JP2005049421A - 電子楽器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トランペット形状に構成された電子楽器に組み込まれた空気振動検出器21に口演奏情報入力部12から付与される音声信号の周波数と、同電子楽器に組み付けられた第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作状態の組み合わせとに応じて、発生される楽音信号の音高が決定される。決定された音高の楽音信号は楽音信号発生回路にて形成されて出力される。第1〜第3演奏ピストン25〜27の組み付けられている把持部14に設けた効果操作子を操作することにより、前記発生される楽音信号よりも1オクターブだけ高い楽音信号も形成されて、前記演奏による楽音信号に付加されて出力される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、口演奏情報入力部に口によって与えられる第1演奏情報と、手で操作される複数の演奏操作子の操作状態の組み合わせによって与えられる第2演奏情報とによって指定される音高の楽音信号を発生する電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、トランペット、サックス、ホルン、リコーダなどのアコースティック楽器の演奏態様を模倣した電子楽器が登場してきている。この電子楽器においては、口演奏情報入力部としてのマイクロフォンに入力された音声信号の周波数を第1演奏情報とするとともに、複数の演奏操作子である3本の演奏ピストンの操作状態の組み合わせを第2演奏情報とし、これらの第1および第2演奏情報によって指定される音高の楽音信号を発生するようにしている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−91285号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような電子楽器は、持ち運びおよび取り扱いが簡単であると同時に、安価に構成され得る。しかし、上記電子楽器においては、単一音高の楽音信号しか発生することができず、発生される楽音信号が単調であった。このような問題に鑑み、従来から、この種の電子楽器においても、豊かな楽音信号を発生できるようにすることが望まれていた。
【0005】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、口によって与えられる第1演奏情報を入力するための口演奏情報入力部と、手で操作されて操作状態の組み合わせによって与えられる第2演奏情報を入力するための複数の第1演奏操作子と、第1演奏情報と第2演奏情報とに基づいて発生されるべき楽音信号の音高を決定する音高決定手段と、音高決定手段によって決定された音高を有する第1楽音信号の発生を制御する第1楽音信号発生制御手段とを備えた電子楽器において、複数の異なる音高の楽音信号を同時に発生して豊かな演奏を楽しむことができるようにすることにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、第1演奏操作子とは独立して設けられて手で操作されるべき第2演奏操作子と、第2演奏操作子の操作に応じて、第1楽音信号の周波数とは異なりかつ所定の周波数関係にある第2楽音信号の発生を制御する第2楽音信号発生制御手段とを設けたことにある。この場合、第1楽音信号の音高は、例えば、第2楽音信号の音高とオクターブ関係にある。また、オクターブ関係に限らず、第2楽音信号の音高は、第1楽音信号の音高と所定の度数だけ高い、または所定の度数だけ低い関係にあってもよい。これによれば、演奏者は、第2演奏操作子を操作するだけで、第1楽音信号とは異なる音高の第2楽音信号を第1楽音信号と同時に発生することができる。したがって、この電子楽器によれば、簡単な演奏操作により、複数の異なる音高の楽音信号を同時に発生させて豊かな演奏を楽しむことができる。
【0007】
また、本発明の他の特徴は、第2演奏操作子を、口演奏情報入力部の前方に位置するとともに複数の第1演奏操作子の近傍に位置して演奏者の手で把持される把持部に設けたことにある。これによれば、演奏者は第1演奏操作子を操作する手と同じであって同第1演奏操作子を操作する指と異なる指で第2演奏操作子を操作したり、第1演奏操作子を操作する手と異なる手の指で第2演奏操作子を操作したりすることができる。したがって、この本発明の他の特徴によれば、第1演奏操作子と同時に第2演奏操作子を簡単に操作することができ、演奏性が向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。図1は、同第1実施形に係る電子楽器の外観を示す概略側面図である。
【0009】
この電子楽器は、トランペットの形状を模擬して形成されていて、前後方向に延設された管状の胴体部11を備えている。胴体部11の手前側には口演奏情報入力部12が組み付けられており、同口演奏情報入力部12には、マイクロフォンあるいは薄板に貼着された圧電素子などの空気振動検出器21が組み込まれている。胴体部11の先端側には、胴体部11に対して拡管された管状の楽音発生部13が組み付けられており、同楽音発生部13にはスピーカ22が組み込まれている。胴体部11の側面には、液晶ディスプレイで構成した表示器23が設けられている。
【0010】
胴体部11の中央の下面は平らに形成されており、胴体部11の前側部分の下面には、演奏者がこの電子楽器を手で把持するための箱状の把持部14が固定されている。胴体部11の手前部分の下面には箱状の設定部15が固定されており、この設定部15にはこの電子楽器の演奏モード、発生楽音の音色などを設定するための複数の設定操作子24が配置されている。把持部14および設定部15は、それらの下面にて長尺状の連結部16によって連結されている。この連結部16の先端には、リング17が固定されている。
【0011】
胴体部11の中央の上面も平らに形成されており、同上面には所定の厚みを有する長円状のピストンベースプレート18が固定されている。ピストンベースプレート18には、前後方向に沿って手前側から先端側に向かって第1演奏ピストン25、第2演奏ピストン26および第3演奏ピストン27が上下方向に進退可能に組み付けられている。これらの第1〜第3演奏ピストン25〜27は、図1および図2に示すように、上下に延設されたロッド25a〜27aと、ロッド25a〜27aの上端に固着されて指で押圧操作される円盤状の操作部25b〜27bとをそれぞれ備えている。ロッド25a〜27aの下部はピストンベースプレート18を通過して、把持部14内に侵入し、同把持部14内にて図示しないスプリングにより上方に付勢されるとともに所定の基準位置にて上方への変位が規制されている。
【0012】
第1〜第3演奏ピストン25〜27のロッド25a〜27aの各一側には、ピストンベースプレート18に埋め込まれた発光素子31〜33が設けられている。また、第3演奏ピストン27の前方位置の胴体部11の上面には、演奏者が第1〜第3演奏ピストン25〜27を操作する一方の手の指(例えば、右手の小指)を係止させるための係止片19が固定されている。さらに、把持部14の手前側面には、ノンロックタイプ(すなわち、押圧時にオンし、非押圧時にオフするタイプ)の操作スイッチで構成されて、付加音の発生を指示するための効果操作子28が組み付けられている。
【0013】
次に、胴体部11、把持部14および設定部15などに収容されている電気回路装置について図3のブロック図を用いて説明すると、電気回路装置は、バス40に接続された音声信号入力回路41、スイッチ回路42、表示制御回路43、楽音信号発生回路44、コンピュータ本体部45、メモリ装置46および発光制御回路47を備えている。
【0014】
音声信号入力回路41は、空気振動検出器21から入力した音声信号のピッチ(周波数)を検出するピッチ検出回路41aと、同音声信号の音量レベル(振幅エンベロープ)を検出するレベル検出回路41bとを備えている。スイッチ回路42は、複数の設定操作子24、第1〜第3演奏ピストン25〜27および効果操作子28の操作に連動するスイッチを有し、複数の設定操作子24、第1〜第3演奏ピストン25〜27および効果操作子28の操作を検出する。表示制御回路43は、表示器23の表示状態を制御する。楽音信号発生回路44は、入力される音高データ(キーナンバデータ)、キーオンデータおよびキーオフデータに基づいて楽音信号を生成して、同楽音信号をアンプ48を介してスピーカ22に出力する。なお、音高データは、発生楽音の音高周波数(ピッチ)を表すものであり、半音上昇するごとに「1」ずつ大きくなる。また、キーオンデータおよびキーオフデータは、楽音の発生開始および発生終了をそれぞれ表すものである。
【0015】
コンピュータ本体部45は、CPU、ROM、RAM、タイマなどからなり、プログラムの実行により、この電子楽器の各種動作を制御する。メモリ装置46は、メモリカードなどのような小型かつ比較的大容量の記録媒体からなり、各種プログラムおよび各種演奏データを記憶している。この演奏データは、音高データ、キーオンデータ、キーオフデータなどを時系列的に記憶した楽曲の自動演奏データを構成している。発光制御回路47は、発光素子31〜33の点灯を制御する。
【0016】
また、バス40には、外部機器用インターフェース回路51および通信用インターフェース回路52も接続されている。外部機器用インターフェース回路51は、図示しない接続端子に接続される外部の各種音楽機器と交信して、外部の各種音楽機器に対して各種プログラムおよびデータの入力および出力を可能とする。通信用インターフェース回路52は、図示しない接続端子に接続される通信ネットワーク(例えば、インターネット)を介して外部と交信して、外部(例えば、サーバ)に対して各種プログラムおよびデータの入力および出力を可能とする。
【0017】
上記のように構成した電子楽器の具体的な動作説明に入る前に、この電子楽器の演奏方法について簡単に説明しておく。演奏者は、左手の人差し指が胴体部11の直下であって把持部14の前端面に位置するようにして左手で把持部14を把持し、左手の薬指または小指でリング17を操作するとともに、左手の親指で効果操作子28を操作する。そして、右手の小指を係止片19に係止させ、同右手の人差し指、中指および薬指で第1〜第3演奏ピストン25〜27を押圧操作する。しかしながら、この電子楽器においては、トランペットなどと同様に、第1〜第3演奏ピストン25〜27の非操作状態と操作状態の組み合わせによって発生楽音の音高が指定されるが、この場合における指定音高は、一つではなく、複数の音高の候補が同時に指定される。
【0018】
そして、前記のように、第1〜第3演奏ピストン25〜27を操作した状態で、演奏者は、空気振動検出器21に向かって、発生させようとする楽音の音高周波数に近い周波数を有する音声を発生する。この場合の音声は、例えば「アー」、「ウー」などの単純なものでよく、要は音声が特定の周波数を有していればよい。この音声の発生により、前記第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作によって指定された複数の音高の候補のうちから、前記音声の周波数に最も近い周波数の音高が発生楽音の音高として決定される。そして、前記決定された音高を有する楽音(例えば、トランペット音)が音声に同期して発生される。
【0019】
この音高の指定について図5を用いて説明すると、図中の「演奏ピストン」と表示した左欄には、縦方向に、第1〜第3演奏ピストン25〜27の非操作状態と操作状態との組み合わせからなる8通りの第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作の組み合わせを表示している。この場合、「1」、「2」、「3」は操作されるべき演奏ピストンを第1、第2および第3演奏ピストン25〜27にそれぞれ対応させて示しており、「−」印は操作されるべきでない演奏ピストンを示している。一方、図中の「発音音高」と表示した下欄には、横方向に、発生されるべき楽音の音名を表示している。そして、「発音音高」の上方と「演奏ピストン」の右方の交点位置の○印が、発生されるべき楽音の音高と操作されるべき第1〜第3演奏ピストン25〜27の組み合わせとを対応付けている。したがって、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作の組み合わせにより、発生される楽音の音高候補として、複数の音高が指定される。例えば、第1〜第3演奏ピストン25〜27のいずれも操作されなければ、発生される楽音の音高候補は、「C4」、「G4」、「C5」、「E5」などである。また、第2演奏ピストン26だけが操作されれば、発生される楽音の音高候補は、「B3」、「F#4」、「B4」、「D#5」などである。
【0020】
また、図中の○印の下方の矢印は、空気振動検出器21から入力した音声信号の発生楽音に対する周波数のずれの許容範囲を表示している。この許容範囲は、図中の「入力音高」と表示した上欄に、横方向に表示した音名の周波数に対応している。なお、図中の上欄の「入力音高」の音名と、図中の下欄の「発音音高」との音名とが1オクターブずれているのは、人間の声の音域(男性)とトランペットの発音音域とのずれを補正するためである。また、図中に表示した「無音」は、楽音が発生されないことを意味する。したがって、例えば、第1〜第3演奏ピストン25〜27のいずれも操作されない状態で、「A#2」と「D#3」の間の周波数域の音声を入力すれば「C4」の音高を有する楽音が発生され、「E3」と「A3」の間の周波数域の音声を発生すれば「G4」の音高を有する楽音が発生される。なお、この音声信号の周波数のずれの許容範囲を、設定操作子24の操作によって種々に変更することも可能である。
【0021】
次に、上記のように構成した電子楽器の具体的動作について、図4の機能ブロック図を用いて説明する。なお、この機能ブロック図中のコンピュータ処理部は、コンピュータ本体部45のプログラム処理を機能的に表したものである。まず、メモリ装置46に記憶されている演奏データに基づいて、操作すべき第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作の組み合わせを演奏者に対して指示する演奏ガイドモードについて説明する。この演奏ガイドモードは設定操作子24の操作によって設定されるもので、同モードにおいてはモードデータMD1が“1”に設定されている。この場合、演奏データとしては、メモリ装置46に予め記憶されていたものを用いてもよいし、外部機器用インターフェース回路51を介して外部の音楽機器から入手したものでもよいし、通信用インターフェース回路52および通信ネットワークを介して外部のサーバなどから入手したものでもよい。
【0022】
コンピュータ本体部45のプログラムの実行により、演奏データ読み出し処理部61は、モードデータMD1が“1”であることを条件に、メモリ装置46から音高データ、キーオンデータ、キーオフデータなどを時間経過(楽曲の進行)に従って順次読み出す。この読み出された音高データは、運指変換処理部62にて、演奏者が操作すべき第1〜第3演奏ピストン25〜27の組み合わせを表す運指データに変換される。この運指データの変換処理においては、コンピュータ本体部45のROMまたはメモリ装置46に予め記憶されている運指テーブル62aが参照される。
【0023】
運指テーブル62aは、発生すべき楽音の音高と操作されるべき第1〜第3演奏ピストン25〜27の組み合わせとの関係を示すデータをテーブルの形式で記憶したものである。すなわち、運指テーブルは、図5の「発音音高」欄の各音名に対して、同各音名列の○印と同一行にある第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作の組み合わせを表すデータを運指データとして記憶している。たとえば、発生されるべき楽音の音高(音高データによって表された音高)が「F#3」、「G3」であれば、操作されるべき第1〜第3演奏ピストン25〜27の組み合わせは、それぞれ「第1〜第3ピストン25〜27を操作すること」、「第2ピストン26を非操作状態に保って第1および第3ピストン25,27を操作すること」をそれぞれ表している。
【0024】
運指変換処理部62は、前記変換した運指データを発光制御回路47に供給する。発光制御回路47は、供給された運指データに基づいて発光素子31〜33を点灯制御する。したがって、演奏データ読み出し処理部61によって読み出された音高データに対応した音高の楽音を発生させるために操作されるべき第1〜第3演奏ピストン25〜27が、発光素子31〜33の点灯によって指示される。
【0025】
このような発光素子31〜33の発光指示により、操作すべき第1〜第3演奏ピストン25〜27の組み合わせが演奏者に指示される。一方、演奏者は、前記演奏指示に基づいて第1〜第3演奏ピストン25〜27を押圧操作するとともに、空気振動検出器21に音声を入力して演奏音を発生させる。この場合、演奏者による第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作状態は、スイッチ回路42によって検出されて音高候補抽出処理部63に供給される。音高候補抽出処理部63は、演奏者によって操作された第1〜第3演奏ピストン25〜27の組み合わせに応じて音高候補を抽出する。この音高候補の抽出処理においては、コンピュータ本体部45のROMまたはメモリ装置46に予め記憶されている音高候補テーブル63aが参照される。
【0026】
音高候補テーブル63aは、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作の組み合わせと、発生される可能性のある楽音の音高との関係を表すデータをテーブルの形式で記憶したものである。すなわち、運指テーブルは、図5の「演奏ピストン」欄の第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作の各組み合わせに対して、同各組み合わせを示す行にある○印に対応した「入力音高」欄の複数の音名を表すデータを音高候補データとして記憶している。したがって、音高候補抽出処理部63は、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作の組み合わせによって指定される行中の○印に対応する複数の音高(「入力音高」の欄に示された複数の音高)を音高候補として抽出する。そして、この音高候補を表すデータが音高判定処理部64に供給される。
【0027】
音高判定処理部64は、前記音高候補データに加えて、ピッチ検出回路41aによって検出された演奏者の音声のピッチ(周波数)を表す音声ピッチデータも入力し、音高候補データと音声ピッチデータの両者によって発生楽音の音高を決定する。この音高の決定においては、複数の音高候補データによって表された各音高に対応する周波数の両側に設定された許容範囲(前述した図5の各○印の下の矢印範囲に対応)が考慮されて、音声信号の周波数が属する周波数域が決定される。そして、前記複数の音高候補データによってそれぞれ表された複数の音高の中から、前記決定された周波数域に属する音高が最終的に発生楽音のための音高として判定されて、楽音信号発生回路44に出力される。したがって、例えば、第1〜第3演奏ピストン25〜27のいずれも操作しない状態で、「A#2」と「D#3」の間の周波数域の音声を入力すれば「C4」の音高を表す音高データが楽音信号発生回路44に供給され、「E3」と「A3」の間の周波数域の音声を入力すれば「G4」の音高を表す音高データが楽音信号発生回路44に供給される。
【0028】
一方、発音制御データ生成処理部65は、レベル検出回路41bによって検出された入力音声信号の音量レベル(振幅エンベロープ)を入力する。そして、発音制御データ生成処理部65は、この音量レベルに基づいてキーオンデータおよびキーオフデータを形成して、楽音信号発生回路44に供給する。具体的には、前記検出された音量レベルが所定レベル以上になったときキーオンデータを形成し、同音量レベルが所定レベル未満になったときキーオフデータを形成する。楽音信号発生回路44は、これらの供給された音高データ、キーオンデータおよびキーオフデータに基づいて、音高データによって表された音高を有する楽音信号(例えば、トランペット音色の楽音信号)を生成して、同楽音信号に対応した楽音をアンプ48およびスピーカ22を介して放音する。
【0029】
したがって、この演奏ガイドモード(MD1=“1”)においては、演奏者は発光素子31〜33の発光指示に対応して第1〜第3演奏ピストン25〜27を操作するとともに、空気振動検出器21に音声を入力すれば、楽音を発生させることができる。この場合、第1〜第3演奏ピストン25〜27の組み合わせ操作が難しい楽曲においても、演奏者は発光素子31〜33の発光指示に従って第1〜第3演奏ピストン25〜27を操作すればよいので、所望の楽曲を簡単に演奏できるようになる。
【0030】
また、前記スイッチ回路42によって検出された第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作状態を表すデータは、発光制御回路47にも供給される。発光制御回路47は、この供給されたデータに基づいて発光素子31〜33を点灯制御して、演奏者によって操作された第1〜第3演奏ピストン25〜27に対応した発光素子31〜33を発光させる。したがって、演奏者が第1〜第3演奏ピストン25〜27を指示通りに正確に操作すれば、発光素子31〜33の点灯状態は変化しない。しかし、演奏者が第1〜第3演奏ピストン25〜27を指示通りに正確に操作しなければ、発光素子31〜33の点灯状態は変化するので、この点灯状態の変化により、演奏者は演奏ミスを視覚的にも認識できる。
【0031】
また、上記演奏ガイドモードにおいて、演奏者が設定操作子24を操作することにより、自動演奏音の発生を選択していれば、“1”を表すモードデータMD2が演奏データ読み出し処理部61に供給される。そして、この場合には、演奏データ読出し処理部61が、前記メモリ装置46から読み出した音高データ、キーオンデータ、キーオフデータなどからなる演奏データを、楽音信号発生回路44にも供給する。これにより、楽音信号発生回路44は、これらの音高データ、キーオンデータ、キーオフデータなどに基づいて、音高データに対応した音高の楽音信号(例えば、トランペット音色の楽音信号)を生成する。そして、この楽音信号はアンプ48を介してスピーカ22から発音されるので、前記メモリ装置46から読み出された演奏データに応じた楽曲が自動的に奏でられることになる。これにより、演奏者は、自動演奏による模範演奏を聴きながら、上記演奏を行うこともできる。
【0032】
また、上記自動演奏を伴わないまたは自動演奏を伴う電子楽器の演奏中に、効果操作子28を操作すると、同操作を表す信号HMがスイッチ回路42により検出されてコンピュータ処理部内のゲート処理部66に供給される。ゲート処理部66は、前記信号HMの入力時にのみ、加算処理部67からの音高データを楽音信号発生回路44に供給することを許容する。加算処理部67は、音高判定処理部64からの音高データに「12」を加算して出力、すなわち音高判定処理部64からの音高データよりも1オクターブ分高い音高を表す音高データを出力している。そして、楽音信号発生回路44は、この音高データに対応した音高の楽音信号を、前記発音制御データ生成処理部65からのキーオンデータおよびキーオフデータに従って発生する。そして、この楽音信号も、アンプ48を介してスピーカ22から楽音として発音される。
【0033】
また、この電子楽器においては、演奏ガイドを無くして、すなわち発光素子31〜33の発光を無くして、演奏者が演奏を楽しむことも可能である。この場合、モードデータMD1,MD2も“0”に保たれているので、メモリ装置46から演奏データが読み出されることはない。そして、演奏者は、第1〜第3演奏ピストン25〜27を操作するとともに、口演奏情報入力部12に音声を入力すれば、上記動作説明の場合と同様にして、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作および口演奏情報入力部12への入力音声に対応した音高の楽音が発生される。そして、この場合も、効果操作子28を操作すれば、同効果操作子28の操作中、前記楽音よりも1オクターブ高い楽音が発音される。
【0034】
上記作動説明からも理解できるように、この第1実施形態によれば、効果操作子28を操作中には、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作および口演奏情報入力部12に入力した音声のピッチ(周波数)によって決定される音高の楽音に加えて、同楽音よりも1オクターブ高い楽音が付加される。したがって、この電子楽器によれば、簡単な演奏操作により、複数の異なる音高の楽音信号を同時に発生して豊かな演奏を楽しむことができる。
【0035】
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態に係る電子楽器には、上記第1実施形態のように、効果操作子28の操作中に1オクターブ高い楽音が自動的に付加される発音モード(以下、これを第2発音モードという)に加えて、新たな2つの発音モードが用意されている。1つの発音モードは、効果操作子28が操作されても、1オクターブ高い楽音が発生されない発音モード(以下、これを第1発音モードという)である。また、残りの1つの発音モードは、効果操作子28の操作中には、元の楽音に代えて1オクターブ高い楽音だけが自動的に発生される発音モード(以下、これを第3発音モードという)である。
【0036】
この第2実施形態に係る電子楽器は、構成的には第1実施形態とほぼ同じであるが、コンピュータ本体部45にて実行されるプログラムが第1実施形態と若干異なる。そして、このプログラムにより実現されるコンピュータ処理は、図6の機能ブロック図に示すとおりである。第1〜第3発音モードは設定操作子の操作に応じて設定されるもので、第1発音モードの場合には、モードデータMD3,MD4は共に“0”に設定される。第2発音モードの場合には、モードデータMD3は“1”に設定され、モードデータMD4は“0”に設定される。また、第3発音モードの場合には、モードデータMD3は“0”に設定され、モードデータMD4は“1”に設定される。また、上記第1実施形態においてゲート処理部66に供給された効果操作子28の操作時に“1”となる信号HMは、アンド回路71,72の一方の入力端子に供給され、同アンド回路71,72の他方の入力端子にはモードデータMD3,MD4がそれぞれ供給されている。
【0037】
以下、この第2実施形態の動作を上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第1発音モードでは、モードデータMD3,MD4は共に“0”であるので、アンド回路71,72の出力は、効果操作子28の操作とは無関係に“0”となる。したがって、インバータ回路73の出力は“1”となり、セレクタ処理部74は音高判定処理部64からの音高データをそのまま楽音信号発生回路44に供給し、他の音高データは楽音信号発生回路44に供給されない。したがって、この第1発音モードでは、効果操作子28の操作とは無関係に、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作および口演奏情報入力部12への入力音声に対応した音高の楽音のみが発生される。
【0038】
また、第2発音モードでは、モードデータMD3は“1”であるので、効果操作子28の操作時には、アンド回路71の出力は“1”となり、ゲート処理部66は供給される加算処理部67からの音高データを楽音信号発生回路44に供給する。一方、モードデータMD4は“0”であるので、アンド回路72の出力は、効果操作子28の操作とは無関係に“0”となる。したがって、インバータ回路73の出力は“1”となり、セレクタ処理部74は音高判定処理部64からの音高データをそのまま楽音信号発生回路44に供給する。その結果、この第2発音モードの動作は、上記第1実施形態の場合と同じとなり、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作および口演奏情報入力部12への入力音声に対応した音高の楽音が発生されるとともに、効果操作子28の操作時に1オクターブ高い付加音が付加される。
【0039】
また、第3発音モードでは、モードデータMD3は“0”であるので、効果操作子28の操作とは無関係に、アンド回路71の出力は“0”となり、加算処理部67から音高データが供給されても、ゲート処理部66は同音高データを楽音信号発生回路44に供給しない。一方、モードデータMD4は“1”であるので、アンド回路72の出力は、効果操作子28の操作時にのみ“1”となり、このときインバータ回路73の出力は“0”となる。したがって、効果操作子28が操作されているときには、セレクタ処理部74は加算処理部67からの音高データを楽音信号発生回路44に供給する。しかし、効果操作子28が操作されていなければ、セレクタ処理部74は音高判定処理部64からの音高データをそのまま楽音信号発生回路44に供給する。その結果、この第3発音モードにおいては、効果操作子28が操作されなければ、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作および口演奏情報入力部12への入力音声に対応した音高の楽音が発生される。しかし、効果操作子28が操作されれば、前記楽音よりも1オクターブ高い楽音が発生される、すなわち第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作および口演奏情報入力部12への入力音声によって指定される音高を1オクターブシフトした楽音が発生される。
【0040】
この第2実施形態によれば、上記のような第1〜第3発音モードが選択可能であるので、電子楽器の機能がより向上する。特に、第3発音モードでは、効果操作子28の操作時に、演奏による楽音が単に1オクターブだけ高くシフトされるので、この電子楽器において、音声入力周波数により規定されてしまう高い音高の楽音を指定することが難しい者にとっても、簡単に高い楽音を発生させることができる。
【0041】
以上、本発明の第1および第2実施形態について詳細に説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
【0042】
例えば、上記第1および第2実施形態では、効果操作子28の操作時に発音される楽音の音高を、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作および口演奏情報入力部12への入力音声によって指定される音高よりも1オクターブ高くするようにした。しかし、これに代えて、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作および口演奏情報入力部12への入力音声によって指定される音高よりも1オクターブ低くしたり、所定音程だけ高くまたは低くするようにしてもよい。1オクターブ低くする場合には、上記第1および第2実施形態における加算処理部67を「12」だけ減算する減算処理部に変更すればよい。また、所定音程だけ高くまたは低くする場合には、前記加算処理部に代わる演算処理部にて所定音程に対応した数値だけ加算又は減算処理するようにするとよい。
【0043】
また、上記実施形態では、効果操作子28を、押圧操作と押圧操作解除により2状態(オン・オフ状態)の切換えられるスイッチで構成するようにした。しかし、これに代えて、接触操作および接触解除操作により2状態の切換えられるタッチスイッチで構成してもよい。さらに、押圧操作または接触操作ごとにオン状態とオフ状態の2状態が交互に切り換わるスイッチを用いてよい。これによれば、例えば、効果操作子28を操作し続けなくても、付加音の選択状態を維持できる。
【0044】
さらに、上記第1および第2実施形態においては、効果操作子28は左手の親指で操作されるようにした。しかし、この効果操作子28を把持部14の他の位置または他の部材位置に取り付けて、左手の他の指、または右手のいずれかの指で操作されるようにしてもよい。
【0045】
また、上記第1および第2実施形態では、楽音信号発生回路44は、音高判定処理部64から供給される音高データに対応した音高を有する楽音信号を、発音制御データ生成処理部65から供給されるキーオンデータおよびキーオフデータに基づいて単に発生するようにした。しかし、発音制御データ生成処理部65は、レベル検出回路41bによって検出された入力音声信号の音量レベル(振幅エンベロープ)をも楽音信号発生回路44に供給して、楽音信号発生回路44はこの入力音量レベルに応じた音高を有する楽音信号を発生するようにしてもよい。
【0046】
また、上記第1および第2実施形態の説明では、第1〜第3演奏ピストン25〜27の操作および口演奏情報入力部12への入力音声によって指定される音高の楽音信号と、効果操作子28の操作により発生される前記楽音信号よりも1オクターブ高い楽音信号の音色、音量については詳しく説明しなかった。しかし、これらの2つの楽音信号が同時に発生される場合には、同2つの楽音信号の音色を若干異ならせたり、音量を若干異ならせたり(1オクターブ高い音の音量を小さく)するとよい。
【0047】
また、上記第1および第2実施形態では、演奏操作子として第1〜第3演奏ピストン25〜27を採用したが、これらの第1〜第3演奏ピストン25〜27に代えて、単なる操作スイッチ、タッチスイッチなどで構成されて、発生楽音の音高を決定するための種々の演奏操作子を利用できる。また、演奏操作子の数に関しても、2以上の適宜の整数を採用できる。要するに、本発明は、複数の演奏操作子の操作の組み合わせに応じて発生楽音の音高を決定する種々の電子楽器に適用できるものである。
【0048】
さらに、電子楽器の外形形状および発生楽音の音色に関しても、本発明は、トランペット以外にも、ユーホニウム、ホルン、チューバ等の3,4本の演奏ピストンを有する他の管楽器の楽器形状、またはその他の自然楽器の形状を模擬するとともに、これらの楽器の音色の楽音を発生するようにした電子楽器にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2実施形態に係る電子楽器の外観を示す概略斜視図である。
【図2】把持部、設定部および演奏ピストンを拡大して示す図1の部分拡大正面図である。
【図3】図1の電子楽器に内蔵されている電気回路装置のブロック図である。
【図4】図3のコンピュータ本体部で実行される第1実施形態に係るプログラムを機能的に示す機能ブロック図である。
【図5】音高と運指との関係を示す運指図である。
【図6】図3のコンピュータ本体部で実行される第2実施形態に係るプログラムを機能的に示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
11…胴体部、12…口演奏情報入力部、13…楽音発生部、14…把持部、15…設定部、21…空気振動検出器、22…スピーカ、25〜27…第1〜第3演奏ピストン、28…効果操作子、41…音声信号入力部、44…楽音信号発生回路、45…コンピュータ本体部、46…メモリ装置、61…演奏データ読み出し処理部、62…運指変換処理部、63…音高候補抽出処理部、64…音高判定処理部、65…発音制御データ生成処理部、66…ゲート処理部、67…加算処理部。
Claims (3)
- 口によって与えられる第1演奏情報を入力するための口演奏情報入力部と、
手で操作されて操作状態の組み合わせによって与えられる第2演奏情報を入力するための複数の第1演奏操作子と、
前記第1演奏情報と前記第2演奏情報とに基づいて発生されるべき楽音信号の音高を決定する音高決定手段と、
前記音高決定手段によって決定された音高を有する第1楽音信号の発生を制御する第1楽音信号発生制御手段とを備えた電子楽器において、
前記第1演奏操作子とは独立して設けられて手で操作されるべき第2演奏操作子と、
前記第2演奏操作子の操作に応じて、前記第1楽音信号の周波数とは異なりかつ所定の周波数関係にある第2楽音信号の発生を制御する第2楽音信号発生制御手段とを設けたことを特徴とする電子楽器。 - 前記第2演奏操作子を、前記口演奏情報入力部の前方に位置するとともに前記複数の第1演奏操作子の近傍に位置して演奏者の手で把持される把持部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の電子楽器。
- 前記第2楽音信号の音高は、前記第1楽音信号の音高とオクターブ関係にある請求項1または2に記載の電子楽器。
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