JP2005049399A - 湿式電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ドラム状支持体の内部に交換用の感光体シートを保持した潜像保持体に形成した画像を記録媒体に転写する湿式電子写真装置において、液体現像剤が支持体内部に流入して、感光体シートの感光体特性が劣化したり、または感光体シートが汚損したりすることを防止する。
【解決手段】本発明は、ドラム状支持体1−1の内部に設けられた供給ロール11からドラム状支持体の外周に沿って巻き付けられて巻取りロール12に巻き取られる感光体シート1−2を用いる湿式電子写真装置において、ドラム状支持体に設けられた開口部1−3から液体現像剤がドラム状支持体内部に流入することによる感光体シートの特性劣化を防止できる開閉機構14を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明は、ドラム状支持体1−1の内部に設けられた供給ロール11からドラム状支持体の外周に沿って巻き付けられて巻取りロール12に巻き取られる感光体シート1−2を用いる湿式電子写真装置において、ドラム状支持体に設けられた開口部1−3から液体現像剤がドラム状支持体内部に流入することによる感光体シートの特性劣化を防止できる開閉機構14を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
湿式電子写真装置の潜像保持体の汚染を防ぎ、寿命と信頼性を向上させるための方法に関する。
【0002】
本発明は、溶媒にトナーを分散させた液体現像剤を用いて静電潜像を現像してトナー像を得る湿式電子写真装置、特に、感光体シートから記録媒体に圧力を用いてトナー像を転写させる湿式電子写真装置において、潜像保持体の汚染を防ぎ、寿命と信頼性を向上させるための方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
画像形成装置、例えば静電複写プロセスが利用される電子写真装置では、潜像保持体である感光体に、光の明暗として伝達された複写対象物である原稿の画像情報に対応する静電潜像を形成し、現像剤であるトナーにより可視化することで複写画像が得られる。
【0004】
なお、静電潜像にトナーを供給する方法として、今日広く普及している乾式に比較して、より粒径の小さなサブミクロンサイズのトナー粒子を溶媒(キャリア液)中に分散させた液体現像剤を用いる湿式電子写真方式が注目を浴びている。
【0005】
すなわち、湿式電子写真装置では、トナー粒子をキャリア液中に保持することにより、乾式では取り扱いが困難なサブミクロンサイズのトナー粒子を使用することができる。
【0006】
なお、潜像保持体上に現像されたトナー像を転写する際に、電界を用いる静電転写方式よりも、機械的な圧力を用いる圧力転写方式を用いることで、トナーの転写効率が高く、オフセット印刷並みの高画質な画像が得られることが知られている。
【0007】
潜像保持体に用いられる感光体の材料としては、安価な有機感光体(OPC)が広く用いられている。
【0008】
OPCの使用形態としては、a)ドラム形状、b)シート形状、ならびにc)ベルト形状の3種類が代表的である。
【0009】
a)ドラム形状とは、浸漬塗布法等により、ドラム(円筒)状のアルミ素管の表面に感光層を形成したものである。
【0010】
b)シート形状とは、PET(ポリエチレンテレフタレート)にアルミを蒸着したアルミマイラ基体に感光層を形成したもので、例えば、ドラム状のアルミ素管に巻き付けて用いられる。
【0011】
c)ベルト形状とは、シート形状の感光体をエンドレスベルトにして用いるものである。
【0012】
ところで、湿式電子写真装置においてOPCを用いる場合、絶縁性有機溶媒であるキャリア液によって感光層が溶出し、または帯電プロセスで発生するオゾンやNOx(酸化窒素)にさらされることにより感光体特性が変化して画質が劣化することが知られている。
【0013】
このため、感光体としてOPCを採用した場合、長期間使用すると、上記a)のドラム形状の感光体(感光体ドラム)を用いた場合には、頻繁にドラムを交換する必要が生じる。
【0014】
そこで、上記b)のシート形状の感光体(感光体シート)をドラム状支持体に巻き付けて使用し、感光体が劣化した時点あるいは画像出力回数(枚数)が所定の枚数に達した時点で、感光体シートを交換するという手法も提案されている。しかしながら、交換頻度については、a)と同等か、より頻度が増大する問題がある。
【0015】
このため、ドラム状支持体の内部に、シート状の感光体を保持する供給ロールと感光体シートを巻き取る巻取りロールを設置し、感光体シートを供給ロールからドラム状支持体の表面を経て巻取りロールに巻き付け、ドラム状支持体表面の感光体シートが劣化した場合に、劣化した感光体シートを巻き取るとともに供給ロールから新らたな感光体シートを供給する電界転写方式の電子写真装置がある(例えば、特許文献1)。
【0016】
同様に、シート状の感光体を用い、ドラム状支持体表面の感光体シートが劣化した場合に、劣化した感光体シートを巻き取るとともに供給ロールから新たな感光体シートを供給するもので、静電転写方式により、トナー像を転写する湿式電子写真装置がある(例えば、特許文献2)。
【0017】
ところで、感光体シート(シート状の感光体)を使用する場合には、ドラム状支持体へ感光体シートを確実に密着させることが重要である。
【0018】
このため、静電転写方式において、ドラム状支持体と感光体シートの間に液体現像剤の溶剤(キャリア液)を塗布して、感光体シートをドラム状支持体に密着させる方法も提案されている(例えば、特許文献3)。
【0019】
【特許文献1】
米国特許公報3,600,086号公報(第1図、カラム2第72行ないしカラム3第14行、カラム4第20行ないしカラム6第49行)
【0020】
【特許文献2】
特開平7−92856号公報(図1、段落[0010]、要約)
【0021】
【特許文献3】
特開2000−231303号公報(図1、段落[0015]ないし[0021])
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、湿式電子写真装置において、感光体シートを潜像保持体の内部に収容し、必要に応じて感光体シートを交換する場合、感光体シートを供給ロールからドラム状支持体の表面を経て巻取りロールに至るように配置するためには、ドラム状支持体に、開口部が必要となる。このため、液体現像剤がドラム状支持体内部に流入し、ドラム状支持体内部に収容されている新品の感光体シートが汚染され、結果的に潜像保持体の寿命や信頼性が低下する問題がある。
【0023】
この発明の目的は、交換用の感光体シートを保持する湿式電子写真装置において、連続して画像形成を行う場合にも、感光体シートの感光体特性の劣化や感光体シートの汚損を防止して、長期に亘って、安定に画像を出力可能とすることである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
この発明は、静電潜像が形成される潜像保持体と、前記静電潜像を液体現像剤で現像して前記潜像保持体表面にトナー像を形成する画像形成装置と、前記トナー像を圧力によって転写媒体に転写する転写手段を具備する湿式電子写真装置において、前記潜像保持体は、開口部を有するドラム状支持体と、前記開口部から前記ドラム状支持体内の表面に案内され、前記ドラム状支持体表面を介して前記ドラム状支持体内に戻されることで前記ドラム状支持体表面を感光体とする感光体シートと、前記ドラム状支持体内部に設けられ、未使用の前記感光体シートを、前記開口部を介して前記ドラム状支持体表面に供給する供給機構と、前記ドラム状支持体内部に設けられ、所定の画像形成に利用された前記感光体シートを、前記開口部を介して巻き取る巻き取り機構と、前記開口部において少なくとも前記感光体シートと接することで、前記開口部から前記ドラム状支持体内部に液体現像剤が流入することを防止する流入防止機構と、を具備することを特徴とする湿式電子写真装置を提供するものである。
【0025】
またこの発明は、静電潜像を保持する潜像保持体と、前記潜像保持体に形成された前記静電潜像を、所定の色が与えられたトナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を用いて現像する現像装置と、前記現像装置から前記潜像保持体に供給された前記キャリア液が前記潜像保持体内部に侵入することを、前記潜像保持体の少なくとも一部を利用して防止する侵入防止機構と、ことを特徴とする湿式電子写真装置を提供するものである。
【0026】
さらにこの発明は、静電潜像を保持可能な感光体シートと、開口部を有し、前記開口部を介して前記感光体シートを自身の内部に収容するとともに、前記開口部を介して前記感光体シートを自身の外周面の所定位置に露出させ、その露出された前記感光体シートを自身の内部に回収可能な感光シート保持体と、前記開口部から現像液が前記感光シート保持体内部に流入することを防止する流入防止機構と、を有することを特徴とする湿式電子写真装置を提供するものである。
【0027】
またさらにこの発明は、静電潜像を保持可能な未使用の感光体シートを内部に保持し、外周面を一周させて再び内部に回収可能な感光シート保持体の外周に、内部から外周面を介在させて再び内部に収納することで、前記感光体シートを、巻き付け、前記感光シート保持体に形成され、前記感光体シートを、内側から外周面におよび外周面から内側に移動可能とする開口部を通じて外周面から現像液が内部に流入することを防止する流入防止機構を、前記開口部に挿入する、ことを特徴とする湿式電子写真装置の現像液流入防止方法である。
【0028】
さらにまたこの発明は、静電潜像を保持可能な未使用の感光体シートを内部に保持し、外周面を一周させて再び内部に回収可能な感光シート保持体の外周に、内部から外周面を介在させて再び内部に収納することで、前記感光体シートを、巻き付け、前記感光シート保持体に形成され、前記感光体シートを、内側から外周面におよび外周面から内側に移動可能とする開口部を通じて外周面から現像液が内部に流入することを、前記感光シート保持体内部で前記感光体シートを相互に密着させて防止する、ことを特徴とする湿式電子写真装置の現像液流入防止方法である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
図1に、湿式電子写真装置の一例を示し、以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
図1に示す湿式電子写真装置は、ドラム状支持体1−1と、ドラム状支持体1−1の表面に巻き付けられ、有機感光材料(OPC)が形成された感光体シート1−2とを有する潜像保持体1と、潜像保持体1の周囲に配置された4つの画像形成装置A〜Dとを有する。
【0032】
潜像保持体1が回転される方向であって、それぞれの画像形成装置A〜D内の現像装置4(A〜D)よりも回転方向上流側の所定位置には、感光体シート1−2に所定の電位を与える帯電装置2(A〜D)および帯電装置2(A〜D)により帯電された感光体シート1−2に画像情報を記録する露光装置3(A〜D)が設けられている。
【0033】
潜像保持体1の周囲の所定の位置、例えば第1の現像装置4Aよりも潜像保持体1が回転される方向の下流側には、潜像保持体1上に形成された現像画像すなわち現像装置4(A〜D)により順次積層されたトナー像を、例えば普通紙などの被転写媒体に転写する転写装置5が設けられている。なお、転写装置5は、表面に弾性層を有し、弾性層が潜像保持体1に所定の圧力で接触されている中間転写ローラ6と、中間転写ローラ6に所定の圧力で接触されている加圧ローラ7とを含む。また、被転写媒体8すなわち用紙は、中間転写ローラ6と加圧ローラ7との間を通過される。
【0034】
潜像保持体1の周囲の所定の位置、例えば転写装置5と第1の画像形成装置Aとの間には、転写装置5において、潜像保持体1表面から転写されなかった転写残りトナーを除去するクリーナ9が設けられている。
【0035】
第4の画像形成装置Dの下流側すなわち矢印方向に回転される潜像保持体1の回転方向の最下流であって転写装置5と接触される転写位置よりも上流側の所定位置には、各画像形成装置A〜Dにより潜像保持体1に供給されたキャリア液(液体現像剤の液体成分)を除去するキャリア液除去装置10が設けられている。
【0036】
上述した湿式電子写真装置においては、帯電装置2(A)により所定の電位に帯電された感光体シート1−2に、潜像形成装置3(A)により第1の色に対応する画像情報が書き込まれることにより、第1の静電潜像が形成される。この第1の静電潜像は、第1の現像装置4(A)によって現像される。すなわち、潜像保持体1の表面に、第1の色のトナー像が、形成される。
【0037】
次に、既に第1のトナー像が形成されている感光体シート1−2は、帯電装置2(B)により所定の電位に帯電され、潜像形成装置3(B)により第2の色に対応する画像情報が書き込まれることにより、第2の静電潜像が形成される。この第2の静電潜像は、第2の現像装置4(B)によって現像される。すなわち、潜像保持体1の表面(および前に形成された第1のトナー像の一部の)上に、第2の色のトナー像が、形成される。
【0038】
続いて、既に第1および第2のトナー像が形成されている感光体シート1−2は、帯電装置2(C)により所定の電位に帯電され、潜像形成装置3(C)により第3の色に対応する画像情報が書き込まれる。従って、感光体シート1−2上に、第3の静電潜像が形成される。この第3の静電潜像は、第3の現像装置4(C)によって現像される。すなわち、潜像保持体1の表面(および前に形成された第1および第2のトナー像の一部の)上に、第3の色のトナー像が、積層される。
【0039】
さらに、上述した工程によって第1〜第3のトナー像が形成されている感光体シート1−2は、帯電装置2(D)により所定の電位に帯電され、潜像形成装置3(D)により第4の色に対応する画像情報が書き込まれる。従って、感光体シート1−2上に、第4の静電潜像が形成される。この第4の静電潜像は、第4の現像装置4(D)によって現像される。すなわち、潜像保持体1の表面(および前に形成された第1〜第3のトナー像の一部の)上に、第4の色のトナー像が、積層される。
【0040】
各現像装置4(A〜D)によって4つのトナー像が積層された潜像保持体1上のトナー画像は、潜像保持体1が回転されることにより、キャリア液除去装置10と対向されるキャリア液除去位置に搬送され、キャリア液除去装置10により、感光体シート1−2上やトナー画像のトナーの隙間に存在するキャリア液が除去される。
【0041】
キャリア液除去装置10によって余剰のキャリア液が除去されたトナー像は、潜像保持体1の回転に伴って転写装置5と接する転写位置に搬送され、中間転写ローラ6と接する第1の転写位置で、中間転写ローラ6に転写される。なお、潜像保持体1と中間転写ローラ6との間の転写工程は、周知のシアリング転写であり、潜像保持体1の周速度の方が中間転写ローラ6の周速度よりも数%速い状態で、トナー像が転写される。
【0042】
中間転写ローラ6に転写されたトナー像は、中間転写ローラ6の回転に伴って加圧ローラ7と接する第2の転写位置で、記録媒体8に転写される。
【0043】
転写位置で中間転写ローラ6にトナー像が転写された後に感光体シート1−2(潜像保持体1)上に残った残存トナーは、クリーナ9により除去される。以下潜像保持体1が回転されることで、引き続き画像形成が開始される。
【0044】
次に、潜像保持体について、より詳細に説明する。
【0045】
潜像保持体1は、前述したように、ドラム状支持体1−1と、ドラム状支持体1−1の表面に形成された感光体シート1−2とを具備する。なお、潜像保持体1は、所定方向(図1では右回り(CW方向))に、例えば50mm/sec〜300mm/sec程度の周速度で回転される。
【0046】
ドラム状支持体1−1は、例えばアルミニウム(Al)等の材料で形成された直径100mm〜500mm程度、肉厚3mm〜10mm程度の円筒体である。
【0047】
感光体シート1−2は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)にAl(アルミニウム)を蒸着したアルミマイラ基体に、有機感光体層を形成したものである。有機感光体層としては、電荷発生層と電荷輸送層を分離して形成した機能分離構造でも、あるいは電荷発生剤と電荷輸送剤を同一層に形成した単層構造のいずれを用いることもできる。
【0048】
電荷発生剤には、例えばフタロシアニン系顔料やアゾ系顔料等を用いることができる。電荷輸送剤には、ヒドラゾン系材料等を用いることができる。バインダ樹脂には、ポリカーボネート系樹脂やポリエステル系樹脂等を用いることができる。
【0049】
なお、上述した例では、感光体層の厚さは、例えば10μm〜40μm程度である。また、アルミマイラ基体上のアルミ層は、ドラム上支持体1−1を介して接地されている。
【0050】
潜像保持体1は、例えば感光体シート1−2がドラム状支持体1−1の外周部に、概ね1周分巻き付けられた構成である。
【0051】
より好ましくは、図1から明らかなように、ドラム状支持体1−1の内部に、感光体シート1−2の供給ロール11と巻取りロール12を設置し、感光体シート1−2を供給ロール11からドラム状支持体1−1の表面を経て巻取りロール12に至るように配置し、ドラム状支持体1−1表面の感光体シート1−2が劣化した場合に、劣化した感光体シート1−2を巻取り、新品の感光体シート1−2を供給ロール11から供給する構成(巻取り/供給方式)を用いるのが良い。
なお、潜像保持体1には、上述した感光体シート1−2を供給ロール11から供給可能で、かつ支持体1の外周を1周された感光体シート1−2を巻取りロール12により巻取り可能とするための、開口部1−3が形成されている。
【0052】
ところで、図1により説明した湿式電子写真装置においては、キャリア液に、絶縁性有機溶媒を用いている。このため、画像形成時間(回数)が増大することにより、有機系感光体の感光層が溶出したり、帯電プロセスで発生するオゾンやNOx(酸化窒素)の曝露により劣化したりして、画質が劣化してしまうため、感光体を交換するなどのメンテナンス作業が頻繁に必要となる。
【0053】
また、図1から明らかなように、ドラム状支持体1−1内部に感光体シート1−2を収容する構造を取ることにより、ドラム状支持体1−1に必然的に、開口部1−3が存在することは避けられない。従って、ドラム状支持体1−1内に液体現像剤が流入してドラム状支持体1−1内部に予備として保持されている未使用の感光体シート1−2に関しても、結果的にキャリア液(有機溶媒)の影響を受け、寿命や信頼性が低下することになる。なお、現像装置そのものは、常時、有機溶媒雰囲気にあるが、キャリア液が、直接、ドラム状支持体1−1内部に侵入することを改善できれば、感光体シート1−2の感光層の特性が、ドラム状支持体1−1内で未使用のままに劣化することを阻止できることになる。
【0054】
本発明者らは、巻取り/供給方式の感光体シートを用いた潜像保持体を有する湿式電子写真装置においても、供給用の予備の感光体シートが汚染されることなく、潜像保持体の寿命と信頼性を向上させる手法を検討したので、以下に詳細に説明する。
【0055】
すなわち、例えば開口部1−3に、ドラム状支持体1−1の長手方向の全域に亘って開口部1−3を遮蔽するキャッピング機構(以下、キャップと記載する)13を設けることで、キャリア液がドラム状支持体1−1内に侵入することを阻止できる。なお、キャップ13は、例えば板状のゴムあるいは弾性を呈する樹脂であり、感光体シート1−2を介在させた状態で、開口部1−3に所定の圧力で圧接される。また、キャップ13には、図示しない解放機構(取り外し機構)が設けられ、感光体シート1−2を交換(巻取り/供給)する際には、容易に取り外し可能である。
【0056】
図2は、潜像保持体の周りに配置され、任意の色の画像を潜像保持体上に形成する画像形成装置を説明する概略図である。第1〜第4の画像形成装置A〜Dは、それぞれ、減法混色に従って色分解された色成分に対応する3色すなわち黄(Y)画像、マゼンタ(Mすなわち鮮赤色)画像およびシアン(Cすなわち青紫)画像のトナー像と、黒画像の補強および黒単色画像である黒(Bk)画像のトナー像を形成可能である。なお、各画像形成装置A〜Dは、異なる色のトナー粒子を使用する点を除けば、その他の構造は全て同じ条件としても良いし、また、画像形成装置毎に、帯電電位、露光量および現像電位等を、例えばトナー粒子の帯電特性に応じて異なる条件に調整して用いても良い。また、図2においては、任意の色の画像形成装置を代表させて説明する。
【0057】
各画像形成装置A〜Dは、図1を用いて説明した帯電装置2および露光装置3、以下に詳述する現像装置4とを具備している。
【0058】
帯電装置2は、例えばコロトロン帯電器、スコロトロン帯電器等、コロナ放電を生じさせる既知の帯電装置が使用でき、この帯電装置2による放電によって、潜像保持体1表面を例えば500V〜1000Vに均一に帯電する。
【0059】
露光装置3は、画像情報に基づいて露光量が変調されたレーザ光を感光体シート1−2に照射(露光)するレーザ露光装置や、1列または複数列設けられたLED素子が画像情報に応じて選択的に発光されるLEDアレイ等を用いることができる。
【0060】
この露光装置3から画像情報に応じて潜像保持体1表面に選択的に光照射することで、光照射された部分の潜像保持体1の電荷を選択的に減衰させる。例えば露光された部分の電位は、20V〜200Vに減衰される。その結果、潜像保持体1表面には、静電潜像が形成される。
【0061】
現像装置4は、潜像保持体1に対して50μm〜200μm程度、好ましくは100〜180μm、より好ましくは150μmの間隙をもって配置されるとともに、400V〜650V程度の現像電位が供給された現像ローラ4−1を具備している。
【0062】
この現像ローラ4−1は、現像剤容器4−3内に収納された液体現像剤4−2に接触するように配置されており、現像ローラ4−1を回転させることで現像剤容器4−3内に収納された液体現像剤4−2を潜像保持体1表面に供給する。
【0063】
液体現像剤としては、キャリア液(絶縁性で非極性の液体)と、このキャリア液中に分散するトナー粒子(樹脂と着色剤との混合物)とを含有するものが使用されており、現像ローラ4−1と潜像保持体1(静電潜像)との間に形成される電界に応じ、選択的にトナー粒子が潜像保持体1表面に付着する。その結果潜像保持体1の表面にはトナー像が形成される。
【0064】
これらの画像形成装置A〜Dによって潜像保持体1表面に現像されると、潜像保持体1表面のトナー像の周囲にはキャリア液が残存する。
【0065】
この残存したキャリア液は、キャリア液除去装置10により、除去される。
【0066】
キャリア液除去装置10は、例えばスクイーズローラ、吸収体、あるいは乾燥装置等が利用可能であり、キャリア液が除去(乾燥)可能であればよい。
【0067】
スクイーズローラは、図示しないが、潜像保持体1と所定の間隙で対向されたローラを、潜像保持体1が回転される方向と同方向(潜像保持体1の外周面と近接する位置におけるローラ表面の回転方向は逆)に回転(図1では、回転方向は右回り(CW))させることで、潜像保持体1表面に残存しているキャリア液を潜像保持体1から掻き落として除去することができる。
【0068】
吸収体は、スポンジ等の多孔質材料を、潜像保持体1表面に所定の圧力で接触させることにより、潜像保持体1表面のキャリア液を吸収して除去する。
【0069】
乾燥装置としては、例えば潜像保持体1を加熱する加熱装置(熱乾燥機構)や乾燥用ガスまたは熱風もしくは乾燥空気をノズルまたはダクト等により潜像保持体1に供給して潜像保持体1表面のキャリア液を乾燥する送風乾燥が利用可能である。
【0070】
キャリア液除去装置10によってキャリア液が除去された潜像保持体1表面のトナー像は、転写装置5により記録媒体8へ転写される。すなわち、潜像保持体1上のトナー像は、シアリング転写により中間転写ローラ6に1次転写され、中間転写ローラ6に転写されたトナー像は、中間転写ローラ6と加圧ローラ7との間を搬送される記録媒体8に、トナー粒子の粘着力によりもう一度転写(2次転写)される。
【0071】
このような転写を行う場合、中間転写ローラ6や記録媒体8を80℃程度に加熱することが好ましい。また、中間転写ローラ6を使用せず、潜像保持体1表面から記録媒体へ直接転写しても良い。
【0072】
クリーナ9は、潜像保持体1表面に残ったトナー粒子を除去するものである。例えばウレタンゴム等の弾性ブレードを潜像保持体1表面に所定の圧力で押圧することで潜像保持体1表面のトナー粒子を掻き落とす構成であっても良いし、布あるいは不織布等によってトナー粒子をふき取る構成であっても良い。なお、トナー粒子が潜像保持体1の表面に固着している場合には、有機溶剤等によりトナー粒子を構成する樹脂材料の凝集を物理的に分解してから、分解されたトナー粒子成分を掻き落とし、あるいはふき取ることが好ましい。
【0073】
図3は、図1を用いて説明したドラム状支持体の内部に液体現像剤が流入することを防止する機構の別の実施の形態の一例を説明する概略図である。なお、図1を用いて説明した構成と同じ構成には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
図3に示されるように、潜像保持体1は、ドラム状支持体1−1の外周面に、ドラム状支持体1−1内部の供給ロール11から供給された感光体シート1−2が巻き付けられて円筒状の感光体ドラムとして機能する。なお、感光体シート1−2の供給ロール11と反対側になる端部は、ドラム状支持体1−1内で巻取りロール12に巻き付けられている。
【0075】
ドラム状支持体1−1内であって、供給ロール11から供給される感光体シート1−2と巻取りロール12により巻き取られる感光体シート1−2の面が相互に近接する領域には、感光体シート1−2の幅方向の全長に亘って感光体シート1−2を密着させることのできる長さが与えられたクリッパ(開閉機構)14が設けられている。なお、開閉機構(クリッパ)14は、図示しないが周知の可動機構により、感光体シート1−2を相互に密着させる「閉」位置と感光体シート1−2の巻取り/供給すなわちドラム状支持体1−1の外周に巻き付けられている感光体シート1−2の交換に際して感光体シート1−2相互の密着状態を解放可能な「開」位置との間で切り換え可能である。
【0076】
これにより、感光体シート1−2を巻取り/供給する時には、画像出力動作を停止し、開閉機構14によって感光体シート1−2相互の密着を解放し、開口部1−3を介して感光体シート1−2を、巻取りロール12により所定の長さだけ巻き取ることで、ドラム状支持体1−1の外周に巻き付けられている感光体シート1−2を、所定時間(所定画像形成回数)毎に、容易に未使用の感光体シート1−2と、交換できる。
【0077】
その後、開閉機構14により感光体シート1−2を再び密着させることにより、ドラム状支持体1−1の内部に液体現像剤が流入することを防止できる。なお、図3に示したこの実施の形態は、図1を用いて説明したキャップ13に比べて、以下のような観点からより好ましい機構と言える。
【0078】
すなわち、キャップ13が絶縁材料の場合、帯電装置2による帯電プロセスにおいてキャップ13も帯電され、潜像保持体1の周囲に配置されるプロセスユニット(例えば現像ローラ)との間で異常放電が発生する可能性がある。
【0079】
なお、帯電プロセスにおいて、キャップ13が帯電されないように制御した場合には、例えば、一般的に用いられている反転現像法においては、キャップ13の電位が低くなり、キャップ13にトナーが蓄積する問題が発生する可能性がある。
【0080】
一方、キャップ13を導電材料とした場合、キャップ13が帯電装置2による放電を受ける領域すなわち帯電領域を通過する際に、帯電装置2がオン状態であると、キャップ13と帯電装置2との間で異常放電が発生する可能性がある。
【0081】
また、キャップ13が帯電装置2の帯電領域を通過する際に帯電装置2がオフ状態となるように制御しても、上述したキャップ13が絶縁材料である場合と同様に、キャップ13にトナーが蓄積することは同じである。
【0082】
なお、図3に示したクリッパ14を用いた場合にも、物理的な構造上の特徴として感光体シート1−2に生じる窪みや段差にトナーが蓄積されることは、完全には防止できないが、液体現像剤流入防止機構としての開閉機構(クリッパ)14としては、ドラム状支持体1−1内部に設けられることが好ましい。帯電装置2からの帯電の影響を軽減するためにも、ドラム状支持体の外周面が感光層になっていることがより好ましいといえる。
【0083】
[実施例]
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0084】
[実施例1]
本実施例1においては、図1を用いて説明したキャップ13を設けた潜像保持体1を有する湿式電子写真装置を用いて以下のように画像出力を行った。
【0085】
まず、アクリル系樹脂にそれぞれイエロー顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、ブラック顔料を添加した平均粒径0.8μmのトナー粒子を、炭化水素系のキャリア液(アイソパーL:エクソンモービル化学社製)に分散し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックそれぞれの正帯電の液体現像剤を調製した。そして、これらの液体現像剤を画像形成装置A〜Dの現像装置に充填した。
【0086】
潜像保持体1は、以下のような手順で用意した。
【0087】
ドラム状支持体1−1は、アルミニウムを用いて直径262mmの円筒体を作製した。ドラム状支持体1−1には、感光体シート1−2を巻取り/供給するために、エンドミル加工により、幅2mmのスリット状の開口部を形成している。
【0088】
感光体シート1−2は、厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)シートに、アルミニウムを500nm蒸着したアルミマイラ基体を用意し、浸漬塗布法により、厚さ約20μmの有機感光層(OPC)を形成した。なお、有機感光層(OPC)は、バインダ樹脂としてポリカーボネート系樹脂を用い、電荷発生剤としてフタロシアニン系顔料を分散させた単層構造とした。
【0089】
感光体シート1−2を供給ロール11に巻き付け、供給ロール11から感光体シート1−2を供給してドラム状支持体1−1の表面を覆い、巻取りロール12に感光体シート1−2の先端を固定した。ここで、感光体シート1−2の先端部の下地のアルミニウム層を露出させ、巻取りロール12を介して接地している。
【0090】
次に、幅1.95mmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のキャップ13を用いてドラム状支持体1−1の開口部1−3を閉じた。
【0091】
ドラム状支持体1−1の開口部1−3の幅は約2mmであるが、感光体シート1−2の厚みと張力によりキャップ13は、確実に開口部1−3に固定されており、また、封止状態も良好である。
【0092】
このようにして作製した潜像保持体1を用いて、以下の手順でジャパンカラー(Japan Color)の標準画像のフルカラー画像を形成した。なお、本実施例1においては、キャップ13が帯電領域を通過している間は、帯電装置2がオフ状態になるプロセス制御とした。
【0093】
潜像保持体1を、110mm/secの周速で矢印の方向に回転させながら、まずはイエローの画像形成を行った。イエローの画像形成装置Aにおいて、スコロトロン帯電器2により表面を750Vに均一に帯電した後、露光装置3によりイエロー画像の領域に画像情報を露光して電位を100Vに低下させて静電潜像を形成した。
【0094】
得られた静電潜像をイエローの液体現像剤を保持した現像装置により反転現像法で現像した。この現像は、現像装置4に収納されたイエローの液体現像剤と接触され、潜像保持体1と150μmの間隙をもって配置された現像ローラによって感光体シート1−2の全域に液体現像剤を供給して行った。この時、現像ローラに供給する電位は600Vとした。
【0095】
引き続き、マゼンタの画像形成装置B、シアンの画像形成装置C、ブラックの画像形成装置Dの順に、それぞれの色が与えられたトナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を収容した現像装置と感光体シート1−2を接触させることにより各色に対応する静電潜像に対して選択的にトナーを供給して現像し、潜像保持体1上にフルカラーのトナー画像を得た。
【0096】
その後、キャリア液除去装置10により潜像保持体1表面に残った余剰のキャリア液を除去した後、以下のようにして中間転写ローラへ1次転写し、さらに中間転写ローラ6から記録媒体8としてのアート紙へ2次転写することで、アート紙上に、画像を形成した。
【0097】
中間転写ローラ6は、表面にシリコーンゴム製の弾性層を有し、潜像保持体1を室温(20℃)、中間転写ローラ6の温度を80℃とし、中間転写ローラ6と潜像保持体1との圧接力を50kg/210mmとして、トナー像を、中間転写ローラ6の表面に1次転写した。続いて、図示しない加熱装置によって加圧ローラ7を90℃に加熱した上で、中間転写ローラ6と加圧ローラ7とを75kg/210mmで圧接し、圧接部にアート紙を搬送して、トナー像を中間転写ローラ6からアート紙に2次転写した。
【0098】
このようなプロセスを経て得られたフルカラー画像は、液体現像剤を用いることにより、オフセット印刷と同程度の高画質であることが確認された。
【0099】
しかしながら、キャップ13には、4色のトナーが混色して、黒味がかったトナー層の堆積が見られ、このトナー層がキャッピング材13周辺の潜像保持体1にも飛び散っている様子が見られた。
【0100】
このようなアート紙への画像形成を5万枚繰返した後、湿式電子写真装置を停止し、キャップ13を外してクリーニングするとともに供給ローラ11から未使用の感光体シート1−2を供給し、入れ替えに劣化した感光体シート1−2を巻取りローラ12へ巻き取って、ドラム状支持体1−1の表面に新品の感光体シート1−2を用意した。
【0101】
以下、キャップ13を用いて開口部1−3を閉じた後に、上記と同様に画像を複数回出力した。その結果、初期画像出力から5万枚出力までの間、最初の感光体シートの場合と同等の画質が得られることが確認された。
【0102】
[実施例2]
本実施例2においては、図3を用いて説明したクリッパ(開閉機構)14により、ドラム状支持体1−1の内側で、感光体シート1−2を密着させて所定回数画像を形成した。なお、感光体シート1−2がドラム状支持体1−1内部で相互に密着されることにより、開口部1−3の外周においても感光体シート1−2が露出されている(潜像保持体1の外周面を全て感光層としている)。
【0103】
まず、図3(b)に示すように開閉機構14を開けて(クリッパを「開」位置にセットし)、感光体シート1−2を供給ロール11に巻き付けて感光体シート1−2を、ドラム状支持体1−1内に所定の長さだけ収容する。続いて、供給ロール11から感光体シート1−2を引き出して、開口部1−3からドラム状支持体1−1の表面に沿わせ、ドラム状支持体1−1の外周を一周させて、開口部1−3から再びドラム状支持体1−1内に収容し、巻取りロール12に感光体シート1−2の先端を固定した。
【0104】
画像形成時には、図3(a)に示すように開閉機構14によって感光体シート1−2を相互に密着させ(クリッパを「閉」位置にセットし)、以上述べたこと以外は、実施例1の場合と同様の手法でフルカラー画像を形成した。
【0105】
その結果、本実施例2においても、オフセット印刷と同程度の高画質であることが確認された。また、ドラム状支持体に設けたスリット状開口部の周辺において、混色したトナーが見られるものの、トナーの大きな飛び散りは見られなかった。
【0106】
このような画像形成を5万枚繰返した後、湿式電子写真装置を停止し、開閉機構14を解放して感光体シート1−2を相互の密着状態から分離した後、供給ローラ11から新品の感光体シート1−2を供給し、劣化した感光体シート1−2を巻取りローラ12へ巻き取ることにより、ドラム状支持体1−1の表面に、未使用の感光体シート1−2を用意した。
【0107】
以下、開閉機構14により感光体シート1−2を相互に密着させ、同様の手順でフルカラー画像を所定回数出力した。その結果、初期画像出力から5万枚出力までの間、最初の感光体シート1−2の場合と同等の画質が得られることが確認された。
【0108】
[比較例1]
比較例1として、図1に示した本発明の湿式電子写真装置において、ドラム状支持体1−1の開口部1−3のキャップ13を外した状態とし、図示しない離間機構を設け、画像形成装置A〜Dの現像ローラがこのドラム状支持体の開口部を通過する時に、現像ローラと開口部とを離間させることとして、実施例1の場合と同様の手法でフルカラー画像を形成した。
【0109】
その結果、初期においては、実施例1と同程度で、オフセット印刷と同程度の高画質の画像が得られた。
【0110】
また、5万枚フルカラー画像を形成した後、電子写真装置を停止し、供給ローラ11から未使用の感光体シート1−2を供給して、劣化した感光体シート1−2を巻取りローラ12へ巻き取ることにより、ドラム状支持体1−1の表面に新品の感光体シート1−2を用意した。
【0111】
そして、同様の手順でフルカラー画像の出力を行った。しかしながら、本比較例においては、初期から画像不良の発生が確認された。この画像不良の原因としては、ドラム状支持体1−1の開口部を通過する時に、たとえ現像ローラを離間させても、潜像保持体1の開口部以外の領域に付着した液体現像剤が、潜像保持体の表面を伝わって開口部に到達し、ドラム状支持体1−1内部に流れ込んで、供給ローラ11に巻き込んでおいた感光体シート1−2を汚染し、トナーが固着するためであることが確認された。
【0112】
このように、本発明によれば、ドラム状支持体の周囲に感光体シートを巻き付けた潜像保持体内に、感光体シートが劣化した際に交換するための未使用の感光体シートを収容し、トナーをキャリア液に分散させた液体現像剤により画像を現像する湿式現像装置により得られたトナー像を、所定の圧力下で用紙に転写する湿式画像形成装置において、ドラム状支持体に設けたキャップ部材またはドラム状支持体内で感光体シートを相互に密着させることにより、ドラム状支持体内に液体現像剤が流れ込むことが阻止され、所定回数の画像形成の間に、ドラム状支持体内に収容した未使用の感光体シートの感光層の特性が劣化したり、またはドラム状支持体内に液体現像剤が流れ込むことに起因して、未使用の感光体シートにトナー等が固着して画像不良が生じたりすることが防止される。
【0113】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0114】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、感光体シートを巻取り/供給するために設けたドラム状支持体の開口部からドラム状支持体の内部に液体現像剤が流入することを防止できるため、ドラム状支持体の内部に予め設置した未使用の予備の感光体シートが液体現像剤で汚染されたり、または感光層の特性が劣化したりすることが防止できる。これにより、潜像保持体の寿命が長く、信頼性の高い湿式電子写真装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態が適用可能な湿式電子写真装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示した湿式電子写真装置の任意の色の画像形成装置の一例を示す概略図。
【図3】図1に示した電子写真装置に利用可能な潜像保持体の別の実施の形態の一例を示す概略図。
【符号の説明】
1…潜像保持体、1−1…ドラム状支持体、1−2…感光体シート、1−3…開口部、2(A〜D)…帯電装置、3(A〜D)…露光装置(潜像形成装置)、4(A〜D)…現像装置、4−1…現像ローラ、4−2…液体現像剤、4−3…現像剤容器、5…転写装置、6…中間転写ローラ、7…加圧ローラ、8…記録媒体(被転写媒体)、9…クリーナ、10…キャリア液除去装置、11…供給ローラ、12…巻取りローラ、13…キャッピング機構(キャップ)、14…開閉機構(クリッパ)。
【発明の属する技術分野】
湿式電子写真装置の潜像保持体の汚染を防ぎ、寿命と信頼性を向上させるための方法に関する。
【0002】
本発明は、溶媒にトナーを分散させた液体現像剤を用いて静電潜像を現像してトナー像を得る湿式電子写真装置、特に、感光体シートから記録媒体に圧力を用いてトナー像を転写させる湿式電子写真装置において、潜像保持体の汚染を防ぎ、寿命と信頼性を向上させるための方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
画像形成装置、例えば静電複写プロセスが利用される電子写真装置では、潜像保持体である感光体に、光の明暗として伝達された複写対象物である原稿の画像情報に対応する静電潜像を形成し、現像剤であるトナーにより可視化することで複写画像が得られる。
【0004】
なお、静電潜像にトナーを供給する方法として、今日広く普及している乾式に比較して、より粒径の小さなサブミクロンサイズのトナー粒子を溶媒(キャリア液)中に分散させた液体現像剤を用いる湿式電子写真方式が注目を浴びている。
【0005】
すなわち、湿式電子写真装置では、トナー粒子をキャリア液中に保持することにより、乾式では取り扱いが困難なサブミクロンサイズのトナー粒子を使用することができる。
【0006】
なお、潜像保持体上に現像されたトナー像を転写する際に、電界を用いる静電転写方式よりも、機械的な圧力を用いる圧力転写方式を用いることで、トナーの転写効率が高く、オフセット印刷並みの高画質な画像が得られることが知られている。
【0007】
潜像保持体に用いられる感光体の材料としては、安価な有機感光体(OPC)が広く用いられている。
【0008】
OPCの使用形態としては、a)ドラム形状、b)シート形状、ならびにc)ベルト形状の3種類が代表的である。
【0009】
a)ドラム形状とは、浸漬塗布法等により、ドラム(円筒)状のアルミ素管の表面に感光層を形成したものである。
【0010】
b)シート形状とは、PET(ポリエチレンテレフタレート)にアルミを蒸着したアルミマイラ基体に感光層を形成したもので、例えば、ドラム状のアルミ素管に巻き付けて用いられる。
【0011】
c)ベルト形状とは、シート形状の感光体をエンドレスベルトにして用いるものである。
【0012】
ところで、湿式電子写真装置においてOPCを用いる場合、絶縁性有機溶媒であるキャリア液によって感光層が溶出し、または帯電プロセスで発生するオゾンやNOx(酸化窒素)にさらされることにより感光体特性が変化して画質が劣化することが知られている。
【0013】
このため、感光体としてOPCを採用した場合、長期間使用すると、上記a)のドラム形状の感光体(感光体ドラム)を用いた場合には、頻繁にドラムを交換する必要が生じる。
【0014】
そこで、上記b)のシート形状の感光体(感光体シート)をドラム状支持体に巻き付けて使用し、感光体が劣化した時点あるいは画像出力回数(枚数)が所定の枚数に達した時点で、感光体シートを交換するという手法も提案されている。しかしながら、交換頻度については、a)と同等か、より頻度が増大する問題がある。
【0015】
このため、ドラム状支持体の内部に、シート状の感光体を保持する供給ロールと感光体シートを巻き取る巻取りロールを設置し、感光体シートを供給ロールからドラム状支持体の表面を経て巻取りロールに巻き付け、ドラム状支持体表面の感光体シートが劣化した場合に、劣化した感光体シートを巻き取るとともに供給ロールから新らたな感光体シートを供給する電界転写方式の電子写真装置がある(例えば、特許文献1)。
【0016】
同様に、シート状の感光体を用い、ドラム状支持体表面の感光体シートが劣化した場合に、劣化した感光体シートを巻き取るとともに供給ロールから新たな感光体シートを供給するもので、静電転写方式により、トナー像を転写する湿式電子写真装置がある(例えば、特許文献2)。
【0017】
ところで、感光体シート(シート状の感光体)を使用する場合には、ドラム状支持体へ感光体シートを確実に密着させることが重要である。
【0018】
このため、静電転写方式において、ドラム状支持体と感光体シートの間に液体現像剤の溶剤(キャリア液)を塗布して、感光体シートをドラム状支持体に密着させる方法も提案されている(例えば、特許文献3)。
【0019】
【特許文献1】
米国特許公報3,600,086号公報(第1図、カラム2第72行ないしカラム3第14行、カラム4第20行ないしカラム6第49行)
【0020】
【特許文献2】
特開平7−92856号公報(図1、段落[0010]、要約)
【0021】
【特許文献3】
特開2000−231303号公報(図1、段落[0015]ないし[0021])
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、湿式電子写真装置において、感光体シートを潜像保持体の内部に収容し、必要に応じて感光体シートを交換する場合、感光体シートを供給ロールからドラム状支持体の表面を経て巻取りロールに至るように配置するためには、ドラム状支持体に、開口部が必要となる。このため、液体現像剤がドラム状支持体内部に流入し、ドラム状支持体内部に収容されている新品の感光体シートが汚染され、結果的に潜像保持体の寿命や信頼性が低下する問題がある。
【0023】
この発明の目的は、交換用の感光体シートを保持する湿式電子写真装置において、連続して画像形成を行う場合にも、感光体シートの感光体特性の劣化や感光体シートの汚損を防止して、長期に亘って、安定に画像を出力可能とすることである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
この発明は、静電潜像が形成される潜像保持体と、前記静電潜像を液体現像剤で現像して前記潜像保持体表面にトナー像を形成する画像形成装置と、前記トナー像を圧力によって転写媒体に転写する転写手段を具備する湿式電子写真装置において、前記潜像保持体は、開口部を有するドラム状支持体と、前記開口部から前記ドラム状支持体内の表面に案内され、前記ドラム状支持体表面を介して前記ドラム状支持体内に戻されることで前記ドラム状支持体表面を感光体とする感光体シートと、前記ドラム状支持体内部に設けられ、未使用の前記感光体シートを、前記開口部を介して前記ドラム状支持体表面に供給する供給機構と、前記ドラム状支持体内部に設けられ、所定の画像形成に利用された前記感光体シートを、前記開口部を介して巻き取る巻き取り機構と、前記開口部において少なくとも前記感光体シートと接することで、前記開口部から前記ドラム状支持体内部に液体現像剤が流入することを防止する流入防止機構と、を具備することを特徴とする湿式電子写真装置を提供するものである。
【0025】
またこの発明は、静電潜像を保持する潜像保持体と、前記潜像保持体に形成された前記静電潜像を、所定の色が与えられたトナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を用いて現像する現像装置と、前記現像装置から前記潜像保持体に供給された前記キャリア液が前記潜像保持体内部に侵入することを、前記潜像保持体の少なくとも一部を利用して防止する侵入防止機構と、ことを特徴とする湿式電子写真装置を提供するものである。
【0026】
さらにこの発明は、静電潜像を保持可能な感光体シートと、開口部を有し、前記開口部を介して前記感光体シートを自身の内部に収容するとともに、前記開口部を介して前記感光体シートを自身の外周面の所定位置に露出させ、その露出された前記感光体シートを自身の内部に回収可能な感光シート保持体と、前記開口部から現像液が前記感光シート保持体内部に流入することを防止する流入防止機構と、を有することを特徴とする湿式電子写真装置を提供するものである。
【0027】
またさらにこの発明は、静電潜像を保持可能な未使用の感光体シートを内部に保持し、外周面を一周させて再び内部に回収可能な感光シート保持体の外周に、内部から外周面を介在させて再び内部に収納することで、前記感光体シートを、巻き付け、前記感光シート保持体に形成され、前記感光体シートを、内側から外周面におよび外周面から内側に移動可能とする開口部を通じて外周面から現像液が内部に流入することを防止する流入防止機構を、前記開口部に挿入する、ことを特徴とする湿式電子写真装置の現像液流入防止方法である。
【0028】
さらにまたこの発明は、静電潜像を保持可能な未使用の感光体シートを内部に保持し、外周面を一周させて再び内部に回収可能な感光シート保持体の外周に、内部から外周面を介在させて再び内部に収納することで、前記感光体シートを、巻き付け、前記感光シート保持体に形成され、前記感光体シートを、内側から外周面におよび外周面から内側に移動可能とする開口部を通じて外周面から現像液が内部に流入することを、前記感光シート保持体内部で前記感光体シートを相互に密着させて防止する、ことを特徴とする湿式電子写真装置の現像液流入防止方法である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
図1に、湿式電子写真装置の一例を示し、以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
図1に示す湿式電子写真装置は、ドラム状支持体1−1と、ドラム状支持体1−1の表面に巻き付けられ、有機感光材料(OPC)が形成された感光体シート1−2とを有する潜像保持体1と、潜像保持体1の周囲に配置された4つの画像形成装置A〜Dとを有する。
【0032】
潜像保持体1が回転される方向であって、それぞれの画像形成装置A〜D内の現像装置4(A〜D)よりも回転方向上流側の所定位置には、感光体シート1−2に所定の電位を与える帯電装置2(A〜D)および帯電装置2(A〜D)により帯電された感光体シート1−2に画像情報を記録する露光装置3(A〜D)が設けられている。
【0033】
潜像保持体1の周囲の所定の位置、例えば第1の現像装置4Aよりも潜像保持体1が回転される方向の下流側には、潜像保持体1上に形成された現像画像すなわち現像装置4(A〜D)により順次積層されたトナー像を、例えば普通紙などの被転写媒体に転写する転写装置5が設けられている。なお、転写装置5は、表面に弾性層を有し、弾性層が潜像保持体1に所定の圧力で接触されている中間転写ローラ6と、中間転写ローラ6に所定の圧力で接触されている加圧ローラ7とを含む。また、被転写媒体8すなわち用紙は、中間転写ローラ6と加圧ローラ7との間を通過される。
【0034】
潜像保持体1の周囲の所定の位置、例えば転写装置5と第1の画像形成装置Aとの間には、転写装置5において、潜像保持体1表面から転写されなかった転写残りトナーを除去するクリーナ9が設けられている。
【0035】
第4の画像形成装置Dの下流側すなわち矢印方向に回転される潜像保持体1の回転方向の最下流であって転写装置5と接触される転写位置よりも上流側の所定位置には、各画像形成装置A〜Dにより潜像保持体1に供給されたキャリア液(液体現像剤の液体成分)を除去するキャリア液除去装置10が設けられている。
【0036】
上述した湿式電子写真装置においては、帯電装置2(A)により所定の電位に帯電された感光体シート1−2に、潜像形成装置3(A)により第1の色に対応する画像情報が書き込まれることにより、第1の静電潜像が形成される。この第1の静電潜像は、第1の現像装置4(A)によって現像される。すなわち、潜像保持体1の表面に、第1の色のトナー像が、形成される。
【0037】
次に、既に第1のトナー像が形成されている感光体シート1−2は、帯電装置2(B)により所定の電位に帯電され、潜像形成装置3(B)により第2の色に対応する画像情報が書き込まれることにより、第2の静電潜像が形成される。この第2の静電潜像は、第2の現像装置4(B)によって現像される。すなわち、潜像保持体1の表面(および前に形成された第1のトナー像の一部の)上に、第2の色のトナー像が、形成される。
【0038】
続いて、既に第1および第2のトナー像が形成されている感光体シート1−2は、帯電装置2(C)により所定の電位に帯電され、潜像形成装置3(C)により第3の色に対応する画像情報が書き込まれる。従って、感光体シート1−2上に、第3の静電潜像が形成される。この第3の静電潜像は、第3の現像装置4(C)によって現像される。すなわち、潜像保持体1の表面(および前に形成された第1および第2のトナー像の一部の)上に、第3の色のトナー像が、積層される。
【0039】
さらに、上述した工程によって第1〜第3のトナー像が形成されている感光体シート1−2は、帯電装置2(D)により所定の電位に帯電され、潜像形成装置3(D)により第4の色に対応する画像情報が書き込まれる。従って、感光体シート1−2上に、第4の静電潜像が形成される。この第4の静電潜像は、第4の現像装置4(D)によって現像される。すなわち、潜像保持体1の表面(および前に形成された第1〜第3のトナー像の一部の)上に、第4の色のトナー像が、積層される。
【0040】
各現像装置4(A〜D)によって4つのトナー像が積層された潜像保持体1上のトナー画像は、潜像保持体1が回転されることにより、キャリア液除去装置10と対向されるキャリア液除去位置に搬送され、キャリア液除去装置10により、感光体シート1−2上やトナー画像のトナーの隙間に存在するキャリア液が除去される。
【0041】
キャリア液除去装置10によって余剰のキャリア液が除去されたトナー像は、潜像保持体1の回転に伴って転写装置5と接する転写位置に搬送され、中間転写ローラ6と接する第1の転写位置で、中間転写ローラ6に転写される。なお、潜像保持体1と中間転写ローラ6との間の転写工程は、周知のシアリング転写であり、潜像保持体1の周速度の方が中間転写ローラ6の周速度よりも数%速い状態で、トナー像が転写される。
【0042】
中間転写ローラ6に転写されたトナー像は、中間転写ローラ6の回転に伴って加圧ローラ7と接する第2の転写位置で、記録媒体8に転写される。
【0043】
転写位置で中間転写ローラ6にトナー像が転写された後に感光体シート1−2(潜像保持体1)上に残った残存トナーは、クリーナ9により除去される。以下潜像保持体1が回転されることで、引き続き画像形成が開始される。
【0044】
次に、潜像保持体について、より詳細に説明する。
【0045】
潜像保持体1は、前述したように、ドラム状支持体1−1と、ドラム状支持体1−1の表面に形成された感光体シート1−2とを具備する。なお、潜像保持体1は、所定方向(図1では右回り(CW方向))に、例えば50mm/sec〜300mm/sec程度の周速度で回転される。
【0046】
ドラム状支持体1−1は、例えばアルミニウム(Al)等の材料で形成された直径100mm〜500mm程度、肉厚3mm〜10mm程度の円筒体である。
【0047】
感光体シート1−2は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)にAl(アルミニウム)を蒸着したアルミマイラ基体に、有機感光体層を形成したものである。有機感光体層としては、電荷発生層と電荷輸送層を分離して形成した機能分離構造でも、あるいは電荷発生剤と電荷輸送剤を同一層に形成した単層構造のいずれを用いることもできる。
【0048】
電荷発生剤には、例えばフタロシアニン系顔料やアゾ系顔料等を用いることができる。電荷輸送剤には、ヒドラゾン系材料等を用いることができる。バインダ樹脂には、ポリカーボネート系樹脂やポリエステル系樹脂等を用いることができる。
【0049】
なお、上述した例では、感光体層の厚さは、例えば10μm〜40μm程度である。また、アルミマイラ基体上のアルミ層は、ドラム上支持体1−1を介して接地されている。
【0050】
潜像保持体1は、例えば感光体シート1−2がドラム状支持体1−1の外周部に、概ね1周分巻き付けられた構成である。
【0051】
より好ましくは、図1から明らかなように、ドラム状支持体1−1の内部に、感光体シート1−2の供給ロール11と巻取りロール12を設置し、感光体シート1−2を供給ロール11からドラム状支持体1−1の表面を経て巻取りロール12に至るように配置し、ドラム状支持体1−1表面の感光体シート1−2が劣化した場合に、劣化した感光体シート1−2を巻取り、新品の感光体シート1−2を供給ロール11から供給する構成(巻取り/供給方式)を用いるのが良い。
なお、潜像保持体1には、上述した感光体シート1−2を供給ロール11から供給可能で、かつ支持体1の外周を1周された感光体シート1−2を巻取りロール12により巻取り可能とするための、開口部1−3が形成されている。
【0052】
ところで、図1により説明した湿式電子写真装置においては、キャリア液に、絶縁性有機溶媒を用いている。このため、画像形成時間(回数)が増大することにより、有機系感光体の感光層が溶出したり、帯電プロセスで発生するオゾンやNOx(酸化窒素)の曝露により劣化したりして、画質が劣化してしまうため、感光体を交換するなどのメンテナンス作業が頻繁に必要となる。
【0053】
また、図1から明らかなように、ドラム状支持体1−1内部に感光体シート1−2を収容する構造を取ることにより、ドラム状支持体1−1に必然的に、開口部1−3が存在することは避けられない。従って、ドラム状支持体1−1内に液体現像剤が流入してドラム状支持体1−1内部に予備として保持されている未使用の感光体シート1−2に関しても、結果的にキャリア液(有機溶媒)の影響を受け、寿命や信頼性が低下することになる。なお、現像装置そのものは、常時、有機溶媒雰囲気にあるが、キャリア液が、直接、ドラム状支持体1−1内部に侵入することを改善できれば、感光体シート1−2の感光層の特性が、ドラム状支持体1−1内で未使用のままに劣化することを阻止できることになる。
【0054】
本発明者らは、巻取り/供給方式の感光体シートを用いた潜像保持体を有する湿式電子写真装置においても、供給用の予備の感光体シートが汚染されることなく、潜像保持体の寿命と信頼性を向上させる手法を検討したので、以下に詳細に説明する。
【0055】
すなわち、例えば開口部1−3に、ドラム状支持体1−1の長手方向の全域に亘って開口部1−3を遮蔽するキャッピング機構(以下、キャップと記載する)13を設けることで、キャリア液がドラム状支持体1−1内に侵入することを阻止できる。なお、キャップ13は、例えば板状のゴムあるいは弾性を呈する樹脂であり、感光体シート1−2を介在させた状態で、開口部1−3に所定の圧力で圧接される。また、キャップ13には、図示しない解放機構(取り外し機構)が設けられ、感光体シート1−2を交換(巻取り/供給)する際には、容易に取り外し可能である。
【0056】
図2は、潜像保持体の周りに配置され、任意の色の画像を潜像保持体上に形成する画像形成装置を説明する概略図である。第1〜第4の画像形成装置A〜Dは、それぞれ、減法混色に従って色分解された色成分に対応する3色すなわち黄(Y)画像、マゼンタ(Mすなわち鮮赤色)画像およびシアン(Cすなわち青紫)画像のトナー像と、黒画像の補強および黒単色画像である黒(Bk)画像のトナー像を形成可能である。なお、各画像形成装置A〜Dは、異なる色のトナー粒子を使用する点を除けば、その他の構造は全て同じ条件としても良いし、また、画像形成装置毎に、帯電電位、露光量および現像電位等を、例えばトナー粒子の帯電特性に応じて異なる条件に調整して用いても良い。また、図2においては、任意の色の画像形成装置を代表させて説明する。
【0057】
各画像形成装置A〜Dは、図1を用いて説明した帯電装置2および露光装置3、以下に詳述する現像装置4とを具備している。
【0058】
帯電装置2は、例えばコロトロン帯電器、スコロトロン帯電器等、コロナ放電を生じさせる既知の帯電装置が使用でき、この帯電装置2による放電によって、潜像保持体1表面を例えば500V〜1000Vに均一に帯電する。
【0059】
露光装置3は、画像情報に基づいて露光量が変調されたレーザ光を感光体シート1−2に照射(露光)するレーザ露光装置や、1列または複数列設けられたLED素子が画像情報に応じて選択的に発光されるLEDアレイ等を用いることができる。
【0060】
この露光装置3から画像情報に応じて潜像保持体1表面に選択的に光照射することで、光照射された部分の潜像保持体1の電荷を選択的に減衰させる。例えば露光された部分の電位は、20V〜200Vに減衰される。その結果、潜像保持体1表面には、静電潜像が形成される。
【0061】
現像装置4は、潜像保持体1に対して50μm〜200μm程度、好ましくは100〜180μm、より好ましくは150μmの間隙をもって配置されるとともに、400V〜650V程度の現像電位が供給された現像ローラ4−1を具備している。
【0062】
この現像ローラ4−1は、現像剤容器4−3内に収納された液体現像剤4−2に接触するように配置されており、現像ローラ4−1を回転させることで現像剤容器4−3内に収納された液体現像剤4−2を潜像保持体1表面に供給する。
【0063】
液体現像剤としては、キャリア液(絶縁性で非極性の液体)と、このキャリア液中に分散するトナー粒子(樹脂と着色剤との混合物)とを含有するものが使用されており、現像ローラ4−1と潜像保持体1(静電潜像)との間に形成される電界に応じ、選択的にトナー粒子が潜像保持体1表面に付着する。その結果潜像保持体1の表面にはトナー像が形成される。
【0064】
これらの画像形成装置A〜Dによって潜像保持体1表面に現像されると、潜像保持体1表面のトナー像の周囲にはキャリア液が残存する。
【0065】
この残存したキャリア液は、キャリア液除去装置10により、除去される。
【0066】
キャリア液除去装置10は、例えばスクイーズローラ、吸収体、あるいは乾燥装置等が利用可能であり、キャリア液が除去(乾燥)可能であればよい。
【0067】
スクイーズローラは、図示しないが、潜像保持体1と所定の間隙で対向されたローラを、潜像保持体1が回転される方向と同方向(潜像保持体1の外周面と近接する位置におけるローラ表面の回転方向は逆)に回転(図1では、回転方向は右回り(CW))させることで、潜像保持体1表面に残存しているキャリア液を潜像保持体1から掻き落として除去することができる。
【0068】
吸収体は、スポンジ等の多孔質材料を、潜像保持体1表面に所定の圧力で接触させることにより、潜像保持体1表面のキャリア液を吸収して除去する。
【0069】
乾燥装置としては、例えば潜像保持体1を加熱する加熱装置(熱乾燥機構)や乾燥用ガスまたは熱風もしくは乾燥空気をノズルまたはダクト等により潜像保持体1に供給して潜像保持体1表面のキャリア液を乾燥する送風乾燥が利用可能である。
【0070】
キャリア液除去装置10によってキャリア液が除去された潜像保持体1表面のトナー像は、転写装置5により記録媒体8へ転写される。すなわち、潜像保持体1上のトナー像は、シアリング転写により中間転写ローラ6に1次転写され、中間転写ローラ6に転写されたトナー像は、中間転写ローラ6と加圧ローラ7との間を搬送される記録媒体8に、トナー粒子の粘着力によりもう一度転写(2次転写)される。
【0071】
このような転写を行う場合、中間転写ローラ6や記録媒体8を80℃程度に加熱することが好ましい。また、中間転写ローラ6を使用せず、潜像保持体1表面から記録媒体へ直接転写しても良い。
【0072】
クリーナ9は、潜像保持体1表面に残ったトナー粒子を除去するものである。例えばウレタンゴム等の弾性ブレードを潜像保持体1表面に所定の圧力で押圧することで潜像保持体1表面のトナー粒子を掻き落とす構成であっても良いし、布あるいは不織布等によってトナー粒子をふき取る構成であっても良い。なお、トナー粒子が潜像保持体1の表面に固着している場合には、有機溶剤等によりトナー粒子を構成する樹脂材料の凝集を物理的に分解してから、分解されたトナー粒子成分を掻き落とし、あるいはふき取ることが好ましい。
【0073】
図3は、図1を用いて説明したドラム状支持体の内部に液体現像剤が流入することを防止する機構の別の実施の形態の一例を説明する概略図である。なお、図1を用いて説明した構成と同じ構成には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0074】
図3に示されるように、潜像保持体1は、ドラム状支持体1−1の外周面に、ドラム状支持体1−1内部の供給ロール11から供給された感光体シート1−2が巻き付けられて円筒状の感光体ドラムとして機能する。なお、感光体シート1−2の供給ロール11と反対側になる端部は、ドラム状支持体1−1内で巻取りロール12に巻き付けられている。
【0075】
ドラム状支持体1−1内であって、供給ロール11から供給される感光体シート1−2と巻取りロール12により巻き取られる感光体シート1−2の面が相互に近接する領域には、感光体シート1−2の幅方向の全長に亘って感光体シート1−2を密着させることのできる長さが与えられたクリッパ(開閉機構)14が設けられている。なお、開閉機構(クリッパ)14は、図示しないが周知の可動機構により、感光体シート1−2を相互に密着させる「閉」位置と感光体シート1−2の巻取り/供給すなわちドラム状支持体1−1の外周に巻き付けられている感光体シート1−2の交換に際して感光体シート1−2相互の密着状態を解放可能な「開」位置との間で切り換え可能である。
【0076】
これにより、感光体シート1−2を巻取り/供給する時には、画像出力動作を停止し、開閉機構14によって感光体シート1−2相互の密着を解放し、開口部1−3を介して感光体シート1−2を、巻取りロール12により所定の長さだけ巻き取ることで、ドラム状支持体1−1の外周に巻き付けられている感光体シート1−2を、所定時間(所定画像形成回数)毎に、容易に未使用の感光体シート1−2と、交換できる。
【0077】
その後、開閉機構14により感光体シート1−2を再び密着させることにより、ドラム状支持体1−1の内部に液体現像剤が流入することを防止できる。なお、図3に示したこの実施の形態は、図1を用いて説明したキャップ13に比べて、以下のような観点からより好ましい機構と言える。
【0078】
すなわち、キャップ13が絶縁材料の場合、帯電装置2による帯電プロセスにおいてキャップ13も帯電され、潜像保持体1の周囲に配置されるプロセスユニット(例えば現像ローラ)との間で異常放電が発生する可能性がある。
【0079】
なお、帯電プロセスにおいて、キャップ13が帯電されないように制御した場合には、例えば、一般的に用いられている反転現像法においては、キャップ13の電位が低くなり、キャップ13にトナーが蓄積する問題が発生する可能性がある。
【0080】
一方、キャップ13を導電材料とした場合、キャップ13が帯電装置2による放電を受ける領域すなわち帯電領域を通過する際に、帯電装置2がオン状態であると、キャップ13と帯電装置2との間で異常放電が発生する可能性がある。
【0081】
また、キャップ13が帯電装置2の帯電領域を通過する際に帯電装置2がオフ状態となるように制御しても、上述したキャップ13が絶縁材料である場合と同様に、キャップ13にトナーが蓄積することは同じである。
【0082】
なお、図3に示したクリッパ14を用いた場合にも、物理的な構造上の特徴として感光体シート1−2に生じる窪みや段差にトナーが蓄積されることは、完全には防止できないが、液体現像剤流入防止機構としての開閉機構(クリッパ)14としては、ドラム状支持体1−1内部に設けられることが好ましい。帯電装置2からの帯電の影響を軽減するためにも、ドラム状支持体の外周面が感光層になっていることがより好ましいといえる。
【0083】
[実施例]
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0084】
[実施例1]
本実施例1においては、図1を用いて説明したキャップ13を設けた潜像保持体1を有する湿式電子写真装置を用いて以下のように画像出力を行った。
【0085】
まず、アクリル系樹脂にそれぞれイエロー顔料、シアン顔料、マゼンタ顔料、ブラック顔料を添加した平均粒径0.8μmのトナー粒子を、炭化水素系のキャリア液(アイソパーL:エクソンモービル化学社製)に分散し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックそれぞれの正帯電の液体現像剤を調製した。そして、これらの液体現像剤を画像形成装置A〜Dの現像装置に充填した。
【0086】
潜像保持体1は、以下のような手順で用意した。
【0087】
ドラム状支持体1−1は、アルミニウムを用いて直径262mmの円筒体を作製した。ドラム状支持体1−1には、感光体シート1−2を巻取り/供給するために、エンドミル加工により、幅2mmのスリット状の開口部を形成している。
【0088】
感光体シート1−2は、厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)シートに、アルミニウムを500nm蒸着したアルミマイラ基体を用意し、浸漬塗布法により、厚さ約20μmの有機感光層(OPC)を形成した。なお、有機感光層(OPC)は、バインダ樹脂としてポリカーボネート系樹脂を用い、電荷発生剤としてフタロシアニン系顔料を分散させた単層構造とした。
【0089】
感光体シート1−2を供給ロール11に巻き付け、供給ロール11から感光体シート1−2を供給してドラム状支持体1−1の表面を覆い、巻取りロール12に感光体シート1−2の先端を固定した。ここで、感光体シート1−2の先端部の下地のアルミニウム層を露出させ、巻取りロール12を介して接地している。
【0090】
次に、幅1.95mmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のキャップ13を用いてドラム状支持体1−1の開口部1−3を閉じた。
【0091】
ドラム状支持体1−1の開口部1−3の幅は約2mmであるが、感光体シート1−2の厚みと張力によりキャップ13は、確実に開口部1−3に固定されており、また、封止状態も良好である。
【0092】
このようにして作製した潜像保持体1を用いて、以下の手順でジャパンカラー(Japan Color)の標準画像のフルカラー画像を形成した。なお、本実施例1においては、キャップ13が帯電領域を通過している間は、帯電装置2がオフ状態になるプロセス制御とした。
【0093】
潜像保持体1を、110mm/secの周速で矢印の方向に回転させながら、まずはイエローの画像形成を行った。イエローの画像形成装置Aにおいて、スコロトロン帯電器2により表面を750Vに均一に帯電した後、露光装置3によりイエロー画像の領域に画像情報を露光して電位を100Vに低下させて静電潜像を形成した。
【0094】
得られた静電潜像をイエローの液体現像剤を保持した現像装置により反転現像法で現像した。この現像は、現像装置4に収納されたイエローの液体現像剤と接触され、潜像保持体1と150μmの間隙をもって配置された現像ローラによって感光体シート1−2の全域に液体現像剤を供給して行った。この時、現像ローラに供給する電位は600Vとした。
【0095】
引き続き、マゼンタの画像形成装置B、シアンの画像形成装置C、ブラックの画像形成装置Dの順に、それぞれの色が与えられたトナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を収容した現像装置と感光体シート1−2を接触させることにより各色に対応する静電潜像に対して選択的にトナーを供給して現像し、潜像保持体1上にフルカラーのトナー画像を得た。
【0096】
その後、キャリア液除去装置10により潜像保持体1表面に残った余剰のキャリア液を除去した後、以下のようにして中間転写ローラへ1次転写し、さらに中間転写ローラ6から記録媒体8としてのアート紙へ2次転写することで、アート紙上に、画像を形成した。
【0097】
中間転写ローラ6は、表面にシリコーンゴム製の弾性層を有し、潜像保持体1を室温(20℃)、中間転写ローラ6の温度を80℃とし、中間転写ローラ6と潜像保持体1との圧接力を50kg/210mmとして、トナー像を、中間転写ローラ6の表面に1次転写した。続いて、図示しない加熱装置によって加圧ローラ7を90℃に加熱した上で、中間転写ローラ6と加圧ローラ7とを75kg/210mmで圧接し、圧接部にアート紙を搬送して、トナー像を中間転写ローラ6からアート紙に2次転写した。
【0098】
このようなプロセスを経て得られたフルカラー画像は、液体現像剤を用いることにより、オフセット印刷と同程度の高画質であることが確認された。
【0099】
しかしながら、キャップ13には、4色のトナーが混色して、黒味がかったトナー層の堆積が見られ、このトナー層がキャッピング材13周辺の潜像保持体1にも飛び散っている様子が見られた。
【0100】
このようなアート紙への画像形成を5万枚繰返した後、湿式電子写真装置を停止し、キャップ13を外してクリーニングするとともに供給ローラ11から未使用の感光体シート1−2を供給し、入れ替えに劣化した感光体シート1−2を巻取りローラ12へ巻き取って、ドラム状支持体1−1の表面に新品の感光体シート1−2を用意した。
【0101】
以下、キャップ13を用いて開口部1−3を閉じた後に、上記と同様に画像を複数回出力した。その結果、初期画像出力から5万枚出力までの間、最初の感光体シートの場合と同等の画質が得られることが確認された。
【0102】
[実施例2]
本実施例2においては、図3を用いて説明したクリッパ(開閉機構)14により、ドラム状支持体1−1の内側で、感光体シート1−2を密着させて所定回数画像を形成した。なお、感光体シート1−2がドラム状支持体1−1内部で相互に密着されることにより、開口部1−3の外周においても感光体シート1−2が露出されている(潜像保持体1の外周面を全て感光層としている)。
【0103】
まず、図3(b)に示すように開閉機構14を開けて(クリッパを「開」位置にセットし)、感光体シート1−2を供給ロール11に巻き付けて感光体シート1−2を、ドラム状支持体1−1内に所定の長さだけ収容する。続いて、供給ロール11から感光体シート1−2を引き出して、開口部1−3からドラム状支持体1−1の表面に沿わせ、ドラム状支持体1−1の外周を一周させて、開口部1−3から再びドラム状支持体1−1内に収容し、巻取りロール12に感光体シート1−2の先端を固定した。
【0104】
画像形成時には、図3(a)に示すように開閉機構14によって感光体シート1−2を相互に密着させ(クリッパを「閉」位置にセットし)、以上述べたこと以外は、実施例1の場合と同様の手法でフルカラー画像を形成した。
【0105】
その結果、本実施例2においても、オフセット印刷と同程度の高画質であることが確認された。また、ドラム状支持体に設けたスリット状開口部の周辺において、混色したトナーが見られるものの、トナーの大きな飛び散りは見られなかった。
【0106】
このような画像形成を5万枚繰返した後、湿式電子写真装置を停止し、開閉機構14を解放して感光体シート1−2を相互の密着状態から分離した後、供給ローラ11から新品の感光体シート1−2を供給し、劣化した感光体シート1−2を巻取りローラ12へ巻き取ることにより、ドラム状支持体1−1の表面に、未使用の感光体シート1−2を用意した。
【0107】
以下、開閉機構14により感光体シート1−2を相互に密着させ、同様の手順でフルカラー画像を所定回数出力した。その結果、初期画像出力から5万枚出力までの間、最初の感光体シート1−2の場合と同等の画質が得られることが確認された。
【0108】
[比較例1]
比較例1として、図1に示した本発明の湿式電子写真装置において、ドラム状支持体1−1の開口部1−3のキャップ13を外した状態とし、図示しない離間機構を設け、画像形成装置A〜Dの現像ローラがこのドラム状支持体の開口部を通過する時に、現像ローラと開口部とを離間させることとして、実施例1の場合と同様の手法でフルカラー画像を形成した。
【0109】
その結果、初期においては、実施例1と同程度で、オフセット印刷と同程度の高画質の画像が得られた。
【0110】
また、5万枚フルカラー画像を形成した後、電子写真装置を停止し、供給ローラ11から未使用の感光体シート1−2を供給して、劣化した感光体シート1−2を巻取りローラ12へ巻き取ることにより、ドラム状支持体1−1の表面に新品の感光体シート1−2を用意した。
【0111】
そして、同様の手順でフルカラー画像の出力を行った。しかしながら、本比較例においては、初期から画像不良の発生が確認された。この画像不良の原因としては、ドラム状支持体1−1の開口部を通過する時に、たとえ現像ローラを離間させても、潜像保持体1の開口部以外の領域に付着した液体現像剤が、潜像保持体の表面を伝わって開口部に到達し、ドラム状支持体1−1内部に流れ込んで、供給ローラ11に巻き込んでおいた感光体シート1−2を汚染し、トナーが固着するためであることが確認された。
【0112】
このように、本発明によれば、ドラム状支持体の周囲に感光体シートを巻き付けた潜像保持体内に、感光体シートが劣化した際に交換するための未使用の感光体シートを収容し、トナーをキャリア液に分散させた液体現像剤により画像を現像する湿式現像装置により得られたトナー像を、所定の圧力下で用紙に転写する湿式画像形成装置において、ドラム状支持体に設けたキャップ部材またはドラム状支持体内で感光体シートを相互に密着させることにより、ドラム状支持体内に液体現像剤が流れ込むことが阻止され、所定回数の画像形成の間に、ドラム状支持体内に収容した未使用の感光体シートの感光層の特性が劣化したり、またはドラム状支持体内に液体現像剤が流れ込むことに起因して、未使用の感光体シートにトナー等が固着して画像不良が生じたりすることが防止される。
【0113】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0114】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、感光体シートを巻取り/供給するために設けたドラム状支持体の開口部からドラム状支持体の内部に液体現像剤が流入することを防止できるため、ドラム状支持体の内部に予め設置した未使用の予備の感光体シートが液体現像剤で汚染されたり、または感光層の特性が劣化したりすることが防止できる。これにより、潜像保持体の寿命が長く、信頼性の高い湿式電子写真装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態が適用可能な湿式電子写真装置の一例を示す概略図。
【図2】図1に示した湿式電子写真装置の任意の色の画像形成装置の一例を示す概略図。
【図3】図1に示した電子写真装置に利用可能な潜像保持体の別の実施の形態の一例を示す概略図。
【符号の説明】
1…潜像保持体、1−1…ドラム状支持体、1−2…感光体シート、1−3…開口部、2(A〜D)…帯電装置、3(A〜D)…露光装置(潜像形成装置)、4(A〜D)…現像装置、4−1…現像ローラ、4−2…液体現像剤、4−3…現像剤容器、5…転写装置、6…中間転写ローラ、7…加圧ローラ、8…記録媒体(被転写媒体)、9…クリーナ、10…キャリア液除去装置、11…供給ローラ、12…巻取りローラ、13…キャッピング機構(キャップ)、14…開閉機構(クリッパ)。
Claims (9)
- 静電潜像が形成される潜像保持体と、前記静電潜像を液体現像剤で現像して前記潜像保持体表面にトナー像を形成する画像形成装置と、前記トナー像を圧力によって転写媒体に転写する転写手段を具備する湿式電子写真装置において、
前記潜像保持体は、
開口部を有するドラム状支持体と、
前記開口部から前記ドラム状支持体内の表面に案内され、前記ドラム状支持体表面を介して前記ドラム状支持体内に戻されることで前記ドラム状支持体表面を感光体とする感光体シートと、
前記ドラム状支持体内部に設けられ、未使用の前記感光体シートを、前記開口部を介して前記ドラム状支持体表面に供給する供給機構と、
前記ドラム状支持体内部に設けられ、所定の画像形成に利用された前記感光体シートを、前記開口部を介して巻き取る巻き取り機構と、
前記開口部において少なくとも前記感光体シートと接することで、前記開口部から前記ドラム状支持体内部に液体現像剤が流入することを防止する流入防止機構と、を具備することを特徴とする湿式電子写真装置。 - 前記流入防止機構は、前記開口部を、前記感光体シートを介在させた状態で密閉可能な所定の厚さで弾性を呈するキャップ部材であることを特徴とする請求項1記載の湿式電子写真装置。
- 前記流入防止機構は、前記開口部の前記ドラム状支持体の内側に位置され、前記感光体シートの幅方向の全長に亘って前記感光体シートを密着させることのできる長さが与えられた開閉機構を含むことを特徴とする請求項1記載の湿式電子写真装置。
- 静電潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像保持体に形成された前記静電潜像を、所定の色が与えられたトナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を用いて現像する現像装置と、
前記現像装置から前記潜像保持体に供給された前記キャリア液が前記潜像保持体内部に侵入することを、前記潜像保持体の少なくとも一部を利用して防止する侵入防止機構と、ことを特徴とする湿式電子写真装置。 - 静電潜像を保持可能な感光体シートと、
開口部を有し、前記開口部を介して前記感光体シートを自身の内部に収容するとともに、前記開口部を介して前記感光体シートを自身の外周面の所定位置に露出させ、その露出された前記感光体シートを自身の内部に回収可能な感光シート保持体と、
前記開口部から現像液が前記感光シート保持体内部に流入することを防止する流入防止機構と、
を有することを特徴とする湿式電子写真装置。 - 前記流入防止機構は、前記開口部を密閉可能な所定の厚さで弾性が与えられたキャップ部材であることを特徴とする請求項5記載の湿式電子写真装置。
- 前記流入防止機構は、前記開口部の内側に位置され、前記感光シート保持体内部で前記感光体シートを相互に密着させることを特徴とする請求項5記載の湿式電子写真装置。
- 静電潜像を保持可能な未使用の感光体シートを内部に保持し、外周面を一周させて再び内部に回収可能な感光シート保持体の外周に、内部から外周面を介在させて再び内部に収納することで、前記感光体シートを、巻き付け、
前記感光シート保持体に形成され、前記感光体シートを、内側から外周面におよび外周面から内側に移動可能とする開口部を通じて外周面から現像液が内部に流入することを防止する流入防止機構を、前記開口部に挿入する、
ことを特徴とする湿式電子写真装置の現像液流入防止方法。 - 静電潜像を保持可能な未使用の感光体シートを内部に保持し、外周面を一周させて再び内部に回収可能な感光シート保持体の外周に、内部から外周面を介在させて再び内部に収納することで、前記感光体シートを、巻き付け、
前記感光シート保持体に形成され、前記感光体シートを、内側から外周面におよび外周面から内側に移動可能とする開口部を通じて外周面から現像液が内部に流入することを、前記感光シート保持体内部で前記感光体シートを相互に密着させて防止する、
ことを特徴とする湿式電子写真装置の現像液流入防止方法。
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