JP2005042586A - 筒内燃料噴射型内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダ2内への燃料噴射弁12を、前記シリンダ2の頂部を塞ぐシリンダヘッド3のうち吸気ポート8側に設けて成る筒内燃料噴射型の内燃機関において、噴射燃料の吸気に対する混合性を、総ての回転域において向上する。
【解決手段】低回転域における燃料噴射を、前記シリンダの軸線2aに対する下向きの噴射角度θ1を小さくした第1燃料噴射口14と、前記軸線2aに対する下向きの噴射角度θを大きくした第2燃料噴射口15とから行う一方、高回転域における燃料噴射を、前記第2燃料噴射口15から行う。
【選択図】 図1
【解決手段】低回転域における燃料噴射を、前記シリンダの軸線2aに対する下向きの噴射角度θ1を小さくした第1燃料噴射口14と、前記軸線2aに対する下向きの噴射角度θを大きくした第2燃料噴射口15とから行う一方、高回転域における燃料噴射を、前記第2燃料噴射口15から行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼に必要な燃料を、シリンダ内に直接に噴射供給するようにした筒内燃料噴射型の内燃機関に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
先行技術としての特許文献1は、シリンダブロックにおけるシリンダの頂部を塞ぐシリンダヘッドに、前記シリンダ内に下向きに開口する吸気ポート及び点火栓を設けて成り、更に、前記シリンダヘッドのうち前記吸気ポート側の部位に前記シリンダ内に向かって斜め下向きに燃料を噴射するようにした燃料噴射弁を設けて成る筒内燃料噴射型の内燃機関において、前記燃料噴射弁による燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域においては吸気行程のうち下死点(終わり)に近い時期に設定する一方、中速以上の高回転域においては吸気行程のうち上死点(始まり)に近づけるように前記低回転域の場合よりも進角することを提案している。
【0003】
この構成の内燃機関において、そのシリンダ内には、前記吸気ポートから流入する吸気がシリンダの軸線方向に旋回するというタンブル流が存在し、このタンブル流は、吸気量が多い高回転域において強く、吸気量が少ない低回転域において弱い。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−101146号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このため、燃料の噴射時期を、高回転域において吸気行程のうち上死点(始まり)に近づけるように進角することは、噴射燃料を、強いタンブル流に素早く乗せることができるから、燃料を吸気の全体に対して均一に混合することができる。
【0006】
しかし、その反面、低回転域においては、燃料の噴射時期が吸気行程のうち下死点(終わり)に近いことに加えて、タンブル流が弱いから、燃料の吸気に対する均一な混合性が低くなる。
【0007】
そこで、最近では、前記燃料噴射弁からの燃料噴射を、当該燃料噴射弁における略真下に向かう方向への噴射(シリンダの軸線に対する斜め下向きの噴射角度を小さくすること)と、当該燃料噴射弁から離れるように向かう方向への噴射(シリンダの軸線に対する斜め下向きの噴射角度を大きくすること)との二箇所噴射に構成することが行われている。
【0008】
この二箇所噴射の構成によると、噴射燃料の持つ運動エネルギーを利用した混合促進により、中速以下の低回転域における燃料の均一な混合性を確実に向上することができる。
【0009】
しかし、その反面、中速以上の高回転域においては、シリンダ内のうち燃料噴射弁の真下付近に燃料が多く集まる傾向を呈するから、燃料の均一な混合性は、むしろ低下することになるのであった。
【0010】
本発明は、これら問題を解消して、燃料の均一な混合性を、総ての回転域について確実に向上することを技術的課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明の請求項1は、
「シリンダブロックにおけるシリンダの頂部を塞ぐシリンダヘッドに、前記シリンダ内に下向きに開口する吸気ポート及び点火栓を設けて成り、更に、前記シリンダヘッドのうち前記吸気ポート側の部位に前記シリンダ内に向かって斜め下向きに燃料を噴射するようにした燃料噴射弁を設け、この燃料噴射弁による燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域においては吸気行程のうち下死点に近づけるように遅角し、中速以上の高回転域においては吸気行程のうち上死点に近づけるように進角して成る筒内燃料噴射型内燃機関において、
前記燃料噴射弁における燃料噴射口を、少なくとも、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を小さくした第1燃料噴射口と、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を大きくした第2燃料噴射口とに構成し、更に、前記低回転域において前記第1燃料噴射口及び前記第2燃料噴射口から燃料噴射し、前記高回転域において前記第1燃料噴射口からの燃料噴射を停止し、前記第2燃料噴射口から燃料噴射するように構成した。」
ことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項2は、
「シリンダブロックにおけるシリンダの頂部を塞ぐシリンダヘッドに、前記シリンダ内に下向きに開口する吸気ポート及び点火栓を設けて成り、更に、前記シリンダヘッドのうち前記吸気ポート側の部位に前記シリンダ内に向かって斜め下向きに燃料を噴射するようにした燃料噴射弁を設け、この燃料噴射弁による燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域においては吸気行程のうち下死点に近づけるように遅角し、中速以上の高回転域においては吸気行程のうち上死点に近づけるように進角して成る筒内燃料噴射型内燃機関において、
前記燃料噴射弁における燃料噴射口を、少なくとも、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を最も小さくした第1燃料噴射口と、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を最も大きくした第2燃料噴射口と、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を前記第1燃料噴射口における下向きの噴射角度及び第2燃料噴射口における下向きの噴射角度の間にした第3燃料噴射口とに構成し、更に、前記低回転域において前記第3燃料噴射口からの燃料噴射を停止して第1燃料噴射口及び第2燃料噴射口から燃料噴射し、前記高回転域において前記第1燃料噴射口及び第2燃料噴射口からの燃料噴射を停止して第3燃料噴射口から燃料噴射するように構成した。」
ことをと特徴としている。
【0013】
【発明の作用・効果】
前記請求項1の構成において、吸気ポートからのタンブル流が弱い低回転域においては、燃料の噴射が、第1燃料噴射口からの小さい下向き噴射角度での噴射と、第2燃料噴射口からの大きい下向き噴射角度での噴射との二箇所であることにより、噴射燃料の持つ運動エネルギーを利用した混合促進により、高い混合性を確保することができる。
【0014】
一方、吸気ポートからのタンブル流が強い高回転域においては、燃料の噴射が、前記第1燃料噴射口からの下向き噴射角度と、前記第2燃料噴射口からの大きい下向き噴射角度での噴射であることにより、この第2燃料噴射口から噴射された燃料は、強いタンブル流に素早く乗ることになるから、シリンダ内のうち燃料噴射弁の真下の部分に燃料が多く集まることを回避できて、シリンダ内の全体に略均一の混合気を確実に形成することができる。
【0015】
また、請求項2の構成において、吸気ポートからのタンブル流が弱い低回転域においては、燃料の噴射が、第1燃料噴射口からの最も小さい下向き噴射角度での噴射と、第2燃料噴射口からの最も大きい下向き噴射角度での噴射との二箇所であることにより、噴射燃料の吸気に対する接触面積が広いから、高い混合性を確保することができる。
【0016】
一方、吸気ポートからのタンブル流が強い高回転域においては、燃料の噴射が、前記第1燃料噴射口からの下向き噴射角度と、前記第2燃料噴射口からの下向き噴射角度との間における下向き噴射角度にした第3燃料噴射口からの燃料噴射であることにより、この第3燃料噴射口から噴射された燃料は、強いタンブル流に素早く乗ることになるから、シリンダ内のうち燃料噴射弁の真下の部分に燃料が多く集まることを回避できて、シリンダ内の全体に略均一の混合気を確実に形成することができる。
【0017】
特に、前記請求項1及び請求項2における各燃料噴射口を、当該各燃料噴射口からの燃料が前記シリンダの軸線と直角の方向から見て厚さが薄くシリンダの軸線方向から見て扇型に広がって噴射するようにしたスリット孔に形成することにより、噴射燃料の吸気に対する混合性を、総ての回転域における更に向上できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0019】
図1〜図4は、第1の実施の形態を示す。
【0020】
この図において、符号1は、シリンダ2を備えたシリンダブロックを、符号3は、前記シリンダブロック1の上面に前記シリンダ2の頂部を塞ぐように締結したシリンダヘッドを各々示し、前記シリンダ2内には、図示しないクランク軸の回転に連動して往復動するピストン4を備えており、また、前記シリンダヘッド3の下面には、燃焼室5が、前記シリンダ2内に開口するように凹み形成されている。
【0021】
前記シリンダヘッド3のうち前記シリンダ2における軸線2aの方向から見た平面視の図2において前記シリンダ2の中心を通ってクランク軸と平行に延びる長手中心線6を挟んで一方の側には、前記燃焼室5への下向きに開口部に吸気弁7を備えた二つの吸気ポート8が、平面視で前記長手中心線6から離れる方向に延びるように形成され、この両吸気ポート8より前記シリンダ2内に流入する吸気が、矢印Aで示すように、シリンダ2における軸線2aの方向に旋回するといタンブル流となるように構成されている。
【0022】
また、前記シリンダヘッド3のうち前記長手中心線6を挟んで他方の側には、前記燃焼室5への下向きに開口部に排気弁9を備えた二つの排気ポート10が、平面視で前記長手中心線6から離れる方向に延びるように形成されている。
【0023】
更にまた、前記シリンダヘッド3には、点火栓11が、前記燃焼室5内における略中心の部位にのぞむように装着されている。
【0024】
これに加えて、前記シリンダヘッド3のうち前記両吸気ポート8間の部位には、燃料噴射弁12が、燃料をシリンダ2内に斜め下向きに噴射するように装着されている。
【0025】
この燃料噴射弁12は、クランク軸の回転に関連し、吸気行程中において燃料を噴射するように構成されており、更に、この燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域において吸気行程の下死点に近づくように遅角し、中速以上の高回転域において吸気行程の上死点に近づくように進角するというように制御されている。
【0026】
そして、前記燃料噴射弁12において、そのニードル弁体13が開くことで燃料の噴射を行う燃料噴射口を、第1燃料噴射口14と、第2燃料噴射口15との二つにして、これら各燃料噴射口のうち、前記第1燃料噴射口14における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ1を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で吸気ポート8側の部分に向かって燃料を図1に二点鎖線の矢印Bで示す如く噴射するように、小さく設定する一方、前記第2燃料噴射口15における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ2を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で排気ポート10側の部分に向かって燃料を図1に一点鎖線の矢印Cで示す如く噴射するように、大きく設定する。
【0027】
そして、前記燃料噴射弁12におけるニードル弁体12には、前記第1燃料噴射口14を開閉するための切り換え用第1弁棒17、及び、前記第2燃料噴射口15を開閉するための切り換え用第2弁棒18を設けて、これら各切り換え用弁棒17,18を、燃料噴射弁12の外側から内燃機関における回転数に応じて適宜開閉操作することにより、中速以下の低回転域において、第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15を開くように構成する一方、中速以上の高回転域において、第1燃料噴射口14を閉じて、第2燃料噴射口15を開くように構成する。
【0028】
この場合において、前記各燃料噴射口14,15の各々を、図4に示すように、互いに平行で、且つ、平面視で前記長手中心線6と平行の方向に細長く延びるスリット孔に構成するすることにより、当該各燃料噴射口14,15からの燃料が前記シリンダ2の軸線2aと直角の方向から見た図1において厚さが薄くて、シリンダ2の軸線2aの方向から見て角度α1,α2の扇型に広がって噴射するように構成している。
【0029】
中速以下の低回転域において、両吸気ポート8から流入する吸気のタンブル流は弱いが、この低回転域においては、燃料噴射弁12における第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15が開くことで、燃料の噴射が、第1燃料噴射口14からの小さい下向き噴射角度θ1での噴射と、第2燃料噴射口15からの大きい下向き噴射角度θ2での噴射との二箇所であることにより、噴射燃料の持つ運動エネルギーを利用した混合促進により、高い混合性を確保することができる。
【0030】
中速以上の高回転域においては、両吸気ポート8から流入する吸気のタンブル流は強い。一方、この高回転域においては、燃料噴射弁12における第1燃料噴射口14が閉じて第2燃料噴射口15が開くことで、燃料噴射が、前記第2燃料噴射口15からのみ行われることにより、この第2燃料噴射口15から噴射された燃料は、強いタンブル流に素早く乗ることになるから、シリンダ内のうち燃料噴射弁12の真下の部分に燃料が多く集まることを回避できて、シリンダ2内の全体に略均一の混合気を形成することができる。
【0031】
また、前記第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15を、当該各燃料噴射口からの燃料が前記シリンダ2の軸線2aと直角の方向から見て厚さが薄くシリンダ2の軸線2aの方向から見て角度α1,α2の扇型に広がって噴射するようにしたスリット孔に形成することにより、噴射燃料の吸気に対する接触面積が増大するから、混合性を、総ての回転域において更に向上できる。
【0032】
なお、前記第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15は、その各々を一個にした場合に限らず、その各々を複数個に構成しても良いことはいうまでもない。
【0033】
次に、図5〜図8は、第2の実施の形態を示す。
【0034】
この第2の実施の形態は、前記燃料噴射弁12における燃料噴射口を、第1燃料噴射口14と、第2燃料噴射口15とに加えて、これら第1及び第2燃料噴射口14,15の間に位置する第3燃料噴射口16との三つにして、これら各燃料噴射口のうち、前記第1燃料噴射口14における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ1を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で吸気ポート8側の部分に向かって燃料を図1に二点鎖線の矢印Bで示す如く噴射するように、最も小さく設定する一方、前記第2燃料噴射口15における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ2を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で排気ポート10側の部分に向かって燃料を図1に一点鎖線の矢印Cで示す如く噴射するように、最も大きく設定する。
【0035】
また、前記各燃料噴射口のうち、前記第3燃料噴射口16における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ3を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で吸気ポート8と排気ポート10との間の部分に向かって燃料を図1に実線矢印Dで示す如く噴射するように、前記第1燃料噴射口14における下向きの噴射角度θ1及び第2燃料噴射口15における下向きの噴射角度θ2の間に設定する。
【0036】
そして、前記燃料噴射弁12におけるニードル弁体12には、前記第1燃料噴射口14を開閉するための切り換え用第1弁棒17、前記第2燃料噴射口15を開閉するための切り換え用第2弁棒18、及び、前記第3燃料噴射口16を開閉するための切り換え用第3弁棒19を設けて、これら各切り換え用弁棒17,18,19を、燃料噴射弁12の外側から内燃機関における回転数に応じて適宜開閉操作することにより、中速以下の低回転域において、第3燃料噴射口16を閉じて、第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15を開くように構成する一方、中速以上の高回転域において、第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15を閉じて、第3燃料噴射口16を開くように構成する。
【0037】
この場合において、前記各燃料噴射口14,15,16の各々を、図4に示すように、互いに平行で、且つ、平面視で前記長手中心線6と平行の方向に細長く延びるスリット孔に構成するすることにより、当該各燃料噴射口14,15,16からの燃料が前記シリンダ2の軸線2aと直角の方向から見た図1において厚さが薄くて、シリンダ2の軸線2aの方向から見て角度α1,α2,α3の扇型に広がって噴射するように構成している。
【0038】
中速以下の低回転域において、両吸気ポート8から流入する吸気のタンブル流は弱いが、この低回転域においては、燃料噴射弁12における第3燃料噴射口16が閉じて第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15が開くことで、燃料の噴射が、第1燃料噴射口14からの最も小さい下向き噴射角度θ1での噴射と、第2燃料噴射口15からの最も大きい下向き噴射角度θ2での噴射との二箇所であることにより、噴射燃料の持つ運動エネルギーを利用した混合促進により、高い混合性を確保することができる。
【0039】
中速以上の高回転域においては、両吸気ポート8から流入する吸気のタンブル流は強い。一方、この高回転域においては、燃料噴射弁12における第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15が閉じて第3燃料噴射口16が開くことで、燃料噴射が、前記第3燃料噴射口16からのみ、前記第1燃料噴射口14からの下向き噴射角度θ1と前記第2燃料噴射口15からの下向き噴射角度θ2との間における下向き噴射角度θ3で行われることにより、この第3燃料噴射口16から噴射された燃料は、強いタンブル流に素早く乗ることになるから、シリンダ内のうち燃料噴射弁12の真下の部分に燃料が多く集まることを回避できて、シリンダ2内の全体に略均一の混合気を形成することができる。
【0040】
また、この第2の実施の形態の場合においても、前記第1燃料噴射口14、第2燃料噴射口15及び第3燃料噴射口16を、当該各燃料噴射口からの燃料が前記シリンダ2の軸線2aと直角の方向から見て厚さが薄くシリンダ2の軸線2aの方向から見て角度α1,α2,α3の扇型に広がって噴射するようにしたスリット孔に形成することにより、噴射燃料の吸気に対する接触面積が増大するから、混合性を、総ての回転域において更に向上できる。
【0041】
なお、前記第1燃料噴射口14、第2燃料噴射口15及び第3燃料噴射口16は、その各々を一個にした場合に限らず、その各々を複数個に構成しても良いことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す要部縦断正面図である。
【図2】図1のII−II底面図である。
【図3】前記第1の実施の形態の燃料噴射弁における先端部の拡大断面図である。
【図4】図3のIV−IV底面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す要部縦断正面図である。
【図6】図5のVI−VI視底面図である。
【図7】前記第2の実施の形態の燃料噴射弁における先端部の拡大断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII視底面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 シリンダ
2a シリンダの軸線
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
7 吸気弁
8 吸気ポート
9 排気弁
10 排気ポート
11 点火栓
12 燃料噴射弁
14 第1燃料噴射口
15 第2燃料噴射口
16 第2燃料噴射口
17,18,19 切り換え用弁棒
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼に必要な燃料を、シリンダ内に直接に噴射供給するようにした筒内燃料噴射型の内燃機関に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
先行技術としての特許文献1は、シリンダブロックにおけるシリンダの頂部を塞ぐシリンダヘッドに、前記シリンダ内に下向きに開口する吸気ポート及び点火栓を設けて成り、更に、前記シリンダヘッドのうち前記吸気ポート側の部位に前記シリンダ内に向かって斜め下向きに燃料を噴射するようにした燃料噴射弁を設けて成る筒内燃料噴射型の内燃機関において、前記燃料噴射弁による燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域においては吸気行程のうち下死点(終わり)に近い時期に設定する一方、中速以上の高回転域においては吸気行程のうち上死点(始まり)に近づけるように前記低回転域の場合よりも進角することを提案している。
【0003】
この構成の内燃機関において、そのシリンダ内には、前記吸気ポートから流入する吸気がシリンダの軸線方向に旋回するというタンブル流が存在し、このタンブル流は、吸気量が多い高回転域において強く、吸気量が少ない低回転域において弱い。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−101146号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このため、燃料の噴射時期を、高回転域において吸気行程のうち上死点(始まり)に近づけるように進角することは、噴射燃料を、強いタンブル流に素早く乗せることができるから、燃料を吸気の全体に対して均一に混合することができる。
【0006】
しかし、その反面、低回転域においては、燃料の噴射時期が吸気行程のうち下死点(終わり)に近いことに加えて、タンブル流が弱いから、燃料の吸気に対する均一な混合性が低くなる。
【0007】
そこで、最近では、前記燃料噴射弁からの燃料噴射を、当該燃料噴射弁における略真下に向かう方向への噴射(シリンダの軸線に対する斜め下向きの噴射角度を小さくすること)と、当該燃料噴射弁から離れるように向かう方向への噴射(シリンダの軸線に対する斜め下向きの噴射角度を大きくすること)との二箇所噴射に構成することが行われている。
【0008】
この二箇所噴射の構成によると、噴射燃料の持つ運動エネルギーを利用した混合促進により、中速以下の低回転域における燃料の均一な混合性を確実に向上することができる。
【0009】
しかし、その反面、中速以上の高回転域においては、シリンダ内のうち燃料噴射弁の真下付近に燃料が多く集まる傾向を呈するから、燃料の均一な混合性は、むしろ低下することになるのであった。
【0010】
本発明は、これら問題を解消して、燃料の均一な混合性を、総ての回転域について確実に向上することを技術的課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明の請求項1は、
「シリンダブロックにおけるシリンダの頂部を塞ぐシリンダヘッドに、前記シリンダ内に下向きに開口する吸気ポート及び点火栓を設けて成り、更に、前記シリンダヘッドのうち前記吸気ポート側の部位に前記シリンダ内に向かって斜め下向きに燃料を噴射するようにした燃料噴射弁を設け、この燃料噴射弁による燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域においては吸気行程のうち下死点に近づけるように遅角し、中速以上の高回転域においては吸気行程のうち上死点に近づけるように進角して成る筒内燃料噴射型内燃機関において、
前記燃料噴射弁における燃料噴射口を、少なくとも、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を小さくした第1燃料噴射口と、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を大きくした第2燃料噴射口とに構成し、更に、前記低回転域において前記第1燃料噴射口及び前記第2燃料噴射口から燃料噴射し、前記高回転域において前記第1燃料噴射口からの燃料噴射を停止し、前記第2燃料噴射口から燃料噴射するように構成した。」
ことを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項2は、
「シリンダブロックにおけるシリンダの頂部を塞ぐシリンダヘッドに、前記シリンダ内に下向きに開口する吸気ポート及び点火栓を設けて成り、更に、前記シリンダヘッドのうち前記吸気ポート側の部位に前記シリンダ内に向かって斜め下向きに燃料を噴射するようにした燃料噴射弁を設け、この燃料噴射弁による燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域においては吸気行程のうち下死点に近づけるように遅角し、中速以上の高回転域においては吸気行程のうち上死点に近づけるように進角して成る筒内燃料噴射型内燃機関において、
前記燃料噴射弁における燃料噴射口を、少なくとも、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を最も小さくした第1燃料噴射口と、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を最も大きくした第2燃料噴射口と、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を前記第1燃料噴射口における下向きの噴射角度及び第2燃料噴射口における下向きの噴射角度の間にした第3燃料噴射口とに構成し、更に、前記低回転域において前記第3燃料噴射口からの燃料噴射を停止して第1燃料噴射口及び第2燃料噴射口から燃料噴射し、前記高回転域において前記第1燃料噴射口及び第2燃料噴射口からの燃料噴射を停止して第3燃料噴射口から燃料噴射するように構成した。」
ことをと特徴としている。
【0013】
【発明の作用・効果】
前記請求項1の構成において、吸気ポートからのタンブル流が弱い低回転域においては、燃料の噴射が、第1燃料噴射口からの小さい下向き噴射角度での噴射と、第2燃料噴射口からの大きい下向き噴射角度での噴射との二箇所であることにより、噴射燃料の持つ運動エネルギーを利用した混合促進により、高い混合性を確保することができる。
【0014】
一方、吸気ポートからのタンブル流が強い高回転域においては、燃料の噴射が、前記第1燃料噴射口からの下向き噴射角度と、前記第2燃料噴射口からの大きい下向き噴射角度での噴射であることにより、この第2燃料噴射口から噴射された燃料は、強いタンブル流に素早く乗ることになるから、シリンダ内のうち燃料噴射弁の真下の部分に燃料が多く集まることを回避できて、シリンダ内の全体に略均一の混合気を確実に形成することができる。
【0015】
また、請求項2の構成において、吸気ポートからのタンブル流が弱い低回転域においては、燃料の噴射が、第1燃料噴射口からの最も小さい下向き噴射角度での噴射と、第2燃料噴射口からの最も大きい下向き噴射角度での噴射との二箇所であることにより、噴射燃料の吸気に対する接触面積が広いから、高い混合性を確保することができる。
【0016】
一方、吸気ポートからのタンブル流が強い高回転域においては、燃料の噴射が、前記第1燃料噴射口からの下向き噴射角度と、前記第2燃料噴射口からの下向き噴射角度との間における下向き噴射角度にした第3燃料噴射口からの燃料噴射であることにより、この第3燃料噴射口から噴射された燃料は、強いタンブル流に素早く乗ることになるから、シリンダ内のうち燃料噴射弁の真下の部分に燃料が多く集まることを回避できて、シリンダ内の全体に略均一の混合気を確実に形成することができる。
【0017】
特に、前記請求項1及び請求項2における各燃料噴射口を、当該各燃料噴射口からの燃料が前記シリンダの軸線と直角の方向から見て厚さが薄くシリンダの軸線方向から見て扇型に広がって噴射するようにしたスリット孔に形成することにより、噴射燃料の吸気に対する混合性を、総ての回転域における更に向上できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0019】
図1〜図4は、第1の実施の形態を示す。
【0020】
この図において、符号1は、シリンダ2を備えたシリンダブロックを、符号3は、前記シリンダブロック1の上面に前記シリンダ2の頂部を塞ぐように締結したシリンダヘッドを各々示し、前記シリンダ2内には、図示しないクランク軸の回転に連動して往復動するピストン4を備えており、また、前記シリンダヘッド3の下面には、燃焼室5が、前記シリンダ2内に開口するように凹み形成されている。
【0021】
前記シリンダヘッド3のうち前記シリンダ2における軸線2aの方向から見た平面視の図2において前記シリンダ2の中心を通ってクランク軸と平行に延びる長手中心線6を挟んで一方の側には、前記燃焼室5への下向きに開口部に吸気弁7を備えた二つの吸気ポート8が、平面視で前記長手中心線6から離れる方向に延びるように形成され、この両吸気ポート8より前記シリンダ2内に流入する吸気が、矢印Aで示すように、シリンダ2における軸線2aの方向に旋回するといタンブル流となるように構成されている。
【0022】
また、前記シリンダヘッド3のうち前記長手中心線6を挟んで他方の側には、前記燃焼室5への下向きに開口部に排気弁9を備えた二つの排気ポート10が、平面視で前記長手中心線6から離れる方向に延びるように形成されている。
【0023】
更にまた、前記シリンダヘッド3には、点火栓11が、前記燃焼室5内における略中心の部位にのぞむように装着されている。
【0024】
これに加えて、前記シリンダヘッド3のうち前記両吸気ポート8間の部位には、燃料噴射弁12が、燃料をシリンダ2内に斜め下向きに噴射するように装着されている。
【0025】
この燃料噴射弁12は、クランク軸の回転に関連し、吸気行程中において燃料を噴射するように構成されており、更に、この燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域において吸気行程の下死点に近づくように遅角し、中速以上の高回転域において吸気行程の上死点に近づくように進角するというように制御されている。
【0026】
そして、前記燃料噴射弁12において、そのニードル弁体13が開くことで燃料の噴射を行う燃料噴射口を、第1燃料噴射口14と、第2燃料噴射口15との二つにして、これら各燃料噴射口のうち、前記第1燃料噴射口14における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ1を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で吸気ポート8側の部分に向かって燃料を図1に二点鎖線の矢印Bで示す如く噴射するように、小さく設定する一方、前記第2燃料噴射口15における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ2を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で排気ポート10側の部分に向かって燃料を図1に一点鎖線の矢印Cで示す如く噴射するように、大きく設定する。
【0027】
そして、前記燃料噴射弁12におけるニードル弁体12には、前記第1燃料噴射口14を開閉するための切り換え用第1弁棒17、及び、前記第2燃料噴射口15を開閉するための切り換え用第2弁棒18を設けて、これら各切り換え用弁棒17,18を、燃料噴射弁12の外側から内燃機関における回転数に応じて適宜開閉操作することにより、中速以下の低回転域において、第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15を開くように構成する一方、中速以上の高回転域において、第1燃料噴射口14を閉じて、第2燃料噴射口15を開くように構成する。
【0028】
この場合において、前記各燃料噴射口14,15の各々を、図4に示すように、互いに平行で、且つ、平面視で前記長手中心線6と平行の方向に細長く延びるスリット孔に構成するすることにより、当該各燃料噴射口14,15からの燃料が前記シリンダ2の軸線2aと直角の方向から見た図1において厚さが薄くて、シリンダ2の軸線2aの方向から見て角度α1,α2の扇型に広がって噴射するように構成している。
【0029】
中速以下の低回転域において、両吸気ポート8から流入する吸気のタンブル流は弱いが、この低回転域においては、燃料噴射弁12における第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15が開くことで、燃料の噴射が、第1燃料噴射口14からの小さい下向き噴射角度θ1での噴射と、第2燃料噴射口15からの大きい下向き噴射角度θ2での噴射との二箇所であることにより、噴射燃料の持つ運動エネルギーを利用した混合促進により、高い混合性を確保することができる。
【0030】
中速以上の高回転域においては、両吸気ポート8から流入する吸気のタンブル流は強い。一方、この高回転域においては、燃料噴射弁12における第1燃料噴射口14が閉じて第2燃料噴射口15が開くことで、燃料噴射が、前記第2燃料噴射口15からのみ行われることにより、この第2燃料噴射口15から噴射された燃料は、強いタンブル流に素早く乗ることになるから、シリンダ内のうち燃料噴射弁12の真下の部分に燃料が多く集まることを回避できて、シリンダ2内の全体に略均一の混合気を形成することができる。
【0031】
また、前記第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15を、当該各燃料噴射口からの燃料が前記シリンダ2の軸線2aと直角の方向から見て厚さが薄くシリンダ2の軸線2aの方向から見て角度α1,α2の扇型に広がって噴射するようにしたスリット孔に形成することにより、噴射燃料の吸気に対する接触面積が増大するから、混合性を、総ての回転域において更に向上できる。
【0032】
なお、前記第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15は、その各々を一個にした場合に限らず、その各々を複数個に構成しても良いことはいうまでもない。
【0033】
次に、図5〜図8は、第2の実施の形態を示す。
【0034】
この第2の実施の形態は、前記燃料噴射弁12における燃料噴射口を、第1燃料噴射口14と、第2燃料噴射口15とに加えて、これら第1及び第2燃料噴射口14,15の間に位置する第3燃料噴射口16との三つにして、これら各燃料噴射口のうち、前記第1燃料噴射口14における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ1を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で吸気ポート8側の部分に向かって燃料を図1に二点鎖線の矢印Bで示す如く噴射するように、最も小さく設定する一方、前記第2燃料噴射口15における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ2を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で排気ポート10側の部分に向かって燃料を図1に一点鎖線の矢印Cで示す如く噴射するように、最も大きく設定する。
【0035】
また、前記各燃料噴射口のうち、前記第3燃料噴射口16における前記シリンダ2の軸線2aに対する下向きの噴射角度θ3を、下死点に位置するときにおける前記ピストン4の頂面のうち平面視で吸気ポート8と排気ポート10との間の部分に向かって燃料を図1に実線矢印Dで示す如く噴射するように、前記第1燃料噴射口14における下向きの噴射角度θ1及び第2燃料噴射口15における下向きの噴射角度θ2の間に設定する。
【0036】
そして、前記燃料噴射弁12におけるニードル弁体12には、前記第1燃料噴射口14を開閉するための切り換え用第1弁棒17、前記第2燃料噴射口15を開閉するための切り換え用第2弁棒18、及び、前記第3燃料噴射口16を開閉するための切り換え用第3弁棒19を設けて、これら各切り換え用弁棒17,18,19を、燃料噴射弁12の外側から内燃機関における回転数に応じて適宜開閉操作することにより、中速以下の低回転域において、第3燃料噴射口16を閉じて、第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15を開くように構成する一方、中速以上の高回転域において、第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15を閉じて、第3燃料噴射口16を開くように構成する。
【0037】
この場合において、前記各燃料噴射口14,15,16の各々を、図4に示すように、互いに平行で、且つ、平面視で前記長手中心線6と平行の方向に細長く延びるスリット孔に構成するすることにより、当該各燃料噴射口14,15,16からの燃料が前記シリンダ2の軸線2aと直角の方向から見た図1において厚さが薄くて、シリンダ2の軸線2aの方向から見て角度α1,α2,α3の扇型に広がって噴射するように構成している。
【0038】
中速以下の低回転域において、両吸気ポート8から流入する吸気のタンブル流は弱いが、この低回転域においては、燃料噴射弁12における第3燃料噴射口16が閉じて第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15が開くことで、燃料の噴射が、第1燃料噴射口14からの最も小さい下向き噴射角度θ1での噴射と、第2燃料噴射口15からの最も大きい下向き噴射角度θ2での噴射との二箇所であることにより、噴射燃料の持つ運動エネルギーを利用した混合促進により、高い混合性を確保することができる。
【0039】
中速以上の高回転域においては、両吸気ポート8から流入する吸気のタンブル流は強い。一方、この高回転域においては、燃料噴射弁12における第1燃料噴射口14及び第2燃料噴射口15が閉じて第3燃料噴射口16が開くことで、燃料噴射が、前記第3燃料噴射口16からのみ、前記第1燃料噴射口14からの下向き噴射角度θ1と前記第2燃料噴射口15からの下向き噴射角度θ2との間における下向き噴射角度θ3で行われることにより、この第3燃料噴射口16から噴射された燃料は、強いタンブル流に素早く乗ることになるから、シリンダ内のうち燃料噴射弁12の真下の部分に燃料が多く集まることを回避できて、シリンダ2内の全体に略均一の混合気を形成することができる。
【0040】
また、この第2の実施の形態の場合においても、前記第1燃料噴射口14、第2燃料噴射口15及び第3燃料噴射口16を、当該各燃料噴射口からの燃料が前記シリンダ2の軸線2aと直角の方向から見て厚さが薄くシリンダ2の軸線2aの方向から見て角度α1,α2,α3の扇型に広がって噴射するようにしたスリット孔に形成することにより、噴射燃料の吸気に対する接触面積が増大するから、混合性を、総ての回転域において更に向上できる。
【0041】
なお、前記第1燃料噴射口14、第2燃料噴射口15及び第3燃料噴射口16は、その各々を一個にした場合に限らず、その各々を複数個に構成しても良いことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す要部縦断正面図である。
【図2】図1のII−II底面図である。
【図3】前記第1の実施の形態の燃料噴射弁における先端部の拡大断面図である。
【図4】図3のIV−IV底面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す要部縦断正面図である。
【図6】図5のVI−VI視底面図である。
【図7】前記第2の実施の形態の燃料噴射弁における先端部の拡大断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII視底面図である。
【符号の説明】
1 シリンダブロック
2 シリンダ
2a シリンダの軸線
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
7 吸気弁
8 吸気ポート
9 排気弁
10 排気ポート
11 点火栓
12 燃料噴射弁
14 第1燃料噴射口
15 第2燃料噴射口
16 第2燃料噴射口
17,18,19 切り換え用弁棒
Claims (2)
- シリンダブロックにおけるシリンダの頂部を塞ぐシリンダヘッドに、前記シリンダ内に下向きに開口する吸気ポート及び点火栓を設けて成り、更に、前記シリンダヘッドのうち前記吸気ポート側の部位に前記シリンダ内に向かって斜め下向きに燃料を噴射するようにした燃料噴射弁を設け、この燃料噴射弁による燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域においては吸気行程のうち下死点に近づけるように遅角し、中速以上の高回転域においては吸気行程のうち上死点に近づけるように進角して成る筒内燃料噴射型内燃機関において、
前記燃料噴射弁における燃料噴射口を、少なくとも、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を小さくした第1燃料噴射口と、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を大きくした第2燃料噴射口とに構成し、更に、前記低回転域において前記第1燃料噴射口及び前記第2燃料噴射口から燃料噴射し、前記高回転域において前記第1燃料噴射口からの燃料噴射を停止し、前記第2燃料噴射口から燃料噴射するように構成したことを特徴とする筒内燃料噴射型内燃機関。 - シリンダブロックにおけるシリンダの頂部を塞ぐシリンダヘッドに、前記シリンダ内に下向きに開口する吸気ポート及び点火栓を設けて成り、更に、前記シリンダヘッドのうち前記吸気ポート側の部位に前記シリンダ内に向かって斜め下向きに燃料を噴射するようにした燃料噴射弁を設け、この燃料噴射弁による燃料噴射の時期を、中速以下の低回転域においては吸気行程のうち下死点に近づけるように遅角し、中速以上の高回転域においては吸気行程のうち上死点に近づけるように進角して成る筒内燃料噴射型内燃機関において、
前記燃料噴射弁における燃料噴射口を、少なくとも、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を最も小さくした第1燃料噴射口と、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を最も大きくした第2燃料噴射口と、前記シリンダの軸線に対する下向きの噴射角度を前記第1燃料噴射口における下向きの噴射角度及び第2燃料噴射口における下向きの噴射角度の間にした第3燃料噴射口とに構成し、更に、前記低回転域において前記第3燃料噴射口からの燃料噴射を停止して第1燃料噴射口及び第2燃料噴射口から燃料噴射し、前記高回転域において前記第1燃料噴射口及び第2燃料噴射口からの燃料噴射を停止して第3燃料噴射口から燃料噴射するように構成したことを特徴とする筒内燃料噴射型内燃機関。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003201767A JP2005042586A (ja) | 2003-07-25 | 2003-07-25 | 筒内燃料噴射型内燃機関 |
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JP2003201767A JP2005042586A (ja) | 2003-07-25 | 2003-07-25 | 筒内燃料噴射型内燃機関 |
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JP2003201767A Pending JP2005042586A (ja) | 2003-07-25 | 2003-07-25 | 筒内燃料噴射型内燃機関 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008038815A (ja) * | 2006-08-08 | 2008-02-21 | Toyota Motor Corp | 燃料噴射装置及び内燃機関 |
JP2008151060A (ja) * | 2006-12-19 | 2008-07-03 | Toyota Motor Corp | 燃料噴射弁 |
JP2015021390A (ja) * | 2013-07-16 | 2015-02-02 | 富士重工業株式会社 | インジェクタ |
JP2017082051A (ja) * | 2015-10-23 | 2017-05-18 | 国立大学法人三重大学 | リグノフェノール−セルロース複合体の製造方法 |
-
2003
- 2003-07-25 JP JP2003201767A patent/JP2005042586A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008038815A (ja) * | 2006-08-08 | 2008-02-21 | Toyota Motor Corp | 燃料噴射装置及び内燃機関 |
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JP2015021390A (ja) * | 2013-07-16 | 2015-02-02 | 富士重工業株式会社 | インジェクタ |
JP2017082051A (ja) * | 2015-10-23 | 2017-05-18 | 国立大学法人三重大学 | リグノフェノール−セルロース複合体の製造方法 |
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