JP2005036282A - 打検適性に優れたボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板であって、密封性の良否及び缶内容物の変敗の有無を検査するための打検(打撃音響検査方法)を好適に実施できるようにした打検適性に優れたボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板を提供する。
【解決手段】 ポリエステル樹脂を被覆した後に製蓋して用いられるボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板において、Mg4.0〜6.0mass%、Cu0.1〜0.3mass%を含みさらにMn0.3〜0.6mass%、Cr0.05〜0.20mass%のいずれか1種または2種からなり残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金板であって、280℃×20秒加熱後、板厚減少率で30%圧延し、さらに125℃×30分加熱処理した際の0.2%耐力が350N/mm以上であるアルミニウム板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板に関する。特に、胴部の下端が底蓋の巻締固着により閉鎖されるボトル型缶であって、密封性の良否及び缶内容物の変敗の有無を検査するための打検(打撃音響検査方法)を好適に実施できるようにした打検適性に優れたボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板に関する。
従来アルミニウム缶は、有底円筒状の胴部と開口用の溝とタブを加工、取りつけた蓋の部分からなる2ピース缶が主流であった。このような2ピース缶は一度開口すると、再度蓋はできない。これに対して、近年、特許文献1や特許文献2に開示されているように、再栓可能なボトル型アルミニウム缶が開発されている。
ところで、内容物がPH4.5以下の高酸性飲料の場合には、缶に充填する前に飲料を加熱殺菌し、85℃以上の温度で缶に充頃・密封し、飲料の熱で缶内面側を加熱殺菌する熱問充填法が採用されている。また、それよりもPHの高い低酸性飲料の場合には、飲料を缶に充填した後で加熱殺菌するレトルト殺菌法が採用されている。
それらの方法による缶詰において薄肉缶を使用する場合には、缶の密封直前に液体窒素を添加して、缶内を微陽圧にしている。このような方法で製造された缶詰は、内容物の変敗の有無及び密封性の良否を検査するために打検される。
特開2000−191006号公報 特開2001−10627号公報 特公昭61−35059号公報 特開2001−180673号公報
打検とは、缶の蓋面や底面を電磁パルスにより強制励振させたときに生じる、固有振動中心周波数と缶内圧とが相関関係を有することを利用して、缶内圧が正常か否かを判別する方法である。
具体的な打検方法としては、例えば、周知の自動打検装置を使用して、缶蓋や缶底の平坦部分に電磁パルスで衝撃を与えて強制励振させ、振動する底蓋の音をマイクロフオンでとらえた後増幅処理し、音響周波数パワーを複数の帯域フィルターにより捉え、フィルターを通過した信号出力を整流した後積分し、積分した値と予め設定しておいた正常内圧品の積分値と比較して、密封缶の内圧の良否を判別する。
上記のような打検により缶内圧を測定するためには、缶内圧により形成される平坦部分が、缶蓋又は缶底の総面積に対して50%以上必要である(例えば、特許文献3等参照)とされている。
一方、金属薄板製のボトル型缶では、缶の上部に形成された小径の口頸部には小径のネジ付きキャップを螺合するので、打検に適していない。この問題を解決するため、特許文献4において、中央部に平坦部分を有する底蓋を胴部の開口端に巻き締め固着するボトル型缶が開示されている。
このような構成のボトル型缶では、内容物を缶内に充填してキャップで密封した後、底蓋側を上側にした状態で、底蓋の中央部に形成された平坦部分を、周知の自動打検装置により電磁パルスで衝撃を与えて強制励振させ、その固有振動中心周波数から缶内圧が正常か否かを判別して、缶の密封性の良否及び内容物の変敗の有無を検査することができる。
しかし、熱間充填やレトルト殺菌が必要となる用途の缶において、打検精度がばらつき、問題となる場合がある。
打検においては、缶内圧と周波数の関係から打検周波数で缶内圧を判定できるので、一定範囲内の打検周波数を発する缶のみを良品とすれば、内圧が規格外の製品を不良品として除外することが可能である。
しかしここで打検周波数の変動が大きいと打検精度がばらつき、不良品の見逃しや良品缶の無駄な排斥が発生する確率が高くなり問題となる。
このため、打検周波数の変動の少ない缶蓋が求められている。
この問題を解決するため、本発明者らは種々検討を行った。
その結果、中央部に広い平坦部分を有する底蓋は、構造的に剛性が低く、この為熱間充填やレトルト加熱時の缶内圧上昇により、底蓋形状が変化し、固有振動中心周波数が変動することが、打検精度ばらつきの原因であることが解った。
この対策として、底蓋に使用されるアルミニウム合金板について検討を行った結果、本発明の方法により打検精度のばらつきを改善できることが明らかになった。
すなわち、底蓋材として使用されるAl−Mg−Mn系合金の成分組成および製造条件を適切に調整して、最終圧延後の製品板における特定条件下での強度を適切に管理することで、前述の課題を解決し得ることを見出した。
具体的には、請求項1の発明はポリエステル樹脂を被覆した後に製蓋して用いられるボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板において、Mg4.0〜6.0mass%、Cu0.1〜0.3mass%を含みさらにMn0.3〜0.6mass%、Cr0.05〜0.20mass%のいずれか1種または2種からなり残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金板であって、280℃×20秒加熱後、板厚減少率で30%圧延し、さらに125℃×30分加熱処理した際の0.2%耐力が350N/mm以上であることを特徴とする、打検適性に優れたボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板である。
さらに、請求項2の発明はポリエステル樹脂を被覆した後に製蓋して用いられるボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板において、Mg4.0〜6.0mass%、Cu0.1〜0.3mass%を含みさらにMn0.3〜0.6mass%、Cr0.05〜0.20mass%のいずれか1種または2種からなり残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を、400〜550℃の範囲内の温度で1〜10時間保持する加熱処理後、熱間圧延、1次冷間圧延、到達温度が500〜560℃の連続焼鈍、圧延率50〜70%の2次冷間圧延を順次行った最終圧延板であって、その最終圧延板を280℃×20秒加熱後、板厚減少率で30%圧延し、さらに125℃×30分加熱処理した際の0.2%耐力が350N/mm以上であることを特徴とする、打検適性に優れたボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板の製造方法である。
本発明のアルミニウム合金板を底蓋として使用することにより、ボトル缶蓋に面積率50%以上の大きな平坦部を設けても、底蓋形状の変形を小さく押さえることができ、その結果、固有振動中心周波数が変動することを抑制し、打検精度のばらつきを少なくするが可能となる。すなわち、打検適性に優れたボトル型缶底蓋を提供することができる。
これにより、打検時の不良品の見逃しや良品缶の無駄な排斥が発生する確率を減少させることができ、飲料缶等の最終製品の品質を向上させ、また製品歩留まりの低下の防止に寄与することができる。
本発明で使用されるアルミニウム合金の成分組成の限定理由について説明する。
Mg:
Mgはこの発明で対象となる缶蓋材に必要な強度を得るために不可欠な元素である。すなわちMgはそれ自体の固溶により強度向上に寄与し、また転位との相互作用が大きいために加工硬化による強度向上に寄与する。但しMg量が4.0mass%未満では内圧の高い缶に使用するには強度不足となり、一方6.0mass%を越えれば熱間圧延時の割れを引起こし易くなり好ましくない。したがってMg量は4.0〜6.0mass%の範囲内とした。
Cu:
Cuは強度向上に寄与する元素であり、また熱間充填やレトルト加熱時の軟化抑制に大きな効果が有る。Cu量が0.1mass%未満ではその効果が得られず、一方Cu量が0.3mass%を越えると、蓋材として重要な特性である耐食性の低下を招いたり、加工硬化特性が大きくなって加工性の低下を引き起こす懸念が有る。したがってCu量は、0.1〜0.3mass%の範囲内とした。
Mn:
MnはMgと同様に強度向上に寄与するだけでなく、ポリエステル樹脂を被覆する時に必要な加熱時の軟化防止や熱間充填やレトルト加熱時の軟化抑制に大きな効果が有る。但しMn量が0.3mass%未満ではこれらの効果を充分に得ることができず、また製品板の強度不足を招くおそれがある。一方Mn量が0.6mass%を越えると、晶出物が粗大化し加工性が低下するので好ましくない。したがってMnの添加量は、0.3〜0.6mass%の範囲内とした。
Cr:
Crの添加は強度向上に寄与する。添加量が0.05mass%未満ではその効果が少なく、0.2mass%を超えて過多に添加すると、粗大な晶出物を生成して加工性を低下させる恐れがあり好ましくない。したがってCrの添加量は0.05〜0.20mass%とした。
その他の合金成分として、Fe0.50mass%以下、Si0.4mass%以下、Zn0.25mass%以下、Ti0.10mass%以下および不可避的不純物を含有しても本発明の効果を損なうことはない。
本発明においては上記の合金成分であると同時に、このアルミニウム板が樹脂被覆され、ボトル缶の蓋として成形され、内容物が充填されて密封された時の打検適性を評価するため、その加工工程を想定して、280℃×20秒加熱後、30%の圧延を施し、さらに125℃×30分加熱した後の0.2%耐力が350N/mm以上でなければならない。
ここで、280℃×20秒の加熱はポリエステル樹脂を被覆するときに必要な加熱を想定したものである。またこの加熱処理後の板厚減少率で30%の圧延は被覆アルミニウム板を底蓋に成形するときの加工を想定したものである。次の125℃×30分の加熱は内容物充填後のレトルト殺菌処理を想定した加熱条件である。
ボトル缶においては前述のようにボトル形状に成形し、内容物を充填し、キャップで密封した後に、底蓋部の中央に形成された平坦部に電磁パルスで衝撃をあたえて強制励振させて、その固有振動中心周波数から内圧が正常か否かを判別している。
しかし、缶蓋の0.2%耐力が350N/mm未満では、熱間充填やレトルト加熱時の缶内圧上昇により、底蓋形状の変形が大きくなり、固有振動中心周波数が変動するとともに、底蓋部中央の平坦度が損なわれて自動打検装置との接触が不完全になる。これが、打検精度のばらつきの原因となる。
従って、0.2%耐力が350N/mm以上でなければならない。なお、0.2%耐力の上限は特に規定しないが、底蓋成形や巻き締めが可能な範囲であれば良く、通常は420N/mm以下であることが望ましい。
次に本発明の底蓋用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
先ず前述の成分組成のアルミニウム合金を常法に従って溶製し、DC鋳造法などの常法に従って鋳造する。
得られた鋳塊に対しては、均質化処理を行なってから熱間圧延のための加熱を行なうか、または均質化処理を兼ねて熱間圧延のための加熱を行なう。この熱間圧延のための加熱は、400〜550℃の範囲内の温度で1〜10時間の保持とする必要がある。この際の加熱温度が400℃未満では熱間加工性の低下を招き、550℃を越えれば高温割れが発生するおそれがある。また、保持時間が1時間未満では、組織の均質化効果が得られず、10時間を越えれば生産性の低下を引き起こす。そのため、加熱温度は400〜550℃の温度範囲とし、保持1〜10時間とした。
続いて常法に従って熱間圧延を施した後、40%以上の圧延率で1次冷間圧延を行なう。1次冷間圧延率が40%未満では、1次冷間圧延後に行なう連続焼鈍の際に再結晶粒の粗大化を招く懸念が有る。
続く中間焼鈍は、到達温度が500〜560℃の連続焼鈍とする。連続中間焼鈍の目的は、Mg、Cuを十分に溶体化することである。溶体化が不充分であると、十分な強度が得られず、またポリエステル樹脂を被覆する時に必要な加熱による軟化の防止や、熱間充填やレトルト加熱時の軟化を抑制する十分な効果が得られない。到達温度が500℃未満では十分な溶体化が困難であり、560℃を超える加熱は、再結晶粒が粗大化する懸念が有る。このことから中間焼鈍は、到達温度が500〜560℃の連続焼鈍とした。なお、到達温度に到達した後の保持温度は、到達後直ちに冷却を開始してもよいし、10分以下の保持を行っても良い。
次に50〜70%の2次冷間圧延を施して所望の板厚とする。圧延率が50%未満では十分な強度が得られない。一方圧延率を高くすれば、圧延後の強度は高くなるが、加熱されたときの軟化の度合いが大きくなり、加熱後の強度向上効果は少ない。また加工性が低下することから、圧延率を必要以上に高くすることは好ましくない。さらに、圧延率を高くすると打検精度のばらつきが大きくなる傾向があり好ましくない。従って2次冷間圧延は50〜70%が適当である。
このアルミニウム板にはポリエステル樹脂を被覆して缶蓋材とする。缶材用の被覆樹脂としては加工性、耐熱性、保香性、環境保全性等を考慮してポリエステル樹脂が適切である。
被覆方法としてはポリエステルフィルムをラミネートする方法、溶融状態のポリエステル樹脂を押出しラミネートする方法、またはポリエステル樹脂を塗装する方法がある。
ラミネートの場合、貼り合わせ前のアルミニウム板の加熱は180〜300℃の温度範囲とすることが望ましい。
また塗装による場合は、塗装後の焼付け温度は180〜280℃の温度範囲とすることが望ましい。
表1に示す成分組成のアルミニウム合金鋳塊を510℃×4時間の加熱処理後、熱間圧延を行い板厚3.2mmとした。その後1次冷間圧延、連続中間焼鈍、2次冷間圧延を行い板厚0.305mmの圧延板とした。1次冷間圧延後の板厚は2次冷間圧延の圧延率に応じた板厚とし、その板厚で中間焼鈍として、保持0秒の連続焼鈍を行った。
Figure 2005036282
この板厚0.305mmの最終圧延板に280℃×20秒の加熱処理を施した後、板厚減少率で30%の圧延を行い、さらに125℃×30分のレトルト処理を行い試験サンプルとした。
このサンプルの引張り試験を行い、0.2%耐力を測定した。また同サンプルにて打検適性の評価を実施し、固有振動中心周波数の変動の少ないものは○、変動が大きく、打検精度にばらつきが生じやすいものは×と評価した。
Figure 2005036282
NO.2、5、6、8、13、15は本発明の方法による実施例であり、いずれも良好な打検適性を示した。
一方、NO.1はCu添加量および0.2%耐力が本発明の範囲外であり、打検適性に欠ける結果であった。
NO.3はCr添加量が多いため、蓋加工時に割れが発生した。
NO.4は2次冷間圧延率が本発明の範囲より大きく、打検精度がばらつく結果であった。
NO.7およびNO.9は中間焼鈍の温度が低く、十分な強度が得られなかったため、打検精度がばらつく結果であった。
NO.10はMn添加量および0.2%耐力が本発明の範囲外であり、打検適性に欠ける結果であった。
NO.11はMn添加量が多いため、蓋加工時に割れが発生した。
NO.12はMg添加量および0.2%耐力が本発明の範囲外であり、打検適性に欠ける結果であった。
NO.14は2次冷間圧延率および0.2%耐力が本発明の範囲外であり、打検適性に欠ける結果であった。
NO.16は打検適性としては適切であるが、Mg添加量が多いため熱間圧延時耳割れが発生し、好ましくない結果であった。

Claims (2)

  1. ポリエステル樹脂を被覆した後に製蓋して用いられるボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板において、Mg4.0〜6.0mass%、Cu0.1〜0.3mass%を含みさらにMn0.3〜0.6mass%、Cr0.05〜0.20mass%のいずれか1種または2種からなり残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金板であって、280℃×20秒加熱後、板厚減少率で30%圧延し、さらに125℃×30分加熱処理した際の0.2%耐力が350N/mm以上であることを特徴とする、打検適性に優れたボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板。
  2. ポリエステル樹脂を被覆した後に製蓋して用いられるボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板において、Mg4.0〜6.0mass%、Cu0.1〜0.3mass%を含みさらにMn0.3〜0.6mass%、Cr0.05〜0.20mass%のいずれか1種または2種からなり残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を、400〜550℃の範囲内の温度で1〜10時間保持する加熱処理後、熱間圧延、1次冷間圧延、到達温度が500〜560℃の連続焼鈍、圧延率50〜70%の2次冷間圧延を順次行った最終圧延板であって、その最終圧延板を280℃×20秒加熱後、板厚減少率で30%圧延し、さらに125℃×30分加熱処理した際の0.2%耐力が350N/mm以上であることを特徴とする、打検適性に優れたボトル型缶底蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
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