JP2005041423A - 車輌の制動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動制動装置の作動中に連通制御弁が開弁されたときに、高圧の作動液体がマスタシリンダへ逆流しマスタシリンダ圧力が上昇することに起因して、車輪に不必要な制動力が付与されることを防止する。
【解決手段】挙動制御の実行中にリニア弁に異常が生じ、連通制御弁24L又は24Rが開弁されると(S10〜90)、連通制御弁が開弁された時点より所定の時間の間ストロークセンサ70より検出された踏み込みストロークStのみに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが演算され(S180〜200)、連通制御弁よりもホイールシリンダ側の高圧のオイルがマスタシリンダ14へ逆流することにより上昇したマスタシリンダ圧力に基づいて目標ホイールシリンダ圧力が演算されることに起因して不必要な制動力が車輪に付与されることを防止する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車輌の制動力制御装置に係り、更に詳細には所謂電子制御式の制動力制御装置に係る。
自動車等の車輌に於いてマスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの連通を制御する連通制御弁を有し、連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力を制御する制動力制御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる下記の特許文献1に記載されている如く、マスタシリンダ圧力及びブレーキペダルの踏み込みストロークを検出し、マスタシリンダ圧力及びブレーキペダルの踏み込みストロークに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算し、各車輪のホイールシリンダ圧力が目標ホイールシリンダ圧力になるよう各車輪の増減圧制御弁を制御する制動力制御装置が従来より知られている。
また上述の如き連通制御弁を有する制動力制御装置を備えた車輌に於いては、運転者の制動操作とは無関係に各車輪の制動力を制御することができるので、例えば車輌の挙動が悪化した場合には所定の車輪に自動的に制動力を付与して車輌の挙動を安定化させたり、車輌が前方障害物に衝突する虞れがあるときや先行車輌との間の車間距離が小さくなったときに車輪に自動的に制動力を付与して車輌を自動的に減速させる自動制動装置も従来より知られている。
特開2002−316630号公報
一般に、制動力制御装置及び自動制動装置の何れにより車輪の制動力が制御される場合にも、連通制御弁を閉弁させた状態で高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力が制御されるが、増減圧制御弁に異常が生じホイールシリンダ圧力を制御し得なくなると、当該車輪については連通制御弁が開弁され、その車輪のホイールシリンダはマスタシリンダと接続された状態にされる。
そのため自動制動装置により所定の車輪の制動力が制御されている状況に於いて所定の車輪の増減圧制御弁に異常が生じ、対応する連通制御弁が開弁されると、当該連通制御弁よりホイールシリンダ側の高圧の作動液体が連通制御弁を経てマスタシリンダへ逆流し、マスタシリンダ圧力が瞬間的に急激に上昇する。従って上昇したマスタシリンダ圧力に基づき不必要な高い目標ホイールシリンダ圧力が演算され、各車輪のホイールシリンダ圧力が目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御されることに起因して車輪に不必要な制動力が付与されてしまうという不具合があり、この不具合はブレーキ操作フィーリングを向上させるべくマスタシリンダにオリフィスが組み込まれている場合に特に顕著である。
本発明は、連通制御弁によりマスタシリンダとホイールシリンダとの連通が遮断された状態でホイールシリンダ圧力を制御することにより車輪の制動力を制御するよう構成された従来の制動力制御装置及び自動制動装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、自動制動装置の作動中に連通制御弁が開弁されたときには、高圧の作動液体がマスタシリンダへ逆流することにより上昇したマスタシリンダ圧力に基づいて車輪の制動力が制御されることを抑制することにより、車輪に不必要な制動力が付与されることを防止することである。
上述の主要な課題は、本発明によれば、マスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの連通を制御する連通制御弁を有し、前記連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力を制御する車輌の制動力制御装置に於いて、車輌は運転者による制動操作子の制動操作に関係なく高圧の圧力源の圧力を使用して所定の車輪のホイールシリンダ圧力を制御する自動制動装置を備え、前記自動制動装置の作動中に前記連通制御弁が閉弁状態より開弁状態に切り換えられたときには、その切り換え時点より所定の時間内に於いてはマスタシリンダ圧力に基づく各車輪のホイールシリンダ圧力の制御を抑制することを特徴とする車輌の制動力制御装置(請求項1の構成)、又はマスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの連通を制御する連通制御弁を有し、前記連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力を制御する車輌の制動力制御装置に於いて、車輌は運転者による制動操作子の制動操作に関係なく高圧の圧力源の圧力を使用して所定の車輪のホイールシリンダ圧力を制御する自動制動装置を備え、前記自動制動装置の作動中に前記連通制御弁が閉弁状態より開弁状態に切り換えられたときには、運転者により制動操作が行われるまでマスタシリンダ圧力に基づく各車輪のホイールシリンダ圧力の制御を抑制することを特徴とする車輌の制動力制御装置(請求項2の構成)によって達成される。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1又は2の構成に於いて、制動操作子に対する運転者の制動操作を検出する制動操作検出手段を有し、前記ホイールシリンダ圧力の制御の抑制は前記制動操作検出手段により前記制動操作子に対する制動操作が行われていないことが検出されている場合に行われるよう構成される(請求項3の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の構成に於いて、前記制動力制御装置は少なくともマスタシリンダ圧力に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算すると共に、各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御し、前記ホイールシリンダ圧力の制御の抑制は目標ホイールシリンダ圧力に基づくホイールシリンダ圧力の制御量があるときに行われるよう構成される(請求項4の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の構成に於いて、前記制動力制御装置はマスタシリンダ圧力及び運転者による制動操作子の操作変位量に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算すると共に、各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御し、目標ホイールシリンダ圧力に対するマスタシリンダ圧力の寄与度合を低下することにより、マスタシリンダ圧力に基づく各車輪のホイールシリンダ圧力の制御を抑制するよう構成される(請求項5の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項5の構成に於いて、前記制動力制御装置は運転者による制動操作子の操作変位量のみに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算することにより、目標ホイールシリンダ圧力に対するマスタシリンダ圧力の寄与度合を0に低下するよう構成される(請求項6の構成)。
上記請求項1の構成によれば、自動制動装置の作動中に連通制御弁が閉弁状態より開弁状態に切り換えられたときには、その切り換え時点より所定の時間内に於いてはマスタシリンダ圧力に基づく各車輪のホイールシリンダ圧力の制御が抑制されるので、連通制御弁が開弁状態に切り換えられ、高圧の作動液体がマスタシリンダへ逆流することによりマスタシリンダ圧力が上昇しても、その上昇したマスタシリンダ圧力に基づいて車輪の制動力が制御されることが抑制されることにより、車輪に不必要な制動力が付与されることを効果的に防止することができる。
また上記請求項2の構成によれば、自動制動装置の作動中に連通制御弁が閉弁状態より開弁状態に切り換えられたときには、運転者により制動操作が行われるまでマスタシリンダ圧力に基づく各車輪のホイールシリンダ圧力の制御が抑制されるので、車輪に不必要な制動力が付与されることを効果的に防止することができると共に、運転者の制動意思を確実に反映した制動力の制御を確保することができる。
また上記請求項3の構成によれば、ホイールシリンダ圧力の制御の抑制は制動操作検出手段により制動操作子に対する制動操作が行われていないことが検出されている場合に行われるので、運転者により制動操作が行われているときにホイールシリンダ圧力の制御の抑制が行われず、マスタシリンダ圧力が上昇し車輪の制動力が上昇しても、運転者は制動操作子に対する制動操作量の調節により所望の車輌減速度を確保することができると共に、運転者により制動操作が行われていないときに車輪に不必要な制動力が付与されることを確実に防止することができる。
また上記請求項4の構成によれば、少なくともマスタシリンダ圧力に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力が演算されると共に、各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御され、ホイールシリンダ圧力の制御の抑制は目標ホイールシリンダ圧力に基づくホイールシリンダ圧力の制御量があるときに行われるので、ホイールシリンダ圧力の制御の抑制が不必要に実行されることを防止することができる。
また上記請求項5の構成によれば、マスタシリンダ圧力及び運転者による制動操作子の操作変位量に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力が演算されると共に、各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御され、目標ホイールシリンダ圧力に対するマスタシリンダ圧力の寄与度合を低下することにより、マスタシリンダ圧力に基づく各車輪のホイールシリンダ圧力の制御が抑制されるので、目標ホイールシリンダ圧力に対するマスタシリンダ圧力の寄与度合が低下されない場合に比して、車輪に不必要な制動力が付与される虞れを確実に低減することができる。
また上記請求項6の構成によれば、制動操作子に対する運転者の制動操作量のみに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力が演算されることにより、目標ホイールシリンダ圧力に対するマスタシリンダ圧力の寄与度合が0に低下されるので、高圧の作動液体がマスタシリンダへ逆流することによりマスタシリンダ圧力が上昇しても、車輪に不必要な制動力が付与されることを確実に防止することができる。
[課題解決手段の好ましい態様]
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、制動力制御装置は連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき増減圧制御弁を制御することにより高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力を制御し、連通制御弁は対応する増減圧制御弁に異常が生じると開弁状態より閉弁状態に切り換えられるよう構成される(好ましい態様1)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、運転者による制動操作は運転者による制動操作子の操作変位量により判定されるよう構成される(好ましい態様2)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、制動操作検出手段は運転者による制動操作子の操作変位量を検出するよう構成される(好ましい態様3)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、制動力制御装置はマスタシリンダ圧力及び運転者による制動操作子の操作変位量に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算するよう構成される(好ましい態様4)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項5の構成に於いて、制動力制御装置はマスタシリンダ圧力に基づく目標制動制御量と運転者による制動操作子の操作変位量に基づく目標制動制御量との重み和に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算し、マスタシリンダ圧力に基づく目標制動制御量の重みを低減することにより目標ホイールシリンダ圧力に対するマスタシリンダ圧力の寄与度合を低下するよう構成される(好ましい態様5)。
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至6の構成に於いて、連通制御弁は常開の電磁開閉弁であるよう構成される(好ましい態様6)。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施例について詳細に説明する。
図1は自動制動装置としての挙動制御装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例1の油圧回路を示す概略構成図、図2は実施例1の制動力制御装置及び挙動制御装置の制御系を示すブロック図である。尚図1に於いては、簡略化の目的で各弁のソレノイドの図示は省略されている。
図1に於いて、10は電気的に制御される油圧式のブレーキ装置を示しており、ブレーキ装置10は運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応答してブレーキオイルを圧送するマスタシリンダ14を有している。ブレーキペダル12とマスタシリンダ14との間にはドライストロークシミュレータ16が設けられている。
マスタシリンダ14は第一のマスタシリンダ室14Aと第二のマスタシリンダ室14Bとを有し、これらのマスタシリンダ室にはそれぞれ左前輪用のブレーキ油圧供給導管18及び右前輪用のブレーキ油圧制御導管20の一端が接続されている。ブレーキ油圧制御導管18及び20の他端にはそれぞれ左前輪及び右前輪の制動力を制御するホイールシリンダ22FL及び22FRが接続されている。
ブレーキ油圧供給導管18及び20の途中にはそれぞれ常開型の電磁開閉弁(マスタカット弁)24L及び24Rが設けられ、電磁開閉弁24L及び24Rはそれぞれ第一のマスタシリンダ室14A及び第二のマスタシリンダ室14Bと対応するホイールシリンダ22FL及び22FRとの連通を制御する遮断弁として機能する。またマスタシリンダ14と電磁開閉弁24FLとの間のブレーキ油圧供給導管18には常閉型の電磁開閉弁(常閉弁)26を介してウェットストロークシミュレータ28が接続されている。
マスタシリンダ14にはリザーバ30が接続されており、リザーバ30には油圧供給導管32の一端が接続されている。油圧供給導管32の途中には電動機34により駆動されるオイルポンプ36が設けられており、オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32には高圧の油圧を蓄圧するアキュムレータ38が接続されている。リザーバ30とオイルポンプ36との間の油圧供給導管32には油圧排出導管40の一端が接続されている。リザーバ30、オイルポンプ36、アキュムレータ38等は後述の如くホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RR内の圧力を増圧するための高圧の圧力源として機能する。
尚図1には示されていないが、オイルポンプ36の吸入側の油圧供給導管32と吐出側の油圧供給導管32とを連通接続する導管が設けられ、該導管の途中にはアキュムレータ38内の圧力が基準値を越えた場合に開弁し吐出側の油圧供給導管32より吸入側の油圧供給導管32へオイルを戻すリリーフ弁が設けられている。
オイルポンプ36の吐出側の油圧供給導管32は、油圧制御導管42により電磁開閉弁24Lとホイールシリンダ22FLとの間のブレーキ油圧供給導管18に接続され、油圧制御導管44により電磁開閉弁24Rとホイールシリンダ22FRとの間のブレーキ油圧供給導管20に接続され、油圧制御導管46により左後輪用のホイールシリンダ22RLに接続され、油圧制御導管48により右後輪用のホイールシリンダ22RRに接続されている。
油圧制御導管42、44、46、48の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁50FL、50FR、50RL、50RRが設けられている。リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRに対しホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRの側の油圧制御導管42、44、46、48はそれぞれ油圧制御導管52、54、56、58により油圧排出導管40に接続されており、油圧制御導管52、54の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁60FL、60FRが設けられ、また油圧制御導管56、58の途中にはそれぞれ常閉型の電磁式のリニア弁よりも低廉な常開型の電磁式のリニア弁60RL、60RRが設けられている。
リニア弁50FL、50FR、50RL、50RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する増圧弁(保持弁)として機能し、リニア弁60FL、60FR、60RL、60RRはそれぞれホイールシリンダ22FL、22FR、22RL、22RRに対する減圧弁として機能し、従ってこれらのリニア弁は互いに共働してアキュムレータ38内より各ホイールシリンダに対する高圧のオイルの給排を制御する増減圧制御弁を構成している。
尚各電磁開閉弁、各リニア弁及び電動機34に駆動電流が供給されない非制御時には電磁開閉弁24L及び24Rは開弁状態に維持され、電磁開閉弁26、リニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL及び60FRは閉弁状態に維持され、リニア弁60RL及び60RRは開弁状態に維持される(非制御モード)。またリニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL〜60RRの何れかが失陥し、対応するホイールシリンダ内の圧力を正常に制御できなくなった場合にも各電磁開閉弁等は非制御モードに設定され、これにより左右前輪のホイールシリンダ内の圧力は直接マスタシリンダ14により制御される。
図1に示されている如く、第一のマスタシリンダ室14Aと電磁開閉弁24Lとの間のブレーキ油圧制御導管18には該制御導管内の圧力を第一のマスタシリンダ圧力Pm1として検出する第一の圧力センサ66が設けられている。同様に第二のマスタシリンダ室14Bと電磁開閉弁24Rとの間のブレーキ油圧制御導管20には該制御導管内の圧力を第二のマスタシリンダ圧力Pm2として検出する第二の圧力センサ68が設けられている。ブレーキペダル12には運転者によるブレーキペダルの踏み込みストロークStを検出するストロークセンサ70が設けられ、オイルポンプ34の吐出側の油圧供給導管32には該導管内の圧力をアキュムレータ圧力Paとして検出する圧力センサ72が設けられている。
それぞれ電磁開閉弁24L及び24Rとホイールシリンダ22FL及び22FRとの間のブレーキ油圧供給導管18及び20には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22FL及び22FR内の圧力Pfl、Pfrとして検出する圧力センサ74FL及び74FRが設けられている。またそれぞれ電磁開閉弁50RL及び50RRとホイールシリンダ22RL及び22RRとの間の油圧制御導管46及び48には、対応する導管内の圧力をホイールシリンダ22RL及び22RR内の圧力Prl、Prrとして検出する圧力センサ74RL及び74RRが設けられている。
電磁開閉弁24L及び24R、電磁開閉弁26、電動機34、リニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL〜60RRは、後に詳細に説明する如く図2に示された電子制御装置78により制御される。電子制御装置78はマイクロコンピュータ80と駆動回路82とよりなっている。尚マイクロコンピュータ80は図1には詳細に示されていないが例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のものであってよい。
マイクロコンピュータ80には、圧力センサ66及び68よりそれぞれ第一のマスタシリンダ圧力Pm1及び第二のマスタシリンダ圧力Pm2を示す信号、ストロークセンサ70よりブレーキペダル12の踏み込みストロークStを示す信号、圧力センサ72よりアキュムレータ圧力Paを示す信号、圧力センサ74FL〜74RRよりそれぞれホイールシリンダ22FL〜22RR内の圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)を示す信号が入力される。
マイクロコンピュータ80は、後述の如く図3に示されたフローチャートによる制動力制御ルーチンを記憶しており、ブレーキペダル12が踏み込まれると電磁開閉弁26を開弁すると共に、電磁開閉弁24L及び24Rを閉弁し、その状態にて圧力センサ66、68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2及びストロークセンサ70より検出された踏み込みストロークStに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Pti(i=fl、fr、rl、rr)をマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い値に演算し、各車輪の制動圧Piが目標ホイールシリンダ圧力Ptiになるよう各リニア弁50FL〜50RR及び60FL〜60RRを制御する。
以上の説明より解る如く、マイクロコンピュータ80は運転者の制動操作量に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算し、電磁開閉弁24L及び24R、電磁開閉弁26、電動機34、リニア弁50FL〜50RR、リニア弁60FL〜60RR、電子制御装置78、圧力センサ66等の各センサと共働して高圧の圧力源の圧力を使用して電磁開閉弁24L及び24Rを閉弁させた状態で各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御する制御手段を構成している。
また図示の実施例に於いては、車輪の制動力は挙動制御装置の電子制御装置84によっても制御される。電子制御装置84はマイクロコンピュータ80と同様の構成を有するマイクロコンピュータ86を含み、マイクロコンピュータ80との間にて必要な情報の授受を行う。マイクロコンピュータ86には操舵角センサ88により検出された操舵角θを示す信号、ヨーレートセンサ90により検出されたヨーレートγを示す信号、前後加速度センサ92により検出された前後加速度Gxを示す信号、横加速度センサ94により検出された横加速度Gyを示す信号、車速センサ96により検出された車速Vを示す信号が入力される。
フローチャートとして図には示されていないが、マイクロコンピュータ86は車輌の走行に伴い変化する車輌状態量に基づき車輌のスピンの程度を示すスピン状態量SS及び車輌のドリフトアウトの程度を示すドリフトアウト状態量DSを演算し、スピン状態量SS及びドリフトアウト状態量DSに基づき車輌の挙動を安定化させる挙動制御の各車輪の目標制動力又は目標スリップ率を演算し、電磁開閉弁24L及び24Rを閉弁させた状態で高圧の圧力源の圧力を使用して運転者の制動操作に関係なく目標制動力又は目標スリップ率に応じて各車輪の制動圧を制御し、これにより所定の車輪に制動力を付与して車輌の挙動を安定化させる。
例えばマイクロコンピュータ86は車輌がスピン状態にあるときには、旋回外側前輪に制動力を付与して車輌にスピン抑制方向のヨーモーメントを与えることによりスピンを抑制し、車輌がドリフトアウト状態にあるときには、左右の後輪に制動力を付与して車輌を減速すると共に車輌に旋回補助方向のヨーモーメントを与えることによってドリフトアウトを抑制する。
また図示の実施例に於いては、フローチャートとして図には示されていないが、マイクロコンピュータ80はブレーキ装置10について自己診断を行い、その診断結果に応じて必要な措置を講ずる。特にマイクロコンピュータ80は各車輪の増圧弁としてのリニア弁50FL〜50RR又は減圧弁としてのリニア弁60FL〜60RRの何れかに異常が生じ、ホイールシリンダ圧力を適正に制御することができなくなると、対応する電磁開閉弁24L又は24Rを開弁してホイールシリンダとマスタシリンダ室14A又は14Bとを接続し、当技術分野に於いて公知の代替制御を行う。
特に図示の実施例に於いては、マイクロコンピュータ80は挙動制御装置の電子制御装置84により挙動制御が行われている状況に於いて左右前輪の何れかのリニア弁に異常が生じ、電磁開閉弁24L又は24Rが開弁されると、原則として電磁開閉弁24L又は24Rが開弁された時点より所定の時間の間ストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStのみに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiを演算し、電磁開閉弁24L又は24Rよりもホイールシリンダ側の高圧のオイルがマスタシリンダ14へ逆流することにより上昇したマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2に基づいて目標ホイールシリンダ圧力が演算されることに起因して不必要な制動力が車輪に付与されることを防止する。
次に図2に示されたフローチャートを参照して実施例1に於ける制動力制御について説明する。尚図2に示されたフローチャートによる制御はマイクロコンピュータ80が起動されることにより開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。またフラグFaは左右前輪の何れかのリニア弁に異常が生じているか否かに関するものであり、1は左右前輪の何れかのリニア弁に異常が生じていることを示している。
まずステップ10に於いてはフラグFaが1であるか否かの判別、即ち左右前輪の何れかのリニア弁に異常が生じているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ30へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ20へ進む。
ステップ20に於いては例えばストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStが基準値Sto(正の定数)以上であるか否かの判別により、運転者によりブレーキペダル12が踏み込まれているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ110へ進み、否定判別が行われたときにはステップ60へ進む。
ステップ30に於いては運転者による制動要求があるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ40へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ130へ進む。尚運転者による制動要求があるか否かの判別は、例えば圧力センサ66、68により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaが開始基準値Pms(正の定数)以上であるか又はストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStが開始基準値Sts(正の定数)以上であるか否かの判別により行われてよい。
ステップ40に於いては挙動制御装置により左前輪に制動力を付与する制御が行われているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ60へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ50へ進む。
ステップ50に於いては例えば左前輪のリニア弁50FL又は60FLに異常が生じ、左前輪が制動力制御許可状態より制動力制御禁止状態へ変化したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ100へ進み、否定判別が行われたときにはステップ60へ進む。
ステップ60に於いては例えば左前輪が制動力制御許可状態より制動力制御禁止状態へ変化した時点より所定の時間Tofl(正の定数)以内であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ100へ進み、否定判別が行われたときにはステップ70へ進む。
同様に、ステップ70に於いては挙動制御装置により右前輪に制動力を付与する制御が行われているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ90へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ80へ進む。
ステップ80に於いては例えば右前輪のリニア弁50FR又は60FRに異常が生じ、右前輪が制動力制御許可状態より制動力制御禁止状態へ変化したか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ100へ進み、否定判別が行われたときにはステップ90へ進む。
ステップ90に於いては例えば右前輪が制動力制御許可状態より制動力制御禁止状態へ変化した時点より所定の時間Tofr(正の定数)以内であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ100に於いてフラグFaが1にセットされ、否定判別が行われたときにはステップ110に於いてフラグFaが0にリセットされる。尚ステップ60及び90に於ける所定の時間Tofl及びTofrは、電磁開閉弁24L又は24Rが開弁され高圧のオイルがマスタシリンダ14へ逆流することに起因するマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2の瞬間的な上昇が収まる時間に設定される。
ステップ130に於いてはフラグFaが0であるか否かの判別、即ち左右前輪のリニア弁が正常であるか否かの判別行われ、否定判別が行われたときにはステップ180へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ140へ進む。
ステップ140に於いては圧力センサ66により検出されたマスタシリンダ圧力Pm1を示す信号等の読み込みが行われ、マスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pmaに基づき図6に示されたグラフに対応するマップよりマスタシリンダ圧力に基づく目標減速度Gptが演算される。
ステップ150に於いてはストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより踏み込みストロークに基づく目標減速度Gstが演算される。
ステップ160に於いては前回の最終目標減速度Gtfに基づき図8に示されたグラフに対応するマップより目標減速度Gptに対する重みα(0≦α≦1)が演算されると共に、下記の式1に従って目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度Gtが演算される。尚図示の実施例に於いては、重みαは前回の最終目標減速度Gtfに基づき演算されるようになっているが、目標減速度Gpt又はGstに基づき演算されるよう修正されてもよい。
Gt=α・Gpt+(1−α)Gst ……(1)
ステップ170に於いては最終目標減速度Gtに対する各車輪の目標ホイールシリンダ圧力の係数(各車輪のブレーキ効き係数を考慮した正の係数)をKi(i=fl、fr、rl、rr)として、下記の式2に従って各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Pti(i=fl、fr、rl、rr)が演算される。
Pti=Ki・Gt ……(2)
ステップ180に於いてはステップ150の場合と同様ストロークセンサ70により検出された踏み込みストロークStに基づき図7に示されたグラフに対応するマップより踏み込みストロークに基づく目標減速度Gstが演算される。
ステップ190に於いては最終目標減速度Gtが踏み込みストロークに基づく目標減速度Gstに設定され、ステップ190に於いてはリニア弁が異常である車輪以外の車輪について目標減速度Gstに基づき目標ホイールシリンダ圧力Ptiが演算される。
ステップ210に於いては当該車輪のホイールシリンダ圧力Piが目標ホイールシリンダ圧力Ptiになるよう油圧フィードバックにより制御される。尚目標ホイールシリンダ圧力Ptiがステップ190に於いて演算されたときには、当該車輪に対応する電磁開閉弁24L又は24Rは開弁されるので、当該車輪については制動力の制御は行われない。
次に制動力制御装置の状況について場合分けをして図示の実施例1の作動について説明する。
(1)リニア弁等が正常な状況にて制動操作が行われる場合
全てのリニア弁等が正常である状況に於いて運転者により制動操作が行われると、ステップ10に於いて否定判別が行われると共にステップ20及び130に於いて肯定判別が行われ、ステップ140〜170に於いてマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pma及び踏み込みストロークStに基づいて各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが演算され、ステップ210に於いて各車輪のホイールシリンダ圧力Piがマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2よりも高い目標制動圧Ptiになるよう、電磁開閉弁24L及び24Rが閉弁された状態でブレーキバイワイヤ式に制御される。
(2)リニア弁等が正常な状況にて挙動制御が行われる場合
全てのリニア弁等が正常である状況に於いて挙動制御装置により挙動制御が行われる場合には、電磁開閉弁24L及び24Rが閉弁された状態で所定の車輪のホイールシリンダ圧力Piが運転者の制動操作とは無関係に車輌の挙動状態に応じて制御され、これにより車輌の挙動が安定化される。
(3)非制動操作時の挙動制御中に前輪のリニア弁に異常が生じた場合
運転者による制動操作が行われていない状況に於ける挙動制御の実行中に左右前輪の何れかのリニア弁に異常が生じると、当該車輪の電磁開閉弁24L又は24Rが開弁され、挙動制御が中断される。そしてこの場合にはまずステップ10及び30に於いて否定判別が行われ、ステップ40及び50に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ100に於いてフラグFaが1にセットされ、ステップ130に於いて否定判別が行われる。
次のサイクル以降はステップ60に於いて否定判別が行われるまで、ステップ10に於いて肯定判別が行われ、ステップ20に於いて否定判別が行われ、これにより電磁開閉弁24L又は24Rが開弁された時点より所定の時間Toflが経過するまで、フラグFaが1に維持され、ステップ130に於いて否定判別が行われることにより、ステップ180〜200に於いて踏み込みストロークStのみに基づいて各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが演算される。
この場合制動操作が行われておらず、踏み込みストロークStは0であるので、踏み込みストロークに基づく目標減速度Gstも最終目標減速度Gtも0であり、よって各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiも0になり、各車輪に不必要な制動力が付与されることが確実に防止される。従って電磁開閉弁24L又は24Rよりもホイールシリンダ側の高圧のオイルがマスタシリンダ14へ逆流することによりマスタシリンダ圧力が上昇しても、その上昇したマスタシリンダ圧力に起因して各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが高い値に演算されることを確実に防止することができる。
(4)挙動制御中に前輪のリニア弁に異常が生じた後に制動操作が行われた場合
電磁開閉弁24L又は24Rが開弁された時点より所定の時間が経過する前に制動操作が行われた場合には、ステップ10及び20に於いて肯定判別が行われ、ステップ110に於いてフラグFaが0にリセットされ、これにより上記(3)の制御モード、即ちマスタシリンダ圧力に基づくホイールシリンダ圧力の制御の抑制が終了する。また電磁開閉弁24L又は24Rが開弁された時点より所定の時間が経過した後に制動操作が行われた場合には、ステップ10に於いて否定判別が行われ、ステップ30に於いて肯定判別が行われる。
従って所定の時間が経過する前に制動操作が行われた場合及び所定の時間が経過した後に制動操作が行われた場合の何れの場合にも、ステップ130に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ140〜170及びステップ210に於いてリニア弁異常時の代替モードにてマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pma及び踏み込みストロークStに基づく各車輪のホイールシリンダ圧力Piの制御が行われる。
(5)制動操作時の挙動制御中に前輪のリニア弁に異常が生じた場合
この場合にもステップ10に於いて否定判別が行われ、ステップ30に於いて肯定判別が行われるので、ステップ130に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ140〜170及びステップ210に於いてリニア弁異常時の代替モードにてマスタシリンダ圧力Pm1及びPm2の平均値Pma及び踏み込みストロークStに基づく各車輪のホイールシリンダ圧力Piの制御が行われる。従ってマスタシリンダ圧力に基づくホイールシリンダ圧力の制御の抑制は行われないが、この場合にはマスタシリンダ圧力が比較的高い圧力になっているので、非制動操作時に比してマスタシリンダへのオイルの逆流は少ない。
以上の説明より解る如く、図示の実施例1によれば、非制動操作時の挙動制御中に前輪のリニア弁に異常が生じた場合には、電磁開閉弁24L又は24Rが開弁された時点より所定の時間が経過するまで、踏み込みストロークStのみに基づいて各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが演算され、各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが0になるので、各車輪に不必要な制動力が付与されることを確実に防止し、これにより車輌が不必要に減速制動されることを確実に防止することができ、また電磁開閉弁24L又は24Rが開弁された時点より所定の時間が経過する前に運転者により制動操作が行われたときには、マスタシリンダ圧力に基づくホイールシリンダ圧力の制御の抑制を確実に終了させることができる。
特に図示の実施例1によれば、ステップ20に於いて踏み込みストロークStに基づき運転者によりブレーキペダル12が踏み込まれているか否かの判別が行われるので、例えばステップ30の如くマスタシリンダ圧力の平均値Pma又は踏み込みストロークStに基づいてブレーキペダル12が踏み込まれているか否かの判別が行われる場合に比して、高圧のオイルがマスタシリンダ14へ逆流しマスタシリンダ圧力が上昇することに起因してブレーキペダル12が踏み込まれているか否かの判別が不正確に行われる虞れを確実に低減することができる。
図5は自動制動装置としての挙動制御装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例2に於ける制動力制御ルーチンの後半を示すフローチャートである。尚図5に於いて図3に示されたステップと同一のステップには図3に於いて付されたステップ番号と同一のステップ番号が付されている。
この実施例に於いては、ステップ10〜120は上述の実施例1の場合と同様に実行されるが、ステップ30に於いて肯定判別が行われた場合又はステップ100又は110が完了すると、ステップ140及び150が実行される。またステップ150が完了すると、ステップ155に於いて上述の実施例1に於けるステップ130の場合と同様フラグFaが0であるか否かの判別、即ち左右前輪のリニア弁が正常であるか否かの判別行われ、肯定判別が行われたときにはステップ160へ進み、否定判別が行われたときにはステップ185へ進む。ステップ185に於いては目標減速度Gptに基づき図9に示されたグラフに対応するマップより目標減速度Gptに対する重みαが演算されると共に、上記式1に従って目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度Gtが演算され、しかる後ステップ190へ進む。
かくして図示の実施例2によれば、非制動操作時の挙動制御中に前輪のリニア弁に異常が生じた場合には、重みαが低減されることにより目標ホイールシリンダ圧力Ptiに対するマスタシリンダ圧力の平均値Pmaの寄与度合が低下され、また挙動制御中に前輪のリニア弁に異常が生じた後に制動操作が行われた場合には、重みαの低減が停止され、目標ホイールシリンダ圧力Ptiがマスタシリンダ圧力の平均値Pma及び踏み込みストロークStに基づいて演算されるので、上述の実施例1の場合と同様、各車輪に不必要な制動力が付与されることを確実に防止し、これにより車輌が不必要に減速制動されることを確実に防止することができ、また電磁開閉弁24L又は24Rが開弁された時点より所定の時間が経過する前に運転者により制動操作が行われたときには、マスタシリンダ圧力に基づくホイールシリンダ圧力の制御の抑制を確実に終了させることができる。
特に図示の実施例2によれば、重みαは目標減速度Gptが高いほど小さくなるよう目標減速度Gptに応じて可変設定されるので、マスタシリンダ圧力に基づく目標減速度Gptが高いほど目標ホイールシリンダ圧力Ptiに対するマスタシリンダ圧力の平均値Pmaの寄与度合を低くすることができると共に、マスタシリンダ圧力に基づく目標減速度Gptがあるときにのみマスタシリンダ圧力に基づくホイールシリンダ圧力の制御の抑制を行うことができる。
以上に於いては本発明を特定の実施例について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば上述の各実施例に於いては、電子制御装置84により挙動制御が行われている状況に於いて何れかのリニア弁に異常が生じ、電磁開閉弁24L又は24Rが開弁されると、電磁開閉弁24L又は24Rが開弁された時点より所定の時間(Tofl、Tofr)の間ストロークセンサ70より検出された踏み込みストロークStのみに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力Ptiが演算され、所定の時間は一定であるが、この所定の時間は対応する目標ホイールシリンダ圧力Ptfl、Ptfrが高いほど長くなるよう、前回の目標ホイールシリンダ圧力Ptfl、Ptfrに応じて可変設定されるよう修正されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、電子制御装置84により挙動制御が行われている状況に於いて何れかのリニア弁に異常が生じ、電磁開閉弁24L又は24Rが開弁されたときには、ステップ20に於いて踏み込みストロークStに基づき運転者によりブレーキペダル12が踏み込まれているか否かの判別が行われるようになっているが、運転者によりブレーキペダル12が踏み込まれているか否かの判別は踏み込みストロークSt及びストップランプスイッチに基づいて行われるよう修正されてもよい。
また上述の各実施例に於いては、各車輪の目標制動圧Ptiは通常時には運転者の制動操作量を示す値としてのマスタシリンダ圧力Pm1、Pm2の平均値Pma及びブレーキペダルの踏み込み量Stに基づいて運転者の要求減速度Gtが演算され、各車輪の目標制動圧Ptiは運転者の要求減速度Gtに基づいて演算されるようになっているが、通常時に於ける各車輪の目標制動圧Ptiは少なくともマスタシリンダ圧力に基づいて演算される限り、制動力の制御自体は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実行されてよい。
また上述の各実施例に於いては、運転者の制動操作に関係なく車輪に制動力を付与する自動制動装置は挙動制御装置であるが、自動制動装置は運転者による制動操作子の制動操作に関係なく高圧の圧力源の圧力を使用して所定の車輪のホイールシリンダ圧力を制御するものである限り、例えば車輌が前方障害物に衝突する虞れがあるときに車輪に自動的に制動力を付与して車輌を自動的に減速させる自動制動装置の如き任意の自動制動装置であってよい。
また上述の各実施例に於いては、各車輪のホイールシリンダ圧力Piを制御する増減圧制御弁は増圧制御弁としてのリニア弁50FL〜50RR及び減圧制御弁としてのリニア弁60FL〜60RRよりなっているが、これらの弁は増減圧及び保持の機能を備えた制御弁に置き換えられてもよい。
更にマスタシリンダ圧力は二つの圧力センサ66及び68により検出されるようになっているが、マスタシリンダ圧力は一つの圧力センサにより検出されるよう修正されてもよい。
自動制動装置としての挙動制御装置を備えた車輌に適用された本発明による車輌の制動力制御装置の実施例1の油圧回路を示す概略構成図である。(実施例1) 実施例1に於ける制動力制御装置及び挙動制御装置の制御系を示すブロック図である。(実施例1) 実施例1に於ける制動力制御ルーチンの前半を示すフローチャートである。(実施例1) 実施例1に於ける制動力制御ルーチンの後半を示すフローチャートである。(実施例1) 実施例2に於ける制動力制御ルーチンの後半を示すフローチャートである。(実施例2) マスタシリンダ圧力の平均値Pmaと目標減速度Gptとの間の関係を示すグラフである。(実施例1及び2) ブレーキペダルの踏み込みストロークStと目標減速度Gstとの間の関係を示すグラフである。(実施例1及び2) 前回の最終目標減速度Gtfと目標減速度Gptに対する重みαとの間の関係を示すグラフである。(実施例1及び2) 目標減速度Gptと重みαとの間の関係を示すグラフである。(実施例2)
符号の説明
10 ブレーキ装置
12 ブレーキペダル
14 マスタシリンダ
22FL〜22RR ホイールシリンダ
24F、24R、26 電磁開閉弁
50FL〜50RR リニア弁
60FL〜60RR リニア弁
66、68 圧力センサ
70 ストロークセンサ
72、74FL〜74RR 圧力センサ
78、84 電子制御装置

Claims (6)

  1. マスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの連通を制御する連通制御弁を有し、前記連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力を制御する車輌の制動力制御装置に於いて、車輌は運転者による制動操作子の制動操作に関係なく高圧の圧力源の圧力を使用して所定の車輪のホイールシリンダ圧力を制御する自動制動装置を備え、前記自動制動装置の作動中に前記連通制御弁が閉弁状態より開弁状態に切り換えられたときには、その切り換え時点より所定の時間内に於いてはマスタシリンダ圧力に基づく各車輪のホイールシリンダ圧力の制御を抑制することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  2. マスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの連通を制御する連通制御弁を有し、前記連通制御弁を閉弁させた状態で少なくともマスタシリンダ圧力に基づき高圧の圧力源の圧力を使用して各車輪のホイールシリンダ圧力を制御する車輌の制動力制御装置に於いて、車輌は運転者による制動操作子の制動操作に関係なく高圧の圧力源の圧力を使用して所定の車輪のホイールシリンダ圧力を制御する自動制動装置を備え、前記自動制動装置の作動中に前記連通制御弁が閉弁状態より開弁状態に切り換えられたときには、運転者により制動操作が行われるまでマスタシリンダ圧力に基づく各車輪のホイールシリンダ圧力の制御を抑制することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  3. 制動操作子に対する運転者の制動操作を検出する制動操作検出手段を有し、前記ホイールシリンダ圧力の制御の抑制は前記制動操作検出手段により前記制動操作子に対する制動操作が行われていないことが検出されている場合に行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の車輌の制動力制御装置。
  4. 前記制動力制御装置は少なくともマスタシリンダ圧力に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算すると共に、各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御し、前記ホイールシリンダ圧力の制御の抑制は目標ホイールシリンダ圧力に基づくホイールシリンダ圧力の制御量があるときに行われることを特徴とする請求項1乃至3に記載の車輌の制動力制御装置。
  5. 前記制動力制御装置はマスタシリンダ圧力及び運転者による制動操作子の操作変位量に基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算すると共に、各車輪のホイールシリンダ圧力が対応する目標ホイールシリンダ圧力になるよう制御し、目標ホイールシリンダ圧力に対するマスタシリンダ圧力の寄与度合を低下することにより、マスタシリンダ圧力に基づく各車輪のホイールシリンダ圧力の制御を抑制することを特徴とする請求項1乃至4に記載の車輌の制動力制御装置。
  6. 前記制動力制御装置は運転者による制動操作子の操作変位量のみに基づき各車輪の目標ホイールシリンダ圧力を演算することにより、目標ホイールシリンダ圧力に対するマスタシリンダ圧力の寄与度合を0に低下することを特徴とする請求項5に記載の車輌の制動力制御装置。
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