JP4144459B2 - 楽器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばアコースティック管楽器のトランペットのように、複数の演奏操作子操作の組み合わせと演奏者の口操作に応じて発生楽音の音高が決定される楽器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トランペット,ユーフォニウム,チューバ等(以下、トランペット等という)のアコースティック管楽器(生管楽器)は、管長切り替えバルブを開閉する数個のピストンの操作状態によって、管の共振周波数に応じた複数の音高候補を指定し、同時に、マウスピースに押し当てた上下の唇を緊張させてその隙間に呼気圧を与えることにより、管の共振周波数の1つに合致する周波数を有する振動音を与えて楽音を発生させる。
ところが、上述したトランペット等は、C管,Bb管(bはフラットを意味する)など、複数の管種がある。演奏者は、曲に最もふさわしい管種を選択して演奏に臨むのが普通である。一般には3〜8種類、場合によっては12種類の管を持っている。管種の名称は、調名、言い換えれば、音階の主音の音名で表現される。
上述したトランペット等は、管種を変更しても、同じ階名(ドレミ…)であれば、同じ運指となるような管長にしてある。
【0003】
一方、電子音楽装置において、上述したトランペット等の演奏法を模擬して、電子的に楽音を発生するものが登場してきている(特許文献2参照)。
この種の電子音楽装置においては、生トランペット等と同様に、複数の演奏操作子の押圧操作に応じて発生楽器の音高候補が決定され、マイクロフォン等により入力された音声信号の音高に応じて、ある1つの出力音高が決定されて、電子的に発音される。
この場合、管種を変更するために、鍵盤楽器やソプラノサクソフォーン等における移調(特許文献1参照)のように、単にキーをシフトさせることにより、移調後の音高の楽音を発生させようとすると、運指を異ならせなければならない。
しかし、管種毎に異なる運指テーブルを用いるとなると、全ての管種の運指テーブルを記憶しなければならないので、大きな記憶容量を要する。そのため、上述した電子音楽装置において管種を変更するときは、運指テーブルの音高と運指との対応関係をずらせることにより、Bb管などの移調型トランペットに対応させることが示されている。
しかし、具体的な方法については、明示されていなかった。また、演奏ガイドを管種に応じたものにすることは考えられていなかった。
【0004】
【特許文献1】
特公平7−27377号公報
【特許文献2】
特開2003−91284号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、複数の演奏操作子操作の組み合わせと演奏者の口操作に応じて発生楽音の音高が決定されるものであって、複数の管種に適合するようにした楽器を提供することを目的とするものである。
具体的には、管種が変更されても同じ音階音(スケール・ノート:ドレミファソラシド)を同じ複数の演奏操作子操作の組み合わせによって演奏を行える。また、同じ音階音を同じ複数の演奏操作子操作の組み合わせで演奏指示する演奏ガイド制御を行える。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項に記載の発明においては、複数の演奏操作子の組み合わせによる第1入力部と、演奏者の口操作による第2入力部と、によって発生楽音の音高が決定される楽器であって、管種選択手段と、該管種選択手段から管種選択データを入力し、該管種選択データにより指定される管種に対応する音階に応じて音高シフト量を出力する管種変更手段と、前記複数の演奏操作子操作の組み合わせデータに共通のものとして、前記発生楽音の複数の音高候補データを設定し、設定された前記発生楽音の複数の音高候補データを、前記第1入力部から入力された複数の演奏操作子の各組み合わせと前記管種変更手段から出力される音高シフト量に応じて音高シフトさせて、前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データを出力する音高候補抽出手段と、前記第2入力部から前記口操作に応じた音高データを入力し、該口操作に応じた音高データにより指定される音高が、前記音高候補抽出手段から出力される前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データの中の、ある1つの音高候補データにより指定される音高と所定の対応関係にあるときに、前記ある1つの音高候補データを、前記発生楽音の音高データとする音高決定手段を有するものである。
従って、管種が変更されても、楽器自体を交換する必要はなく、管種に対応する音高シフト量に変換して、複数の演奏操作子の組み合わせデータに対応して設定された発生楽音の複数の音高候補データを音高シフトさせるという簡単な構成で、同じ音階音を同じ複数の演奏操作子の組み合わせに従って演奏を行うことができる。発生楽音の複数の音高候補データは複数の演奏操作子操作の組み合わせデータ毎に用意する必要がないので、データ量を少なくできる。
【0008】
あるいは、本発明の楽器は、次のように構成することもできる。
複数の演奏操作子の組み合わせによる第1入力部と、演奏者の口操作による第2入力部と、によって発生楽音の音高が決定される楽器であって、管種選択手段と、該管種選択手段から管種選択データを入力し、該管種選択データにより指定される管種に対応する音階に応じて音高シフト量を出力する管種変更手段と、前記第1入力部から前記複数の演奏操作子操作の組み合わせデータを入力し、該複数の演奏操作子操作の組み合わせデータに対応して、前記発生楽音の複数の音高候補データを設定し、設定された発生楽音の複数の音高候補データを、前記管種変更手段から出力される音高シフト量に応じて音高シフトさせて、前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データを出力する音高候補抽出手段と、前記第2入力部から前記口操作に応じた音高データを入力し、該口操作に応じた音高データにより指定される音高が、前記音高候補抽出手段から出力される前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データの中のある1つの音高候補データにより指定される音高と所定の対応関係にあるときに、前記ある1つの音高候補データを、前記発生楽音の音高データとする音高決定手段、を有することを特徴とする楽器。
【0009】
請求項に記載の発明においては、請求項に記載の楽器において、前記音高候補抽出手段は、前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データを出力する際に、前記管種に応じた複数の音高候補データにより指定される音高に下限を設けるものである。
演奏者の口操作によって入力される音声信号の周波数が低いときには、正確な音高の発声が難しくなり、周囲の低周波雑音の影響により誤動作する可能性も高くなる。従って、不正確な演奏を防止したり、雑音による誤動作を防止したりすることができる。
【0010】
請求項に記載の発明においては、請求項またはに記載の楽器において、前記音高候補抽出手段は、設定された前記発生楽音の各音高候補データにより指定される音高のオクターブ次数に上限を設けるものである。
生トランペット等の発音音域は、高域側において、平均律からのずれが大きくなり、また、発音も難しくなる。従って、オクターブ次数に上限を設けることにより、上述した生トランペット等の演奏に合わせることができる。
【0011】
請求項に記載の発明においては、請求項からまでのいずれか1項に記載の楽器において、前記音高決定手段は、音高シフト手段を有し、該音高シフト手段は、移調指示データを入力し、前記口操作に応じた音高データにより指定される音高を前記移調指示データによりシフトさせるものであり、前記音高決定手段は、前記音高シフト手段によりシフトされた音高が、前記音高候補抽出手段から出力される、前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データの中の、ある1つの音高候補データにより指定される音高であるときに、前記ある1つの音高候補データを、前記発生楽音の音高データとするものである。
男性や子供の場合、演奏者の口操作によって入力される音声信号の音域が、生トランペット等の音域と一致しない場合がある。また、ハーモニー音で演奏したい場合がある。このような場合に、移調指示データを入力することにより、生トランペット等の音域で演奏したり、ハーモニー音の音高で演奏したりできる。
【0012】
請求項に記載の発明においては、請求項1に記載の楽器において、奏進行のための演奏進行入力手段により前記第1入力部の各操作子に対して操作指示する指示手段、を備え、前記指示手段は、前記指示手段で指示する各操作子指示を前記管種選択手段からの管種に対応した音階に対する各操作子指示に変換する変換手段を有し、該変換手段の出力で演奏者によって操作されるべき複数の演奏操作子の組み合わせを指示するようにしたものである。
従って、管種が変更されても、同じ音階音を同じ複数の演奏操作子操作の組み合わせで指示する演奏ガイド制御を行うことができる。
【0013】
上述した請求項に記載の楽器は、より具体的には、次のように構成することができる。
複数の演奏操作子の組み合わせによる第1入力部と、演奏者の口操作による第2入力部と、によって発生楽音の音高が決定される楽器であって、管種選択手段と、該管種選択手段から管種選択データを入力し、該管種選択データにより指定される管種に対応する音階に応じて、管種パラメータの値を出力する管種パラメータ出力手段と、演奏進行のための演奏進行入力手段による演奏の進行に従って音高パラメータの値を入力する手段と、前記管種パラメータおよび前記音高パラメータの関数である「複数の演奏操作子操作の組み合わせ」関数と、前記管種パラメータの値と、前記音高パラメータの値、を入力し、前記「複数の演奏操作子操作の組み合わせ」関数の値を出力する「複数の演奏操作子操作の組み合わせ」決定手段と、前記「複数の演奏操作子操作の組み合わせ」関数の値を入力し、前記複数の演奏操作子操作の組み合わせに対応する音階音に応じて、複数の演奏操作子操作の組み合わせデータに変換し、該複数の演奏操作子操作の組み合わせデータを、前記演奏者が知覚できる方法で前記演奏者によって操作されるべき前記複数の演奏操作子操作の組み合わせを指示する演奏ガイド装置に出力する運指変換処理手段、を有することを特徴とする楽器。
【0014】
あるいは、複数の演奏操作子の組み合わせによる第1入力部と、演奏者の口操作による第2入力部と、によって発生楽音の音高が決定される楽器であって、管種選択手段と、該管種選択手段から管種選択データを入力し、該管種選択データにより指定される管種に対応する音階に応じて音高シフト量を出力する管種変更手段と、音高データと前記複数の演奏操作子操作の組み合わせデータとの対応データを設定し、設定された対応データを、前記管種変更手段から出力される音高シフト量に応じて音高シフトさせて、前記管種に応じた対応データに変換し、演奏進行のための演奏進行入力手段による演奏の進行に従って音高データを入力し、前記管種に応じた対応データに基づいて、前記音高データに対応する複数の演奏操作子操作の組み合わせデータを選択し、選択された複数の演奏操作子操作の組み合わせデータを、前記演奏者が知覚できる方法で前記演奏者によって操作されるべき前記複数の演奏操作子操作の組み合わせを指示する演奏ガイド装置に出力する運指変換処理手段、を有することを特徴とする楽器。
さらに、前記運指変換処理手段は、前記管種に応じた対応データに変換する際に、該対応データに含まれる音高データにより指定される音高に下限を設ける、ことを特徴とする楽器。
また、さらに、前記運指変換処理手段は、設定された前記対応データに含まれる音高データにより指定される音高のオクターブ次数に上限を設ける、ことを特徴とする楽器。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態に係る電子音楽装置の外観図である。
この楽器は、トランペットの管楽器形状を模擬したハウジング10を備えている。ハウジング10は、前後方向(図示左右方向)に長尺に形成されている。前方先端にベル状の開口部1aがあり、図示しないスピーカ27が収容されている。後方の演奏者側にも開口部10bがあり、図示しない空気振動検出器24が取り付けられている。空気振動検出器24は、例えば、一般的なマイクロフォン、あるいは薄板にピエゾ素子が貼り付けられような音響/電気変換器でもよい。
空気振動検出器24は、演奏者の口操作に応じて発生される音声を入力する。あるいは、生トランペットのマウスピースと同様のものを装置に取り付けて、アンブシュアによって空気振動を発生(バズィング)させ、この空気振動を入力するようにしてもよい。
ハウジング10の前後方向の中央上部には、演奏者側から先端側に向かって第1〜第3演奏ピストン11〜13が組み付けられている。
【0016】
また、ハウジング10の中央下部の奏者側には、箱形の第1支持部10cがあり、その右側面は、複数の設定操作子25が設けられた操作パネルとなっている。この操作パネルの上に位置するハウジング10の上部には、表示器26が設けられている。
ハウジング10の内部には、この楽器の作動を制御するための電気回路装置や電池が収容されている。
また、第1〜第3演奏ピストン11〜13の下部には箱形の第2支持部10dがあり、把持部(グリップ)となっている。
第1支持部10cと第2支持部10dの底部とは、アーム部10eで連結され、アーム部10eは前方先端方向に若干突出し、その先端上部に第1の指掛け10fが設置されている。また、第2の指掛け10gが、ハウジング10の中央上部の第3演奏ピストン13の外方に設けられている。
【0017】
第1〜第3演奏ピストン11〜13は、それぞれ、上下に延設されたロッド11a〜11cと、押圧操作される操作部11b〜11cを備えている。ロッド11a〜11cは、ハウジング10の上部にある平板状の支持台14を貫通して、第2支持部10dの方向に進退可能に侵入している。ロッド11a〜11cの各下端部は、第2支持部10d内に設けられたスプリング、ストッパ機構により、下方への押圧に対して上方に付勢されている。
支持台14の右側面には、発光表示器15〜17が埋め込まれている。これらの発光表示器15〜17の下方内部には、発光ダイオードあるいはランプなどで構成された発光素子21〜23が収容されている。
【0018】
図1において、演奏者は、第1〜第3ピストン11〜13を押圧操作するとともに、空気振動検出器24に向かって、発生させようとする音高(後述する移調の設定によっては、発生させようとする音高を所定量だけ正又は負にシフトさせた音高の周波数)に近い周波数を有する音声を発声する。この場合の音声は、例えば「アー」、「ウー」などの単純なものでよく、音声が特定の周波数を有していればよい。
この発声により、音声の周波数が、第1〜第3演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせによって指定される複数の音高候補のいずれかの許容範囲内に含まれるとき、その音高候補の音高が発生楽音の音高として決定され、楽音が、例えばトランペットの音色で発声に同期してスピーカ27から出力される。
【0019】
発音される楽音の音高は、図4,図5を参照して後述する生トランペットの運指図に従う。ただし、入力音声の音高について許容範囲を有しているから音声のピッチが正確でなくても、予め設定された正確な音高で発音される。
図4,図5に示した運指図では、各音高候補を決定するための入力音高の許容範囲を最大限広くしている。すなわち、各音高候補の許容範囲は、この音高候補に対し直近の音高候補の許容範囲と互いに接している。例えば、図4(a)において、「Bb2」の許容範囲と「F3」の許容範囲とは、「G3」と「Eb3」の中間周波数で接している。
許容範囲は、これより小さくしてもよく、1つの音名のみを含む±50セントの許容範囲としてもよい。この場合は、音名のいずれかに丸め込むことに相当する。
許容範囲をさらに小さくして、音名の音高にほぼ一致しなければ発生楽音の音高を決定できないようにしてもよい。許容範囲を外れれば、無音となる。
【0020】
各演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせに応じて、複数の候補音名に対応した複数の音高候補が割り当てられている。この複数の音高候補の中から、入力された音声の音高が、ある1つの音高候補の許容範囲にある音高と一致するときに、この1つの音高候補を、発生する楽音の音高として決定する。
ここで、入力された音声の音高を音高シフトさせた場合は、音高シフト後の音高と一致することを意味する。音高シフト前の、入力されたときの音声の音高であれば、入力された音声の音高が、ある1つの音高候補の許容範囲にある音高と所定の対応関係(音高シフトによって決まる対応関係)にあることが、音高候補を決定する条件となる。
なお、対応関係を任意に定めることも可能である。
【0021】
図2は、図1に示した実施の形態の電子音楽装置に内蔵されている電気回路装置のブロック図である。
音声信号入力回路31は、空気振動検出器24から入力した音声信号のピッチを検出するピッチ検出回路31a、および、この音声信号の音量レベルを検出するレベル検出回路31bを備える。
スイッチ回路32は、第1〜第3演奏ピストン11〜13および複数の設定操作子25のそれぞれの操作に連動する複数のスイッチを有して、各操作を検出する。表示制御回路33は、表示器26の表示内容を制御する。楽音信号発生回路34は、演奏データを入力して楽音信号を生成し、アンプ38を介してスピーカ27に出力する。
【0022】
コンピュータ本体部35は、CPU,ROM,RAMなどからなり、電子音楽装置制御プログラムを実行することにより、この電子音楽装置の動作を制御する。メモリ装置36は、フラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリであり、各種プログラムおよび制御データ、曲データ等を記憶している。曲データは、音高データ、キーオンデータ、キーオフデータなどがイベントタイミングデータとともに記憶された自動演奏データである。発光制御回路37は、発光素子21〜23の点灯を制御する。
外部機器用インターフェース回路41は、例えば、MIDIインターフェースであり、外部の各種音楽機器に接続され、こららに対して各種プログラムおよび各種データを入力したり、各種データを出力したりする。
通信用インターフェース回路42は、有線あるいは無線の通信ネットワークを介して、外部機器、例えば、サーバに接続され、各種プログラムおよび演奏データを入力したり、演奏データを出力したりする。
【0023】
上述のように構成された電子音楽装置の具体的な動作説明に入る前に、運指図の特徴について説明しておく。
図4は、Bb管およびC管の運指図である。
図5は、D管およびF管の運指図である。
図中のアルファベットA〜F(bはフラット記号)は音名であり、数字はオクターブ番号を示している。本明細書では、鍵盤の中央Cの音高をC3と定義している。このとき、MIDI規格のノートナンバーは60である。
【0024】
図4(a)に示すBb管の運指図において、列方向に、第1〜第3演奏ピストン11〜13の非操作状態と操作状態との組み合わせからなる8通りの操作の組み合わせを表示している。この場合、「1」,「2」,「3」は操作されるべき演奏ピストンを、第1,第2および第3演奏ピストン11〜13に対応させて示している。「0」は演奏ピストンを非操作状態にすることを示している。
一方、図中の「入力音高」と表示した上欄には、行方向に、空気振動検出器24から入力した音声信号などの入力音高を音名で表示している。
第1〜第3演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータに対応する各行に、複数の音高候補が、それぞれ、矢印で示される入力音高データの許容範囲とともに示されている。許容範囲を外れる場合は無音となる。無音と発音の許容範囲との境界は、上欄において隣接する音名の周波数の中間周波数とすればよい。
【0025】
許容範囲の境界は、一般的には、上欄において隣接する音名の周波数の中間点となるが、高音域側においては、音名の周波数が範囲の境界となっている場合がある。
ここで、中間点とは、周波数の中間点とするよりも、セント(周波数比の対数表現であって、半音を100等分に分割した音程の単位)で考えたときの中間点とする方がよい。
無音の領域では、出力音高データ(ノートナンバー)を、特別の値、例えば0とすればよい。
【0026】
入力音高データの許容範囲は、低音域の方が音高候補の許容範囲が広くされている。しかし、音高制限(下限)が設けられて、図示の例ではEb2で打ち切っている。その結果、運指「2,3」,「1,3」,「1,2,3」の許容範囲の低音側が狭くなっている。
下限を設けたのは、低音域になると、演奏者が音声として発音することが難しいという点と、周囲の低周波雑音など、音声以外の音を検出しやすくなってしまうことから誤動作を引き起こし、安定した動作が難しくなるためである。なお、また、生トランペットでは1倍音は発音しにくいので音高候補から除かれている。
【0027】
図4(b)に示すC管の運指図においては、上述したBb管の運指図を、入力音高の欄をそのままに、2半音分(長3度)、右方向(高音側)にシフトさせたものにほぼ一致する。
発音可能な音高を10倍音で打ち切るので、Bb管のD5に対しC管では、入力音高および出力音高の高域側がE5まで伸びている。
下限については、Bb管と同様にEb2で打ち切っている。その結果、Bb管とは異なり、図中、運指「1,2,3」のみ、許容範囲の低音側が狭くなっている。すなわち、発音音高Gb2のみ、許容範囲の低音側は、中心Gb2から数えてEb2まで升目の数が4個になっている。これに対して、他の発音音高C3〜G2では、低音側の升目の数が5個である。
図5(a)に示すD管の運指図においては、上述したC管の運指図を、入力音高の欄をそのままに、さらに2半音分(長3度)シフトさせたものにほぼ一致する。
下限については同様に、Eb2で打ち切るが、無音の領域であるので、打ち切りの影響を受ける許容範囲はない。
図5(b)に示すF管の運指図においては、上述したD管の運指図を、入力音高の欄をそのままに、さらに3半音分(減5度)シフトさせたものに一致する。
【0028】
図3は、図1に示した実施の形態の電子音楽装置の機能ブロック図である。
図中、コンピュータ処理部は、図2に示したコンピュータ本体部35のプログラム処理を機能的に示すものである。
最初に、曲データが記憶されたメモリ装置36から演奏データを読み出し、この演奏データに含まれている音高データに基づいて、操作すべき第1〜第3演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせを指示する演奏ガイド動作について説明する。
演奏データは、図2に示した、外部機器用インターフェース回路41を介して外部の音楽機器から入力されたり、通信用インターフェース回路42を介して外部のサーバなどから入力されたりしてもよい。
【0029】
演奏データ読み出し処理部51は、メモリ装置36から音高データ、キーオンデータ、キーオフデータなどの演奏データを時間経過(楽曲の進行)に従って読み出す。
読み出された音高データは、運指変換処理部52にて、演奏者が操作すべき第1〜第3演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせを表すデータに変換される。この変換処理においては、コンピュータ本体部35内のROMまたはメモリ装置36に予め記憶されている運指データ52aおよび図7(b)を参照して後述する管種変更テーブルが参照される。
【0030】
管種毎に運指テーブルを用意してもよいが、必要とする記憶容量が大きくなってしまう。そのため、運指データ52aとして、全ての管種に共通のものとして、音高データと第1〜第3の演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータとの対応データを設定しておく。運指変換処理部52は、この対応データを、管種変更処理部56から出力された音高シフト量に応じて音高シフトすることにより、第1〜第3の演奏ピストン11〜13の操作の1つの組み合わせデータを演奏ガイド機能を有する発光制御回路37に出力する。
運指変換処理部52の詳細な説明は、図10を参照して後述する。
運指データ52aは、必ずしも記憶しておく必要はなく、プログラムのステップ中に埋め込んでおくことによって、プログラムステップを実行する過程において、利用されるようにしてもよい。
【0031】
発光制御回路37は、運指データに基づいて発光素子21〜23を点灯制御する。従って、演奏データ読み出し処理部51によって読み出された音高データに対応した音高の楽音を発生させるために操作されるべき第1〜第3演奏ピストン11〜13が、図1に示した発光表示器15〜17の発光によって指示される。上述した演奏データ読み出し処理部51によって読み出された演奏データは、同時に、楽音信号発生回路34に供給することができる。楽音信号発生回路34は、演奏データに基づいて楽音信号を生成し、アンプ38を介してスピーカ27から発音させる。
【0032】
図9は、管種に応じて変更された後の演奏ガイド用運指図の説明図である。
図9(a)はBb管、図9(b)はC管の演奏ガイド用運指図の説明図である。
「入力音高」欄の音名の列に対し、「交点位置」に丸印が記載された行の運指「0」〜「1,2,3」が、各入力音高に対応する第1〜第3の演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータになる。
運指図にない音高の入力があったときには、演奏ガイドはされない。
丸印を付した交点位置は、先に説明した図4(a)の「入力音高」欄の各音名の列に対し、音高候補の発音音高が記載された「交点位置」に対応する。
図9(a)において、例えば、発生されるべき楽音の音高が「E2」であれば、「第1〜第3ピストン11〜13を全て操作すること」を表す。
【0033】
図4(a)においては、ある音名の音高を発音させるのに、第1〜第3演奏音ピストン11〜13の操作の相異なる組み合わせ、いわゆるかえ指がある。演奏ガイドとしては、原則として、トランペット等において、基本とされている運指(倍音の次数が小さい方)を優先させる。ただし、第7倍音となる「Ab4」,「A4」,「Bb4」は、平均律の音高からずれるので、第8倍音を基本の運指とした。また、第9倍音以上も演奏ガイドで指示してもよいが、初心者の使用する範囲ではないので、この運指図からは除いた。
図9(b)に示したC管の場合、その他の管種の場合も同様であり説明を省略する。
なお、演奏データに基づく発光素子21〜23の点灯制御、演奏データに基づく楽音の発生、演奏者の演奏による楽音の発生、および、この演奏者の演奏による発光素子21〜23の点灯制御は、設定操作子25のモード設定の変更により、任意の組み合わせで選択的に行うようにしてもよい。
【0034】
次に、音声を入力して楽音を発生させる場合について説明する。
スイッチ回路32cから出力される、演奏者によって操作された第1〜第3演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータは、組み合わせ変更処理部57において、図7(a)に示した組み合わせ変更テーブルを参照して、シフト量に変換されて音高候補抽出処理部53に出力される。
音高候補抽出処理部53および音高決定処理部54の構成例については、図8を参照して後述するので、ここでは、概要を説明しておく。
音高候補データ53aは、コンピュータ本体部35のROMまたはメモリ装置36に予め記憶されている。
複数の管種毎に音高候補テーブルを用意してもよいが、必要な記憶容量が大きくなる。
そのため、図示の例では、音高候補データ53aとして、全ての管種に共通した、発生楽音の複数の音高候補データを各音高候補データにより指定される音高を含む許容範囲とともに設定している。この音高候補データ53aは、ある1つの基準となる管種、例えば、図4(a)に示したBb管の運指図に従って作成すればよい。
【0035】
音高候補抽出処理部53においては、音高候補データ53aを、図7(b)に示した管種変更テーブルを有した管種変更処理部56により得られる音高シフト量によりシフトさせるとともに、入力された第1〜第3の演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータに応じて、発生楽音の複数の音高候補データを抽出する。
音高候補データ自体は、必ずしも、音高候補データ53aに記憶しておく必要はなく、プログラムのステップ中に埋め込んでおくことによって、プログラムステップを実行する過程において、利用されるようにしてもよい。
【0036】
音高決定処理部54は、ピッチ検出回路31aで検出された演奏者の音声のピッチ(周波数)を表す音声ピッチデータを入力する。
この音声ピッチデータは、楽音の音高データと同様に取り扱える単位で表現するか、あるいは、音高データに変換する。
音高データおよび音声ピッチデータは、例えば、MIDI規格のノートナンバーを整数部とし、これに加えて小数部を設けたものとする。高音域において、入力音高の許容範囲の境界が、音名の音高の周波数となるために、ノートナンバーよりも小さな分解能が必要となるからである。
音高決定処理部54は、音声ピッチデータ(音高データ)を入力し、この音声ピッチデータにより指定される音高が、音高候補抽出処理部53から出力される発生楽音の複数の音高候補データの中の、ある1つの音高候補データの許容範囲にあるときに、前記ある1つの音高候補データを、発生楽音の音高データとする。
【0037】
音高決定処理部54は、また、音高シフト部54aにおいて、スイッチ回路32aから出力される移調設定操作子25aの移調指示データに応じて、音声ピッチデータを音高シフトさせる場合がある。
シフト量は、例えば、−1オクターブ(ピッチダウン)から2オクターブ(ピッチアップ)まで、半音単位で設定可能なものとすればよい。
男性が音声を入力する場合に、発声可能な音声の音域が、生トランペットで発発生される音域よりも低いために、音声ピッチデータを1オクターブシフトアップさせることにより、男性の声域をトランペットの発音音域に合わせる。例えば、入力音声の周波数がC2であったとき、C3の音高にシフトアップさせた上で、その許容範囲に含まれる音高候補を検出してこの音高候補の音高で発音させる。
ハーモニー音の音高で発音させることもできる。
【0038】
一方、発音制御データ生成処理55は、レベル検出回路31bで検出された入力音声信号の音量レベルを入力し、キーオンデータおよびキーオフデータを形成して、楽音信号発生回路34に供給する。検出された音量レベルが所定レベル以上になったときキーオンデータを形成し、所定レベル未満になったときキーオフデータを形成する。また、楽音信号発生回路34は、第1〜第3演奏ピストン11〜13の押し替え操作などにより発生楽音の音高が変更されたときは、キーオフデータを作成した後に、新たな音高のためにキーオンデータを作成する。
楽音信号発生回路34は、これらの音高データ、キーオンデータおよびキーオフデータに基づいて楽音信号を生成して、アンプ38およびスピーカ27を介して放音する。
【0039】
また、上述したスイッチ回路32cによって検出された第1〜第3演奏ピストン11〜13の操作状態を表すデータは、発光制御回路37に供給されて発光素子21〜23の点灯を制御する。この場合、演奏者によって操作された第1〜第3演奏ピストン11〜13に対応した発光表示器15〜17を発光させることになる。
メモリ装置36に記憶された演奏データによる点灯に加えて、演奏者による第1〜第3演奏ピストン11〜13の操作によっても点灯制御してもよい。その結果、演奏者が第1〜第3演奏ピストン11〜13を指示通りに正確に操作すれば、発光素子21〜23の点灯状態は変化しないが、正確に操作しなければ発光素子21〜23の点灯状態は変化するので、演奏者は演奏ミスを視覚的にも認識できる。
【0040】
図6〜図8を参照して、図3に示した音高候補抽出処理部53において、管種データに応じて音高候補を抽出する具体的な処理について以下説明する。
図6は、図3に示した音高候補データ53aの一例の説明図である。
図6(a)は、音高候補データを表形式で説明する図であり、図6(b)は、音高候補データを、音高候補の音高データを音名で示し、各音高候補を選択するための入力音高の許容範囲の上限と下限とをデータa1〜a10で記述した説明図である。隣接する2つの音高候補の境界は一方の上限であり、他方の下限になるので、データとしては共通する。
このように、従来技術とは異なり、小数部を含む拡張されたノートナンバーのように、半音(100セント)よりも細かな分解能で許容範囲を設定していることから、高音域側においても、適切な許容範囲を設定できる。
【0041】
図6に示した音高候補データは、図4(a)に示したBb管の運指図の運指「0」の場合について、発生楽音の複数の音高候補データと、各音高候補データにより指定される音高を含む許容範囲のデータを、複数の演奏操作子操作の組み合わせデータに共通のものとして設定したものである。
音高候補(Bb2,F3,…,D5)は、生トランペットの第2倍音から第10倍音に対応する音高である。
なお、図6(b)に示した記述に替えて、複数の音高候補データの中心音高データ(入力音高と出力音高とが一致する)を記憶してもよい。この場合、音高候補データの許容範囲は、例えば、隣接する音高候補の中間になるように計算で求めればよい。
【0042】
図7は、図3に示した組み合わせ変更処理部57において用いる組み合わせ変更テーブル、および、図3に示した管種変更処理部56において用いる管種変更テーブルの説明図である。
図7(a)は、第1〜第3の演奏ピストン11〜13操作の組み合わせデータが、運指「0」の場合を基準にして、他の運指に変更されたときに、図6に示した音高候補データをシフトさせる量を示すデータである。
図4,図5の運指図からわかるように、入力音高の許容範囲のシフトと同時に、各音高候補のノートナンバー(ノートn)も加算される。
図7(b)は、図4(a)に示したBb管を基準として、管種の変更に応じて入力音高を音高シフトさせる量を示すデータである。
管種としては、+1から+11(右方向)までシフトさせる管種Bから管種Aがある。また、左方向にシフト−1から−12(左方向)までシフトさせる管種A’から管種Bb’がある。それぞれ、管種A〜管種Bbよりも1オクターブ低い音高が音階の主音となる。
図4,図5の運指図からわかるように、管種が変更されると、入力音高の許容範囲のシフトに連動して各音高候補のノートナンバー(ノートn)も加算される。
【0043】
図8は、図3に示した音高候補抽出処理部53および音高決定処理部54の一構成例の説明図である。
組み合わせ変更処理部57は、第1〜第3演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータ(例えば、第2の演奏ピストンのみを押す、図4の運指図に示される運指「2」を指示するデータ)を、図7(a)に示した組み合わせ変更テーブルを用いてシフト量に変換(シフト量=−1)し、音高候補抽出処理部53内の、演算器53bに出力する。
管種変更処理部56は、管種選択データ(例えば、C管を選択するデータ)を、図7(b)に示した管種変更テーブルを用いてシフト量に変換(シフト量=2)し、演算器53bに出力する。
演算器53bは、2入力の加算を行い(加算されたシフト量=1)、音高シフト部53に供給する。
一方、音高候補データ53a(図6)には、第1〜第3の演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータに共通のものとして、図6(b)に示すように、発生楽音の複数の音高候補データを、その各音高候補データにより指定される音高を含む許容範囲とともに設定されている。
【0044】
音高シフト部53cは、音高候補データ53a(図6)を、加算されたシフト量(シフト量=1)、すなわち、組み合わせ変更処理部57から出力される音高シフト量(シフト量=−1)と、管種変更処理部56から出力される音高シフト量(シフト量=2)に応じて、音高方向にシフトさせる(図6(b)の音高候補はB2,Gb3,B3,Eb4,Gb4,A4,B4,Db5,Eb5となる。許容範囲の下限,上限は、a1+1,a2+1,a3+1,a4+1,a5+1,a6+1,a7+1,a8+1,a9+1,a10+1となる。すなわち、図6と図4(b)とを比較してわかるように、図4(b)のC管運指図の運指「2」の行の音高候補が得られる)。
音高シフト部53cの出力は、下限設定部53dに入力されて、発生楽音の複数の音高候補データおよびこの各音高候補データの許容範囲にある音高データにより指定される音高に下限を設けた上で、音高候補を出力する。下限を下回る音高データは出力しない(下限をD2とEb2との中間とすると、上述した例では、下限が無音の領域になっているので、下限設定の影響を受けない)。
図7(b)に示したように、管種によっては、シフト量がマイナス方向になるので、音高候補自体も制限される場合がある。
【0045】
音高シフト部54aにおいて、移調指示(例えば、移調指示がないとする)があれば、入力音高データにより指定される音高を移調指示データに応じてシフトさせる。
この音高シフト部54aにおいて、音高が正方向にシフトされる場合がある。この場合、移調機能を優先させる場合は問題ないが、入力音声による誤動作防止機能を優先させる場合には、下限設定部53dにおいて移調指示データに応じて、閾値となる所定値を音高シフトに連動して変更すればよい。
なお、下限設定部53dは、音高シフト部53cの前後に設けて、入力音高の低域側の問題を解決することもできる。
音高シフト部54aを通過した入力音高データは、出力音高決定部54bに入力されて、入力された音声ピッチデータ(例えば、B2とする)(音高シフトさせた場合には音高シフトさせたもの)が、音高候補抽出処理部53から出力される複数の音高候補データ(図6(b)がシフトされたもの、図4(b)のC管運指図の運指「2」の行の音高候補データ)の中の、ある1つの音高候補データの許容範囲にあるとき(B2は、許容範囲a1+1≦w<a1+1の中にある)に、この音高候補のデータ(B2)を、前記発生楽音の音高データとして決定する。
上述したように、第1〜第3の演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータに応じて、音高候補データをシフトさせることによって、全てのかえ指が自動的に音高候補として選択されている。
【0046】
音高候補データ53aとして、第1〜第3の演奏ピストン11〜12の全ての操作の組み合わせにおける音高候補データを記憶してもよい。図4(a)に示した運指図(ただし、低音域側の許容範囲を打ち切らない)に対応するデータが記憶されることになる。この場合、例えば、音高候補データ53aから、組み合わせデータに応じて、組み合わせデータに応じたものを選択し、選択されたものを管種に応じて音高シフトさせればよい。
この場合、かえ指を音高候補に含めないようにすることも任意にできる。
【0047】
次に、図9,図10を参照して、図3に示した運指変換処理部52において、発光制御回路37に供給する第1〜第3の演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータを出力する構成例を説明する。
運指データ52aとして、図9(b)に示されたBb管において、音高データと、第1〜第3の演奏ピストン11〜13の操作の1つの組み合わせデータとの対応データが設定される。
例えば、図中、丸印が交点となる、入力音高データと運指の行番号との組み合わせで記述できる。例えば、運指「0」と入力音高Bb2との交点の丸印に対して、Bb2の「ノートナンバー」と0から始まる行番号にマイナスをつけた値「−1」とを組にして記憶させる(図7(a)参照)。音高データが音名で表示されているが、通常の整数部分のノートナンバーで表せる。
【0048】
図10は、図3に示した運指変換処理部52の一構成例の説明図である。
運指データ52aとして、音高データと複数の演奏操作子操作の組み合わせデータとの対応データが設定されている。
管種選択データ(例えば、C管を選択するデータ)は、管種変更処理部57において、図7(b)に示した管種変更テーブルを用いて音高シフト量(シフト量=2)を設定し、運指データ52a(対応データ)を音高シフト部52bにおいて音高シフトさせることにより、管種に応じた運指データ52aを出力する(図9に示した運指図において、Bb管の運指図中の全ての丸印を右方向に2シフトさせると、C管の運指図の丸印の位置になる。運指データ52aは、Bb管の運指図に対応している。シフト量=2によって、運指データ52aは、C管の運指図に対応する運指データに変更されることになる。Bb管の運指図に従った演奏ガイドが、図9(b)に示したC管の運指図に従った演奏ガイドに変更される)。
下限設定部52cは、図8に示した下限設定部53dと同様に、管種に応じた運指データ52aに含まれる音高データにより指定される音高に下限を設ける(この例では下限設定の影響を受けない)。
【0049】
選択部52dは、演奏の進行に従って音高データ(例えばB2)を入力し、管種(C管)に応じたものとなっている運指データに基づいて、この音高データ(例えばB2)に対応する複数の演奏操作子操作のシフト量(図9に示した運指図の、0から始まる行番号にマイナスを付けたもの)(図9(b)において、丸印の位置がB2となるのは、運指「2」のときであり、これは第2行目であるから、シフト量は−2となる)を選択し、選択されたシフト量を組み合わせ逆変換部52eに出力する。
組み合わせ逆変換部52eにおいて、図7(a)に示した組み合わせ変更テーブルを逆に用いる(シフト量=−2であるから、運指「2」であることがわかる)ことにより、第1〜第3の演奏ピストン11〜13の操作の組み合わせデータ(運指「2」は、第2の演奏ピストンのみを押すことを意味する)を出力する。
なお、下限設定部52cは、選択部52dの前に設けることもできる。
【0050】
図9に示した運指図から明らかなように、演奏ガイド用の運指図では、ある特定の演奏操作子操作の組み合わせにおける演奏操作子操作の組み合わせと音名との対応関係(例えば運指「0」の行)を音高方向にシフトさせただけでは、かえ指を含んでいる行における演奏操作子操作の組み合わせと音名との対応関係にならない。
しかし、7倍音を除く全ての音高を備えている、例えば、運指「0」の行を、各行に共通のものとし、これを、演奏操作子操作の組み合わせと管種に応じてシフトさせた後、ある音高に対して複数の演奏操作子操作の組み合わせがあるときには、この複数の演奏操作子に対応した音高データにより指定される音高のオクターブ次数が小さいもののみを選択するように制限すればよい。
この場合、予め運指データ52aとして必要とする対応データが、上述した運指「0」の1行分だけとなって、さらに、データ量を少なくすることができる。
【0051】
次に、図8を参照して説明した音高候補抽出処理部および音高決定処理部の構成例、図10を参照して説明した運指変換処理部の構成例を、それぞれ一般化した構成例について説明する。
図11は、図3に示した音高決定処理部の第2の構成例の説明図である。独立した構成としての音高候補抽出処理部はない。
図12は、図3に示した運指変換処理部の第2の構成例の説明図である。
いずれも、図4,図5に示した運指図が、図6に示したように、入力音高と出力音高との基本関係が、第1〜第3の演奏ピストン操作の組み合わせと管種により、数式で表現される規則で音高シフトすることに着目したものである。
すなわち、入力音高,出力音高,組み合わせ,管種の値が数式で関連付けられている。従って、これら複数の要素の1つは、他の要素の関数になっていて、他の要素の値が決まれば値を求めることができる。
【0052】
図11において、図8と同様な部分については同じ符号を付している。
音高シフト部54aにおいて音高シフトされなかったか、あるいは音高シフトされた入力音高データは、入力音高パラメータとして出力音高決定部61bに出力される。
管種変更処理部56は、管種パラメータ(図7(b)のシフト量)を、出力音高決定部61bに出力する。図7(b)のシフト量は、管種に対応する音階に応じて決まる。
組み合わせ変更処理部57は、組み合わせパラメータ(図7(a)のシフト量)を、出力音高決定部61bに出力する。図7(a)のシフト量は、組み合わせデータに対応する音階音に応じて決まる。
【0053】
音高決定処理部61には、予め「発生楽音の音高」関数61aが設定されており、出力音高決定部61bは、この関数と、管種パラメータの値、組み合わせパラメータの値、入力音高パラメータの値を入力して、出力音高パラメータ(発生楽音の音高)を出力する。入力音高パラメータには許容範囲があることから、許容範囲の下限と上限のパラメータを有する。
出力音高関数は、図6(a)に示したような、適当な組み合わせデータと適当な管種における1次元配列に基づいて数式化してもよいし、図4(a)に示したような、適当な管種における2次元配列に基づいて数式化してもよい。
入力音高パラメータの下限を制限する場合には、制限式を出力音高関数61aに組み込んでおくか、入力音高パラメータの下限を予め制限をしてから出力音高パラメータ決定部61bに出力すればよい。
音高シフト部54aは外部構成としたが、出力音高関数61aに組み入れてもよい。
【0054】
次に、図12において、図10と同様な部分については同じ符号を付している。
メモリ装置からの演奏の進行に従って入力される入力音高データは、入力音高パラメータとして、組み合わせ決定部52gに出力される。
管種変更処理部56は、管種パラメータ(図7(b)のシフト量)を、出力音高決定部61bに出力する。
運指変換処理部52には、予め第1〜第3演奏ピストン操作の「組み合わせ関数」52fが設定されており、組み合わせ決定部52gは、この関数と、入力音高パラメータの値、管種パラメータの値を入力して、組み合わせパラメータ(図7(a)のシフト量)を、組み合わせパラメータ逆変換部52eに出力する。
【0055】
組み合わせ関数は、図9(a)に示したような、ある管種における2次元配列に基づいて数式化してもよいし、この図の運指「0」における1次元配列に基づいて数式化してもよい。
複数の組み合わせパラメータが出力されないようにするには、組み合わせ関数52fに、組み合わせパラメータの選択条件を加えておけばよい。
入力音高パラメータの下限を制限する場合には、制限式を組み合わせ関数52fに組み込んでおくか、入力音高パラメータの下限を予め制限をしてから組み合わせパラメータ決定部52gに出力すればよい。
【0056】
上述した説明では、音高データ入力手段としてマイクロフォン等の空気振動検出器を用いて説明したが、人体の「のど」に接触させて振動を検出する骨伝導ピックアップを用いてもよい。
また、生トランペットと同様のマウスピースを取り付けて、「バズィング」で振動音を発生させて、この振動音を空気振動検出器24で検出してもよい。
さらにまた、演奏者の息圧のレベルを検出する検出器を用い、音声や振動音の音高に代えて、息圧のレベルと複数の操作子の操態の組み合わせによって、発音する楽音信号の音高を決定してもよい。息圧レベルを一旦音高に変換する処理を行えば、以後は、音声データの入力と同様な処理を行える。また、息圧のレベルが第1の閾値を上に超えたときに発音開始を行い、この息圧のレベルが第2の閾値を下回ったときに発音を終了させればよい。
第1〜第3演奏ピストン11〜13に代えて、単なる操作スイッチ、タッチスイッチなどで構成された種々の演奏操作子を利用できる。また、演奏操作子の数に関しても、2以上の適宜の整数を採用できる。
【0057】
演奏ガイド機能は、例えば、複数の演奏操作子自体の発光、複数の演奏操作子の変位(例えば、電磁アクチュエータ、圧電アクチュエータなどの駆動装置による演奏操作子の上下動,振動など)により、操作されるべき演奏操作子を演奏者に指示するように構成してもよい。
また、演奏ガイド機能は、電子的に楽音を発生する電子音楽装置に適用する他に、生トランペットのような、複数の演奏操作子操作の組み合わせと演奏者の口操作に応じて発生楽音の音高が決定されるアコースティック楽器に取り付けるることもできる。
また、演奏ガイド機能は、楽器本体とは別装置として、例えば、パーソナルコンピュータなどにソフトウエアとしてインストールしておき、ディスプレイ画面上に、演奏者によって操作されるべき複数の演奏操作子操作の組み合わせを、演奏者が知覚できる方法で指示する場合に適用することもできる。
【0058】
【発明の効果】
本発明は、上述した説明から明らかなように、複数の演奏操作子操作の組み合わせと演奏者の口操作に応じて発生楽音の音高が決定される楽器が、複数の管種に適合したものにするという作用効果を奏する。
管種が変更されても同じ音階音を同じ複数の演奏操作子操作の組み合わせによって演奏を行える。また、管種が変更されても同じ音階音を同じ複数の演奏操作子操作の組み合わせで演奏指示する演奏ガイド制御が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態に係る電子音楽装置の外観図である。
【図2】 図1に示した実施の形態の電子音楽装置に内蔵されている電気回路装置のブロック図である。
【図3】 図1に示した実施の形態の電子音楽装置の機能ブロック図である。
【図4】 Bb管およびC管の運指図である。
【図5】 D管およびF管の運指図である。
【図6】 図3に示した音高候補データの一例の説明図である。
【図7】 図3に示した組み合わせ変更処理部57において用いる組み合わせ変更テーブル、および、図3に示した管種変更処理部56において用いる管種変更テーブルの説明図である。
【図8】 図3に示した音高候補抽出処理部および音高決定処理部の一構成例の説明図である。
【図9】 管種に応じて変更された後の演奏ガイド用運指図の説明図である。
【図10】 図3に示した運指変換処理部の一構成例の説明図である。
【図11】 図3に示した音高決定処理部の第2の構成例の説明図である。
【図12】 図3に示した運指変換処理部の第2の構成例の説明図である。
【符号の説明】
11〜13…第1〜第3演奏ピストン、34…楽音信号発生回路、37…発光制御回路、52…運指変換処理部、53…音高候補抽出処理部、54…音高決定処理部、54a…音高シフト部、56…管種変更処理部、57…組み合わせ変更処理部

Claims (5)

  1. 複数の演奏操作子の組み合わせによる第1入力部と、演奏者の口操作による第2入力部と、によって発生楽音の音高が決定される楽器であって、
    管種選択手段と、
    該管種選択手段から管種選択データを入力し、該管種選択データにより指定される管種に対応する音階に応じて音高シフト量を出力する管種変更手段と、
    前記複数の演奏操作子操作の組み合わせデータに共通のものとして、前記発生楽音の複数の音高候補データを設定し、
    設定された前記発生楽音の複数の音高候補データを、前記第1入力部から入力された複数の演奏操作子の各組み合わせと前記管種変更手段から出力される音高シフト量に応じて音高シフトさせて、前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データを出力する音高候補抽出手段と、
    前記第2入力部から前記口操作に応じた音高データを入力し、該口操作に応じた音高データにより指定される音高が、前記音高候補抽出手段から出力される前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データの中の、ある1つの音高候補データにより指定される音高と所定の対応関係にあるときに、前記ある1つの音高候補データを、前記発生楽音の音高データとする音高決定手段、
    を有することを特徴とする楽器。
  2. 前記音高候補抽出手段は、前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データを出力する際に、前記管種に応じた複数の音高候補データにより指定される音高に下限を設ける、
    ことを特徴とする請求項に記載の楽器。
  3. 前記音高候補抽出手段は、設定された前記発生楽音の各音高候補データにより指定される音高のオクターブ次数に上限を設ける、
    ことを特徴とする請求項またはに記載の楽器。
  4. 前記音高決定手段は、音高シフト手段を有し、
    該音高シフト手段は、移調指示データを入力し、前記口操作に応じた音高データにより指定される音高を前記移調指示データによりシフトさせるものであり、
    前記音高決定手段は、前記音高シフト手段によりシフトされた音高が、前記音高候補抽出手段から出力される、前記管種に応じた発生楽音の複数の音高候補データの中の、ある1つの音高候補データにより指定される音高であるときに、前記ある1つの音高候補データを、前記発生楽音の音高データとする
    とを特徴とする請求項からまでのいずれか1項に記載の楽器。
  5. 奏進行のための演奏進行入力手段により前記第1入力部の各操作子に対して操作指示する指示手段、を備え、
    前記指示手段は、前記指示手段で指示する各操作子指示を前記管種選択手段からの管種に対応した音階に対する各操作子指示に変換する変換手段を有し、
    該変換手段の出力で演奏者によって操作されるべき複数の演奏操作子の組み合わせを指示するようにした、
    ことを特徴とする請求項1に記載の楽器。
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