JP2005036300A - プラズマ成膜装置及びその防着シールド並びに防着シールドの構造設計方法 - Google Patents

プラズマ成膜装置及びその防着シールド並びに防着シールドの構造設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長時間の使用に対しても破損しない防着シールドを提供すること。
【解決手段】プラズマ生成室1の内側の壁の表面は、上部防着シールド17、側部防着シールド、下部防着シールド19、及び底部防着シールド20によって全て覆われている。側部防着シールドを構成する石英の厚さを厚くすることによって応力が分散され、最大応力が低下し、寿命を大幅に延ばすことができる。側部防着シールドをA(18A)とB(18B)の2つに分割し、応力の大きい上部のみを厚くすることもできる。
【選択図】図5

Description

本発明は、半導体集積回路やディスプレイ装置などの電子デバイスの製造を目的として試料基板上に各種材料の薄膜を形成するためのプラズマ成膜装置及びその防着シールド並びに防着シールドの構造設計方法に関するものであり、特に高品質の金属や金属化合物薄膜を低温で形成するプラズマ成膜装置及びその防着シールド並びに防着シールドの構造設計方法に関するものである。
電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance,ECR)で発生したプラズマを利用し、そのプラズマの周囲に配置したターゲットに電圧を印加することによりプラズマに含まれるイオンをターゲットに加速して入射させることでスパッタリング現象を生ぜしめ、放出したターゲット粒子を近傍に設置した試料基板上に付着させて薄膜を形成する技術は、既に特許化されている(特許文献1および特許文献2参照)。
図1はこのような従来装置の代表的な構造を示したものである。同図において、プラズマ生成室1と試料室2とは大気から隔離された密閉空間となっており、プラズマ引出し窓3を介して繋がっている。試料台4に置かれた試料基板5上に薄膜を形成するには、まず、プラズマ生成室1と試料室2を、排気路6を通して真空ポンプにより真空排気した後、ガス導入口(A)7または(B)8からガスを導入し所定の圧力に保持する。
次いで、プラズマ生成室1の周囲に置かれた2つの磁気コイル9に電流を流して磁界を発生させた後、矩形導波管10に導かれたマイクロ波11をプラズマ生成室下部のマイクロ波導入窓12を通して真空側に導入する。これにより、プラズマ生成室1内で電子サイクロトロン共鳴が生じ、ECRプラズマが発生する。
プラズマ生成室1で発生したプラズマは、発散磁界に沿ってプラズマ引出し窓3から試料基板5へブラズマ流13として流れ込む。この状態でスパッタ電源14を投入してターゲット15に電圧を印加すると、ECRプラズマ中のイオンがターゲット15に向かって加速を受け、そのイオン衝撃によってターゲット構成原子が真空中に放出される。ターゲット15から飛び出した粒子はあらゆる方向に進み、試料基板5上に薄膜を形成するほか、プラズマ生成室1の内側の壁にも付着する。ターゲットの材質としてはあらゆる固体材料が利用でき、代表的なものとして、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、炭素、タンタル、モリブデン、タングステンなど単体金属またはそれらの合金、及びその酸化物、窒化物のほか、STOやPZTなどの化合物も用いられる。また、成膜する際にアルゴンやキセノンなどの不活性ガス以外に酸素や窒素などを用いれば、ターゲットが単体金属の場合でもシリコン酸化物やシリコン窒化物、アルミナなどの化合物薄膜を形成することができる。成膜中には、このような薄膜構成元素がプラズマ生成室や試料室の内側の壁に付着することになる。
従来のこの種の装置においては、プラズマ生成室の内側の壁への膜付着を防止する目的で防着シールドが用いられている。このシールドは通常、石英で構成されており、ある程度まで膜が付着した段階で取り外して廃棄するか、またはブラスト処理やエッチング処理などで付着膜を取り除いて再利用していた。
図2は、従来装置のうちプラズマ生成室とターゲット部分の代表的な断面構造を示している。ターゲット5の表面から飛び出した薄膜構成粒子はあらゆる方向に進み、試料基板が置かれている方向とは反対側のプラズマ生成室1の内側の壁16にも付着してしまう。この内側の壁への膜付着を防止するために、内側の壁表面は、上部防着シールド17、側部防着シールド18、下部防着シールド19、及び底部防着シールド20によって全て覆われている。この防着シールドは、絶縁性であることが望ましく、また金属汚染を防止するなどの点から、従来、厚さ数mm程度の石英で構成されていた。
特許第1553959号公報 特許第1462543号公報
上述のような構成で長時間の膜形成を行った場合、図2のA,B,C,Dの部分が特別に破損し易いことが判明した。これらの領域は何れも高温に加熱された状態で薄膜が付着する部分である。A部分は上部防着シールド17の内周部であり、ターゲットに極めて近いために最も多くの膜が付着する。
このため、石英が欠けて内径が大きくなるように破損が進み、消耗交換部品となっている。B部分は、ターゲットからの粒子が直線的に飛来して厚い付着膜が形成される領域と陰となる領域との境界部分であり、同時に、電子サイクロトロン共鳴によって高エネルギー状態となった電子が飛来するために数100℃以上に加熱される領域でもある。このため、側部防着シールド18はこの部分でリング状に破損する場合が多い。下部防着シールド19及び底部防着シールド20のそれぞれC,D部分は膜の付着量はAやB部分ほど多くはないが、マイクロ波の導入部分であることから発熱しやすく、A,Bに次いで劣化する部分である。
破損に至るまでの寿命は成膜する薄膜材料の種類やその膜厚に依存するほか、薄膜を形成するときに投入するマイクロ波パワーが大きいほど短くなるなど、石英の加熱条件にも影響を受ける。Si0薄膜の成膜について調べたところ、標準的な条件で成膜を続けた場合、側部防着シールドヘの最大付着膜厚が0.1−0.2mm程度で破損することが明らかとなった。この程度の寿命では、連続して大量生産を行う場合には防着シールドが短期間に破損して、生産に支障をきたすことになる。電子部品の生産コストとしては当然のことながら防着シールドの材料消耗費用が含まれるが、高純度の石英は高価なため少なからぬウエイトを占める。また、防着シールドを交換するためにプラズマ生成室を真空から大気圧に戻して交換を行うと、その作業時間のほかに、再び真空排気して高真空にまで圧力を下げるために、大幅に時間を要してしまう。
以上の理由から、長時間の操業に耐え、交換頻度をできる限り低く抑えた防着シールドが強く望まれ、長寿命化を達成する必要があった。
そこで本発明の目的は以上のような問題を解消し、長時間の使用に対しても破損しない防着シールドを提供することおよびこのような防着シールドを設けたプラズマ成膜装置を提供すること、さらには、防着シールドの構造設計方法を提供することにある。これにより、装置の保守コストが低減されると同時に電子デバイスの生産性を高めることができる。
本発明は、成膜室に設置する防着シールドに関し、それに付着する薄膜の真性応力をパラメータとして防着シールドの変形量をシミュレーションし、破壊強度を超えた部分を高強度構造とする構造設計手法、及びそれにより得られた高強度の防着シールド、を最も主要な特徴とするものである。破損部は、加熱を受けると同時に膜が付着する部分に限られていることから、この部分の材質または構造に工夫を加えることで、破損に至るまでの寿命を大幅に延ばすことができる。従来の防着シールドの構造設計においては、付着薄膜の真性応力を用いたシミュレーションを行っておらず、正しい破壊予測が困難であった。本発明では、破壊強度を超える部分が正確に予測できることから、その部分が構造的または材質的に強化される点が異なる。
本発明の一態様は、プラズマ生成室と、薄膜を形成すべき試料基板を設置するための試料台を具えた試料室と、前記プラズマ生成室と前記試料室との間に配置され前記プラズマ生成室からのプラズマ流を前記試料室に引き出すためのプラズマ引出し窓と、前記プラズマ生成室から前記試料室に向けて磁界強度が弱くなる発散磁界の磁界分布をもつ磁界発生手段と、スパッタリング材料からなり前記プラズマ引出し窓と前記試料台との間に前記プラズマ流を取り囲むように配置されたターゲットとを具え、前記プラズマ生成室の内側が高強度構造を有する絶縁性の防着シールドによって覆われているプラズマ成膜装置を特徴とする。
ここで、前記防着シールドは、少なくとも付着量に急峻な変化を有する部分を、その境界近傍で分割することができる。
また、前記防着シールドは、少なくとも一部分を、付着膜厚が小さくなるように飛来粒子の入射角を制御した構造とすることができる。
さらに、前記防着シールドは、少なくとも一部分を、アルミナ、ジルコニア、窒化シリコン、窒化アルミニウム、炭化珪素、またはこれらの材料を少なくとも2種類以上含むセラミック材料から構成することができる。
また、本発明の他の態様は、非金属材料からなる防着シールド上に付着した薄膜の真性応力をパラメータとして防着シールドの変形量をシミュレーションした結果に基づいて得られた破壊強度を越える部分を高強度構造とした防着シールドを特徴とする。
さらに、本発明の他の態様は、非金属材料からなる防着シールド上に付着する薄膜の真性応力をパラメータとして防着シールドの変形量をシミュレーションし、当該シミュレーション結果に基づいて前記防着シールドの破壊強度を越える部分を高強度構造とする防着シールドの構造設計方法を特徴とする。
プラズマ生成室の防着シールドを材質的、構造的に工夫することにより、破損に至るまでの寿命を大幅に延ばすことができ、これにより、装置の保守コストを低減すると同時に生産性を高めることが可能となる。具体的には、これまで、一度の長時間使用で破損し消耗品扱いとしていたか、または破損する前に付着膜除去を行って繰り返し使用していたかの何れかであり、前者では部品コストが高く、後者では操業時間が制限されるという問題があった。本発明によって、一度に長時間使用しても破損せず、繰り返しの使用が可能となり、部品コスト、操業時間の何れにおいても問題なく生産に寄与できることとなった。
[実施例1] 厚石英
石英製の防着シールドの寿命は様々な条件によって変化し、その破損メカニズムは単純ではない。シミュレーションを利用して熱ストレスや付着膜の応力等について調査した結果、付着膜の真性応力が破損の主要因となっていることが判明した。
任意の基板上に形成された薄膜に存在する残留応力のメカニズムやその起源は十分に解明されておらず、その定義は学術的にも暖昧である。破損の要因分析を進める中で、薄膜の応力をその発生起源から明確に区別することが重要であることが明らかとなった。ここでは、薄膜の応力を以下のように定義、分類する。基板上に形成した薄膜に存在する全ての応力を「残留応力」と呼ぶと、残留応力は「熱応力」と「内部応力」とに分けられる。熱応力は薄膜と基板との熱膨張係数の差に起因して発生するものであり、一方、内部応力は成長過程や薄膜の構造自身の変化に起因するものである。内部応力は更に、膜内部に存在する「真性応力」と、基板との界面部分で発生する「界面応力」とに分けることができる。界面応力は基板と薄膜との界面の極く限られた領域に発生する応力であり、その大きさは、界面を形成する2つの材料とその構造で定まる。これに対し、真性応力は薄膜の構造に基づいて発生する応力であり、膜厚方向に構造が一様である場合には、膜厚が厚くなるに従ってそれに比例して全応力が増大し、変形量も大きくなる。
図3は側部防着シールドに膜が付着したときの応力分布を3次元で計算したものである。電子サイクロトロン共鳴を利用して形成した薄膜は緻密で良質な膜となり、通常、圧縮の内部応力をもつ。ここでは、厚さ3.5mmの石英製の防着シールドの内側の壁に、800MPaの内部応力を持つ付着膜が形成されると仮定した。付着膜の膜厚は最大0.2mmとし、ターゲット構造を考慮したシミュレーションにより得られた破線のような分布を持つものとした。計算結果によると、応力は石英の厚さ方向に変化し、付着膜と接する円筒の内周部分が最も高く外周方向に行くに従って小さくなる。図3では、この内周部分の応力が側部防着シールド上端からの距離に応じて変化する様子を示している。この結果によると、側部防着シールドの円周方向応力は、最上端で45MPa程度の最大値を持ち、下方に行くに従って徐々に低下する傾向を示している。一方、軸方向応力は上端から10mm前後の位置で急峻なピーク値を有し、その値も60MPaと高く、石英の引っ張り破壊強度(50MPa)を越えている。付着膜が圧縮応力であることから、円筒状の石英側部防着シールドは直径が増加するように膨れ、引っ張り応力を受けることになる。円周方向応力は円筒の直径が増加することによって縦割れを引き起こす応力であり、一方、軸方向応力は円筒がラッパ状に広がったときの上下方向のくびれによってリング状の割れを発生させるものである。本結果によれば、円筒状の石英は縦に割れるのではなく、端から10mm付近の位置でリング状に割れることが予測され、実際の破損状況とよく合致した。なお、ECRで成膜したシリコン酸化膜の真性応力は、通常、200−500MPa程度であり、ここで仮定した800MPaよりは小さく、それに比例してピーク応力も低くなるが、付着膜厚のばらつきやマージンを考慮すれば、シミュレーション結果は良く合っているものと考えられる。
真性応力を考慮しない従来通りのシミュレーションを行った結果を図4に示す。基本的なパラメータは図3と同一の値を用いているが、この計算には付着膜の真性応力は入れていない。また、石英製の側部防着シールド上に同一物性を有するシリコン酸化膜が付着する場合を想定しているため、薄膜と基板との熱膨張係数差に基づく熱応力が発生することもない。従って、応力の発生要因は石英シールド(厚さ3.5mm)の内側と外側の温度差に基づく熱膨張によるもののみとなる。定常状態では、この温度差が最大でも50℃程度と小さく、結果として応力は数MPaと破壊強度に比べて僅かな値となった。なおここで、防着シールド内側の壁の温度は最大500℃であり、その上下方向温度分布は付着膜の膜厚分布と同じになると仮定している。シールド内側の壁の温度が毎秒100℃の勾配で急激に上昇している極端な非定常状態についてもシミュレーションしたが、それでも最大広力は15MPa程度であった。
以上に示したように、従来の一般的なシミュレーションでは現実の破損現象を全く説明できない一方で、付着膜の真性応力をパラメータとしたシミュレーションでは、端から10mm付近で破壊強度を超える応力となり、実際の石英シールドの破損状況とよく一致することが明らかとなった。このような結果をもとに、石英の肉厚を厚くした防着シールドについても同様のシミュレーションを行った。その結果、石英の厚さを厚くすることによって応力が分散され、最大応力が低下することが判明した。例えば従来の3.5mmから2倍の7mmに変更すると応力は2/3になり、3倍にすると半分近くにまで低減する。従って、厚さ10−15mmの側部防着シールドを用いることで寿命を大幅に延ばすことができる。これ以上に厚くするとプラズマの発生する空間が小さくなり、好ましくない。また、重量も増えて取り扱い難くなるなどの理由から、図5に示すように側部防着シールドをA(18A)とB(18B)の2つに分割し、応力の大きい上部のみを厚くしてもよい。石英を厚くするだけの本構造の欠点として、付着膜と石英とが大きな界面応力でつりあっていることから、僅かな刺激で大きな衝撃を伴って破損する可能性があり、安全性に注意を払う必要がある。この点からも、大きな衝撃が生じない分割構造が望ましい。
[実施例2] リング状構造
実施例1では、材質や構造が均質であるなど理想的な状態においてシミュレーションに近い長寿命が得られるものであるが、現実には僅かな欠陥部分に応力集中が生じるなどのために寿命がそれほど延びない場合がある。図6の構造は、そのような時でも長時間の使用に耐えるように工夫されたものである。本構造では、側部防着シールドの上部を厚さ10mmと厚くしたうえで高さ10mm程度に分割しており、付着膜厚が厚く軸方向応力が最大となり、また加熱にもさらされる部分が初めから不連続になっていることから、新たに全体が分割されるような破損は生じない。
この構造に対する応力シミュレーションの結果を図7に示す。同図によれば3つに分割した部分の軸方向応力は100MPaを越えて極めて大きくなっている。しかしながら、これは防着シールド内側の表面部分の応力分布を計算したものであり、石英シールドの厚さ方向の応力分布は、内側から外側に向かって急激に減少する傾向を示した。計算結果によれば、破壊強度を超える部分は内側表面から1mm程度の領域までであり、それ以外の大部分は20MPa以下の僅かの応力であった。この結果から、防着シールドは内側表面またはエッジ部分の石英が局部的に欠けることはあってもその時点で応力が開放され、構造全体の破損にまで至らないことが想定される。実際に実験を行ったところ予想通りの結果が得られ、従来の2倍以上の長期かつ厚膜の成膜においても防着機能を損なうことなく使用することができた。また、仮に長期に渡って使用した場合でも、最上段のリング(18F)が最も早く寿命に達し、その他のリング(18D,18E)は破損までに更に時間を要するため、1個のみを消耗部品とし、他は繰り返し利用することが可能である。図6の構造では3重のリングを用いているが、最小限としては、最上段の1個のリングのみに分割してあれば良い。分割位置は、応力シミュレーションによる応力ピークと加熱位置とからおおよそ決定することが可能であり、その近辺に設定する必要があるが、応力はある程度の距離まで分散することから多少のずれがあっても問題ない。
[実施例3] 傾斜構造
防着シールド破損は真性応力が主要因であり、一定の膜厚が付着して全応力がある限界を超えたときに発生する現象であることから、同一の使用時間に対する防着シールドヘの付着膜厚を減らすことで寿命を延ばすことが可能である。図8は図6の分割構造に改良を加え、傾斜を付けることによって付着膜厚の低減を図ったものである。本装置のような固体表面のスパッタリング現象を利用した成膜法においては、ターゲット表面に垂直方向の密度が最大となるような余弦法則に従って粒子が放出される。成膜時の圧力が低いことから、放出した粒子は気体分子と多くの衝突がないまま、防着シールドまで飛来して付着する。このような方向性を有することから、付着膜厚は防着シールド表面の垂線に対する入射角度が大きくなるほど薄くなる。防着シールドヘの付着膜厚は、ターゲットの放出分布と距離、入射角度とから計算できるので、目的とする厚さになるようにシールド形状を自由に設計可能である。図8の構造は、リング(18H,18I)の最小内周以外の部分の付着量を1/2程度に抑えたものであり、それだけでも単純に寿命が2倍となる。最小内周の突起部では付着膜厚は従来と変わらないが、構造上、その部分の膜応力がリング全体に及ぼす影響は小さく、先端部の部分的な欠けによる応力緩和で留まることになる。図8では、付着膜厚低減効果のほか、石英を厚くし、さらには分割構造とするなど、大幅な長寿命化を実現できるものとなっている。リングの分割数や大きさ、角度などには多くのバリエーションが考えられ、ターゲットの構造も含めて最適設計することができる。
[実施例4] 一部アルミナ
図9は本発明の第4の実施例を説明する図である。本実施例は、破損し易い部分を高純度アルミナで構成するものであり、上部及び下部の防着シールド17B,19Bと底部防着シールド20Bを全てアルミナとしているほか、側部防着シールドをJ(18J)とK(18K)の2つに分割し、破損しやすい上部(18K)を厚さ8mmのアルミナとしている。下方の材質は従来通りの石英を用いている。側部防着シールドを2分割した理由は高純度のアルミナ材料が高価なために破損しやすい部分のみに用いているものであり、場合によっては全部をアルミナとしてもよい。材料の純度も多くのグレードがあるが、真空中でガス放出が無く薄膜内に汚染が混入しないレベルの材料を選ぶ必要がある。少なくとも99.5%以上の純度が望ましく、ここでは99.99%のアルミナを用いている。このような構成とすることにより、上下及び底部の防着シールド(17B,19B,20B)は欠け破損などが無くなり、繰り返しの利用が可能となったほか、側部防着シールド(18J、18K)も2倍以上にまで寿命が延びた。アルミナの引っ張り強度は石英に比べて5倍程度と極めて高いが、プラズマ生成室内での破損は応力だけでなく発熱も影響する複雑な機構で発生することから、材料強度だけで寿命を予測することはできない。
本実施例では高純度アルミナを用いているが、石英よりも強度の高いセラミック材料であれば、本発明の効果が得られるものであり、ジルコニア、または窒化シリコン、または窒化アルミニウム、または炭化珪素、またはこれらの材料を少なくとも2種類以上含むセラミック材料を用いることができる。厚さに関しても8mmに固定したものではなく、厚くするほど寿命が長くなる一方でコストや取り扱いの点で問題となるので、これらを考慮して決定すればよいが、少なくとも5mm以上が望ましい。
また、第1から第4の実施例に関しては、用途に応じて自由に組み合わせを選ぶことができることは言うまでもない。セラミック材料についてもリング状に分割したり入射角度を変えるように設計しても良い。これらは、要求寿命と費用との組み合わせから選択することになる。
[実施例5] 角型イオン源
実施例1−4は全て、プラズマ生成室の構造が円筒状の場合であって、ターゲットもリング状のものとなっている。しかしながら本発明は、ECRイオン源の形状を円筒に限ったものではなく、例えば直方体であっても同様な効果が得られる。その場合のECRイオン源の断面は、例えば図1と同様な配置であって、プラズマ領域は図面に垂直方向に長い直方体となる。この場合、ターゲットのほか、上部防着シールド、側部防着シールド、下部防着シールドは何れも左右2枚ずつの長方形の板で構成され、底部防着シールドも長方形状の板となる。これら防着シールドのなかで劣化が進みやすい部分も図2のA,B,C,Dの領域である。従って、実施例1−4は全て、直方体状のECRイオン源についてもそのまま適用することができる。
代表的な従来装置の断面構造を示す図である。 従来装置のプラズマ生成室とターゲット部分の断面構造を示す図である。 付着膜の真性応力をパラメータに取り入れた場合の側部防着シールドの応力シミュレーション結果を示す図である。 付着膜の真性応力をパラメータに用いない従来の側部防着シールドの応力シミュレーション結果を示す図である。 本発明の第1の実施例における防着シールドの断面構造を示す図である。 本発明の第2の実施例における防着シールドの断面構造を示す図である。 第2の実施例における側部防着シールドの応力シミュレーション結果を示す図である。 本発明の第3の実施例における防着シールドの断面構造を示す図である。 本発明の第4の実施例における防着シールドの断面構造を示す図である。
符号の説明
1 プラズマ生成室
2 試料室
3 プラズマ引出し窓
4 試料台
5 試料基板
6 排気路
7 ガス導入口(A)
8 ガス導入口(B)
9 磁気コイル
10 矩形導波管
11 マイクロ波
12 マイクロ波導入窓
13 プラズマ流
14 スパッタ電源
15 ターゲット
16 プラズマ生成室内側の壁
17 上部防着シールド
18 側部防着シールド
19 下部防着シールド
20 底部防着シールド
18A 側部防着シールドA
18B 側部防着シールドB
18C 側部防着シールドC
18D 側部防着シールドD
18E 側部防着シールドE
18F 側部防着シールドF
18G 側部防着シールドG
18H 側部防着シールドH
18I 側部防着シールドI
18J 側部防着シールドJ
18K 側部防着シールドK
17B 上部防着シールドB
19B 下部防着シールドB
20B 底部防着シールドB

Claims (6)

  1. プラズマ生成室と、薄膜を形成すべき試料基板を設置するための試料台を具えた試料室と、前記プラズマ生成室と前記試料室との間に配置され前記プラズマ生成室からのプラズマ流を前記試料室に引き出すためのプラズマ引出し窓と、前記プラズマ生成室から前記試料室に向けて磁界強度が弱くなる発散磁界の磁界分布をもつ磁界発生手段と、スパッタリング材料からなり前記プラズマ引出し窓と前記試料台との間に前記プラズマ流を取り囲むように配置されたターゲットとを具え、
    前記プラズマ生成室の内側が高強度構造を有する絶縁性の防着シールドによって覆われていることを特徴とするプラズマ成膜装置。
  2. 前記防着シールドは、少なくとも付着量に急峻な変化を有する部分が、その境界近傍で分割されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ成膜装置。
  3. 前記防着シールドは、少なくとも一部分が、付着膜厚が小さくなるように飛来粒子の入射角を制御した構造となっていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ成膜装置。
  4. 前記防着シールドは、少なくとも一部分が、アルミナ、ジルコニア、窒化シリコン、窒化アルミニウム、炭化珪素、またはこれらの材料を少なくとも2種類以上含むセラミック材料からなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ成膜装置。
  5. 非金属材料からなる防着シールド上に付着した薄膜の真性応力をパラメータとして防着シールドの変形量をシミュレーションした結果に基づいて得られた破壊強度を越える部分を高強度構造としたことを特徴とする防着シールド。
  6. 非金属材料からなる防着シールド上に付着する薄膜の真性応力をパラメータとして防着シールドの変形量をシミュレーションし、当該シミュレーション結果に基づいて前記防着シールドの破壊強度を越える部分を高強度構造とすることを特徴とする防着シールドの構造設計方法。
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