の延長方向を精度良く定めることができ、ひいては、沿面放電ギャップの寸法精度を良好とすることができる。また、沿面接地電極を主体金具の固着面に対し垂直に固着するため、沿面接地電極と主体金具との接続(溶接)が容易となる。
【0040】
さらに、上記いずれかの内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、前記主体金具の先端外径は10.1mm以下である内燃機関用スパークプラグの製造方法とすると良い。
【0041】
スパークプラグを小型化(小径化)するほど、主体金具の先端面と絶縁体先端部との径方向距離は短くなり、また、主体金具の先端からの絶縁体及び中心電極の突出量は小さくなる傾向にある。従って、適切なセミ沿面ギャップを形成しつつスパークプラグを小型化(小径化)するには、スパークプラグの軸線方向及び径方向のそれぞれについて、沿面接地電極の長さを短くしなければならない。しかし、特許文献2(Fig.1)のように沿面接地電極を2カ所で屈曲する手法では、スパークプラグの軸線方向及び径方向のそれぞれについて沿面接地電極の長さを短くするのに限界があり、M12以下の主体金具(先端外径が10.1mm以下の主体金具)に適用することは困難であった。
【0042】
これに対し、本発明の製造方法では、曲げ工程において、沿面接地電極を1カ所だけ屈曲させることで、適切なセミ沿面ギャップを形成することが可能となる。従って、スパークプラグの軸線方向及び径方向のそれぞれについて沿面接地電極の長さを短くすることができるので、M12以下の小径プラグについても適切なセミ沿面ギャップを形成することができる。
従って、本発明の製造方法を用いることで、主体金具の先端外径が10.1mm以下(ネジ径がM12以下の主体金具の先端外径に相当する)で、且つ沿面接地電極と絶縁体先端部との間の電界強度が過度に強くならず、セミ沿面放電による絶縁体の早期消耗、貫通破壊を抑制できるスパークプラグを製造することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
(実施形態)
本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の内燃機関用スパークプラグ100は、図1に示すように、沿面接地電極110、中心電極120、主体金具130、絶縁体140、及び気中電極150を備えている。この内燃機関用スパークプラグ100は、主体金具130の外側面に形成されているネジ部130bを利用して図示しないエンジンのシリンダヘッドに取り付けられ、使用に供される。
【0044】
ここで、内燃機関用スパークプラグ100の先端側部分(図1のB部)の拡大図を図2に示すと共に、内燃機関用スパークプラグ100ついて詳細に説明する。 絶縁体140はアルミナからなり、主体金具130の軸線C方向に貫通する軸孔140bを有する筒状体である。主体金具130は、外側面に呼びがM10のネジ部130bが形成された筒状の金属体であり、絶縁体140の周囲を間隙を設けて取り囲んでいる。さらに、主体金具130の先端面132は、軸線C方向先端側(図2(a)中下方向)ほど軸線Cから遠くなる傾斜を有している。なお、本実施形態では、主体金具130の先端外径Dは、8.5mmとなっている。
【0045】
中心電極120は、絶縁体140の軸孔140bに挿設され、その先端部121が絶縁体140の先端141bより先端側に突出するように固設された軸状金属体である。この中心電極120を構成する電極母材の金属体としては、Ni耐熱合金、Fe耐熱合金等が挙げられる。また、これら電極母材内にCuまたはCu合金からなる良熱伝導性金属芯が封入されていても良い。なお、内燃機関用スパークプラグ100では、中心電極120の先端に円盤状の金属チップ122がレーザ溶接によって固設されている。この金属チップ122は、例えば、Pt,Ir,Rhなどの貴金属を主成分とする合金や、Wなどの高融点金属を主成分とする合金によって形成される。
【0046】
沿面接地電極110は、例えば、Ni耐熱合金やFe耐熱合金からなる金属体であり、中心電極120を間に挟んで対向する位置に2つ設けられている。具体的には、沿面接地電極110は、主体金具130の先端面132に固着された直棒形状の基端部111と、軸線C方向に延びる直棒形状の先端部112とを有している。そして、先端面113が絶縁体140の先端141bより軸線C方向先端側に位置する形態で、内側面114と絶縁体先端部141(絶縁体140のうち主体金具130の先端131から突出する部分)との間でセミ沿面ギャップG2を形成している。
【0047】
このため、沿面接地電極110と絶縁体先端部141との間の電界強度が過度に強くならず、セミ沿面放電(沿面接地電極110と絶縁体140との間で気中放電し、絶縁体140と中心電極120との間では絶縁体先端部141の表面に沿って沿面放電する火花放電をいう)による絶縁体140の早期消耗、貫通破壊を抑制することができる。なお、セミ沿面ギャップG2とは、沿面接地電極110と絶縁体先端部141との最短距離をいう。
【0048】
さらに、沿面接地電極110の基端部111は、直棒形状を有しており、この基端部111のうち主体金具130の先端面132と接合する接合端面116が、基端部111の延長方向を向いている(換言すれば、接合端面116が、基端部111の軸線に垂直となっている)。そして、沿面接地電極110の接合端面116が先端面132と接する形態で先端面132に対し垂直に固着されている。これにより、沿面接地電極110の基端部111が軸線C方向先端側(図2(a)中下方向)ほど中心電極120に近づく形態となっている。
【0049】
ところで、従来の内燃機関用スパークプラグ(特許文献2,Fig.1)の沿面接地電極は、基端部が主体金具の先端面から軸線方向に延びる形状であった。このため、沿面接地電極の内側面と絶縁体先端部との間でセミ沿面ギャップを形成するために、一旦沿面接地電極を中心電極側に屈曲させて、絶縁体先端部に近づけていた。これに対し、本実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、上述のように、沿面接地電極110の基端部111が軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態となっているので、沿面接地電極110を中心電極120側に屈曲させることなく、沿面接地電極110の内側面114と絶縁体先端部141との間で、適切なセミ沿面ギャップG2を形成することができる。このため、沿面接地電極110の形成が容易となり、低コストとなる。
【0050】
また、スパークプラグを小型化(小径化)するほど、主体金具130の先端面132と絶縁体先端部141との径方向距離は短くなる。また、主体金具130の先端131からの絶縁体140及び中心電極120の突出量が小さくなる傾向にある。このため、特許文献2(Fig.1)のように2カ所で屈曲する形態の沿面接地電極では、スパークプラグの軸線方向及び径方向のそれぞれについて、沿面接地電極の長さを短くするには限界があり、M12以下の小径プラグに適用することは困難であった。
【0051】
これに対し、本実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、沿面接地電極110を中心電極120に近づけるために屈曲させる必要がないため、特許文献2(Fig.1)に比して、軸線C方向及び径方向のそれぞれについて沿面接地電極110の長さを短縮することができる。従って、本実施形態の内燃機関用スパークプラグ100は、主体金具130の先端外径Dを8.5mm(ネジ径がM10の主体金具の先端外径に相当する)としても、適切なセミ沿面ギャップG2を形成することができる。
【0052】
さらに、本実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、絶縁体140の先端141bの径方向外側に、軸線C方向に延びる直棒形状の沿面接地電極110の先端部112が位置している。このようにすることで、特に、セミ沿面ギャップG2付近の電界集中を緩和することができ、より一層セミ沿面放電による絶縁体140の早期消耗、貫通破壊を抑制することができる。
【0053】
気中電極150は金属体であり、主体金具130の先端面132に固着され、先端側ほど細くなる形状の先端部151が中心電極120の先端面120b(金属チップ122の先端面に相当する)に対し平行に配置されている(図3参照)。さらに、気中電極150の先端部151のうち中心電極120の先端面120bと略対向する位置に、金属チップ152がレーザ溶接によって固設されている。これによって、中心電極120の先端面120bと気中電極150の金属チップ152との間で、気中放電ギャップG1が形成される。なお、金属チップ152は、例えば、Pt,Ir,Rhなどの貴金属を主成分とする合金や、Wなどの高融点金属を主成分とする合金によって形成される。
【0054】
このような本実施形態の内燃機関用スパークプラグ100は、次のようにして製造する。但し、内燃機関用スパークプラグ100の要部の製造方法を中心に説明し、公知部分については説明を省略または簡略化する。
まず、主原料にアルミナを使用し、高温で所定の形状に焼成することによって絶縁体140を形成する。また、鋼材を使用し、所定の形状に塑性加工することによって略円筒状の主体金具130を形成する。次いで、主体金具加工工程において、この主体金具130の先端側を切削加工し、軸線C方向先端側ほど軸線Cから遠くなる傾斜となる先端面132を形成する(図4参照)。
【0055】
一方、Ni耐熱合金からなる直棒形状の沿面接地電極110を2つ、気中電極150を1つ用意する。なお、沿面接地電極110のうち主体金具130の先端面132と接合する接合端面116は、直棒形状の沿面接地電極110の延長方向を向くように形成している(換言すれば、接合端面116は、沿面接地電極110の軸線に垂直に形成している)(図4(a)参照)。また、気中電極150のうち主体金具130の先端面132と接合する接合端面156は、直棒形状の気中電極150の延長方向に対し斜めに形成している。詳細には、気中電極150の延長方向を軸線C方向に一致させたときに、接合端面156の傾斜が主体金具130の先端面132の傾斜と一致するようにしている(図5参照)。
【0056】
次に、沿面接地電極固着工程において、図4に示すように、2つの沿面接地電極110を、軸線Cを間に挟んで対向するように(図4(b)参照)、主体金具130の先端面132に固着する。具体的には、それぞれの沿面接地電極110の接合端面116が主体金具130の先端面132と接するようにして、沿面接地電極110を主体金具130の先端面132に対し垂直に配置させた状態で、電気抵抗溶接によって、沿面接地電極110を主体金具130の先端面132に固着する(図4(a)参照)。このようにして、沿面接地電極110は、軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態となる。このように、沿面接地電極110の延びる方向を、主体金具130の先端面132の傾斜角度によって定めることができるため、沿面接地電極110の延長方向を精度良く定めることができる。また、沿面接地電極110を主体金具130の先端面132に対し垂直に固着するため、沿面接地電極110と主体金具130との溶接が容易となる。
【0057】
次いで、気中電極固着工程において、気中電極150を、主体金具130の先端面132のうち2つの沿面接地電極110が固着された固着面132bから90度ずれた位置に固着する(図4(b)参照)。具体的には、図5に示すように、気中電極150の接合端面156が主体金具130の先端面132に接するようにして、気中電極150を軸線C方向に延びるように配置させた状態で、電気抵抗溶接によって、気中電極150を主体金具130の先端面132に固着する。このようにして、気中電極150は、軸線C方向に延びる形態で主体金具130の先端面132に固着される。
【0058】
次に、曲げ工程(配置工程、押圧屈曲工程)において、沿面接地電極110を屈曲し、沿面接地電極110の先端部112を主体金具130の軸線Cから遠ざける。
具体的には、まず、図6に示すように、配置工程において、間隙部212を有するC字形状の位置決め部材210を、沿面接地電極110の外側面115側の所定の位置に配置する。詳細には、位置決め部材210の中心軸を主体金具130の軸線Cに一致させて、位置決め部材210を軸線C方向後端側(図6(a)中上方向)に移動し、気中電極150が位置決め部材210の間隙部212内を挿通する形態で、沿面接地電極110の外側面115に接触させる。これにより、2つの沿面接地電極110の屈曲位置を、精度良く位置決めすることができる。
【0059】
次いで、図7に示すように、押圧屈曲工程において、先端側を円錐形とした略円柱形状の押圧部材220を、主体金具130の筒内を挿通させる形態で、軸線C方向先端側(図7中下方向)に移動させ、沿面接地電極110を軸線C方向先端側に押圧する。詳細には、押圧部材220の中心軸を主体金具130の軸線Cに一致させて、押圧部材220を軸線C方向先端側に移動し、沿面接地電極110の先端部112を押圧部材220の外側面221に沿うように屈曲させる。ところで、押圧部材220の外側面221は、中心軸に平行(従って、軸線Cにも平行)な面であるため、沿面接地電極110を屈曲させたとき、沿面接地電極110の先端部112を主体金具130の軸線C方向に延びる形状にすることができる。なお、押圧部材220の中心軸を主体金具130の軸線Cに一致させているので、2つの沿面接地電極110を1度に屈曲することができ、製造効率が良い。
【0060】
また、押圧部材220によって沿面接地電極110を押圧する際、沿面接地電極110の先端部112が、内側面114に沿う方向であって軸線Cに垂直な方向(図7中紙面に垂直な方向)に移動(屈曲)しないように、沿面接地電極110を固定する固定部を設けるようにすると良い。この固定部としては、例えば、押圧部材220のうち沿面接地電極110の先端部112と係合する部位を、沿面接地電極110が入り込むように、沿面接地電極110よりも僅かに広い幅で溝形状としたものが挙げられる。
【0061】
なお、本実施形態では、直棒形状の気中電極150を軸線C方向に延びる形態で主体金具130の先端面132に固着しているので、沿面接地電極110を押圧屈曲する際、押圧部材220の外側面221は気中電極150より径方向内側を平行に移動することになる。このため、押圧部材220が気中放電150に接触して、誤って気中放電150を変形させてしまう危険性がない。従って、本実施形態の製造方法は、沿面接地電極の他に、気中電極を設けたスパークプラグを製造する場合に、特に好適である。
【0062】
その後、呼びがM10のネジ部130bを主体金具130の外側面に形成する。次いで、絶縁体140、中心電極120、沿面接地電極110及び気中電極150が固着された主体金具130等を組み付ける。これにより、沿面接地電極110の内側面114と絶縁体先端部141との間で、適切なセミ沿面ギャップG2が形成される(図2(a)参照)。次いで、気中電極150の先端部151に、貴金属チップ152をレーザー溶接によって固着する。さらに、気中電極150の先端部151を先端側ほど細くなる形状に成形する。次いで、気中電極150の先端部151が中心電極120の先端面120bと平行になるように、気中電極150を屈曲させる。これにより、気中電極150の金属チップ152と中心電極120の先端面120bとの間で、適切な気中放電ギャップG1が形成される(図3参照)。このようにして、図1に示すような、内燃機関用スパークプラグ100が完成する。
【0063】
(変形形態1)
次に、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100の第1変形形態について説明する。本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ400は、図8に示すように、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100と比較して、沿面接地電極及び気中電極の形状が異なり、その他の部分については同様である。
【0064】
実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、沿面接地電極110の基端部111は、軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態で、直棒形状を有していた(図2(a)参照)。これに対し、本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ400では、図8(a)に示すように、沿面接地電極410の基端部411は、湾曲棒形状となっているが、軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態を有している。このため、本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ400でも、沿面接地電極410を中心電極120側に屈曲させることなく、沿面接地電極410の内側面414と絶縁体先端部141との間で、適切なセミ沿面ギャップG2を形成することができる。
【0065】
このように、沿面接地電極の基端部は、その形状に拘わらず、軸線方向先端側ほど中心電極に近づく形態とすることで、沿面接地電極を中心電極側に屈曲させることなく、沿面接地電極の内側面と絶縁体先端部との間で、適切なセミ沿面ギャップを形成することができる。
【0066】
また、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、図3に示すように、気中電極150の先端部151を中心電極120の先端面120bに対し平行に配置した。これに対し、本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ400では、図8(b)に示すように、気中電極450の先端部451を中心電極120の先端面120bに対し斜めに配置している。このようにすることで、気中電極450の先端部451は、中心電極120の先端面120bの端部(角部)との間で気中放電ギャップG1を形成することとなる。このため、気中放電ギャップG1付近の電界強度が強くなり、気中ギャップG1での火花放電が良好となる。
【0067】
さらに、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、図3に示すように、気中電極150の先端部151に金属チップ152を設け、中心電極120の先端面120bと気中電極150の金属チップ152との間で、気中放電ギャップG1を形成した。これに対し、本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ400では、図8(b)に示すように、気中電極450の先端部451に金属チップ152が設けられていない。このように、貴金属を主成分とする高価な金属チップ152を削減することで、本変形形態1の内燃機関用スパークプラグ400は低コストとなる。
【0068】
(変形形態2)
次に、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100の第2の変形形態について説明する。本変形形態2の内燃機関用スパークプラグ300は、図9に示すように、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100と比較して、沿面接地電極の形状が異なり、その他の部分については同様である。
【0069】
実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、沿面接地電極110は1カ所だけ屈曲した形態で、沿面接地電極110の先端部112を軸線C方向に延びる形状とした(図2(a)参照)。これに対し、本変形形態2の内燃機関用スパークプラグ300では、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100と同様に沿面接地電極310は1カ所だけ屈曲した形態であるが、沿面接地電極310の先端部312は、軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態となっている。しかしながら、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100と同様に、沿面接地電極310の先端部312を、仮想沿面接地電極310kの仮想先端部312kに比して中心電極120から遠くに位置させているので、適切なセミ沿面ギャップG2を形成することができる(図9参照)。
【0070】
(変形形態3)
次に、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100の第3の変形形態について説明する。本変形形態3の内燃機関用スパークプラグ500は、図10に示すように、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100と比較して、主体金具の先端面及び沿面接地電極の形状が異なり、その他の部分については同様である。
【0071】
実施形態の内燃機関用スパークプラグ100では、主体金具130の先端面132を軸線C方向先端側ほど軸線Cから遠くなる斜面とし、この先端面132から基端部111が垂直に延びるように沿面接地電極110を固着した(図2(a)参照)。これにより、沿面接地電極110の基端部111を軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態とした。
これに対し、本変形形態3の内燃機関用スパークプラグ500では、図10に示すように、主体金具530の先端面532を軸線Cに垂直な面とするが、沿面接地電極510の接合端面516を基端部511の延びる方向に対し斜めに形成し、沿面接地電極510の基端部511を軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態としている。
【0072】
このように、本変形形態3の内燃機関用スパークプラグ500においても、実施形態の内燃機関用スパークプラグ100と同様に、沿面接地電極の基端部を軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態としているので、沿面接地電極510を中心電極120側に屈曲させることなく、沿面接地電極510の内側面514と絶縁体先端部141との間でセミ沿面ギャップG2を形成することができる。
【0073】
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態等の内燃機関用スパークプラグ100,300,400では、主体金具130の先端面132全体を、軸線C方向先端側ほど軸線Cから遠くなる斜面とした(図2,図8,図9参照)。しかし、沿面接地電極110,310,410の基端部111.311.411が軸線C方向先端側ほど中心電極120に近づく形態となれば良く、主体金具130の先端面132のうち少なくとも沿面接地電極110が固着された固着面132bを、軸線C方向先端側ほど軸線Cから遠くなる斜面とすれば良い。
【0074】
また、実施形態等の内燃機関用スパークプラグ100,300,400,500では、主体金具130のネジ部130bの呼び径がM10のスパークプラグを用いた。しかし、本発明はM10のスパークプラグに限定されるものではない。
さらに言えば、M12以下のもの、例えば、M12,M8の主体金具を有する内燃機関用スパークプラグに対して特に有効となる。
また、本発明は、主体金具の外側面に取付ネジ部が形成さていない、いわゆるネジなしプラグについても適用することができる。
【0075】
また、実施形態等の内燃機関用スパークプラグ100,300,400,500では、沿面接地電極110を2つ設けたセミ沿面放電型スパークプラグとした。しかし、沿面接地電極は1または複数であれば良く、例えば、接地電極を3つあるいは4つ設けたセミ沿面放電型スパークプラグとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の正面図である。
【図2】実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の先端側を示す図であり、(a)は図1B部の部分断面図、(b)はその上面図である。
【図3】実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の先端側を示す図であり、図2(a)の側面図に相当する。
【図4】実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の製造方法を説明する説明図である。
【図5】実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の製造方法を説明する説明図であり、図4(a)の側面図に相当する。
【図6】実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の製造方法を説明する説明図である。
【図7】実施形態にかかる内燃機関用スパークプラグ100の製造方法を説明する説明図である。
【図8】変形形態1にかかる内燃機関用スパークプラグ400の先端側を示す図であり、(a)は部分断面図、(b)はその側面図である。
【図9】変形形態2にかかる内燃機関用スパークプラグ300の先端側の部分断面図である。
【図10】変形形態3にかかる内燃機関用スパークプラグ500の先端側の部分断面図である。
【符号の説明】
100,300,400,500 内燃機関用スパークプラグ
110,310,410,510 沿面接地電極
111,311,411,511 沿面接地電極の基端部
112,312,412 沿面接地電極の先端部
113 沿面接地電極の先端面
114,414,514 沿面接地電極の内側面
116,516 接合端面
120 中心電極
121 中心電極先端部
130 主体金具
132,532 主体金具の先端面
140 絶縁体
141 絶縁体先端部
210 位置決め部材
220 押圧部材
310k 仮想沿面接地電極
312k 仮想先端部
C 主体金具の軸線
D 主体金具の先端外径
G1 気中放電ギャップ
G2 セミ沿面ギャップ

Claims (13)

  1. 軸線方向に貫通する軸孔を有する筒状の絶縁体と、
    上記軸孔に挿設された中心電極であって、上記絶縁体の先端から突出する中心電極先端部を有する中心電極と、
    筒状の主体金具であって、上記絶縁体の周囲を取り囲み、自身の先端より上記絶縁体が突出するように配置された主体金具と、
    上記主体金具の先端面に固着された1または複数の沿面接地電極であって、この沿面接地電極と上記中心電極先端部との間に生じさせる火花放電の放電経路の一部に、上記絶縁体のうち上記主体金具の先端よりも先端側に突出する絶縁体先端部の表面に沿う沿面放電経路を含むように、上記絶縁体先端部及び上記中心電極先端部に対する形態を定めてなる沿面接地電極と、を備える内燃機関用スパークプラグであって、
    上記沿面接地電極は、
    上記主体金具の上記先端面から延び上記軸線方向先端側ほど上記中心電極に近づく形態の基端部と、
    上記絶縁体の先端より上記軸線方向先端側に位置する先端面と、
    上記中心電極側を向いて当該沿面接地電極の長手方向に延びる内側面であって、上記絶縁体先端部との間でセミ沿面ギャップを形成する内側面と、を有する内燃機関用スパークプラグ。
  2. 請求項1に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記主体金具の前記先端面のうち少なくとも上記沿面接地電極が固着された固着面は、前記軸線方向先端側ほど軸線から遠くなる傾斜を有してなる内燃機関用スパークプラグ。
  3. 請求項2に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記沿面接地電極の前記基端部は、直棒形状であって、上記固着面に対し垂直に固着されてなる内燃機関用スパークプラグ。
  4. 請求項3に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記沿面接地電極は、前記基端部より先端側で屈曲され、当該沿面接地電極の先端部が、当該沿面接地電極を上記基端部の延長方向に直線状に延ばした仮想沿面接地電極の仮想先端部に比して、前記中心電極から上記内燃機関用スパークプラグの径方向に離れて位置してなる内燃機関用スパークプラグ。
  5. 請求項4に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記沿面接地電極の先端部は、前記軸線方向に延びる直棒形状を有し、
    前記絶縁体の先端の径方向外側に、上記沿面接地電極の上記先端部が位置してなる内燃機関用スパークプラグ。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記主体金具の先端外径は10.1mm以下である内燃機関用スパークプラグ。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の内燃機関用スパークプラグであって、
    前記主体金具に固着され、前記中心電極先端部との間で気中放電ギャップを形成する気中電極を有する内燃機関用スパークプラグ。
  8. 直棒形状を有する1または複数の沿面接地電極を筒状の主体金具の先端面に固着する沿面接地電極固着工程であって、上記沿面接地電極を先端側ほど上記主体金具の軸線に近づく形態とする沿面接地電極固着工程と、
    上記沿面接地電極を屈曲させる曲げ工程であって、当該沿面接地電極の先端部を上記主体金具の軸線から遠ざける曲げ工程と、を有する内燃機関用スパークプラグの製造方法。
  9. 請求項8に記載の内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、
    前記曲げ工程は、
    前記沿面接地電極の屈曲位置を位置決めする位置決め部材を、上記沿面接地電極について前記主体金具の軸線側とは反対側の所定の位置に配置する配置工程と、
    上記沿面接地電極を押圧する押圧部材を、前記主体金具の筒内を挿通させる形態で上記軸線方向先端側に移動させ、当該沿面接地電極を上記軸線方向先端側に押圧して屈曲させる押圧屈曲工程と、を備える内燃機関用スパークプラグの製造方法。
  10. 請求項9に記載の内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、
    前記押圧部材は、柱形状で、その中心軸に平行な外側面を有し、
    前記押圧屈曲工程では、上記押圧部材の中心軸を前記主体金具の軸線に一致させて上記押圧部材を上記軸線方向に移動させ、前記沿面接地電極の先端部を上記押圧部材の上記外側面に沿うように屈曲させる内燃機関用スパークプラグの製造方法。
  11. 請求項10に記載の内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、
    直棒形状の気中電極を前記主体金具の軸線方向に延びる形態で主体金具の先端面に固着する気中電極固着工程を有し、
    上記気中電極を上記主体金具の軸線方向に延びる形態としたままで、前記押圧屈曲工程を行う内燃機関用スパークプラグの製造方法。
  12. 請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、
    前記主体金具の前記先端面のうち少なくとも前記沿面接地電極を固着する固着面を、当該主体金具の前記軸線方向先端側ほど軸線から遠くなる傾斜面に加工する主体金具加工工程を有し、
    前記沿面接地電極固着工程では、上記沿面接地電極を上記固着面に対し垂直に固着する内燃機関用スパークプラグの製造方法。
  13. 請求項8〜請求項12のいずれか一項に記載の内燃機関用スパークプラグの製造方法であって、
    前記主体金具の先端外径は10.1mm以下である内燃機関用スパークプラグの製造方法。
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