JP2005038910A - 部品実装機及びその自己診断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サーボモータ2〜5などの駆動部により移動部(ヘッドユニット10、吸着ノズル13)をX軸、Y軸、Z軸、R軸の各方向に移動させる。駆動部が正常なとき、移動部を所定の移動ストロークに沿って移動させたときに所定の移動領域で発生する速度偏差、位置偏差などの制御偏差を制御偏差の既定値としてコントローラ1に記憶しておく。そして、各駆動部の自己診断を行なう場合、各駆動部により移動部10を前記の移動ストロークに沿って移動させたときに前記移動領域で発生する制御偏差を前記記憶した既定値と比較し、その比較結果に基づいて駆動部の異常を判定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部品実装機及びその自己診断方法、さらに詳細には、吸着ノズルを備えたヘッドユニットによりICなどの電子部品を吸着し、ヘッドユニットを回路基板上に移動させて部品を回路基板に実装する部品実装機及びその自己診断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記の部品実装機、いわゆるチップマウンタにおいて、故障箇所の自己診断を行う構成が例えば下記の特許文献1などにより知られている。特許文献1には、チップマウンタの作業テーブルをX、Y方向に移動させるDCサーボモータ6を駆動する駆動制御系の良否診断を行う方法が記載されている。それによると、まずPC(パーソナルコンピュータ)1からDCサーボモータ駆動処理部4に移動量(M1)を指令するパルスを出力する。これに応じて駆動処理部4からDCサーボアンプ5とDCサーボモータ診断処理部12にパルス列が出力され、処理部12でそのパルス数がカウントされるとともに、アンプ5によりDCサーボモータ6が回転され、エンコーダ7によって前記回転に伴うパルスがアンプ5と処理部12にフィードバックされ、処理部12でそのパルス数(M2)がカウントされる。そして、PC1で、処理部12がカウントしたパルス数(M1)、(M2)とPC1が最初に出力したパルス数を比較し、その結果に基づいてDCサーボモータ駆動処理部4、DCサーボアンプ5、及びエンコーダ7の良否を診断する。
【0003】
このような自己診断方法は、部品を吸着する吸着ノズルをX軸、Y軸、Z軸の各方向へ移動して回路基板上への実装を行う部品実装機にも適用でき、各軸方向の移動を行う駆動部の回路構成の良否を診断することができる。
【0004】
しかしながら、これらの駆動部のそれぞれにおいて、例えば製造時の組み付け不良、モータの駆動力を伝達するベルトの長時間使用によるテンション不良、ビスの緩み、あるいはモータ自体の故障などメカ的な原因で動作の整定が悪くなり、部品の搭載精度に悪影響を及ぼすことがある。
【0005】
これに対して、従来の部品実装機では、特許文献1のように駆動部の回路構成の良否を診断するとしても、上記のメカ的な原因で駆動部の動作の整定が悪くなっている場合も含めて駆動部の異常を判定することはなく、組み付け不良、ベルトの長時間使用によるテンション不良、ビスの緩み、あるいはモータ自体の故障があることを診断できず、搭載精度の不良や、異常なフィードバック制御によるモータの暴走が発生してしまうという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−276000号公報(段落[0020]〜[0030]、図6〜図9)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、部品を吸着するヘッドユニットなどの移動部をモータなどの駆動部により移動させて回路基板に部品を実装する部品実装機において、駆動部のメカ的な原因による異常を確実に判定することができる構成、及び自己診断方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、
部品を吸着し回路基板に搭載する部品実装機であって、
部品吸着ないし搭載のために移動部を移動させる駆動部と、
制御偏差に基づいて駆動部を制御するコントローラと、
駆動部が正常なとき移動部を所定の移動ストロークに沿って移動させたときに所定の移動領域で発生する制御偏差を制御偏差の既定値として記憶する記憶手段と、
移動部を前記移動ストロークに沿って移動させたときに前記移動領域で発生する制御偏差を前記記憶した既定値と比較し、その比較結果に基づいて駆動部の異常を判定する判定手段とを有する構成を採用している。
【0009】
また、本発明では、
部品吸着ないし搭載のために移動部を移動させる駆動部と、制御偏差に基づいて駆動部を制御するコントローラを有する部品実装機の自己診断方法であって、駆動部が正常なとき移動部を所定の移動ストロークに沿って移動させたときに所定の移動領域で発生する制御偏差を制御偏差の既定値として記憶しておき、
移動部を前記移動ストロークに沿って移動させたときに前記移動領域で発生する制御偏差を前記記憶した既定値と比較し、その比較結果に基づいて駆動部の異常を判定する自己診断方法も採用している。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
図1には、電子部品を回路基板に実装する部品実装機の制御系の構成がブロック図として図示されている。部品実装機には、X軸サーボモータ2とY軸サーボモータ3が設けられており、これらにはそれぞれの回転速度ないし回転位置を検出するためのエンコーダ6、7が付設されている。CPU、RAM、ROMなどで構成されるコントローラ1の指示によりX軸サーボモータ2が駆動されると、ヘッドユニット10がX軸方向に移動され、またY軸サーボモータ3が駆動されるとヘッドユニット10がY軸方向に移動される。
【0012】
また、ヘッドユニット10には、ノズル保持部材12と、その中心軸上に保持された吸着ノズル13が設けられている。ノズル保持部材12と吸着ノズル13は、R軸サーボモータ5によりヘッドユニット10のフレームに対して中心軸(R軸)回りの回転が可能とされるとともに、Z軸サーボモータ4により吸着ノズル13がノズル保持部材12に対して昇降(Z軸方向の移動)される。サーボモータ4、5にもエンコーダ6、7と同様なエンコーダ8、9が付設されている。
【0013】
X軸サーボモータ2とY軸サーボモータ3並びにベルトなどの動力伝達機構を含む駆動部は、ヘッドユニット10並びにそれに搭載された吸着ノズル13などの移動部をX軸及びY軸方向に移動させ、Z軸サーボモータ4とその動力伝達機構を含む駆動部は、吸着ノズル13などの移動部をZ軸方向に移動させ、R軸サーボモータ5とその動力伝達機構からなる駆動部は、吸着ノズル13をR軸を中心に回転させる。各モータ2、3、4、5により移動される移動部の位置は、各移動部のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、R軸方向の位置を検出する各軸のエンコーダにより検出される。図1では、煩雑さをさけるために、一つのエンコーダ11として図示されている。
【0014】
コントローラ1は、X軸とY軸サーボモータ2、3を駆動して、ヘッドユニット10を不図示の部品供給部に移動させ、Z軸サーボモータ4により吸着ノズル13を下降させて電子部品14をピックアップする。この後、ヘッドユニット10は、不図示のコンベアによって搬送されてくる回路基板(以下、基板と略す)15上に移動し、電子部品14が基板15に搭載される。
【0015】
この場合、基板認識カメラ25は、基板15に形成された基板マークを撮像し、その画像処理によりマーク位置が認識されて電子部品実装時に基板15の位置ずれが補正される。
【0016】
一方、不図示のコンベアと部品供給部との間に、部品認識用の部品認識カメラ16が配設されており、これによって吸着された電子部品14が撮像され、その画像が、A/D変換器18、CPU19、メモリ20などで構成される画像認識装置17で処理されて、電子部品14の位置(吸着姿勢)が認識される。その認識結果から位置誤差が補正されて電子部品が基板15に搭載される。
【0017】
また、部品実装機には、基板データや部品データを入力するためのキーボード24、マウス23などの入力装置が設けられ、生成された基板データ並びに部品データは、ハードディスク、フラッシュメモリなどで構成される記憶装置21に格納できるようになっている。また、モニタ22が設けられ、この画面には、部品データ、演算データや部品認識カメラ16、基板認識カメラ25で撮像した画像などが表示できるようになっている。
【0018】
図2は、X軸サーボモータ2の駆動によりヘッドユニット10をX軸方向に駆動するX軸方向駆動部の制御系の構成を示している。コントローラ1は、機能的な構成として、位置制御を行う位置コントローラ26と、速度制御を行う速度コントローラ27を有している。ヘッドユニット10のX軸方向への駆動時には、位置コントローラ26に対して、ヘッドユニット10のX軸方向の指令位置(目標位置)が入力されるとともに、エンコーダ11からヘッドユニット10のX軸方向の実際位置がフィードバックされる。位置コントローラ26は、X軸方向の指令位置と実際位置の偏差ΔPに基づいてX軸方向への指令速度(目標速度)を速度コントローラ27に出力する。速度コントローラ27には、ヘッドユニット10のX軸方向への移動の実際速度に対応する値がエンコーダ6からフィードバックされる。速度コントローラ27は、入力される指令速度と実際速度の偏差ΔVに基づいてX軸サーボモータ2に対して同モータの駆動電圧(指令電圧)DACを出力する。これによりX軸サーボモータ2が駆動され、ヘッドユニット10がX軸方向に移動される。
【0019】
これと同様の制御系が各サーボモータ3、4、5などのY軸、Z軸、R軸方向の駆動部にも設けられ、同様に位置偏差ΔPと速度偏差ΔVの制御偏差に基づくフィードバック制御が行われる。
【0020】
以上の構成において、X軸、Y軸、Z軸、R軸の各駆動部について、駆動部の異常を判定する自己診断が行われる。その自己診断についてX軸駆動部の場合を以下に説明するが、その説明は、他の駆動部に対しても同様に当てはまるものである。
【0021】
X軸サーボモータ2自体が正常であり、正しい位置に組み付けられており、ベルトなどの動力伝達系が正常であって駆動部が正常であるとされるときに、X軸サーボモータ2の駆動によりヘッドユニット10をX軸方向に所定の移動ストロークに沿って移動させた場合、速度制御による速度偏差ΔVは、図3に示したように、僅かなものとなる。また、位置制御による位置偏差ΔPも、図5に示すように、僅かなものになる。さらに、X軸サーボモータ2の駆動電圧DACのカーブは図7に示すようになり、全体として駆動電圧DACの最大値(上限値)よりかなり低くなる。
【0022】
これに対して、例えば部品実装機の製造時において駆動部の組み付けが不良の場合、あるいはベルトなどが弛み、動力の伝達に不具合が発生すると、速度偏差ΔVは、図4に示したように、大きくなる。また、位置偏差ΔPも、図6に示すようになり、大きくなる。さらに、駆動電圧DACのカーブは図8に示すようになり、一部の移動領域で最大値に近づく。
【0023】
本実施形態では、このことを利用してコントローラの制御偏差、すなわち、速度偏差ΔV、位置偏差ΔP、及びコントローラの出力である駆動電圧DACの大きさの比較により自己診断を行う。このために、駆動部が全て正常であるときに、X軸サーボモータ2の駆動によりヘッドユニット10をX軸方向に所定の移動ストロークに沿って移動させ、その際に、全移動領域に渡って、図2の制御系で発生する制御偏差、すなわちX軸方向の速度偏差ΔVと、位置偏差ΔPを所定の時間間隔Δt(例えば数ミリ秒)ごとにサンプリングしたデータを、それぞれ速度偏差ΔVと位置偏差ΔPの既定値のデータとして予めコントローラ1のROMないし不揮発性のRAMあるいは記憶装置21などに格納しておく。なお、このデータの取得は、全て正常なモデルの部品実装機で行えば良い。また、図8に示すようにX軸サーボモータ2の駆動電圧DACの最大値に近い所定の駆動電圧DACのしきい値のデータを設定し、ROMなどに記憶しておく。
【0024】
そして、部品実装機の製造時の組み立て完了後の試験時やメンテナンス時に、X軸サーボモータ2を駆動し、ヘッドユニット10をX軸方向に上述した同じ所定の移動ストロークに沿って移動させ、その際に、全移動領域に渡って、X軸方向の速度偏差ΔVと位置偏差ΔPを上記と同じ時間間隔Δtでサンプリングして取得する。各時間間隔Δtごとにそれぞれ取得された速度偏差ΔVと位置偏差ΔPを、予めROMなどに記憶した各時間間隔Δtごとの対応する速度偏差ΔVと位置偏差ΔPの既定値(同じ移動位置ないし移動時間での既定値)とリアルタイムに比較する。そして、その比較結果に基づいてX軸駆動部が異常か否かを判定する。例えば、サンプリングした速度偏差ΔVないし位置偏差ΔPのデータの値が所定回数以上、既定値より大きくなった場合に異常と判定する。なお、比較は、上記のようにリアルタイムに比較するのではなく、各時間間隔Δtごとの速度偏差ΔVと位置偏差ΔPを、一旦RAMなどに格納し、これを予め記憶した各時間間隔Δtごとの対応する速度偏差ΔVと位置偏差ΔPの既定値と比較するようにしてもよい。また、制御偏差の比較は、速度偏差ΔVと位置偏差ΔPの両方、あるいはいずれか一方とすることもできる。
【0025】
なお、誤差を考慮して、上記移動ストロークの移動を複数回行って上記の偏差の比較を行うようにしても良い。また、上記の移動ストロークの移動領域の全部ではなく、一部の移動領域、例えば図3、図4の速度カーブの山形の中腹に相当する移動領域だけで比較を行うようにしてもよい。この場合、既定値となる速度偏差ΔVと位置偏差ΔPの取得もその一部の移動領域だけでするようにしてもよい。
【0026】
また、上記移動ストロークの全移動領域または一部の移動領域でX軸サーボモータ2の駆動電圧DACを監視し、図8のように駆動電圧DACが前述したしきい値を超えた場合に異常と判定する。
【0027】
以上のような自己診断をY軸駆動部とZ軸駆動部、R軸駆動部についても同様に行なう。
【0028】
以上のような本実施形態によれば、X軸、Y軸、Z軸、R軸の各駆動部において、前述した製造時の組み付け不良、ベルトの長時間使用によるテンション不良、ビスの緩み、あるいはモータ自体の故障などメカ的な原因で異常が発生するとき、図4、図6、図8に示したように速度偏差ΔV、位置偏差ΔPの増大、ないしはモータ駆動電圧DACの著しい上昇となって現れるので、駆動部の異常を広範囲に確実に判定することができる。そして、その異常に対処することで部品の搭載精度の不良や、駆動部のモータの暴走などの問題を未然に防止することができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明の部品実装機及びその自己診断方法によれば、モータなどの駆動部により、ヘッドや吸着ノズルなどの移動部を所定の移動ストローク(X軸、Y軸、Z軸、θ軸)に沿って移動させたときに所定の移動領域で発生する制御偏差(位置偏差、速度偏差)を、駆動部が正常なときに発生する制御偏差の既定値と比較し、その比較結果に基づいて駆動部の異常を判定するので、駆動部の異常を広範囲に検出でき、部品の搭載精度の不良や、モータの暴走などの問題を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における部品実装機の制御系の構成を示したブロック図である。
【図2】同部品実装機のX軸駆動部の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】同X軸駆動部の正常時の速度制御による指令速度と実際速度のカーブ及び速度偏差を示す線図である。
【図4】同X軸駆動部の組み付け不良時の速度制御による指令速度と実際速度のカーブ及び速度偏差を示す線図である。
【図5】同X軸駆動部の正常時の位置制御による指令位置と実際位置のカーブ及び位置偏差を示す線図である。
【図6】同X軸駆動部の組み付け不良時の位置制御による指令位置と実際位置のカーブ及び位置偏差を示す線図である。
【図7】同X軸駆動部の正常時の制御によるモータ駆動電圧、及び指令速度と実際速度のカーブを示す線図である。
【図8】同X軸駆動部の組み付け不良時の制御によるモータ駆動電圧、及び指令速度と実際速度のカーブを示す線図である。
【符号の説明】
1 コントローラ
2 X軸サーボモータ
3 Y軸サーボモータ
4 Z軸サーボモータ
5 R軸サーボモータ
6〜9 エンコーダ
10 ヘッドユニット
11 エンコーダ
13 吸着ノズル
14 部品
15 基板
21 記憶装置
26 位置コントローラ
27 速度コントローラ
Claims (4)
- 部品を吸着し回路基板に搭載する部品実装機であって、
部品吸着ないし搭載のために移動部を移動させる駆動部と、
制御偏差に基づいて駆動部を制御するコントローラと、
駆動部が正常なとき移動部を所定の移動ストロークに沿って移動させたときに所定の移動領域で発生する制御偏差を制御偏差の既定値として記憶する記憶手段と、
移動部を前記移動ストロークに沿って移動させたときに前記移動領域で発生する制御偏差を前記記憶した既定値と比較し、その比較結果に基づいて駆動部の異常を判定する判定手段とを有することを特徴とする部品実装機。 - 前記コントローラの出力値が所定のしきい値よりも大きくなったときに駆動部が異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の部品実装機。
- 部品吸着ないし搭載のために移動部を移動させる駆動部と、制御偏差に基づいて駆動部を制御するコントローラを有する部品実装機の自己診断方法であって、
駆動部が正常なとき移動部を所定の移動ストロークに沿って移動させたときに所定の移動領域で発生する制御偏差を制御偏差の既定値として記憶しておき、
移動部を前記移動ストロークに沿って移動させたときに前記移動領域で発生する制御偏差を前記記憶した既定値と比較し、その比較結果に基づいて駆動部の異常を判定することを特徴とする部品実装機の自己診断方法。 - さらに、前記コントローラの出力値が所定のしきい値よりも大きくなったときに駆動部が異常であると判定することを特徴とする請求項3に記載の部品実装機の自己診断方法。
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