JP2005044518A - 導電性粒子、導電性材料、異方性導電膜および導電接続構造 - Google Patents

導電性粒子、導電性材料、異方性導電膜および導電接続構造 Download PDF

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泰洋 長谷川
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Abstract

【課題】樹脂微粒子への金属被覆の吸着力が高く、金属被覆の剥離を抑制できるような導電性粒子を提供する。
【解決手段】導電性粒子1A、1Bは、樹脂微粒子2および金属被覆3を有する。樹脂微粒子2の表面2aおよび内部において、少なくとも一種のカチオン性官能基Aが化学結合している。好ましくは、更にエステル基が化学結合しており、また、樹脂微粒子2をエッチングした後に金属被覆3を形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性粒子、導電性材料および異方性導電膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特許文献1では、貴金属捕捉性を有する表面処理剤によって無機粉体の最表面に処理を行い、金属被覆との密着を高めている。
【特許文献1】
特開昭60−181294号公報
【0003】特許文献2では、基材粒子表面にグラフト層を形成し、メッキの核となる触媒を吸着してメッキ層の密着を高めている。
【特許文献2】
特開2000−315425号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特許文献1は粒子表面に貴金属を捕捉するのみであるので、表面に金属被覆を担持して剥離を抑制する効果に限界がある。また、表面処理工程を含んでいるので、表面処理工程の後に、ただちにメッキを行わなければならないため、工程が煩雑である。
【0005】特許文献2では、樹脂微粒子作製後に、樹脂微粒子の表面にグラフト層の形成を行ない、グラフト層内に触媒を吸着させる。このため、工程が長く、しかもグラフト樹脂層の厚みを厚くつけるにはグラフト層の形成を数段階行なう必要があるため、効率的ではない。
【0006】本発明の課題は、樹脂微粒子への金属被覆の吸着力が高く、金属被覆の剥離を抑制できるような導電性粒子を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、樹脂微粒子および金属被覆を有する導電性粒子であって、樹脂微粒子の表面および内部において、少なくとも一種のカチオン性官能基を有するモノマーが共重合あるいはカップリング処理により導入されていることを特徴とする。
【0008】また、本発明は、前記の導電性粒子、およびこの導電性粒子を結着する結着剤とを備えていることを特徴とする、導電性材料に係るものであり、この導電性材料からなる異方性導電膜および導電接続構造に係るものである。
【0009】本発明の導電性粒子は、粒子の表面だけでなく、粒子内部にもカチオン性官能基を持っており、触媒付与工程において触媒を吸着・析出させる効果が強く、金属被覆の密着に優れた導電性粒子の製造が可能である。また、例えばエステル基を導入した微粒子は、エッチングすることにより更に密着に優れた導電性粒子の製造が可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】(樹脂微粒子)
樹脂微粒子の材質は限定されないが、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ナイロン、ジビニルベンゼン、ベンゾグアナミンを主成分としていてよい。
【0011】樹脂微粒子の形状は限定されず、真球形状、回転楕円体、多面体、針状、ファイバー状、ウイスカー、柱状、筒状、不定形であってよい。
【0012】本発明においては、樹脂微粒子の表面および内部において、少なくとも一種のカチオン性官能基を化学結合させることが必要である。ここで言う樹脂微粒子の内部とは、表面から少なくとも30nm以上内側に入った領域のことを言う。
本発明においては、樹脂微粒子の最表面から30nm以上、更に好ましくは100nm以上内側に入った領域まで、カチオン性官能基Aを分布させることができ、このような樹脂微粒子は、例えば特許文献1記載の最表面処理で得られる樹脂微粒子とは異なるものである。
【0013】例えば図1(a)の模式図に示すように、導電性粒子1Aの樹脂微粒子2の全体にわたって、カチオン性官能基Aを分布させることができる。あるいは、図1(b)に示すように、導電性粒子1Bの樹脂微粒子4の表面領域4bにカチオン性官能基を分布させ、中心領域4cには、カチオン性官能基を分布させないようにすることもできる。3は金属被覆層である。
【0014】また、本発明の樹脂微粒子はグラフト重合層を設ける必要はない。
【0015】前記カチオン性官能基としては、アミノ基、イミノ基、アミド基を例示できる。また、カチオン性官能基を表面および内部に有する樹脂微粒子は、以下の方法によって製造可能である。
【0016】(1) 樹脂微粒子を、重合法(例えば懸濁重合、乳化重合あるいは分散重合)によって合成するのに際して、カチオン性官能基を有する重合性モノマーを混合する。この場合には、カチオン性官能基を有するモノマーを合成の最初から混合することができる。この場合には、カチオン性官能基を有する重合性モノマーが共重合され、カチオン性官能基を、図1(a)に示すように樹脂微粒子2に導入することができる。あるいは、分散重合においては合成の初期段階ではカチオン性官能基を有するモノマーを添加せず、粒子がある程度成長した段階で、添加することができる。この場合には、粒子の外層部に、カチオン性官能基を有する重合性モノマーが共重合される。従って、図1(b)に示すように、樹脂微粒子4の表面領域4bにカチオン性官能基を分布させることができる。本実施形態では、エステル基を有するモノマーをも同時に混合し、共重合させることが好ましい。これによってエステル基を樹脂微粒子の表面および内部に分布させることができる。
【0017】
(2) 樹脂微粒子を重合によって合成した後に、カチオン性官能基を有するモノマーを粒子内に含浸させ、カップリング反応あるいは共重合させることができる。この場合には更に、エステル基を有するモノマーを粒子内に含浸させ、反応させることが好ましい。なお、カップリング反応においては、樹脂微粒子と反応可能な官能基を有するカチオン性化合物あるいはエステル化合物を反応させることで、所望の官能基を導入することができる。
【0018】具体的方法としては、特開平2−97504号公報に示される手法を用い、重合後、目的の官能基を有する化合物を含浸、反応させることができる。即ち、いったん重合体微粒子を製造した後に、重合体微粒子およびその膨潤剤を水中に分散させ、重合体微粒子の膨潤体の水性分散液を得る。この水性分散液中に、加水分解可能なシリル基を有するビニルモノマー、およびこのビニルモノマーと共重合可能な他のビニルモノマーを混合し、これらのビニルモノマーを、膨潤した重合体微粒子中に吸収させ、かつ重合を行わせる。そして、重合体微粒子に含まれる加水分解可能なシリル基を酸またはアルカリによって加水分解し、シロキサン結合による架橋を生成させる。
【0019】この膨潤剤としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、1,2,3−トリクロロエチレン、1−クロロドデカン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の有機溶剤を例示できる。
【0020】シリル基を加水分解すると、シラノール基となり、シラノール基同士が反応してシロキサン結合による架橋を生成する。この酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸を例示できる。アルカリとしては、カセイカリ、カセイソーダ、アンモニア、アミン等を例示できる。
【0021】カチオン性官能基を有するモノマーとしては、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを例示できる。
【0022】また、樹脂微粒子を合成する際に使用可能な他のモノマーとしては、アンモニウム α−スルホナート−ω−1−(アリルオキシメチル)アルキルオキシポリオキシエチレン、ソジウム p−スチレンスルホナート、ソジウム ビニルスルホナート、ソジウム 2−メタクリロイルエチルスルホナート、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸系アニオン性ビニル単量体;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート等の燐酸系アニオン性ビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸ダイマー等のカルボン酸系アニオン性ビニル単量体;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等の水酸基含有単量体;ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート等のポリエーテル含有単量体;グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のエポキシ含有単量体を例示できる。また、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−ビニルプロピルトリメトキシシランなどの加水分解性シリル基含有モノマーを例示できる。
【0023】エステル基を有する重合性モノマーとしては、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートを例示できる。
【0024】樹脂微粒子の平均粒子径は、1〜1000μmが好ましく、2〜500μmがより好ましい。なお、樹脂微粒子の平均粒子径は、樹脂微粒子が球状の場合は直径であり、回転楕円体状である場合は長径である。また、前記平均粒子径は、任意の樹脂微粒子300個を電子顕微鏡で観察・測定することにより得られる値である。
【0025】樹脂微粒子の粒子径分布の変動係数(CV値)は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることが一層好ましい。CV値が15%を超えると、樹脂微粒子の粒子径が不揃いとなるため、この樹脂微粒子を用いて製造した導電性粒子によって電気接続を図る際に、接続に関与しない導電性微粒子が発生し、隣接電極間でのリーク現象が生じる場合がある。
【0026】上記CV値とは、下記の式(1);
CV値(%)=(σ/Dn)×100・・・・(1)
(式中、σは、粒子径の標準偏差を表し、Dnは、数平均粒子径を表す)で表される値である。上記標準偏差及び上記数平均粒子径は、任意の樹脂微粒子300個を電子顕微鏡で観察・測定することにより得られる値である。
【0027】樹脂微粒子には、「相互侵入高分子網目構造を形成し得る化合物」を含浸させることが可能である。これは、粒子内部において加熱によって相互侵入高分子網目構造を生成することができるような化合物であれば、限定されない。好適な実施形態においては、本化合物は、相互に架橋反応し得る官能基を複数有する。このように、本化合物が複数の官能基を有し、各官能基において架橋反応が進行することによって、相互侵入高分子網目構造が生成する。このような官能基としては、エポキシ基、カルボキシル基、加水分解性シリル基、水酸基、アミノ基、イミノ基を例示できる。
【0028】エポキシ基を有する前記化合物としては、以下を例示できる。
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、3−グリシジドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル) エチルトリメトキシシラン
【0029】加水分解性シリル基を有する化合物としては、以下を例示できる。
テトラエトキシシラン、2−トリメトキシシリルエチルトリメトキシシラン、6−トリメトキシシリルヘキサメチレントリメトキシシラン、p−ジメトキシシリルエチルベンゼン、テレフタル酸ジ−3−トリメトキシシリルプロピル、アジピン酸ジ−3−トリメトキシシリルプロピル、イソシアヌル酸トリ−3−メチルジメトキシシリルプロピル
【0030】また、相互侵入高分子網目構造を形成する結合としては、エーテル結合、シロキサン結合、エーテル結合とシロキサン結合との組み合わせを例示できる。
また、相互侵入高分子網目構造を形成する際にエステル基を導入することも可能である。エステル基導入に用いる化合物としては、(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3’,4’−エポキシシクロヘキシル カルボキシレートやラクトン変性エポキシ化合物が挙げられる。
【0031】(エッチング工程)
前記樹脂微粒子上に金属被覆を形成する前に、樹脂微粒子表面をエッチングすることが好ましい。これによって、金属被覆の樹脂微粒子への密着性を一層向上させることができる。そして、本発明においては、樹脂微粒子の内部までカチオン性官能基が分布しているので,エッチングによってできた窪み部にも金属層が強固に吸着されるため、アンカー効果として金属被覆層の密着が高められる。
【0032】エッチング方法は限定されないが、以下を例示できる。
(1) 樹脂微粒子内に、酸・アルカリなどのエッチング剤によって加水分解可能なエステル基を導入し、酸、アルカリ等によってエッチンクする。
エステル基は、前述したエステル基を有するモノマーを使用することによって、樹脂微粒子中に導入できる。
エッチングに使用できる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、過塩素酸、リン酸などの強酸性物質を例示できる。
エッチングに使用できるアルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウムなどの強アルカリ性物質を例示できる。
【0033】(好適なエッチング条件)
加温された強酸あるいは強アルカリ性溶液中において粒子を投入し、緩やかに攪拌を行うことが望ましく、例えば、50℃の硫酸溶液に粒子を添加し、30分間攪拌を行う。
【0034】(金属被覆)
金属被覆の形成手段は特に限定されない。しかし、金属結晶が粒状で成長するような方法が好ましく、無電解メッキ法、電気メッキ法が特に好ましい。
【0035】金属被覆の厚さは、導電性粒子の抵抗値を低くするという観点からは、0.025μm以上が好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。また、製造コストの面からは、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。
【0036】金属被覆は、単層構造であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。
【0037】金属被覆を構成する金属としては、周期律表におけるIB族、VIII族、IIB族、IIIB族、IVB族、VB族等に属する金属が挙げられる。IB族としては、銅、銀、金およびこれらの合金が好ましい。VIII族としては、ニッケル、パラジウム、白金およびこれらの合金が好ましい。IIB族としては、亜鉛および亜鉛合金が好ましい。IIIB族としては、ガリウム、アルミニウム、インジウムおよびこれらの合金が好ましい。IVB族としては、錫、鉛およびこれらの合金が好ましい。VB族としては、ビスマスおよびビスマス合金が好ましい。
【0038】以下に、金属被覆の一例であるニッケル−金メッキについて説明する。ニッケル−金メッキでは、芯材粒子の表面に、無電解ニッケルメッキを行った後、その表面部分に置換メッキにより金メッキ層を形成する。上記無電解ニッケルメッキは触媒付与工程とニッケル還元メッキ工程とからなる。
【0039】上記触媒付与工程においては、芯材粒子の表面に、メッキの核となる触媒を析出又は吸着させるが、この際、白金族の金属化合物を用いることが好ましい。具体的には塩化第一錫の塩酸溶液に芯材粒子を浸漬した後、更に、塩化パラジウムの塩酸溶液に浸漬加熱し、水洗する。このようにして得た粒子では、パラジウムが粒径50nm以下の微粒子として析出している。
【0040】また、塩化錫と塩化パラジウムとの混合溶液に芯材粒子を浸漬し、その後、塩酸又は硫酸水溶液を用いて錫を溶出、除去してもよい。この場合も上記と同様、粒子表面にパラジウム微粒子が析出している。
【0041】更に、塩化パラジウムと、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン等の水溶性モノマーと、アスコルビン酸との混合水溶液にグラフト重合層を有する樹脂微粒子を浸漬してもよい(特開昭61−166977号公報参照)。この場合も上記と同様、粒子表面にパラジウム微粒子が析出している。
【0042】次に、上記の方法により触媒の付与された芯材粒子を用いて、ニッケル還元メッキを行う。上記ニッケル還元メッキを行う方法としては、公知の方法(「最新無電解めっき技術」発行;総合技術センター、1986年、43頁等)を用いることができ、酸性メッキ、アルカリ性メッキのいずれをも用いることができる。上記ニッケル還元メッキとして、酸性メッキを用いる場合には、塩化ニッケル又は硫酸ニッケル溶液に触媒処理された粒子を浸漬し、pH4〜6の条件下で次亜リン酸ナトリウム溶液を滴下しながらニッケルの還元を行うことにより、粒子表面にニッケルメッキ層を形成することができる。
【0043】また、アルカリ性メッキを用いる場合には、pH8〜10の条件下でホウ酸又はホウ砂溶液を滴下しながらニッケルの還元を行うことにより、粒子表面にニッケルメッキ層を形成することができる。これらのニッケル還元メッキにおけるニッケル還元反応は、樹脂微粒子表面に存在するパラジウムの超微粒子上で進行し、これによりニッケルメッキ層が形成される。
【0044】次に、ニッケルメッキ層の形成された粒子に、置換メッキにより金メッキ層を形成する。上記金メッキは、ニッケルを部分的に溶出させると同時に金をニッケルメッキ層の表面部に析出させることにより行う。具体的には、シアン化合金カリウム、EDTA及び塩化アンモニウムからなる溶液にニッケルメッキ層が形成された粒子を投入し、加熱することにより行う。
【0045】(銅−金メッキ)
上述したニッケル−金メッキと同様にして触媒付与工程、銅還元メッキ工程および置換反応による金メッキを行うことができる。この方法は、特開2003−157717号公報に開示されている。
【0046】本発明による導電性粒子は、優れた導電性を有していることから、樹脂などの結着材に混入することにより、優れた導電性を有する導電性材料が得られる。このような導電性材料は、フィルム状の帯電防止膜や、電子回路において電気的接合を行う部分に使用可能な異方性導電膜として好適に利用できる。
【0047】こうした導電性材料を構成する結着材(接着剤)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、スチレン・アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂を例示できる。
【0048】また、本発明の導電性粒子を、絶縁性粒子と混合し、加圧成形することより、導電性材料を製造可能である。こうした絶縁性粒子としては、前述した「樹脂微粒子」の項目で列挙した粒子を例示できる。
【0049】好適な実施形態においては、導電性膜が樹脂微粒子の全表面を被覆している。しかし、導電性膜は、樹脂微粒子の全面を被覆している必要はなく、樹脂微粒子の一部を被覆している場合も本発明に含まれる。ただし、導電性膜は粒子本体の表面に沿って連続相を形成していることが好ましく、また樹脂微粒子の50%以上を被覆していることが好ましい。
【0050】
【実施例】(樹脂微粒子Aの作製)
1Lセパラブルフラスコにポリビニルアルコール5%水溶液600gを入れ、これにジビニルベンゼン80g、テトラメチロールメタンテトラアクリレート70g、ジメチルアミノエチルメタクリレート16g、過酸化ベンゾイル5gの混合溶液を加え、液滴の中心粒径が12μmになるまで攪拌を行い、その後、窒素気流下において緩やかに攪拌しながら80℃で8時間重合を行った。得られた粒子を洗浄、分級し、平均粒径5.87μm、変動係数7%の架橋重合体粒子Aを得た。
【0051】(樹脂微粒子Bの作製)
1Lセパラブルフラスコにポリビニルアルコール5%水溶液600gを入れ、これにジビニルベンゼン90g、テトラメチロールメタンテトラアクリレート76g、過酸化ベンゾイル5gの混合溶液を加え、液滴の中心粒径が12μmになるまで攪拌を行い、その後、窒素気流下において緩やかに攪拌しながら80℃で8時間重合を行った。得られた粒子を洗浄、分級し、平均粒径5.02μm、変動係数7%の架橋重合体粒子Bを得た。
【0052】(樹脂微粒子Dの作製)
1Lセパラブルフラスコにポリビニルピロリドン6%メタノール溶液600g、スチレン63g、p−トリメトキシシリルスチレン80gを充填し、窒素気流下において緩やかに攪拌しつつ60℃に加温する。アゾビスイソブチロニトリル4gを加え、14時間反応させる。反応終了後、粒子を洗浄し、p−トルエンスルホン酸ナトリウムの10%水溶液200gを追加し、1時間60℃で攪拌して加水分解及び架橋反応せしめた。得られた粒子を洗浄し、平均粒径5.0μm、変動係数2.6%の架橋重合体粒子Cを得た。
架橋重合体粒子C50gを200℃で熱処理を行い、洗浄した後、乾燥し、平均粒径5.0μm、変動係数2.8%の架橋重合体粒子Dを得た。
【0053】(基材粒子Fの作製)
架橋重合体粒子C100gに対しN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン6g、イソプロピルアルコール600gを加え、攪拌下にて水酸化カリウムの10%水溶液200gを追加し、2時間攪拌を行った。反応終了後、洗浄および乾燥を行い、アミノ基を導入した架橋重合体粒子Eを得た。
架橋重合体粒子E50gを200℃で熱処理を行い、洗浄した後、乾燥し、平均粒径5.2μm、変動係数2.6%の架橋重合体粒子Fを得た。
【0054】(基材粒子Gの作製)
架橋重合体粒子E50gに対しε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキレート10gを粒子に含浸させた後、熱処理を行い、エステル基を導入した平均粒径5.4μm、変動係数2.8%の架橋重合体粒子Gを得た。
【0055】(基材粒子Qの作製)
1Lセパラブルフラスコにポリビニルピロリドン6%メタノール溶液600g、スチレン63g、p−トリメトキシシリルスチレン80gを充填し、窒素気流下において緩やかに攪拌しつつ60℃に加温する。アゾビスイソブチロニトリル4gを加える。8時間後、粒子径が4.5μmになったところでジメチルアミノエチルメタクリレート10gおよびメタノール10gを添加する。さらに4時間反応させた後、粒子を洗浄し、p−トルエンスルホン酸ナトリウムの10%水溶液200gを追加し、1時間60℃で攪拌して加水分解及び架橋反応せしめた。得られた粒子を200℃で熱処理を行い、平均粒径5.0μm、変動係数2.5%の架橋重合体粒子Qを得た。
【0056】(実施例1)
架橋重合体粒子A1gをカチオン系界面活性剤5ml/L溶液に5分間浸漬し、濾過及び貫通水洗を行った。ついで200g/Lの硫酸水溶液に投入し、60℃で30分攪拌してエッチングを行った。再度濾過および洗浄を行い、プレディップ溶液(Sn4g/L、塩化ナトリウム175g/L溶液)に1分間浸漬した後、濾過し、キャタリスト液(Sn4g/L、Pd0.2g/L、塩化ナトリウム175g/L)100mlに15分間浸漬する。十分な濾過洗浄後、アクセレレータ液(98%硫酸10vol.%)100mlに3分間分散させ、濾過洗浄後、硫酸銅4g/L、37%ホルマリン7ml/L、EDTA30g/L、α−αジピリジル100ppmおよびPEG−1000の0.5g/Lの混合水溶液からなる化学銅めっき液(60℃、pH12.5)1Lへ速やかに投入する。約20分後、濾過洗浄及び乾燥を行い金属膜厚0.14μmの金属被覆粒子Hを得た。電子顕微鏡で観察したところ粒子は均一にメッキされていた。
【0057】(実施例2)
実施例1と同様に基材粒子Fに対し、エッチング処理および触媒付与、無電解銅メッキを行い、金属被覆粒子Iを得た。銅の膜厚は0.097μmであった。SEMによる観察において均一にメッキされていることが確認された。
【0058】(実施例3)
基材粒子Gに対し、エッチング処理を行わない以外は実施例1と同様に触媒付与、無電解銅メッキを行い、金属被覆粒子Jを得た。銅の膜厚は0.097μmであった。SEMによる観察において均一にメッキされていることが確認された。
【0059】(実施例4)
実施例1と同様に基材粒子Gに対し、エッチング処理および触媒付与、無電解銅メッキを行い、金属被覆粒子Kを得た。銅の膜厚は0.10μmであった。SEMによる観察において均一にメッキされていることが確認された。
【0060】(実施例5)
更にこの金属被覆粒子K0.5gをイオン交換水100mlに分散させ水性懸濁液とし、該懸濁液をシアン化第一金カリウム0.73g/L、クエン酸カリウム50g/LおよびEDTAナトリウム塩10g/Lの無電解金めっき液に85℃で投入し、20分間攪拌を行い、金置換反応を行った。濾過洗浄を行った後、銅皮膜と金皮膜の二層からなる導電性微粒子Lを得た。金属層の厚みは0.15μmであった。
【0061】(実施例6)
基材粒子Qを用いた他は実施例1と同様にエッチング処理および触媒付与、無電解銅メッキを行った後、更にこの金属被覆粒子を実施例5と同様に金メッキを行った。得られた粒子Oの金属層の厚みは0.12μmであった。SEMによる観察において均一にメッキされていることが確認された。
【0062】(比較例1)
実施例1と同様に基材粒子Bに対し、エッチング処理および触媒付与、無電解銅メッキを行い、金属被覆粒子Mを得た。銅の膜厚は0.12μmであった。SEMによる観察において粒子表面のメッキは粗雑で、メッキ層の剥離が多く観察された。
【0063】(比較例2)
実施例1と同様に基材粒子Dに対し、エッチング処理および触媒付与、無電解銅メッキを行い、金属被覆粒子Nを得た。銅の膜厚は0.10μmであった。SEMによる観察においては粒子表面は粗雑な金属層で覆われ、一部剥離が観察された。
【0064】(比較例3)
基材粒子D10gをγ−アミノプロピルトリエトキシシランの5%水溶液100mLに分散し、1時間攪拌させた後、120℃で乾燥し、溶媒を取り除いた。この粒子をエッチング処理を行わない以外は実施例1と同様に触媒付与、無電解銅メッキを行い、金属被覆粒子Pを得た。銅の膜厚は0.10μmであった。SEMによる観察において均一にメッキされていることが確認された。
【0065】(金属被覆の基材粒子への密着性評価)
導電性粒子H,I,J,K,L,M,N,O,Pをそれぞれ2枚のガラス板の間に1mmあたり25個ならべ張り合わせる。張り合わせたガラス板の上から1mm当り0.8gの荷重掛けた状態で前後に5mm、5回ずらし合わせ、粒子に摩擦を与える。その後、粒子を光学顕微鏡で観察し、金属被覆の剥離度合いを100分率で示す。結果は下表の様であった。
【0066】
【表1】
Figure 2005044518
【0067】粒子Hの場合には、樹脂微粒子合成時のモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレートを使用し、メッキ前にエッチングを行っているが、導電性粒子の剥離割合は改善されている。
粒子Iの場合には、架橋重合体粒子Cを製造した後、アミノ基とシリル基とを有するモノマーを粒子中に含浸させ、反応させている。また、メッキ前にエッチングを行っている。導電性粒子の剥離割合は改善されている。
粒子Jの場合には、架橋重合体粒子Cを製造した後、アミノ基とシリル基とを有するモノマーを粒子中に含浸させ、更にエポキシ含有モノマーを含浸させている。エッチングは行っていない。これによって、導電性粒子の剥離割合は、粒子Iの場合よりも一層改善しており、エポキシ含有モノマーの含浸が効果的であることを示している。
粒子Kの場合には、架橋重合体粒子Cを製造した後、アミノ基とシリル基とを有するモノマーを粒子中に含浸させ、更にエポキシ含有モノマーを含浸させている。エッチングも行っている。これによって、エポキシ含有モノマーの含浸およびエッチングが一層効果的であることを示している。
粒子Lの場合には、粒子Kに更に金メッキを行っている。
粒子Oの場合には、アミノ基を有するモノマーを使用し、また金属被覆を形成する前にエッチングをしている。
【0068】粒子M、Nの場合には、樹脂微粒子の合成時にカチオン性官能基を有するモノマーを使用せず、またエッチングを行っている。いずれも導電性粒子の剥離割合が相対的に高い。
粒子Pの場合には、樹脂微粒子の合成時にカチオン性官能基を有するモノマーを使用せず、また金属被覆形成前に、アミノ基およびシリル基を有する表面処理剤によって処理した。この結果、導電性粒子の剥離割合が相対的に高い。
【0069】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、樹脂微粒子への金属被覆の吸着力が高く、金属被覆の剥離を抑制できるような導電性粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係る導電性粒子1Aを示す模式図であり、(b)は、本発明に係る導電性粒子1Bを示す模式図である。
【符号の説明】1A、1B 導電性粒子 2、4 樹脂微粒子 2a、4a 樹脂微粒子の表面

Claims (8)

  1. 樹脂微粒子および金属被覆を有する導電性粒子であって、
    前記樹脂微粒子の表面および内部において、少なくとも一種のカチオン性官能基を有するモノマーが共重合あるいはカップリング処理により導入されていることを特徴とする、導電性粒子。
  2. エステル基を有するモノマーが共重合あるいはカップリング処理により導入されていることを特徴とする、請求項1記載の導電性粒子。
  3. 前記樹脂微粒子が、加水分解性シリル基またはシラノール基を有することを特徴とする、請求項1または2記載の導電性粒子。
  4. 前記樹脂微粒子を合成する際に、前記カチオン性官能基を有するモノマーを共重合させたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の導電性粒子。
  5. 前記樹脂微粒子がエッチング処理されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の導電性粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の導電性粒子、およびこの導電性粒子を結着する結着剤とを備えていることを特徴とする、導電性材料。
  7. 請求項6記載の導電性材料からなることを特徴とする、異方性導電膜。
  8. 請求項6記載の導電性材料からなることを特徴とする、導電接続構造。
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JP2007179785A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Sanyo Chem Ind Ltd 導電性微粒子の製造方法
JP2007179781A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Sanyo Chem Ind Ltd 導電性微粒子の製造方法
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