JP2005046738A - 粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置および方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置および方法を提供する。
【解決手段】濾過対象流体を内部に導入する導入口および濾過後の流体を外部に導出する導出口をもつ容器と、該容器内の導入口から導出口に至る途中の定位置に保持され、濾過対象流体を濾過する所定量の粒状濾材を備えた複数の濾材収容空間からなる濾過部と、濾過対象流体を所定期間濾過した後の粒状濾材を攪拌して被濾過物が付着した粒状濾材を相対的に移動させて該粒状濾材の表面に付着した被濾過物を除去し、粒状濾材の濾過性能を復活させる攪拌手段と、を備えた粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置および方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、粒状濾材の濾過機能再生手段を備えた濾過装置および濾過方法に関する。
従来、濾過対象流体を濾過するための濾過装置は種々の流体経路に設置されて用いられており、例えば、濾過対象流体を内部に導入する導入口および濾過後の流体を外部に導出する導出口を持つケースと、ケース内の導入口から導出口に至る途中の定位置に保持され、濾過対象流体を濾過する濾材を備えた濾過部とで構成され、導入口から導入した濾過対象流体を一方から他方に流す途中で濾材により濾過し、濾過後の浄化流体を導出口から必要とする領域に導出する。
この濾過装置の濾過部としては、種々の方式のものが使用されている。例えば、所定期間の使用に伴い、濾過機能が低下した場合、未使用の濾材に切り替えて用いる交換方式(カートリッジ方式)のものや、あるいは所定期間使用後の目詰まり状態にある濾材(濾材層表面や内部に被濾過物を付着した状態の濾材)に洗浄用流体を噴射して被濾過物を払拭し、濾過機能を再生させて所定期間、再使用するブロー方式のものなどが用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
SMC社のカタログ「リフレッシュフィルター、FN1series」
しかし、前記従来の交換方式の濾過部を備えた濾過装置の場合には、コスト面で不利である。
また、前記従来のブロー方式の濾過部を備えた濾過装置の場合には、例えば、断面波形状、星形状などの面状濾材を所定期間使用後、洗浄用流体を面状濾材に吹き付けることによって、面状濾材の表面に付着していた被濾過物を払拭し、濾過機能を再生することが行われている。
しかし、前記面状濾材に洗浄用流体を吹き付けてみても、断面形状が複雑なために、被濾過物を完全に除去することは難しく、さらに洗浄用流体の噴射によって、面状濾材内で付着位置は変えたものの除去されずに残留した被濾過物は、面状濾材間の間隔を変化させるために濾過性能を著しく損なうなどの不都合が生じやすい。
かかる課題を解決するために、未だ未公開の段階であるが、特願2002−021188号において、濾過部の収容空間に充填された粒状濾材を所定期間使用後、洗浄用流体を粒状濾材に吹き付けることにより、粒状濾材の表面あるいは濾材粒間に保持されている被濾過物を払拭し、濾過機能を再生することが提案されている。
ところが、濾過部の収容空間に充填された粒状濾材を所定期間使用後、その濾過機能を再生させる場合、洗浄用流体を粒状濾材に吹き付けてみても、粒状濾材の表面あるいは濾材粒間に保持された被濾過物を確実に払拭できないなど、その濾材再生効果は十分といえないのが現状であった。
そこで本発明は、前記問題点に鑑みなされたもので、濾過機能が低下した粒状濾材に対して素早く、濾過機能を再生し、かつ長期間、濾過機能を繰り返し利用可能であり、コスト面で有利な粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置及び粒状濾材の濾過機能再生工程を有する濾過方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、濾過装置の濾材部に、粒状濾材の収容空間を複数設けることにより、上記課題を解決することを見いだしたものである。また、隔壁により仕切られた各小収容空間がいずれも該小収容空間の容積の50〜97%の範囲で該粒状濾材が充填されている構成とすることにより、より効率よく濾材を再生することが可能な濾過装置が得られることを見いだしたものである。
また、上記濾材部の濾材が充填されてなる各空間内で濾材を攪拌することにより効率よく濾材を再生しつつ、濾過する方法を見いだしたものである。
すなわち、本発明の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置(以下、単に「濾過装置」と称することもある。)は、濾過対象流体を内部に導入する導入口および濾過後の流体を外部に導出する導出口をもつ容器と、該容器内の該導入口から該導出口に至る途中の定位置に保持され、濾過対象流体を濾過する所定量の粒状濾材を備えた複数の濾材収容空間からなる濾過部と、該濾過対象流体を所定期間濾過した後の該粒状濾材を攪拌して該被濾過物を除去し、該粒状濾材の濾過性能を復活させる攪拌手段と、を備えたことを特徴とするものからなる。
濾過装置は、容器の導入口から内部に導入させた濾過対象流体を濾過部の各粒状濾材の濾過機能(濾過対象流体を各粒状濾材の充填層を通過させることによって、濾過対象流体に含まれる被濾過物を各粒状濾材の表面に付着させる作用)により濾過し、かつ被濾過物が除去された濾過後の浄化液体を容器の導出口より外部に導出する。ここで、各粒状濾材の表面に付着とは、濾材表面に被濾過物が化学的、物理的に吸着する場合や、濾材と濾材により構成される空間に被濾過物がトラップされる場合を含むものである。
この粒状濾材は、前記のように濾過対象流体を濾過することができる。そして所定期間の濾過に伴い、粒状濾材の表面に付着可能な被濾過物の量が限界に近くなり、濾過機能の再生を必要とする場合に、攪拌手段による攪拌が行われる。
すると、各粒状濾材は、攪拌手段により攪拌されて濾材の各収容空間内を相対的に移動し、表面同士が摺り合わせられ、いままでに表面に付着していた被濾過物が剥離、除去されるため、各粒状濾材の濾過機能を復活させることができる。
次に、本発明の粒状濾材の濾過機能再生工程を有する濾過方法(以下、単に「濾過方法」と称することもある。)は、粒状濾材が充填された濾過部に濾過対象流体を通過させることにより該粒状濾材の表面に被濾過物を付着させて濾過する工程と、該被濾過物が付着した該粒状濾材を攪拌手段によって攪拌することにより相対的に移動させて該粒状濾材の表面に付着した被濾過物を除去し、該粒状濾材の濾過機能を復活させる再生工程と、を有する濾過方法であって、該攪拌手段は、被濾過物が付着した粒状濾材に対し、噴射装置のノズルより洗浄用流体を、該濾過対象流体の一方から他方への流れとは逆方向に噴射して該粒状濾材を攪拌する濾過方法である。
かかる濾過方法は、濾過部の粒状濾材により濾過する工程と、粒状濾材の濾過機能を復活させる再生工程とが交互に繰り返し施される。濾過する工程では、濾過部の粒状濾材により所定期間、濾過対象液体を濾過する機能を得ることができる。再生工程では、前記濾過工程で濾過部の粒状濾材により濾過対象液体を濾過する機能が低下した場合に、被濾過物が付着した粒状濾材を相対的に移動させて粒状濾材の表面に付着した被濾過物を剥離、除去し、粒状濾材の濾過機能を復活させることができる。
本発明の濾過装置は、濾過対象流体に対し濾過部の粒状濾材の濾過機能により所定期間濾過することができる。そして所定期間濾過に使用された濾過部の粒状濾材は、その表面に付着可能な被濾過物量が限界に近くなり、濾過機能の再生を必要とする場合に、攪拌手段により攪拌させられる。すると、各粒状濾材は、攪拌手段により攪拌されて相対的に移動し、表面同士が擦り合わせられ、いままで表面に付着していた被濾過物が剥離、除去されるため、各粒子濾材の濾過機能を復活させることができる。従って、粒状濾材の濾過機能と、粒状濾材の再生機能とを交互に繰り返し、得ることができるため、濾過部を長期間有効に利用でき、コスト面で優れる。すなわち、従来の場合のように、所定の期間濾過作用に用いられた後の濾過部を未使用の新品のものと取り替える必要が解消でき、かつ一度、濾過部を装着すれば長期に渡って、同じものが使用可能となり、経済性に優れる。
本発明の濾過方法は、濾過部の粒状濾材における濾過工程と、再生工程とよりなる。そして、濾過工程では、濾過部の粒状濾材により所定期間、濾過対象流体を濾過する機能を得ることができる。さらに、再生工程では、前記濾過工程で濾過部の粒状濾材により濾過対象流体を濾過する機能が低下した場合に、被濾過物が付着した粒状濾材を相対的に移動させて粒状濾材の表面に付着した被濾過物を剥離、除去し、粒状濾材の濾過機能を復活させることができる。従って、粒状濾材の濾過機能と、粒状濾材の再生機能とを交互に繰り返し、得ることができるため、濾過部を長期間有効に利用でき、コスト面で優れる。
本発明の濾過装置は、容器と、所定量の粒状濾材を備えた複数の濾材収容空間からなる濾過部と、粒状濾材の濾過機能を復活させる攪拌手段と、よりなる。前記容器は、前記導入口および前記導出口を形成した基部と、基部の他端側に着脱可能であり、上方開口部の周縁部分をシール部材を介して基部に水密に固定保持できる有底筒部とよりなる構成を用いることができる。有底筒部は、その内部空間に前記濾過部を収容し、基部の他端側とで濾過部の長手方向の両端を挟持し、定位置に固定保持できる構成を用いることができる。また、有底筒部としては、底部に外部から操作することによって開閉可能なドレン排液通路を備えたものを用いることが好ましい。
前記濾過部は、径方向に所定の間隔を隔てて配置された、流体通過性の小径筒状壁部および流体通過性の大径筒状壁部と、該小径筒状壁部と該大径筒状壁部の軸方向の一端側開口および他端側開口を閉じる一端側蓋および他端側蓋と、該小径筒状壁部と該大径筒状壁部の間に形成された粒状濾材の収容空間を後述する好適な間隔に設置された少なくとも1つの隔壁により分割してなる複数の小収容空間に、後述する好適な範囲で充填されて上方移動代空間を形成し、前記攪拌手段により相対的に移動させられる前記粒状濾材と、よりなる。この結果、好適な再生撹拌作用が得られると共に、容器容積あたりの濾過対象流体の処理量が大きくなるという経済的にも良好な結果が得られる。
前記各収容空間に対する粒状濾材の充填率は収容空間容積の50〜97%が好適であり、70〜97%がより好適であり、90〜97%がさらに好適であり、94〜96%が特に好適である。各収容空間の充填率は同じであっても良く、異なっていても良い。ここで言う充填率とは、例えば高さHの円筒状容器に、粒状濾材の最上面が平らになるように粒状濾材を投入した時の粒状濾材層の高さをhとした場合に、式100×h/Hで表される値である。充填率が97%を超える場合には、粒状濾材に洗浄用流体を噴射しても粒状濾材が充分撹拌されず、被濾過物の除去、排出が不十分な場合がある。充填率が50%を下回る場合には、本来の濾過作用に対しては無用な粒状濾材の上部空間が増えすぎて、容器容積あたりの濾過対象流体の処理量が少なくなり不経済である。すなわち前記範囲の充填率とすることで50%〜3%の上方移動代空間が好適に保持され、かかる上方移動代空間を形成することにより粒状濾材の濾過機能再生時に、洗浄用流体を付与された状態で各粒状濾材が相対移動できる状態を保持可能となるため、各粒状濾材の表面同士の擦り合う動作を適正な範囲に保持でき、かつ擦り合いによる被濾過物の剥離、除去を効率良く行うことができるのである。
前記小径筒状壁部と大径筒状壁部の間に形成された粒状濾材の収容空間は、隔壁により複数の小収容空間に分割されている。ここで各小収容空間の容積は限定されるものではなく、濾材の種類に合わせて設計されるが粒状濾材の充填高さが20〜120mmとなるのが好ましく、20〜60mmがより好ましく、20〜40mmがさらに好ましい。ここで小収容空間の容積が、充填高さで20mmを下回ると、洗浄用流体の噴射圧力や噴射量によっては吹き抜け現象がおこり、粒状濾材の相対的な運動が粒状濾材層全体では十分に引き起こされない場合があり、120mmを上回ると洗浄用流体の噴射圧力や噴射量を大きくする必要があり、洗浄用流体の噴射装置が過大になる場合がある。各小収容空間の容積は統一されていてもよく、異なっていてもよい。各小収容空間を隔てる壁は、小径筒状壁部や大径筒状壁部を構成するのと同じ材質であってもよい。
前記小径筒状壁部及び前記大径筒状壁部としては、濾過対象流体を一方向から他方向に流通でき、さらに洗浄用流体を他方向から一方向に流通できる流体通過性(液体及び気体を透過できる性質)の材料を用いることが出来る。なお、濾過効率を考慮すると、粒状濾材を通過させない範囲で開口径のできるだけ大きいものが好ましい。流体通過性の材料としては、例えば、金属製あるいは合成樹脂製の網状体(ネット)、金属製、セラミックス製あるいは合成樹脂製の多孔板、多孔性焼結体、多孔性繊維シート、などを用いることができる。
前記粒状濾材は、球状のものを用いることができる。また前記粒状濾材は、アスペクト比が1.5以下のものを用いることができる。なお、好ましいアスペクト比は1.0以下である。前記粒状濾材として球状のものや、前記アスペクト比のものを用いる理由としては、粒状濾材の濾過機能を再生する際、濾材の表面に付着、沈積、堆積している被濾過物をその表面から撹拌作用により剥離、除去する場合に、各粒状濾材同士の表面がその全域で可及的に衝突、接触する形状であることが好ましいからである。
前記粒状濾材の大きさとしては、被濾過物の粒径による。即ち各粒状濾材が充填構造を取ったときに形成される間隙の大きさが、被濾過物の粒径より小さくなるように、粒状濾材の大きさが選定されるが、ある程度濾過操作を継続した場合に、粒状濾材の表面に付着、沈積、堆積される被濾過物が、初期の各粒状濾材の形成する間隙を小さくすることを考慮して、被濾過物の粒径と同等あるいはそれ以上の間隙の大きさを形成する粒状濾材の大きさを選定することも可能である。好ましい各粒状濾材の大きさとしては、平均粒径0.5mm〜0.001mm、より好ましくは0.2mm〜0.002mm、さらに好ましくは0.1mm〜0.005mmである。
前記粒状濾材は、相対的な速度差により粒状濾材同士の衝突や摺り合いなどが起こるとき、破損しないで使用に耐える強度をもち、各種濾過対象流体の腐食性などの化学的性質に耐える、例えばジルコニア、アルミナ、シリカなどのセラミックスを用いることができる。
この粒状濾材は、前記のように濾過対象流体を濾過することができる。そして所定期間の濾過に伴い、粒状濾材の表面に付着、沈積、堆積可能な被濾過物の量が限界に近くなり、濾過機能の再生を必要とする場合に、撹拌手段による撹拌が行われる。
前記撹拌手段は、前記濾過対象流体を濾過した後の前記粒状濾材に対し、噴射部装置のノズルより洗浄用気体あるいは洗浄用液体(以下、単に「洗浄用流体」と称することもある。)を、濾過対象流体の一方から他方への流れとは逆の方向に噴射して粒状濾材を撹拌する物理的手段である。
この洗浄用流体を噴射された、表面に被濾過物が付着、沈積、堆積している粒状濾材層は、洗浄用流体の密度、粘度、圧力や流量および濾過対象流体の密度や粘度および粒状濾材の粒径や重さおよびその他の要因などから決定されるある好適な充填高さ以下に充填され、上部に適当な空間がある場合に、好適に浮遊、流動化されて、粒状濾材が並進、回転運動し、相対的な速度差により粒状濾材同士の衝突や摺り合いなど(これらの全体を撹拌と称する)が起こることにより、粒状濾材の表面に付着、沈積、堆積している被濾過物は剥離、除去されて、洗浄用流体と伴に濾過部から排出される。
前記攪拌手段は前記ノズルを回転させる回転駆動部をもつものを用いることができる。この場合には、回転駆動部によりノズルを回転させることによって、濾過部の粒状濾材に対して周方向に間歇的に噴射される洗浄用流体による攪拌作用を付与でき、この分、各粒状濾材の攪拌移動および粒状濾材同士の表面の擦り合う現象を活発にさせ得る。なお、コスト低減を計る目的からは、洗浄用流体として気体を用いることが好ましい。
回転駆動部としては、電動モータ、エアモータ、水力モータなどの外部駆動力を用いることができる。また、回転駆動部の回転駆動力によりノズルを回転する場合いは、減速ギア、ベルトなどの駆動力伝達手段を介在することや、回転数を制御する一般的な制御手段などを適用することができる。
ノズルとしては、濾過対象流体の一方から他方への流れとは逆の方向に洗浄用流体を噴射して粒状濾材を撹拌することができる位置に設けられていればよく、例えば、外部から所定の圧力で洗浄用流体を送給する一端が閉じた筒状体(以下噴射ノズル部と称する)の周壁に開口しており、筒状体の周方向および軸方向の所定間隔に設けられている。ノズルの口径、数量などは、目的に応じて種々設定できる。ノズルは、等間隔あるいは非等間隔あるいは千鳥配列などの特定の配列となるように設けることができる。
前記攪拌手段は、前記容器に着脱可能に装着された構成とすることができる。この場合には、予め、設置された複数の濾過装置に対し、その濾過部で所定期間、濾過対象流体を濾過した後、濾過部の濾材の濾過機能の再生時に各濾過装置の容器に着脱可能な攪拌部材を装着し、かつ攪拌部材によって、濾材を攪拌することができる。すなわち、ひとつの攪拌部材を複数の濾過装置に順に着脱可能に装着して各濾過部の濾材の濾過機能を再生することができ、コスト面で有利となる。
噴射ノズルから噴射される洗浄用流体による前記再生撹拌作用は、洗浄用流体による噴射作用に加えて、噴射作用とは異なる他の手段により各粒状濾材に相対的な運動を生ぜしめることによりさらに効果的に実施することができる。即ち、前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部および前記噴射ノズル部とを同期して軸方向に往復運動せしめることも好ましい。また、前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部とを周方向に同期して、あるいは該小径筒状壁部および該大径筒状壁部のいずれか一方を周方向に反転運動せしめることにより、前記各粒状濾材に相対的な運動を効果的に付与することができる。さらには、前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部および前記噴射ノズル部とを同期して軸方向に往復運動せしめると同時に、前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部とを周方向に同期して、あるいは該小径筒状壁部および該大径筒状壁部のいずれか一方を周方向に反転運動せしめることにより、前記各粒状濾材に相対的な運動を特に効果的に付与することができる。
前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部および前記噴射ノズル部とが同期して軸方向に往復運動することにより、噴射ノズル部の全てのノズルは確実に粒状濾材に対して洗浄用流体を噴射することができる。また、前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部とが同期して周方向に反転運動することにより、濾過部の粒状濾材に対して、周方向に間歇的に噴射される洗浄用流体による撹拌作用を付与することができ、この分、各粒状濾材の相対的運動を活発にさせ得る。さらに、前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部のいずれか一方が周方向に反転運動することにより、該小径筒状壁部と該大径筒状壁部には周期的に反転する相対的速度差が生じ、該小径筒状壁部と該大径筒状壁部との間に設置されている粒状濾材層に周期的に反転する剪断力が付与されるために、各粒状濾材の相対的運動をより活発にさせ得る。
さらに、いずれか一方が周方向に反転運動している前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部の両者あるいはいずれか一方に、粒状濾材層に向かって棒状や台形状などの突起状物が設置されている場合には、前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部との反転する相対的速度差による粒状濾材層の撹拌効果に加えて、突起状物による撹拌効果が付加されるので、各粒状濾材の相対的運動をさらに活発にさせ得る。前記突起状物としては、粒状濾材を撹拌することができる位置に設けられていればよく、大きさや数量などは、目的に応じて種々設定できる。また前記突起状物は等間隔あるいは非等間隔に設けることができる。
前記小径筒状壁部および前記大径筒状壁部は、噴射ノズル部の中心軸に対して同心円状に配列された円筒形状に設定できるが、その他に該小径筒状壁部および該大径筒状壁部の両者あるいはいずれか一方が周方向に反転運動する場合には、該小径筒状壁部および該大径筒状壁部の両者あるいはいずれか一方を螺旋状、波形状などの粒状濾材層に相対的な運動を生ぜしめるような形状に設定することもできる。
前記小径筒状壁部、大径筒状壁部および/または噴射ノズル部の往復運動および反転運動の駆動部としては、エアーシリンダーなどの往復運動を生ぜしめる外部駆動力を用いることができる。また、継ぎ手などの駆動力伝達手段を介在することや、往復運動のストローク長さや周波数などを制御する一般的な制御手段などを適用することができる。
前記濾過工程は、粒状濾材が充填された濾過部に濾過対象液体を通過させることにより粒状濾材の表面に被濾過物を付着させて濾過する工程である。前記再生工程は、被濾過物が付着した粒状濾材を相対的に移動させて粒状濾材の表面に付着した被濾過物を剥離、除去し、粒状濾材の濾過機能を復活させる工程である。
前記本発明の濾過装置を用い、前記本発明の濾過方法を実施する場合に適用した実施例を図1〜図10に基づいて説明する。
図1および図3に要部を断面して示す実施例の濾過装置1は容器2と、容器2内の定位置に収容され所定量の粒状濾材6を攪拌可能に保持する筒状の濾過部5と、容器2に着脱可能に装着され粒状濾材6を攪拌する攪拌手段7とで構成されている。容器2は、基部3と、基部3に着脱可能に装着される有底筒部4とよりなる。基部3は合成樹脂製で厚肉状で剛性を備えた略円柱形のもので、以下に示す内部構成を備えている。
すなわち、基部3には、濾過対象流体を外部から導入した後、濾過部5で濾過した濾過済みの浄化流体を外部に導出する系路を構成する、導入通路30(孔あるいは管)、流入室31、連通孔32、凹部33、中心孔35、導出通路36(孔あるいは管)と、攪拌手段7を着脱可能に装着するための中央筒状部37と、有底筒部4を着脱可能で気密に固定保持するためのシール凹部34および筒状保持部38などが形成されている。導入通路30は、濾過対象流体を外部通路S1から流入室31に案内する。流入室31は、基部3の中央領域の外側を周回する空洞状で導出孔36を回避(区画)する位置に設けられている。中心孔35は、中央筒状部37とともに基部3の中央領域に形成され、上限に貫通している。
中央筒状部37は、上方および下方に突出する雄螺子370、断面鋭角のリング状突起371を備えている。リング状突起371は、その先端に濾過部5の一端(上端)蓋部材52が当接状態にある場合、シール部を形成する機能、および凹部33と中心孔35とを区画する(リング状突起371によって、リング状突起371の半径内側に中心孔35が位置し、リング状突起371の半径外側に凹部33が位置する関係に区画する)機能をもつ。筒状保持部38は、基部3の外周壁面380側より垂下し、内周側に雌螺子381を備えている。
前記流入室31と凹部33とは、周方向に形成された複数の連通孔32(図9参照)によって連通している。凹部33と中心孔35とは、濾過部5によって区画される(図2参照)。シール凹部34は、下記の有底筒部4の上方開口周縁部分41とともに、シール部材O1を挟持する当接面340をもつ。
前記送出通路S2には、開閉バルブBが設けられている。
有底筒部4は、所定長さでストレートに伸びる筒状周壁40と、筒状40の上端側に連設され、基部3の雌螺子381に螺着される雄螺子410をもつ上方開口周縁部分41と、筒状周壁40の他端(下端)側に連設されロート状に垂下する底部42と、底部42の中央最下部に形成された筒状のドレン通路43とを備える。筒状周壁40の内面には、底部42側に後記する濾過部5の他端蓋部材53を底位置に固定保持する下方保持板45(図2および図10参照)を載置するための載置部44が設けられている。
下方保持板45は、上方に突出し、濾過部5の下部蓋部材53に当接する断面鋭角のリング状突起450と、リング状突起450の半径外側周方向に等間隔に形成された連通孔451とを備える。下方保持板45は、筒状周壁40の載置部44に載置されたとき、リング状突起450が濾過部5の下部蓋部材53に当接して濾過部5を定位置に保持し、粒状濾材6の洗浄時に排出される流体(粒状濾材6の表面60から剥離、除去された被濾過物、洗浄作用済みの洗浄用圧力エア、濾過対象流体など)を連通孔451から底部42側に案内する。
ドレン通路43は、切り替えバルブB1を備えた回収通路S5に連通する。
前記有底筒部4は、その内部に筒状周壁40より所定の間隔L1を保持して濾過部5を収容するとともに、上方開口周縁部分41をシール部材O1を介して前記基部3のシール凹部34における当接面340に対抗して着脱可能で、水密に固定保持できる。回収通路S5は、洗浄時にドレン通所43から容器2外に排出された前記流体の一部あるいは全部を図略の濾過対象流体の供給源(濾過対象流体タンク)に回収するための機能をもつ。
濾過部5は、軸方向Pの長さと、外径および内径とが所定の値に設定された円筒状体である。この濾過部5は、有底筒部4の内部に同軸上に収容、配置され、かつ有底筒部4の内部を径方向Rに2つに区画し導入空間e1と導出空間e3を形成する。この導入空間e1とe3は、以下に説明する濾過部5を介してのみ、連通可能である。すなわち、濾過対象流体を導入空間e1側から濾過部5を介して導出空間e3に濾過済みの浄化流体として流通させることや、逆に洗浄用の圧力エアや、洗浄要の圧力液体などを導出空間e3から濾過部5を介して導入空間e1に流通させることが可能である(図1および図3)。
濾過部5は、図1に示すように、径方向Rに所定の間隔を隔てて配置された、流体通過性の小径筒状駅部50および流体通過性の大径筒状壁部51と、小径筒状壁部50と大径筒状壁部51の軸方向Pの一端側開口aおよび他端側開口bを閉じる一端側蓋52および他端側蓋53と、隔壁54と、それら(小径筒状壁部50、大径筒状壁部51、一端側蓋52、他端側蓋53、隔壁54)により形成された収容空間e2に、後記する値の上方移動代空間としての隙間e20を確保した状態で収容された粒状濾材6と、よりなる。
小径筒状壁部50および大径筒状壁部51は、濾過対象流体および圧力エアや、粒状濾材6から剥離、除去された被濾過物を通過可能で、かつ粒状濾材6を非通過状体に保持することができる部材として図略の微小孔をもつステンレス製の網状体(ネット)が用いられる。なお、網状体(ネット)としては、ステンレス製のものに限定されるものではなく、例えば、剛性樹脂製(ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルなど)の網状体(ネット)を用いることができる。
隔壁54は一端側蓋および他端側蓋と同様にステンレス製のものが用いられるが、その他のものも用いることができる。隔壁54同士の間隔は20〜125mmに設定することによって、粒状濾材層の充填高さを適切に設定することができる。
一端側蓋52、他端側蓋53は、ステンレス製円板で断面凹形状の嵌合溝m1、m2を備えている。一端側蓋52は、図6に示すように頂壁520と、頂壁520の周端より垂下する周壁521とで、前記嵌合溝m1を形成している。また、周壁521は、下記の濾過部5の隙間e20の上下方向より長い、他端m10までの長さh1に設定され、濾過部5の小径筒状壁部50、大径筒状壁部51における隙間e20に対向する領域を覆い、流体を非透過状体に保持するシール機能を発揮するように配慮されている。各小収容空間ごとにも隙間e20に対向する領域を覆うステンレス板が設けられて、流体を非透過状体に保持するシール機能を発揮するように配慮されている。
粒子状濾材6は、ジルコニア製粒子よりなり、その表面に微小の被濾過物(例えば、ホーニング作業に伴う研削領域に供給される加工洗浄液に含まれる、砥石の微小屑や、被研削体より研削された微小屑、使用済み天ぷら油や重軽油に含まれる固形物、養魚状の水中に含まれる固形物、空気中の浮遊粒子など)を付着させ得る。この粒状濾材6には、球状で平均粒径0.5mm〜0.001mmのものが用いられる。
また、濾過部5の収容空間e2への粒状濾材6の充填(収容)率は、収容空間e2の容積に対し50%〜97%である。このため、前記充填(収容)率で所定料の粒状濾材6が収容空間e2に収容された後、その上方に若干の隙間e20(収容空間e2の容積に対し50%〜3%)が上方移動代空間として形成される。
なお、前記充填(収容)率に設定した理由としては、粒状濾材6の濾過機能の再生工程を施す場合、濾過部5により半径内側に区画された導出空間e3から濾過部5の流体通過性の小径筒状壁部50を介して、洗浄用流体が濾過部5内の収容空間e2に吹き付けられるとき、ほとんどの粒状濾材6が次々と攪拌でき、かつ相対移動し、隣り合う位置の粒状濾材6同士が表面60(図7参照)を互いに摺り合わすことができる、粒状濾材6の移動代を確保するためである。
また、前記値より超過する場合には、各粒状濾材6の表面60に被濾過物が付着後、その表面より被濾過物を剥離、除去するための操作として、攪拌洗浄用の圧力エアが付与された際に、各粒状濾材6が相対移動しにくく各粒状濾材6の表面60同士の擦り合う動作が抑制されるため、擦り合わせによる被濾過物の剥離、除去がほとんど行われず、かつ各粒状濾材6の再生機能が低下する。従って、各粒状濾材6の表面60同士の擦り合う動作を適正な範囲に保持でき、かつ擦り合いによる被濾過物の剥離、除去を効率良く行うことができる前記範囲とすることが重要である。
攪拌手段7は、図1および図3に示すように、中空状の本体7aと、本体7aの内部に回転可能に保持されるとともに、外部から送給された圧力エアによって回転駆動する回転駆動部7bと、回転駆動部7bの回転に連動しつつ回転駆動部7bを介して導入された圧力エアを濾過部5の小径筒状壁部50に向かって噴射する回転ノズル部7cと、本体7aに係合し、本体7aとともに回転駆動部7b、回転ノズル部7cをケース2に着脱可能に装着する蓋部7dと、よりなる。
本体7aは、略円筒状でその上方が閉じられ、下方が一部を除いて閉じられた大径の圧力エア作用部70aと、圧力エア作用部70aの中心部で下方に延び、圧力エア作用部70aよりも小径の円筒状保持部71aと、圧力エア作用部70aの底部の周方向の一部に設けられた連通孔72aと、連通孔72aを介して圧力エア作用部70aと円筒状保持部71aとの連通するエア通路73aとを備える。圧力エア作用部70aの周壁74aには、外部から送給された圧力エアの噴出通路75a(図8参照)が形成されている。噴出通路75aは、図略の圧力エア供給源に供給通路S3を介して連通し、外部から圧力エアを導入可能である。前記供給通路S3は、圧力エアの供給タイミング、供給量、供給圧力などを目的とする値に予め、設定可能であり、かつ制御する図略の制御部を備えている。
回転駆動部7bは、本体7aの圧力エア作用部70aおよび円筒状保持部71aに、それぞれ回転可能に保持された、回転羽部70b、回転羽部70bの筒状中心軸71b、筒状中心軸71bの他端側に連設された回転窓部72b、回転窓部72bの他端側に連設された筒状回転保持部73bとよりなる(図1および図3参照)。
回転羽部70bは、筒状中心軸71bの周方向に等間隔(図8参照)に形成されている。回転窓部72bは、中空状でその周壁に周方向、等間隔に形成された複数の開口720が形成されている。この開口720は、エア通路73aに対向する位置で、圧力エア作用部70aからの圧力エアを前記連通孔72aおよびエア通路73aを介し導入できる。
回転ノズル部7cは、有底筒状で周壁部70cの一端側が前記回転窓部72bに連設されて回転窓部72bとともに回転するとともに、回転窓部72bからの圧力エアを受けることができる。周壁70cには濾過部5の小径筒状壁部50に対向する位置(周方向および軸方向)に沿って複数のノズル孔c1が形成されている。ノズル孔c1は、濾過部5の収容空間e2に充填された粒状濾材6に対して、前記供給通路S3から供給された所定の圧力および流量の圧力エアを濾過部5の流体通過性の小径筒状壁部50を介して噴射し、かつ粒状濾材6を攪拌することによって強制的に相対移動および回転運動させ、粒状濾材6同士の表面60に擦り合わせ作用を発生させる原動力を付与する機能を備える。
ノズル孔c1は装置1の使用条件に対応した所定の圧力および流量で圧力エアを送給するように、その数量およびノズル口径、配置位置などを目的に応じて種々、設定できる。例えば、回転ノズル部7cの周方向および軸方向の所定間隔に千鳥状の配置に開口することができる。ノズル孔c1の口径は、1mm以下であり、好ましい値は0.5mmである。
また、ノズル孔c1の開口(回転ノズル部7cの外周面と面一の位置)と前記濾過部5の小径筒状壁部50との間隔W1は、5mm以内に設定することによって、ノズル孔c1から噴射された圧力エアが小径筒状壁部50を透過し、濾過部5の収容空間e2に充填された各粒状濾材6を相対的に移動可能に攪拌作用を付与できる吹き付け状態が得られる。
なお、前記間隔W1が0である場合には、ノズル孔c1の開口と、小径筒状壁部50とが接触した状態となるが、回転ノズル部7cの回転時にその周方向に相対移動および回転運動し、最も近い位置でノズル孔c1から小径筒状壁部50に直接圧力エアが噴射され、小径筒状壁部50を透過し収容空間e2の粒状濾材6に強い攪拌作用を付与できる。
前記間隔W1が5mmを超過する場合には、導出空間e3の幅が広くなるため、再生工程において、ノズル孔c1から噴射された圧力エアによる各粒状濾材6に対し相対的に移動可能に攪拌作用を付与できる吹き付け状態が低下する。
前記のように、構成された実施例の装置1を流体通路系路の導入通路S1と送出通路S2との間に設置して用い、濾過対象流体の濾過する工程を施す場合と、粒状濾材6にその濾過機能を復活させる再生工程を施す場合を以下に順に説明する。
(濾過工程)
装置1は、濾過工程に用いる場合、攪拌手段7は、図2に示すように、容器2より取り外された後、容器2(基部3の中央筒状37雄螺子370)に雌螺子70eを備えた蓋部7eを螺合し、シール部材O2を介して気密に装着されて用いられる。
この場合には、容器2の流体通路系路の送出通路S2がバルブBによって開かれるとともに、ドレン通路43に連通する回収用通路S5がバルブ1によって閉じられる。
この状態で、装置1に対し、容器2外部の導入通路S1から濾過対象流体が供給される。なお、濾過対象液体としては、例えば、加工洗浄液〔微小な被濾過物(砥石の微小屑や、被研磨体より研削された微小屑など)を含む研磨液(水性)やホーニング油〕や、植物油(食用油)や、水槽に蓄積された水、浮遊粒子を含む空気などを用いることができるが、本実施例では前記加工洗浄液を用いた場合を示す。
そして、基部3の導入通路30,有底筒部4内の導入空間e1を経て、濾過部5の大径筒状壁部51を透過し、濾過部5の収容空間e2に導入する(図1の矢参照)。
収容空間e2に導入した濾過対象液体は、互いに隣り合う粒子状濾材6同士の微小隙間を流通した後、小径筒状壁部50を透過して導出空間e3に至るまでの間に、所定量の粒子状濾材6の表面60に次々に繰り返し接触する(図2、図5、図6参照)。
すると、濾過対象流体に含まれる被濾過物は、核粒子状濾材6の表面60との接触作用によって、各粒状濾材6の表面60に付着濾過される。このため、濾過部5の収容空間e2に導入した濾過対象流体は、所定量の粒状濾材6で濾過され浄化流体となり、収容空間e2より小径筒状壁部50を透過して導出空間e3から、その上方の中心孔35を経てケース2の外部の導出通路S2から、目的とする使用箇所に導出される。
そして、濾過部5の粒状濾材6は、濾過対象流体に対し、所定期間濾過機能を十分に発揮した後、その表面60への被濾過物の付着量の限界に到達する。この場合には、粒状濾材6による濾過対象流体の濾過機能を再生する必要がある。
(再生工程)
この再生工程では、その準備として図2に示すように、蓋部7eが容器2から取り外される。ついで、図3に示す過程を経て図1のように、攪拌手段7eが容器2に装着される。この場合、攪拌手段7の本体7aは、雌螺子70dを備えた蓋部7dを前記雄螺子370に螺合することによって確実に装着される。
また、図1に示すように、流体通路系路の送出通路S2がバルブBによって閉じられるとともに、ドレン通路43に連通する回収用通路S5がバルブB1によって開かれる。
そして供給通路S3からの圧力エアは、噴出通路75aを介して回転駆動部7bの圧力エア作用部70aに供給される。すると、回転羽部70bは、圧力エアの噴射圧力によって、所定の回転数で回転する。また、回転羽部70bの回転に伴い、筒状中心軸71b、回転窓部72b、筒状回転保持部73b、回転ノズル部7cも回転する。
ここにおいて、噴出通路75aの噴射位置より回転羽部70bに回転作用を付与した後の圧力エアは、前記噴射位置よりほぼ周方向に270°隔てた位置の連通孔72a、エア通路73aを介し、回転窓部72bの開口720から導入し、かつ回転ノズル部7cに供給される。なお、回転ノズル部7cに供給される洗浄用の圧力エアの流量は、図略の流量計で制御される。
すると、回転ノズル部7cは、回転しつつ各ノズル孔c1から濾過部5の小径筒状壁部50に向けて所定気圧の圧力エアを噴出する。各ノズル孔c1からの圧力エアの噴出は、回転ノズル部7cが回転しているため、小径筒状壁部50に向けて噴射される位置が周方向Z(図4参照)に変化する。このため、小径筒状壁部50の同一位置における圧力エアの噴射状態は、間欠的に繰り返し行われ、攪拌作用を高めることができる。
すなわち、小径筒状壁部50を透過して収容空間e2に保持された各粒子状濾材6に衝突し、かつ各粒子状濾材6を図7に示すようにランダム状に攪拌した後、図1および図4に示すように大径筒状壁部51を透過して導入空間e1に導入し、濾過対象流体とともに底部42およびドレン通路43に案内され、外部に排出される。
一方、濾過部5の収容空間e2内の各粒子状濾材6は、前記濾過工程において図1に示すように、収容空間e2の上方に若干の隙間e20(複数の粒状濾材6が互いに表面60同士を擦り合わせ可能な攪拌状体を得ることができる上方移動空間代)が残る配慮がなされている。
このため、本再生工程においては、所定の量の粒子状濾材6は噴射された圧力エアに応じて前記隙間e20を狭めた隙間e21を形成する状態(図6より図7に示す状態)に移動した分、素早く良好に攪拌でき、かつ粒子状濾材6がそれぞれ相対移動および自転(回転運動)し、表面60同士の擦り合わせ状態(共擦り)を発生し得る。
すると、いままで各粒子状濾材6の表面60に付着していた被濾過物は、各粒子状濾材の表面60同士の擦り合わせによって、表面60から剥離、除去され、圧力エアとともに大径筒状壁部51を透過して導入空間e1に逆導入する。そして濾過対象液体とともに底部42およびドレン通路43から排出され、かつ外部の回収通路S5をへて図略の貯留タンクに回収される。
このように、濾過部5の収容空間e2内の各粒子状濾材6は、表面60に付着していた被濾過物を前記のように、剥離、除去されることによって、濾過対象流体に対する濾過、浄化機能を再生することができるため、濾過部5を新品(未使用のもの)と取り替えずにすみ、かつ繰り返し、濾過部5の粒子状濾材6による濾過対象流体の濾過、浄化機能を長期に渡って活用でき、経済性に優れる。
なお、前記各ノズル孔c1から噴射される圧力エアは、回転ノズル部7cが回転することによって、濾過部5の小径筒状壁部50と各ノズル孔c1とが周方向に相対移動し、小径筒状壁部50の同じ位置に対し瞬間的に間欠が繰り返された吹き付け状態にできるため、各粒子状濾材6の相対移動および自転が活発に行われ、かつ表面60同士の擦り合わせによる被濾過物の剥離、除去作用を圧力エアの噴射を間欠的に繰り返さない場合に較べ、高めることができる。
すなわち、圧力エアの噴射を間欠的に繰り返す場合には、始めの噴射によって飛ばされた粒子状濾材6は、自転しつつ、大径筒状壁部51や他の粒子状濾材6に衝突した後、落下しようとした際、次の噴射によって飛ばされ、自転作用を付加されてさらに別の他の粒子状濾材6に衝突するため、粒子状濾材6の表面60同士の擦り合わせ率を高め、被濾過物の剥離、除去作用を促進できる。
また、回転ノズル部7cの各ノズル孔c1を千鳥状配置に設けた場合には、ノズル孔c1の配置が上下、左右の間隔を狭く配置できるため、周方向に回転中の前記各ノズル孔c1が上下、左右の間隔を狭く配置できるため、周方向に回転中の前記各ノズル孔c1から濾過部5内で所定容積当たりの間欠が激しく繰り返された圧力エアの吹き付け状態にできるため、前記粒子状濾材6の相対移動および自転作用をさらに高め得るとともに、各粒子状濾材6の表面60同士の擦り合わせを一層、確実に行うことができ、被濾過物を表面60から剥離、除去作用をさらに向上できる。
従って、実施例の濾過装置1によれば、濾過部5の粒状濾材6の濾過機能と、粒状濾材6の再生機能とを交互に繰り返し、得ることができるため、長期間有効に利用でき、コスト面で優れる。すなわち、従来の場合のように、所定の期間濾過作用に用いられた後の粒状濾材6を未使用の新品のものと取り替える必要が解消でき、かつ一度、濾過部5を装着すれば、長期に渡って、同じものが使用可能となり、経済性に優れる。
さらに、前記濾過装置1のように、前記容器2に着脱可能に攪拌手段7を装着できる構成とした場合には、例えば、予め用意した複数の容器2に対し、ひとつの攪拌手段7を順に装着してそれぞれ前記再生工程を施すことができ、コスト的に優れる。
なお、実施例の攪拌手段7は、容器2に着脱可能に装着して用いることに限定されず、ひとつの容器2に専属のものとして用いることも可能である。
また、前記実施例では、ドレン通路43に連通する回収通路S5に開閉バルブB1を設置した場合で説明したが、図略の複数方向(3方向、5方向およびその他複数方向)切り替えバルブを設置して用いることもできる。
なお、前記実施例では、粒状濾材6の濾過機能を再生するための攪拌、洗浄用の圧力流体として圧力エアを用いた場合で説明したが、圧力エアの代わりに圧力液体を用いることもできる。
回転駆動部7bの回転駆動源としては、圧力エアの代わりに圧力液体を用いることや、図略の電動モータなどを用いることができる。
さらに、別の実施例としては、図11に示すように、濾材部6aを保持するホルダー8を往復動駆動手段9により軸方向に往復運動させるとともに、噴射ノズル7eをそれに同期させて往復運動させる。そして、容器に連接した上蓋10内にホルダー8を回転自在に収容しておき、図12に示すように、容器に連接した上蓋10の内面にらせん溝11を刻設し、ホルダー8側に突起12を突設して該突起12を溝11に該溝11に沿って移動自在に嵌合する。このような構成により、上記ホルダー8の往復運動に伴いホルダー8が周方向に反転運動され、ホルダー8に保持されている濾材部6aも周方向に反転運動される。したがって、濾材部6aを形成する小径筒状壁部と大径筒状壁部および噴射ノズル部7aとを同期して軸方向に往復運動させると同時に、濾材部6aを形成する小径筒状壁部と大径筒状壁部を周方向に同期して反転運動せしめる機構とすることができる。
実施例の濾過装置の要部を断面するとともに、粒状濾材の濾過機能の再生状態を示す概略断面図である。 実施例の濾過装置の要部を断面するとともに、濾過対象流体を粒状濾材により濾過する場合の状態を示す概略断面図である。 実施例の濾過装置における攪拌手段を容器に着脱可能に装着する場合の手順を示す概略断面図である。 図1の装置におけるA1−A1線断面矢視図である。 図2の装置におけるA2−A2線断面矢視図である。 図2の装置における容器内での粒状濾材の状態を示す概略部分断面図である。 図1の装置における容器内での粒状濾材の攪拌状態を示す概略部分断面図である。 図1の装置におけるB−B線断面矢視図である。 図1の装置における濾過部材の上面を保持するボデーの内底面部分を示す底面図である。 図1の装置における濾過部材の下面を保持する環状保持部材を示す平面図である。 別の実施例の濾過装置の要部を断面するとともに、濾材部の往復運動および周方向反転運動機構を示す概略断面図である。 図11の装置における上蓋部の概略断面図である。
符号の説明
1 濾過装置
2 容器
3 基部
4 有底筒部
5 濾過部
50 小径筒状壁部
51 大径筒状壁部
52 一端(上端)側蓋
53 他端(下端)側蓋
e2 粒状濾材の収容空間
6 粒状濾材
6a 濾材部
e20 隙間(上方移動代空間)
7 攪拌手段
7a 本体
7b 回転駆動部
7e 噴射ノズル
8 ホルダー
9 往復動駆動手段
10 上蓋
11 らせん溝
12 突起

Claims (15)

  1. 濾過対象流体を内部に導入する導入口および濾過後の流体を外部に導出する導出口をもつ容器と、該容器内の該導入口から該導出口に至る途中の定位置に保持され、濾過対象流体を濾過する所定量の粒状濾材を備えた複数の濾材収容空間からなる濾過部と、該濾過対象流体を所定期間濾過した後の該粒状濾材を攪拌して被濾過物が付着した該粒状濾材を相対的に移動させて該粒状濾材の表面に付着した被濾過物を除去し、該粒状濾材の濾過性能を復活させる攪拌手段と、を備えたことを特徴とする粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  2. 前記濾過部が、径方向に所定の間隔を隔てて配置された、流体通過性の小径筒状壁部および流体通過性の大径筒状壁部と、該小径筒状壁部と該大径筒状壁部の軸方向の一端側開口および他端側開口を閉じる一端側蓋および他端側蓋と、該小径筒状壁部と該大径筒状壁部の間に設置された隔壁により複数の収容空間が設けられてなる請求項1記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  3. 該小径筒状壁部および該大径筒状壁部の少なくとも一方に突起状物が設置されている請求項2記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  4. 前記粒状濾材が、前記複数の各収容空間に50〜97容積%充填されてなる請求項1〜3のいずれかに記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  5. 前記攪拌手段は、前記粒状濾材に対し、ノズルより洗浄用気体あるいは洗浄用液体を噴射する噴射装置をもつ請求項1〜4のいずれかに記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  6. 前記撹拌手段が、該濾材部と該噴射装置とを同期して軸方向に往復運動せしめる請求項5記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  7. 前記攪拌手段が、前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部とを同期して、あるいは該小径筒状壁部および該大径筒状壁部のいずれか一方を周方向に反転運動せしめる機構を有する請求項5または6記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  8. 前記攪拌手段が、前記ノズルを回転させる回転駆動部をもつ請求項5記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  9. 前記粒状濾材が、球状である前記請求項1〜8のいずれかに記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  10. 前記粒状濾材が、アスペクト比が1.5以下である請求項1〜8のいずれかに記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  11. 前記攪拌手段が、前記容器に着脱可能に装着されている請求項1〜10に記載の粒状濾材の濾過機能再生可能な濾過装置。
  12. 粒状濾材が充填された濾過部に濾過対象流体を通過させることにより該粒状濾材の表面に被濾過物を付着させて濾過する工程と、該被濾過物が付着した該粒状濾材を攪拌手段によって攪拌することにより相対的に移動させて該粒状濾材の表面に付着した被濾過物を除去し、該粒状濾材の濾過機能を復活させる再生工程と、を有する濾過方法であって、該攪拌手段は、被濾過物が付着した粒状濾材に対し、噴射装置のノズルより洗浄用流体を、該濾過対象流体の一方から他方への流れとは逆方向に噴射して該粒状濾材を攪拌する濾過方法。
  13. 前記攪拌手段が、回転駆動部により前記噴射装置の前記ノズルを回転させながら、該ノズルより前記洗浄用流体を噴射し、該粒状濾材を攪拌する請求項12記載の濾過方法。
  14. 前記攪拌手段が、前記濾材部を軸方向に往復運動せしめる請求項12または13記載の濾過方法。
  15. 前記濾過部が、径方向に所定の間隔を隔てて配置された、流体通過性の小径筒状壁部および流体通過性の大径筒状壁部を有しており、前記攪拌手段が、前記噴射装置および前記濾材部とを軸方向に同期させて往復運動せしめるとともに、回転駆動部により前記小径筒状壁部と前記大径筒状壁部とを同期して、あるいは該小径筒状壁部および該大径筒状壁部のいずれか一方を周方向に反転運動せしめる請求項12記載の濾過方法。
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