JP2005043446A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ジャム発生して加熱回転体に完全に巻き付いた記録媒体を容易に排出し、記録媒体上の未定着トナーが、加熱回転体に付着する事を防止する。
【解決手段】加熱回転体31と加圧回転体32とにより未定着像を有する記録媒体Sを挟持して定着処理を行う定着装置30において、加熱回転体31に対する加圧回転体32の加圧を解除する加圧解除手段50と、加熱回転体31を駆動回転させる駆動手段と、駆動手段に連結し記録媒体Sを排出可能にするジャム処理操作部材39と、を有する定着装置。
【選択図】 図5
【解決手段】加熱回転体31と加圧回転体32とにより未定着像を有する記録媒体Sを挟持して定着処理を行う定着装置30において、加熱回転体31に対する加圧回転体32の加圧を解除する加圧解除手段50と、加熱回転体31を駆動回転させる駆動手段と、駆動手段に連結し記録媒体Sを排出可能にするジャム処理操作部材39と、を有する定着装置。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に形成されたトナー像を定着する定着装置、及び該定着装置を備えた単色又は多色の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置において、加熱溶融性の樹脂より成るトナーを担持する記録媒体を加熱定着する定着装置には、熱ローラ方式や、熱定着ベルト方式等が採用されている。
【0003】
熱ローラ方式の定着装置は、内部にハロゲンヒータ等の発熱体を備えた加熱回転体と、これに圧接する加圧回転体とから構成され、この一対のローラの圧接部である定着ニップ部に用紙等の記録媒体を通過させる事により、記録媒体に担持されたトナー像を加熱、溶融させるものである。
【0004】
特許文献1に記載された定着装置は、加熱回転体に加圧回転体を圧接するための圧力を付与する加圧手段と、加圧手段の加圧力に抗して加熱回転体に対する加圧回転体の圧接状態を解除する加圧解除手段とを有し、両回転体の弾性層の永久変形の防止と、ジャム紙の除去とを行うものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−125985号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載された定着装置の加圧解除手段により、単純な紙詰まりによるジャム処理は可能であるが、加熱回転体に記録媒体が完全に巻き付いたジャムの場合、加熱回転体の外周面に用紙が貼り付き密着してしまう事がある。加熱回転体の外周面から記録媒体を取り除くためには、加熱回転体を回転させる程の力が必要になり、ジャム処理を容易に行う事が困難であった。
【0007】
特に、カラー画像形成装置においては、一般に、記録媒体上に形成される写真やグラフ等の多色のトナー像の形成面は単色のトナー像に比して広く、且つ多色のトナー像の形成厚さが単色のトナー像に比して大である。
【0008】
また、カラー画像形成装置では、カラー画像を鮮明にするため、特殊な塗工処理を施した記録媒体を用いる事がある。さらに、カラー画像に光沢を付加するため、定着温度を高く設定する事が行われる。
【0009】
このようなカラー画像処理を行う定着装置においては、画像形成手段によって形成された多色の未定着のトナー像が、定着装置の加熱回転体により溶融加熱されて定着される時、加熱回転体に多色のトナー像を担持した記録媒体が完全に巻き付いてジャムを発生することがある。加熱回転体に巻き付いた記録媒体を引き剥がして取り除く事は困難であり、強引に引っ張ると記録媒体がちぎれて、残存の紙片を定着装置から取り出す事は、更に困難である。
【0010】
本発明は、従来の定着装置における前記のような問題を解決し、下記の目的を達成するものである。
【0011】
(1) 加熱回転体に完全に巻き付いた記録媒体を容易に排出する。
(2) ジャム発生した記録媒体上の未定着トナーによる汚れが、加熱回転体に付着する事を防止する。
【0012】
(3) 少ない力で、ジャム発生した記録媒体を取り出し可能にする。
(4) 定着駆動と加圧解除とを行う駆動手段の機構を簡単にする。
【0013】
(5) ジャム処理操作部材によって、記録媒体を定着ニップ部の記録媒体搬送方向上流側に戻してジャム処理する。
【0014】
(6) ジャム処理操作を容易、且つ安全に行う。
(7) 記録媒体上に単色又は多色のトナー画像を形成して定着処理する画像形成装置において、定着装置におけるジャム処理を容易にする。特に、カラー画像形成装置により塗工紙等の記録媒体に形成された多色のトナー画像を定着する場合、或いは、トナー画像に光沢処理を行って定着する場合に、記録媒体の加熱ローラへの巻き付きを発生したときの記録媒体除去を容易にする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の本発明の目的は、下記の発明により達成される。
【0016】
(1) 加熱回転体と加圧回転体とにより未定着像を有する記録媒体を挟持して定着処理を行う定着装置において、前記加熱回転体に対する前記加圧回転体の加圧を解除する加圧解除手段と、前記加熱回転体を駆動回転させる駆動手段と、前記駆動手段に連結し前記記録媒体を排出可能にするジャム処理操作部材と、を有することを特徴とする定着装置。
【0017】
(2) 前記ジャム処理操作部材は、前記加熱回転体と前記加圧回転体との挟持位置の前記記録媒体の搬送方向上流側にのみ前記記録媒体を排出可能にすることを特徴とする前記(1)に記載の定着装置。
【0018】
(3) 前記加熱回転体または前記加圧回転体の回転速度は、前記ジャム処理操作部材の回転速度に対し減速するように前記駆動手段のギア比を構成したことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の定着装置。
【0019】
(4) 前記駆動手段のモータの正逆回転、及び一方向クラッチにより、前記駆動手段と前記加圧解除手段とを切り換えることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか1項に記載の定着装置。
【0020】
(5) 前記ジャム処理操作部材は、前記モータに対し一方向クラッチより下流側で連結していることを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の定着装置。
【0021】
(6) 前記加圧解除手段に、加圧解除駆動が一方向にのみ回転可能な一方向クラッチ付き駆動部材を設けたことを特徴とする前記(1)(4),(5)の何れか1項に記載の定着装置。
【0022】
(7) 画像形成手段により単色又は多色の画像を形成して記録媒体に転写し、用紙搬送手段により前記記録媒体を搬送し、前記(1)〜(6)の何れか1項に記載の定着装置により前記記録媒体上に形成された単色又は多色画像を定着することを特徴とする画像形成装置。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本欄の記載は請求項の技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。
【0024】
[画像形成装置]
図1は、本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置の構成図である。
【0025】
画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成手段10Y,10M,10C,10Kと、ベルト状の中間転写体6と給紙装置20及び後述する定着装置30とからなる。
【0026】
画像形成装置Aの上部には、画像読取装置Bが設置されている。原稿台上に載置された原稿は画像読取装置Bの原稿画像走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれる。ラインイメージセンサにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、露光手段3Y,3M,3C,3Kに入力される。
【0027】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成手段10Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y及びクリーニング手段5Yを有する。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成手段10Mは、像担持体としての感光体ドラム1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像装置4M及びクリーニング手段5Mを有する。シアン(C)色の画像を形成する画像形成手段10Cは、像担持体としての感光体ドラム1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像装置4C及びクリーニング手段5Cを有する。黒(K)色の画像を形成する画像形成手段10Kは、像担持体としての感光体ドラム1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像装置4K及びクリーニング手段5Kを有する。帯電手段2Yと露光手段3Y、帯電手段2Mと露光手段3M、帯電手段2Cと露光手段3C及び帯電手段2Kと露光手段3Kとは、潜像形成手段を構成する。
【0028】
4Y,4M,4C,4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径トナーとキャリアからなる二成分現像剤を内包する現像装置である。
【0029】
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持されている。画像形成手段10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に一次転写手段7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写されて(一次転写)、合成されたカラー画像が形成される。
【0030】
給紙装置20の用紙収納部(給紙カセット)21内に収容された記録媒体(以下、用紙と称す)Sは、給紙手段(第1給紙部)22により給紙され、給紙ローラ23,24,25,26、レジストローラ(第2給紙部)27等を経て、二次転写手段(転写ローラ)9に搬送され、用紙S上にカラー画像が転写される(二次転写)。
【0031】
なお、画像形成装置Aの下部に鉛直方向に縦列配置された3段の用紙収納部21は、ほぼ同一の構成をなすから、同符号を付した。また、3段の給紙手段22も、ほぼ同一の構成をなすから、同符号を付してある。用紙収納部21、給紙手段22を含めて給紙装置20と称す。
【0032】
カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置30において用紙Sが挟持され、熱と圧力とを加えることにより用紙S上のカラートナー像(或いはトナー像)が定着されて用紙S上に固定され、排紙ローラ28に挟持されて機外の排紙トレイ29上に載置される。
【0033】
一方、二次転写手段9により用紙Sにカラー画像を転写した後、用紙Sを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング手段8により残留トナーが除去される。
【0034】
定着処理された用紙Sを反転排紙する場合には用紙Sは定着装置30と排紙ローラ28の中間に配置された分岐板28Aの図示右側の搬送路を通過し、下方の搬送路r1に搬送された後、逆転搬送されて分岐板28Aの図示左側の搬送路r2を通過し、排紙ローラ28により装置外に排出される。
【0035】
用紙Sの両面に複写する場合には、用紙Sの第1面に形成した画像を定着処理した後、用紙Sを搬送路r1、さらに搬送路r3に導入した後、逆転搬送し、搬送路r4に搬送した後、上方に迂回し給紙ローラ26により搬送する。用紙Sは画像形成手段10Y,10M,10C,10Kにおいて第2面に各色の画像が両面に形成され、定着装置30により加熱定着処理され、排紙ローラ28によって装置外に排出される。
【0036】
なお、画像形成装置Aの説明においては、カラー画像形成にて説明したが、モノクロ画像を形成する場合も本発明に含まれるものである。
【0037】
[定着装置の構成]
以下、画像形成装置Aの定着装置30を説明する。
【0038】
図2は、加熱ローラ方式の定着装置30の一実施の形態を示す断面図である。定着装置30は、加熱回転体(以下、加熱ローラと称す)31、加圧回転体(以下、加圧ローラと称す)32、ヒータ等の加熱源33,34等から成る。
【0039】
加熱ローラ31の周囲には、クリーニングローラ35、及び図示しない温度センサ、温度異常防止手段が配置され、加熱ローラ31の内部には加熱源33が配置されている。
【0040】
加圧ローラ32の周囲にも、温度センサ、温度異常防止手段が配置され、加圧ローラ32の内部には加熱源34が配置されている。
【0041】
加熱源33,34には、ハロゲンランプ、誘導加熱手段等が用いられる。加熱ローラ31は、熱伝導性基体(芯金)、弾性層、離型層等により構成されている。加圧ローラ32は、熱伝導性基体(芯金)、弾性層、被覆層により構成される。
【0042】
加熱ローラ31と加圧ローラ32との挟持位置の用紙搬送方向下流側には、分離爪36、及び排紙ローラ37が配置されている。
【0043】
[定着装置の駆動手段]
図3は定着装置の駆動手段の正面図、図4(a),(b)は駆動手段の模式図、図5は駆動手段の斜視図である。
【0044】
定着装置30の加熱ローラ31を駆動する駆動手段は、操作者手前側に配置されている。駆動手段は、DCモータ(以下、モータと称す)M、ギアG1〜G13、一方向クラッチCL1〜CL2等から成る。
【0045】
正逆転可能なモータMの回転部に固定されたギアG1は、2段のギアG2,G3を介してギアG4を回転させる。ギアG4の回転軸上には、一方向クラッチCL1を内蔵したギアG5と、一方向クラッチCL2を内蔵したギアG6とが配置されている。
【0046】
ギアG5はギアG7を介して、加熱ローラ31の回転軸上に固定されたギアG9に係脱可能に噛み合う。また、ギアG7はギアG8を回転させる。ギアG8の回転軸38の軸端にはジャム処理操作部材39が固定されている。
【0047】
ギアG6はギアG10を介してギア11に噛み合う。ギアG11には一方向クラッチCL3が内蔵されている。ギア10と同軸上に固定されたギアG12はギアG13に噛み合う。ギアG13の回転軸上にはカム55が固定される。
【0048】
モータM、ギアG1〜G13、回転軸38は、平行な2枚の支持基板40,41に支持されている。
【0049】
[加熱ローラの駆動]
図3において、モータMの正回転駆動により、ギアG1が実線で示す矢印方向に正回転し、ギアG2,G3を介してギアG4を逆回転させ、一方向クラッチCL1(図4参照)を内蔵するギアG5のみを正回転させ、ギアG7を介して加熱ローラ31の回転軸上に固定されたギアG9を正回転させる。
【0050】
なお、ギアG4の正回転時に、一方向クラッチCL2(図4参照)を内蔵するギアG6は停止状態に保持される。
【0051】
[加圧ローラの加圧解除駆動]
定着装置30内で用紙Sのジャムが発生した時には、加圧ローラ32を加熱ローラ31との圧接位置から離間させて、用紙Sを引き出さねばならない。
【0052】
加圧ローラ32の加圧解除駆動は、モータMの逆回転駆動により行われる。図3において、モータMの逆回転駆動により、ギアG1が破線で示す矢印方向に逆回転し、ギアG2,G3を介してギアG4を正回転させ、一方向クラッチCL2(図4参照)を内蔵するギアG6のみを逆回転させ、ギアG10を介してギアG11を逆回転させる。
【0053】
なお、ギアG4の逆回転時に、一方向クラッチCL1(図4参照)を内蔵するギアG7は停止状態に保持される。
【0054】
図6は、加熱ローラ31と加圧ローラ32の加圧状態を示す定着装置30の断面図、図7は、加圧ローラ32を加熱ローラ31から離間させた加圧解除状態を示す定着装置30の断面図である。
【0055】
加圧解除手段50は、加圧ローラ32を支持して揺動可能な揺動板51、揺動板51を揺動可能に支持する支軸52、揺動板51の端部近傍に回転可能に支持されたコロ53、揺動板51を一方向に付勢するバネ54、コロ53に圧接して揺動板51を揺動させるカム55、支持基板40,41に固定されカム55を回転可能に支持するカム軸56から構成されている。
【0056】
用紙Sが、加熱ローラ31と加圧ローラ32との挟持位置を通過する際に、ジャムを発生したときには、モータMを逆回転させ、ギアG1,G2,G3,G4,G6,G12,G13を経てカム軸56を回転させる。
【0057】
カム軸56の回転によりカム55が回転し、コロ53を圧接して、揺動板51が支軸52を中心にして図示の時計方向に揺動する。揺動板51の揺動により、揺動板51の反円弧面51Aに接する加圧ローラ32の軸受部材(ベアリング)32Aが移動し、軸受部材32Aと同軸上の加圧ローラ32が自重で下方に移動して、加熱ローラ31との挟持位置から離間して停止する。
【0058】
[ジャム処理操作]
ジャム発生時には、画像形成装置Aの操作部において、モータMの逆転駆動を指定する事により、上述の加圧解除駆動を開始し、加圧ローラ32が加熱ローラ31との挟持位置から離間した後、ジャム処理操作部材39を把持して、図3の破線矢印の反時計方向、及び図5に示す反時計方向に手動で回転させる。
【0059】
ジャム処理操作部材39の反時計方向回転により、回転軸38に固定されたギアG8が回転し、ギアG7を介してギアG9が回転する。ギアG9の回転によって加熱ローラ31は図5に示す反時計方向に回転する。
【0060】
定着装置30内の用紙搬送路でジャム発生した時、ジャム処理操作部材39の手動回転操作により、加熱ローラ31と加圧ローラ32とのニップ位置の用紙Sは、用紙搬送方向上流側にのみ用紙Sが排出されるから、用紙Sが加熱ローラ31に巻き付く事が防止される。また、用紙S上の未定着トナーによる汚れが、ニップ位置において加熱ローラ31に付着する事が防止される。
【0061】
また、加熱ローラ31または加圧ローラ32の回転速度は、ジャム処理操作部材39の回転速度に対し減速するように駆動手段のギア比を構成した。即ち、ジャム処理操作部材39は、加熱ローラ31に対して減速するようにギア比を構成する事により、少ないトルクでジャム処理操作部材39を回転させる事が可能になる。例えば、ジャム処理操作部材39に固定されたギアG8の歯数を20、加熱ローラ31に固定されたギアG9の歯数を60に設定すれば、ジャム処理操作部材39の3回転で、加熱ローラ31が1回転するから、加熱ローラ31の回転トルクに対して、ジャム処理操作部材39を三分の一のトルクで回転させる事が可能になる。
【0062】
駆動手段の1個のモータMの正逆回転切り換え、及び一方向クラッチCL1,CL2により、定着駆動と加圧解除とを切り換えることにより、機構が簡単になる。
【0063】
ジャム処理操作部材39は、駆動手段のモータMに対し一方向クラッチCL1,CL2より下流側で連結する事により、定着装置30のニップ位置の用紙搬送方向上流側にジャム紙を取り出す事が可能であるから、用紙S上の未定着トナーによる汚れが、ニップ位置において加熱ローラ31に付着する事が防止される。
【0064】
加圧解除手段50に、加圧解除駆動が一方向にのみ回転可能な一方向クラッチCL3を設けたから、モータMの正逆回転を利用し、定着駆動と加圧解除とを切り換える場合、ジャム処理操作部材39によりニップ位置の上流側に用紙Sを排出するには、一方向クラッチCL3を加圧解除駆動側に連結させることで、逆方向に回転する事は無くなり、ジャム処理操作部材39が戻される事はなく、ジャム処理が容易かつ安全に行えるようになる。
【0065】
本発明の実施の形態では、カラー画像形成装置に装着された定着装置について説明したが、単色又は多色の複写機、ファクシミリ、プリンタ、及びこれらの機能を有する複合機等にも適用可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の定着装置及び画像形成装置により、以下の優れた効果が得られる。
【0067】
(1) 請求項1に係る発明によれば、加圧解除手段と、駆動手段に連結したジャム処理操作部材とを設ける事により、加熱ローラを容易に回転させる事が可能となり、加熱ローラに完全に巻き付いた用紙でも確実に処理する事が可能になる。
【0068】
(2) 請求項2に係る発明によれば、ジャム処理操作部材が加熱ローラのニップ位置の上流側にのみ用紙を排出可能にする事により、用紙が加熱ローラに巻き付く事が防止される。また、未定着トナーによる汚れが加熱ローラに付着する事が防止される。
【0069】
(3) 請求項3に係る発明によれば、ジャム処理操作部材は、加熱ローラに対して減速するようにギア比を構成する事により、少ないトルクでジャム処理操作部材を回転させる事が可能になる。
【0070】
(4) 請求項4に係る発明によれば、1個のモータで正逆回転を行い、定着駆動と定着圧解除とを切り換える事が可能になり、機構が簡単になる。
【0071】
(5) 請求項5に係る発明によれば、ジャム処理操作ノブを駆動側の一方向クラッチの下流側で連結する事で、定着装置のニップ位置の上流側にジャム紙を取り出す事が可能である。
【0072】
(6) 請求項6に係る発明によれば、モータの正逆回転を利用し、定着駆動と定着圧解除とを切り換える場合、ジャム処理操作部材によりニップ位置の上流側に用紙を排出するには、加圧解除駆動手段により逆回転させる必要があるため、ジャム処理操作部材に負荷が掛かり逆回転して戻される事があるから、一方向クラッチを加圧解除駆動側に連結させることで、逆方向に回転する事は無くなり、ジャム処理操作部材が戻される事はなく、ジャム処理が容易に行えるようになる。
【0073】
(7) 請求項7に係る発明によれば、定着装置の加圧解除手段とジャム処理操作部材により、記録媒体が定着装置内でジャムした場合でも、容易且つ迅速に取り除く事ができ、画像形成装置の画像形成処理の休止時間を最小限にする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置の構成図。
【図2】加熱ローラ方式の定着装置の断面図。
【図3】定着装置の駆動手段の正面図。
【図4】駆動手段の模式図。
【図5】駆動手段の斜視図。
【図6】加熱ローラと加圧ローラの加圧状態を示す定着装置の断面図。
【図7】加圧ローラを加熱ローラから離間させた加圧解除状態を示す定着装置の断面図。
【符号の説明】
10Y,10M,10C,10K 画像形成手段
30 定着装置
31 加熱回転体(加熱ローラ)
32 加圧回転体(加圧ローラ)
33,34 加熱源(ヒータ)
38 回転軸
39 ジャム処理操作部材
40,41 支持基板
50 加圧解除手段
51 揺動板
52 支軸
53 コロ
54 バネ、
55 カム
56 カム軸
A 画像形成装置
CL1,CL2,CL3 一方向クラッチ
G1〜G13 ギア
S 記録媒体(用紙)
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に形成されたトナー像を定着する定着装置、及び該定着装置を備えた単色又は多色の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置において、加熱溶融性の樹脂より成るトナーを担持する記録媒体を加熱定着する定着装置には、熱ローラ方式や、熱定着ベルト方式等が採用されている。
【0003】
熱ローラ方式の定着装置は、内部にハロゲンヒータ等の発熱体を備えた加熱回転体と、これに圧接する加圧回転体とから構成され、この一対のローラの圧接部である定着ニップ部に用紙等の記録媒体を通過させる事により、記録媒体に担持されたトナー像を加熱、溶融させるものである。
【0004】
特許文献1に記載された定着装置は、加熱回転体に加圧回転体を圧接するための圧力を付与する加圧手段と、加圧手段の加圧力に抗して加熱回転体に対する加圧回転体の圧接状態を解除する加圧解除手段とを有し、両回転体の弾性層の永久変形の防止と、ジャム紙の除去とを行うものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−125985号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載された定着装置の加圧解除手段により、単純な紙詰まりによるジャム処理は可能であるが、加熱回転体に記録媒体が完全に巻き付いたジャムの場合、加熱回転体の外周面に用紙が貼り付き密着してしまう事がある。加熱回転体の外周面から記録媒体を取り除くためには、加熱回転体を回転させる程の力が必要になり、ジャム処理を容易に行う事が困難であった。
【0007】
特に、カラー画像形成装置においては、一般に、記録媒体上に形成される写真やグラフ等の多色のトナー像の形成面は単色のトナー像に比して広く、且つ多色のトナー像の形成厚さが単色のトナー像に比して大である。
【0008】
また、カラー画像形成装置では、カラー画像を鮮明にするため、特殊な塗工処理を施した記録媒体を用いる事がある。さらに、カラー画像に光沢を付加するため、定着温度を高く設定する事が行われる。
【0009】
このようなカラー画像処理を行う定着装置においては、画像形成手段によって形成された多色の未定着のトナー像が、定着装置の加熱回転体により溶融加熱されて定着される時、加熱回転体に多色のトナー像を担持した記録媒体が完全に巻き付いてジャムを発生することがある。加熱回転体に巻き付いた記録媒体を引き剥がして取り除く事は困難であり、強引に引っ張ると記録媒体がちぎれて、残存の紙片を定着装置から取り出す事は、更に困難である。
【0010】
本発明は、従来の定着装置における前記のような問題を解決し、下記の目的を達成するものである。
【0011】
(1) 加熱回転体に完全に巻き付いた記録媒体を容易に排出する。
(2) ジャム発生した記録媒体上の未定着トナーによる汚れが、加熱回転体に付着する事を防止する。
【0012】
(3) 少ない力で、ジャム発生した記録媒体を取り出し可能にする。
(4) 定着駆動と加圧解除とを行う駆動手段の機構を簡単にする。
【0013】
(5) ジャム処理操作部材によって、記録媒体を定着ニップ部の記録媒体搬送方向上流側に戻してジャム処理する。
【0014】
(6) ジャム処理操作を容易、且つ安全に行う。
(7) 記録媒体上に単色又は多色のトナー画像を形成して定着処理する画像形成装置において、定着装置におけるジャム処理を容易にする。特に、カラー画像形成装置により塗工紙等の記録媒体に形成された多色のトナー画像を定着する場合、或いは、トナー画像に光沢処理を行って定着する場合に、記録媒体の加熱ローラへの巻き付きを発生したときの記録媒体除去を容易にする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記の本発明の目的は、下記の発明により達成される。
【0016】
(1) 加熱回転体と加圧回転体とにより未定着像を有する記録媒体を挟持して定着処理を行う定着装置において、前記加熱回転体に対する前記加圧回転体の加圧を解除する加圧解除手段と、前記加熱回転体を駆動回転させる駆動手段と、前記駆動手段に連結し前記記録媒体を排出可能にするジャム処理操作部材と、を有することを特徴とする定着装置。
【0017】
(2) 前記ジャム処理操作部材は、前記加熱回転体と前記加圧回転体との挟持位置の前記記録媒体の搬送方向上流側にのみ前記記録媒体を排出可能にすることを特徴とする前記(1)に記載の定着装置。
【0018】
(3) 前記加熱回転体または前記加圧回転体の回転速度は、前記ジャム処理操作部材の回転速度に対し減速するように前記駆動手段のギア比を構成したことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の定着装置。
【0019】
(4) 前記駆動手段のモータの正逆回転、及び一方向クラッチにより、前記駆動手段と前記加圧解除手段とを切り換えることを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか1項に記載の定着装置。
【0020】
(5) 前記ジャム処理操作部材は、前記モータに対し一方向クラッチより下流側で連結していることを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の定着装置。
【0021】
(6) 前記加圧解除手段に、加圧解除駆動が一方向にのみ回転可能な一方向クラッチ付き駆動部材を設けたことを特徴とする前記(1)(4),(5)の何れか1項に記載の定着装置。
【0022】
(7) 画像形成手段により単色又は多色の画像を形成して記録媒体に転写し、用紙搬送手段により前記記録媒体を搬送し、前記(1)〜(6)の何れか1項に記載の定着装置により前記記録媒体上に形成された単色又は多色画像を定着することを特徴とする画像形成装置。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本欄の記載は請求項の技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。
【0024】
[画像形成装置]
図1は、本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置の構成図である。
【0025】
画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成手段10Y,10M,10C,10Kと、ベルト状の中間転写体6と給紙装置20及び後述する定着装置30とからなる。
【0026】
画像形成装置Aの上部には、画像読取装置Bが設置されている。原稿台上に載置された原稿は画像読取装置Bの原稿画像走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれる。ラインイメージセンサにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、露光手段3Y,3M,3C,3Kに入力される。
【0027】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成手段10Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y及びクリーニング手段5Yを有する。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成手段10Mは、像担持体としての感光体ドラム1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像装置4M及びクリーニング手段5Mを有する。シアン(C)色の画像を形成する画像形成手段10Cは、像担持体としての感光体ドラム1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像装置4C及びクリーニング手段5Cを有する。黒(K)色の画像を形成する画像形成手段10Kは、像担持体としての感光体ドラム1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像装置4K及びクリーニング手段5Kを有する。帯電手段2Yと露光手段3Y、帯電手段2Mと露光手段3M、帯電手段2Cと露光手段3C及び帯電手段2Kと露光手段3Kとは、潜像形成手段を構成する。
【0028】
4Y,4M,4C,4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径トナーとキャリアからなる二成分現像剤を内包する現像装置である。
【0029】
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持されている。画像形成手段10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に一次転写手段7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写されて(一次転写)、合成されたカラー画像が形成される。
【0030】
給紙装置20の用紙収納部(給紙カセット)21内に収容された記録媒体(以下、用紙と称す)Sは、給紙手段(第1給紙部)22により給紙され、給紙ローラ23,24,25,26、レジストローラ(第2給紙部)27等を経て、二次転写手段(転写ローラ)9に搬送され、用紙S上にカラー画像が転写される(二次転写)。
【0031】
なお、画像形成装置Aの下部に鉛直方向に縦列配置された3段の用紙収納部21は、ほぼ同一の構成をなすから、同符号を付した。また、3段の給紙手段22も、ほぼ同一の構成をなすから、同符号を付してある。用紙収納部21、給紙手段22を含めて給紙装置20と称す。
【0032】
カラー画像が転写された用紙Sは、定着装置30において用紙Sが挟持され、熱と圧力とを加えることにより用紙S上のカラートナー像(或いはトナー像)が定着されて用紙S上に固定され、排紙ローラ28に挟持されて機外の排紙トレイ29上に載置される。
【0033】
一方、二次転写手段9により用紙Sにカラー画像を転写した後、用紙Sを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング手段8により残留トナーが除去される。
【0034】
定着処理された用紙Sを反転排紙する場合には用紙Sは定着装置30と排紙ローラ28の中間に配置された分岐板28Aの図示右側の搬送路を通過し、下方の搬送路r1に搬送された後、逆転搬送されて分岐板28Aの図示左側の搬送路r2を通過し、排紙ローラ28により装置外に排出される。
【0035】
用紙Sの両面に複写する場合には、用紙Sの第1面に形成した画像を定着処理した後、用紙Sを搬送路r1、さらに搬送路r3に導入した後、逆転搬送し、搬送路r4に搬送した後、上方に迂回し給紙ローラ26により搬送する。用紙Sは画像形成手段10Y,10M,10C,10Kにおいて第2面に各色の画像が両面に形成され、定着装置30により加熱定着処理され、排紙ローラ28によって装置外に排出される。
【0036】
なお、画像形成装置Aの説明においては、カラー画像形成にて説明したが、モノクロ画像を形成する場合も本発明に含まれるものである。
【0037】
[定着装置の構成]
以下、画像形成装置Aの定着装置30を説明する。
【0038】
図2は、加熱ローラ方式の定着装置30の一実施の形態を示す断面図である。定着装置30は、加熱回転体(以下、加熱ローラと称す)31、加圧回転体(以下、加圧ローラと称す)32、ヒータ等の加熱源33,34等から成る。
【0039】
加熱ローラ31の周囲には、クリーニングローラ35、及び図示しない温度センサ、温度異常防止手段が配置され、加熱ローラ31の内部には加熱源33が配置されている。
【0040】
加圧ローラ32の周囲にも、温度センサ、温度異常防止手段が配置され、加圧ローラ32の内部には加熱源34が配置されている。
【0041】
加熱源33,34には、ハロゲンランプ、誘導加熱手段等が用いられる。加熱ローラ31は、熱伝導性基体(芯金)、弾性層、離型層等により構成されている。加圧ローラ32は、熱伝導性基体(芯金)、弾性層、被覆層により構成される。
【0042】
加熱ローラ31と加圧ローラ32との挟持位置の用紙搬送方向下流側には、分離爪36、及び排紙ローラ37が配置されている。
【0043】
[定着装置の駆動手段]
図3は定着装置の駆動手段の正面図、図4(a),(b)は駆動手段の模式図、図5は駆動手段の斜視図である。
【0044】
定着装置30の加熱ローラ31を駆動する駆動手段は、操作者手前側に配置されている。駆動手段は、DCモータ(以下、モータと称す)M、ギアG1〜G13、一方向クラッチCL1〜CL2等から成る。
【0045】
正逆転可能なモータMの回転部に固定されたギアG1は、2段のギアG2,G3を介してギアG4を回転させる。ギアG4の回転軸上には、一方向クラッチCL1を内蔵したギアG5と、一方向クラッチCL2を内蔵したギアG6とが配置されている。
【0046】
ギアG5はギアG7を介して、加熱ローラ31の回転軸上に固定されたギアG9に係脱可能に噛み合う。また、ギアG7はギアG8を回転させる。ギアG8の回転軸38の軸端にはジャム処理操作部材39が固定されている。
【0047】
ギアG6はギアG10を介してギア11に噛み合う。ギアG11には一方向クラッチCL3が内蔵されている。ギア10と同軸上に固定されたギアG12はギアG13に噛み合う。ギアG13の回転軸上にはカム55が固定される。
【0048】
モータM、ギアG1〜G13、回転軸38は、平行な2枚の支持基板40,41に支持されている。
【0049】
[加熱ローラの駆動]
図3において、モータMの正回転駆動により、ギアG1が実線で示す矢印方向に正回転し、ギアG2,G3を介してギアG4を逆回転させ、一方向クラッチCL1(図4参照)を内蔵するギアG5のみを正回転させ、ギアG7を介して加熱ローラ31の回転軸上に固定されたギアG9を正回転させる。
【0050】
なお、ギアG4の正回転時に、一方向クラッチCL2(図4参照)を内蔵するギアG6は停止状態に保持される。
【0051】
[加圧ローラの加圧解除駆動]
定着装置30内で用紙Sのジャムが発生した時には、加圧ローラ32を加熱ローラ31との圧接位置から離間させて、用紙Sを引き出さねばならない。
【0052】
加圧ローラ32の加圧解除駆動は、モータMの逆回転駆動により行われる。図3において、モータMの逆回転駆動により、ギアG1が破線で示す矢印方向に逆回転し、ギアG2,G3を介してギアG4を正回転させ、一方向クラッチCL2(図4参照)を内蔵するギアG6のみを逆回転させ、ギアG10を介してギアG11を逆回転させる。
【0053】
なお、ギアG4の逆回転時に、一方向クラッチCL1(図4参照)を内蔵するギアG7は停止状態に保持される。
【0054】
図6は、加熱ローラ31と加圧ローラ32の加圧状態を示す定着装置30の断面図、図7は、加圧ローラ32を加熱ローラ31から離間させた加圧解除状態を示す定着装置30の断面図である。
【0055】
加圧解除手段50は、加圧ローラ32を支持して揺動可能な揺動板51、揺動板51を揺動可能に支持する支軸52、揺動板51の端部近傍に回転可能に支持されたコロ53、揺動板51を一方向に付勢するバネ54、コロ53に圧接して揺動板51を揺動させるカム55、支持基板40,41に固定されカム55を回転可能に支持するカム軸56から構成されている。
【0056】
用紙Sが、加熱ローラ31と加圧ローラ32との挟持位置を通過する際に、ジャムを発生したときには、モータMを逆回転させ、ギアG1,G2,G3,G4,G6,G12,G13を経てカム軸56を回転させる。
【0057】
カム軸56の回転によりカム55が回転し、コロ53を圧接して、揺動板51が支軸52を中心にして図示の時計方向に揺動する。揺動板51の揺動により、揺動板51の反円弧面51Aに接する加圧ローラ32の軸受部材(ベアリング)32Aが移動し、軸受部材32Aと同軸上の加圧ローラ32が自重で下方に移動して、加熱ローラ31との挟持位置から離間して停止する。
【0058】
[ジャム処理操作]
ジャム発生時には、画像形成装置Aの操作部において、モータMの逆転駆動を指定する事により、上述の加圧解除駆動を開始し、加圧ローラ32が加熱ローラ31との挟持位置から離間した後、ジャム処理操作部材39を把持して、図3の破線矢印の反時計方向、及び図5に示す反時計方向に手動で回転させる。
【0059】
ジャム処理操作部材39の反時計方向回転により、回転軸38に固定されたギアG8が回転し、ギアG7を介してギアG9が回転する。ギアG9の回転によって加熱ローラ31は図5に示す反時計方向に回転する。
【0060】
定着装置30内の用紙搬送路でジャム発生した時、ジャム処理操作部材39の手動回転操作により、加熱ローラ31と加圧ローラ32とのニップ位置の用紙Sは、用紙搬送方向上流側にのみ用紙Sが排出されるから、用紙Sが加熱ローラ31に巻き付く事が防止される。また、用紙S上の未定着トナーによる汚れが、ニップ位置において加熱ローラ31に付着する事が防止される。
【0061】
また、加熱ローラ31または加圧ローラ32の回転速度は、ジャム処理操作部材39の回転速度に対し減速するように駆動手段のギア比を構成した。即ち、ジャム処理操作部材39は、加熱ローラ31に対して減速するようにギア比を構成する事により、少ないトルクでジャム処理操作部材39を回転させる事が可能になる。例えば、ジャム処理操作部材39に固定されたギアG8の歯数を20、加熱ローラ31に固定されたギアG9の歯数を60に設定すれば、ジャム処理操作部材39の3回転で、加熱ローラ31が1回転するから、加熱ローラ31の回転トルクに対して、ジャム処理操作部材39を三分の一のトルクで回転させる事が可能になる。
【0062】
駆動手段の1個のモータMの正逆回転切り換え、及び一方向クラッチCL1,CL2により、定着駆動と加圧解除とを切り換えることにより、機構が簡単になる。
【0063】
ジャム処理操作部材39は、駆動手段のモータMに対し一方向クラッチCL1,CL2より下流側で連結する事により、定着装置30のニップ位置の用紙搬送方向上流側にジャム紙を取り出す事が可能であるから、用紙S上の未定着トナーによる汚れが、ニップ位置において加熱ローラ31に付着する事が防止される。
【0064】
加圧解除手段50に、加圧解除駆動が一方向にのみ回転可能な一方向クラッチCL3を設けたから、モータMの正逆回転を利用し、定着駆動と加圧解除とを切り換える場合、ジャム処理操作部材39によりニップ位置の上流側に用紙Sを排出するには、一方向クラッチCL3を加圧解除駆動側に連結させることで、逆方向に回転する事は無くなり、ジャム処理操作部材39が戻される事はなく、ジャム処理が容易かつ安全に行えるようになる。
【0065】
本発明の実施の形態では、カラー画像形成装置に装着された定着装置について説明したが、単色又は多色の複写機、ファクシミリ、プリンタ、及びこれらの機能を有する複合機等にも適用可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の定着装置及び画像形成装置により、以下の優れた効果が得られる。
【0067】
(1) 請求項1に係る発明によれば、加圧解除手段と、駆動手段に連結したジャム処理操作部材とを設ける事により、加熱ローラを容易に回転させる事が可能となり、加熱ローラに完全に巻き付いた用紙でも確実に処理する事が可能になる。
【0068】
(2) 請求項2に係る発明によれば、ジャム処理操作部材が加熱ローラのニップ位置の上流側にのみ用紙を排出可能にする事により、用紙が加熱ローラに巻き付く事が防止される。また、未定着トナーによる汚れが加熱ローラに付着する事が防止される。
【0069】
(3) 請求項3に係る発明によれば、ジャム処理操作部材は、加熱ローラに対して減速するようにギア比を構成する事により、少ないトルクでジャム処理操作部材を回転させる事が可能になる。
【0070】
(4) 請求項4に係る発明によれば、1個のモータで正逆回転を行い、定着駆動と定着圧解除とを切り換える事が可能になり、機構が簡単になる。
【0071】
(5) 請求項5に係る発明によれば、ジャム処理操作ノブを駆動側の一方向クラッチの下流側で連結する事で、定着装置のニップ位置の上流側にジャム紙を取り出す事が可能である。
【0072】
(6) 請求項6に係る発明によれば、モータの正逆回転を利用し、定着駆動と定着圧解除とを切り換える場合、ジャム処理操作部材によりニップ位置の上流側に用紙を排出するには、加圧解除駆動手段により逆回転させる必要があるため、ジャム処理操作部材に負荷が掛かり逆回転して戻される事があるから、一方向クラッチを加圧解除駆動側に連結させることで、逆方向に回転する事は無くなり、ジャム処理操作部材が戻される事はなく、ジャム処理が容易に行えるようになる。
【0073】
(7) 請求項7に係る発明によれば、定着装置の加圧解除手段とジャム処理操作部材により、記録媒体が定着装置内でジャムした場合でも、容易且つ迅速に取り除く事ができ、画像形成装置の画像形成処理の休止時間を最小限にする事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置の構成図。
【図2】加熱ローラ方式の定着装置の断面図。
【図3】定着装置の駆動手段の正面図。
【図4】駆動手段の模式図。
【図5】駆動手段の斜視図。
【図6】加熱ローラと加圧ローラの加圧状態を示す定着装置の断面図。
【図7】加圧ローラを加熱ローラから離間させた加圧解除状態を示す定着装置の断面図。
【符号の説明】
10Y,10M,10C,10K 画像形成手段
30 定着装置
31 加熱回転体(加熱ローラ)
32 加圧回転体(加圧ローラ)
33,34 加熱源(ヒータ)
38 回転軸
39 ジャム処理操作部材
40,41 支持基板
50 加圧解除手段
51 揺動板
52 支軸
53 コロ
54 バネ、
55 カム
56 カム軸
A 画像形成装置
CL1,CL2,CL3 一方向クラッチ
G1〜G13 ギア
S 記録媒体(用紙)
Claims (7)
- 加熱回転体と加圧回転体とにより未定着像を有する記録媒体を挟持して定着処理を行う定着装置において、
前記加熱回転体に対する前記加圧回転体の加圧を解除する加圧解除手段と、
前記加熱回転体を駆動回転させる駆動手段と、
前記駆動手段に連結し前記記録媒体を排出可能にするジャム処理操作部材と、
を有することを特徴とする定着装置。 - 前記ジャム処理操作部材は、前記加熱回転体と前記加圧回転体との挟持位置の前記記録媒体の搬送方向上流側にのみ前記記録媒体を排出可能にすることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記加熱回転体または前記加圧回転体の回転速度は、前記ジャム処理操作部材の回転速度に対し減速するように前記駆動手段のギア比を構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
- 前記駆動手段のモータの正逆回転、及び一方向クラッチにより、前記駆動手段と前記加圧解除手段とを切り換えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の定着装置。
- 前記ジャム処理操作部材は、前記モータに対し一方向クラッチより下流側で連結していることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の定着装置。
- 前記加圧解除手段に、加圧解除駆動が一方向にのみ回転可能な一方向クラッチ付き駆動部材を設けたことを特徴とする請求項1,4,5の何れか1項に記載の定着装置。
- 画像形成手段により単色又は多色の画像を形成して記録媒体に転写し、用紙搬送手段により前記記録媒体を搬送し、請求項1〜6の何れか1項に記載の定着装置により前記記録媒体上に形成された単色又は多色画像を定着することを特徴とする画像形成装置。
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JP2003200380A JP2005043446A (ja) | 2003-07-23 | 2003-07-23 | 定着装置及び画像形成装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008039970A (ja) * | 2006-08-03 | 2008-02-21 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 画像形成装置 |
JP2015011176A (ja) * | 2013-06-28 | 2015-01-19 | キヤノン株式会社 | 一方向クラッチ、駆動伝達ユニット、定着装置及び画像形成装置 |
JP2020187172A (ja) * | 2019-05-10 | 2020-11-19 | 株式会社リコー | 定着装置及び画像形成装置 |
-
2003
- 2003-07-23 JP JP2003200380A patent/JP2005043446A/ja active Pending
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