JP2005043081A - フリンジスキャン機能を備えた干渉計装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】パスマッチ経路部に、2つの経路を通過する光束の位相差を変化させてフリンジスキャンを可能とする位相差可変手段を設けることにより、外部振動の影響を受けにくい基準板支持構造とすることを可能としつつ、製造コストを安価とする。
【構成】光路長変更部30は、第2の経路上の全反射ミラー23,24をプレート31上に固設し、このプレート31に取り付けられたピエゾ素子14を駆動することで、全反射ミラー23,24を一体的に矢印A方向に往復移動して、2つの経路を通過する光束間の位相差を変化させる。ピエゾ素子14は、駆動手段としてのピエゾドライバ16によって駆動される。ピエゾドライバ16は、コンピュータ11からの制御信号に応じてステージコントローラ15から出力される、ピエゾ素子駆動信号に基づきピエゾ素子14に所定の駆動電圧を出力する。
【選択図】 図1
【構成】光路長変更部30は、第2の経路上の全反射ミラー23,24をプレート31上に固設し、このプレート31に取り付けられたピエゾ素子14を駆動することで、全反射ミラー23,24を一体的に矢印A方向に往復移動して、2つの経路を通過する光束間の位相差を変化させる。ピエゾ素子14は、駆動手段としてのピエゾドライバ16によって駆動される。ピエゾドライバ16は、コンピュータ11からの制御信号に応じてステージコントローラ15から出力される、ピエゾ素子駆動信号に基づきピエゾ素子14に所定の駆動電圧を出力する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの光束が照射される部材を物理的に移動させ、光波干渉を生ぜしめる2光束の位相差を変化させることによりフリンジスキャンを可能とする干渉計装置に関し、詳しくは、光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が干渉計の基準面と被検体の被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、合波して出力するパスマッチ経路部を有するフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光源等の可干渉性の良い光源を搭載したフィゾー型干渉計は、基準面と被検面との間に使用光源の可干渉距離に応じた間隔を空けることが可能となり、ワークスペースが十分にとれるため、使い易い干渉計として広く用いられている。
【0003】
ところで、フィゾー型干渉計においても、他の干渉計と同様にフリンジスキャニング法(縞走査法)を用いて、被検面の凹凸判別や正確な立体形状判別を行い得るようにしたものが従来より知られている。
【0004】
従来より知られている一般的なフリンジスキャニング法では、干渉計装置において、まず、基準板を例えば3点で支持するようにし、この3つの支持部にピエゾ素子を取り付け、所定のタイミングで該ピエゾ素子に所定の電圧を印加して該ピエゾ素子を駆動して、基準板を光軸方向に移動させる。そして、この移動により変化する干渉縞の画像データを複数枚撮像し、これらの画像データをコンピュータに取り込み、所定の演算式を用いて、干渉縞画像の各点における位相を求めることにより、被検体の形状解析を行なう(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−155051号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のフリンジスキャニング法を用いた場合には、以下のような問題があった。
【0007】
すなわち、干渉計装置を外部振動の大きい環境下で使用する場合、あるいは外部振動の影響を少なくしたい場合には、外部振動によって被検体と基準板がそれぞれ独自の動きをして相対位置関係を乱し干渉測定を困難にする状況を防止するように、例えば、一つの保持具に被検体と基準板を載置固設することが有利であるが、このような基準板を保持具に固設した状態では、基準板をピエゾ素子等により駆動してフリンジスキャンを行なう上記手法を採用することが困難である、という問題である。
【0008】
さらに、上述した従来技術においては、基準板の3つの支持部にそれぞれピエゾ素子を取り付けるようにしているので、製造コストが高くなるという問題もある。
【0009】
また、干渉計装置のユーザの中には、例えば極めて長尺となるような、特殊な形状のものを被検体としたいという要望があり、このような場合にはこの被検体の形状と対応する形状を有する基準板もユーザ側で用意することが便宜となることがある。このような状況において、その基準板の形状に応じ、ユーザ側で、該基準板を駆動するシステムを構築することは現実には難しい。また、従来より、基準板の表面形状を測定するために、3つの基準板を2つずつ組み合わせ、これら組み合わせた2つの基準板の一方を本来の基準板位置に、他方を本来の被検体位置に配置して、各組み合わせについて干渉縞測定を行い、得られた3つの干渉縞情報を演算して、各基準板についての表面(基準面)形状を得るようにした手法が知られている(例えば特開平10−325710号)。この手法は、3面合わせ方法等の呼称で知られており、この手法を用いる場合には、ユーザにとっては、干渉計装置に当初から基準板が付加されている必要はなく、むしろ当初からの基準板は設置されていない方がコスト面から好ましい。
【0010】
したがって、このように、基準板が当初から干渉計装置に組み込まれていない方がよい場合には、基準板をピエゾ素子等により駆動してフリンジスキャンを行なう上記手法を採用することが難しい。
【0011】
なお、上述したようなピエゾ素子を用いるのではなく、光源からの照射光の波長を微小量だけ変化させることによりフリンジスキャンを行なうようにした手法も知られているが、現状では、波長走査が可能な光源の出力変動が大きいことから解析精度の面で問題がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、外部振動の影響を受けにくい基準板支持構造とすることが可能で、製造コストが安価なフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
また、本発明は、基準板をユーザ側で用意するような場合においても、良好かつ簡易にフリンジスキャンを行い得るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置は、光源と、この光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が干渉計の基準面と被検体の被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、該2つの光束を合波して出力するパスマッチ経路部と、このパスマッチ経路部から出力された光束を平行光束として前記基準面に照射するコリメータレンズとを備え、該基準面で反射された光波面と該基準面を透過し前記被検面で反射された光波面との干渉により生じる干渉縞に基づいて該被検面の波面情報を得るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置において、
前記パスマッチ経路部に、前記2つの経路を通過する光束の位相差を変化させて縞走査(フリンジスキャン)を可能とする位相差可変手段を備えてなることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置は、光源と、この光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が干渉計の基準面と被検体の被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、該2つの光束を合波して出力するパスマッチ経路部と、このパスマッチ経路部から出力された光束を平行光束として前記基準面に照射するコリメータレンズと、該基準面を有する基準板とを備え、該基準面で反射された光波面と該基準面を透過し前記被検面で反射された光波面との干渉により生じる干渉縞に基づいて該被検面の波面情報を得るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置において、
前記パスマッチ経路部に、前記2つの経路を通過する光束の位相差を変化させて縞走査(フリンジスキャン)を可能とする位相差可変手段を備えてなることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置は、前記被検体が透明平行板であり、前記光源から出力された前記光束は、可干渉距離が前記透明平行板の厚み(ただし、光学的距離)の2倍よりも小さく設定された低可干渉光束である場合に特に有効である。
【0017】
また、前記位相差可変手段は、光束が照射される光学部材を物理的に移動させることにより、前記2つの経路を通過する光束の位相差を変化させるように構成することが可能である。
【0018】
また、前記光学部材の物理的な移動は、例えばピエゾ素子を用いて行われる。
【0019】
また、前記光学部材は、前記2つの経路のうちの少なくとも一方を180度折り曲げる、2つのミラーまたは1つのプリズムとすることが可能である。
【0020】
なお、上述した被検面および基準面とは、干渉を生ぜしめる2つの光束を反射させる2つの光学面の相対的な呼称であって、以下の説明では、例えば略平行とされた、透明板の表裏各面からの反射光束によって干渉を生ぜしめるような場合において、被検面として表裏面の一方を、基準面として表裏面の他方を指称するものも含まれるものとする。
【0021】
【作用】
本発明は、フリンジスキャンを行なうためには、基準板から反射された参照光と、被検面から反射された物体光の相互の位相差を変えればよいのであって、必ずしも基準板(あるいは被検体)を光軸方向に移動させなくともよい、という発想に基づいてなされたものである。そして、この発想を具現化するための上記構成は、参照光の経路と物体光の経路を分岐し、分岐された一方の経路を通過する光束の光路長を、他方の経路を通過する光束の光路長に対して相対的に変化させればよい、という技術思想によりなされたものである。
【0022】
なお、上記発想を具現化するために参考とされた技術は、本願出願人が既に開示している特開平9−21606号公報に記載されたものである。
すなわち、この公報に開示したパスマッチ経路型干渉計装置によれば、フィゾー型干渉計装置において、測定光の可干渉距離を所定長未満に設定するとともに、測定光の一部を迂回させるパスマッチ経路部を設けて、迂回しないで直進した測定光の被検面からの反射光と、迂回した測定光の基準面からの反射光による場合以外は光干渉が生じないようにしているため、極めて簡易な構成でノイズのない明瞭な干渉縞画像を得ることが可能となっており、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置では、上記パスマッチ経路部における一方の経路を通過する光束の光路長を、他方の経路を通過する光束の光路長に対して相対的に変化させることで、上記本発明の課題を解決している。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置の概略図である。図1に示す干渉計装置は、光源1から出力されコリメータレンズ2によって平行光とされた光束の光路上に、パスマッチ経路部20を備えてなる。
【0025】
上記パスマッチ経路部20は、コリメータレンズ2から発散レンズ3に向けて直線的に延びる第1の経路上に配置された2つのハーフプリズム21,22と、第1の経路から分岐して2つのハーフプリズム21,22の間を迂回する第2の経路上に配置された2つの全反射ミラー23,24とを備えてなる。
【0026】
このパスマッチ経路部20においては、コリメータレンズ2からの光束が、ハーフプリズム21のハーフミラー面21aにおいて、該ハーフミラー面21aを透過する光束と該ハーフミラー面21aで直角反射される光束とに分岐される。上記ハーフミラー面21aを透過した光束は、第1の経路に沿って上記ハーフプリズム22に入射され、上記ハーフミラー面21aで直角反射された光束は、第2の経路に沿って上記全反射ミラー23,24により順次直角反射された後上記ハーフプリズム22に入射される。そして、上記ハーフプリズム22において、第1の経路を通過した光束の一部と第2の経路を通過した光束の一部とが合波されて出力される。
【0027】
ハーフプリズム22から出力された光束は、発散レンズ3およびコリメータレンズ5によりビーム径を拡大された後、透明な基準板6に照射される。基準板6内に入射した光束の一部は基準面6aで反射されるが、その余の光束は基準面6aを透過して、載置面8上に載置された被検体7に照射されるようになっている。
【0028】
基準板6の基準面6aから反射された光束(光波面)と被検体7の被検面7aから反射された光束(光波面)は互いに干渉し合い、ハーフプリズム4のハーフミラー面4aで直角反射され、イメージングレンズ9を介して、撮像カメラ10内のCCD素子上に干渉縞画像を形成する。このCCD素子により光電変換された複数枚の干渉縞画像情報に基づき、コンピュータ11において被検面7aの表面形状等の測定解析(フリンジスキャニング法を用いた解析を含む)が行なわれるとともに、CRT等の画像表示部12上に干渉縞画像が表示されるようになっている。
【0029】
なお、上述したパスマッチ経路部20は、第1の経路(光路長L1)と第2の経路(光路長L2=l1+l2+l3)との光路長差が、基準板6の基準面6aと被検体7の被検面7aとの光学的距離Lの2倍に略等しいように設定されている。これにより、第1の経路を経て被検面7aで反射され基準面6aを透過する光束の光路長と、第2の経路を経て基準面6aで反射される光束の光路長とは互いに等しくなる。
【0030】
このような構成により、被検体7がガラス薄板やプラスチック板、石英板等の透明平行板であっても、被検面7aの形状等を高精度で測定することが可能となる。すなわち、SLD(スーパー・ルミネッセント・ダイオード)、ハロゲンランプあるいは高圧水銀ランプ等(例えば可干渉距離が1μm)の低可干渉光源を光源1として用い、そこから出力される光束の可干渉距離を透明平行板の厚みt1の2倍より小さく設定することによって、基準板6の基準面6aと被検体7の非被検面7b(被検体の裏面)および被検面7aと非被検面7bからの光干渉が生じないようにすることが可能となっている。なお、このようなパスマッチ経路部の作用等については、前掲した特開平9−21606号公報において詳しく開示されており、その詳細な説明は省略する。
【0031】
ところで、本実施形態の特徴は、パスマッチ経路部20内において、第2の経路上に光路長変更部30を設けたことにある。すなわち、この光路長変更部30は、上述した第2の経路上の全反射ミラー23,24をプレート31上に固設し、このプレート31に取り付けられたピエゾ素子14を駆動することにより、全反射ミラー23,24を一体的に矢印A方向に往復移動して、2つの経路を通過する光束間の位相差を変化させることができるようになっている。なお、プレート31は、ピエゾ素子14の駆動に応じて矢印A方向に円滑に移動することができるように配慮することが肝要である。
【0032】
また、上記ピエゾ素子14は、駆動手段としてのピエゾドライバ16によって駆動されるように構成されている。ピエゾドライバ16は、コンピュータ11からの制御信号に応じてステージコントローラ15から出力される、ピエゾ素子駆動信号に基づきピエゾ素子14に所定の駆動電圧を出力する。
【0033】
なお、コンピュータ11には、キーボードや切替スイッチ等の入力手段13が接続されている。この入力手段13は、例えば、干渉計装置のオペレータが、得られた干渉縞画像データに基づいて形状解析を行なう場合の設定変更を可能にする他、フリンジスキャンのステップ数等を変更するような場合に用いられる。
【0034】
このように、本実施形態の干渉計装置においては、第2の経路上に設けた光路長変更部30により、第2の経路にかかる光路長L2を変化させ、2つの経路を通過する光束間の位相差を変化させることができるようになっているから、光路長変更部30によりプレート31を一方向(矢印A方向において紙面上下いずれか一方向)に移動させている期間(通常は位相差が2兀の期間)に、複数の干渉縞画像データを得るようにすれば、フリンジスキャンによる画像解析が可能となる。
【0035】
すなわち、上述したように、本実施形態においては、第1の経路を経て被検面7aで反射され基準面6aを透過する光束(物体光)の光路長と、第2の経路を経て基準面6aで反射される光束(参照光)の光路長とが互いに等しくなるように設定されているから、このときの位置を基準位置として、プレート31を一方向(矢印A方向において紙面上下いずれか一方向)に移動させながら、所定間隔毎(例えば位相差(1/2)兀毎)に干渉縞画像を取得するようにすれば、上記物体光と上記参照光との間の位相差が0、(1/2)兀、兀、(3/2)兀となったときの干渉縞画像を取得することができ(4ステップ法)、この取得した複数の干渉縞画像データに対してコンピュータ11において後述する所定の演算を施すことにより、被検面7aの形状測定を高精度なものとすることができる。
【0036】
これにより、従来技術のように、重量の大きい基準板を複数(3つ以上)のピエゾ素子によって移動させるようにせずとも、1つのピエゾ素子14によって、簡易かつコンパクトにフリンジスキャンを行なうことができる。また、基準板6は、外部振動を受けにくい状態とするため、前述したように例えば被検体7が内部に保持されたケースの開放端部に固設することが望ましいが、本実施形態によれば基準板6を光軸方向に移動させる必要がなくなるので、このような耐振動型の構成を採用することが可能となる。
【0037】
以下、複数の干渉縞画像データに対してコンピュータ11においてなされるフリンジスキャニング法に基づく所定の演算について簡単に説明する。
【0038】
フリンジスキャニング法を用いた場合、例えば前述した4ステップ法だと、4回のフリンジスキャンにおける干渉縞強度I1、I2、I3,I4は以下の各式(1)、(2)、(3)、(4)により表される。
【0039】
【0040】
ここで、x、yは座標、Φ(x,y)は位相、I0(x,y)は各点での平均光強度、γ(x,y)は干渉縞のモジュレーションを各々表す。なお、モジュレーションとは、干渉縞振幅と略相関関係を有するものと考えて良く、具体的には下記式(5)により表される。
【0041】
【数1】
上述した4つの式(1)、(2)、(3)、(4)から、位相Φ(x,y)を求めると下記式(6)となる。
【0042】
【数2】
【0043】
このとき、上記式(6)が逆正接関数となっていることからも明らかなように、位相Φ(x,y)は−πからπの間に畳み込まれている。なお、このような状態のデータを通常位相ラッピングデータと称している。この後、この−πからπの間に畳み込まれた位相ラッピングデータは、連続する位相分布Φ´(x,y)を求める周知の位相アンラッピングの手法を用いて位相アンラッピングが施され、実際の被検面7aの形状に相当する、連続する位相分布Φ´(x,y)が求められる。
【0044】
なお、上記フリンジスキャニング法においては4ステップ法に替えて、5ステップ法等の、3ステップ以上の他のステップ法を用いることも可能である。
【0045】
また、上述した実施形態においては、ピエゾ素子14により移動されるプレート31には全反射ミラー23,24が載設固定されているが、これに替えて図2に示すような直角二等辺三角柱プリズム43をプレート41上に載設固定して光路長変更部40を構成するようにしてもよい。このように直角二等辺三角柱プリズム43を用いると、2つの反射面の直角精度が保証されているため第2経路の光学系アライメント調整が容易になるので好ましい。
【0046】
また、上記直角二等辺三角柱プリズム43に替えてコーナキューブを採用することも可能である。
【0047】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図3は本発明の第2実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示すものである。なお、図3において、上記第1実施形態と同様の構成要素については、図1において用いたものと同一の符番を付すこととし、その詳細な説明は省略する。
【0048】
この第2実施形態の特徴は、基準板106が干渉計装置の構成要素として含まれていないことにあり、その他の点においては上記第1実施形態の干渉計装置と略同様に構成されている。
【0049】
すなわち、この干渉計装置は、基準板106を含まないユニット50からなり、ユーザ側で用意した所望の基準板106を、この干渉計装置と組み合わせて使用することになる。
【0050】
干渉計装置を本実施形態のように構成した場合、次のような利点がある。
すなわち、従来より、例えば特開平10−325710号公報に記載されているような、いわゆる3面合わせ方法として知られている手法を採用する場合に利点がある。いわゆる3面合わせ方法は、高精度平面を有する基準板の表面形状を測定するために、3つの基準板を2つずつ組み合わせ、これら組み合わせた2つの基準板の一方を本来の基準板位置に、他方を本来の被検体位置に配置して、各組合わせについて干渉縞測定を行い、得られた3つの干渉縞情報を演算して、各基準板についての表面(基準面)形状を得るようにした手法である。この手法を用いる場合には、ユーザにとっては、干渉計装置に当初から基準板が付加されている必要はなく、むしろ当初は基準板が設置されていない方が、作業操作上およびコスト面から好ましい。本実施形態の干渉計装置では、このような場合において、ユーザ側でフリンジスキャンを行なう手段を付加せずとも、良好にフリンジスキャンを行なうことが可能である。
【0051】
図3では、ユーザ側で用意した3つの基準板のうちの2つの基準板106、107について、一方を本来の基準板位置に、他方を本来の被検体位置に配設し、2つの基準面106a、107aの相対的な形状を測定する様子を示している。
【0052】
干渉計装置のユーザの中には、例えば極めて長尺となるような、特殊な形状のものを被検体としたいという要望があり、このような場合にはこの被検体の形状と対応する形状を有する基準板もユーザ側で用意することが便宜となることがある。このような状況において、その基準板の形状に応じ、ユーザ側で、該基準板をフリンジスキャン計測用に駆動するシステムを構築することは現実には難しいが、本実施形態のものを採用することにより、フリンジスキャンを良好に行なうことができる。なお、このような長尺の被検体について、その表面形状を測定するような場合には、干渉計装置と被検体を、被検体長手方向に同時に所定距離だけ移動させる度に干渉縞測定を行い、得られた複数の干渉縞画像データをつなぎ合わせる開口合成の手法を用いることが好ましい。
【0053】
<第3実施形態>
図4は本発明の第3実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置の概略図である。図4に示す干渉計装置は、光源201から出力されコリメータレンズ202によって平行光とされた光束の光路上に、上記第1実施形態および上記第2実施形態のパスマッチ経路部20とは構成の異なるパスマッチ経路部220を備えてなる。
【0054】
上記パスマッチ経路部220は、コリメータレンズ202からの光束を、2つの光束に分岐するハーフプリズム221と、2つの全反射ミラー230,231とを備えてなる。
【0055】
このパスマッチ経路部220においては、コリメータレンズ202からの光束が、ハーフプリズム221のハーフミラー面221aにおいて、該ハーフミラー面221aを透過する光束と該ハーフミラー面221aで直角反射される光束とに分岐される。
【0056】
上記ハーフミラー面221aを透過した光束は、固定された全反射ミラー230に垂直に入射し、垂直に反射されてハーフプリズム221に戻り、その一部はハーフミラー面221aにおいて直角反射される(第1の経路)。一方、上記ハーフミラー面221aで直角反射された光束は、光軸方向に可動とされた全反射ミラー231に垂直に入射し、垂直に反射されてハーフプリズム221に戻り、その一部はハーフミラー面221aを透過する(第2の経路)。
これにより、上記ハーフプリズム221に戻った各光束の一部はハーフミラー面221aにおいて合波されて全反射ミラー223に向かう。
【0057】
合波されて全反射ミラー223に向かう光束は、この全反射ミラー223および全反射ミラー224において全反射され、発散レンズ203およびコリメータレンズ205によりビーム径を拡大された後、載置台208上に載置された透明な薄板サンプル207に照射される。薄板サンプル207に照射された光束の一部はその表面(基準面)207aで反射されるが、その余の光束は薄板サンプル207を透過して、薄板サンプル207の裏面(被検面)207bにより反射されるようになっている。
【0058】
薄板サンプル207の表面(基準面)207aから反射された光束(光波面)と薄板サンプル207の裏面(被検面)207bから反射された光束(光波面)は互いに干渉し合い、ハーフプリズム204のハーフミラー面204aで直角反射され、イメージングレンズ209を介して、撮像カメラ210内のCCD素子上に干渉縞画像を形成する。このCCD素子により光電変換された複数枚の干渉縞画像情報に基づき、図示されないコンピュータにおいて薄板サンプル207の表裏面の平行度や厚みムラ等の測定解析が行なわれるとともに、図示されないCRT等の画像表示部上に干渉縞画像が表示されるようになっている。
【0059】
なお、上記載置台208は、上板208aと下板208cが傾き調整機構208bを介して対向配置される構造とされている。
また、光軸方向(矢印B方向)に可動とされた全反射ミラー231にはピエゾ素子214が取り付けられており、全反射ミラー231を光軸方向(矢印B方向)に走査せしめて、フリンジスキャン計測が可能となるように構成されている。これにより、薄板サンプル207の表裏面の平行度や厚みムラ等の測定をフリンジスキャニング法を用いた解析により行なうことができる。
【0060】
このように、本実施形態においては、パスマッチ経路部220内に配された全反射ミラー231を走査してフリンジスキャンを行なっているので、薄板サンプル207の表裏各面のように、被検面と基準面が一体とされているような場合にも、簡易かつ高精度にフリンジスキャン計測を行なうことができる。
【0061】
また、上述したパスマッチ経路部220は、ハーフミラー面221aから全反射ミラー230に至り、ハーフミラー面221aに戻る第1の経路と、ハーフミラー面221aから全反射ミラー231に至り、ハーフミラー面221aに戻る第2の経路との光路長差が、薄板サンプル207の光学的厚み(光学光路長)の2倍に略等しくなるように、全反射ミラー231の矢印B方向への移動調整がなされる(全反射ミラー231の移動機構は図示せず)。
【0062】
このような構成とされたことにより、第1の経路を経て薄板サンプル207の裏面(被検面)207bで反射される光束の光路長と、第2の経路を経て薄板サンプル207の表面(基準面)207aで反射される光束の光路長とを互いに等しくすることが可能となり、透明な薄板サンプル207の表裏面の平行度や厚みムラ等を高精度で測定することが可能となる。すなわち、光源201として、可干渉距離が薄板サンプル207の光学的厚み(光学光路長)の2倍よりも小さい光を出射する低可干渉光源を用いることが可能となり、上記光干渉以外の、ノイズの原因となり得る光干渉が生じないようにすることが可能である。
【0063】
<第4実施形態>
図5は本発明の第4実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置の概略図である。第4実施形態は、薄膜の厚みムラ等を測定するために、本発明を斜入射干渉計装置に適用したものであるが、パスマッチ経路部320等の構成は、上記第3実施形態のパスマッチ経路部220等の構成と略同様であるので、原則として、第3実施形態の部材と対応する部材については、第3実施形態の部材に付された符号に100を加えた符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0064】
上記第3実施形態と同様に、パスマッチ経路部320により合波されて全反射ミラー323に向かう光束は、この全反射ミラー323および全反射ミラー324において全反射され、発散レンズ303およびコリメータレンズ305aによりビーム径を拡大された平行光束とされた後、載置台308上に載置された不透明な基板306上に形成された薄膜307に照射される。薄膜307に照射された光束の一部はその表面(基準面)307aで反射されるが、その余の光束は薄膜307を透過して、薄膜307の裏面(被検面)307bにより反射されるようになっている。
【0065】
薄膜307の表面(基準面)307aから反射された光束(光波面)と薄膜307の裏面(被検面)307bから反射された光束(光波面)は互いに干渉し合い、収束レンズ305bおよびイメージングレンズ309を介して、撮像カメラ310内のCCD素子上に干渉縞画像を形成する。
【0066】
このCCD素子により光電変換された複数枚の干渉縞画像情報に基づき、図示されないコンピュータにおいて薄膜307の表裏面の平行度や厚みムラ等のフリンジスキャニング法を用いた測定解析が行なわれるとともに、図示されないCRT等の画像表示部上に干渉縞画像が表示されるようになっている。そして、フリンジスキャニング計測を行なうための光路長差の走査は、パスマッチ経路部320内のピエゾ素子314を駆動して、全反射ミラー331を矢印C方向に移動させることによりなされる。
【0067】
このように、本実施形態においては、パスマッチ経路部320内に配された全反射ミラー331を走査してフリンジスキャンを行っているので、薄膜307の表裏各面のように、基準面に相当する面と、被検面に相当する面が互いに分離不可とされているような場合にも、簡易かつ高精度にフリンジスキャン計測を行なうことができる。
【0068】
また、上述したパスマッチ経路部320は、ハーフミラー面321aから全反射ミラー330に至り、ハーフミラー面321aに戻る第1の経路と、ハーフミラー面321aから全反射ミラー331に至り、ハーフミラー面321aに戻る第2の経路との光路長差が、薄膜307の斜め入射に対する光学的厚み(光学光路長)の2倍に略等しくなるように、全反射ミラー331の矢印C方向への移動調整がなされる(全反射ミラー331の移動機構は図示せず)。
【0069】
このような構成により、光源301として、可干渉距離が薄膜307の斜め入射に対する光学的厚み(光学光路長)の2倍よりも短い光を出射する低可干渉光源を用いて、上記光干渉以外の、ノイズの原因となり得る光干渉が生じないようにすることが可能であるから、薄膜307の表裏面の厚みムラ等を高精度で測定することが可能である。
【0070】
<本発明の適用が特に有用な使用方法>
以下、本発明の干渉計装置を適用すると特に有用である、第1、第2および第3の使用方法について図6〜8を用いて説明する。
【0071】
ここで、これら3つの使用方法について説明する図6〜8においては、光源からコリメータレンズまでの部分は、いずれも上述した第1実施形態および第2実施形態の構成と略同様の構成とされているから、第1実施形態の部材と対応する部材については、原則として、第1実施形態の部材に付された符号に400を加えた符号を付す(第1の使用方法)、または500を加えた符号を付す(第2の使用方法)、または600を加えた符号を付す(第3の使用方法)ようにして、その詳細な説明は省略する。
【0072】
<第1の使用方法>
この第1の使用方法は、図6に示すように、本発明を球面測定用フィゾー型干渉計装置の測定に適用したものである。一般の球面測定用フィゾー型干渉計装置において球面の表面形状をフリンジスキャニング法を用いて解析する場合には、基準レンズ406(収束レンズ441と球面レンズ442からなる)をピエゾ素子により光軸方向に走査することになるが、このようにすると基準レンズ面(基準面)406aにおいて反射する光束(発散光束)において、光軸上の光線の光路長がΔLだけ変化したとき、光軸に対して角度θ傾いて基準レンズ面406aから反射される光線は光路長がΔLcosθしか変化しないため、これに応じて解析結果に誤差が生じる。
【0073】
これに対し、本発明を適用した装置においては、パスマッチ経路部420内に配された光路長変更部430を走査してフリンジスキャンを行なっているので、被検面407a(ここではボールレンズ407の球表面)の表面形状の解析結果にこのような誤差は生じない。
【0074】
<第2の使用方法>
この第2の使用方法は、図7に示すように、本発明を重量の大きい基準板を備えたフィゾー型干渉計装置の測定に適用したものである。このように重量の大きい基準板や、Fナンバーを明るくする目的で多数のレンズからなる重い基準レンズを用いた干渉計装置においては、従来、フリンジスキャンを行なうために例えば3個のピエゾ素子により重い基準板や基準レンズを支持し、かつ走査させているが、このようにするとピエゾ素子を複数個用いることによりコスト高となるとともに、重い基準板や基準レンズをフリンジスキャン走査するためのフリンジスキャン機構を設けることにより装置強度の低下および耐振動性の低下を招来する。
【0075】
これに対し、本発明を適用した装置においては、パスマッチ経路部520内に配された光路長変更部530を走査してフリンジスキャンを行なっているので、重い基準板506をフリンジスキャン走査する必要がなくなり、図7に示すように、この基準板506は堅牢で耐振動性に優れた基準板保持機構(被検体507の載置台としての機能も有する)508に固設することが可能となる。また、ピエゾ素子を1つ用いれば十分となり製造コストの低下を図ることができる。
【0076】
なお、図7において、基準板保持機構508は、上板508aと下板508cが傾き調整機構508bを介して対向配置され、さらに基準板506を保持する基準板保持部材526が基準板傾き調整機構517を介して上板508a上に取り付けられる構造とされている。
【0077】
<第3の使用方法>
この第3の使用方法は、図8に示すように、断面矩形状の長尺ガラスロッドの絶対形状を3枚合わせ手法を用いて測定解析するフィゾー型干渉計装置の測定に本発明を適用したものである。
【0078】
撓みなどの問題が発生しやすい長尺のガラスロッド等の被検体の絶対形状を測定する手法として、3つの被検体を2つずつ取り出してそれぞれの相対形状を測定し、得られた3つの相対形状を演算して該3つの被検体各々の絶対形状を測定する、いわゆる3枚合わせの手法が知られている(特開平11−37742号公報等を参照)。このような手法を採用する場合、これらの被検体をフリンジスキャンする機構を構築することが難しいという理由から、従来、3枚合わせの手法においてフリンジスキャン計測は採用し難いとされていた。
【0079】
しかし、本発明を適用した装置においては、パスマッチ経路部620内に配された光路長変更部630を走査してフリンジスキャンを行なっているので、載置台608上に載置した、第1被検体606および第2被検体607の各被検面606a(基準面)、607a間の相対形状を高精度かつ容易に測定でき、フリンジスキャン計測を用いた3枚合わせの手法により、長尺のガラスロッド等の被検体の絶対形状を測定することが可能となる。
【0080】
なお、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置においては、上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
【0081】
例えば、上述したパスマッチ経路部20は、第1の経路と第2の経路との光路長差が、基準板6の基準面6aと被検体7の被検面7aとの光学的距離Lの2倍に略等しいように設定できればよく、上記実施形態の形状に限られるものではない。また、位相差可変手段は第2の経路ではなく、第1の経路に設けるようにしてもよい。さらに、位相差可変手段は、2つの経路を通過する光束の位相差を変化させ得るものであればよく、例えば、一方の経路上にバビネ−ソレイユ板等の光路長可変部材を挿入することで、2つの経路を通過する光束の位相差を変化させるものであってもよい。
【0082】
また、2つの経路は、少なくとも一方を光ファイバにより構成して、パスマッチ経路部をコンパクトに構成してもよい。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置によれば、光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が基準面と被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、合波して出力するパスマッチ経路部に、2つの経路を通過する光束の位相差を変化させてフリンジスキャンを可能とする位相差可変手段を設けている。
【0084】
これにより、重量の大きい基準板を複数のピエゾ素子によって移動させるようにせずとも、1つのピエゾ素子14によって、簡易かつコンパクトにフリンジスキャンを行なうことができるので、外部振動の影響を受けにくい基準板支持構造とすることが可能となり、さらに製造コストを安価とすることができる。
【0085】
また、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置は、基準板を組み込んでいないタイプのユニットにおいてもフリンジスキャンを行ない得るように構成されているので、基準板をユーザ側で用意するような状況においても別途フリンジスキャンのための手段を付加することなく、製造コストを低廉なものとしつつ、フリンジスキャンを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示す装置構成図
【図2】図1に示す光路長変更部の変更例を示す概略図
【図3】本発明の第2実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示す装置構成図
【図4】本発明の第3実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示す装置構成図
【図5】本発明の第4実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示す装置構成図
【図6】本発明を適用した干渉計装置における第1の使用方法を説明するための概略図
【図7】本発明を適用した干渉計装置における第2の使用方法を説明するための概略図
【図8】本発明を適用した干渉計装置における第3の使用方法を説明するための概略図
【符号の説明】
1、201、301、401、501、601・・・光源
2、202、302、402、502、602、5、205、305a、405、505、605・・・コリメータレンズ
3、203、303、403、503、603・・・発散レンズ
4、21、22、204、221、321、404、421、422、504、521、522、604、621、622・・・ハーフプリズム
4a、21a、22a、204a、221a、321a・・・ハーフミラー面
6、106、107、506・・・基準板
6a、106a、107a、207a(表面)、307a(表面)、406a(基準レンズ面)、506a、606a(被検面)・・・基準面
7、507、606、607・・・被検体(透明平行板)
7a、207b(裏面)、307b(裏面)、407a、507a、606a(基準面)、607a・・・被検面
7b・・・非被検面
8・・・載置面
9、209、309、409、509、609・・・イメージングレンズ
10、210、310、410、510、610・・・撮像カメラ
11・・・コンピュータ
12・・・画像表示部
13・・・入力手段
14、214、314、414、514、614・・・ピエゾ素子
15・・・ステージコントローラ
16・・・ピエゾドライバ
20、220、320、420、520、620・・・パスマッチ経路部
23、24、223、224、230、231、323、324、330、331、423、424、425、523、524、525、623、624、625・・・全反射ミラー
30、40、430、530、630・・・光路長変更部
31、41、431、531、631・・・プレート
43・・・直角二等辺三角柱プリズム
50・・・ユニット
207・・・薄板サンプル
208、308、508、608・・・載置台
307・・・薄膜
305b、441・・・収束レンズ
306・・・基板
406・・・基準レンズ
407・・・ボールレンズ
442・・・球面レンズ
508・・・基準板保持機構(載置台)
Z・・・光軸
t1・・・被検体の厚み
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの光束が照射される部材を物理的に移動させ、光波干渉を生ぜしめる2光束の位相差を変化させることによりフリンジスキャンを可能とする干渉計装置に関し、詳しくは、光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が干渉計の基準面と被検体の被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、合波して出力するパスマッチ経路部を有するフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザ光源等の可干渉性の良い光源を搭載したフィゾー型干渉計は、基準面と被検面との間に使用光源の可干渉距離に応じた間隔を空けることが可能となり、ワークスペースが十分にとれるため、使い易い干渉計として広く用いられている。
【0003】
ところで、フィゾー型干渉計においても、他の干渉計と同様にフリンジスキャニング法(縞走査法)を用いて、被検面の凹凸判別や正確な立体形状判別を行い得るようにしたものが従来より知られている。
【0004】
従来より知られている一般的なフリンジスキャニング法では、干渉計装置において、まず、基準板を例えば3点で支持するようにし、この3つの支持部にピエゾ素子を取り付け、所定のタイミングで該ピエゾ素子に所定の電圧を印加して該ピエゾ素子を駆動して、基準板を光軸方向に移動させる。そして、この移動により変化する干渉縞の画像データを複数枚撮像し、これらの画像データをコンピュータに取り込み、所定の演算式を用いて、干渉縞画像の各点における位相を求めることにより、被検体の形状解析を行なう(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−155051号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来のフリンジスキャニング法を用いた場合には、以下のような問題があった。
【0007】
すなわち、干渉計装置を外部振動の大きい環境下で使用する場合、あるいは外部振動の影響を少なくしたい場合には、外部振動によって被検体と基準板がそれぞれ独自の動きをして相対位置関係を乱し干渉測定を困難にする状況を防止するように、例えば、一つの保持具に被検体と基準板を載置固設することが有利であるが、このような基準板を保持具に固設した状態では、基準板をピエゾ素子等により駆動してフリンジスキャンを行なう上記手法を採用することが困難である、という問題である。
【0008】
さらに、上述した従来技術においては、基準板の3つの支持部にそれぞれピエゾ素子を取り付けるようにしているので、製造コストが高くなるという問題もある。
【0009】
また、干渉計装置のユーザの中には、例えば極めて長尺となるような、特殊な形状のものを被検体としたいという要望があり、このような場合にはこの被検体の形状と対応する形状を有する基準板もユーザ側で用意することが便宜となることがある。このような状況において、その基準板の形状に応じ、ユーザ側で、該基準板を駆動するシステムを構築することは現実には難しい。また、従来より、基準板の表面形状を測定するために、3つの基準板を2つずつ組み合わせ、これら組み合わせた2つの基準板の一方を本来の基準板位置に、他方を本来の被検体位置に配置して、各組み合わせについて干渉縞測定を行い、得られた3つの干渉縞情報を演算して、各基準板についての表面(基準面)形状を得るようにした手法が知られている(例えば特開平10−325710号)。この手法は、3面合わせ方法等の呼称で知られており、この手法を用いる場合には、ユーザにとっては、干渉計装置に当初から基準板が付加されている必要はなく、むしろ当初からの基準板は設置されていない方がコスト面から好ましい。
【0010】
したがって、このように、基準板が当初から干渉計装置に組み込まれていない方がよい場合には、基準板をピエゾ素子等により駆動してフリンジスキャンを行なう上記手法を採用することが難しい。
【0011】
なお、上述したようなピエゾ素子を用いるのではなく、光源からの照射光の波長を微小量だけ変化させることによりフリンジスキャンを行なうようにした手法も知られているが、現状では、波長走査が可能な光源の出力変動が大きいことから解析精度の面で問題がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、外部振動の影響を受けにくい基準板支持構造とすることが可能で、製造コストが安価なフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
また、本発明は、基準板をユーザ側で用意するような場合においても、良好かつ簡易にフリンジスキャンを行い得るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置は、光源と、この光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が干渉計の基準面と被検体の被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、該2つの光束を合波して出力するパスマッチ経路部と、このパスマッチ経路部から出力された光束を平行光束として前記基準面に照射するコリメータレンズとを備え、該基準面で反射された光波面と該基準面を透過し前記被検面で反射された光波面との干渉により生じる干渉縞に基づいて該被検面の波面情報を得るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置において、
前記パスマッチ経路部に、前記2つの経路を通過する光束の位相差を変化させて縞走査(フリンジスキャン)を可能とする位相差可変手段を備えてなることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置は、光源と、この光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が干渉計の基準面と被検体の被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、該2つの光束を合波して出力するパスマッチ経路部と、このパスマッチ経路部から出力された光束を平行光束として前記基準面に照射するコリメータレンズと、該基準面を有する基準板とを備え、該基準面で反射された光波面と該基準面を透過し前記被検面で反射された光波面との干渉により生じる干渉縞に基づいて該被検面の波面情報を得るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置において、
前記パスマッチ経路部に、前記2つの経路を通過する光束の位相差を変化させて縞走査(フリンジスキャン)を可能とする位相差可変手段を備えてなることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置は、前記被検体が透明平行板であり、前記光源から出力された前記光束は、可干渉距離が前記透明平行板の厚み(ただし、光学的距離)の2倍よりも小さく設定された低可干渉光束である場合に特に有効である。
【0017】
また、前記位相差可変手段は、光束が照射される光学部材を物理的に移動させることにより、前記2つの経路を通過する光束の位相差を変化させるように構成することが可能である。
【0018】
また、前記光学部材の物理的な移動は、例えばピエゾ素子を用いて行われる。
【0019】
また、前記光学部材は、前記2つの経路のうちの少なくとも一方を180度折り曲げる、2つのミラーまたは1つのプリズムとすることが可能である。
【0020】
なお、上述した被検面および基準面とは、干渉を生ぜしめる2つの光束を反射させる2つの光学面の相対的な呼称であって、以下の説明では、例えば略平行とされた、透明板の表裏各面からの反射光束によって干渉を生ぜしめるような場合において、被検面として表裏面の一方を、基準面として表裏面の他方を指称するものも含まれるものとする。
【0021】
【作用】
本発明は、フリンジスキャンを行なうためには、基準板から反射された参照光と、被検面から反射された物体光の相互の位相差を変えればよいのであって、必ずしも基準板(あるいは被検体)を光軸方向に移動させなくともよい、という発想に基づいてなされたものである。そして、この発想を具現化するための上記構成は、参照光の経路と物体光の経路を分岐し、分岐された一方の経路を通過する光束の光路長を、他方の経路を通過する光束の光路長に対して相対的に変化させればよい、という技術思想によりなされたものである。
【0022】
なお、上記発想を具現化するために参考とされた技術は、本願出願人が既に開示している特開平9−21606号公報に記載されたものである。
すなわち、この公報に開示したパスマッチ経路型干渉計装置によれば、フィゾー型干渉計装置において、測定光の可干渉距離を所定長未満に設定するとともに、測定光の一部を迂回させるパスマッチ経路部を設けて、迂回しないで直進した測定光の被検面からの反射光と、迂回した測定光の基準面からの反射光による場合以外は光干渉が生じないようにしているため、極めて簡易な構成でノイズのない明瞭な干渉縞画像を得ることが可能となっており、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置では、上記パスマッチ経路部における一方の経路を通過する光束の光路長を、他方の経路を通過する光束の光路長に対して相対的に変化させることで、上記本発明の課題を解決している。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置の概略図である。図1に示す干渉計装置は、光源1から出力されコリメータレンズ2によって平行光とされた光束の光路上に、パスマッチ経路部20を備えてなる。
【0025】
上記パスマッチ経路部20は、コリメータレンズ2から発散レンズ3に向けて直線的に延びる第1の経路上に配置された2つのハーフプリズム21,22と、第1の経路から分岐して2つのハーフプリズム21,22の間を迂回する第2の経路上に配置された2つの全反射ミラー23,24とを備えてなる。
【0026】
このパスマッチ経路部20においては、コリメータレンズ2からの光束が、ハーフプリズム21のハーフミラー面21aにおいて、該ハーフミラー面21aを透過する光束と該ハーフミラー面21aで直角反射される光束とに分岐される。上記ハーフミラー面21aを透過した光束は、第1の経路に沿って上記ハーフプリズム22に入射され、上記ハーフミラー面21aで直角反射された光束は、第2の経路に沿って上記全反射ミラー23,24により順次直角反射された後上記ハーフプリズム22に入射される。そして、上記ハーフプリズム22において、第1の経路を通過した光束の一部と第2の経路を通過した光束の一部とが合波されて出力される。
【0027】
ハーフプリズム22から出力された光束は、発散レンズ3およびコリメータレンズ5によりビーム径を拡大された後、透明な基準板6に照射される。基準板6内に入射した光束の一部は基準面6aで反射されるが、その余の光束は基準面6aを透過して、載置面8上に載置された被検体7に照射されるようになっている。
【0028】
基準板6の基準面6aから反射された光束(光波面)と被検体7の被検面7aから反射された光束(光波面)は互いに干渉し合い、ハーフプリズム4のハーフミラー面4aで直角反射され、イメージングレンズ9を介して、撮像カメラ10内のCCD素子上に干渉縞画像を形成する。このCCD素子により光電変換された複数枚の干渉縞画像情報に基づき、コンピュータ11において被検面7aの表面形状等の測定解析(フリンジスキャニング法を用いた解析を含む)が行なわれるとともに、CRT等の画像表示部12上に干渉縞画像が表示されるようになっている。
【0029】
なお、上述したパスマッチ経路部20は、第1の経路(光路長L1)と第2の経路(光路長L2=l1+l2+l3)との光路長差が、基準板6の基準面6aと被検体7の被検面7aとの光学的距離Lの2倍に略等しいように設定されている。これにより、第1の経路を経て被検面7aで反射され基準面6aを透過する光束の光路長と、第2の経路を経て基準面6aで反射される光束の光路長とは互いに等しくなる。
【0030】
このような構成により、被検体7がガラス薄板やプラスチック板、石英板等の透明平行板であっても、被検面7aの形状等を高精度で測定することが可能となる。すなわち、SLD(スーパー・ルミネッセント・ダイオード)、ハロゲンランプあるいは高圧水銀ランプ等(例えば可干渉距離が1μm)の低可干渉光源を光源1として用い、そこから出力される光束の可干渉距離を透明平行板の厚みt1の2倍より小さく設定することによって、基準板6の基準面6aと被検体7の非被検面7b(被検体の裏面)および被検面7aと非被検面7bからの光干渉が生じないようにすることが可能となっている。なお、このようなパスマッチ経路部の作用等については、前掲した特開平9−21606号公報において詳しく開示されており、その詳細な説明は省略する。
【0031】
ところで、本実施形態の特徴は、パスマッチ経路部20内において、第2の経路上に光路長変更部30を設けたことにある。すなわち、この光路長変更部30は、上述した第2の経路上の全反射ミラー23,24をプレート31上に固設し、このプレート31に取り付けられたピエゾ素子14を駆動することにより、全反射ミラー23,24を一体的に矢印A方向に往復移動して、2つの経路を通過する光束間の位相差を変化させることができるようになっている。なお、プレート31は、ピエゾ素子14の駆動に応じて矢印A方向に円滑に移動することができるように配慮することが肝要である。
【0032】
また、上記ピエゾ素子14は、駆動手段としてのピエゾドライバ16によって駆動されるように構成されている。ピエゾドライバ16は、コンピュータ11からの制御信号に応じてステージコントローラ15から出力される、ピエゾ素子駆動信号に基づきピエゾ素子14に所定の駆動電圧を出力する。
【0033】
なお、コンピュータ11には、キーボードや切替スイッチ等の入力手段13が接続されている。この入力手段13は、例えば、干渉計装置のオペレータが、得られた干渉縞画像データに基づいて形状解析を行なう場合の設定変更を可能にする他、フリンジスキャンのステップ数等を変更するような場合に用いられる。
【0034】
このように、本実施形態の干渉計装置においては、第2の経路上に設けた光路長変更部30により、第2の経路にかかる光路長L2を変化させ、2つの経路を通過する光束間の位相差を変化させることができるようになっているから、光路長変更部30によりプレート31を一方向(矢印A方向において紙面上下いずれか一方向)に移動させている期間(通常は位相差が2兀の期間)に、複数の干渉縞画像データを得るようにすれば、フリンジスキャンによる画像解析が可能となる。
【0035】
すなわち、上述したように、本実施形態においては、第1の経路を経て被検面7aで反射され基準面6aを透過する光束(物体光)の光路長と、第2の経路を経て基準面6aで反射される光束(参照光)の光路長とが互いに等しくなるように設定されているから、このときの位置を基準位置として、プレート31を一方向(矢印A方向において紙面上下いずれか一方向)に移動させながら、所定間隔毎(例えば位相差(1/2)兀毎)に干渉縞画像を取得するようにすれば、上記物体光と上記参照光との間の位相差が0、(1/2)兀、兀、(3/2)兀となったときの干渉縞画像を取得することができ(4ステップ法)、この取得した複数の干渉縞画像データに対してコンピュータ11において後述する所定の演算を施すことにより、被検面7aの形状測定を高精度なものとすることができる。
【0036】
これにより、従来技術のように、重量の大きい基準板を複数(3つ以上)のピエゾ素子によって移動させるようにせずとも、1つのピエゾ素子14によって、簡易かつコンパクトにフリンジスキャンを行なうことができる。また、基準板6は、外部振動を受けにくい状態とするため、前述したように例えば被検体7が内部に保持されたケースの開放端部に固設することが望ましいが、本実施形態によれば基準板6を光軸方向に移動させる必要がなくなるので、このような耐振動型の構成を採用することが可能となる。
【0037】
以下、複数の干渉縞画像データに対してコンピュータ11においてなされるフリンジスキャニング法に基づく所定の演算について簡単に説明する。
【0038】
フリンジスキャニング法を用いた場合、例えば前述した4ステップ法だと、4回のフリンジスキャンにおける干渉縞強度I1、I2、I3,I4は以下の各式(1)、(2)、(3)、(4)により表される。
【0039】
【0040】
ここで、x、yは座標、Φ(x,y)は位相、I0(x,y)は各点での平均光強度、γ(x,y)は干渉縞のモジュレーションを各々表す。なお、モジュレーションとは、干渉縞振幅と略相関関係を有するものと考えて良く、具体的には下記式(5)により表される。
【0041】
【数1】
上述した4つの式(1)、(2)、(3)、(4)から、位相Φ(x,y)を求めると下記式(6)となる。
【0042】
【数2】
【0043】
このとき、上記式(6)が逆正接関数となっていることからも明らかなように、位相Φ(x,y)は−πからπの間に畳み込まれている。なお、このような状態のデータを通常位相ラッピングデータと称している。この後、この−πからπの間に畳み込まれた位相ラッピングデータは、連続する位相分布Φ´(x,y)を求める周知の位相アンラッピングの手法を用いて位相アンラッピングが施され、実際の被検面7aの形状に相当する、連続する位相分布Φ´(x,y)が求められる。
【0044】
なお、上記フリンジスキャニング法においては4ステップ法に替えて、5ステップ法等の、3ステップ以上の他のステップ法を用いることも可能である。
【0045】
また、上述した実施形態においては、ピエゾ素子14により移動されるプレート31には全反射ミラー23,24が載設固定されているが、これに替えて図2に示すような直角二等辺三角柱プリズム43をプレート41上に載設固定して光路長変更部40を構成するようにしてもよい。このように直角二等辺三角柱プリズム43を用いると、2つの反射面の直角精度が保証されているため第2経路の光学系アライメント調整が容易になるので好ましい。
【0046】
また、上記直角二等辺三角柱プリズム43に替えてコーナキューブを採用することも可能である。
【0047】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図3は本発明の第2実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示すものである。なお、図3において、上記第1実施形態と同様の構成要素については、図1において用いたものと同一の符番を付すこととし、その詳細な説明は省略する。
【0048】
この第2実施形態の特徴は、基準板106が干渉計装置の構成要素として含まれていないことにあり、その他の点においては上記第1実施形態の干渉計装置と略同様に構成されている。
【0049】
すなわち、この干渉計装置は、基準板106を含まないユニット50からなり、ユーザ側で用意した所望の基準板106を、この干渉計装置と組み合わせて使用することになる。
【0050】
干渉計装置を本実施形態のように構成した場合、次のような利点がある。
すなわち、従来より、例えば特開平10−325710号公報に記載されているような、いわゆる3面合わせ方法として知られている手法を採用する場合に利点がある。いわゆる3面合わせ方法は、高精度平面を有する基準板の表面形状を測定するために、3つの基準板を2つずつ組み合わせ、これら組み合わせた2つの基準板の一方を本来の基準板位置に、他方を本来の被検体位置に配置して、各組合わせについて干渉縞測定を行い、得られた3つの干渉縞情報を演算して、各基準板についての表面(基準面)形状を得るようにした手法である。この手法を用いる場合には、ユーザにとっては、干渉計装置に当初から基準板が付加されている必要はなく、むしろ当初は基準板が設置されていない方が、作業操作上およびコスト面から好ましい。本実施形態の干渉計装置では、このような場合において、ユーザ側でフリンジスキャンを行なう手段を付加せずとも、良好にフリンジスキャンを行なうことが可能である。
【0051】
図3では、ユーザ側で用意した3つの基準板のうちの2つの基準板106、107について、一方を本来の基準板位置に、他方を本来の被検体位置に配設し、2つの基準面106a、107aの相対的な形状を測定する様子を示している。
【0052】
干渉計装置のユーザの中には、例えば極めて長尺となるような、特殊な形状のものを被検体としたいという要望があり、このような場合にはこの被検体の形状と対応する形状を有する基準板もユーザ側で用意することが便宜となることがある。このような状況において、その基準板の形状に応じ、ユーザ側で、該基準板をフリンジスキャン計測用に駆動するシステムを構築することは現実には難しいが、本実施形態のものを採用することにより、フリンジスキャンを良好に行なうことができる。なお、このような長尺の被検体について、その表面形状を測定するような場合には、干渉計装置と被検体を、被検体長手方向に同時に所定距離だけ移動させる度に干渉縞測定を行い、得られた複数の干渉縞画像データをつなぎ合わせる開口合成の手法を用いることが好ましい。
【0053】
<第3実施形態>
図4は本発明の第3実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置の概略図である。図4に示す干渉計装置は、光源201から出力されコリメータレンズ202によって平行光とされた光束の光路上に、上記第1実施形態および上記第2実施形態のパスマッチ経路部20とは構成の異なるパスマッチ経路部220を備えてなる。
【0054】
上記パスマッチ経路部220は、コリメータレンズ202からの光束を、2つの光束に分岐するハーフプリズム221と、2つの全反射ミラー230,231とを備えてなる。
【0055】
このパスマッチ経路部220においては、コリメータレンズ202からの光束が、ハーフプリズム221のハーフミラー面221aにおいて、該ハーフミラー面221aを透過する光束と該ハーフミラー面221aで直角反射される光束とに分岐される。
【0056】
上記ハーフミラー面221aを透過した光束は、固定された全反射ミラー230に垂直に入射し、垂直に反射されてハーフプリズム221に戻り、その一部はハーフミラー面221aにおいて直角反射される(第1の経路)。一方、上記ハーフミラー面221aで直角反射された光束は、光軸方向に可動とされた全反射ミラー231に垂直に入射し、垂直に反射されてハーフプリズム221に戻り、その一部はハーフミラー面221aを透過する(第2の経路)。
これにより、上記ハーフプリズム221に戻った各光束の一部はハーフミラー面221aにおいて合波されて全反射ミラー223に向かう。
【0057】
合波されて全反射ミラー223に向かう光束は、この全反射ミラー223および全反射ミラー224において全反射され、発散レンズ203およびコリメータレンズ205によりビーム径を拡大された後、載置台208上に載置された透明な薄板サンプル207に照射される。薄板サンプル207に照射された光束の一部はその表面(基準面)207aで反射されるが、その余の光束は薄板サンプル207を透過して、薄板サンプル207の裏面(被検面)207bにより反射されるようになっている。
【0058】
薄板サンプル207の表面(基準面)207aから反射された光束(光波面)と薄板サンプル207の裏面(被検面)207bから反射された光束(光波面)は互いに干渉し合い、ハーフプリズム204のハーフミラー面204aで直角反射され、イメージングレンズ209を介して、撮像カメラ210内のCCD素子上に干渉縞画像を形成する。このCCD素子により光電変換された複数枚の干渉縞画像情報に基づき、図示されないコンピュータにおいて薄板サンプル207の表裏面の平行度や厚みムラ等の測定解析が行なわれるとともに、図示されないCRT等の画像表示部上に干渉縞画像が表示されるようになっている。
【0059】
なお、上記載置台208は、上板208aと下板208cが傾き調整機構208bを介して対向配置される構造とされている。
また、光軸方向(矢印B方向)に可動とされた全反射ミラー231にはピエゾ素子214が取り付けられており、全反射ミラー231を光軸方向(矢印B方向)に走査せしめて、フリンジスキャン計測が可能となるように構成されている。これにより、薄板サンプル207の表裏面の平行度や厚みムラ等の測定をフリンジスキャニング法を用いた解析により行なうことができる。
【0060】
このように、本実施形態においては、パスマッチ経路部220内に配された全反射ミラー231を走査してフリンジスキャンを行なっているので、薄板サンプル207の表裏各面のように、被検面と基準面が一体とされているような場合にも、簡易かつ高精度にフリンジスキャン計測を行なうことができる。
【0061】
また、上述したパスマッチ経路部220は、ハーフミラー面221aから全反射ミラー230に至り、ハーフミラー面221aに戻る第1の経路と、ハーフミラー面221aから全反射ミラー231に至り、ハーフミラー面221aに戻る第2の経路との光路長差が、薄板サンプル207の光学的厚み(光学光路長)の2倍に略等しくなるように、全反射ミラー231の矢印B方向への移動調整がなされる(全反射ミラー231の移動機構は図示せず)。
【0062】
このような構成とされたことにより、第1の経路を経て薄板サンプル207の裏面(被検面)207bで反射される光束の光路長と、第2の経路を経て薄板サンプル207の表面(基準面)207aで反射される光束の光路長とを互いに等しくすることが可能となり、透明な薄板サンプル207の表裏面の平行度や厚みムラ等を高精度で測定することが可能となる。すなわち、光源201として、可干渉距離が薄板サンプル207の光学的厚み(光学光路長)の2倍よりも小さい光を出射する低可干渉光源を用いることが可能となり、上記光干渉以外の、ノイズの原因となり得る光干渉が生じないようにすることが可能である。
【0063】
<第4実施形態>
図5は本発明の第4実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置の概略図である。第4実施形態は、薄膜の厚みムラ等を測定するために、本発明を斜入射干渉計装置に適用したものであるが、パスマッチ経路部320等の構成は、上記第3実施形態のパスマッチ経路部220等の構成と略同様であるので、原則として、第3実施形態の部材と対応する部材については、第3実施形態の部材に付された符号に100を加えた符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0064】
上記第3実施形態と同様に、パスマッチ経路部320により合波されて全反射ミラー323に向かう光束は、この全反射ミラー323および全反射ミラー324において全反射され、発散レンズ303およびコリメータレンズ305aによりビーム径を拡大された平行光束とされた後、載置台308上に載置された不透明な基板306上に形成された薄膜307に照射される。薄膜307に照射された光束の一部はその表面(基準面)307aで反射されるが、その余の光束は薄膜307を透過して、薄膜307の裏面(被検面)307bにより反射されるようになっている。
【0065】
薄膜307の表面(基準面)307aから反射された光束(光波面)と薄膜307の裏面(被検面)307bから反射された光束(光波面)は互いに干渉し合い、収束レンズ305bおよびイメージングレンズ309を介して、撮像カメラ310内のCCD素子上に干渉縞画像を形成する。
【0066】
このCCD素子により光電変換された複数枚の干渉縞画像情報に基づき、図示されないコンピュータにおいて薄膜307の表裏面の平行度や厚みムラ等のフリンジスキャニング法を用いた測定解析が行なわれるとともに、図示されないCRT等の画像表示部上に干渉縞画像が表示されるようになっている。そして、フリンジスキャニング計測を行なうための光路長差の走査は、パスマッチ経路部320内のピエゾ素子314を駆動して、全反射ミラー331を矢印C方向に移動させることによりなされる。
【0067】
このように、本実施形態においては、パスマッチ経路部320内に配された全反射ミラー331を走査してフリンジスキャンを行っているので、薄膜307の表裏各面のように、基準面に相当する面と、被検面に相当する面が互いに分離不可とされているような場合にも、簡易かつ高精度にフリンジスキャン計測を行なうことができる。
【0068】
また、上述したパスマッチ経路部320は、ハーフミラー面321aから全反射ミラー330に至り、ハーフミラー面321aに戻る第1の経路と、ハーフミラー面321aから全反射ミラー331に至り、ハーフミラー面321aに戻る第2の経路との光路長差が、薄膜307の斜め入射に対する光学的厚み(光学光路長)の2倍に略等しくなるように、全反射ミラー331の矢印C方向への移動調整がなされる(全反射ミラー331の移動機構は図示せず)。
【0069】
このような構成により、光源301として、可干渉距離が薄膜307の斜め入射に対する光学的厚み(光学光路長)の2倍よりも短い光を出射する低可干渉光源を用いて、上記光干渉以外の、ノイズの原因となり得る光干渉が生じないようにすることが可能であるから、薄膜307の表裏面の厚みムラ等を高精度で測定することが可能である。
【0070】
<本発明の適用が特に有用な使用方法>
以下、本発明の干渉計装置を適用すると特に有用である、第1、第2および第3の使用方法について図6〜8を用いて説明する。
【0071】
ここで、これら3つの使用方法について説明する図6〜8においては、光源からコリメータレンズまでの部分は、いずれも上述した第1実施形態および第2実施形態の構成と略同様の構成とされているから、第1実施形態の部材と対応する部材については、原則として、第1実施形態の部材に付された符号に400を加えた符号を付す(第1の使用方法)、または500を加えた符号を付す(第2の使用方法)、または600を加えた符号を付す(第3の使用方法)ようにして、その詳細な説明は省略する。
【0072】
<第1の使用方法>
この第1の使用方法は、図6に示すように、本発明を球面測定用フィゾー型干渉計装置の測定に適用したものである。一般の球面測定用フィゾー型干渉計装置において球面の表面形状をフリンジスキャニング法を用いて解析する場合には、基準レンズ406(収束レンズ441と球面レンズ442からなる)をピエゾ素子により光軸方向に走査することになるが、このようにすると基準レンズ面(基準面)406aにおいて反射する光束(発散光束)において、光軸上の光線の光路長がΔLだけ変化したとき、光軸に対して角度θ傾いて基準レンズ面406aから反射される光線は光路長がΔLcosθしか変化しないため、これに応じて解析結果に誤差が生じる。
【0073】
これに対し、本発明を適用した装置においては、パスマッチ経路部420内に配された光路長変更部430を走査してフリンジスキャンを行なっているので、被検面407a(ここではボールレンズ407の球表面)の表面形状の解析結果にこのような誤差は生じない。
【0074】
<第2の使用方法>
この第2の使用方法は、図7に示すように、本発明を重量の大きい基準板を備えたフィゾー型干渉計装置の測定に適用したものである。このように重量の大きい基準板や、Fナンバーを明るくする目的で多数のレンズからなる重い基準レンズを用いた干渉計装置においては、従来、フリンジスキャンを行なうために例えば3個のピエゾ素子により重い基準板や基準レンズを支持し、かつ走査させているが、このようにするとピエゾ素子を複数個用いることによりコスト高となるとともに、重い基準板や基準レンズをフリンジスキャン走査するためのフリンジスキャン機構を設けることにより装置強度の低下および耐振動性の低下を招来する。
【0075】
これに対し、本発明を適用した装置においては、パスマッチ経路部520内に配された光路長変更部530を走査してフリンジスキャンを行なっているので、重い基準板506をフリンジスキャン走査する必要がなくなり、図7に示すように、この基準板506は堅牢で耐振動性に優れた基準板保持機構(被検体507の載置台としての機能も有する)508に固設することが可能となる。また、ピエゾ素子を1つ用いれば十分となり製造コストの低下を図ることができる。
【0076】
なお、図7において、基準板保持機構508は、上板508aと下板508cが傾き調整機構508bを介して対向配置され、さらに基準板506を保持する基準板保持部材526が基準板傾き調整機構517を介して上板508a上に取り付けられる構造とされている。
【0077】
<第3の使用方法>
この第3の使用方法は、図8に示すように、断面矩形状の長尺ガラスロッドの絶対形状を3枚合わせ手法を用いて測定解析するフィゾー型干渉計装置の測定に本発明を適用したものである。
【0078】
撓みなどの問題が発生しやすい長尺のガラスロッド等の被検体の絶対形状を測定する手法として、3つの被検体を2つずつ取り出してそれぞれの相対形状を測定し、得られた3つの相対形状を演算して該3つの被検体各々の絶対形状を測定する、いわゆる3枚合わせの手法が知られている(特開平11−37742号公報等を参照)。このような手法を採用する場合、これらの被検体をフリンジスキャンする機構を構築することが難しいという理由から、従来、3枚合わせの手法においてフリンジスキャン計測は採用し難いとされていた。
【0079】
しかし、本発明を適用した装置においては、パスマッチ経路部620内に配された光路長変更部630を走査してフリンジスキャンを行なっているので、載置台608上に載置した、第1被検体606および第2被検体607の各被検面606a(基準面)、607a間の相対形状を高精度かつ容易に測定でき、フリンジスキャン計測を用いた3枚合わせの手法により、長尺のガラスロッド等の被検体の絶対形状を測定することが可能となる。
【0080】
なお、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置においては、上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
【0081】
例えば、上述したパスマッチ経路部20は、第1の経路と第2の経路との光路長差が、基準板6の基準面6aと被検体7の被検面7aとの光学的距離Lの2倍に略等しいように設定できればよく、上記実施形態の形状に限られるものではない。また、位相差可変手段は第2の経路ではなく、第1の経路に設けるようにしてもよい。さらに、位相差可変手段は、2つの経路を通過する光束の位相差を変化させ得るものであればよく、例えば、一方の経路上にバビネ−ソレイユ板等の光路長可変部材を挿入することで、2つの経路を通過する光束の位相差を変化させるものであってもよい。
【0082】
また、2つの経路は、少なくとも一方を光ファイバにより構成して、パスマッチ経路部をコンパクトに構成してもよい。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置によれば、光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が基準面と被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、合波して出力するパスマッチ経路部に、2つの経路を通過する光束の位相差を変化させてフリンジスキャンを可能とする位相差可変手段を設けている。
【0084】
これにより、重量の大きい基準板を複数のピエゾ素子によって移動させるようにせずとも、1つのピエゾ素子14によって、簡易かつコンパクトにフリンジスキャンを行なうことができるので、外部振動の影響を受けにくい基準板支持構造とすることが可能となり、さらに製造コストを安価とすることができる。
【0085】
また、本発明のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置は、基準板を組み込んでいないタイプのユニットにおいてもフリンジスキャンを行ない得るように構成されているので、基準板をユーザ側で用意するような状況においても別途フリンジスキャンのための手段を付加することなく、製造コストを低廉なものとしつつ、フリンジスキャンを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示す装置構成図
【図2】図1に示す光路長変更部の変更例を示す概略図
【図3】本発明の第2実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示す装置構成図
【図4】本発明の第3実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示す装置構成図
【図5】本発明の第4実施形態に係るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置を示す装置構成図
【図6】本発明を適用した干渉計装置における第1の使用方法を説明するための概略図
【図7】本発明を適用した干渉計装置における第2の使用方法を説明するための概略図
【図8】本発明を適用した干渉計装置における第3の使用方法を説明するための概略図
【符号の説明】
1、201、301、401、501、601・・・光源
2、202、302、402、502、602、5、205、305a、405、505、605・・・コリメータレンズ
3、203、303、403、503、603・・・発散レンズ
4、21、22、204、221、321、404、421、422、504、521、522、604、621、622・・・ハーフプリズム
4a、21a、22a、204a、221a、321a・・・ハーフミラー面
6、106、107、506・・・基準板
6a、106a、107a、207a(表面)、307a(表面)、406a(基準レンズ面)、506a、606a(被検面)・・・基準面
7、507、606、607・・・被検体(透明平行板)
7a、207b(裏面)、307b(裏面)、407a、507a、606a(基準面)、607a・・・被検面
7b・・・非被検面
8・・・載置面
9、209、309、409、509、609・・・イメージングレンズ
10、210、310、410、510、610・・・撮像カメラ
11・・・コンピュータ
12・・・画像表示部
13・・・入力手段
14、214、314、414、514、614・・・ピエゾ素子
15・・・ステージコントローラ
16・・・ピエゾドライバ
20、220、320、420、520、620・・・パスマッチ経路部
23、24、223、224、230、231、323、324、330、331、423、424、425、523、524、525、623、624、625・・・全反射ミラー
30、40、430、530、630・・・光路長変更部
31、41、431、531、631・・・プレート
43・・・直角二等辺三角柱プリズム
50・・・ユニット
207・・・薄板サンプル
208、308、508、608・・・載置台
307・・・薄膜
305b、441・・・収束レンズ
306・・・基板
406・・・基準レンズ
407・・・ボールレンズ
442・・・球面レンズ
508・・・基準板保持機構(載置台)
Z・・・光軸
t1・・・被検体の厚み
Claims (6)
- 光源と、この光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が干渉計の基準面と被検体の被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、該2つの光束を合波して出力するパスマッチ経路部と、このパスマッチ経路部から出力された光束を平行光束として前記基準面に照射するコリメータレンズとを備え、該基準面で反射された光波面と該基準面を透過し前記被検面で反射された光波面との干渉により生じる干渉縞に基づいて該被検面の波面情報を得るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置において、
前記パスマッチ経路部に、前記2つの経路を通過する光束の位相差を変化させて縞走査を可能とする位相差可変手段を備えてなることを特徴とするフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置。 - 光源と、この光源からの光束を2つの光束に分岐し、これら2つの光束を、互いの光路長差が干渉計の基準面と被検体の被検面との光学的距離の2倍に相当するように調整された2つの経路を別々に通過させた後、該2つの光束を合波して出力するパスマッチ経路部と、このパスマッチ経路部から出力された光束を平行光束として前記基準面に照射するコリメータレンズと、該基準面を有する基準板とを備え、該基準面で反射された光波面と該基準面を透過し前記被検面で反射された光波面との干渉により生じる干渉縞に基づいて該被検面の波面情報を得るフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置において、
前記パスマッチ経路部に、前記2つの経路を通過する光束の位相差を変化させて縞走査を可能とする位相差可変手段を備えてなることを特徴とするフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置。 - 前記被検体が透明平行板であり、前記光源から出力された前記光束は、可干渉距離が前記透明平行板の厚み(ただし、光学的距離)の2倍よりも小さく設定された低可干渉光束であることを特徴とする請求項1または2記載のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置。
- 前記位相差可変手段が、光束が照射される光学部材を物理的に移動させることにより、前記2つの経路を通過する光束の位相差を変化させるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置。
- 前記光学部材の物理的な移動は、ピエゾ素子を用いて行われることを特徴とする請求項4記載のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置。
- 前記光学部材は、前記2つの経路のうちの少なくとも一方を180度折り曲げる2つのミラーまたは1つのプリズムであることを特徴とする請求項4または5記載のフリンジスキャン機能を備えた干渉計装置。
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