JP2005047052A - 合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置及び合成樹脂成形機のガス吸引方法 - Google Patents
合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置及び合成樹脂成形機のガス吸引方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】スクリュー71aとケーシング71bとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダ71の原料投入口70に設置される樹脂原料の供給装置であって、原料投入口70には、原料投入用内筒部5と、この内筒部5を取り囲み、ガス吸引口61を設けた排気用外筒部6とが連設され、内筒部5上にはダンパー42が設けられ、このダンパー42と内筒部5との間には、装置外部から内筒部5を通じて加熱シリンダ71内に空気を流入させてガス吸引口61から吸引させるための大気開放弁53が設けられ、かつ、所定の制御信号を受けてこの大気開放弁53を自動開放制御する制御手段9を備えている。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂成形機に樹脂原料を供給する装置、さらに詳細には、スクリューとケーシングから成る加熱シリンダで樹脂原料を加熱・搬送中に発生する水蒸気やガス、残留樹脂を速やかに吸引除去させながら、成形機による合成樹脂成形品に銀条や空洞等を発生させない供給装置及び成形機の吸引方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリューとケーシングから成る加熱シリンダにより樹脂原料を搬送・加熱溶融させながら、合成樹脂成形機(押出成形機、射出成形機)に溶融樹脂を注入させて、合成樹脂成形品を生産するに際し、樹脂の溶融領域である加熱シリンダのケーシング内では、樹脂原料に付着する水分による水蒸気、或いは樹脂成分(モノマー、オリゴマー或いは溶剤)による分解ガスや揮発ガスが発生する。
【0003】
このような水蒸気やガスは、成形機に至るまでに十分に除去されていないと、成形機で生産される合成樹脂成形品に銀条や空洞等が発生し、製品不良の原因となる。
【0004】
特許文献1は、このような製品不良を生じさせないための合成樹脂成形機用のガスや水分等の除去装置を開示するものである。本特許文献1においては、成形機を構成する加熱シリンダの樹脂原料投入口(材料供給口)に、内筒部(材料導入管)と、これを取り囲む外筒部(筒状下部体)とを設け、内筒部から加熱シリンダに樹脂原料を投入しながら、外筒部に接続された吸引空気源により上記原料投入口を経て加熱シリンダ内を吸引排気するものである。
【0005】
特許文献2は、さらに改善されたものであり、未乾燥樹脂ペレットを射出成形機のシリンダ内に供給して最初の射出を行い、最初の射出から所定時間経過後に射出された樹脂パージの品質を検査して得られた単位ショット当たりの最適な堆積量でもって射出を行って射出成形を行う方法を開示するものである。
【0006】
【特許文献1】
実公平7−2182号公報
【特許文献2】
WO99/33630号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示されたガスや水蒸気等(以下、ガスと言う)の除去装置は、スクリューフィーダで樹脂原料を成形機に向け搬送させながら加熱溶融させる際に、そのケーシング内で発生するガスを、吸引空気源により逐次排出させんとするものであるが、なお以下のような解決すべき課題があった。
【0008】
すなわち、連続的に供給される樹脂原料が、加熱シリンダによりその先側の成形機への注入口(ノズル)に向け搬送されるに従い、加熱シリンダのケーシング内が溶融した樹脂によって閉塞されるようになり、先側部分で発生するガスの排気が十分に行われなくなる。
【0009】
このように、ケーシング内の排気が十分になされないと、溶融樹脂がガスを内包したまま成形機に注入されることになるため、銀条や空洞の発生の原因となり、製品不良がなお発生することがあった。また、特許文献2の方法の場合、常に最適な堆積量でもって射出を行うから、このような問題が生じないが、成形工程毎に樹脂パージを何度も実施する必要があり、生産効率が悪くなるという問題点があった。
【0010】
本発明はこのような事情を考慮して提案されたものであり、計量工程時に加熱シリンダのケーシング内で発生するガスを、大気等によるすすぎ効果を利用して排気させ、成形機による製品に上記銀条や空洞等の品質不良を生じさせず、しかも効率的な合成樹脂成形品の生産を行うことができる合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
また、計量工程時のみではなく、材料替え時にも自動排気させるようにすることを第2の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置は、スクリューとケーシングとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダの原料投入口に設置される樹脂原料の供給装置であって、次の構成となっている。
【0013】
すなわち、原料投入口には、原料投入用内筒部と、この内筒部を取り囲み、ガス吸引口を設けた排気用外筒部とが連設され、内筒部上にはダンパーが設けられ、このダンパーと内筒部との間には、装置外部から内筒部を通じて加熱シリンダ内に空気を流入させてガス吸引口から吸引させるための大気開放弁が設けられ、かつ、所定の制御信号を受けてこの大気開放弁を自動開放制御する制御手段を備えている。
【0014】
これにより、流入された空気がキャリヤガスとなって未溶融の樹脂原料が吸引口から吸引されるとともに、ケーシング内に少量のガスが残存している場合でも、空気による「すすぎ」によりガスを分散除去することが可能となる。
【0015】
請求項2では、制御手段は、射出成形機の計量工程時の制御シーケンスにおいて、射出成形機の計量完了信号を受けた後に大気開放弁を開放制御することを特徴とする。
【0016】
すなわち、計量工程の一連の制御シーケンスの中で発生する計量完了信号にもとづいて、大気開放弁を開としているので、完全なガス吸引をオペレータによらず自動で行うことができる。
【0017】
請求項3では、制御手段は、射出成形機の材料替え前処理シーケンスとして、材料替え信号を受けた後に、大気開放弁を開放制御することを特徴とする。
【0018】
請求項4では、大気開放弁に代えて、不活性ガスボンベ接続用の制御弁を設けていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の合成樹脂成形機のガス吸引方法は、請求項1〜4のいずれかの合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置を用いたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面とともに説明する。
【0021】
図1は本発明が採用される合成樹脂成形装置への樹脂原料の供給システムを示す全体構成図である。図2は同システムにおける実施形態の要部の概略的拡大縦断面図である。
【0022】
図1において、1は本システムの主原料である合成樹脂ペレットを貯留するメインホッパー、11は樹脂成形品から発生するバリ等を粉砕回収して再利用するためのリサイクルホッパーであり、これらの下端にはタイマー制御により所定量の原料排出調整が可能とされたロータリーバルブ1a、11aが取り付けられている。12…は着色剤用ホッパーであり、各着色剤用ホッパー12…の下端に取り付けられたフィーダ12a…により、着色剤用サービスホッパー13に各着色剤が供給される。このサービスホッパー13には、計量のためのロードセル13aが設けられており、所望量の着色剤がここで計量され、次の工程に給送される。
【0023】
14は空気輸送ラインであって、上記各ホッパー1、11、12…から排出される樹脂原料は、この空気輸送ライン14に沿って空気輸送され、吸引ホッパー2に捕集される。15はこの空気輸送用吸引ブロアであり、15aはフィルターである。
【0024】
図では、吸引ブロア15による吸引エアを大気に放出するようにしているが、吸引ブロア15の下流側に3方弁及び熱交換器を介して空気輸送ライン14に接続し、気流混合・予備昇温のための気流循環系を構成することも可能である。このようにすれば吸引ホッパー2に捕集された樹脂原料は、吸引ホッパー2内で加熱エアとの接触により予備昇温される。21は、吸引ホッパー2内の樹脂原料が所定量になったか否かを検出するレベルセンサである。
【0025】
上記吸引ホッパー2の下端には、エアシリンダ31aで作動する第2のダンパー31(上部ダンパー)を介してチャージタンク3が連設され、吸引ホッパー2に捕集された樹脂原料は、このダンパー31を開とすることにより、その上端原料投入口32より1ショット分のチャージタンク3内に投入される。33は、チャージタンク3内の樹脂原料の残量を検出するレベルセンサである。ダンパー31は、チャージタンク3とその上流側供給ラインとを気密的に遮断するよう構成される。
【0026】
上記チャージタンク3の下端には、可変速モータ41により回転駆動されるスクリューフィーダ(原料供給機)4が設置され、さらにこのスクリューフィーダ4の後述する内筒部5に通じる排出口43には、エアシリンダ42aで作動するダンパー42(下部ダンパー)を介し、後述する二重筒5、6に接続され、更に合成樹脂成形機7の原料投入口70に連接されている。
【0027】
合成樹脂成形機7は、図2に示すように、スクリュー71a及びそのケーシング71bからなる加熱シリンダ71と、該スクリュー71aを前方に移動させる油圧シリンダ72と、スクリュー71aを軸回転させるモータ73と、上記ケーシング71bの廻りに添装されるヒータ74と、加熱シリンダ71の先端ノズル部71cに密着的に配置される射出若しくは押出金型75とよりなる。
【0028】
上記原料投入口70より投入された樹脂原料Pは、スクリュー71aの回転により、ケーシング71b内をノズル部71c方向に給送されながら、ヒータ74により加熱溶融される。溶融樹脂は、先端のノズル部71c付近で高密度に圧縮される。その後、油圧シリンダ72のラム72aの作動によりスクリュー71aが図1及び図2の左方に移動し、これにより溶融樹脂がノズル部71cより射出され、金型75のコア内に注入される。冷却硬化後、金型75が脱型され合成樹脂成形品が取出される。
【0029】
上記二重筒は、原料投入用内筒部5と、この内筒部5を取り囲む排気用外筒部6とよりなる。内筒部5は、上記スクリューフィーダ4の排出側にダンパー42を介して連接され、スクリューフィーダ4から排出される樹脂原料は、この内筒部5内を経て上記原料投入口70より成形機の加熱シリンダ71に投入される。
【0030】
上記排気用外筒部6は、内筒部5を取り囲むよう配置され、その下端開口部は原料投入口70と連通する。この外筒部6の途中に吸引口61が設けられ、該吸引口61には、脈動発生装置81を介して排気用吸引ブロア8が配管80接続されている。脈動発生装置81は、連続回転するモータ(不図示)により作動する弁体からなり、この弁体の回転に伴う配管80の交互の開閉動作により、配管80中の吸引気流に強弱を付与して吸引気流を脈動させんとするものである。この脈動吸引装置8、81により、成形機の加熱シリンダ71内は600torr程度に減圧される。82はフィルターである。
【0031】
かくして、前記上部ダンパー31を閉じ、かつ下部ダンパー42を開としてスクリューフィーダ4を作動させると、チャージタンク3内の樹脂原料Pが、内筒部5より原料投入口70を経て、成形機7の加熱シリンダ71内に投入される。投入された樹脂原料Pはスクリュー71aの回転により、ケーシング71bの先側に順次給送され、この給送の間ヒータ74により加熱溶融される。
【0032】
排気用外筒部6は、吸引口61を介して吸引ブロア8が配管接続されており、該外筒部6内から原料投入口70を経てケーシング71b内を減圧吸引して、ケーシング71b内で発生するガスを逐次排出できる構成となっている。
【0033】
また、上記下部ダンパー42と内筒部5との間の筒状部側壁には、大気導入口52が開設され、この大気導入口52には電磁弁により作動する大気開放弁53が配管接続されている。
【0034】
すなわち、原料供給機4による、原料投入口70から成形機7の加熱シリンダ71内への樹脂原料の投入が完了した後に、下部ダンパー42を閉じ、大気開放弁53を開とすると、大気導入口52より大量の空気が流入し、真空破壊を起こし、空気がキャリヤガスとなって、原料投入口70付近に堆積する樹脂原料Pが筒部6の吸引口61から吸引される。また、ケーシング71b内にガスが残存している場合でも、空気によりガスを分散させ、いわゆる「すすぎ効果」によりガスを除去することが可能となる。
【0035】
次に、本発明の実施形態について、図3の動作タイムチャートを参照して説明する。図3において、前段階として、吸引ホッパー2のレベルセンサ21の検出信号により、空気輸送用吸引ブロア15が作動し、また各原料ホッパー1、11、12のロータリーバルブ1a、11a、フィーダ12aが適宜作動して、吸引ホッパー2に樹脂原料が空気輸送され捕集される。レベルセンサ21が満信号を発すれば、吸引ブロア15及び各フィーダ等が停止する。これらの動作は、以下の工程とは独立的に、レベルセンサ21の検出信号に基づきなされる。またこの間、上部ダンパー31は閉とされ、チャージタンク3以下とは気密的に遮断状態とされる。
【0036】
成形工程の開始時においては、成形機7は、前工程における保圧が解除され、脱型後型締めがなされた待機状態であり、この状態では油圧シリンダ72は無負荷ではあるがラム72aは伸張した状態で、したがってスクリュー71aはケーシング71b内で前進位置に待機している。排気用吸引ブロア8は常時オンとされ、また、チャージタンク3には後述するように既に樹脂原料が投入されており、そのレベルセンサ33は満信号を出力している。
【0037】
この状態で、成形機7から計量開始信号sw1が発せられる(t0)と、成形機7のモータ73がオンとされ、スクリュー71aは図2のA方向に回転を開始する。
【0038】
若干の時間t1遅延して供給機(スクリューフィーダ)4がオンとされ、その作動が開始する。この遅延時間t1は、成形機7の上記原料投入口70付近に堆積している樹脂原料Pを、加熱シリンダ71内の先側に給送するに十分な時間として設定されるが、投入開始時に原料投入口70付近に樹脂原料が堆積しないことが実証されれば、この遅延時間t1は特に設ける必要はない。
【0039】
上記のように供給機4の作動により投入された樹脂原料Pは、加熱シリンダ71内の先側に逐次給送されるが、供給機4からの排出量によっては、原料投入口70付近に樹脂原料が堆積・滞留することもある。この堆積樹脂を原料投入口70付近に設けられたレベルセンサ51が検出すると有信号が発し、これにより供給機4が停止する。この供給機4の停止の間も、スクリュー71aの回転が継続しているから、堆積樹脂が加熱シリンダ71内の先側に給送される。その後、樹脂原料の堆積がなくなると、レベルセンサ51が無信号を発し、これを受けて供給機4の作動が再開する。なお、レベルセンサ51の代わりに光センサなどで構成された距離センサを設けてもよい。
【0040】
そして、成形機7から計量完了信号sw2が発せられる(t2)までこれを繰り返す。
【0041】
上記のように投入された樹脂原料Pは、スクリュー71aの回転に伴う給送作用により、加熱シリンダ71のケーシング71b内先側に逐次給送されながらヒータ74により加熱溶融される。ケーシング71b内先側に溶融樹脂が圧送されるに伴い、加熱シリンダ71にはその反力が加わる。この時油圧シリンダ72は無負荷状態であるから、ラム72aはこの反力により縮退する。ラム72aが縮退し、所定位置に設置された位置センサ(不図示)を動作させると、計量完了信号sw2が発信され(t2)、これに基づき成形機7のモータ73がオフとされ、程なく供給機4も停止する。
【0042】
その後、成形機7の油圧シリンダ72が作動し、ラム72aが伸張して加熱シリンダ71の先端部に滞留する1ショット分の溶融樹脂がノズル71cから射出され、金型75に注入される。所定時間保圧状態(油圧シリンダ72が作動状態)に維持され、その後油圧シリンダ72の作動を解除し、無負荷状態とした上で冷却・脱型がなされる。
【0043】
上記計量完了信号sw2の発信のタイミングには、スクリュー71a及び供給機4の作動が同時に停止する。そして、下部ダンパー42を閉じ、大気開放弁53を開とすると、吸引ブロア8が常時オンとされているから、この大気開放弁53から大気導入口52を経て大量の空気が内筒内に流入する。この流入空気がキャリヤガスとなって、未溶融の樹脂原料を吸引するとともに、加熱シリンダ71内のガスも吸引除去し、外筒部6に設けられた吸引口61より吸引ライン80を空気輸送される。
【0044】
この流入空気による真空破壊は、加熱シリンダ71内にすすぎ効果をもたらす。すなわち、大気開放弁53から流入した空気は、シリンダ71内に存在するガスを徐々に希薄にし、大量に空気を流入することにより、ほぼ完全なかたちでシリンダ71内を排気する。残存ガスの濃度が低い場合は、ガス吸引するだけではガス除去の効率は悪いため、そのような場合に、空気流入によるガス吸引を行うと特に有効である。
【0045】
また、計量工程の一連の制御シーケンスの中で発生する計量完了信号sw2にもとづいて、大気開放弁53を開としているので、上記のような完全なガス吸引をオペレータによらず自動で行うことができる。
【0046】
図4は原料供給装置の制御ブロック図を示すものであり、CPU9等で構成される供給機制御手段が上述のような動作シーケンスを実行制御する。
【0047】
CPU9は、レベルセンサ21からの原料要求信号により空気輸送用ブロア15を作動させ、またレベルセンサ33からの原料要求信号により上部ダンパー31を開とする。さらに、成形機7の計量開始信号sw1を受け供給機4を動作させ、また、計量完了信号sw2を受け大気開放弁53の開放動作などを実行する。
【0048】
その他、排気用吸引ブロア8の作動制御、原料ホッパー1、11、12における各フィーダ1a、11a、12aの作動制御、ロードセル13aの作動制御などもこのCPU9により実行されることは言うまでもない。なお、成形機7の油圧シリンダ72やモータ73の作動制御は、不図示の成形機独自の制御シーケンスによりなされ、本発明の樹脂原料供給システムでは、成形機7からの上記計量開始信号sw1及び計量完了信号sw2が入力されて上記の作動制御がなされる。
【0049】
このような大気流入によるガス排気は、加熱シリンダ71内を一定の空隙率の空隙を有した状態で行えば、高い効果が期待できる。そのため、上記の例では空隙を含ませるために1ショットずつ樹脂原料を投入し、均一な空隙を生成するためにレベルセンサ51により投入制御しているが、このような投入方法には限定されるものではない。
【0050】
また、レベルセンサ51の代わりに光電センサを用いて、その光強度により原料投入口70の原料の有無を判別しながら、供給機4を制御するようにしてもよい。さらに、供給機4として、スクリューフィーダの例を示したが、ロータリーバルブその他のフィーダも採用可能であり、加えてこれら電動式フィーダを用いず、ダンパー42を供給機4とみなし、この開閉を制御するようにしてもよい。
【0051】
以上に説明した実施形態は、射出成形機の計量工程における制御シーケンスの中に、大気開放弁の開放制御を実行するようにしたものであるが、大気開放弁53の開放による空気流入は、他の目的で他のタイミングに実行するようにしてもよい。
【0052】
たとえば、材料替え時に加熱シリンダ内を掃除する目的で使用してもよい。すなわち、材料替えの前処理シーケンスとして、材料替え信号などのタイミングで大気開放弁53を開放して、シリンダ71内や原料投入口70に残存する樹脂原料を除去してもよい。
【0053】
図5(a)、(b)には、他の例を示している。材料替え時に空気流入させるのは、主に残留樹脂原料の除去が目的であるため、(a)に示すように、内筒部6を伸縮自在とし、原料が流通しやすくするように大気開放弁53の開と同時に内筒部6の下端を持ち上げ制御するようにしてもよい。また、(b)に示すように捕集機(不図示)の先端ノズルNを吸引口61に挿入して吸引するようにしてもよい。
【0054】
このように、材料替え信号などのタイミングで大気開放弁53を開放すれば、材料替えの前処理であるシリンダ内の掃除が自動で実行でき、材料替えを短時間で済ませることができる。
【0055】
また、上記の実施形態では空気を流入するようにしているが、二酸化炭素や窒素などの不活性ガスを流入するようにしてもよい。酸素を含む空気では引火するおそれもあるが、不活性ガスでは湿気を除去する作用があり、安全面、効率面での効果が期待できる。
【0056】
【発明の効果】
以上の説明からも理解できるように、請求項1に記載の合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置は、所定の制御信号を受けて大気開放弁を開放制御しているので、真空破壊を起こし、空気がキャリヤガスとなって未溶融の樹脂原料が吸引口から吸引されるとともに、ケーシング内に少量のガスが残存している場合でも、空気によりガスを分散させ、いわゆる「すすぎ効果」によりガスを除去することが可能となる。
【0057】
また、弁開放制御は制御信号による自動制御なので、所定のシーケンスの中で自動的にガス吸引を実施することができる。
【0058】
請求項2では、計量工程の一連の制御シーケンスの中で発生する計量完了信号にもとづいて、大気開放弁を開としているので、完全なガス吸引をオペレータによらず自動で行うことができる。
【0059】
請求項3では、材料替えの前処理シーケンスとして大気開放弁を開放制御しているので、材料替え時のシリンダ内の掃除を自動的かつ短時間で行え、材料替えを効率よく実施することができる。
【0060】
請求項4では、大気に代えて不活性ガスを流入させているので、大気内の酸素による引火の危険性も低減でき、また、空気に比べて湿気を十分に除去することもできる。
【0061】
請求項5に記載のガス吸引方法は、請求項1〜4のいずれかの装置を利用するので、同様の効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が採用される合成樹脂成形装置への樹脂原料の供給システムを示す全体構成図である。
【図2】
同システムにおける要部の概略的拡大縦断面図である。
【図3】
本発明の実施形態についての動作タイムチャートである。
【図4】
本発明の実施形態についての制御ブロック図である。
【図5】
供給機制御の各種実施態様例を示す図である。
【符号の説明】
3 チャージタンク
31 第2のダンパー(上部ダンパー)
4 原料供給機
42 ダンパー(下部ダンパー)
43 排出口
5 原料投入用内筒部
51 レベルセンサ
52 大気導入口
53 大気開放弁
6 排気用外筒部
61 ガス吸引口
7 合成樹脂成形機
70 原料投入口
71 加熱シリンダ
71a スクリュー
71b ケーシング
74 加熱ヒータ
8、81 脈動吸引装置
9 制御手段
Claims (5)
- スクリューとケーシングとよりなる合成樹脂成形機の加熱シリンダの原料投入口に設置される樹脂原料の供給装置であって、
上記原料投入口には、原料投入用内筒部と、この内筒部を取り囲み、ガス吸引口を設けた排気用外筒部とが連設され、上記内筒部上にはダンパーが設けられ、このダンパーと内筒部との間には、装置外部から内筒部を通じて加熱シリンダ内に空気を流入させて上記ガス吸引口から吸引させるための大気開放弁が設けられ、かつ、所定の制御信号を受けてこの大気開放弁を自動開放制御する制御手段を備えている合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項1において、
上記制御手段は、射出成形機の計量工程時の制御シーケンスにおいて、射出成形機の計量完了信号を受けた後に、上記大気開放弁を開放制御することを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項1において、
上記制御手段は、射出成形機の材料替え前処理シーケンスとして、材料替え信号を受けた後に、上記大気開放弁を開放制御することを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
上記大気開放弁に代えて、不活性ガスボンベ接続用の制御弁を設けていることを特徴とする合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置。 - 請求項1〜4のいずれかの合成樹脂成形機用樹脂原料の供給装置を用いた、合成樹脂成形機のガス吸引方法。
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