JP2005039132A - 電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極箔の除去部分に機械的に酸化皮膜層を除去した際に生じるバリ等の発生がなく、また該機械的ストレスの印可による損傷や歪みがない、安定した引き出し端子と電極箔の接続状態を達成する。
【解決手段】 表面に酸化皮膜層及びエッチング層を有する電極箔に引き出し端子を接続してセパレータを介して巻回又は積層してなる電解コンデンサにおいて、前記引き出し端子と接触する電極箔の少なくとも酸化皮膜層をレーザー照射によって非接触に除去して引き出し端子を接続するように構成される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電解コンデンサとその製造方法に関するものであり、特に、レーザー照射によって電極箔の引き出し端子との接続部分における酸化皮膜層を非接触に除去することにより、安定した引き出し端子と電極箔との接続状態を達成した電解コンデンサとその製造方法に関するものである。
従来、電解コンデンサを製造する際、例えば巻回型コンデンサの場合は、表面にエッチング層と酸化皮膜層を有するアルミニウムなどからなる電極箔に、引き出し端子をステッチ、コールドウェルド、超音波溶接などにより接続し、電極箔の間にセパレータを介して巻回又は積層してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子を駆動用電解液に含浸するとともに、外装ケースに収納して電解コンデンサを形成する。
電極箔と引き出し端子との接続においては、引き出し端子が電極箔の表面にあるエッチング層や酸化皮膜層を超えて電極箔の地金部分と直接に接続されることが、良好な接続状態、つまり接触抵抗を低減でき、かつ接続強度を高められるため、次の提案が成されている。
すなわち、電極箔の引き出し端子接続部の酸化皮膜を、プレスや研磨などによる機械的に、またアークなどの電気的に予め除去し、該除去部分に引き出し端子を加締め接続したものがある(例えば、特許文献1参照)。
電極箔の引き出し端子接続部のエッチング層を、粗面性のある回転ローラにより電極箔を挟み込み、回転させたり、電極箔に超音波振動装置を接触させて粉砕するなどにより予め除去し、該除去部分に引き出し端子を加締め接続したものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開昭54−164451号公報(全頁、全図) 特開平02−222517号公報(全頁、全図)
しかしながら、従来の技術には次のような問題点があった。つまり、酸化皮膜層をプレスや研磨などによる機械的除去や、エッチング層を回転ローラや超音波振動などによる機械的手去を用いると、電極箔に除去治具を直接的に接触させて酸化皮膜層やエッチング層を除去しているため、接触時の機械的ストレスが、電極箔自体に、例えば電極箔の地金部分や該除去部分近傍の酸化皮膜層及びエッチング層に加わることによって、損傷や歪み等が起こり、また前記除去治具の一部が電極箔に転写するなどにより、電極箔の信頼性を悪化させる。
また、酸化皮膜層及びエッチング層の機械的除去した際に、除去部分にバリ等が発生し、バリを除去する工程を追加する必要が生じ、製造工程が煩雑化する。
さらに、酸化皮膜層にアークによる電気的除去を行う際、アークの投入エネルギーの調節やアーク放電位置の調節などのアーク放電現象の制御が困難であるため、例えば小型品などの電極箔の箔幅が狭く、除去範囲が限られているなど特定箇所のみの除去には適していない。
そこで、本発明の目的は、電極箔の除去部分に機械的に酸化皮膜層を除去した際に生じるバリ等の発生がなく、また該機械的ストレスの印可による損傷や歪みがない、安定した引き出し端子と電極箔の接続状態を達成することにある。
本発明に関する電解コンデンサは、表面に酸化皮膜層及びエッチング層を有する電極箔に引き出し端子を接続してセパレータを介して巻回又は積層してなる電解コンデンサにおいて、前記引き出し端子と接触する電極箔の酸化皮膜層をレーザー照射によって非接触に除去して引き出し端子を接続するように構成される。
さらに、表面に酸化皮膜層及びエッチング層を有する電極箔と、引き出し端子と接触する前記電極箔の酸化皮膜層をレーザー照射によって除去し、該除去部分に引き出し端子を接続し、セパレータを介して巻回又は積層する電解コンデンサの製造方法を提供する。
さらに、レーザー照射をする際に、不活性気体を前記除去部分に吹き付け、加熱蒸発されずに残った溶融物を除去してもよい。また、レーザー照射を複数回行い、段階的に酸化皮膜層を除去してもよいし、レーザー照射する際に、該除去予定部分に予めカーボンを配してもよい。
本発明によれば、電極箔の少なくとも酸化皮膜層をレーザー照射によって非接触に除去することによって、電極箔の除去部分には、機械的に酸化皮膜層やエッチング層を除去した際に生じるバリ等が発生しなくなる。
また、本発明により、電極箔の地金部分や除去部分近傍の酸化皮膜層やエッチング層に、該機械的な除去方法によるストレスが印可されることがなくなったため、電極箔自体に歪みや損傷が起きなくなり、また機械的な除去を行う際に電極箔に直接接触する除去治具の一部が電極箔に転写するなどによる電極箔への悪影響がなくなり、電極箔の状態も良好になり、さらに安定した引き出し端子と電極箔との接続状態を達成することができる。
さらに、引き出し端子と接続する部分における電極箔の少なくとも酸化皮膜層を除去するに際し、小型品などの箔幅が狭く接続部分が限られている場合や、酸化皮膜層やエッチング層の厚みが製品によって異なる場合、レーザー照射の際にレーザー光の照射面積やレーザーエネルギーを調整することで、容易に対応して除去することが可能となる。
これらの結果、巻回型コンデンサや積層型コンデンサにおいて、引き出し端子とアルミ地金の接合性が向上する。
さらに、除去部分にバリ等が発生しなくなったため、該バリを除去する工程が不要になり、製造工程が簡単になったため、コスト削減が実現できる。
レーザー照射による除去部分の表面状態が良くなったことにより、接触部に付加容量が発生しない高品質のコンデンサの製造が可能になり、歩留まりが向上する。
レーザー照射により除去することによって、溶接時の精度が要求されない低精度な溶接機でも高品質な製品を製造できるようになり、高精度な溶接機が不要となったため、コスト削減が実現できる。
レーザー照射により除去することによって、除去部分の形状の精度が上がり、不要な部分のレーザー照射を省くことが可能となったため、製造工程時間を短縮でき、またレーザーを使用する時間の短縮にもつながったため、コスト削減の実現とさらには環境問題対策に貢献できる。
また、レーザー照射する際に、不活性気体を除去部分に吹き付けることにより、加熱蒸発されずに溶融物が残った場合でも該溶融物を除去するため、該除去部分の表面状態が良好となって、接触が良くなり、高品質のコンデンサの製造が可能になる。
レーザー照射を複数回行い、少なくとも酸化皮膜層を段階的に除去することによって、所望の深さまで除去することが可能になる。
さらに、本発明による、レーザー照射の際に酸化皮膜層やエッチング層の表面にカーボン層を設けることによって、各層の熱吸収を高め加熱蒸発を促進させて容易に除去することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して詳細に説明する。
巻回型電解コンデンサについて図1から図3を用いて説明する。
まず、本発明に係る巻回型電解コンデンサ素子2の構成を図1に示す。
巻回型コンデンサ素子2は、その最外部に第一のセパレータ4が配置され、その内部に陰極箔6が積層される。この陰極箔6の内部にさらに第二のセパレータ8が積層される。第二のセパレータ8の内部に陽極箔10が積層される。
第一のセパレータ4と陰極箔6の組合せと、第二のセパレータ8と陽極箔10の組合せはいずれも、セパレータ4,8の大きさが電極箔6,10の大きさより大きく、電極箔6,10はセパレータ4,8の中心に配置される。このため、電極箔6,10の端部はセパレータ4,8の端部より内側に位置する。
この巻回型電解コンデンサ素子2は、陽極箔10に陽極引き出し端子12が、陰極箔6に陰極引き出し端子14がそれぞれ接続されている。
第一のセパレータ4と陰極箔6、第二のセパレータ8と陽極箔10とは先に述べた順序で積層され、陽極箔10を内側にして巻回し、巻終わり端を巻止めテープにて固定し、巻回型構造をとる。陽極箔10及び陰極箔6はアルミニウム箔で形成される。
次に、図2,3に基づき、本発明の巻回型電解コンデンサの製造方法を説明すると、まず、陽極箔10としてアルミニウムなどの弁作用金属からなる金属箔に、エッチング処理及び化成処理により、酸化皮膜層18及びエッチング層を形成し(図2(a))、陰極箔6はエッチング処理が施されているが、必要に応じて酸化皮膜層が設けられる。
電極箔6,10の上部にレーザー源24を配置し、該電極箔6,10と該レーザー源24の間にレンズ22を配置する。引き出し端子14を該電極箔6,10に接続する際に接触する電極箔の表面に形成された酸化皮膜層18に、レンズ22を通過して集束されたレーザー光20が照射され、該酸化皮膜層18が除去される(図2(b))。なおこの照射の際に、エッチング層も含めて除去し、この除去部分の表面に平坦状にアルミの地金部分を露出させると好ましいが、酸化皮膜層18の一部を除去して該除去部分の表面の一部にエッチング層を露出させればよい。
次に、除去された電極箔6,10の接続部26に、引き出し端子19としてリード線または電極タブを載置し、コールドウェルドにて溶接する(図2(c))。
接続後、陽極箔10と陰極箔6の間にセパレータ4,8を介して巻回し、巻終わり端を巻止めテープにて固定し、コンデンサ素子2を形成する。
その後、コンデンサ素子2を駆動用電解液に含浸させ、アルミニウムなどからなる有底筒状の金属ケースに収納し、封口部材にて封止して、電解コンデンサを得る。
本発明の他の実施の形態として、図3に示すように、巻回型電解コンデンサでは引き出し端子と電極箔との接続部分の形状に基づき適宜除去部分の形状を設定できる。例えば、(a)は引き出し端子と重なり合う部分全体の酸化皮膜層を除去した場合を示し、これはステッチ、コールドウェルド、超音波溶接、摩擦撹拌溶接など、溶接方法にとらわれることなく容易に接続することを可能とし、また、(b)は電極箔の巻回方向と垂直方向に酸化皮膜層を除去し摩擦撹拌溶接の接続ラインに適合させたり、(c)は電極箔の酸化皮膜層を間隔をもって点状に又は部分的に除去し、ステッチのステッチ針形状や接続間隔、コールドウェルドや超音波溶接の接触子の形状やその接続間隔に適合させたりすることもできる。このように特定の小スペースのみの除去を可能とするレーザー照射による除去方法を用いると、接続部の形態に適合して酸化皮膜層の除去を可能とし、また溶接方法に対し最小限の部分的除去のみにて接続の安定性を確保することができる。なお、接続部における酸化皮膜層を部分的に除去したものであるが、他にも、引き出し端子と重なり合う電極箔の部分に格子状又は放射状に、連続して又は間隔を持って除去し、各種溶接方法による接続部の少なくとも一部における酸化皮膜層を除去することで接続時に生じる接続強度や接触抵抗の悪化を防止可能である。
なお、実施例では巻回型電解コンデンサに基づき説明したが、陰極箔に陰極用引き出し端子を接続し、陽極箔に陽極用引き出し端子を接続し、電極箔間にセパレータを介在して電極箔を交互に複数重ね合わせた積層型電解コンデンサにも適用することができる。
本発明における駆動用電解液の成分としては、駆動用電解液の溶媒としてエチレングリコール、水、スルホラン、γ−ブチルラクトンなどを単独或いは混合溶液として使用し、溶質として酸の共役塩基をアニオン成分とするアンモニウム塩、アミン塩、環状アミジン化合物の四級塩、アニオン成分としてアジピン酸、安息香酸、フタル酸、ほう酸、1、6−デカンジカルボン酸などを用いている。
本発明において、酸化皮膜層及びエッチング層18の除去に用いられるレーザーとしては、エキシマレーザー、YAGレーザー、COレーザーが好適であるがこれに限定されるものではない。
本発明において使用されるセパレータ4,8,30は、クラフト紙、マニラ紙などの電解紙、不織布、フィルムやこれらの混合紙などから構成される。
本発明において用いられる溶接の手段としては、ステッチ、コールドウェルド、超音波溶接、摩擦撹拌溶接などがある。
本発明において、レーザー源24からのレーザー光20をレンズ22により集束して除去部分に照射する際に,レンズ22の角度を変えることで照射するレーザー光20の面積やレーザーエネルギーを容易に変更することができる。
また、酸化皮膜層18やエッチング層にレーザー光20を複数回照射することにより、所望の深さまで除去可能となる。
本発明の他の実施の形態としてレーザー光20を照射する際に、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの不活性気体を該除去部分に吹き付けると、加熱蒸発されなかった溶融物があった場合でも該溶融物を除去するため、電極箔の接続部分の表面状態が良好となる(図示せず)。
また、本発明の他の実施の形態として、レーザー光20を照射することにより少なくとも酸化皮膜層18を除去する際に、除去部分の酸化皮膜層の表面にカーボン層を設けて、該カーボン層にレーザー光20を照射することで、酸化皮膜層18及びエッチング層の熱吸収を高め、加熱蒸発を促進させて容易に除去できる。または、まずレーザー光20を照射することにより少なくとも酸化皮膜層18を一部除去した後その表面にカーボン層を設けてレーザー光20を照射することで除去の速度を上げることもできる。
本発明による巻回型アルミ電解コンデンサ素子2の構成図である。 本発明による巻回型アルミ電解コンデンサの製造方法を示す概念図であって、(a)はアルミ地金16の両面に、酸化皮膜層18及びエッチング層を形成した状態の断面図、(b)は引き出し端子19の接続部分に対応する電極箔6,10の少なくとも酸化皮膜層18をレーザー照射により除去された状態の断面図、(c)は除去部分に引き出し端子19を載置し接続した状態の断面図を示している。 本発明による、レーザー照射による電極箔の除去部分の形状の例を示す図であって、(a)は引き出し端子と接触する部分の少なくとも酸化皮膜層18全体を除去した図、(b)は摩擦撹拌溶接などによる電極箔の幅方向への接続ラインに沿って少なくとも酸化皮膜層18を除去した図、(c)はステッチ、コールドウェルド、超音波溶接などによる接続点の少なくとも酸化皮膜層18を除去した図をそれぞれ示している。
符号の説明
2 巻回型電解コンデンサ素子
4 第一のセパレータ
6 陰極箔
8 第二のセパレータ
10 陽極箔
12 陽極引き出し端子
14 陰極引き出し端子
16 アルミ地金
18 酸化皮膜層
19 引き出し端子
20 レーザー光
22 レンズ
24 レーザー源
26 接続部

Claims (5)

  1. 表面に酸化皮膜層及びエッチング層とが形成された電極箔に引き出し端子が接続されてセパレータを介して巻回又は積層されてなる電解コンデンサにおいて、前記引き出し端子と接触する電極箔の酸化皮膜層をレーザー照射によって除去し、この除去部分に引き出し端子を接続してなる電解コンデンサ。
  2. 表面に酸化皮膜層及びエッチング層を有する電極箔と、引き出し端子と接触する前記電極箔の酸化皮膜層をレーザー照射によって除去し、前記除去部分に引き出し端子を接続し、セパレータを介して巻回又は積層する電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記レーザー照射をする際に、不活性気体を前記除去部分に吹き付けて加熱蒸発されずに残った溶融物を除去する請求項2に記載の電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記レーザー照射を複数回行い、段階的に酸化皮膜層を除去する請求項2又は3いずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記レーザー照射する際に、該除去予定部分に予めカーボンを配してなる請求項2乃至4いずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
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