JP2005039109A - 回路基板 - Google Patents

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Yasuhiko Horio
泰彦 堀尾
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佳宏 冨田
Sadashi Nakamura
禎志 中村
Tosaku Nishiyama
東作 西山
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Abstract

【課題】 大きな曲げ応力が生じる回路基板、または、電子部品の放出する熱によって高温となる回路基板において、配線層が絶縁フィルムから剥離すること、または配線層が切断することを防止する。
【解決手段】 絶縁フィルムの表面に、必要に応じて接着剤層を介して、配線層を形成して成る回路基板の一部を、山折り部および谷折り部を少なくとも1つ有するプリーツ構造とし、さらに必要に応じて、配線層もしくは接着剤層の表面を粗くし、あるいは配線層、または絶縁フィルムもしくはカバーレイ層の内部に空隙を設けることによって、曲げ応力を緩和し、また、回路基板中の各層に生じる熱応力の差を緩和する。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁フィルムの表面に直接的に又は接着剤層を介して形成された配線層を有する回路基板に関する。
回路基板として、例えば、特開2003−008161号公報(特許文献1)に記載のような、全層IVH樹脂多層回路基板が既に知られている。また、全体または一部を屈曲させて利用する、いわゆるフレキシブル回路基板もまた既に知られており、携帯機器の液晶ドライバモジュール等の用途において利用されている。図11に代表的なフレキシブル回路基板の模式的な断面図を示す。フレキシブル回路基板としては、図11(a)に示すように絶縁フィルム1101の表面に配線層1102を形成し、配線層1102の表面にさらに絶縁層(一般にカバーレイ(CL)層と称される。本明細書においても絶縁層をカバーレイ層と呼ぶことがある)1103を形成したもの、および図11(b)に示すように、図11(a)に示す回路基板を複数積層し、これらの配線層間をめっきスルーホール1104により電気接続しているものが知られている。別の形態のフレキシブル回路基板として、絶縁フィルムと配線層との間に接着剤層を設けた回路基板もある。一般的には、絶縁フィルム1101および絶縁層1104として、ポリイミドフィルムが用いられ、配線層1102として圧延銅箔が用いられる。フレキシブル回路基板は、薄く、かつ屈曲し得るものである(即ち、柔軟性を有する)ために、小さなスペースに多数の部品および基板を挿入することが可能である、即ち、実装密度を向上させ得るものである。したがって、フレキシブル回路基板については、今後、さらに幅広い分野での用途展開が期待される。
特開2003−008161号公報
上述のように、フレキシブル回路基板を使用すれば、一定容積のスペースに高密度で電子部品を実装することが可能となる。しかし一方で、フレキシブル回路基板は、繰り返し曲げ伸ばしされる、あるいは曲率が大きくなるように屈曲されると、屈曲部で、曲げ応力に起因して、絶縁性材料(即ち、絶縁フィルム、および適宜設けられる接着剤層)から配線層(即ち、銅箔)が剥離する、または配線層が破断し、その結果、接続不良を招くことがある。さらに、高密度に電子部品を実装すると、フレキシブル基板の放熱性が問題となる。具体的には、電子部品が放出する熱に起因して、フレキシブル回路基板に加えられる熱量は、部品の作動時と停止時とで大きく異なり、その結果、フレキシブル回路基板の温度は大幅な上昇と下降とを繰り返す。大幅な温度の上昇と下降とが繰り返される場合にも、フレキシブル回路基板の絶縁性材料−配線層間の熱膨張差が原因となって、配線層が剥がれる、あるいは配線層が切断する等の理由により、接続不良が生じる。
また、電子機器に関して更なる高機能化および小型化等が要求されるに伴い、電子部品をより高密度に実装できるように、フレキシブル回路基板の配線幅についても、更に微細化が進んでいる。配線の微細化が進むにつれて、接続不良(即ち、配線層の絶縁性材料からの剥離等)は、より生じやすくなる。
本発明は上記のような課題に鑑みてなされたものであり、回路基板が大きな屈曲率で屈曲される場合、曲げ伸ばしが繰り返される場合、および温度の上昇および下降が繰り返される場合等においても、優れた接続信頼性を示し、微細配線においても配線層の剥離および切断が生じにくい回路基板を提供する。
上記課題を解決するため、本発明は、絶縁フィルムおよび当該絶縁フィルム上に形成された配線層を含み、山折り部および谷折り部をそれぞれ少なくとも1つ有するプリーツ構造部分を有する回路基板を提供する。ここで、「『絶縁フィルム上』に形成された配線層」とは、絶縁フィルムの表面に直接的に形成された配線層だけでなく、接着剤層等を介して絶縁フィルムの表面に間接的に形成された配線層をも含む意味である。また、ある折り目が山折り部であるか、谷折り部であるかは、回路基板の2つの表面(厚さ方向に対して垂直な面)のいずれか一方を基準として判断する。尤も、本発明の回路基板においては、少なくとも1つの山折り部と少なくとも1つの谷折り部とを有するので、回路基板のいずれの表面を基準としても差し支えない。「プリーツ構造」とは、山折り部と谷折り部との繰り返しにより形成される、伸縮可能な襞構造をいい、蛇腹構造とも呼べる。
本発明の回路基板は、プリーツ構造部分を有することを特徴とする。このプリーツ構造部分は、当該部分を屈曲部として、回路基板が繰り返し曲げ伸ばしされる、または大きい曲率で屈曲されるときに、屈曲部に生じる応力を全体で緩和する。したがって、本発明の回路基板は、繰り返し屈曲される場合でも、配線層の剥離や切断が生じにくく、優れた接続信頼性を維持する。さらに、本発明の回路基板は、その一部または全部をプリーツ構造とすることにより、プリーツ構造部分を有しない同じ長さの回路基板と比べてその長さが短くなるから、より小さいスペースに配置することが可能となる。
プリーツ構造部分を形成するためには、回路基板の製造時に、折り目に相当する箇所に大きな曲げ応力を加える必要がある。しかし、絶縁フィルムおよび配線層の材料等を適切に選択することによって、そのような曲げ応力を一度加えただけでは、接続信頼性が悪化しないように回路基板を得ることは可能である。例えば、通常のフレキシブル回路基板で採用されている、ポリイミドフィルムおよび銅箔の組合せは、プリーツ構造部分の形成に耐え得る。
本発明の回路基板においては、配線層を保護し、または配線層同士が短絡することを防止するために、配線層の上に絶縁層(即ち、カバーレイ層)を設けることが好ましい。
絶縁層は、配線層の表面に膜状に形成して、絶縁フィルムおよび配線層とともに、山折りおよび谷折りされて、プリーツ構造を形成していてよい。
あるいは、本発明の回路基板において、絶縁層は、プリーツ構造部分において、プリーツ構造部分全体を被覆して、所定の形状に成形されていてよい。即ち、回路基板のプリーツ構造部分は、絶縁層とともに一体的な複合構造体を形成してよい。この複合構造体においては、回路基板が折り畳まれた状態にて、絶縁層により被覆されて固定されている。即ち、プリーツ構造部分は、所望の形状に折り畳まれて、当該形状が保たれるように絶縁層で固定されている。したがって、この複合構造体を含む回路基板は、所定の場所に、プリーツ構造部分の変形が生じないように配置する必要がある場合に、好ましく用いられる。また、複合構造体の温度が激しく変化して、絶縁層が伸びおよび収縮を繰り返すとしても、プリーツ構造部分がそれに合わせて全体として伸縮し得るので、この複合構造体においては、温度変化に起因する絶縁層−配線層間の剥離が生じにくい。複合構造体は、矩形に成形されてよい。あるいは、複合構造体は、プリーツ構造部分を扇形に開いて、その周囲を絶縁層で被覆することにより、内周と外周とを有する扇形(=先端が尖っている扇形から扇頂を含む小さい扇形を除去した後に残る扇形)に成形してよい。
上記のように、回路基板のプリーツ構造部分と絶縁層とが、一体的な複合構造体を形成する場合には、2以上の回路基板のプリーツ構造部分が、1つの複合構造体に含まれるようにしてよい。それにより、更に高密度な回路基板を提供することができる。
本発明は、上記のプリーツ構造に加えて、1)繰り返し曲げ伸ばしされる、2)大きい曲率で屈曲される、ならびに/あるいは3)激しい温度変化に付されるのに適した構造を更に有し、プリーツ構造と相俟ってより優れた接続信頼性を発揮する回路基板を提供する。以下に、その好ましい構造を列挙する。
本発明の回路基板は、絶縁フィルムから遠い側の配線層の表面に少なくとも1つの凹部を有することが好ましい。絶縁フィルムから遠い側の配線層の表面とは、絶縁フィルムと接していない側(配線層が接着剤層を介して絶縁フィルム上に形成されている場合には、接着剤層と接していない側)の配線層の表面に相当し、配線層が形成されたときに露出する表面である。配線層の表面のうち、絶縁フィルムから遠い側の表面に1以上の凹部が形成されると、回路基板を絶縁フィルムが外側となるように屈曲させた場合に、この凹部が曲げ応力を緩和して、配線層の絶縁フィルムからの剥離を防止する。
あるいは、本発明の回路基板は、絶縁フィルムから遠い側の配線層の表面に少なくとも1つの凸部を有することが好ましい。配線層の絶縁フィルムから遠い側の表面に少なくとも1つの凸部が形成されると、回路基板を絶縁フィルムが内側となるように屈曲させた場合に、この凸部が曲げ応力を緩和して、配線層の絶縁フィルムからの剥離を防止する。
本発明の回路基板は、絶縁フィルムから遠い側の配線層の表面が凹凸を有するものであることがより好ましい。配線層の絶縁フィルムから遠い側の表面に凹凸が形成されていると、回路基板を絶縁フィルムが内側および外側のいずれの側になるように屈曲させた場合でも、配線層の絶縁フィルムからの剥離が防止される。
配線層の絶縁フィルムから遠い側の表面が凹凸を有する場合には、当該表面の表面粗さRaは0.5μmよりも大きいことが好ましい。配線層の表面がこのような表面粗さを有する場合には、より優れた接続信頼性が提供される。このような表面粗さを有する配線層は、粗面を有する電解銅箔を、粗面が露出表面となるように絶縁フィルムに接合させることにより形成できる。あるいは、このような粗さを有する配線層は、配線層を形成する前または形成した後に、金属箔(例えば圧延銅箔)または配線層の表面を、サンドブラスト等の機械的な粗化処理に付す、またはエッチングもしくはめっき等の化学的な粗化処理に付すことにより、形成できる。
本発明の回路基板においては、配線層が絶縁フィルムの表面に形成された接着剤層の表面に形成されていて、接着剤層の配線層と接する表面が凹凸を有していることが好ましい。このような回路基板もまた、上述した配線層の絶縁フィルムから遠い側の表面が凹凸を有する構造と同様に、回路基板の2つの表面のいずれが内側になるように屈曲しても、優れた接続信頼性を示す。この構造は、接着剤層と配線層との界面が凹凸である構造であるともいえる。
接着剤層の配線層と接する表面が凹凸を有する場合には、当該接着剤層の配線層と接する表面が、0.5μmよりも大きい表面粗さRaを有することが好ましい。このような表面粗さを有する接着剤層の表面に配線層を形成することにより、より優れた接続信頼性を有する回路基板が提供される。
本発明の回路基板において、接着剤層を形成する場合には、接着剤層は導電性粒子と有機樹脂とを含有することが好ましい。導電性粒子は、配線層を形成する材料と同じ程度の熱膨張係数を有し、有機樹脂は絶縁フィルムと同じ程度の熱膨張係数を有する。したがって、絶縁フィルムと配線層との間に、そのような2種の材料から成る接着剤層を介在させることによって、回路基板が加熱されたときに生じる絶縁フィルムと配線層の熱膨張の差を緩和することが可能となる。したがって、そのような材料の使用は、接着剤層の表面を凹凸にすることと相俟って、より優れた接続信頼性を提供する。
本発明の回路基板は、折り曲げて使用されるものである場合には、使用時に折り曲げられる部分の少なくとも近傍において、配線層がその内部に応力緩和部を有することが好ましい。ここで、「折り曲げられる部分の近傍」とは、折り曲げられる部分の曲率が最も大きい部分、およびその付近(具体的には湾曲されていると認められる部分)を含む意味である。また、「応力緩和部」とは、回路基板が曲げられたときに、配線層に生じる曲げ応力を緩和する役割を果たす部分をいう。応力緩和部は、具体的には、後述のように空隙または空隙に充填された有機樹脂である。本発明の回路基板を折り曲げて使用する際には、専ら同じ部分が繰り返し曲げ伸ばしされる、または基板の一部にのみ大きな曲げ応力が作用することとなる。回路基板が折り曲げられる部分の近傍において配線層が応力緩和部を有することにより、配線層に生じる曲げ応力が緩和され、配線層の剥離等が生じにくくなり、したがって優れた接続信頼性をより長期間に亘って維持することが可能となる。この構造は、使用時に折り曲げられる部分が、プリーツ構造部分以外の部分である場合に有効である。プリーツ構造部分は、前述のように、それ自体、曲げ応力を緩和するから、当該部分において配線層が応力緩和部を有する必要は必ずしもない。尤も、プリーツ構造部分の配線層も応力緩和部を有することが好ましい。プリーツ構造部分を形成する際に、1度ではあるが、大きな曲げ応力が加えられるため、これを緩和することが好ましいからである。また、プリーツ構造部分を繰り返し曲げ伸ばしする場合には、折り目の角度を頻繁に変化させて、プリーツを伸び縮みさせる必要があるために、折り目の部分の配線層に応力緩和部を設けて、曲げ伸ばしに伴って生じる曲げ応力の変化を緩和することが好ましい。
配線層の応力緩和部は、配線層内に形成された空隙(ボイド)であることが好ましい。配線層内の空隙は、配線層に応力が生じたときに、適宜その寸法を変化して応力を緩和する。また、また配線層内の空隙率を変化させることによって、配線層の熱膨張を制御することも可能である。したがって、配線層の内部に空隙を形成することによって、曲げ応力に起因する配線層の剥離だけでなく、配線層と絶縁材料の熱膨張係数の差に起因する配線層の剥離をも有効に抑制することができる。
あるいは、配線層の応力緩和部は、空隙部に充填された有機樹脂であってもよい。そのような応力緩和部もまた、空隙と同様に機能し、優れた接続信頼性を回路基板に付与する。
本発明の回路基板が折り曲げて使用されるものであり、且つ絶縁層を有する場合には、使用時に折り曲げられる部分の少なくとも近傍において、絶縁層がその内部に空隙を有することが好ましい。絶縁層に形成される空隙もまた、配線層に形成される空隙と同様に、回路基板が曲げられたときに寸法変化して、回路基板に生じる曲げ応力を緩和する。また、絶縁層内の空隙率を変化させることにより、絶縁層の熱膨張を制御して、加熱に起因する配線層の剥離を抑制することが可能となる。また、プリーツ構造部分においても、絶縁層内に空隙を形成して、折り目の部分における配線層の剥離を防止することが好ましい。
本発明の回路基板が折り曲げて使用されるものである場合には、使用時に折り曲げられる部分の少なくとも近傍において、配線と重ならない位置にて、絶縁フィルムが空隙または貫通孔を有することが好ましい。絶縁フィルムに設けられる空隙または貫通孔もまた、寸法変化して、回路基板に生じる曲げ応力を緩和する。絶縁フィルムに設けられる空隙または貫通孔が、配線と重なるように設けられると、却って配線層の剥離または切断が生じやすくなるため、絶縁フィルムにおいて空隙または貫通孔は配線の位置しない箇所に設ける必要がある。また、プリーツ構造部分においても、絶縁フィルムに空隙または貫通孔を形成して、折り目の部分における配線層の剥離を防止することが好ましい。
本発明の回路基板が折り曲げて使用されるものである場合には、使用時に折り曲げられる部分の近傍における配線層の厚さが、それ以外の部分における配線層の厚さよりも小さいことが好ましい。折り曲げられる部分の配線層を薄くすることで、この部分における絶縁材料と配線層の熱膨張の差を低減することができ、加熱に起因する配線層の剥離を抑制することが可能となる。また、プリーツ構造部分においても、当該部分の配線層の厚さを薄くして、折り目の部分における配線層の剥離を防止することが好ましい。
本発明の回路基板は、上述のようにプリーツ構造部分を有することを特徴とする。このプリーツ構造部分は、伸縮自在な構造であるために、繰り返しの曲げ伸ばしまたは曲率の大きい屈曲に起因する、配線層の剥離および破断を有効に抑制する。したがって、本発明によれば、高い接続信頼性を有する回路基板を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の回路基板を、図1を参照して説明する。図1(a)は、本発明の回路基板のプリーツ構造部分を模式的に示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)に示す回路基板の線A−A’に沿った断面を模式的に示す。図1(c)は、図1(a)に示すプリーツ構造部分を折り曲げた(湾曲した)状態を模式的に示す。図1(b)に示すように、この回路基板は、絶縁フィルム201の表面に、接着剤層202によって、配線層203が接合され、配線層203の表面に絶縁層であるカバーレイ層204が積層された構造を有する。この回路基板は、折り曲げ可能な回路基板、即ちフレキシブル回路基板である。
図1(a)に示すように、プリーツ構造部分は、山折り部と谷折り部の繰り返しにより形成される。図示した態様において、折り目の基準となる面は、カバーレイ層204の表面および絶縁フィルム201の表面のいずれであってもよい。例えば、折り目210は、カバーレイ層204表面に付けた折り目を山折りすることにより形成された折り目であるとも、絶縁フィルム201の表面に付けた折り目を谷折りすることにより形成された折り目であるともいえる。
このような断面構造を有する回路基板を折り曲げると、通常、曲率が一番大きい部分に局部的に応力が集中し、応力が集中する部分では、配線層の剥離や切断が生じやすい。しなしがなら、図1(c)に示すように、プリーツ構造部分を折り曲げると、プリーツ構造自体で応力が緩和されるために、回路基板の一部にのみ応力が集中することはない。また、曲げ伸ばしを繰り返す場合でも、プリーツ構造自体が、曲げ応力の変化を緩和するために、繰り返しの曲げ伸ばしに起因する配線層の剥離等も生じにくい。
絶縁フィルム201は、有機樹脂から成るフィルムである。絶縁フィルム201を構成する材料は、具体的には、ポリイミド、アラミド、および液晶ポリマー等の耐熱性に優れた高分子材料に限られず、ポリエステルおよびポリエチレン等であってよく、公知の有機高分子材料から任意に選択することができる。
図示した態様において、配線層203は、圧延銅箔および電解銅箔等の公知の金属箔を、接着剤層202で絶縁フィルム201に貼り付けることにより形成されている。あるいは、配線層は、絶縁フィルムの表面(または絶縁フィルムに形成された接着剤層の表面)に、銅または銀のような金属を用いて、蒸着またはスパッタ等の方法により形成することもできる。接着剤層202は、ポリイミド等の公知の熱可塑性樹脂、またはシアネートエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、フェノール系樹脂、ナフタレン樹脂、ユリア樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、およびポリウレタン樹脂等の公知の熱硬化性樹脂を用いて形成される。あるいは、接着剤層202は、前述の有機樹脂に、シリカまたはアルミナ等の無機フィラーを分散させたもので形成することができる。
配線層203を覆うカバーレイ層204を構成するのに適した樹脂は、上述した接着剤層202用の有機樹脂と同じである。カバーレイ層204は、接着剤層と同じ材料で形成してもよく、別の材料で形成してもよい。
あるいは、接着剤層は、導電性粒子と有機樹脂成分とを含んで成る導電性ペーストで形成されてよい。接着剤層の表面に電解めっきにより配線層を形成する場合には、接着剤層が導電性を有する必要があるために、かかる導電性ペーストが好ましく用いられる。導電性ペーストを構成する導電性粒子としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、鉛及び錫、ならびにこれらの合金から選択される少なくとも1種類の材料から成る粒子、またはこれらの金属から成る粒子に他の金属がめっきされたものを使用できる。有機樹脂成分は、好ましくは熱硬化性樹脂である。具体的には、有機樹脂成分として、フェノール系樹脂、ナフタレン樹脂、ユリア樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ケイ素樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、およびポリウレタン樹脂等から選択される1または2以上の樹脂を使用できる。接着剤層を導電性ペーストで形成する場合には、図1に示すものと異なり、配線層が存在する部分にのみ接着剤層を設ける必要がある。かかる必要を満たすには、接着剤層を、例えばスクリーン印刷等の手法を用いて、配線層が位置すべき部分にのみ形成すればよい。
次に図1に示す回路基板の製造方法について述べる。図2(a)−(d)に、図1に示す片面回路基板の製造方法を工程別に示した製造工程断面図を模式的に示す。まず図2(a)に示すように、金属張りフィルム3Aを用意する。図示した金属張りフィルム3Aは、絶縁フィルム301の表面に接着剤層302を形成し、この接着剤層302の表面に金属箔305を積層し、熱圧着により3つの層を一体化することにより形成できる。金属張りフィルムを形成する別の手法としては、金属箔上に絶縁フィルムの前駆体であるワニスを塗布し、この前駆体を乾燥する手法、絶縁フィルム上に蒸着またはスパッタリング等で金属層を形成する手法、および導電性ペーストを塗布した絶縁フィルムに電解めっきにより配線層を形成する手法がある。
次に図2(b)に示すように、金属層305を、エッチング等することによって、所望の配線パターンを有する配線層303とし、片面回路基板3Bを得る。次に図2(c)に示すように、配線層303の上に有機樹脂を塗布することによってカバーレイ層304を形成する。あるいは、カバーレイ層304は、有機樹脂から成るフィルムを熱圧着することにより形成してよい。図2(a)〜(c)に示す工程により、カバーレイ層を有する片面回路基板3Cが得られる。
次に図2(d)に示すように、片面回路基板3Cを、少なくとも1回山折りおよび谷りした状態にて加圧する。それにより、図2(a)に示すプリーツ構造部分が形成される。図2(d)に示す工程において、山折りおよび谷折りの数、折り目と折り目の間の距離等を適宜選択することによって、所望の形態のプリーツ構造を得ることができる。加圧は、折り目が付くような圧力を適宜選択して実施する。ここでは片面回路基板の製造方法を述べた。本発明の回路基板は片面回路基板に限定されるものではなく、両面回路基板や多層回路基板であってよい。これらの回路基板についても、同様にしてプリーツ構造部分を形成できる。
図3(a)−(c)に、多層回路基板の一例である3層回路基板の製造工程断面図を模式的に示す。まず、図3(a)に示すように、図2(a)に示す金属張りフィルム3A、図2(b)に示す片面回路基板3B、および金属箔305を用意し、さらに、これら3つのシートを接合するための接着シート306を2枚用意する。接着シート306として、前述したカバーレイ層304用の有機樹脂をシート状に成形したものを使用する。これらを図示する順序で積層し、加熱加圧することにより一体化させる。
次に図3(b)に示すように所望の位置にドリルやレーザーを用いて貫通孔307を形成し、スルーホールめっき308して、配線層間を電気的に接続させる。次に図3(c)に示すようにエッチング等の手法で、両方の表面に位置する金属箔を、所望の配線パターンを有する配線層303に形成する。その後、図2(c)と同様にして、カバーレイ層309を形成する。これにより3層回路基板を製造することができる。次に、この3層回路基板を、図2(d)で示したように、折り畳んだ状態にて加圧することにより、プリーツ構造部分を形成できる。図3では、配線層間をめっきにより接続した。別法として、貫通孔内に導電性ペーストを充填し、導電性ペーストを硬化させることにより、配線層間を電気的に接続することも可能である。
図4(a)および(b)はそれぞれ、カバーレイ層204がプリーツ構造部分205全体を被覆して複合構造体を形成している回路基板の一形態を示す。図4(a)に示すように、複合構造体の形状は、矩形であってよい。あるいは、図4(b)に示すように、プリーツ構造部分205を全体として湾曲させた状態にてカバーレイ層204で被覆して、内周と外周とを有する扇形としてもよい。あるいは、図示していないが、複合構造体は波板形状としてもよい。図4(a)および(b)に示す複合構造体は、プリーツ構造部分を、所望の形状を有する型の中に、適宜折り曲げる、または折り目の角度を調節する等して、収容するとともに、有機樹脂の粉体または粒状体を充填し、続いて加熱することにより得られる。図4(c)は、カバーレイ層204が2つの回路基板のプリーツ構造部分205,205’を被覆して一体化している形態を示している。
図4に示すような複合構造体を有する回路基板は、所定寸法内に多くの回路基板が充填された部分を予め有するものであり、この部分はカバーレイ層で被覆されているために、簡易に取り扱うことができる。また、カバーレイ層が温度変化により、膨張または収縮するときに、プリーツ構造部分がバネのように作用して、それ自体伸縮するから、カバーレイ層と配線層との間で剥離が生じにくい。
続いて、実施の形態2〜6として、プリーツ構造部分を有する本発明の回路基板のさらに好ましい形態を示す。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2として、配線層の絶縁フィルムから遠い側の表面を粗くし、それにより、折り曲げて使用する際に生じる曲げ応力が緩和されるようにした回路基板を説明する。図5(a)〜(c)に示す回路基板はいずれも、実施の形態1と同様に、絶縁フィルム401、接着剤層402、配線層403、およびカバーレイ層404により構成された片面回路基板である。絶縁フィルム401等を構成する材料については、実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。
(実施の形態2−1)
図5(a)に示す回路基板は、使用時に折り曲げられる部分の近傍において、配線層403に凹部410が設けられたものである。凹部410は、配線層403の2つの表面のうち、カバーレイ層404と接する側の表面に形成されている。ここで凹部とは、表面の他の部分から明らかに窪んでいると認められる部分をいう。このように配線層403に凹部410を設けることによって、図示するように絶縁フィルム401が外側となるように(即ち、絶縁フィルム伸びる方向に)回路基板を屈曲させた場合に、この凹部410が曲げ応力を緩和して、配線層403と接着剤層402との間で剥離が生じること、ならびに配線層403が切断されることを防止する。凹部410は、図示するように、使用時に折り曲げられる部分において、曲率が一番大きく、応力の集中しやすい部分に形成することが好ましい。
次に、このような回路基板の製造方法を説明する。実施の形態1の回路基板の製造方法と同様にして、図2(b)に示すような積層体を作製する。続いて、機械加工もしくはレーザー加工、またはエッチング等の化学研磨により、配線層の所望の位置に凹部410を形成する。凹部410の形成位置は、回路基板を折り曲げて使用するときに、曲率が大きくなる位置に集中するように形成することが好ましい。それにより、より大きな応力緩和効果が得られる。次に、図2(c)に示すようにして、配線層403の上にカバーレイ層404を形成し、それにより図5(a)に示す回路基板を得ることができる。
(実施の形態2−2)
図5(b)に示す回路基板は、使用時に折り曲げられる部分の近傍において、配線層の表面に凸部420が設けられたものである。凸部420は、配線層403の2つの表面のうち、カバーレイ層404と接する側の表面に形成されている。ここで、凸部とは、表面の他の部分から明らかに突出していると認められる部分をいう。凸部420を有する配線層は、表面に凸部を有するように形成された電解めっき金属箔を使用することにより形成できる。あるいは、絶縁フィルムの表面に、導電性ペーストで接着剤層を形成し、めっきにより配線層を接着剤層の表面に形成することによっても、凸部を有する配線層を得ることができる。このように凸部420を配線層403に設けることによって、図示するように絶縁フィルム401が内側となるように(即ち、絶縁フィルムが縮む方向に)回路基板を屈曲させた場合に、この凸部420が曲げ応力を緩和して、配線層403と接着剤層402との間で剥離が生じること、ならびに配線層403が切断されることを防止する。凸部420は、図示するように、使用時に折り曲げられる部分において、曲率が一番大きく、応力の集中しやすい部分に形成することが好ましい。
(実施の形態2−3)
図5(c)に示す回路基板は、使用時に折り曲げられる部分の近傍において、配線層の表面が凹凸430を有するものである。凹凸430は、配線層403の2つの表面のうち、カバーレイ層404と接する側の表面に形成されている。ここで、凹凸を有する表面とは、表面が全体的に粗く、凸部または凹部のみが形成されているとは認められないような表面をいう。配線層403の表面が凹凸430を有する場合には、回路基板を、絶縁フィルム401が内側となるように曲げても、外側となるように曲げても、凹凸430によって曲げ応力が緩和される。凹凸430は、図示するように、使用時に折り曲げられる部分において、曲率が一番大きく、応力の集中しやすい部分に形成することが好ましい。また、凹凸は、表面粗さRaが0.5μmよりも大きくなるように形成されることが好ましい。ここで、表面粗さRaとは、対象物の表面から基準長さだけ抜き取った部分について求められる算術平均粗さRaをいう(JIS B0601に準拠して測定される)。
図5を参照して説明した回路基板は、いずれも片面回路基板である。配線層の絶縁フィルムから遠い側の表面は、図3に示すような多層回路基板においても、粗くすることが好ましい。多層回路基板においては、使用の形態(即ち、絶縁フィルムが外側および内側のいずれとなるように曲げられるか)に応じて、各配線層の表面に、凹部、凸部または凹凸を形成する。多層回路基板において、表面が粗くされた配線層は、1つのみであってよく、または2以上であってよい。あるいは全ての配線層の表面が粗くされてもよい。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3として、接着剤層の配線層と接する表面を粗くすることにより、折り曲げて使用する際に生じる曲げ応力が緩和される回路基板を、図6を参照して説明する。図6に示す回路基板も、実施の形態1と同様に、絶縁フィルム501、接着剤層502、配線層503、およびカバーレイ層504により構成された片面回路基板である。絶縁フィルム501等を構成する材料については、実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。図6に示す回路基板は、使用時に折り曲げられる部分の近傍において、接着剤層502の表面に凹凸510が設けられたものである。このように接着剤層の表面に凹凸510を設けることによって、回路基板を絶縁フィルム501が内側となるように曲げても、外側となるように曲げても、曲げ応力が緩和されて、配線層の剥離および切断が防止される。凹凸は、表面粗さRaが0.5μmよりも大きくなるように形成されることが好ましい。
図示する回路基板は、次のようにして金属張りフィルムを製造することにより得られる。最初に、有機樹脂から成る絶縁フィルムを用意する。次に、このフィルム上に、有機樹脂をグラビアコーター等の塗布装置を用いて、表面に凹凸が形成されるように塗布して、接着剤層を形成する。それから、この接着剤層の上に、蒸着またはスパッタリング等の方法で配線層となる金属層を蒸着させて、金属張りフィルムを得る。金属層は、金属層の露出表面が接着剤層の凹凸に沿って凹凸を有するように形成されてよく、あるいは、露出表面が平坦となるように形成されてもよい。いずれの場合でも、接着剤層と金属層との界面が凹凸となっていれば、所期の効果を得ることができる。続いて、この金属張りフィルムを、実施の形態1の回路基板を製造する場合と同様に、図2(b)および(c)の工程に付して、図6に示す回路基板を得る。
実施の形態3の回路基板において、接着剤層は、前述した導電性粒子と有機樹脂成分とを含む導電性ペーストで形成されてよい。その場合でも、接着剤層の表面を凹凸にすることによる効果を得ることができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4として、配線層内部に応力緩和のための空隙を設けた回路基板を説明する。図7に示す回路基板は、実施の形態1と同様に、絶縁フィルム601、接着剤層602、配線層603、およびカバーレイ層604により構成された片面回路基板である。絶縁フィルム601等を構成する材料については、実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。図7に示す回路基板は、使用時に折り曲げられる部分において、配線層602が空隙610を有する。この空隙610は、回路基板を屈曲させた場合に応力緩和部として機能し、曲げ応力に起因する、配線層602の剥離および切断を防止する。この形態において、配線層602の内部に設ける空隙(応力緩和部)は、使用時に折り曲げる部分の近傍にのみ形成されれば足りる。配線層602の全体にわたって空隙が形成された回路基板は、折り曲げられる部分の近傍においてのみ配線層602の内部に空隙を形成した回路基板と同等の効果を発揮するにすぎない。
図示する回路基板は、配線層となる金属箔の形成条件を適宜選択することにより、内部に空隙を有する金属箔を作製し、これを用いて金属張りフィルムを製造することにより得られる。従来の回路基板において、配線層を形成するために、銅箔が導体として用いられる。一般的に、この銅箔と絶縁フィルムとの密着性を向上させるために、この銅箔の表面に亜鉛またはニッケル等の金属を電解めっきにより析出させ、それにより表面にこぶ状の突起を形成することが行われる。この電解めっき処理工程において電流密度を過剰に高める等、適宜処理条件を変化させることによって、こぶ状の突起同士が連結し、内部に空隙を有する箔を製造することができる。また、電解めっき処理条件を変化させることによって、箔の内部の空隙率を変化させることもできる。空隙率を変化させることによって、配線層の熱膨張を任意に制御できる。例えば、折り曲げ部の屈曲率が大きい場合には、折り曲げ部における配線層内部の空隙率を大きくすることが、配線層の剥離等を防止する上でより効果的である。配線層となる金属箔は銅箔に限定されず、他の金属箔であってよい。また金属箔表面にめっきされる金属は亜鉛及びニッケルに限られず、通常のめっき処理で汎用されている金、銀、パラジウム、白金、およびカドミウム等から選択される金属を任意に用いることができる。
このようにして製造した金属箔と絶縁フィルムとを重ね合せて、または金属箔と絶縁フィルムとの間に接着シートを挟んで積層して、加熱加圧することにより、金属張りフィルムを製造する。続いて、この金属張りフィルムを、実施の形態1の回路基板を製造する場合と同様に、図2(b)および(c)の工程に付して、図7に示す回路基板を得る。カバーレイ層604を形成する際に、塗布する有機樹脂の粘度を適宜選択することによって、配線層内に存在する空隙中に有機樹脂が流入した回路基板を製造することも可能である。そのような回路基板においては、空隙を充填した有機樹脂が応力緩和部として機能する。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5として、カバーレイ層内部に応力緩和のための空隙を設けた回路基板を説明する。図8に示す回路基板は、実施の形態1と同様に、絶縁フィルム701、接着剤層702、配線層703、およびカバーレイ層704により構成された片面回路基板である。絶縁フィルム701等を構成する材料については、実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。図8に示す回路基板は、使用時に折り曲げられる部分において、カバーレイ層704が空隙710を有する。この空隙710は、回路基板を屈曲させた場合に応力緩和部として機能し、曲げ応力に起因する、配線層702の剥離および切断を防止する。この形態において、カバーレイ層704の内部に設ける空隙(応力緩和部)は、使用時に折り曲げる部分の近傍に形成されれば足りる。カバーレイ層704の全体にわたって空隙が形成された回路基板は、折り曲げられる部分の近傍においてのみカバーレイ層704の内部に空隙を形成した回路基板と同等の効果を発揮するにすぎない。
図示する回路基板は、図2(c)に示すカバーレイ層の形成工程において、カバーレイ層となる有機樹脂中に有機樹脂の硬化温度より低温で揮発する溶剤成分を予め分散させておくことにより得られる。有機樹脂中の溶剤成分は、カバーレイ層を硬化または乾燥させる際に蒸発し、蒸発した部分がカバーレイ層の内部で空隙を形成する。
図示した形態は、カバーレイ層内に空隙を有するものである。別の形態(図示せず)においては、絶縁フィルムに空隙または貫通孔が形成される。絶縁フィルムに形成される空隙または貫通孔も、曲げ応力を緩和する役割をする。絶縁フィルムに空隙または貫通孔を形成する場合には、配線層の位置しない部分(即ち、配線層と重ならない位置)に空隙または貫通孔を形成する。絶縁フィルムに形成される空隙または貫通孔もまた、使用時に曲げられる部分の近傍において形成すれば足り、絶縁フィルム全体に形成しても、達成される効果は同じである。絶縁フィルム内の空隙は、上述のカバーレイ層内に空隙を形成する方法と同じように、フィルムを形成する際に、予め分散させておいた溶剤成分を蒸発させることにより形成できる。貫通孔は、配線層が存在しない絶縁フィルムの領域にドリル加工またはレーザー加工等を施すことによって形成できる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6として、使用時に折り曲げられる部分の配線層の厚さが他の部分よりも薄い回路基板を説明する。図9に示す回路基板は、実施の形態1と同様に、絶縁フィルム801、接着剤層802、配線層803、およびカバーレイ層804により構成された片面回路基板である。絶縁フィルム801等を構成する材料については、実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。図9に示す回路基板は、使用時に折り曲げられる部分の近傍(図9において、湾曲している領域)に位置する配線層802の厚さが、他の部分に位置する配線層802の厚さよりも小さい。配線層の厚さが小さい部分では、配線層802の剛性が小さいため、配線層802に生じる曲げ応力が小さくなり、したがって、配線層802の剥離および切断が防止される。
図示する回路基板は、図2(b)に示す配線層形成工程において、2段階のエッチングを実施することにより製造できる。具体的には、最初に、金属箔の厚さを減少させる目的でエッチングする。次に、所望の配線パターンが得られるようにエッチングする。最後に、使用時に折り曲げられる部分以外の領域に、電気めっき処理を施して、配線層の厚さを大きくする。その後、図2(c)に示すようにして、カバーレイ層を形成すれば、図9に示す回路基板を得ることができる。
実施例1では、上述の実施の形態2の回路基板を製造した。本実施例では、配線層のカバーレイ層と接する側の表面の表面粗さRaを変化させて、配線層の表面粗さが接続信頼性に与える影響を調べた。
最初に銅張りフィルムとして、片面銅張りポリイミドフィルムであるエスパネックスSC(商品名)(新日鉄化学社製、フィルム厚25μm、圧延銅箔の厚さ18μm)を用意した。この銅張りフィルムの銅箔の表面に電解めっき処理を施して、こぶ状の突起を形成することにより、銅箔の表面粗さRaをそれぞれ、0.4μm(サンプル1)、0.5μm(サンプル2)、1.0μm(サンプル3)とした。表面粗さRaはいずれも、JIS B0601に準拠して測定した値である。
次いで、各サンプルをエッチング処理して、図10(a)に示すような配線パターンを有する配線層902を形成し、片面回路基板901を得た。回路基板の幅、配線の幅等は、図中に示すとおりである。
得られた各サンプルの接続信頼性を評価するために、IPC−240Cに示されている繰り返し曲げ試験を行った。その試験方法を図面を参照して簡単に説明する。図10(b)に、繰り返し曲げ試験を実施するための装置を模式的に示す。試験を実施するために、最初に、回路基板901の両端を、固定部904で、固定板903および振動板905にそれぞれ固定する。このとき、固定板903と振動板905との間の距離は、回路基板の曲率半径が2mmになるように設定した。次いで、振動板905をストローク25.4mm、周波数25Hzで、10,000,000回振動させた。振動後、配線部の抵抗値が振動前の配線部の抵抗値から10%以上上昇したものを不良とみなした。試験数(N)は、各サンプルについて、20とした。結果を表1に示す。
Figure 2005039109

この結果から、配線層のカバーレイ層と接する側の表面の表面粗さRaを0.5μm以上にすると、接続信頼性が向上することがわかる。
実施例2では、上述の実施の形態3の回路基板を製造した。本実施例では、接着剤層の配線層と接する側の表面の表面粗さを変化させて、接着剤層の表面粗さが接続信頼性に与える影響を調べた。
最初に、絶縁フィルムとしてポリイミドフィルムであるユーピレックス(商品名)(宇部興産社製、フィルム厚25μm)を用意した。この絶縁フィルム上に、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製)をグラビアコーターで塗布して、表面の表面粗さがそれぞれ、0.3μm(サンプル4)、0.5μm(サンプル5)、1.0μm(サンプル6)となるように接着剤層を形成した。いずれのサンプルも、接着剤層の塗布厚は10μmとした。次に、接着剤層の表面に、厚さが12μmとなるように銅を蒸着させて、銅張りフィルムを得た。この銅張りフィルムをエッチングして、図9(a)に示すような配線パターンを有する配線層902を形成し、片面回路基板901を得た。得られた各サンプルについて、実施例1と同様にして、接続信頼性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2005039109

この結果から、接着剤層の配線層と接する側の表面の表面粗さRaを0.5μm以上にすると、接続信頼性が向上することがわかる。
本発明の回路基板は、山折り部および谷折り部をそれぞれ少なくとも1つ有するプリーツ構造部分を有し、さらに必要に応じて、配線層もしくは接着剤層の表面を粗くし、またはカバーレイ層もしくは絶縁フィルムの内部に空隙等を形成することを特徴とする。この特徴によって、本発明の回路基板は、曲げ応力または熱応力に起因する配線層の剥離もしくは切断が生じにくいものとなり、フレキシブル回路基板として好ましく使用できる。
(a)は、本発明の実施の形態1に係る回路基板のプリーツ構造部分を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す回路基板の線A−A’に沿った断面を模式的に示す断面図であり、(c)は、(a)に示すプリーツ構造部分を折り曲げた状態を示す模式図である。 (a)〜(d)はそれぞれ、本発明の実施の形態1の回路基板を製造する工程を模式的に示す断面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ、本発明の実施の形態1の変形例である多層回路基板を製造する工程を模式的に示す断面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ、本発明の実施の形態1の変形例である、プリーツ構造部分が絶縁層で被覆された部分を有する回路基板を示す模式図である。 (a)〜(c)はそれぞれ、本発明の実施の形態2の回路基板を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態3の回路基板を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態4の回路基板を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態5の回路基板を模式的に示す断面図である。 本発明の実施の形態6の回路基板を模式的に示す断面図である。 (a)は実施例1および2で製造した回路基板の模式図であり、(b)は実施例1および2で使用した繰り返し曲げ試験を実施するための装置の模式図である。 (a)は従来のフレキシブル片面回路基板を模式的に示す断面図であり、(b)は従来のフレキシブル3層回路基板を模式的に示す断面図である。
符号の説明
201 絶縁フィルム、
202 接着剤層、
203 配線層、
204 カバーレイ層(絶縁層)、
205,205’ プリーツ構造部分、
210 折り目、
301 絶縁フィルム、
302 接着剤層、
303 配線層、
304 カバーレイ層(絶縁層)、
305 金属箔、
306 接着シート、
307 貫通孔、
308 スルーホールめっき、
309 カバーレイ層(絶縁層)、
3A 金属張りフィルム、
3B 片面回路基板、
3C カバーレイ層を有する片面回路基板、
401 絶縁フィルム、
402 接着剤層、
403 配線層、
404 カバーレイ層(絶縁層)、
410 凹部、
420 凸部、
430 凹凸、
501 絶縁フィルム、
502 接着剤層、
503 配線層、
504 カバーレイ層(絶縁層)、
510 凹凸、
601 絶縁フィルム、
602 接着剤層、
603 配線層、
604 カバーレイ層(絶縁層)、
610 空隙、
701 絶縁フィルム、
702 接着剤層、
703 配線層、
704 カバーレイ層(絶縁層)、
710 空隙、
801 絶縁フィルム、
802 接着剤層、
803 配線層、
804 カバーレイ層(絶縁層)、
901 片面回路基板、
902 配線層、
903 固定板、
904 固定部、
905 振動板、
1101 絶縁有機フィルム、
1102 配線層、
1103 カバー層、
1104 スルーホールめっき。

Claims (18)

  1. 絶縁フィルムおよび絶縁フィルム上に形成された配線層を含む回路基板であって、山折り部および谷折り部をそれぞれ少なくとも1つ有するプリーツ構造部分を有する回路基板。
  2. 配線層の上に形成された、有機樹脂から成る絶縁層を更に有する請求項1に記載の回路基板。
  3. 請求項1に記載の回路基板において、プリーツ構造部分が有機樹脂から成る絶縁層で被覆されて、当該絶縁層と一体的に、矩形、または内周と外周とを有する扇形に成形されている、回路基板。
  4. 請求項1に記載の回路基板を2以上含み、各回路基板においてプリーツ構造部分が、有機樹脂から成る絶縁層で被覆されて、当該絶縁層と2以上のプリーツ構造部分とが一体的に、1つの矩形、または内周と外周とを有する1つの扇形に成形されている、回路基板。
  5. 絶縁フィルムから遠い側の配線層の表面に少なくとも1つの凹部を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板。
  6. 絶縁フィルムから遠い側の配線層の表面に少なくとも1つの凸部を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板。
  7. 絶縁フィルムから遠い側の配線層の表面が凹凸を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板。
  8. 絶縁フィルムから遠い側の配線層の表面の表面粗さRaが0.5μmよりも大きい、請求項7に記載の回路基板。
  9. 配線層が電解銅箔により形成されている、請求項8に記載の回路基板。
  10. 配線層が絶縁フィルムの表面に形成された接着剤層の表面に形成されており、接着剤層の配線層と接する表面が凹凸を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板。
  11. 接着剤層の配線層と接する表面の表面粗さRaが0.5μmよりも大きい請求項10に記載の回路基板。
  12. 接着剤層が導電性粒子と有機樹脂成分とを含んで成る、請求項10または請求項11に記載の回路基板。
  13. 使用時に折り曲げられる部分の少なくとも近傍において、配線層がその内部に応力緩和部を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板。
  14. 応力緩和部が空隙である、請求項13に記載の回路基板。
  15. 応力緩和部が、空隙に充填された有機樹脂である、請求項13に記載の回路基板。
  16. 使用時に折り曲げられる部分の少なくとも近傍において、絶縁層がその内部に空隙を有する請求項2〜4のいずれか1項に記載の回路基板。
  17. 使用時に折り曲げられる部分の少なくとも近傍において、配線が存在しない箇所で、絶縁フィルムが空隙または貫通孔を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板。
  18. 使用時に折り曲げられる部分の近傍における配線層の厚さが、それ以外の箇所における配線層の厚さよりも小さい、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板。

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