JP2005043188A - 微小径配管製造方法、微小径配管、及びそれを用いたマイクロチップ - Google Patents
微小径配管製造方法、微小径配管、及びそれを用いたマイクロチップ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明の目的は、流路と流路との確実な接続が容易に行える微小径配管の製造方法を提供することにある。
【解決手段】微小流路をもつパイプ12が該流路と他流路とを接続する上での該パイプ12の機械的強度不足を補うための中空状スリーブ14内に挿入され、かつ該パイプ12の外周と該スリーブ14の内周の間を隙間なく固定する固定工程(S10)と、該固定工程(S10)後に、他流路との接続部20の端面となる該スリーブ14及び該パイプ12の切り口が同一面となるように、該スリーブ14及び該パイプ12を径方向より切断する切断工程(S12)と、を備え、該パイプ12に該スリーブ14が被覆された微小径配管10を作ることを特徴とする微小径配管製造方法。
【選択図】 図3
【解決手段】微小流路をもつパイプ12が該流路と他流路とを接続する上での該パイプ12の機械的強度不足を補うための中空状スリーブ14内に挿入され、かつ該パイプ12の外周と該スリーブ14の内周の間を隙間なく固定する固定工程(S10)と、該固定工程(S10)後に、他流路との接続部20の端面となる該スリーブ14及び該パイプ12の切り口が同一面となるように、該スリーブ14及び該パイプ12を径方向より切断する切断工程(S12)と、を備え、該パイプ12に該スリーブ14が被覆された微小径配管10を作ることを特徴とする微小径配管製造方法。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は微小径配管製造方法、微小径配管、及びそれを用いたマイクロチップ、特に流路と流路との確実な接続を容易に行うための手法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、各種反応、分析の分野では、例えばミクロカラム、マイクロチップ等の微小空間での反応、分析が行われている。
例えばミクロカラムを備えた液体クロマトグラフでは、溶離液と共にインジェクタにより注入された試料を、充填剤が充填されたミクロカラムに送液し、試料中の測定対象成分を分離溶出させてクロマトグラムを測定している。
微小空間での反応等は、通常空間での反応等とは異なるものが生じることがあるので、非常に注目されている。
【0003】
ところで、例えば液体クロマトグラム等の各装置との流路をつなぐため、各種配管が用いられるが、配管には、デッドボリュームや液漏れ等が生じないように、流路と流路とを確実に接続することが求められている。
【特許文献1】
特開2002−267597号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、微小空間での反応、分析の際に用いられる微小径配管には、通常空間での反応、分析の際に用いられる一般的な配管に比較し、流路と流路とを、より確実に及び容易に接続することが求められているが、その点は改善の余地が残されていた。
すなわち、通常空間で反応、分析等ではあまり問題とならない程度のデッドボリュームや液漏れであっても、例えばマイクロチップやミクロカラム等の流路は非常に微小な空間であり、その相対的な影響が非常に大きくなってしまうので、前記問題はより深刻であった。
【0005】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、流路と流路との確実な接続が容易に行える微小径配管の製造方法、微小径配管、及びそれを用いたマイクロチップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明にかかる微小径配管製造方法は、流路と流路との接続に用いられる微小径配管の製造方法において、固定工程と、切断工程と、を備え、パイプにスリーブが被覆された微小径配管を作ることを特徴とする。
ここで、前記固定工程は、流体の微小流路をもつパイプが、該流路と他流路とを接続する上での該パイプの機械的強度不足を補うための中空状スリーブ内に挿入され、該パイプの外周と該スリーブの内周の間を隙間なく固定する。
【0007】
また前記切断工程は、前記固定工程後に、他流路との接続部の端面となる前記スリーブ及び前記パイプの切り口が同一面となるように、該スリーブ及び該パイプを径方向より切断する。
ここにいう機械的強度不足を補うとは、微小径配管と他流路とを接続するのに、パイプに破損等の不具合が生じるのを防ぐ強度をスリーブがもつことをいう。
【0008】
本発明のスリーブは、パイプ外周の少なくとも接続部対応部の外周に設けることができ、パイプの接続部対応部のみに設ける場合、該パイプの接続部対応部は勿論、さらにパイプの全長にわたって設ける場合を含めていう。
本発明のパイプとしては、例えばキャピラリー等が一例として挙げられ、その材質としては、例えばヒューズドシリカ等のガラス製のものが一例として挙げられる。
【0009】
また前記目的を達成するために本発明にかかる微小径配管は、流路と流路との接続に用いられる微小径配管の製造方法において、パイプと、スリーブと、を備え、他流路との接続部の端面となる前記スリーブ端部と前記パイプ端部が、同一平面であることを特徴とする。
ここで、前記パイプは、流体の微小流路をもつ。
また前記スリーブは、前記パイプの外周に隙間なく被覆され、前記流路と他流路とを接続する上での該パイプの機械的強度不足を補う材質とする。
【0010】
なお、本発明にかかる微小径配管において、前記パイプの材質はガラスであり、前記スリーブの材質はステンレス又はポリエーテルエーテルケトンであることが好適である。
また本発明にかかる微小径配管においては、前記パイプの流路中に充填剤が充填され、該パイプ自体をミクロカラムとして用いることが好ましい。
また本発明にかかる微小径配管において、マイクロチップの流路との接続に用いられることも好ましい。
また本発明にかかる微小径配管においては、接続対象となる流路との密着性向上のため、前記微小径配管の接続部が圧入されたフィットを備えることが好適である。
【0011】
ここで、前記フィットは、凹部と、他流路側面と、孔と、を備える。前記フィットの孔を介して流体が前記微小径配管の流路と他流路との間を流れる。
前記凹部は、前記微小径配管側面に設けられ、該微小径配管が圧入されるように該微小径配管の接続部の外周径よりもやや狭い内周径をもつ。
前記他流路側面は、他流路とぴったり密着される平面をもつ。
前記孔は、前記凹部と他流路側面間に設けられ、前記微小径配管の流路と他流路との間を接続するためのものとする。
【0012】
また本発明にかかる微小径配管においては、フィルタを備えることも好適である。
ここで、前記フィルタは、前記接続部に密着され、充填剤を通過させないように、該充填剤よりも細かい目をもつ。
また前記目的を達成するために本発明にかかるマイクロチップは、流路入口と、マイクロチップ本体と、流路出口と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記流路入口は、前記微小径配管が接続され、該微小径配管より流体が導入される。
【0013】
また前記マイクロチップ本体は、前記流路入口より導入された流体の化学変化の場としての流路が形成されている。
前記流路出口は、前記微小径配管が接続され、前記マイクロチップ本体の流路中の流体を該微小径配管により外部に導出するためのものとする。
ここにいう化学変化としては、例えば分離、合成、反応等が一例として挙げられる。
【0014】
なお、本発明にかかるマイクロチップにおいては、前記マイクロチップ本体の流路中に充填剤が充填される。また前記微小径配管は、前記マイクロチップ本体の流路中に前記充填剤を堰き止めておけるように、該充填剤よりも細かい目をもつフィルタを備えることも好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態について説明する。
【0016】
微小径配管
図1には本発明の一実施形態にかかる微小径配管の概略構成が示されている。
同図に示す微小径配管10は、キャピラリー(パイプ)12と、スリーブ14を備える。
ここで、前記キャピラリー12は、例えばヒューズドシリカキャピラリー等のガラスキャピラリーよりなり、流体の微小流路16をもつ。
【0017】
また前記スリーブ14は、例えば他流路との接続をする上でのガラスの機械的強度不足を補うための特殊用途用ステンレス鋼板(SUS)等のステンレスパイプよりなり、キャピラリー12の外周に隙間なく固定されている。
本実施形態においては、前記キャピラリー12の外周に、前記中空状のスリーブ14の内周が、接着剤18により隙間なく固定されている。また本実施形態においては、他流路との接続部20となるスリーブ14の端部とキャピラリー12の端部が同一平面である。
【0018】
本実施形態にかかる微小径配管10は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
例えばキャピラリーと他の配管との接続には、耐圧性等を得るため、例えば押しネジやフェラル、HPLC用接続継手を用いて、キャピラリーと他の配管とに力を加えて固定する必要がある。
【0019】
しかしながら、キャピラリーは、耐薬品性等を得るため、ガラス製のものが一般的に用いられているので、HPLC用接続継手で力を加えて接続すると破損しやすい。従来はキャピラリーに関して接続時の破損防止に対する対策が一切なされていないので、実際には、適切な力を加えてキャピラリーと他流路との接続が行えていなかった。
このため、従来は望んだ耐圧性が得られずに液漏れしたり、分析結果に影響を与えるデッドボリュームが増大することがある。特に微小径配管が用いられるマイクロチップやミクロカラム等の微小空間で化学変化を行なわせる分野では、その問題はより深刻であった。
【0020】
これに対し、本実施形態においては、ガラス製のキャピラリー12の外周にSUS製のスリーブ14の内周を隙間なく被覆し、微小径配管10を構成している。
そして、本実施形態においては、デッドボリュームレスユニオンには流路径が微小な微小流量専用のものを用いているが、微小径配管10のスリーブ14の外径をHPLCで使われている配管の外径と同じにしている。
【0021】
この結果、本実施形態においては、HPLCレベルの耐圧を得るため、HPLC用の押しネジ、フェラル、HPLC用接続継手を用いて、微小径配管10に力を加えてHPLCの配管と接続しても、ガラス等のキャピラリー12はSUS製等のスリーブ14により機械的強度不足が補われている。このため、キャピラリー12の破損を防ぐことができるので、他流路との確実な接続が容易に行える。
したがって、従来極めて困難であった液漏れ防止も図られるので、充分な耐圧性も得られる。また従来極めて困難であったデッドボリュームの低減が図られるので、分析結果の信頼性の向上も図られる。
【0022】
フィット
また本実施形態においては、微小径配管10の接続対象がHPLC用継手等の使用が困難なものの場合、例えばガラス等の平面に微小開口が形成された微小流路の場合、接続部での密着性向上のため、微小径配管10の接続部20に対し、図2に示されるようなフィット22を設けることも好適である。
同図に示すフィット22は、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の略円錐台状のものである。
【0023】
フィット22の上面(配管側面)には、微小径配管10が圧入されるように、その接続部20の外周径よりも、例えば数10μm程度狭い内周径をもち、微小径配管10が直接挿入される凹部24を備える。
フィット22の底面(他流路側面)25は他流路とぴったり密着される。またフィット22の凹部24と底面25間の中心には、微小径配管10の流路16と他流路との間を接続するための孔26(例えば直径100μm)が設けられている。
【0024】
フィット22の凹部24に微小径配管10が圧入され、微小径配管10の外壁とフィット22の内壁が接着されているので、フィット22に微小径配管10の接続部20がしっかり挟持されている。
そして、このようなフィット22の孔26を介して流体が微小径配管10の流路16と他流路間を流れる。
【0025】
このように本実施形態においては、フィット22の底面25は他流路にぴったり密着されるので、微小径配管10と他流路との接続部での液漏れ防止もさらに図られ、より高い耐圧性が得られる。またデッドボリュームの更なる低減が図られるので、分析結果の信頼性がより向上される。
なお、本実施形態においては、スリーブの材質としてステンレスに代えてポリエーテルエーテルケトンを用いることも好ましいが、ステンレスを用いることがより好ましい。
【0026】
また本実施形態においては、キャピラリー12は例えば内径10〜300μm、外径100〜600μm等のものを用いている。またスリーブ14の内径は前記キャピラリの外径に適応し、その外径は一般的なHPLCの配管の外径のサイズと同じサイズのもの、例えば内径500μm、外径1600μm等のものを用いている。
【0027】
作り方
以下に、前記微小径配管10の作り方について、図3を参照しつつ説明する。本実施形態においては、固定工程(S10)と、切断工程(S12)を備える。
【0028】
<固定工程>
前記固定工程(S10)は、ガラス製のキャピラリー12(例えば外径375μm)が、SUS製の中空状スリーブ14(例えば内径500μm)内に挿入される。
そして、スリーブ14の端部よりキャピラリー12をはみ出させた状態で、キャピラリー12の外周とスリーブ14の内周を隙間なく固定する。
本実施形態において、前記固定工程(S10)は、接着剤設置工程(S14)と、硬化工程(S16)を備える。
【0029】
[接着]
前記接着剤設置工程(S14)は、キャピラリー12外周とスリーブ14内周との間を隙間なく、かつスリーブ14の端部でのキャピラリー12外周とスリーブ14内周との境界を覆うように、接着剤18を塗布している。
このために本実施形態においては、まずキャピラリー12を覆っているポリミドの膜の表面を、やすり等で荒らしておく。そのうえで、同図(A)に示されるようにキャピラリー12の外周に、充分な量の接着剤18を塗布している。
そして、本実施形態においては、同図(B)に示されるように、キャピラリー12をスリーブ14内で何度も往復させ、スリーブ14とキャピラリー12の間を、接着剤18で、隙間なく埋めている。
【0030】
[硬化]
また前記硬化工程(S16)は、前記接着剤設置工程(S14)後に、接着剤18を硬化させる。
すなわち、本実施形態においては、硬化工程(S16)では、同図(B)に示されるように、キャピラリー12をスリーブ14の両端よりはみ出させておき、接着剤18が盛り上がった状態で硬化させている。
この結果、キャピラリー12の外周にスリーブ14の内周との間を隙間なく確実に固定することができる。
【0031】
<切断>
また前記切断工程(S12)は、例えば接着剤18の塗布から約24時間後等の前記接着剤18の硬化後に、他流路との接続部20の端面となるスリーブ14及びキャピラリー12の切り口が同一面となるように、スリーブ14及びキャピラリー12を径方向より切断し、流路を確保する。
本実施形態においては、キャピラリー12の流路の内径はつぶさずに、切り口は流路方向に対し垂直に切っているので、キャピラリー12とスリーブ14との切り口は同一平面となっている。
【0032】
<フィット圧入>
また本実施形態においては、さらにフィット圧入工程(S18)を備える。
フィット圧入工程(S18)は、同図(D)に示されるようにフィット22の凹部24に、微小径配管10の接続部20を設ける。
この際は、フィット22の凹部24の内径はキャピラリー12の外径に対しやや狭くしているので、微小径配管10に圧力を掛けながら、これをフィット22に挿入し、微小径配管10の外壁とフィット22の内壁を圧入する。
この結果、フィット22に微小径配管10の接続部20がしっかり挟持される。
【0033】
<完成>
このようにして同図(E)に示されるような、キャピラリー12の外周にスリーブ14の内周が隙間なく固定されている微小径配管10を作ることができる。
なお、本実施形態においては、スリーブ14をキャピラリー12の全長にわたって設けることもできるが、同図に示されるようにキャピラリー12と他流路との接続が確実に行える程度まで、すなわちキャピラリー12の接続部20の対応部に設けている。
【0034】
使い方
以下に、前記微小径配管10の使い方について説明する。
前記微小径配管は、マイクロチップと測定装置との接続に用いることが好ましい。
【0035】
<マイクロチップ>
(1)以下に、前記微小径配管10をマイクロチップと測定装置との接続に用いた際の概略構成について、図4を参照しつつ説明する。
すなわち、同図に示す測定装置30は、例えばHPLC等よりなり、HPLCのカラムに代えてマイクロチップを接続しており、移動相32と、送液ポンプ34と、インジェクター36と、マイクロチップ38と、検出器40と、データ処理機42を備える。
そして、同図に示す測定装置30は、送液ポンプ34により試料をマイクロチップ38に送液し、マイクロチップ38内の流路で分離、合成、反応等の化学変化を行わせて検出器40で検出し、データ処理機42で反応結果を得るものである。
【0036】
本実施形態において特徴的なことは、前記微小径配管10をHPLC等の測定装置30とマイクロチップ38との接続に用いたことである。このためにマイクロチップ38の流路44入口とインジェクタ36間に、前記微小径配管10である入口側微小径配管10aを設けている。またマイクロチップ38の流路44出口と検出器40間にも、前記微小径配管10である出口側微小径配管10bを設けている。
なお、マイクロチップ38は、例えば縦30mm、横70mm、高さ2mm等の大きさをもち、マイクロチップ本体46と、上板48を備える。
【0037】
マイクロチップ本体46は、反応、分析を行う微小流路44(例えば溝の深さ10〜100μm、溝の幅10〜1000μm等)が、例えばリソグラフィ、化学的エッチング等の技術により形成されている。
マイクロチップ本体46には上板48が融着されており、マイクロチップ本体46と上板48がしっかり固定されている。
このようにして構成されたマイクロチップ38は、例えばSUS製の上部ホルダ50と下部ホルダ52間にしっかり挟持されている。
【0038】
(2)以下に、前記マイクロチップとの接続の仕方について説明する。
すなわち、従来、マイクロチップと微小径配管との接続は、ポリテトラフルオロエチレンの押しネジとキャピラリーを接続し、押しネジの先端にOリングをはめ込み接続することが考えられる。
しかしながら、この従来方法を用いたのでは、Oリングの部分が400nl程度の大きさのデッドボリュームとなり、また耐圧性も数MPa程度であるので、マイクロチップの接続に用いるには、デッドボリューム、耐圧性の何れも、満足のゆくものではなかった。
【0039】
これに対し、本実施形態においては、マイクロチップ38の接続に前記微小径配管10を用いており、これをマイクロチップ38の流路44の入口及び出口に設けている。
すなわち、図5(A)に示されるようにマイクロチップ38の流路44の入口となる上板48の入口58aには、入口側フィット22aを介して入口側微小径配管10aが接続されている。またマイクロチップ38の流路44の出口となる上板48の出口58bには、出口側フィット22bを介して出口側微小径配管10bが接続されている。
【0040】
ここで、本実施形態においては、同図(B)の分解図に示されるように微小径配管10をフィット22に圧入する際は、例えばSUS製の押しネジ56を設けている。これをマイクロチップ38の流路44の入口側及び出口側に設けている。
すなわち、本実施形態においては、同図(A)に示されるように、上部ホルダ50のマイクロチップ38の流路44の入口となる上板48の入口58aの上方には、入口側ネジ穴54aが設けられる。該入口側ネジ穴54aに、入口側押しネジ56aが螺合して設けられる。
【0041】
この結果、入口側押しネジ56aの先端で、入口側フィット22aの上部をマイクロチップ38の流路44の入口となる上板48の入口58aに押し付けている。これにより、本実施形態にかかる微小径配管10の入口側フィット22aをマイクロチップ38の流路44の入口に密着している。
前記入口側微小径配管10aと同様に、出口側微小径配管10bを設けている。
すなわち、上部ホルダ50のマイクロチップ38の流路44の出口となる上板48の出口58bの上方には、出口側ネジ穴54bが設けられている。出口側ネジ穴54bに出口側押しネジ56bが螺合して設けられる。
【0042】
この結果、出口側押しネジ56bの先端で、出口側フィット22bの上部をマイクロチップ38の流路44の出口となる上板48の出口58bに押し付けている。これにより本実施形態にかかる微小径配管10の出口側フィット22bをマイクロチップ38の流路44の出口に密着している。
このように本実施形態においては、キャピラリー12の外周にスリーブ14の内周が隙間なく被覆された微小径配管10を用いているので、マイクロチップ38と測定装置30との接続に適切な力を加えても、キャピラリー12に破損等の不具合を生じることなく容易に行える。
【0043】
したがって、本実施形態においては、マイクロチップ38と測定装置30との接続部での密着性が向上するので、充分な耐圧性を得ることができる。また滞流の少ない接続部デザインなので、該接続部におけるデッドボリュームの低減が図られる。
例えば非常に少ない数(数nl)デッドボリューム、および高耐圧(40MPa)で、マイクロチップ38と測定装置30との接続が行えるので、マイクロチップ38内への粒子の封入、排出が、例えば40MPa等の高圧力下でも簡便に行える。
【0044】
また微小径配管10とフィット22との接続に、圧入方式を採用した場合は、耐圧が若干下がるものの、接続部20に接着剤18が露出されないので、溶媒による溶出がなくなる。また接着に要する時間がなくなるので、製造が短時間で行える。
【0045】
<分離機能>
前述のようにして完成されたマイクロチップは、さまざまな化学変化の場、例えば化学反応の場として利用されるが、その1つとして分離機能をもたせることも好ましい。その一例としてマイクロチップの流路中に充填剤を充填し、マイクロチップをカラムとして用いることも好ましい。
すなわち、マイクロチップをカラムとして用いるため、従来は、マイクロチップ内部の流路中に、ウェットエッチングによるダム構造の塞き止めを形成することが考えられる。しかしながら、このようなダム構造の製作は難しく、再現性よく作るには高い熟練を必要としていた。
【0046】
これに対し、本実施形態においては、図5に示した微小径配管に、充填剤よりも細かい目をもつ焼結フィルタ(フィルタ)を設けるのみで、前記マイクロチップ38に分離機能を容易にもたせることができる。
図6(A)にはカラムとしての機能をもたせた前記マイクロチップ38の概略構成が示されている。
同図に示すマイクロチップ38は、その流路44中に充填剤62が充填されている。
【0047】
また入口側微小径配管10aと入口側フィット22a間には、該微小径配管10aと同じ外径をもち、かつ充填剤62よりも細かい目をもつ入口側焼結フィルタ(フィルタ)60aを設けている。
また出口側も前記入口側と同様、出口側微小径配管10bと出口側フィット22b間には、該微小径配管10bと同じ外径をもち、かつ充填剤62よりも細かい目をもつ出口側焼結フィルタ(フィルタ)60bを設けている。
このようにして構成されたマイクロチップ38は、前記図4に示した測定装置のインジェクタと検出器間に設けられる。
【0048】
そして、移動相と共にインジェクタにより注入された試料を、同図(A)に示されるような充填剤62が充填されたマイクロチップ38に送液し、試料中の測定対象成分を分離溶出させてクロマトグラムを測定する。
このとき、入口側フィルタ60a、及び出口側フィルタ60bが栓の機能をもち、マイクロチップ38より充填剤62が流出するのを防いでいるので、高圧にも耐え、充分な分離機能を確保することができる。
このように本実施形態においては、マイクロチップと測定装置との接続に前記微小径配管を用い、しかも微小径配管をマイクロチップにフィルタを介して設けることにより、マイクロチップ38にカラムとしての機能を容易にもたせることができる。
【0049】
(2)以下に、前記分離機能を備えたマイクロチップの作り方について、説明する。
図6(B)に示すように微小径配管10をフィット22に対し、焼結フィルタ60を介して圧入している。まずこれをマイクロチップ38の流路44の出口に設ける。
【0050】
すなわち、マイクロチップ38の流路44の出口には、出口側フィルタ60bを介して微小径配管10bの出口側フィット22bが設けられている。またマイクロチップ38の流路44の入口には、前記フィルタを設けることなく、入口側フィット22aが設けられている。
この状態で、マイクロチップ38の流路44の入口よりスラリー状の充填剤62を、溶媒中に浮遊させた状態で流し込み、マイクロチップ38の流路44中に充填剤62を充填する。
【0051】
ここで、出口側フィルタ60bは、充填剤62よりも細かい目をもつので、溶媒を下流側に通すが、充填剤62を塞き止めている。このため、次第に充填剤62が、マイクロチップ38の流路44中に充填されていく。
充填後に、前記入口側フィットを一旦取り外し、同図(A)に示すように、マイクロチップ38の流路44の入口となる上板48の入口58aにも、入口側フィルタ60aを介して入口側微小径配管10aの入口側フィット22aを設ける。これにより、マイクロチップ38に充分な分離機能をもたせることができる。
【0052】
なお、前記各構成では、送液ポンプ34、検出器40等の測定装置30の部品をマイクロチップ38の外部に設けた例について説明したが、マイクロチップ38の内部に設けることもできる。
また、上板48にも流路のための溝を切ってマイクロチップ本体46と同じ機能を持たせることも好ましい。
【0053】
ミクロカラム
また前記微小径配管自体をミクロカラムに用いることも好ましい。
(1)以下に、前記微小径配管自体をミクロカラムとして用いた例について、図7〜8を参照しつつ説明する。
本実施形態においては、図7(A)に示されるようなミクロカラム170を構成している。なお、前記図6と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
【0054】
すなわち、同図(A)に示すミクロカラム170は、キャピラリー112の流路116中に充填剤162が充填されている。
このミクロカラム170は、微小径配管110の入口側接続部120aに、充填剤162を通過させない目をもつ入口側フィルタ160aを介して入口側フィット122aが設けられている。また出口側接続部120bにも、充填剤162を通過させない目をもつ出口側フィルタ160bを介して出口側フィット122bが設けられている。
【0055】
この結果、充填剤162がキャピラリー112の流路116中より流出しないようにしている。
このようにして構成されたミクロカラム170は、流体の入口となる入口側孔126aが、前記図4に示した測定装置のインジェクタと接続され、流体の出口となる出口側孔126bが検出器と接続されている。
そして、溶離液と共にインジェクタにより注入された試料は、充填剤162が充填されたミクロカラム170に送液され、試料中の測定対象成分が分離溶出されてクロマトグラムが測定されている。
【0056】
(2)以下に、前記ミクロカラム170の作り方について説明する。
まず充填剤162を充填する際は、同図(B)に示すようにミクロカラム170の入口側に、前記フィルタを設けることなく入口側フィット122aを設けている。一方、ミクロカラム170の出口側のみに、出口側フィルタ160bを設けて出口側フィット122bを設けている。
そして、ミクロカラム170の入口側孔126aよりスラリー状の充填剤162を、溶媒172中に浮遊させた状態で流し込む。
【0057】
ここで、出口側フィルタ160bは、充填剤162よりも細かい目をもつので、充填剤162を塞き止め、溶媒172のみを下流側に流す。このため、キャピラリー112の流路116中に充填剤162を次第に充填していくことができる。
充填後に、前記入口側フィット122aを一旦取り外し、入口側接続部120aにも、入口側フィルタ160aを介して入口側フィット122aを設けることにより、前記同図(A)に示したミクロカラム170を完成する。
【0058】
完成後にミクロカラム170を、インジェクタと検出器間に接続するが、本実施形態においては、前記微小径配管のパイプ自体をミクロカラムとして用いているので、適切な力によるミクロカラム170と前記測定装置との確実な接続が、キャピラリーを壊すことなく容易に行うことができる。
したがって、本実施形態においては、ミクロカラム170との接続部での密着性が向上するので耐圧性が向上される。また分析結果に影響する接続部でのデッドボリュームの低減も図られる。
【0059】
また同図(A)に示したミクロカラム170は、入口側フィルタ160aと出口側フィルタ160bが栓の機能をもち、使用中に、ミクロカラム170より充填剤162が流出するのを確実に防止することができるので、充分な分離機能を維持することができる。
また本実施形態においては、同図(C)に示されるようにミクロカラム170の入口側接続部120aと出口側接続部120b間の、他流路との接続に関係のない部分において、スリーブ114よりキャピラリー112が露出しているものを用いることも好ましい。
【0060】
またミクロカラム170を、図8に示されるような金属製の押しネジ180、金属製のフェラル182、HPLC用接続継手184等を用いて、HPLCの配管に接続することも好ましい。
このように本実施形態においては、ガラスキャピラリー等のキャピラリーをステンレスパイプ等のスリーブで被覆するので、押しネジ、フェラル、HPLC用接続継手等を用いてHPLCの配管に接続することができる。その結果、微小径配管の他流路との接続の際にキャピラリーを壊すことなく、より高い耐圧性が得られる。
【0061】
また本実施形態においては、キャピラリーとスリーブとの隙間を接着剤で埋めるので、サンプルの広がりを防ぐことができる。またフェラルを用いてしめる際のキャピラリーのズレを防ぐこともできる。
なお、本実施形態においては、スリーブとしてステンレスパイプを用いることが特に好ましいが、樹脂製のパイプを用いることも可能である。
また本実施形態においては、ステンレスパイプと、フェラルやフィットとの固定方法としては、高い耐圧性が得られることから、圧入による方法が特に好ましいが、接着による方法を用いることも可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる微小径配管製造方法によれば、微小流路をもつパイプの外周と該流路と他流路とを接続する上での該パイプの機械的強度不足を補うための中空状スリーブの内周との間を隙間なく固定する固定工程と、該固定工程後に切り口が同一面となるようにスリーブ及びパイプを切断する切断工程を備えることとしたので、流路と流路との確実な接続が容易に行える微小径配管を作ることができる。
また本発明にかかる微小径配管によれば、前記微小流路をもつパイプに前記スリーブを被覆することとしたので、流路と流路との確実な接続が容易に行える。
また本発明にかかる微小径配管においては、前記パイプ自体をミクロカラムとして用いることにより、ミクロカラムと他流路との確実な接続が容易に行える。
また本発明にかかる微小径配管においては、前記微小径配管をマイクロチップの接続に用いることにより、マイクロチップと他流路の確実な接続が、容易に行える。
また本発明にかかる微小径配管においては、その接続部が圧入され、他流路とぴったり密着される平面をもつ他流路側面を備えたフィットを備えることにより、流路と流路の確実な接続がより容易に行える。
また本発明にかかる微小径配管においては、その接続部に密着され、充填剤よりも細かい目をもつフィルタを備えることにより、分離機能を容易に付加することができる。
さらに本発明にかかるマイクロチップによれば、前記微小径配管を備えることとしたので、マイクロチップの流路と他流路との確実な接続が、より容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる微小径配管の概略構成の説明図である。
【図2】前記図1に示した微小径配管にフィットを設けた概略構成の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる微小径配管製造方法の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる微小径配管をマイクロチップの接続に用いた際の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる微小径配管とマイクロチップとの接続部での説明図である。
【図6】マイクロチップに分離機能をもたせるため、本実施形態にかかる微小径配管に設けられたフィルタの説明図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる微小径配管をミクロカラムとして用いた際の説明図である。
【図8】図7に示したミクロカラムの変形例である。
【符号の説明】
10,110 微小径配管
12,112 キャピラリー(パイプ)
14,114 スリーブ
20,120 接続部
22,122 フィット
【発明の属する技術分野】
本発明は微小径配管製造方法、微小径配管、及びそれを用いたマイクロチップ、特に流路と流路との確実な接続を容易に行うための手法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、各種反応、分析の分野では、例えばミクロカラム、マイクロチップ等の微小空間での反応、分析が行われている。
例えばミクロカラムを備えた液体クロマトグラフでは、溶離液と共にインジェクタにより注入された試料を、充填剤が充填されたミクロカラムに送液し、試料中の測定対象成分を分離溶出させてクロマトグラムを測定している。
微小空間での反応等は、通常空間での反応等とは異なるものが生じることがあるので、非常に注目されている。
【0003】
ところで、例えば液体クロマトグラム等の各装置との流路をつなぐため、各種配管が用いられるが、配管には、デッドボリュームや液漏れ等が生じないように、流路と流路とを確実に接続することが求められている。
【特許文献1】
特開2002−267597号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、微小空間での反応、分析の際に用いられる微小径配管には、通常空間での反応、分析の際に用いられる一般的な配管に比較し、流路と流路とを、より確実に及び容易に接続することが求められているが、その点は改善の余地が残されていた。
すなわち、通常空間で反応、分析等ではあまり問題とならない程度のデッドボリュームや液漏れであっても、例えばマイクロチップやミクロカラム等の流路は非常に微小な空間であり、その相対的な影響が非常に大きくなってしまうので、前記問題はより深刻であった。
【0005】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、流路と流路との確実な接続が容易に行える微小径配管の製造方法、微小径配管、及びそれを用いたマイクロチップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明にかかる微小径配管製造方法は、流路と流路との接続に用いられる微小径配管の製造方法において、固定工程と、切断工程と、を備え、パイプにスリーブが被覆された微小径配管を作ることを特徴とする。
ここで、前記固定工程は、流体の微小流路をもつパイプが、該流路と他流路とを接続する上での該パイプの機械的強度不足を補うための中空状スリーブ内に挿入され、該パイプの外周と該スリーブの内周の間を隙間なく固定する。
【0007】
また前記切断工程は、前記固定工程後に、他流路との接続部の端面となる前記スリーブ及び前記パイプの切り口が同一面となるように、該スリーブ及び該パイプを径方向より切断する。
ここにいう機械的強度不足を補うとは、微小径配管と他流路とを接続するのに、パイプに破損等の不具合が生じるのを防ぐ強度をスリーブがもつことをいう。
【0008】
本発明のスリーブは、パイプ外周の少なくとも接続部対応部の外周に設けることができ、パイプの接続部対応部のみに設ける場合、該パイプの接続部対応部は勿論、さらにパイプの全長にわたって設ける場合を含めていう。
本発明のパイプとしては、例えばキャピラリー等が一例として挙げられ、その材質としては、例えばヒューズドシリカ等のガラス製のものが一例として挙げられる。
【0009】
また前記目的を達成するために本発明にかかる微小径配管は、流路と流路との接続に用いられる微小径配管の製造方法において、パイプと、スリーブと、を備え、他流路との接続部の端面となる前記スリーブ端部と前記パイプ端部が、同一平面であることを特徴とする。
ここで、前記パイプは、流体の微小流路をもつ。
また前記スリーブは、前記パイプの外周に隙間なく被覆され、前記流路と他流路とを接続する上での該パイプの機械的強度不足を補う材質とする。
【0010】
なお、本発明にかかる微小径配管において、前記パイプの材質はガラスであり、前記スリーブの材質はステンレス又はポリエーテルエーテルケトンであることが好適である。
また本発明にかかる微小径配管においては、前記パイプの流路中に充填剤が充填され、該パイプ自体をミクロカラムとして用いることが好ましい。
また本発明にかかる微小径配管において、マイクロチップの流路との接続に用いられることも好ましい。
また本発明にかかる微小径配管においては、接続対象となる流路との密着性向上のため、前記微小径配管の接続部が圧入されたフィットを備えることが好適である。
【0011】
ここで、前記フィットは、凹部と、他流路側面と、孔と、を備える。前記フィットの孔を介して流体が前記微小径配管の流路と他流路との間を流れる。
前記凹部は、前記微小径配管側面に設けられ、該微小径配管が圧入されるように該微小径配管の接続部の外周径よりもやや狭い内周径をもつ。
前記他流路側面は、他流路とぴったり密着される平面をもつ。
前記孔は、前記凹部と他流路側面間に設けられ、前記微小径配管の流路と他流路との間を接続するためのものとする。
【0012】
また本発明にかかる微小径配管においては、フィルタを備えることも好適である。
ここで、前記フィルタは、前記接続部に密着され、充填剤を通過させないように、該充填剤よりも細かい目をもつ。
また前記目的を達成するために本発明にかかるマイクロチップは、流路入口と、マイクロチップ本体と、流路出口と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記流路入口は、前記微小径配管が接続され、該微小径配管より流体が導入される。
【0013】
また前記マイクロチップ本体は、前記流路入口より導入された流体の化学変化の場としての流路が形成されている。
前記流路出口は、前記微小径配管が接続され、前記マイクロチップ本体の流路中の流体を該微小径配管により外部に導出するためのものとする。
ここにいう化学変化としては、例えば分離、合成、反応等が一例として挙げられる。
【0014】
なお、本発明にかかるマイクロチップにおいては、前記マイクロチップ本体の流路中に充填剤が充填される。また前記微小径配管は、前記マイクロチップ本体の流路中に前記充填剤を堰き止めておけるように、該充填剤よりも細かい目をもつフィルタを備えることも好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態について説明する。
【0016】
微小径配管
図1には本発明の一実施形態にかかる微小径配管の概略構成が示されている。
同図に示す微小径配管10は、キャピラリー(パイプ)12と、スリーブ14を備える。
ここで、前記キャピラリー12は、例えばヒューズドシリカキャピラリー等のガラスキャピラリーよりなり、流体の微小流路16をもつ。
【0017】
また前記スリーブ14は、例えば他流路との接続をする上でのガラスの機械的強度不足を補うための特殊用途用ステンレス鋼板(SUS)等のステンレスパイプよりなり、キャピラリー12の外周に隙間なく固定されている。
本実施形態においては、前記キャピラリー12の外周に、前記中空状のスリーブ14の内周が、接着剤18により隙間なく固定されている。また本実施形態においては、他流路との接続部20となるスリーブ14の端部とキャピラリー12の端部が同一平面である。
【0018】
本実施形態にかかる微小径配管10は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
例えばキャピラリーと他の配管との接続には、耐圧性等を得るため、例えば押しネジやフェラル、HPLC用接続継手を用いて、キャピラリーと他の配管とに力を加えて固定する必要がある。
【0019】
しかしながら、キャピラリーは、耐薬品性等を得るため、ガラス製のものが一般的に用いられているので、HPLC用接続継手で力を加えて接続すると破損しやすい。従来はキャピラリーに関して接続時の破損防止に対する対策が一切なされていないので、実際には、適切な力を加えてキャピラリーと他流路との接続が行えていなかった。
このため、従来は望んだ耐圧性が得られずに液漏れしたり、分析結果に影響を与えるデッドボリュームが増大することがある。特に微小径配管が用いられるマイクロチップやミクロカラム等の微小空間で化学変化を行なわせる分野では、その問題はより深刻であった。
【0020】
これに対し、本実施形態においては、ガラス製のキャピラリー12の外周にSUS製のスリーブ14の内周を隙間なく被覆し、微小径配管10を構成している。
そして、本実施形態においては、デッドボリュームレスユニオンには流路径が微小な微小流量専用のものを用いているが、微小径配管10のスリーブ14の外径をHPLCで使われている配管の外径と同じにしている。
【0021】
この結果、本実施形態においては、HPLCレベルの耐圧を得るため、HPLC用の押しネジ、フェラル、HPLC用接続継手を用いて、微小径配管10に力を加えてHPLCの配管と接続しても、ガラス等のキャピラリー12はSUS製等のスリーブ14により機械的強度不足が補われている。このため、キャピラリー12の破損を防ぐことができるので、他流路との確実な接続が容易に行える。
したがって、従来極めて困難であった液漏れ防止も図られるので、充分な耐圧性も得られる。また従来極めて困難であったデッドボリュームの低減が図られるので、分析結果の信頼性の向上も図られる。
【0022】
フィット
また本実施形態においては、微小径配管10の接続対象がHPLC用継手等の使用が困難なものの場合、例えばガラス等の平面に微小開口が形成された微小流路の場合、接続部での密着性向上のため、微小径配管10の接続部20に対し、図2に示されるようなフィット22を設けることも好適である。
同図に示すフィット22は、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の略円錐台状のものである。
【0023】
フィット22の上面(配管側面)には、微小径配管10が圧入されるように、その接続部20の外周径よりも、例えば数10μm程度狭い内周径をもち、微小径配管10が直接挿入される凹部24を備える。
フィット22の底面(他流路側面)25は他流路とぴったり密着される。またフィット22の凹部24と底面25間の中心には、微小径配管10の流路16と他流路との間を接続するための孔26(例えば直径100μm)が設けられている。
【0024】
フィット22の凹部24に微小径配管10が圧入され、微小径配管10の外壁とフィット22の内壁が接着されているので、フィット22に微小径配管10の接続部20がしっかり挟持されている。
そして、このようなフィット22の孔26を介して流体が微小径配管10の流路16と他流路間を流れる。
【0025】
このように本実施形態においては、フィット22の底面25は他流路にぴったり密着されるので、微小径配管10と他流路との接続部での液漏れ防止もさらに図られ、より高い耐圧性が得られる。またデッドボリュームの更なる低減が図られるので、分析結果の信頼性がより向上される。
なお、本実施形態においては、スリーブの材質としてステンレスに代えてポリエーテルエーテルケトンを用いることも好ましいが、ステンレスを用いることがより好ましい。
【0026】
また本実施形態においては、キャピラリー12は例えば内径10〜300μm、外径100〜600μm等のものを用いている。またスリーブ14の内径は前記キャピラリの外径に適応し、その外径は一般的なHPLCの配管の外径のサイズと同じサイズのもの、例えば内径500μm、外径1600μm等のものを用いている。
【0027】
作り方
以下に、前記微小径配管10の作り方について、図3を参照しつつ説明する。本実施形態においては、固定工程(S10)と、切断工程(S12)を備える。
【0028】
<固定工程>
前記固定工程(S10)は、ガラス製のキャピラリー12(例えば外径375μm)が、SUS製の中空状スリーブ14(例えば内径500μm)内に挿入される。
そして、スリーブ14の端部よりキャピラリー12をはみ出させた状態で、キャピラリー12の外周とスリーブ14の内周を隙間なく固定する。
本実施形態において、前記固定工程(S10)は、接着剤設置工程(S14)と、硬化工程(S16)を備える。
【0029】
[接着]
前記接着剤設置工程(S14)は、キャピラリー12外周とスリーブ14内周との間を隙間なく、かつスリーブ14の端部でのキャピラリー12外周とスリーブ14内周との境界を覆うように、接着剤18を塗布している。
このために本実施形態においては、まずキャピラリー12を覆っているポリミドの膜の表面を、やすり等で荒らしておく。そのうえで、同図(A)に示されるようにキャピラリー12の外周に、充分な量の接着剤18を塗布している。
そして、本実施形態においては、同図(B)に示されるように、キャピラリー12をスリーブ14内で何度も往復させ、スリーブ14とキャピラリー12の間を、接着剤18で、隙間なく埋めている。
【0030】
[硬化]
また前記硬化工程(S16)は、前記接着剤設置工程(S14)後に、接着剤18を硬化させる。
すなわち、本実施形態においては、硬化工程(S16)では、同図(B)に示されるように、キャピラリー12をスリーブ14の両端よりはみ出させておき、接着剤18が盛り上がった状態で硬化させている。
この結果、キャピラリー12の外周にスリーブ14の内周との間を隙間なく確実に固定することができる。
【0031】
<切断>
また前記切断工程(S12)は、例えば接着剤18の塗布から約24時間後等の前記接着剤18の硬化後に、他流路との接続部20の端面となるスリーブ14及びキャピラリー12の切り口が同一面となるように、スリーブ14及びキャピラリー12を径方向より切断し、流路を確保する。
本実施形態においては、キャピラリー12の流路の内径はつぶさずに、切り口は流路方向に対し垂直に切っているので、キャピラリー12とスリーブ14との切り口は同一平面となっている。
【0032】
<フィット圧入>
また本実施形態においては、さらにフィット圧入工程(S18)を備える。
フィット圧入工程(S18)は、同図(D)に示されるようにフィット22の凹部24に、微小径配管10の接続部20を設ける。
この際は、フィット22の凹部24の内径はキャピラリー12の外径に対しやや狭くしているので、微小径配管10に圧力を掛けながら、これをフィット22に挿入し、微小径配管10の外壁とフィット22の内壁を圧入する。
この結果、フィット22に微小径配管10の接続部20がしっかり挟持される。
【0033】
<完成>
このようにして同図(E)に示されるような、キャピラリー12の外周にスリーブ14の内周が隙間なく固定されている微小径配管10を作ることができる。
なお、本実施形態においては、スリーブ14をキャピラリー12の全長にわたって設けることもできるが、同図に示されるようにキャピラリー12と他流路との接続が確実に行える程度まで、すなわちキャピラリー12の接続部20の対応部に設けている。
【0034】
使い方
以下に、前記微小径配管10の使い方について説明する。
前記微小径配管は、マイクロチップと測定装置との接続に用いることが好ましい。
【0035】
<マイクロチップ>
(1)以下に、前記微小径配管10をマイクロチップと測定装置との接続に用いた際の概略構成について、図4を参照しつつ説明する。
すなわち、同図に示す測定装置30は、例えばHPLC等よりなり、HPLCのカラムに代えてマイクロチップを接続しており、移動相32と、送液ポンプ34と、インジェクター36と、マイクロチップ38と、検出器40と、データ処理機42を備える。
そして、同図に示す測定装置30は、送液ポンプ34により試料をマイクロチップ38に送液し、マイクロチップ38内の流路で分離、合成、反応等の化学変化を行わせて検出器40で検出し、データ処理機42で反応結果を得るものである。
【0036】
本実施形態において特徴的なことは、前記微小径配管10をHPLC等の測定装置30とマイクロチップ38との接続に用いたことである。このためにマイクロチップ38の流路44入口とインジェクタ36間に、前記微小径配管10である入口側微小径配管10aを設けている。またマイクロチップ38の流路44出口と検出器40間にも、前記微小径配管10である出口側微小径配管10bを設けている。
なお、マイクロチップ38は、例えば縦30mm、横70mm、高さ2mm等の大きさをもち、マイクロチップ本体46と、上板48を備える。
【0037】
マイクロチップ本体46は、反応、分析を行う微小流路44(例えば溝の深さ10〜100μm、溝の幅10〜1000μm等)が、例えばリソグラフィ、化学的エッチング等の技術により形成されている。
マイクロチップ本体46には上板48が融着されており、マイクロチップ本体46と上板48がしっかり固定されている。
このようにして構成されたマイクロチップ38は、例えばSUS製の上部ホルダ50と下部ホルダ52間にしっかり挟持されている。
【0038】
(2)以下に、前記マイクロチップとの接続の仕方について説明する。
すなわち、従来、マイクロチップと微小径配管との接続は、ポリテトラフルオロエチレンの押しネジとキャピラリーを接続し、押しネジの先端にOリングをはめ込み接続することが考えられる。
しかしながら、この従来方法を用いたのでは、Oリングの部分が400nl程度の大きさのデッドボリュームとなり、また耐圧性も数MPa程度であるので、マイクロチップの接続に用いるには、デッドボリューム、耐圧性の何れも、満足のゆくものではなかった。
【0039】
これに対し、本実施形態においては、マイクロチップ38の接続に前記微小径配管10を用いており、これをマイクロチップ38の流路44の入口及び出口に設けている。
すなわち、図5(A)に示されるようにマイクロチップ38の流路44の入口となる上板48の入口58aには、入口側フィット22aを介して入口側微小径配管10aが接続されている。またマイクロチップ38の流路44の出口となる上板48の出口58bには、出口側フィット22bを介して出口側微小径配管10bが接続されている。
【0040】
ここで、本実施形態においては、同図(B)の分解図に示されるように微小径配管10をフィット22に圧入する際は、例えばSUS製の押しネジ56を設けている。これをマイクロチップ38の流路44の入口側及び出口側に設けている。
すなわち、本実施形態においては、同図(A)に示されるように、上部ホルダ50のマイクロチップ38の流路44の入口となる上板48の入口58aの上方には、入口側ネジ穴54aが設けられる。該入口側ネジ穴54aに、入口側押しネジ56aが螺合して設けられる。
【0041】
この結果、入口側押しネジ56aの先端で、入口側フィット22aの上部をマイクロチップ38の流路44の入口となる上板48の入口58aに押し付けている。これにより、本実施形態にかかる微小径配管10の入口側フィット22aをマイクロチップ38の流路44の入口に密着している。
前記入口側微小径配管10aと同様に、出口側微小径配管10bを設けている。
すなわち、上部ホルダ50のマイクロチップ38の流路44の出口となる上板48の出口58bの上方には、出口側ネジ穴54bが設けられている。出口側ネジ穴54bに出口側押しネジ56bが螺合して設けられる。
【0042】
この結果、出口側押しネジ56bの先端で、出口側フィット22bの上部をマイクロチップ38の流路44の出口となる上板48の出口58bに押し付けている。これにより本実施形態にかかる微小径配管10の出口側フィット22bをマイクロチップ38の流路44の出口に密着している。
このように本実施形態においては、キャピラリー12の外周にスリーブ14の内周が隙間なく被覆された微小径配管10を用いているので、マイクロチップ38と測定装置30との接続に適切な力を加えても、キャピラリー12に破損等の不具合を生じることなく容易に行える。
【0043】
したがって、本実施形態においては、マイクロチップ38と測定装置30との接続部での密着性が向上するので、充分な耐圧性を得ることができる。また滞流の少ない接続部デザインなので、該接続部におけるデッドボリュームの低減が図られる。
例えば非常に少ない数(数nl)デッドボリューム、および高耐圧(40MPa)で、マイクロチップ38と測定装置30との接続が行えるので、マイクロチップ38内への粒子の封入、排出が、例えば40MPa等の高圧力下でも簡便に行える。
【0044】
また微小径配管10とフィット22との接続に、圧入方式を採用した場合は、耐圧が若干下がるものの、接続部20に接着剤18が露出されないので、溶媒による溶出がなくなる。また接着に要する時間がなくなるので、製造が短時間で行える。
【0045】
<分離機能>
前述のようにして完成されたマイクロチップは、さまざまな化学変化の場、例えば化学反応の場として利用されるが、その1つとして分離機能をもたせることも好ましい。その一例としてマイクロチップの流路中に充填剤を充填し、マイクロチップをカラムとして用いることも好ましい。
すなわち、マイクロチップをカラムとして用いるため、従来は、マイクロチップ内部の流路中に、ウェットエッチングによるダム構造の塞き止めを形成することが考えられる。しかしながら、このようなダム構造の製作は難しく、再現性よく作るには高い熟練を必要としていた。
【0046】
これに対し、本実施形態においては、図5に示した微小径配管に、充填剤よりも細かい目をもつ焼結フィルタ(フィルタ)を設けるのみで、前記マイクロチップ38に分離機能を容易にもたせることができる。
図6(A)にはカラムとしての機能をもたせた前記マイクロチップ38の概略構成が示されている。
同図に示すマイクロチップ38は、その流路44中に充填剤62が充填されている。
【0047】
また入口側微小径配管10aと入口側フィット22a間には、該微小径配管10aと同じ外径をもち、かつ充填剤62よりも細かい目をもつ入口側焼結フィルタ(フィルタ)60aを設けている。
また出口側も前記入口側と同様、出口側微小径配管10bと出口側フィット22b間には、該微小径配管10bと同じ外径をもち、かつ充填剤62よりも細かい目をもつ出口側焼結フィルタ(フィルタ)60bを設けている。
このようにして構成されたマイクロチップ38は、前記図4に示した測定装置のインジェクタと検出器間に設けられる。
【0048】
そして、移動相と共にインジェクタにより注入された試料を、同図(A)に示されるような充填剤62が充填されたマイクロチップ38に送液し、試料中の測定対象成分を分離溶出させてクロマトグラムを測定する。
このとき、入口側フィルタ60a、及び出口側フィルタ60bが栓の機能をもち、マイクロチップ38より充填剤62が流出するのを防いでいるので、高圧にも耐え、充分な分離機能を確保することができる。
このように本実施形態においては、マイクロチップと測定装置との接続に前記微小径配管を用い、しかも微小径配管をマイクロチップにフィルタを介して設けることにより、マイクロチップ38にカラムとしての機能を容易にもたせることができる。
【0049】
(2)以下に、前記分離機能を備えたマイクロチップの作り方について、説明する。
図6(B)に示すように微小径配管10をフィット22に対し、焼結フィルタ60を介して圧入している。まずこれをマイクロチップ38の流路44の出口に設ける。
【0050】
すなわち、マイクロチップ38の流路44の出口には、出口側フィルタ60bを介して微小径配管10bの出口側フィット22bが設けられている。またマイクロチップ38の流路44の入口には、前記フィルタを設けることなく、入口側フィット22aが設けられている。
この状態で、マイクロチップ38の流路44の入口よりスラリー状の充填剤62を、溶媒中に浮遊させた状態で流し込み、マイクロチップ38の流路44中に充填剤62を充填する。
【0051】
ここで、出口側フィルタ60bは、充填剤62よりも細かい目をもつので、溶媒を下流側に通すが、充填剤62を塞き止めている。このため、次第に充填剤62が、マイクロチップ38の流路44中に充填されていく。
充填後に、前記入口側フィットを一旦取り外し、同図(A)に示すように、マイクロチップ38の流路44の入口となる上板48の入口58aにも、入口側フィルタ60aを介して入口側微小径配管10aの入口側フィット22aを設ける。これにより、マイクロチップ38に充分な分離機能をもたせることができる。
【0052】
なお、前記各構成では、送液ポンプ34、検出器40等の測定装置30の部品をマイクロチップ38の外部に設けた例について説明したが、マイクロチップ38の内部に設けることもできる。
また、上板48にも流路のための溝を切ってマイクロチップ本体46と同じ機能を持たせることも好ましい。
【0053】
ミクロカラム
また前記微小径配管自体をミクロカラムに用いることも好ましい。
(1)以下に、前記微小径配管自体をミクロカラムとして用いた例について、図7〜8を参照しつつ説明する。
本実施形態においては、図7(A)に示されるようなミクロカラム170を構成している。なお、前記図6と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
【0054】
すなわち、同図(A)に示すミクロカラム170は、キャピラリー112の流路116中に充填剤162が充填されている。
このミクロカラム170は、微小径配管110の入口側接続部120aに、充填剤162を通過させない目をもつ入口側フィルタ160aを介して入口側フィット122aが設けられている。また出口側接続部120bにも、充填剤162を通過させない目をもつ出口側フィルタ160bを介して出口側フィット122bが設けられている。
【0055】
この結果、充填剤162がキャピラリー112の流路116中より流出しないようにしている。
このようにして構成されたミクロカラム170は、流体の入口となる入口側孔126aが、前記図4に示した測定装置のインジェクタと接続され、流体の出口となる出口側孔126bが検出器と接続されている。
そして、溶離液と共にインジェクタにより注入された試料は、充填剤162が充填されたミクロカラム170に送液され、試料中の測定対象成分が分離溶出されてクロマトグラムが測定されている。
【0056】
(2)以下に、前記ミクロカラム170の作り方について説明する。
まず充填剤162を充填する際は、同図(B)に示すようにミクロカラム170の入口側に、前記フィルタを設けることなく入口側フィット122aを設けている。一方、ミクロカラム170の出口側のみに、出口側フィルタ160bを設けて出口側フィット122bを設けている。
そして、ミクロカラム170の入口側孔126aよりスラリー状の充填剤162を、溶媒172中に浮遊させた状態で流し込む。
【0057】
ここで、出口側フィルタ160bは、充填剤162よりも細かい目をもつので、充填剤162を塞き止め、溶媒172のみを下流側に流す。このため、キャピラリー112の流路116中に充填剤162を次第に充填していくことができる。
充填後に、前記入口側フィット122aを一旦取り外し、入口側接続部120aにも、入口側フィルタ160aを介して入口側フィット122aを設けることにより、前記同図(A)に示したミクロカラム170を完成する。
【0058】
完成後にミクロカラム170を、インジェクタと検出器間に接続するが、本実施形態においては、前記微小径配管のパイプ自体をミクロカラムとして用いているので、適切な力によるミクロカラム170と前記測定装置との確実な接続が、キャピラリーを壊すことなく容易に行うことができる。
したがって、本実施形態においては、ミクロカラム170との接続部での密着性が向上するので耐圧性が向上される。また分析結果に影響する接続部でのデッドボリュームの低減も図られる。
【0059】
また同図(A)に示したミクロカラム170は、入口側フィルタ160aと出口側フィルタ160bが栓の機能をもち、使用中に、ミクロカラム170より充填剤162が流出するのを確実に防止することができるので、充分な分離機能を維持することができる。
また本実施形態においては、同図(C)に示されるようにミクロカラム170の入口側接続部120aと出口側接続部120b間の、他流路との接続に関係のない部分において、スリーブ114よりキャピラリー112が露出しているものを用いることも好ましい。
【0060】
またミクロカラム170を、図8に示されるような金属製の押しネジ180、金属製のフェラル182、HPLC用接続継手184等を用いて、HPLCの配管に接続することも好ましい。
このように本実施形態においては、ガラスキャピラリー等のキャピラリーをステンレスパイプ等のスリーブで被覆するので、押しネジ、フェラル、HPLC用接続継手等を用いてHPLCの配管に接続することができる。その結果、微小径配管の他流路との接続の際にキャピラリーを壊すことなく、より高い耐圧性が得られる。
【0061】
また本実施形態においては、キャピラリーとスリーブとの隙間を接着剤で埋めるので、サンプルの広がりを防ぐことができる。またフェラルを用いてしめる際のキャピラリーのズレを防ぐこともできる。
なお、本実施形態においては、スリーブとしてステンレスパイプを用いることが特に好ましいが、樹脂製のパイプを用いることも可能である。
また本実施形態においては、ステンレスパイプと、フェラルやフィットとの固定方法としては、高い耐圧性が得られることから、圧入による方法が特に好ましいが、接着による方法を用いることも可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる微小径配管製造方法によれば、微小流路をもつパイプの外周と該流路と他流路とを接続する上での該パイプの機械的強度不足を補うための中空状スリーブの内周との間を隙間なく固定する固定工程と、該固定工程後に切り口が同一面となるようにスリーブ及びパイプを切断する切断工程を備えることとしたので、流路と流路との確実な接続が容易に行える微小径配管を作ることができる。
また本発明にかかる微小径配管によれば、前記微小流路をもつパイプに前記スリーブを被覆することとしたので、流路と流路との確実な接続が容易に行える。
また本発明にかかる微小径配管においては、前記パイプ自体をミクロカラムとして用いることにより、ミクロカラムと他流路との確実な接続が容易に行える。
また本発明にかかる微小径配管においては、前記微小径配管をマイクロチップの接続に用いることにより、マイクロチップと他流路の確実な接続が、容易に行える。
また本発明にかかる微小径配管においては、その接続部が圧入され、他流路とぴったり密着される平面をもつ他流路側面を備えたフィットを備えることにより、流路と流路の確実な接続がより容易に行える。
また本発明にかかる微小径配管においては、その接続部に密着され、充填剤よりも細かい目をもつフィルタを備えることにより、分離機能を容易に付加することができる。
さらに本発明にかかるマイクロチップによれば、前記微小径配管を備えることとしたので、マイクロチップの流路と他流路との確実な接続が、より容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる微小径配管の概略構成の説明図である。
【図2】前記図1に示した微小径配管にフィットを設けた概略構成の説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる微小径配管製造方法の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる微小径配管をマイクロチップの接続に用いた際の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる微小径配管とマイクロチップとの接続部での説明図である。
【図6】マイクロチップに分離機能をもたせるため、本実施形態にかかる微小径配管に設けられたフィルタの説明図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる微小径配管をミクロカラムとして用いた際の説明図である。
【図8】図7に示したミクロカラムの変形例である。
【符号の説明】
10,110 微小径配管
12,112 キャピラリー(パイプ)
14,114 スリーブ
20,120 接続部
22,122 フィット
Claims (9)
- 流路と流路との接続に用いられる微小径配管の製造方法において、
流体の微小流路をもつパイプが、前記流路と他流路とを接続する上での該パイプの機械的強度不足を補うための中空状スリーブ内に挿入され、かつ該パイプ外周と該スリーブ内周との間を隙間なく固定する固定工程と、
前記固定工程後に、他流路との接続部の端面となる前記スリーブ及び前記パイプの切り口が同一面となるように、該スリーブ及び該パイプを径方向より切断する切断工程と、
を備え、前記パイプに前記スリーブが被覆された微小径配管を作ることを特徴とする微小径配管製造方法。 - 流路と流路との接続に用いられる微小径配管において、
流体の微小流路をもつパイプと、
前記パイプの外周に隙間なく被覆され、前記流路と他流路とを接続する上での該パイプの機械的強度不足を補う材質のスリーブと、
を備え、他流路との接続部の端面となる前記スリーブ端部と前記パイプ端部が、同一平面であることを特徴とする微小径配管。 - 請求項2記載の微小径配管において、
前記パイプの材質はガラスであり、
前記スリーブの材質はステンレス又はポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする微小径配管。 - 請求項2又は3記載の微小径配管において、
前記パイプの流路中に充填剤が充填され、該パイプ自体をミクロカラムとして用いることを特徴とする微小径配管。 - 請求項2〜4のいずれかに記載の微小径配管において、
マイクロチップの流路との接続に用いられることを特徴とする微小径配管。 - 請求項2〜5のいずれかに記載の微小径配管において、
前記微小径配管の接続部が圧入されたフィットを備え、
前記フィットは、前記微小径配管側面に設けられ、該微小径配管が圧入されるように該微小径配管の接続部の外周径よりもやや狭い内周径をもつ凹部と、
他流路とぴったり密着される平面をもつ他流路側面と、
前記凹部と他流路側面間に設けられ、前記微小径配管の流路と他流路との間を接続するための孔と、
を備え、前記フィットの孔を介して流体が前記微小径配管の流路と他流路との間を流れることを特徴とする微小径配管。 - 請求項2〜6のいずれかに記載の微小径配管において、
前記接続部に密着され、充填剤を通過させないように、該充填剤よりも細かい目をもつフィルタを備えたことを特徴とする微小径配管。 - 請求項2〜7のいずれかに記載の微小径配管が接続され、該微小径配管より流体が導入される流路入口と、
前記流路入口より導入された流体の化学変化の場としての流路が形成されているマイクロチップ本体と、
前記微小径配管が接続され、前記マイクロチップ本体の流路中の流体を該微小径配管により外部に導出するための流路出口と、
を備えたことを特徴とするマイクロチップ。 - 請求項8記載のマイクロチップにおいて、
前記マイクロチップ本体の流路中に充填剤が充填され、
また前記微小径配管は、前記マイクロチップ本体の流路中に前記充填剤を堰き止めておけるように、該充填剤よりも細かい目をもつフィルタを備えたことを特徴とするマイクロチップ。
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