JP2005042701A - ハイブリッド駆動装置の制御装置及びハイブリッド駆動装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイブリッド駆動装置に用いるトルクリミッタ機構の耐久性を向上させること。
【解決手段】ハイブリッド駆動装置の制御装置は、キャリアの回転数Ncと、エンジンの回転数Neとから、両者の回転差の絶対値|Ne−Nc|=δNを求める(ステップS103)。ハイブリッド駆動装置の制御装置は、δNが所定値Nl以上である場合には(ステップS104;Yes)、トルクリミッタに連続する滑りが発生していると判定する(ステップS105)。このとき、ハイブリッド駆動装置の制御装置は、エンジンの出力トルクを減少させるように制御する(ステップS106)。
【選択図】 図4
【解決手段】ハイブリッド駆動装置の制御装置は、キャリアの回転数Ncと、エンジンの回転数Neとから、両者の回転差の絶対値|Ne−Nc|=δNを求める(ステップS103)。ハイブリッド駆動装置の制御装置は、δNが所定値Nl以上である場合には(ステップS104;Yes)、トルクリミッタに連続する滑りが発生していると判定する(ステップS105)。このとき、ハイブリッド駆動装置の制御装置は、エンジンの出力トルクを減少させるように制御する(ステップS106)。
【選択図】 図4
Description
この発明は、いわゆるハイブリッド車両に関し、さらに詳しくは、エンジンとモータとをつなぐトルクリミッタ機構の耐久性を向上させることのできるハイブリッド駆動装置の制御装置及びハイブリッド駆動装置の制御方法に関する。
近年においては、燃料の燃焼により動力を発生するエンジンと、電力の供給により動力を発生する電動機とを搭載したハイブリッド車両が普及しつつある。このようなハイブリッド車両は、運転条件に基づいてエンジン及び電動機の駆動、停止を制御したり、減速時や下り坂等においては運動エネルギーを電気エネルギーに変換したりすることによって、燃費の向上や排気ガスの低減を図ることができる。
このようなハイブリッド車両では、エンジン出力と電動機出力とを合成するにあたって、両者間に発生するトルク変動を吸収する必要がある。このため、特許文献1には、エンジンと電動機との間に摩擦を利用したいわゆるトルクリミッタを介在させることにより、エンジンと電動機との間に発生するトルク変動を抑制する技術が開示されている。
しかしながら、上記トルクリミッタは摩擦を利用するものなので、連続して滑りが発生した場合には、トルクリミッタの耐久性を低下させてしまう。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、トルクリミッタの耐久性を向上させることのできるハイブリッド駆動装置の制御装置及びハイブリッド駆動装置の制御方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、この発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、前記トルクリミッタに対して、所定値以上のトルクが連続して入力された場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定部と、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、を有することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、トルクリミッタに所定値以上のトルクが連続して入力された場合には、エンジンの出力トルクを低減させるように制御する。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、前記エンジンの回転数と前記電動機の回転数とから、前記トルクリミッタの滑り回転数を求める滑り判定部と、前記回転数差が所定の制限値よりも大きい場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、を有することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、エンジンの回転数と電動機の回転数差が所定の制限値よりも大きい場合には、トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定してエンジンの出力トルクを低減させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、前記エンジンの回転数と前記電動機の回転数とから、両者の回転数差を求める滑り判定部と、前記回転数差が所定の制限値よりも大きい場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定部と、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、を有することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、エンジンの回転数と電動機の回転数差が所定の制限値よりも大きい場合には、トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定してエンジンの出力トルクを低減させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、前記トルクリミッタの使用開始からの特定期間における前記所定の値又は前記所定の制限値を、前記特定期間経過後における前記所定の値又は前記所定の制限値よりも大きくしたことを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、トルクリミッタの使用開始からの特定期間においては、過大なトルクが入力されているか否かの判定に用いる制限値を特定期間経過後よりも大きく設定する。これにより、特定期間を早く終了させることで、トルクリミッタを安定して使用できる期間を増加させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、前記特定期間経過後の期間の末期における前記所定の値又は前記所定の制限値は、前記末期よりも前の期間における前記所定の値又は前記所定の制限値よりも小さくすることを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、トルクリミッタの使用開始から特定期間が経過した後における期間の末期では、過大なトルクが入力されているか否かの判定に用いる制限値を、末期前よりも小さく設定する。これにより、トルクリミッタの使用末期においては、トルクリミッタに発生する連続する滑りを抑制できるので、トルクリミッタの使用末期における劣化を抑制できる。その結果、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、さらに、前記トルクリミッタに入力された過大なトルクの値を格納する記憶部を有し、前記記憶部に格納した過大なトルクの値とエンジンの出力トルク値とを比較し、エンジンの出力トルク値が前記過大なトルクの値以上である場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、トルクリミッタに入力された過大なトルク値を学習させて、一度過大なトルクが入力された後は、それ以上のトルクがトルクリミッタに入力されないように制御する。これによってトルクリミッタの耐久性をさらに向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、前記記憶部に格納された前記過大なトルクの値を、所定期間経過毎に増大させて更新することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、所定期間経過毎に、トルクリミッタに入力される過大なトルクの値の制限値を増加させる。これにより、過大なトルクの入力を抑制してトルクリミッタの耐久性を向上させることができるとともに、トルクリミッタやエンジンの経時変化を考慮してエンジンの出力トルクを制限する制御を実行できる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、前記記憶部に格納された前記過大なトルクの値、又は前記過大なトルクの値の更新頻度のうち少なくとも一つを、前記トルクリミッタの使用開始から特定期間までと、前記特定期間経過後とで変更することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、トルクリミッタの使用開始からの特定期間においては、特定期間における学習値、すなわち過大なトルクの値の学習頻度又は増加分を特定期間経過後よりも大きくする。これにより、特定期間を早く終了させることができるので、トルクリミッタを安定して使用できる期間を増加させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、前記トルクリミッタの使用開始から特定期間における前記過大なトルクの値の更新頻度を、前記特定期間経過後における前記更新頻度よりも多くすることを特徴とする。
このように、特定期間における更新頻度を多くすることで、特定期間を早く終了させることができるので、トルクリミッタを安定して使用できる期間を増加できる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、前記特定期間経過後の期間の末期における前記記憶部に格納された前記過大なトルクの値は、前記末期よりも前の期間よりも小さくすることを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、トルクリミッタの使用開始から特定期間が経過した後における期間の末期では、記憶部に格納された過大なトルクの値を、末期前よりも小さく設定する。これにより、トルクリミッタの使用末期においては、トルクリミッタに発生する連続する滑りを抑制できるので、トルクリミッタの使用末期における劣化を抑制できる。その結果、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、前記過大なトルクの値を更新した履歴に基づいて前記特定期間を求めることを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、過大なトルクの値を更新した履歴に基づいてトルクリミッタの使用を開始したときからの特定期間を判定するので、過大なトルクの値の学習頻度又は増加分を変更する時期の判定精度が向上する。その結果、トルクリミッタを安定して使用できる期間を増加できるので、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、さらに、前記過大なトルクが前記トルクリミッタに入力されているときの前記トルクリミッタの温度又は前記エンジンの回転数の少なくとも一方に対応させて、前記過大なトルクの値を前記記憶部に格納することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、トルクリミッタに連続する滑りが発生しない運転条件ではエンジンの出力トルク制限を実行しない。これにより、過大なトルクの入力を抑制してトルクリミッタの耐久性を向上させることができるとともに、エンジンの出力トルク制限よって運転者が感じる違和感を低減できる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、前記トルクリミッタの許容入力トルク値を格納する制限値格納部と、前記許容入力トルク値以上の前記エンジンの出力トルクが所定の基準時間以上入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、を有することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、許容入力トルク値以上のエンジンの出力トルクが所定の基準時間以上入力されている場合には、トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定してエンジンの出力トルクを低減させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、前記トルクリミッタの許容入力トルク値を格納する制限値格納部と、前記許容入力トルク値以上の前記エンジンの出力トルクが所定の基準時間以上入力されている場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定部と、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、を有することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、許容入力トルク値以上のエンジンの出力トルクが所定の基準時間以上入力されている場合には、トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定してエンジンの出力トルクを低減させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、前記トルクリミッタの使用開始から特定期間における前記所定の前記許容入力トルク値を、前記特定期間経過後における前記許容入力トルク値よりも大きくしたことを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、トルクリミッタの使用開始からの特定期間においては、過大なトルクが入力されているか否かの判定に用いる制限値を特定期間経過後よりも大きく設定する。これにより、特定期間を早く終了させることで、トルクリミッタを安定して使用できる期間を増加させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、前記ハイブリッド駆動装置の制御装置において、さらに、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力された履歴を格納する履歴格納部を有することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、過大なトルクがトルクリミッタに入力された履歴を記憶するので、この履歴からトルクリミッタの性能低下状態を推定することができる。これにより、警告等によってハイブリッド駆動装置を搭載した車両の運転者に点検・修理を促すことができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御方法は、エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を運転するにあたり、前記エンジンの回転数と前記電動機の回転数とから、両者の回転数差を求める滑り判定工程と、前記回転数差が所定の制限値よりも大きい場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定工程と、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御工程と、を有することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御方法は、エンジンの回転数と電動機の回転数差が所定の制限値よりも大きい場合に、トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定してエンジンの出力トルクを低減させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御方法は、エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を運転するにあたり、予め定めた前記トルクリミッタの許容入力トルク値以上である前記エンジンの出力トルクが所定の基準時間以上入力されている場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定工程と、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御工程と、を有することを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御方法は、許容入力トルク値以上のエンジンの出力トルクが所定の基準時間以上入力されている場合には、トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定してエンジンの出力トルクを低減させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御方法は、前記ハイブリッド駆動装置の制御方法において、前記トルクリミッタの使用開始から特定期間における前記所定の制限値又は前記許容入力トルク値を、前記特定期間経過後における前記所定の制限値又は前記許容入力トルク値よりも大きくしたことを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御方法は、トルクリミッタの使用開始からの特定期間においては、過大なトルクが入力されているか否かの判定に用いる制限値を特定期間経過後よりも大きく設定する。これにより、特定期間を早く終了させることで、トルクリミッタを安定して使用できる期間を増加させる。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
また、次の発明に係るハイブリッド駆動装置の制御方法は、前記ハイブリッド駆動装置の制御方法において、前記特定期間経過後の期間の末期における前記所定の値又は前記所定の制限値は、前記末期よりも前の期間における前記所定の値又は前記所定の制限値よりも小さくすることを特徴とする。
このハイブリッド駆動装置の制御装置は、トルクリミッタの使用開始から特定期間が経過した後における期間の末期では、過大なトルクが入力されているか否かの判定に用いる制限値を、末期前よりも小さく設定する。これにより、トルクリミッタの使用末期においては、トルクリミッタに発生する連続する滑りを抑制できるので、トルクリミッタの使用末期における劣化を抑制できる。その結果、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及びハイブリッド駆動装置の制御方法では、トルクリミッタに所定値以上のトルクが連続して入力された場合には、エンジンの出力トルクを低減させるように制御するようにした。これにより、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、以下の説明においては、乗用車、トラック、バスその他の車両に対して本発明を適用した場合を例とするが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、ハイブリッド駆動部を持つ車両全般に対して適用可能である。
実施例1に係る本発明は、エンジンと出力軸間にトルクリミッタ機構を備えており、当該トルクリミッタ機構が予め定めた値以上滑った場合には、エンジンの出力トルクを低減するように制御する点に特徴がある。次に、実施例1に係る本発明について詳細に説明する。
図1は、実施例1の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置を適用したHV車両の駆動部を示す説明図である。このハイブリッド駆動装置200は、例えば乗用車やバス等に搭載される。そして、2台のモータ・ジェネレータ(以下MGという)と、エンジンとを備え、エンジンの出力とMGの出力とを遊星歯車装置100によって合成してタイヤを駆動するものである。
遊星歯車装置100の第1遊星歯車回転軸51は、第1MG71と遊星歯車装置100のリング100rとを連結している。リング100rの内側には、キャリア100cに支持されたピニオンギヤ100pと噛み合うリングギヤ100rgが備えられている。第2遊星歯車回転軸52は中空構造であって、内部に第3遊星歯車回転軸53が配置されるとともに、遊星歯車装置100のサンギヤ100sと第2MG72とを連結している。第3遊星歯車回転軸53は、前記第2遊星歯車回転軸52の内部に配置されており、前記ピニオンギヤ100pを支持するキャリア100cと連結されている。また、第3遊星歯車回転軸53には、トルクリミッタ5を介してエンジン7が接続されおり、例えばエンジン7の始動時に発生する共振現象によってエンジンとMGとの間に周期的に過大なトルクが発生した場合には、トルクリミッタ5がこれを吸収する。このような遊星歯車装置100によって、第1MG71、第2MG72及びエンジン7の出力を合成するとともに、過大なトルクが遊星歯車装置100に伝わらないようにしてある。
第1、第2MG71、72は、第1、第2鉄心71F、72Fと第1、第2コイル71C、72Cとで構成されたステータと、その内部に配置されて回転する第1、第2ロータ71R、72Rによって構成される。第1、第2MG71、72は、それぞれ電動機及び発電機としての機能を持つが、以下の説明においては、第1MG71を電動機として、第2MG72を発電機として用いる場合を例にとる。この場合、第2MG72はエンジン7のトルクの反力を受けることにより、発電機として機能する。
車両の加速時や坂道登坂時等のように負荷の大きいときには、第1MG71及びエンジン7の出力を遊星歯車装置100で合成して、この合成出力をドライブギヤ54へ伝達する。ドライブギヤ54と噛合うドリブンギヤ55は、伝達された合成出力をギヤ56、57を介してデファレンシャルギヤ58へ伝え、ドライブシャフトを介してタイヤ59を駆動する。
ハイブリッド駆動装置の制御装置10は、処理部10aと記憶部10rとを有しており、トルクリミッタ5の連続した滑りを検出してエンジン7の出力トルクを制限する機能を持つ。また、ECU(Engine Control Unit)9は、エンジン7のクランクシャフト7cに取り付けられたクランク角センサ30cやアクセル開度等の条件に基づいて、エンジン7の点火時期、燃料噴射量等を制御することにより、エンジン7の出力を制御する。
図2は、実施例1の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置が備える処理部の機能ブロック図である。処理部10aは、滑り判定部10s、過大入力判定部10t、エンジン出力制御部10c及び学習更新部10srを備えている。滑り判定部10sは、回転数センサ301、302及びクランク角センサ30cからの入力A、B及びCを受けて、トルクリミッタ5の滑り回転数を求める。過大入力判定部10tは、トルクリミッタ5の滑り回転数からトルクリミッタ5に過大なトルクが入力されているか否かを判定する。エンジン出力制御部10cは、トルクリミッタ5に過大なトルクが入力されている場合に、エンジン7の出力を制限する。学習更新部10srは、トルクリミッタ5に過大なトルクが入力されないように、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生した場合におけるエンジン7の出力トルク値を、入力トルク制限の学習値として記憶部10rへ格納する。
なお、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の記憶部10rは、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。また、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の処理部10aは、専用のハードウエアによって前記滑り判定部10sや前記過大入力判定部10t等の機能を実現するものであってもよい。さらに、この処理部10aはメモリ及びCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)により構成され、処理部10aの機能を実現するためのプログラム(図示省略)をメモリにロードして実行することにより前記滑り判定部10sや前記過大入力判定部10t等の機能を実現させるものであってもよい。
ここで、トルクリミッタ5に対して、連続的な過大なトルクが入力されないようにする理由について説明する。トルクリミッタ5は、2枚のクラッチ板間における摩擦を利用することにより、突発的に発生する過大な入力トルクを板材同士が滑って逃がす機能を持つ。例えば、第2MG72等を用いてエンジン7を始動させるときには10Hz〜20Hzのトルク振幅をもつ共振現象が発生し、瞬間的に過大なトルクが発生するが、このトルクリミッタ5は、このような過大なトルクを逃がすように機能する。しかし、このようにトルクリミッタ5はクラッチ板に取り付けられた摩擦材の摩擦を利用するものなので、過大なトルクが連続して入力される場合には、クラッチ板同士が連続的に滑ることになる。これにより、クラッチ板に取り付けられた摩擦材の摩擦係数が低下して、トルクリミッタ5が伝達可能なトルクが低下するので、トルクリミッタ5の滑りはさらに顕著になり温度もさらに上昇する。その結果、発熱によってトルクリミッタ5のクラッチ板及び摩擦材に焼損が発生して、トルクリミッタ5のトルク伝達性能が低下するおそれがある。
このトルクリミッタ5は、エンジン7と第1、第2MG71、72との間に介在するものであるが、トルクリミッタ5のトルク伝達性能が低下すると、所望のエンジン7の出力を遊星歯車装置100へ伝達することができない。その結果、エンジン7によるHV車両の走行性能が低下してしまう。また、エンジン7によって第1、第2MG71、72を発電機として駆動することによる発電性能も低下するので、HV車両に搭載された蓄電池の放電が進み、HV車両の走行性能が低下してしまう。すなわち、トルクリミッタ5のトルク伝達性能が低下すると、HV車両の走行性能が低下してしまう。したがって、上記のような動力伝達部を備えるHV車両においては、トルクリミッタ5の耐久性の低下を抑制する必要がある。
通常、トルクリミッタ5は、過大なトルクが入力されたとしても、連続する滑りが発生しないような許容入力トルク値を持つものを選択して使用する。しかし、トルクリミッタ5やエンジン7の製造ばらつきや経時変化、劣化、その他何らかの異常によって、許容入力トルク値が公称値よりも低いトルクリミッタが存在したり、出力トルクが公称値よりも大きいエンジンが存在したりする可能性がある。また、エンジンの出力は気温や湿度によって左右され、外気温が低い場合には公称値よりも大きい出力トルクを発生する場合がある。このような条件が単独で、あるいは複数の前記条件が重なった場合、トルクリミッタ5に対して過大なトルクが入力されることとなる。そして、連続する滑りがトルクリミッタ5に発生して、トルクリミッタ5の耐久性を著しく低下させる結果、HVの走行性能低下を招くおそれがある。本願発明者らは、鋭意研究の結果、上記問題点及びその原因を解明し、その解決手段として、トルクリミッタ5に対して、連続的な過大なトルクが入力されないように制御する方法を提案するものである。次に、上記問題解決のための具体的な手法について説明する。
図3は、遊星歯車装置を構成する各ギヤとその回転数との関係を示す説明図である。図3の縦軸は、リングギヤ100rg、キャリア100c、及びサンギヤ100sの回転数を表す。この遊星歯車装置100では、第1MG71(すなわちリングギヤ100rg)の回転数Nrと、第2MG72(すなわちサンギヤ100s)の回転数Nsとが定まれば、遊星歯車装置100のギヤ比からエンジン7(すなわちキャリア100c)の回転数Ncが一義的に定まる。したがって、第1MG71と第2MG72との回転数を取得して、キャリア100cの回転数Ncを求め、これと、エンジン7の回転数Neとを比較すれば、トルクリミッタ5の滑り量を求めることができる。
図4は、実施例1の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置の動作手順を示すフローチャートである。図4を用いて、実施例1の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置の動作手順、及びハイブリッド駆動装置の制御方法を説明する。なお、この説明においては、適宜図1及び図2を参照されたい。実施例1に係る本発明のハイブリッド駆動装置の制御装置10は、トルクリミッタ5の滑り量を検知して、トルクリミッタ5が所定量以上滑っている場合には、エンジン7の出力トルクを制限するように動作する。このハイブリッド駆動装置の制御装置10は、トルクリミッタ5の滑りを検知するため、回転数センサ301、302、及びクランク角センサ30cから、第1MG71と第2MG72との回転数Nr(入力A)、Ns(入力B)、及びエンジン7の回転数Ne(入力C)を取得する(ステップS101)。
次に、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の処理部10aが有する滑り判定部10sは、取得した第1MG71と第2MG72との回転数Nr、Nsから、キャリア100cの回転数Ncを求める(ステップS102)。ここで、第1MG71及び第2MG72の回転数は、これらと同軸に設けられた回転数センサ301、302によって検出する。また、エンジン7の回転数Neは、エンジン7のクランクシャフト7cに取り付けられたクランク角センサ30cからの出力信号に基づいて求める。
次に、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の処理部10aが備える滑り判定部10sは、キャリア100cの回転数Ncと、エンジン7の回転数Neとから、両者の回転差の絶対値|Ne−Nc|=δNを求める(ステップS103)。すなわち、トルクリミッタ5がこの回転数で滑っていることになる。そして、δNが存在すれば、キャリア100cとエンジン7との間に存在するトルクリミッタ5が滑っていると判断できる。このとき、第1MG71の回転数Nr、第2MG72の回転数Ns、及びエンジン7の回転数Neの検出誤差を考慮して、処理部10aが備える過大入力判定部10tは、δNが所定値Nl以上である場合には(ステップS104;Yes)、トルクリミッタ5が連続して滑っていると判定する(ステップS105)。この所定値Nlは、回転数NrやNeの検出精度にもよるが、一例としてはNlを40〜50rpm程度に設定する。なお、δNが所定値Nlよりも小さい場合には(ステップS104;No)、トルクリミッタ5は連続して滑っていないと判断できるので、引き続きトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
ここで、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生した回数をカウントし、そのカウント回数によって、所定値Nlの大きさを変更してもよい。例えば、トルクリミッタ5の使用を開始してからの特定期間はトルクリミッタ5の慣らし期間であり、滑りの発生とともに許容入力トルクが上昇する。この期間を早く終了させるため、トルクリミッタ5の使用を開始してからの特定期間は、当該特定期間経過後よりも所定値Nlを大きく設定する。そして、トルクリミッタ5の使用を開始してからの特定期間経過後は、所定値Nlを特定期間よりも小さくして、トルクリミッタ5の滑りの総距離を短くすることで、耐久性を向上させる。
トルクリミッタ5が連続して滑っていると判定した場合には(ステップS105)、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の処理部10aが備えるエンジン出力制御部10cは、エンジン7の出力トルクを減少させるように制御する(ステップS106)。これは、例えば前記エンジン出力制御部10cがECU9に対してエンジン7のトルク制限の割り込み制御をかけることによって、エンジン7に対する燃料噴射量を制限することによりエンジン7のトルクを減少させることができる。このように、トルクリミッタ5の連続する滑りを検知したらエンジン7の出力トルクを減少させることによって、トルクリミッタ5の連続する滑りによる耐久性低下を抑制することができ、車両の走行性能低下を抑制することができる。なお、トルクリミッタ5が滑っていると判断したら、ただちにハイブリッド駆動装置の制御装置10の処理部10aが備えるエンジン出力制御部10cが、エンジン7の出力トルクを減少させるように制御してもよい(以下同様)。
エンジン7のトルクを減少させることによってトルクリミッタ5の連続する滑りがなくなったら、上記トルク減少制御を中止し、通常の制御モードに復帰する。そして、学習更新部10srが、トルクリミッタ5の連続する滑りが発生した場合におけるエンジン7の出力トルクTeの値を、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の記憶部10rに記憶させる。なお連続する滑りが発生した場合におけるエンジン7の出力トルクTeの値は、トルクリミッタ5に入力された過大なトルク値であり、学習値となる。
ここで、エンジン7の出力トルクTeの値は、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生した場合におけるエンジン7の要求出力から逆算することによって求めることができる。また、エンジン7の反力受けの機能を果たす第2MG72の反力を検知することによっても求めることができる。
このようにして、エンジン7の出力トルクの制限値を更新して、新たな出力トルクの制限値をハイブリッド駆動装置の制御装置10に学習させる(ステップS107)。なお、学習初期においては、エンジン7の出力トルクは特に制限されていない。ここで、前記ステップS106とステップS107との順番を逆に、すなわち、エンジン7の出力トルク制限と、エンジン7の出力トルク制限値の学習との順序を逆にしてもよい(以下同様)。また、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生した場合におけるエンジン7の運転条件も同時に記憶させてもよい。このようにすれば、連続する滑りが発生したときの条件から、連続する滑りの原因を特定しやすくなる。
なお、最初に連続する滑りが発生した後は、次のようにして過大トルクの入力を制限してもよい。すなわち、学習させたエンジン7の出力トルクTeの制限値、すなわち学習値とエンジン7の出力トルクTeとを比較する。そして、エンジン7の出力トルクTeが学習値以上になったら、滑り判定部10sは過大トルクがトルクリミッタ5に入力されていると判定する。この判定結果に基づき、エンジン出力制御部10cがエンジン7の出力トルクTeを制限する。
ハイブリッド駆動装置の制御装置10の学習が終了したら、処理部10aは、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の記憶部10rに、エンジン7の出力トルクを制限した記録を自己診断ログとして記憶させる(ステップS108)。このとき、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生した回数(すなわち出力トルクを制限した回数)も履歴として同時に記憶させてもよい。このとき、記憶部10rは、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の履歴格納部として機能する。このようにすれば、連続する滑りが発生した履歴を調査することができるので、定期点検時等にこの履歴からトルクリミッタ5の消耗度合い、すなわち性能低下状態を知ることができる。その結果、消耗が激しい場合には、修理、交換するので、トルクリミッタ5の大きな性能低下を未然に防止して、車両の走行性能を確保することができる。
また、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生したことに対する警告を計器パネル8の警告灯8w(図1参照)等に表示する(ステップS108)。この警告は1回でも連続する滑りが生じたら発してもよいし、予め定めた回数だけトルクリミッタ5の連続する滑りが生じたら発してもよい。後者の場合、トルクリミッタ5の連続する滑りが頻発してきたら警告を発して、運転者に点検・修理を促すようにすることができる。なお、トルクリミッタ5の連続する滑りが発生したら、エンジン7の出力トルクを制限するステップ(ステップS106)は実行せず、上記警告を発して、出力トルクの制限値をハイブリッド駆動装置の制御装置10に記憶させてもよい。
このように、記憶部10rに残っている自己診断ログの記録を調べることで、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生したことを知ることができる。また、表示された警告により、運転者はトルクリミッタ5に連続する滑りが発生したことを知ることができ、当該警告に基づいて車両の走行性能が大きく低下する前にトルクリミッタ5を修理することができる。なお、トルクリミッタ5を点検・修理していない場合には(ステップS109;No)、引き続きトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。前記修理を完了した場合には(ステップS109;Yes)一連の手順が終了し、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の記憶部10rに記録された学習情報が初期化されて、再びトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
以上、実施例1に係る本発明によれば、トルクリミッタに規定値以上の滑りが発生したらエンジンの出力トルクを制限するので、トルクリミッタに対する過大なトルクの連続入力を抑制して、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。その結果、トルクリミッタの耐久性向上によって、車両の走行性能を確保することができる。さらに、遊星歯車装置とエンジンとの回転差からトルクリミッタの連続する滑りを求めるので、連続する滑りを確実に検知してトルクリミッタを保護することができる。
また、出力トルク制限値の学習機能を備えているので、一度過大なトルクが入力された後は、それ以上のトルクがトルクリミッタに入力されることはない。これによってトルクリミッタの耐久性を飛躍的に向上させることができる。さらに、出力トルクの制限回数によって、トルクリミッタの性能低下状態を推定することができるので、車両の走行性能が大きく低下する前に、警告等によって運転者に点検・修理を促すことができる。なお、実施例1で開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用することができる。また、実施例1で開示した構成と同様の構成を含むことにより、実施例1に係る本発明と同様の作用・効果を奏する。
実施例2の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置11は、上記実施例1に係るハイブリッド駆動装置の制御装置10と略同一の構成であるが、トルクリミッタ5が現実に滑っているか否かに関係なく、所定値よりも大きいエンジン7の出力トルクが一定時間以上入力された場合には、エンジン7の出力トルクを制限する点が異なる。その他の構成は実施例1と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。
図5は、トルクリミッタの許容トルクばらつきとエンジンの出力トルクのばらつきとの関係を示す説明図である。エンジン7及びトルクリミッタ5は、製造上のばらつきがある。このため、製造された複数のエンジン7及びトルクリミッタにおいては、その出力トルクTe及び許容入力トルクTlが図5に示すような分布をもつ。実施例2に係る本発明が適用できるHV車両の動力伝達部(図1参照)では、前記出力トルクTe及び許容入力トルクTlのばらつきを考慮した上で、出力トルクのばらつき上限値Temaxが、許容入力トルクのばらつき下限値Tlminを超えないようにしてある(図5)。すなわち、エンジン7の出力トルクTeが、許容入力トルクのばらつき下限値Tlminよりも大きい場合であって、かつ一定時間以上トルクリミッタ5に入力された場合には、エンジン7の出力トルクを制限する制御を実行する。
図6は、実施例2の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置を適用したHV車両の駆動部を示す説明図である。また、図7は、実施例2の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置が備える処理部の機能ブロック図である。また、図8は、実施例2の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置の動作を示すフローチャートである。このハイブリッド駆動装置201を制御するハイブリッド駆動装置の制御装置11は、エンジン7の出力トルクTeがトルクリミッタ5の許容入力トルクのばらつき下限値(トルクリミッタの許容入力トルク値)Tlmin以上になり、かつそれが一定時間以上連続した場合には、エンジン7の出力トルクを制限するように動作する。このため、エンジン7の出力トルクTeを取得する必要がある。エンジン7の出力トルクTeは、エンジン7の出力トルクTeに対する反力を受ける第2MG72によって検出することができる。例えば、第2MG72に流れる電流Iは、第2MGが受ける反力の大きさによって変化するので、この電流Iの変化によってエンジン7の出力トルクTeを求めることができる。このような方法によりエンジン7の出力トルクTeを取得する(ステップS201)。
次に、ハイブリッド駆動装置の制御装置11の処理部11aが備える過大入力判定部11tは、取得したエンジン7の出力トルクTe(入力D)と、トルクリミッタ5の許容入力トルクのばらつき下限値Tlminとを比較する(ステップS202)。許容入力トルクのばらつき下限値Tlminは、ハイブリッド駆動装置の制御装置11の記憶部11rに格納されており、前記比較の際には過大入力判定部11tが、記憶部11rから前記Tlminを取得する。なお、記憶部11rは、トルクリミッタの許容入力トルク値を格納する制限値格納部として機能する。
前記比較の結果、Tlmin≦Teであり、かつその状態が基準時間ts以上連続した場合には(ステップS202;Yes)、キャリア100cとエンジン7との間に存在するトルクリミッタ5が滑っていると判断する(ステップS203)。なお、Teが前記Tlminよりも小さい場合、又はTlmin≦Teであってもそれが基準時間tsよりも少ない場合のうち少なくとも一方であれば(ステップS202;No)、トルクリミッタ5は滑っていないので、引き続きトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
なお、Tlmin≦Teであり、かつその状態が基準時間ts以上連続した回数をカウントし、そのカウント回数によって、ばらつき下限値(トルクリミッタの許容入力トルク値)Tlminの大きさを変更してもよい。例えば、トルクリミッタ5の使用を開始してからの特定期間は慣らし期間であり、滑りの発生とともに許容入力トルクが上昇する。この期間を早く終了させるため、トルクリミッタ5の使用を開始してからの特定期間は、当該特定期間経過後よりもばらつき下限値Tlminを大きく設定する。そして、トルクリミッタ5の使用を開始してからの特定期間経過後は、ばらつき下限値Tlminを前期特定期間よりも小さくして、トルクリミッタ5の滑りの総距離を短くすることで、耐久性を向上させる。
ここで、トルクリミッタ5が滑っていると判断されるために必要なTlmin≦Teとなっている状態の基準時間tsについて説明する。トルクリミッタ5は、エンジン7の始動時等におけるトルク変動を吸収するものであり、突発的に発生する過大なトルクに対しては滑りが発生する。トルクリミッタ5は、このような突発的に作用する過大なトルクを逃がすように機能するが、Tlmin≦Teとなった場合にトルクリミッタ5が滑っていると判定すると、トルクリミッタ5本来の機能を発揮できない。したがって、トルクリミッタ5本来の機能を維持させつつ、連続して発生するトルクリミッタ5の滑りを排除するため、過大なトルクが一定の時間以上作用したときに、トルクリミッタ5が滑っていると判定する。すなわち、トルクリミッタ5に過大なトルクが連続して入力されていると判断する。ここで、トルクリミッタ5が滑っていると判定する際に基準となる時間を基準時間tsとする。
前記基準時間tsは、トルクリミッタ5の摩擦材や許容入力トルク値、あるいはエンジン7の回転数等を考慮して定めることができる。また、トルクリミッタ5によって、エンジン7を始動させるときに発生する共振現象を緩和させたいので、かかる場合に発生するトルク振幅の周期から前記基準時間tsを定めてもよい。このトルク振幅の周期は10Hz〜20Hzなので、例えばtsを1秒程度に設定してもよい。
トルクリミッタ5が滑っていると判定した場合には(ステップS203)、ハイブリッド駆動装置の制御装置11が備えるエンジン出力制御部11cは、エンジン7の出力トルクを減少させるように制御する(ステップS204)。これによって、トルクリミッタ5の連続する滑りによるトルク伝達性能低下を抑制することができ、車両の走行性能低下を抑制することができる。また、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生する前に、エンジン7の出力トルクTeを制限するので、実施例1の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置10よりもより安全側で使用することができる。以下のステップS205、ステップS206は、実施例1と同様なのでその説明を省略する。なお、実施例1と同様に、エンジン7の出力を制限した場合におけるエンジン7の出力トルク値を学習させて、次回以降の連続する滑り判定にこの出力トルク値を用いるようにしてもよい。
実施例2に係る本発明では、トルクリミッタに連続する滑りが発生すると推定されるトルクが入力された場合には、現実にトルクリミッタに連続する滑りが発生していなくともエンジンの出力トルクを制限する。これによって、トルクリミッタに対する過大なトルクの連続入力を抑制して、トルクリミッタのトルク伝達性能低下を抑制することができる。その結果、トルクリミッタのトルク伝達性能低下によって、車両の走行性能低下を抑制することができる。また、トルクリミッタに連続する滑りが発生すると推定されるトルクが入力された場合には、実際にトルクリミッタに連続する滑りが発生する前にエンジンの出力トルクを制限する。これによって、実施例1に係る本発明と比較して、より安全側でトルクリミッタを使用することができる。なお、実施例2で開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用することができる。また、実施例2で開示した構成と同様の構成を含むことにより、実施例2と同様の作用・効果を奏する。
また、図9は、実施例3の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置が備える処理部の機能ブロック図である。また、図10は、実施例3の本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置の動作を示すフローチャートである。このハイブリッド駆動装置の制御装置は、上記実施例1、2に係るハイブリッド駆動装置の制御装置10、11と略同一の構成であるが、トルクリミッタ5の連続する滑りが所定回数発生した後は、トルクリミッタ5が現実に滑っているか否かに関係なく、エンジン7の出力トルクが所定値よりも大きい場合に、エンジン7の出力トルクを制限する点が異なる。その他の構成は実施例1と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。なお、次の説明においては、適宜図5、9を参照されたい。
まず、滑り発生数mを0として初期化する(ステップS301)。この滑り発生数mは、ハイブリッド駆動装置の制御装置内の記憶部に格納される。次に、実施例1で説明したように、ハイブリッド駆動装置の制御装置が有する処理部12aの滑り判定部12sは、回転数センサ301、302及びクランク角センサ30cからの入力A、B及びCに基づいて、δNとNlとを比較する(ステップS302)。δNが所定値Nl以上である場合には(ステップS302;Yes)、処理部12aの過大入力判定部12tはトルクリミッタ5が滑っていると判定し、エンジン出力制御部12cがエンジン7の出力トルクTeを制限する(ステップS303)。そして、ハイブリッド駆動装置の制御装置にエンジンの出力トルクTeの制限値を学習させ(ステップS304)、自己診断ログ及び警告を出力するとともに(ステップS305)、滑り発生数mに1を加算して(ステップS306)、滑り発生数mを更新する。なお、δNが所定値Nlよりも小さい場合には(ステップS302;No)、トルクリミッタ5は滑っていないと判定し、引き続きトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
次に、処理部12aが備える滑り発生数比較部12dは、更新した滑り発生数mと滑り発生数の基準値msとを比較する(ステップS307)。滑り発生数の基準値msは任意に設定する値であり、トルクリミッタ5の耐久性や車両の使用条件等を考慮して定めることができる。この基準値msよりも滑り発生数mが大きい場合、過大入力判定部12tは、エンジン7の出力トルクTe(入力D)と予め定めたトルクリミッタ5の許容入力トルクのばらつき下限値Tlminとを比較して、トルクリミッタ5の連続する滑りを判定する。エンジン7の出力トルクTeが許容入力トルクのばらつき下限値Tlmin以上の場合には(ステップS308;Yes)、トルクリミッタ5が滑っていると判定し、エンジン出力制御部12cがエンジン7の出力トルクTeを制限する(ステップS303)。そして、ハイブリッド駆動装置の制御装置にエンジンの出力トルクTeの制限値を学習させ(ステップS304)、自己診断ログ及び警告を出力して(ステップS305)、滑り発生数mに1を加算して(ステップS306)、滑り発生数mを更新する。エンジン7の出力トルクTeが許容入力トルクのばらつき下限値Tlminよりも小さい場合には(ステップS308;No)、トルクリミッタ5は滑っていないと判定し、トルクリミッタ5は滑っていないと判定し、引き続きトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
トルクリミッタ5の連続する滑りが発生した後、連続する滑りの原因となる箇所を修理していない場合には(ステップS309;No)、引き続きトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。前記修理を完了した場合には(ステップS309;Yes)一連の工程が終了し、ハイブリッド駆動装置の制御装置の記憶部に記録された滑り発生数m、自己診断ログ等が初期化されて、再びトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
実施例3に係る本発明によれば、所定回数はトルクリミッタに現実に連続する滑りが発生した場合にエンジンの出力トルクを制限する。そして、所定回数連続する滑りが発生した場合には、トルクリミッタに現実に連続する滑りが発生していなくともエンジンの出力トルクを制限するように制御する。これによって、初期に発生する連続する滑りにおいては、現実に連続する滑りが発生してからエンジンの出力トルクを制限するので、エンジンの出力をトルクリミッタの制限値一杯まで使用することができる。一方、ある程度の回数、連続する滑りが発生した場合には、現実に連続する滑りが発生していなくともエンジンの出力トルクを制限するので、トルクリミッタのトルク伝達性能低下がそれ以上進行しない。これによって、より確実に、車両の走行性能低下を抑制できる。なお、実施例3で開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用することができる。また、実施例3で開示した構成と同様の構成を含むことにより、実施例3と同様の作用・効果を奏する。
実施例4に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法は、エンジンの出力トルクの制限値を学習させる際に、エンジン回転数やトルクリミッタ温度その他の運転条件も同時に学習させる点が上記実施例と異なる。上記実施例と同様の構成についてはその説明を省略するとともに、同一の構成については同一の符号を付す。
図11は、実施例4に係るハイブリッド駆動装置の制御装置が備える処理部の機能ブロック図である。処理部13aは、滑り判定部13s、過大入力判定部13t及びエンジン出力制御部13cに加え、学習更新部13srを備えている。この学習更新部13srは、エンジン7やハイブリッド駆動装置200の各種センサやECU9からの情報を取得して、トルクリミッタ温度やエンジン回転数その他の運転条件を求める。そして、記憶部13rに格納された学習テーブル60aにエンジンの出力トルク制限値の学習値を記述し、更新する。ここで、トルクリミッタ5に入力された過大なトルクの値が、エンジン7の出力トルク制限値となり、また、エンジン7の出力トルク制限値の学習値となる。以下、エンジン7の出力トルク制限値の学習値を、必要に応じて学習値という。次に、実施例4に係るハイブリッド駆動装置の制御装置の動作手順、及びハイブリッド駆動装置の制御方法を説明する。この説明では、適宜図1、図11を参照されたい。
図12は、実施例4に係るハイブリッド駆動装置の制御方法の手順を示すフローチャートである。ハイブリッド駆動装置の制御装置10の処理部が備える滑り判定部13sは、ハイブリッド駆動装置200が備えるキャリア100cの回転数Ncと、エンジン7の回転数Neとから、両者の回転差の絶対値|Ne−Nc|=δNを求める(ステップS401)。処理部13aが備える過大入力判定部13tは、前記δNと所定値Nlとを比較する(ステップS402)。
ここで、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生していない場合、エンジン7の出力トルク制限は学習されていない。すなわち、学習値Tsの初期値には制限がない状態である。したがって、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生していない場合、過大入力判定部13tは、前記δNと所定値Nlとの比較のみを実行する。一度トルクリミッタ5に連続する滑りが発生した場合には、δNと所定値Nlの比較結果により、エンジン7の出力トルクTeと学習値Tsを比較する。
前記比較の結果、δNが所定値Nl以上である場合(ステップS402;Yes)、過大入力判定部13tはトルクリミッタ5に連続する滑りが発生していると判定する(ステップS403)。トルクリミッタ5が連続して滑っていると過大入力判定部13t判定した場合には(ステップS403)、ハイブリッド駆動装置の制御装置の処理部13aが備えるエンジン出力制御部13cは、エンジン7の出力トルクを減少させるように制御する(ステップS404)。そして、学習更新部13srは、このときのエンジン7の出力トルクTeを学習値Tsとして、記憶部13rに格納された学習テーブル60aへエンジン回転数及びトルクリミッタ温度毎に記述することで学習させる(ステップS405)。このとき、ハイブリッド駆動装置200やエンジン7の運転条件に対応させて前記学習値Tsを学習テーブル60aに記述する。
エンジン7の出力トルクの制限値を学習させたら(ステップS405)、処理部13aは、ハイブリッド駆動装置の制御装置の記憶部13rに、エンジン7の出力トルクを制限した記録を自己診断ログとして記憶させる(ステップS406)。その後、処理部13aは、ステップS401に戻ってトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。次に、学習テーブル60aの構成を説明することにより、実施例4の学習方法を説明する。
図13−1、図13−2は、実施例4に係る学習テーブルの一例を示す説明図である。図13−3は、実施例4に係る他の学習テーブルの例を示す説明図である。実施例4に係る学習テーブル60aは、エンジン7の回転数Ne及びトルクリミッタの温度θtを運転条件とする。ここで、トルクリミッタの温度θtは、トルクリミッタ5の動力伝達面における温度である。トルクリミッタの温度θtは、直接トルクリミッタ5の動力伝達面における温度を測定して求めてもよいし、直接トルクリミッタ5の周囲における雰囲気温度から推定してもよい。後者のようにすれば、直接トルクリミッタ5の動力伝達面における温度を測定することが難しい場合でも、比較的容易にトルクリミッタの温度θtを求めることができる。
なお、両者のうち一方を用いてもよいし、エンジン7の回転数の変化率ΔNeその他のパラメータを運転条件として用いてもよい。また、図13−3に示す学習テーブル60bのように、エンジン7の回転数Ne及びトルクリミッタの温度θtに加え、エンジン7の回転数の変化率ΔNeを運転条件に加えてもよい。エンジン7やハイブリッド駆動装置200の回転系が持つ慣性が、トルクリミッタ5に入力されるエンジン7の出力トルクに影響を与える。この影響の大きさは、トルクリミッタ5に入力されるエンジン7の出力トルクの過渡的な変動により変化するが、エンジン7の回転数の変化率ΔNeを用いれば、前記過渡的な変動も考慮できる。その結果、出力トルク制限値の学習値Tsをより細かく設定できるので、学習値Tsに基づいてエンジン7の出力トルクを制限する場合の判定精度が向上する。
図13−1は、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生していない場合、すなわち、初期状態の学習テーブル60aを示している。なお、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生してトルクリミッタ5を修理等した場合には、制限トルクの学習がリセットされるが、前記初期状態には、このようなリセット後の状態も含まれる。図13−1に示すように、学習テーブル60aは、エンジン7の回転数Ne及びトルクリミッタの温度θtに対応して学習値Tsを入力できるように構成されている。
学習更新部13srが学習値Tsを学習テーブル60aに記述するときには、連続する滑りが発生した場合におけるエンジン7の回転数Ne及びトルクリミッタの温度θtに対応させて、このときのエンジン7の出力トルクTeを学習値Tsとして記述する。具体的には、図13−2に示すように、学習値Ts1はエンジン回転数Ne2でトルクリミッタ温度θt2のときの値であり、学習値Tsnはエンジン回転数Nenでトルクリミッタ温度θtnのときの値である。このように、実施例4では、ハイブリッド駆動装置200やエンジン7の運転条件毎に学習値Tsを設定することができる。
δNが所定値Nl未満である場合(ステップS402;No)、過大入力判定部13tはエンジン7の出力トルク制限値の学習値Tsが存在するか否かを判定する(ステップS407)。学習値Tsが存在しない場合(ステップS407;No)、処理部13aは、ステップS401に戻ってトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。学習値Tsが存在する場合(ステップS407;Yes)、過大入力判定部13tはエンジン7の出力トルクTeと学習値Tsとを比較する(ステップS408)。
TeがTs以上である場合(ステップS408;Yes)、過大入力判定部13tはトルクリミッタ5に過大なトルクが入力されていると判定する。この判定結果に基づき、ハイブリッド駆動装置の制御装置の処理部13aが備えるエンジン出力制御部13cは、エンジン7の出力トルクを減少させるように制御する(ステップS409)。TeがTs未満である場合(ステップS408;No)、処理部13aは、ステップS401に戻ってトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
前記ステップS408において、連続する滑りの判定に学習値Tsを用いる場合には、まず、過大入力判定部13tが、学習テーブル60aからエンジン7の回転数Ne及びトルクリミッタの温度θtに対応した学習値Tsを取得する。そして、当該運転条件におけるエンジン7の出力トルクTeが学習値Ts以上である場合に、エンジン7の出力トルクを制限する。これにより、ハイブリッド駆動装置200やエンジン7の運転条件に応じて適切にエンジン7の出力トルクを制限できる。すなわち、トルクリミッタ5が高温の場合やエンジン7の回転数が高い場合等の一部の運転条件でトルクリミッタ5の連続する滑りが発生しても、他の運転条件においてはエンジン7の出力トルク制限を実行しないように制御できる。その結果、運転者が加減速不足等の不具合を感じる機会を低減できるので、ドライバビリティが向上するとともに、トルクリミッタ5の耐久性を向上させることができる。
以上、実施例4に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法によれば、ハイブリッド駆動装置やエンジンの運転条件に応じて、トルクリミッタの温度やエンジンの回転数その他のパラメータ毎にそれぞれ適切な学習値を用いてエンジンの出力トルクを制限できる。これにより、トルクリミッタが高温の場合やエンジンの回転数が高い場合等の一部の運転条件でトルクリミッタの連続する滑りが発生し、他の運転条件では同じトルクでも前記滑りが発生しない場合には、他の運転条件までトルク制限を加えることはない。その結果、運転者が加減速不足等の不具合を感じる機会を低減できるので、ドライバビリティが向上する。
また、一度トルクリミッタに連続する滑りが発生した場合、そのエンジン出力トルクを学習させ、そのエンジン出力トルクの学習値に基づきエンジンの出力トルクを制限する。これにより、トルクリミッタに過大なトルクが入力されることを抑制して、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。なお、実施例4で開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用することができる。また、実施例4で開示した構成と同様の構成を含むことにより、実施例4と同様の作用・効果を奏する。
実施例5に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法は、トルクリミッタのトルク容量やエンジン出力トルクの経時変化を考慮して、所定期間経過毎に、連続する滑りが発生するエンジン出力トルク値の学習値を所定分だけ増加させる点が上記実施例と異なる。上記実施例と同様の構成についてはその説明を省略するとともに、同一の構成については同一の符号を付す。
図14は、使用時間に対するトルクリミッタの許容入力トルク容量の変化を示す説明図である。図14に示すように、トルクリミッタ5の許容入力トルク容量は、使用時間に応じて変化する。一般に、トルクリミッタ5の使用初期においては、滑りを繰り返すと許容入力トルクが上昇する。その後、許容入力トルクの上昇は略一定となって安定し、トルクリミッタ5の寿命が末期に近づくと、再び許容入力トルクは低下する。
このため、トルクリミッタ5の使用初期において滑りが発生しても、経時変化して許容入力トルクが上昇した場合には、使用初期において滑りが発生した入力トルク値でも滑りは発生しない。また、エンジン7の出力トルクもトルクリミッタ5の許容入力トルクと同じように変化する。したがって、トルクリミッタ5の使用初期に発生した滑りに基づくと、エンジン7の出力トルクがトルクリミッタ5の許容入力トルクよりも相当に小さく、トルクリミッタ5の耐久性を低下させない場合でも、エンジン7の出力トルクが制限されてしまう。その結果、運転者が加減速不足等の不具合を感じ、ドライバビリティを低下させる場合がある。
そこで、実施例5では、トルクリミッタ5の許容入力トルクやエンジン7の出力トルクの経時変化を考慮して、エンジン7の出力トルクの制限値を学習させる。ここで、本明細書においては、図14に示すように、トルクリミッタ5の使用を開始し、許容入力トルクの上昇が略一定になるまでの期間を使用初期という。トルクリミッタ5の許容入力トルクの上昇が略一定となり、低下を始めるまでの期間を安定期という。トルクリミッタ5の許容入力トルクが低下している期間を使用末期という。使用初期の期間は特定期間ともいう。また、使用末期は、特定期間経過後の期間の末期に相当する。
次に、実施例5に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法の制御方法を説明する。なお、実施例5に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、実施例4に係るハイブリッド駆動装置の制御装置と同様の構成である。次の説明では、適宜図1、図11を参照されたい。
図15は、実施例5に係るハイブリッド駆動装置の制御方法の手順を示すフローチャートである。まず、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の処理部が備える滑り判定部13sは、ハイブリッド駆動装置200が備えるキャリア100cの回転数Ncと、エンジン7の回転数Neとから、両者の回転差の絶対値δNを求める(ステップS501)。処理部13aが備える過大入力判定部13tは、前記δNと所定値Nlとを比較する(ステップS502)。
前記比較の結果、δNが所定値Nl以上である場合(ステップS502;Yes)、過大入力判定部13tはトルクリミッタ5に連続する滑りが発生していると判定する(ステップS503)。この場合、ハイブリッド駆動装置の制御装置の処理部13aが備えるエンジン出力制御部13cは、エンジン7の出力トルクを減少させるように制御する(ステップS504)。そして、学習更新部13srは、このときのエンジン7の出力トルクTeを学習値Tsとして、記憶部13rに記述することで学習させる(ステップS505)。このとき、実施例4で説明したように、エンジン回転数及びトルクリミッタ温度毎に記述してもよい。
次に学習更新部13srは、学習更新パラメータであるtripを0にリセットする(ステップS506)。この学習更新パラメータtripについては後述する。学習更新パラメータであるtripをリセットしたら、処理部13aは、ハイブリッド駆動装置の制御装置の記憶部13rに、エンジン7の出力トルクを制限した記録を自己診断ログとして記憶させる(ステップS506)。その後は、ステップS501に戻ってトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
前記δNと前記所定値Nlとを比較した結果、δNが所定値Nl未満である場合(ステップS502;No)、過大入力判定部13tは、エンジン7の出力トルク制限値の学習値Tsが存在するか否かを判定する(ステップS508)。学習値Tsが存在しない場合(ステップS508;No)、まだトルクリミッタ5には連続する滑りが発生していないと判断できるので、ステップS501に戻ってトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
学習値Tsが存在する場合(ステップS508;Yes)、過大入力判定部13tは、エンジン7の出力トルクTeと前記学習値Tsとを比較する(ステップS509)。エンジン7の出力トルクTeが学習値Ts未満である場合は(ステップS509;No)、トルクリミッタ5はその許容入力トルク以下で、かつ連続する滑りの発生がない状態で運転されていると判断できる。一般にトルクリミッタ5は、使用を開始してから特定の期間は、滑りが発生すると摩擦材表面の凹凸がならされて摩擦材同士の密着性が向上する。その結果、トルクリミッタ5は、使用を開始してから特定の期間は許容入力トルクが上昇する。この場合、学習値Tsを更新しないでハイブリッド駆動装置200の運転を続けると、エンジン7の出力トルクがトルクリミッタ5の耐久性を低下させない程度に小さい場合でも、エンジン7の出力トルクが制限される場合がある。車両の加速時や登坂時にこのようなトルク制限が実行されると、ドライバビリティを低下させる場合がある。
これを回避するため、実施例5では学習更新パラメータであるtripが所定の回数に達する毎に、学習値Tsをトルク増加分ΔTづつ増加させる。この手順について説明する。エンジン7の出力トルクTeが学習値Ts未満である場合(ステップS509;No)、処理部13aが備える学習更新部13srは、学習更新パラメータであるtripに1を加算した値(trip+1)を新たなtripとする(ステップS511)。そして、この新たなtripが、予め定めた学習更新基準値Y(トリップ)に達したら、学習値Tsに所定のトルク増加分ΔTを加算した値(Ts+ΔT)を新たな学習値Tsとする(ステップS512)。
エンジン7の出力トルクTeが学習値Ts以上である場合(ステップS509;Yes)、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生していなくとも、エンジン出力制御部13cは、エンジン7の出力トルクを減少させるように制御する(ステップS510)。これにより、トルクリミッタ5の連続する滑りを未然に防止して、トルクリミッタ5を保護することができる。このとき、処理部13aは、ハイブリッド駆動装置の制御装置の記憶部13rに、エンジン7の出力トルクを制限した記録を自己診断ログとして記憶させることが好ましい。
次に、処理部13aが備える学習更新部13srは、学習更新パラメータであるtripに1を加算した値(trip+1)を新たなtripとする(ステップS511)。そして、この新たなtripが予め定めた学習更新基準値Y(トリップ)に達したら、学習値Tsに所定のトルク増加分ΔTを加算した値(Ts+ΔT)を新たな学習値Tsとする(ステップS512)。その後は、ステップS501に戻ってトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
このように、ステップS501、S502、S508〜512を繰り返す毎に学習更新パラメータtripを増加させ、これを学習更新基準値Y(トリップ)と比較して学習値Tsを増加させるので、所定期間経過後に学習値Tsを増加するように更新できる。その後、ステップS501に戻り、処理部13aは更新した学習値Tsに基づいてトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。これにより、トルクリミッタ5やエンジン7の経時変化に対応した車両走行性能を確保できるので、運転者の感じる加速感不足等の違和感を低減できる。
トルクリミッタ5へ連続する滑りが発生した場合(ステップS502;Yes)、エンジン7の出力トルクを制限する(ステップS504)。そして、学習更新部13srは、エンジン出力トルク制限値を学習させるとともに(ステップS505)、学習更新パラメータであるtripを0にする(ステップS506)。これにより、学習更新パラメータtripをリセットし、更新された新たな学習値Tsを初期値として、エンジン7の出力トルク制限値の学習を続ける(ステップS511、S512)。このように、トルクリミッタ5に発生した連続する滑りの回数で学習値Tsを変更することにより、エンジン7の出力トルク制限値を変更する。
以上、実施例5に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法では、所定期間経過後にエンジンの出力トルク値の学習値を所定量づつ増加するように更新できる。これにより、トルクリミッタの使用初期に連続する滑りが発生したとしても、それ以降は同じトルク値でエンジンの出力トルクを制限するのではなく、トルクリミッタやエンジンの経時変化を考慮して、エンジンの出力トルクを制限する。このように、トルクリミッタやエンジンの経時変化に応じて、適切な学習値によりエンジン出力トルクを制限することができる。その結果、トルクリミッタの耐久性を向上できるとともに、トルクリミッタやエンジンの経時変化に対応した車両走行性能を確保できるので、ドライバビリティが向上する。なお、実施例5で開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用することができる。また、実施例5で開示した構成と同様の構成を含むことにより、実施例5と同様の作用・効果を奏する。
実施例6に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法は、トルクリミッタの使用初期とそれ以降とで、エンジンの出力トルク制限値の学習を更新する期間又はトルク増加分の少なくとも一方を変更する点が上記実施例と異なる。上記実施例と同様の構成についてはその説明を省略するとともに、同一の構成については同一の符号を付す。
図14を用いて既に説明したように、トルクリミッタ5(図1)は、使用初期においては、滑りを繰り返すと許容入力トルクが上昇する。その後、許容入力トルクの上昇は略一定となって安定し、トルクリミッタ5の寿命が末期に近づくと、再び許容入力トルクは低下する。図14に示すように、トルクリミッタ5の使用初期においては、比較的早くトルクリミッタ5の許容入力トルクが上昇する。実施例5では、学習値Tsの更新期間及びトルク増加分は一定としているため、これらの設定値が小さい場合にはトルクリミッタ5の使用初期における学習値Tsが更新されにくい傾向になる(図14中の点線)。しかし、トルクリミッタ5の使用上は、早期に許容入力トルクを上昇させ、安定期で長く使用したいので、図14中の実線で示すような許容入力トルクの変化が好ましい。
トルクリミッタ5の使用初期に対応させて、早期に許容入力トルクを上昇させるように学習値Tsの更新期間及びトルク増加分を大きく設定すると、安定期においては頻繁にトルクリミッタ5に連続する滑りが発生する。その結果、比較的早い時期に末期に達して許容入力トルクの低下が発生し、トルクリミッタ5の寿命を短くしてしまう場合がある。実施例6に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法は、かかる点を解消するものである。次に、実施例6に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法の制御方法を説明する。なお、実施例5に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、実施例4に係るハイブリッド駆動装置の制御装置と同様の構成である。次の説明では、適宜図1、図11、図14を参照されたい。
図16は、実施例6に係るハイブリッド駆動装置の制御方法の手順を示すフローチャートである。まず、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の処理部が備える滑り判定部13s(図11)は、ハイブリッド駆動装置200が備えるキャリア100cの回転数Ncと、エンジン7の回転数Neとから、両者の回転差の絶対値δNを求める(ステップS601)。処理部13aが備える過大入力判定部13tは、前記δNと所定値Nlとを比較する(ステップS602)。
前記比較の結果、δNが所定値Nl以上である場合(ステップS602;Yes)、過大入力判定部13tはトルクリミッタ5に連続する滑りが発生していると判定する(ステップS603)。この場合、ハイブリッド駆動装置の制御装置の処理部13aが備えるエンジン出力制御部13cは、エンジン7の出力トルクを減少させるように制御する(ステップS604)。そして、学習更新部13srは、このときのエンジン7の出力トルクTeを学習値Tsとして、記憶部13rに記述することで学習させる(ステップS605)。このとき、実施例4で説明したように、エンジン回転数及びトルクリミッタ温度毎に記述してもよい。
次に学習更新部13srは、滑り回数パラメータであるtripAに1を加算した値(tripA+1)を新たなtripAとし(ステップS606)、tripAを更新する。滑り回数パラメータtripAは、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生した回数を計数するために用いられ、トルクリミッタ5の使用開始時は0である。滑り回数パラメータtripAの大きさにより、トルクリミッタ5の使用初期、安定期、及び使用末期(図14参照)を判定できる。なお、トルクリミッタ5を修理、交換した場合には、滑り回数パラメータtripAは0にリセットされる。ここで、δN≧Nlのときに、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生したと判定される。
滑り回数パラメータtripAを更新したら、学習更新パラメータであるtripを0にリセットする(ステップS607)。学習更新パラメータであるtripをリセットしたら、処理部13aは、ハイブリッド駆動装置の制御装置の記憶部13rに、エンジン7の出力トルクを制限した記録を自己診断ログとして記憶させる(ステップS608)。その後は、ステップS501に戻ってトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
前記δNと前記所定値Nlとを比較した結果、δNが所定値Nl未満である場合(ステップS602;No)、過大入力判定部13tは、エンジン7の出力トルク制限値の学習値Tsが存在するか否かを判定する(ステップS609)。学習値Tsが存在しない場合(ステップS609;No)、まだトルクリミッタ5には連続する滑りが発生していないと判断できるので、ステップS601に戻ってトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
学習値Tsが存在する場合(ステップS609;Yes)であって、エンジン7の出力トルクTeが学習値Ts未満である場合は(ステップS610;No)、トルクリミッタ5はその許容入力トルク以下で、かつ連続する滑りの発生がない状態で運転されていると判断できる。この場合、実施例5と同様に、所定期間毎に学習値Tsを更新する。実施例6ではさらに、トルクリミッタ5の使用初期とそれ以降とで、エンジン7の出力トルク制限値の学習更新期間及びトルク増加分を変更する。次に、この手順について説明する。なお、この例では、学習更新期間とトルク増加分との両方を変更するが、少なくとも一方を変更すればよい。
エンジン7の出力トルクTeが学習値Ts未満である場合(ステップS610;No)、処理部13aが備える学習更新部13srは、学習更新パラメータであるtripに1を加算した値(trip+1)を新たなtripとする(ステップS612)。次に、学習更新部13srは、滑り回数パラメータであるtripAを、所定の第1滑り基準値Xと比較する(ステップS613)。この第1滑り基準値Xは、トルクリミッタ5の使用初期と安定期とを判定するために用いられる。すなわち、トルクリミッタに連続する滑りが発生する回数が前記第1滑り基準値Xになった場合に、トルクリミッタ5の使用初期の期間(特定期間)が終了し、安定期に移行したと判定する。この第1滑り基準値Xは、実験や数値シミュレーション等により予め求めることができる。
学習更新パラメータであるtripが第1滑り基準値X未満である場合(ステップS613;No)、トルクリミッタ5の使用初期の期間が終了していないと判定できる。この場合、学習更新部13srは、ステップS612で更新した新たなtripが、予め定めた学習更新基準値Y1(トリップ)に達する毎に、学習値Tsに所定のトルク増加分ΔT1を加算した値(Ts+ΔT1)を新たな学習値Tsとする(ステップS614)。
学習更新パラメータであるtripが第1滑り基準値X以上である場合(ステップS613;Yes)、トルクリミッタ5の使用初期の期間が終了し、安定期に移行したと判定できる。この場合、学習更新部13srは、滑り回数パラメータであるtripAを、所定の第2滑り基準値Zと比較する(ステップS615)。この第2滑り基準値Zは、トルクリミッタ5の安定期と使用末期とを判定するために用いられる。すなわち、トルクリミッタに連続する滑りが発生する回数が前記第2滑り基準値Zになった場合に、トルクリミッタ5の安定期が終了し、使用末期に移行したと判定する。この第2滑り基準値Zも第1滑り基準値Xと同様に、実験や数値シミュレーション等により予め求めることができる。
学習更新パラメータであるtripが第2滑り基準値Z未満である場合(ステップS615;Yes)、学習更新部13srは、ステップS612で更新した新たなtripが予め定めた学習更新基準値Y2(トリップ)に達する毎に、学習値Tsに所定のトルク増加分ΔT1を加算した値(Ts+ΔT2)を新たな学習値Tsとする(ステップS615)。ここで、Y1<Y2、ΔT1>ΔT2である。学習更新基準値が小さいということは、それだけ早く学習値Tsが更新されることを意味する。Y1<Y2の場合、トルクリミッタ5の使用初期の方が、使用初期経過後よりも学習値Tsの更新頻度が多いことになる。
ここで、前記所定の学習更新基準値Y1、Y2を変更して、ΔT1=ΔT2としてもよい。この場合には、トルク増加分は使用初期とそれ以降とで変更されないで、前記学習更新基準値のみが変更される。この場合、Y1<Y2なので、使用初期における学習値の更新頻度はそれ以降における更新頻度よりも多くなる。これによって、トルクリミッタ5の使用初期期間を短くすることができる。また、Y1=Y2を変更しないで、トルク増加分ΔT1、ΔT2を変更してもよい。この場合には、学習更新基準値は使用初期とそれ以降とで変更されないで、前記トルク増加分のみが変更される。この場合、ΔT1>ΔT2なので、使用初期における学習値の更新量は、それ以降よりも大きくなる。これによって、トルクリミッタ5の使用初期期間を短くすることができる。このように、学習更新基準値又はトルク増加分の少なくとも一方を変更しても、トルクリミッタ5の使用初期期間を短くして、使用初期期間経過後の安定期でトルクリミッタを長期間使用できる。
このようにすることで、トルクリミッタ5の使用初期とそれ以降の期間とで、エンジン7の出力トルク制限値の学習更新期間又はトルク増加分の少なくとも一方を変更することができる。また、学習値Tsを更新することにより、エンジン7の出力トルクがトルクリミッタ5の耐久性を低下させない程度に小さい場合には、エンジン7の出力トルクを制限しないので、ドライバビリティの低下を抑制できる。学習値Tsを更新したら(ステップS614又はS616)、ステップS501に戻り、処理部13aは更新した学習値Tsに基づいてトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
学習更新パラメータであるtripが第2滑り基準値Z以上である場合(ステップS615;No)、トルクリミッタ5の安定期が終了し、使用末期に移行したと判定できる。この場合、学習更新部13srは、ステップS612で更新した新たなtripが予め定めた学習更新基準値Y3(トリップ)に達する毎に、学習値Tsに所定のトルク増加分ΔT3を加算した値(Ts+ΔT3)を新たな学習値Tsとする(ステップS617)。
ここで、ΔT3は0か負の値とする。これにより、更新後の学習値Tsは更新前と同じか小さくなるので、より低い入力トルクで、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生する前にエンジンの出力トルクを制限できる。また、学習更新基準値Y3<Y2とすることが好ましい。学習更新基準値が小さいということは、学習値Tsの更新頻度が多いことを意味する。すなわち、Y3<Y1の場合、学習値Tsの更新頻度は、トルクリミッタ5の使用末期の方が、安定期よりも多いことになる。
これらの作用により、トルクリミッタ5の使用末期においては、トルクリミッタ5の劣化を抑制できるので、トルクリミッタ5の耐久性を向上させることができる。また、使用末期において、トルクリミッタ5の急激な劣化を抑制できるので、トルクリミッタの信頼性も向上する。なお、トルク増加分ΔT3又は学習更新基準値Y3の少なくとも一方を変更すれば、トルクリミッタ5の使用末期における劣化を抑制できる。また、使用末期における学習更新基準値、トルク増加分の変更は、必ずしも実行しなくてもよい。
学習値Tsが存在する場合(ステップS609;Yes)、過大入力判定部13tは、エンジン7の出力トルクTeと前記学習値Tsとを比較する(ステップS610)。エンジン7の出力トルクTeが学習値Ts以上である場合(ステップS610;Yes)、トルクリミッタ5に連続する滑りが発生していなくとも、エンジン出力制御部13cは、エンジン7の出力トルクを減少させるように制御する(ステップS611)。その後、学習値Tsを更新するが、この手順は、上述したステップS612〜S617と同様なので、説明を省略する。学習値Tsを更新したらステップS501に戻り、処理部13aは更新した学習値Tsに基づいてトルクリミッタ5の連続する滑りを監視する。
以上、実施例6に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法では、トルクリミッタの使用初期とそれ以降とで、エンジンの出力トルク制限値の学習更新期間及びトルク増加分を変更する。すなわち、使用初期においては早い頻度で、かつトルク増加分を大きくして学習値を更新し、それ以降では使用初期よりも遅い頻度で、かつより小さいトルク増加分とする。これにより、トルクリミッタの使用初期期間を早く終了させ、使用初期期間経過後の安定期でトルクリミッタを長期間使用でき、その結果トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。また、安定期では、使用初期と比較して学習更新期間を長く、トルク増加分を小さくするので、トルクリミッタに発生する連続する滑りの頻度を抑制でき、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。さらに、使用末期では、安定期と比較してトルク増加分を小さくするので、トルクリミッタに発生する連続する滑りを抑制でき、これに起因するトルクリミッタの劣化を抑えて、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。これらの作用により、トルクリミッタやエンジンの製品ばらつきや使用環境、使用条件が異なっていても、トルクリミッタの慣らしを早期に終了させて安定期で長期間使用できるとともに、使用末期においてはトルクリミッタの劣化を抑制できる。その結果、トルクリミッタを長期間にわたり使用できるので、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
さらに、上記構成によって、使用初期におけるトルクリミッタの慣らし運転を工場出荷前に実行する必要もなくなる。その結果、製造工程を短縮できるとともに、工場での慣らし運転期間も実車両による走行が可能となるので、その分トルクリミッタを長く使用することができる。なお、実施例6で開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用することができる。また、実施例6で開示した構成と同様の構成を含むことにより、実施例6と同様の作用・効果を奏する。
実施例7は、トルクリミッタの使用初期とそれ以降の期間とで、トルクリミッタに発生する連続する滑りの判定に用いる所定値を変更する点が上記実施例と異なる。なお、実施例7に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、実施例4に係るハイブリッド駆動装置の制御装置と同様の構成である。次の説明においては、適宜図1、図11を参照されたい。
図17は、実施例7に係るハイブリッド駆動装置の制御方法の一部手順を示すフローチャートである。まず、ハイブリッド駆動装置の制御装置10の処理部が備える滑り判定部13s(図11)は、ハイブリッド駆動装置200が備えるキャリア100cの回転数Ncと、エンジン7の回転数Neとから、両者の回転差の絶対値δNを求める(ステップS601)。次に、処理部13aが備える過大入力判定部13tは、前記δNと所定値とを比較する(ステップS602')。
このとき、過大入力判定部13tは、実施例6で説明した滑り回数パラメータであるtripAの大きさに基づいて、δNと比較する所定値を変更する。具体的には、tripAが第1滑り基準値X未満の場合にはδNとNl1とを比較し、tripAが第1滑り基準値X以上第2滑り基準値Z未満の場合にはδNとNl2とを比較する。そして、tripAが第2滑り基準値Z以上の場合にはδNとNl3とを比較する。ここで、Nl1>Nl2>Nl3である。すなわち、トルクリミッタの使用初期においてはδNとNl1とを比較し、安定期においてはδNとNl2とを比較し、使用末期においてはδNとNl3とを比較する。ここで、第1滑り基準値X及び第2滑り基準値Zは実施例6で説明したものと同様である。
このようにすることで、トルクリミッタ5の使用初期においては、より素早くトルクリミッタ5の許容入力トルクを上昇させることができるので、安定期を長くすることができる。また、安定期の中期から後期にかけて、所定値Nl2を安定期の前期よりも小さく、トルク増加分ΔT2(実施例5、図16参照)を極小にすれば、変更時点以降は学習値Tsを略同じ値に維持することができる。また、トルクリミッタ5に発生する滑り量は変更時点よりも小さくなる。さらに、トルクリミッタ5の使用末期においては、所定値Nl3を0か負とすることで、トルクリミッタ5の連続する滑りに起因する劣化を抑制することができる。これらの作用により、トルクリミッタ5の寿命を極めて長くすることができる。連続する滑りを判定するための前記比較(ステップS602')以降における処理は実施例6と同様なので、その説明を省略する。なお、トルクリミッタ5の使用末期においては、δNの比較対象を所定値Nl3に変更しなくともよい(以下同様)。
なお、実施例5に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法に対しても実施例7に係る構成は適用できる。すなわち、トルクリミッタの使用初期とそれ以降の期間とで、トルクリミッタに発生する連続する滑りの判定に用いる所定値を変更する。具体的には、図15に示した実施例5のステップS502を、実施例7の構成に変更すればよく、滑り回数パラメータであるtripAが第1滑り基準値X未満の場合にはδNとNl1とを比較し、tripAが第1滑り基準値X以上の場合にはδNとNl2とを比較する。なお、実施例5では滑り回数パラメータであるtripAを用いていないので、エンジン7の出力トルクを制限した後、滑り回数パラメータtripAを更新するステップを追加する。
以上、実施例7に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法では、トルクリミッタの使用初期とそれ以降の期間とで、トルクリミッタに発生する連続する滑りの判定に用いる所定値を変更する。これにより、トルクリミッタの使用初期期間を早く終了させ、使用初期期間経過後の安定期でトルクリミッタを長期間使用でき、その結果、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。また、安定期では、使用初期と比較して学習更新期間を長く、トルク増加分を小さくするので、トルクリミッタに発生する連続する滑りの頻度を抑制でき、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。さらに、使用末期では、安定期と比較してトルク増加分を小さくするので、トルクリミッタに発生する連続する滑りを抑制でき、これに起因するトルクリミッタの劣化を抑えて、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。その結果、トルクリミッタやエンジンの製品ばらつきや使用環境、使用条件が異なっていても、トルクリミッタの慣らしを早期に終了させて安定期で長期間使用できるとともに、使用末期においてはトルクリミッタの劣化を抑制して、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
さらに、上記構成によって、使用初期におけるトルクリミッタの慣らし運転を工場出荷前に実行する必要もなくなる。その結果、製造工程を短縮できるとともに、工場での慣らし運転期間も実車両による走行が可能となるので、その分トルクリミッタを長く使用することができ、その結果、トルクリミッタの耐久性を向上させることができる。なお、実施例7で開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用することができる。また、実施例7で開示した構成と同様の構成を含むことにより、実施例7と同様の作用・効果を奏する。
図18は、実施例8係るハイブリッド駆動装置の制御方法の一部手順を示すフローチャートである。図19は、エンジンの出力トルク制限値の学習値と学習更新パラメータとの関係を示す説明図である。実施例8は、エンジン7の出力トルク制限値の学習値Tsを更新した履歴に基づいて、トルクリミッタ5の使用初期と安定期と使用末期とを判定する点が上記実施例と異なる。なお、実施例8に係るハイブリッド駆動装置の制御装置は、実施例4に係るハイブリッド駆動装置の制御装置と同様の構成である。次の説明においては、適宜図1、図11を参照されたい。
ハイブリッド駆動装置の制御装置の処理部13aが備える滑り判定部13s(図11)がδNを求めたら(ステップS601)、学習更新部13srが学習値Tsの更新履歴を参照し(ステップS601−1)、トルクリミッタ5の使用初期と安定期と使用末期とを判定する。この判定方法の一例について、図19を用いて説明する。ここで、図19の横軸は学習更新パラメータtripのカウント値Kであり、1カウント値Kの大きさがY1となる。
学習値Tsは学習更新パラメータtripがY1(トリップ)計数される毎に更新される。図19は、その履歴を示している。この変形例では、1カウント値あたりにおける学習値Tsの変化率ΔTsを用いて、トルクリミッタ5の使用初期と安定期と使用末期とを判定する。ここで、前記変化率ΔTsは、
ΔTsn=(Tsn−Tsn-1)
で表される(nは自然数)。
ΔTsn=(Tsn−Tsn-1)
で表される(nは自然数)。
学習更新部13srは、学習値Tsの履歴から前記変化率ΔTsnを求め、例えばこのΔTsnが所定の値よりも小さくなったら、トルクリミッタ5の使用初期の期間が終了したと判定する。そして、例えばΔTsnの符号が負に転じたら、トルクリミッタ5の安定期が終了して使用末期になったと判手する。滑り判定部13sは、学習更新部13srの判定結果に基づき、トルクリミッタ5の使用初期とそれ以降(安定期)、及び安定期と使用末期とで、トルクリミッタに発生する連続する滑りの判定に用いる所定値を変更し、δNと所定値Nl1、Nl2又はNl3とを比較する(ステップS602'')。連続する滑りを判定するための前記比較(ステップS602'')以降における処理は実施例6と同様なので、その説明を省略する。
この変形例によれば、学習値Tsに基づいてトルクリミッタ5の使用初期と安定期と使用末期とを判定するので、学習値の更新頻度やトルク増加分の変更を実行する時期の判定精度が向上する。その結果、安定期でより長くトルクリミッタ5を使用できるとともに、使用末期におけるトルクリミッタ5の劣化を抑制できるので、トルクリミッタ5の耐久性を向上させることができる。
以上、実施例8に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法では、トルクリミッタの使用初期とそれ以降とを判定するので、トルクリミッタの製造ばらつきや使用環境あるいは使用条件による使用初期期間変動の影響を小さくできる。これにより、トルクリミッタの使用初期、安定期、使用末期において、エンジンの出力トルク制限値の学習やエンジンの出力トルク制限を適切に実行できる。さらに、上記構成によって、使用初期におけるトルクリミッタの慣らし運転を工場出荷前に実行する必要もなくなる。その結果、製造工程を短縮できるとともに、工場での慣らし運転期間も実車両による走行が可能となるので、その分トルクリミッタを長く使用することができ、結果的にトルクリミッタの耐久性を向上させることができる。
以上のように、本発明に係るハイブリッド駆動装置の制御装置及び制御方法は、トルクリミッタを備えるハイブリッド駆動装置の制御に有用であり、特に、トルクリミッタ機構の耐久性を向上させることに適している。
5 トルクリミッタ
7 エンジン
7c クランクシャフト
10、11 ハイブリッド駆動装置の制御装置
10c、11c、12c、13c エンジン出力制御部
10a、11a、12a、13a 処理部
10s、12s、13s 滑り判定部
10t、11t、12t、13t 過大入力判定部
10r、11r 記憶部;10sr、13sr 学習更新部
100 遊星歯車装置
200、201 ハイブリッド駆動装置
7 エンジン
7c クランクシャフト
10、11 ハイブリッド駆動装置の制御装置
10c、11c、12c、13c エンジン出力制御部
10a、11a、12a、13a 処理部
10s、12s、13s 滑り判定部
10t、11t、12t、13t 過大入力判定部
10r、11r 記憶部;10sr、13sr 学習更新部
100 遊星歯車装置
200、201 ハイブリッド駆動装置
Claims (20)
- エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、
前記トルクリミッタに対して、所定の値以上のトルクが連続して入力された場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定部と、
前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、
を有することを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。 - エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、
前記エンジンの回転数と前記電動機の回転数とから、前記トルクリミッタの滑り回転数を求める滑り判定部と、
前記回転数差が所定の制限値よりも大きい場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、
を有することを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。 - エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、
前記エンジンの回転数と前記電動機の回転数とから、前記トルクリミッタの滑り回転数を求める滑り判定部と、
前記回転数差が所定の制限値よりも大きい場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定部と、
前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、
を有することを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。 - 前記トルクリミッタの使用開始からの特定期間における前記所定の値又は前記所定の制限値を、前記特定期間経過後における前記所定の値又は前記所定の制限値よりも大きくすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- 前記特定期間経過後の期間の末期における前記所定の値又は前記所定の制限値は、前記末期よりも前の期間における前記所定の値又は前記所定の制限値よりも小さくすることを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- さらに、前記トルクリミッタに入力された過大なトルクの値を格納する記憶部を有し、
前記記憶部に格納した過大なトルクの値とエンジンの出力トルク値とを比較し、エンジンの出力トルク値が前記過大なトルクの値以上である場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。 - 前記記憶部に格納された前記過大なトルクの値を、所定期間経過毎に増大させて更新することを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- 前記記憶部に格納された前記過大なトルクの値、又は前記過大なトルクの値の更新頻度のうち少なくとも一つを、前記トルクリミッタの使用開始から特定期間までと、前記特定期間経過後とで変更することを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- 前記トルクリミッタの使用開始から特定期間における前記過大なトルクの値の更新頻度を、前記特定期間経過後における前記更新頻度よりも多くすることを特徴とする請求項7又は8に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- 前記特定期間経過後の期間の末期における前記記憶部に格納された前記過大なトルクの値は、前記末期よりも前の期間よりも小さくすることを特徴とする請求項8又は9に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- 前記過大なトルクの値を更新した履歴に基づいて前記特定期間又は前記安定期を求めることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- さらに、前記過大なトルクが前記トルクリミッタに入力されているときの前記トルクリミッタの温度又は前記エンジンの回転数の少なくとも一方に対応させて、前記過大なトルクの値を前記記憶部に格納することを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、
前記トルクリミッタの許容入力トルク値を格納する制限値格納部と、
前記許容入力トルク値以上の前記エンジンの出力トルクが所定の基準時間以上入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、
を有することを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。 - エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を制御するものであって、
前記トルクリミッタの許容入力トルク値を格納する制限値格納部と、
前記許容入力トルク値以上の前記エンジンの出力トルクが所定の基準時間以上入力されている場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定部と、
前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御部と、
を有することを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御装置。 - 前記トルクリミッタの使用開始から特定期間における前記所定の前記許容入力トルク値を、前記特定期間経過後における前記許容入力トルク値よりも大きくしたことを特徴とする請求項13又は14に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- さらに、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力された履歴を格納する履歴格納部を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のハイブリッド駆動装置の制御装置。
- エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を運転するにあたり、
前記エンジンの回転数と前記電動機の回転数とから、両者の回転数差を求める滑り判定工程と、
前記回転数差が所定の制限値よりも大きい場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定工程と、
前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御工程と、
を有することを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御方法。 - エンジンと、電動機と、両者の間に介在して両者間に発生する回転トルクの変動を抑制する機能を持つトルクリミッタとを有するハイブリッド駆動装置を運転するにあたり、
予め定めた前記トルクリミッタの許容入力トルク値以上である前記エンジンの出力トルクが所定の基準時間以上入力されている場合には、前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されていると判定する過大入力判定工程と、
前記トルクリミッタに過大なトルクが入力されている場合には、前記エンジンの出力トルクを低減させるエンジン出力制御工程と、
を有することを特徴とするハイブリッド駆動装置の制御方法。 - 前記トルクリミッタの使用開始から特定期間における前記所定の制限値又は前記許容入力トルク値を、前記特定期間経過後における前記所定の制限値又は前記許容入力トルク値よりも大きくしたことを特徴とする請求項17又は18に記載のハイブリッド駆動装置の制御方法。
- 前記特定期間経過後の期間の末期における前記所定の値又は前記所定の制限値は、前記末期よりも前の期間における前記所定の値又は前記所定の制限値よりも小さくすることを特徴とする請求項19に記載のハイブリッド駆動装置の制御方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003435212A JP2005042701A (ja) | 2003-07-09 | 2003-12-26 | ハイブリッド駆動装置の制御装置及びハイブリッド駆動装置の制御方法 |
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Country | Link |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010007794A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-01-14 | Honda Motor Co Ltd | 自動変速機の制御装置 |
JP2011230536A (ja) * | 2010-04-23 | 2011-11-17 | Toyota Motor Corp | 駆動力伝達装置 |
JP2012240535A (ja) * | 2011-05-18 | 2012-12-10 | Toyota Motor Corp | ハイブリッド車両用駆動装置の制御装置 |
US8392041B2 (en) | 2007-08-08 | 2013-03-05 | Nippon Soken, Inc. | Hybrid vehicle |
JP2016205151A (ja) * | 2015-04-15 | 2016-12-08 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用駆動装置 |
JP2017171009A (ja) * | 2016-03-22 | 2017-09-28 | トヨタ自動車株式会社 | 駆動力制御装置 |
-
2003
- 2003-12-26 JP JP2003435212A patent/JP2005042701A/ja active Pending
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