JP2006307291A - スパッタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 スパッタ膜にアウトガスが混入してしまう確率を小さくし、その膜質向上を可能としたスパッタ装置を提供する。
【解決手段】 チャンバ10内にターゲット40とウエーハWとが配置され、ターゲット40から飛び出たスパッタ粒子をウエーハWに付着させてスパッタ膜を形成するスパッタ装置100であって、ターゲット40からウエーハWに至るスパッタ粒子の行程を含む空間Sの周りに設けられ、当該空間Sから該チャンバ10の内壁へのスパッタ粒子の飛散を防止するチャンバ内の内部治具60と、内部治具60で仕切られた空間Sにアルゴンガスを導入する流入口65と、内部治具60の底部に設けられた排出口62と、を備えたものである。H2O、H2等のアウトガスをアルゴンガスの流れに乗せて排出口62から効率良く排出でき、上記空間Sでのアウトガスの滞留を防ぐことができ、スパッタ膜へのアウトガスの混入を少なくできる。
【選択図】 図1
【解決手段】 チャンバ10内にターゲット40とウエーハWとが配置され、ターゲット40から飛び出たスパッタ粒子をウエーハWに付着させてスパッタ膜を形成するスパッタ装置100であって、ターゲット40からウエーハWに至るスパッタ粒子の行程を含む空間Sの周りに設けられ、当該空間Sから該チャンバ10の内壁へのスパッタ粒子の飛散を防止するチャンバ内の内部治具60と、内部治具60で仕切られた空間Sにアルゴンガスを導入する流入口65と、内部治具60の底部に設けられた排出口62と、を備えたものである。H2O、H2等のアウトガスをアルゴンガスの流れに乗せて排出口62から効率良く排出でき、上記空間Sでのアウトガスの滞留を防ぐことができ、スパッタ膜へのアウトガスの混入を少なくできる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、スパッタ装置に関し、特に、スパッタ膜にアウトガスが混入してしまう確率を小さくし、その膜質向上を可能としたものである。
従来から、スパッタ(即ち、スパッタリング)現象を利用して基板上に薄膜を形成するスパッタ装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
図6は、従来例に係るスパッタ装置200の構成例を示す概念図である。図6に示すように、スパッタ装置200は、チャンバ210と、加熱ステージ220と、クランプリング230と、ターゲット240と、マグネット250と、内部治具260と、クライオポンプ270等を含んだ構成となっている。
図6は、従来例に係るスパッタ装置200の構成例を示す概念図である。図6に示すように、スパッタ装置200は、チャンバ210と、加熱ステージ220と、クランプリング230と、ターゲット240と、マグネット250と、内部治具260と、クライオポンプ270等を含んだ構成となっている。
このスパッタ装置200による成膜時には、クライオポンプ270等によってチャンバ210内は高真空に引かれ、高真空に引かれたチャンバ210内にアルゴンガス等の不活性ガスが導入される。また、ウエーハWとターゲット240との間には高電界が加えられ、マグネトロン放電によるプラズマが発生する。このとき、アルゴンガスの一部はAr+にイオン化し、プラズマ中のAr+が電界に引かれてターゲット240に衝突する。この衝突の反跳で飛び出してきた粒子(以下、「スパッタ粒子」という。)がウエーハWに付着して、スパッタ膜が成膜される。
周知のように、スパッタ粒子はターゲット240からウエーハWに向けてほぼ真っ直ぐに進む。その一部はウエーハWに到達しないで反れてしまうが、いずれにしても、その動きはターゲット240から到達地点まで直進的であり、僅かな隙間をついての周り込み等がほとんど無い(この点がCVD装置と大きく異なる。)。
従って、ターゲット240からウエーハWに至るスパッタ粒子の行程を含む空間Sと、チャンバ210の内壁との間に遮蔽物を配置することで、内壁にスパッタ膜を形成しないようにすることができる。図6に示す内部治具260は、このような遮蔽物としてチャンバ210内に配置されたものである。内部治具260の存在によって、内壁に対するスパッタ膜の除去を目的とした洗浄作業は基本的に不要となる。
従って、ターゲット240からウエーハWに至るスパッタ粒子の行程を含む空間Sと、チャンバ210の内壁との間に遮蔽物を配置することで、内壁にスパッタ膜を形成しないようにすることができる。図6に示す内部治具260は、このような遮蔽物としてチャンバ210内に配置されたものである。内部治具260の存在によって、内壁に対するスパッタ膜の除去を目的とした洗浄作業は基本的に不要となる。
その代わりに、内部治具260にはスパッタ膜が形成される。このようなスパッタ膜を放置しておくとやがて剥離しパーティクルの原因となる。それゆえ、定期的にチャンバ210内から内部治具260を取り外し、薬液を用いてスパッタ膜を取り除く必要があるが、内部治具260はチャンバ210よりも小さく、その洗浄作業はチャンバ210自体を洗浄する場合と比べてかなり容易である。このような理由から、スパッタ装置200の多くは、チャンバ210内に内部治具260を含んだ構造となっている。
特開2000−109975号公報
特開2003−27229号公報
ところで、スパッタ処理中、内部治具260及びクランプリング230にはスパッタ粒子が衝突してその運動エネルギーは熱エネルギーに変わる。また、内部治具260及びクランプリング230はプラズマからの輻射も受けるので、これらの温度は上昇する。内部治具260及びクランプリング230の温度が上昇すると、これらの表面に付着又は内部に吸蔵されていたH2O、H2等のアウトガスがその表面から放出される。
このようなアウトガスが、内部治具260の内側に留まるとその真空度が下がり、アウトガスがスパッタ膜に混入して、その膜質を低下させてしまう。膜質低下は、例えば「くもり」の形で現れる。
そこで、アウトガスのチャンバ210内での発生を防ぐために、従来の技術では、内部治具260やクランプリング230を洗浄した後は、これらを必ず加熱処理(ベーキング)してH2O、H2等を残留させないよう工夫していた。
そこで、アウトガスのチャンバ210内での発生を防ぐために、従来の技術では、内部治具260やクランプリング230を洗浄した後は、これらを必ず加熱処理(ベーキング)してH2O、H2等を残留させないよう工夫していた。
しかしながら、加熱処理をした後で内部治具260及びクランプリング230をスパッタ装置200内に取り付ける場合には、これらを加熱処理装置から搬出してスパッタ装置200まで運び、その後、手作業によってチャンバ210内に取り付けなければならない。つまり、加熱処理後の内部治具260及びクランプリング230はその取り付け段階で必ず大気に触れるので、H2O、H2等を再吸着してしまう可能性があった。
ここで、図7に示すように、従来のスパッタ装置200は、クランプリング230と内部治具260との間には僅かな隙間しかなく、内部治具260の内側からアウトガスを積極的に取り除くような構造となっていなかった。即ち、従来の技術では、アルゴンガスはクランプリング230下部の小さな隙間から流入出していたが、この隙間は内部治具260内からのアウトガスの排出を考慮して設けられた隙間ではなく、内部治具260の内側からのアウトガスの排出は微量であった。
このため、内部治具260及びクランプリング230に吸着したH2O、H2等がアウトガスとして内部治具260の内側に放出されて留まり、スパッタ膜の膜質を低下させてしまうおそれがあった。
本発明は、このような解決すべき問題に着目してなされたものであって、スパッタ膜にアウトガスが混入してしまう確率を小さくし、その膜質向上を可能としたスパッタ装置の提供を目的とする。
本発明は、このような解決すべき問題に着目してなされたものであって、スパッタ膜にアウトガスが混入してしまう確率を小さくし、その膜質向上を可能としたスパッタ装置の提供を目的とする。
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1のスパッタ装置は、チャンバ内にターゲットと基板とが配置され、前記ターゲットから飛び出たスパッタ粒子を前記基板に付着させてスパッタ膜を形成するスパッタ装置であって、前記ターゲットから前記基板に至る前記スパッタ粒子の行程を含む空間の周りに設けられ、当該空間から該チャンバの内壁へのスパッタ粒子の飛散を防止する前記チャンバ内の仕切部材と、前記仕切部材で仕切られた前記空間に不活性ガスを導入するガス導入手段と、前記仕切部材の所定位置にガス排出口を有し当該ガス排出口を通して前記空間から前記不活性ガスを排出するガス排出手段と、を備えたことを特徴とするものである。
このような構成であれば、スパッタ処理中の上記空間でアウトガスが放出された場合でも、このアウトガスを不活性ガスの流れに乗せてガス排出口から効率良く排出することができる。上記空間でのアウトガスの滞留を防ぐことができ、スパッタ膜にアウトガスが混入してしまう確率を小さくすることができるので、スパッタ膜の膜質向上が可能である。
〔発明2〕 発明2のスパッタ装置は、発明1のスパッタ装置において、前記チャンバ内に設けられた基板載置用のステージと、前記ステージに前記基板を固定するために前記仕切部材で仕切られた前記空間に配置されたクランプリングと、を備えたことを特徴とするものである。
このような構成であれば、クランプリングからアウトガスが放出された場合でも、このアウトガスを不活性ガスの流れに乗せてガス排出口から効率良く排出することができる。
このような構成であれば、クランプリングからアウトガスが放出された場合でも、このアウトガスを不活性ガスの流れに乗せてガス排出口から効率良く排出することができる。
〔発明3〕 発明3のスパッタ装置は、発明1又は発明2のスパッタ装置において、前記チャンバ内に配置されて前記ターゲットから前記仕切部材の少なくとも一部分を遮る遮蔽部材を備え、前記ガス排出口は、前記仕切部材の前記一部分だけに設けられていることを特徴とするものである。
ここで、スパッタ粒子の動きはターゲットから到達地点まで直進的であり、遮蔽部材によってターゲットから遮られた部分にスパッタ粒子はほとんど到達しない。
発明3のスパッタ装置によれば、スパッタ粒子のガス排出口への到達はある程度防がれるので、ガス排出口からチャンバ内壁へのスパッタ粒子の飛散防止に効果的である。
発明3のスパッタ装置によれば、スパッタ粒子のガス排出口への到達はある程度防がれるので、ガス排出口からチャンバ内壁へのスパッタ粒子の飛散防止に効果的である。
〔発明4〕 発明4のスパッタ装置は、発明3のスパッタ装置において、前記遮蔽部材として前記クランプリングが兼用されることを特徴とするものである。
このような構成であれば、遮蔽部材を専用に設ける必要がないので、スパッタ装置の部品点数を少なくすることができる。
このような構成であれば、遮蔽部材を専用に設ける必要がないので、スパッタ装置の部品点数を少なくすることができる。
〔発明5〕 発明5のスパッタ装置は、発明1から発明4の何れか一のスパッタ装置において、前記不活性ガスの排出を妨げない程度に前記ガス排出口の前記空間側又はその反対側の少なくとも一方を覆うカバー、を備えたことを特徴とするものである。
このような構成であれば、ガス排出口に到達したスパッタ粒子の少なくとも一部はカバーに付着するので、ガス排出口からチャンバ内壁へのスパッタ粒子の飛散防止に効果的である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るスパッタ装置100の構成例を示す概念図である。
このスパッタ装置100は、チャンバ10内でターゲット40にアルゴンイオン等を衝突させ、ターゲット40から放出されたスパッタ粒子(ターゲット材の粒子)をウエーハW上に付着させてスパッタ膜を形成する装置である。
図1は、本発明の実施の形態に係るスパッタ装置100の構成例を示す概念図である。
このスパッタ装置100は、チャンバ10内でターゲット40にアルゴンイオン等を衝突させ、ターゲット40から放出されたスパッタ粒子(ターゲット材の粒子)をウエーハW上に付着させてスパッタ膜を形成する装置である。
図1に示すように、このスパッタ装置100は、スパッタ装置100は、チャンバ10と、加熱ステージ20と、クランプリング30と、ターゲット40と、マグネット50と、内部治具60と、クライオポンプ70等を含んだ構成となっている。
チャンバ10は、密閉可能な容器でありその内部にウエーハWを収容するようになっている。図1に示すように、このチャンバ10の一方にはガス流入口11が設けられ、他方にはクライオポンプ70が接続されている。このガス流入口11には一端がガス供給系に接続し、他端が内部治具60に接続した配管12が取り付けられている。また、ガス流入口11と配管12との間は、絶縁体13によって気密高く塞がれている。ウエーハW上にスパッタ膜を形成する場合には、密閉されたチャンバ10の内側に配管12を通してアルゴン(Ar)ガスが供給される。
チャンバ10は、密閉可能な容器でありその内部にウエーハWを収容するようになっている。図1に示すように、このチャンバ10の一方にはガス流入口11が設けられ、他方にはクライオポンプ70が接続されている。このガス流入口11には一端がガス供給系に接続し、他端が内部治具60に接続した配管12が取り付けられている。また、ガス流入口11と配管12との間は、絶縁体13によって気密高く塞がれている。ウエーハW上にスパッタ膜を形成する場合には、密閉されたチャンバ10の内側に配管12を通してアルゴン(Ar)ガスが供給される。
また、加熱ステージ20は、ウエーハWを支持すると共に、支持したウエーハWをその裏面側から加熱するものである。
クランプリング30は、加熱ステージ20上に載置されたウエーハWを、その自重によって加熱ステージ20側に押し当てて固定する治具である。図1に示すように、スパッタ処理中は加熱ステージ20が上昇し、クランプリング30を内部治具60の突起部61から持ち上げる。この持ち上げによって、クランプリング30の自重がウエーハWの周縁部にかかるようになっている。
クランプリング30は、加熱ステージ20上に載置されたウエーハWを、その自重によって加熱ステージ20側に押し当てて固定する治具である。図1に示すように、スパッタ処理中は加熱ステージ20が上昇し、クランプリング30を内部治具60の突起部61から持ち上げる。この持ち上げによって、クランプリング30の自重がウエーハWの周縁部にかかるようになっている。
また、スパッタ処理が終了してチャンバ10内からウエーハWを搬送するときは、加熱ステージ20を下降させ、クランプリング30を内部治具60の突起部61に載せることで、クランプリング30をウエーハWから離す(つまり、固定状態を解く。)ようになっている。
ターゲット40は、チャンバ10内に設けられており、その材料は例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅又はチタン等である。もちろん、これらの材料に限られることはなく、ウエーハW上に形成したい膜の種類に応じて、他の材料を選択しても良い。このターゲット40は陰極に接続されており、その背後(即ち、加熱ステージ20と向かい合う面の反対側)にマグネット50が配置されている。
ターゲット40は、チャンバ10内に設けられており、その材料は例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅又はチタン等である。もちろん、これらの材料に限られることはなく、ウエーハW上に形成したい膜の種類に応じて、他の材料を選択しても良い。このターゲット40は陰極に接続されており、その背後(即ち、加熱ステージ20と向かい合う面の反対側)にマグネット50が配置されている。
マグネット50は、ターゲット40表面の電界と直交する磁界によってマグネトロン放電を起こし、ターゲット40近傍で多量のイオンを発生させるためのものである。ターゲット40と向かい合うウエーハW側の陽極は図示しないが、陽極はウエーハWの近傍に配置されていればどこでも良く、例えば、加熱ステージ20の側面やその近傍のチャンバ10内壁などに配置されている。
内部治具60は、ターゲット40からウエーハWに至るスパッタ粒子の行程を含む空間Sからチャンバ10内壁へのスパッタ粒子の飛散を防止するために、この空間Sの周囲に設けられたものである。この内部治具60によって、上記空間Sとチャンバ10内壁との間が仕切られている。
周知のように、スパッタ粒子はターゲット40からウエーハWに向けてほぼ真っ直ぐに進む。その一部はウエーハWに到達しないで反れてしまうが、いずれにしても、その動きはターゲット40から到達地点まで直進的であり、僅かな隙間をついての周り込み等がほとんど無い。
周知のように、スパッタ粒子はターゲット40からウエーハWに向けてほぼ真っ直ぐに進む。その一部はウエーハWに到達しないで反れてしまうが、いずれにしても、その動きはターゲット40から到達地点まで直進的であり、僅かな隙間をついての周り込み等がほとんど無い。
従って、ターゲット40からウエーハWに至る空間Sとチャンバ10の内壁との間に遮蔽物を配置することで、内壁にスパッタ膜を形成しないようにすることができる。図1に示す内部治具60は、このような遮蔽物としてチャンバ10内に配置されたものであり、その存在によって、内壁に対するスパッタ膜の除去を目的とした洗浄作業は基本的に不要となる。
ところで、このスパッタ装置100では、図1に示すように、チャンバ10のガス流入口11から内部治具60の上部にかけて配管12が設けられており、この配管12を通して内部治具60の内側にアルゴンガスを流し込むようになっている。つまり、内部治具60の上部にアルゴンガスの流入口65が設けられている。また、図1に示すように、この内部治具60の底部であって、クランプリング30によってターゲット40から遮られた(隠れた)位置に、アルゴンガス等を排出するための複数の排出口62が設けられている。
図2は、内部治具60の底部をチャンバ10の下側から見た図である。図2に示すように、この内部治具60の底部には、加熱ステージ20を入れるための空洞部63を中心にした複数本の放射線上に沿った位置に排出口62が設けられている。ガス排気能力を高めるため、内部治具60の底部にできるだけ多くの排出口62が設けられている。
また、この内部治具60には、アルゴンガス等の排出を妨げない程度に排出口62を内部治具60の外側から覆うカバー64が取り付けられている。
また、この内部治具60には、アルゴンガス等の排出を妨げない程度に排出口62を内部治具60の外側から覆うカバー64が取り付けられている。
図3はカバー64の一例を示す斜視図である。図3に示すように、このカバー64は、排出口62の開口面に対して傾斜しており、アルゴンガス等の排出は妨げない一方で、スパッタ粒子の飛び出しは防止するような形状となっている。
また、図5はカバー64の他の例を示す斜視図である。図5に示すように、内部治具60の底面に取り付けられるカバー64は、排出口62の開口面に対して傾斜した第1の面64aと、この第1の面64aの周辺部から排出口62の周辺部に至る側面を塞ぐ第2の面64bと、で構成されていても良い。このような構成であれば、上記側面に向けて飛散してくるスパッタ粒子を第2の側面64bで受け止めることができるので、図3と比べて、スパッタ粒子の飛び出しをさらに防ぐことができる。
また、図5はカバー64の他の例を示す斜視図である。図5に示すように、内部治具60の底面に取り付けられるカバー64は、排出口62の開口面に対して傾斜した第1の面64aと、この第1の面64aの周辺部から排出口62の周辺部に至る側面を塞ぐ第2の面64bと、で構成されていても良い。このような構成であれば、上記側面に向けて飛散してくるスパッタ粒子を第2の側面64bで受け止めることができるので、図3と比べて、スパッタ粒子の飛び出しをさらに防ぐことができる。
図1に戻って、このスパッタ装置100におけるスパッタ処理では、例えばチャンバ10を真空状態に排気し、放電用のアルゴンガスを導入する。そして、ターゲット40とウエーハW間に電圧を加え、マグネトロン放電によるプラズマを発生させる。このとき、アルゴンガスの一部はAr+にイオン化し、プラズマ中のAr+は陰極のターゲット40に衝突してスパッタ粒子をはじき出す。はじき出されたスパッタ粒子は直進的に進んでウエーハWに付着する。
このとき、スパッタ粒子の一部は、ウエーハWではなく、内部治具60やクランプリング30に衝突してその運動エネルギーは熱エネルギーに変わる。また、内部治具60及びクランプリング30はプラズマからの輻射も受けるので、これらの温度は上昇し、H2O、H2等のアウトガスが多少でもその表面から放出される可能性が高い。このような可能性に対処すべく、このスパッタ装置100では、図4の実線矢印で示すように、内部治具60の上部、即ち、流入口65よりアルゴンガスを導入して、内部治具60の内側にガスの流れを作り、内部治具60の下側にある排出口62よりガスを排出させるようになっている。
このように、本発明の実施の形態に係るスパッタ装置100によれば、スパッタ処理中に内部治具60やクランプリング30から上記空間Sにアウトガスが放出された場合でも、このアウトガスをアルゴンガスの流れに乗せて排出口62から効率良く排出することができる。上記空間Sでのアウトガスの滞留を防ぐことができ、スパッタ膜にアウトガスが混入してしまう確率を小さくすることができるので、スパッタ膜の曇り等の発生を防ぐことができ、スパッタ膜の膜質向上が可能である。
また、このスパッタ装置100によれば、排出口62はその全てが、内部治具60の底部であって、クランプリング30によってターゲット40から遮られた(隠れた)位置だけに設けられている。ここで、スパッタ粒子の動きはターゲット40から到達地点まで直進的であり、クランプリング30によってターゲット40から遮られた位置にスパッタ粒子はほとんど到達しない。従って、スパッタ粒子の排出口62への到達はある程度防がれるので、排出口62からチャンバ10内壁へのスパッタ粒子の飛散をある程度防止することができる。
さらに、このスパッタ装置100では、排出口62の開口面に対して傾斜しており、アルゴンガス等の排出は妨げない一方で、スパッタ粒子の飛び出しは防止するような形状のカバー64を備えている。図1〜図4に示したように、このカバー64は、内部治具60の外側から排出口62を覆っている。このような構成であれば、スパッタ粒子が排出口62に到達した場合でも、それらの少なくとも一部はカバー64に付着するので、排出口62からチャンバ10内壁へのスパッタ粒子の飛散をある程度防止することができる。
つまり、このスパッタ装置100では、排出口62を内部治具60のターゲットから隠れた位置に配置し、さらに排出口62にカバー64を取り付けることで、排出口62からチャンバ10内壁へのスパッタ粒子の飛散を二重に防止している。
この実施の形態では、ウエーハWが本発明の「基板」に対応し、内部治具60が本発明の「仕切部材」に対応している。また、アルゴンガスが本発明の「不活性ガス」に対応し、ガス流入口11、配管12、絶縁体13及び流入口65が本発明の「ガス導入手段」に対応している。さらに、排出口62が本発明の「ガス排出口」に対応し、排出口62及びクライオポンプ70が本発明の「ガス排出手段」に対応している。また、加熱ステージ20が本発明の「基板載置用のステージ」に対応し、クランプリング30が本発明の「遮蔽部材」「クランプリング」に対応している。さらに、内部治具60の底部であって、クランプリング30によってターゲット40から遮られた(隠れた)位置が、本発明の「仕切部材の一部分」に対応している。
この実施の形態では、ウエーハWが本発明の「基板」に対応し、内部治具60が本発明の「仕切部材」に対応している。また、アルゴンガスが本発明の「不活性ガス」に対応し、ガス流入口11、配管12、絶縁体13及び流入口65が本発明の「ガス導入手段」に対応している。さらに、排出口62が本発明の「ガス排出口」に対応し、排出口62及びクライオポンプ70が本発明の「ガス排出手段」に対応している。また、加熱ステージ20が本発明の「基板載置用のステージ」に対応し、クランプリング30が本発明の「遮蔽部材」「クランプリング」に対応している。さらに、内部治具60の底部であって、クランプリング30によってターゲット40から遮られた(隠れた)位置が、本発明の「仕切部材の一部分」に対応している。
なお、本発明は、ウエーハをターゲットと見なし、Ar+等でウエーハ上のシリコン酸化膜等を削る逆スパッタ装置に適用可能である。本発明を逆スパッタ装置に適用した場合には、石英治具からのアウトガス排出の効率向上が期待される。
10 チャンバ、11 ガス流入口、12 配管、13 絶縁体、20 加熱ステージ、30 クランプリング、40 ターゲット、50 マグネット、60 内部治具、61 突起部、62 排出口、63 空洞部、64 カバー、64a 第1の面、64b 第2の面、65 流入口、70 クライオポンプ、100 スパッタ装置、S (ターゲット40からウエーハWに至るスパッタ粒子の行程を含む)空間、W ウエーハ
Claims (5)
- チャンバ内にターゲットと基板とが配置され、前記ターゲットから飛び出たスパッタ粒子を前記基板に付着させてスパッタ膜を形成するスパッタ装置であって、
前記ターゲットから前記基板に至る前記スパッタ粒子の行程を含む空間の周りに設けられ、当該空間から該チャンバの内壁へのスパッタ粒子の飛散を防止する前記チャンバ内の仕切部材と、
前記仕切部材で仕切られた前記空間に不活性ガスを導入するガス導入手段と、
前記仕切部材の所定位置にガス排出口を有し当該ガス排出口を通して前記空間から前記不活性ガスを排出するガス排出手段と、を備えたことを特徴とするスパッタ装置。 - 前記チャンバ内に設けられた基板載置用のステージと、
前記ステージに前記基板を固定するために前記仕切部材で仕切られた前記空間に配置されたクランプリングと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のスパッタ装置。 - 前記チャンバ内に配置されて前記ターゲットから前記仕切部材の少なくとも一部分を遮る遮蔽部材を備え、
前記ガス排出口は、前記仕切部材の前記一部分だけに設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスパッタ装置。 - 前記遮蔽部材として前記クランプリングが兼用されることを特徴とする請求項3に記載のスパッタ装置。
- 前記不活性ガスの排出を妨げない程度に前記ガス排出口の前記空間側又はその反対側の少なくとも一方を覆うカバー、を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のスパッタ装置。
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2005
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