JP2005035805A - 撥水性セメント組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面の防水処理を必要とせず、硬化後にひび割れ等による劣化損傷を起さず、エフロレッセンスの発生しない撥水性セメント組成物の提供。
【解決手段】(1)水硬性セメント、(2)マイクロシリカ、(3)ウオラストナイト、及び(4)ステアリン酸、ラウリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸のアルミニウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛塩、を含んでなる撥水性セメント組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)水硬性セメント、(2)マイクロシリカ、(3)ウオラストナイト、及び(4)ステアリン酸、ラウリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸のアルミニウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛塩、を含んでなる撥水性セメント組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は撥水性セメント組成物に関する。更に詳細には、セメントを固化させた後水が固化物中に侵入し、セメント水和物を徐々に溶かし出して発生するエフロレッセンス(白華現象)を防止するセメント組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
セメントは硬化するに際し硬化収縮がみられ、硬化後も乾燥収縮がおこり、収縮ひび割れが発生し、また、外気温の変化に伴う伸び縮みや、セメントの水和熱による温度ひび割れ等が発生し、そのひび割れを通じて雨水などの液体が侵入する。侵入した水は、セメントの水和生成物である水酸化カルシウム、あるいは硫酸塩を溶かし出し、エフロレッセンス(白華)の発生につながり、水の物理化学的作用による劣化により強度が低下するという欠点があった。このような欠点を防止する為、混和材を添加することによってアルカリ骨材反応の抑制と水和反応熱を低減することによりひび割れを防止するのが有効であるが、遮水処理に関しては表面に合成樹脂材料などを塗布する表面処理工法により外部からの水の進入を防止するのが一般的であった。
【0003】
しかしこのような方法では、すでに含まれている水分を外部へ逃がすことはできないために余分な水分の膨張による凍害やアルカリ骨材反応によるひび割れの劣化損傷や強度低下が起こる。この為必要以上の余分な水分を水蒸気として外部へ逃がすことが出来る無機質の撥水塗布剤を用いて遮水防止処理を行い劣化防止する方法が検討されているが、遮水防止処理を行わずにエフロレッセンス(白華)の発生を防止する方法は、知られていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の如き欠点を解消し、表面の遮水防止処理を必要としない撥水性セメント組成物に関するもので、(1)水硬性セメント、(2)マイクロシリカ、(3)ウオラストナイト、及び(4)ステアリン酸、ラウリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸のアルミニウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛塩、を含んでなる。又この組成物には高炉スラグ微粉末を加えることもできる。
【0005】
本発明において使用する水硬性セメントとは、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石灰混合セメント、混合ポルトランドセメント等の、水中、空気中で硬化するセメントを云い、通常はポルトランドセメントが使用される。ここでポルトランドセメントとは、石灰、シリカ、アルミナ、酸化鉄、及び石こう等を主成分とする原料を焼成して得た、一般に使用されるセメントである。
【0006】
マイクロシリカとは非晶質のシリカを主成分とし、平均粒径0.1ミクロン程度の球形超微粒子のシリカヒュームを意味する。
【0007】
ウオラストナイト(珪灰石)とは天然鉱物の粉砕品で針状結晶のケイ酸カルシウムの微粉末をいい、石綿の代わりに使用できるものであるが、水和反応熱などによる体積の変動が極めて小さい為、凝固時の収縮や膨張によるひび割れを減少させることができる。
【0008】
本発明において任意に使用することができる高炉スラグとは、溶鉱炉から銑鉄と共に製造され、産業副産物として得られる高炉スラグであり、一般にシリカ32〜35重量%、酸化カルシウム39〜43重量%、アルミナ11〜14重量%、そしてマグネシヤ等を少量含有している。この微粉末を本発明セメント組成物に添加することにより、資源を有効に利用することができる。又アルカリ性の為セメント組成物にアルカリ性を付与し、耐塩害性が向上し、酸性雨による劣化防止、耐久性の向上等の効果がある。
【0009】
本発明においては撥水剤として、ステアリン酸、ラウリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸のアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、又は亜鉛塩、をセメント組成物に添加する。これらは撥水性を有する超微粒子の為、結合材の緻密な内部の間に取り込まれることにより、外部からの水の侵入を防止し、内部の余分な水を水蒸気として、外部へと逃がすことができる。
【0010】
これらの微粒子の粉体をセメント組成物に加えることにより、マイクロフィラー効果により緻密な結晶体が撥水作用をもち、耐吸水性能を有する結合材は、この緻密な結晶体と撥水作用を利用して水の侵入を防ぐことにより、エフロレッセンス(白華)現象を防止することができる。
【0011】
撥水剤として特に好ましいのはステアリン酸アルミニウムである。
【0012】
本発明において上記成分の配合比率は、セメント組成物全体に対し、水硬性セメントが30〜85重量%、好ましくは50〜80重量%、マイクロシリカが5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、ウオラストナイトが5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%、上記脂肪酸の金属塩が1.0〜5.0重量%、好ましくは2.0〜4.0重量%である。
【0013】
又高炉スラグ微粉末を添加する場合には、セメント組成物全体に対し1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%である。
【0014】
本発明セメント組成物の典型的配合の一例を示すと次の如くである。
【0015】
【表1】
【0016】
本発明においては上記成分の他、更にマレイン酸誘導体共重合物であるAE減水剤(製造元:サンフローパリック(株)、商品名:フローリックSF500H)を、セメント組成物に対し0.25〜1.75重量%添加することにより、水/セメント比を小さくし、より緻密な組織が得られ、強度を高くすることもできる。
【0017】
これらを計量器により配合割合に基づき必要量計量し、密閉型ミキサー中で10分間ドライブレンドすることにより撥水性セメント組成物を得ることができる。又このセメント組成物から硬化物を得るには、必要量の骨材、撥水性セメント、練り込み用水等を計量し、変速機付ミキサー(低速回転と高速回転)に、最初に骨材を投入し、次いで撥水性セメントを投入し、30〜60秒間低速撹拌し、練り込み水を加えて低速にて30〜60秒撹拌し、次いで60〜180秒間高速撹拌してモルタルを製造する。そして型枠を振動機(テーブルバイブレーター)に載せ120秒間かける間に2層に分けてモルタルを投入し上面を平滑にし、振動機を停止したらサランラップ等を平滑面に載せて静止常温養生して6〜12時間経つと硬化物が出来上がるので型枠より外すと完成する。
【0018】
次に本発明セメント組成物と通常のポルトランドセメントを用いたセメント硬化物の内部における状況と水の流れを図面により説明する。
【0019】
図1は通常のポルトランドセメント硬化物の内部状況の模式図であり、水和反応熱やアルカリ骨材反応により膨張や収縮が起こり、コンクリートの結合体を破壊し、ひび割れが発生し、外部より多くの余分な水が侵入する。
【0020】
外部より侵入した水は、内部の物質を溶解し劣化の促進を進行させるなど、色々な耐久性を損なう現象が発生し、コンクリートの劣化を早める。
【0021】
白華現象も劣化の印である。
【0022】
図2は本発明セメント組成物硬化物の内部状況の模式図であり、水和反応熱や膨張や収縮によるひび割れがコンクリートの結合体を破壊しながら、外部との道スジを作ろうとするが、本発明組成物の緻密化と撥水性により気化した水分の通り道がふさがれ、水分は内部に閉じ込められ、残水分は未成熟なまま残った成分と徐々に反応し、より緻密な結合をする。更に、余分な水は、水蒸気となり外部へ逃げ、撥水作用により、水の侵入を防ぎ白華現象が防止される。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば高炉水砕スラグ微粉末や二酸化ケイ素を主成分としたマイクロシリカを混合し、セメント中の水酸化カルシウムと反応したり刺激されたりすることにより水に溶けにくい水和物が得られ、アルカリ骨材反応によるひび割れを抑制した物となり、結合物が緻密になり硬度や強度水密性が向上し、シリカ質物性を多く含有しているため水素イオンも安定している為、海水や酸性雨に対する化学抵抗性も大きいという効果が得られる。又、水の侵入を防止する性能が重金属等の溶出二次弊害を起こさずに抑制することができ、その結果、閉じ込めた内部の物も外部へと溶出しないことにより安全性の向上にもつながり、例えばコンクリート全般、特に水に係る施工場所(ダム、用水路、瓦や床、壁の建材など)、重金属などの溶出止め、及び処理後の再利用等、幅広い分野で活用することができる。
【0024】
【実施例】
実施例1
以下の実施例(比較例)においては第1表の配合割合(基本配合)を用いた。使用した撥水性セメントの使用材料の成分は次のとおりである。
ポルトランドセメント(ホワイトセメント)
酸化第二鉄を極端に減らした白色のポルトランドセメント
ケイ酸三カルシウム 46%
ケイ酸二カルシウム 34%
アルミン酸三カルシウム 10%
鉄アルミン酸四カルシウム 10%
(製造元:太平洋セメント(株))
高炉スラグ
高炉水枠スラグを乾燥、微粉砕したのち成分調整をしたセメント向け混和材(PH11〜12)
二酸化珪素 34〜36%
アルミナ 13〜15%
酸化第二鉄 0.3〜0.5%
酸化カルシウム 40〜43%
酸化マグネシウム 5〜7%
平均粒形 4μ メリライト鉱物 2CaO・AL2O3・SIO3
(製造元:第一セメント(株)、商品名:ファインセラメントFCR10A)マイクロシリカ(シリカヒューム)
超微粉末の非晶質の二酸化ケイ素SiO2
二酸化珪素 86〜96%
アルミナ 0.2〜2.2%
酸化第二鉄 0.3〜2.2%
酸化カルシウム 0.1〜0.6%
酸化マグネシウム 0.3〜3.5%
(製造元:花王、商品名:マイクロポズ)
ウオラストナイト
天然鉱物(珪灰石の微粉砕品で針状結晶)の微粉末
二酸化珪素 45%以上
アルミナ 1.5%以下
酸化第二鉄 1%以下
酸化カルシウム 42%以上
酸化マグネシウム 2.5%以下
平均粒形 44μ 化学式 CaSiO3
(製造元:川鉄鉱業(株)、商品名:ウオラストナイト)
ステアリン酸アルミニウム
白色微粉末 金属分 4.7〜5.3% 遊離脂肪酸 8.0%以下
融点 165±5℃ 比重 0.15〜0.3
マイクロスコープ目視 白色ワタ状結晶
(製造元:大日化学工業(株)、商品名:ダイワックスWAl)
ステアリン酸亜鉛
白色微粉 金属分 10.0〜11.0% 遊離脂肪酸 1.0%以下
融点 123±3℃ 比重 0.15〜0.05
マイクロスコープ目視 白色微粉砕結晶
(製造元:大日化学工業(株)、商品名:ダイワックス2P)
ステアリン酸マグネシウム
白色顆粒 金属分 4.2% 遊離脂肪酸 1.0%以下
融点 130±10℃ 比重 0.2〜0.4
マイクロスコープ目視 白色石英調微粉砕結晶
(製造元:大日化学工業(株)、商品名:ダイワックスM)
ステアリン酸カルシウム
白色顆粒 金属分 6.4〜7.0% 遊離脂肪酸 0.5%以下
融点 150±5℃ 比重 0.1〜0.2
マイクロスコープ目視 白色微粉砕結晶
(製造元:大日化学工業(株)、商品名:ダイワックスC)
実験方法
1) JIS R 5201に準じてモルタルの供試体を作成した。
【0025】
2) 1〜91日養生後、緻密性を確認する為に圧縮試験を実施した。
【0026】
3) ひび割れによる外部からの水の侵入を確認する為に供試体を水中に24時間デッピングしその重量の変動値を測定した。
【0027】
4) 撥水性セメントの使用材料効果の確認。
【0028】
5) ステアリン酸塩の種類と効果の確認。
【0029】
6) モルタルで平板を作り、裏面より常に水分を強制的に吸収させ、通気性の良い環境を作ることにより、エフロレッセンス発生の比較観察をした。
【0030】
7) その他の効果作用。
【0031】
8) 骨材は珪砂(製造元:川鉄鉱業(株)、商品名:日光珪砂5号)を、水は水道水を使用した。
【0032】
試験体(供試体40mm×40mm×160mmを3体)を1試験体 として作成した。
【0033】
9) JIS R 5201に準じて曲げ強度測定後、圧縮強度を6個の平均で測定した。
【0034】
10) JIS A 5430に準じて吸水率を3個の平均で測定した。
【0035】
これらの測定結果を第2表に、又第1表の配合割合(基本配合)から各成分を1種類づつ取り除いて試験した比較例を第3表に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
上記試験内容よりステアリン酸アルミニウムを添加することにより圧縮強度は低下するが、吸水率は小さくなり、遮水していることが確認できた。そして、マイクロシリカとウオラストナイトが強度、即ち、緻密化による結合力の強さに大きく影響していること、ステアリン酸アルミニウムとウオラストナイトとマイクロシリカの関係が遮水性と強度に大きく関係していることがわかる。
【0039】
種類別に供試体を作成し28日養生後、その吸水性により水の侵入を確認すると共に硬化物の結合力に与える影響を圧縮強度にて確認した。
【0040】
JIS R 5201に準じて圧縮強度を測定した。
【0041】
JIS A 5430に準じて吸水率を測定した。
【0042】
ステアリン酸アルミニウムの添加量を変化させてその効果を第4表に記した。
【0043】
【表4】
【0044】
上記試験内容よりステアリン酸アルミニウムの添加量が増すほど強度は低下するが、耐吸水性は向上する。その反応に添加量が減少するほど強度、即ち、結合力の強さが高くなり、添加量に適正量があることが解り、ステアリン酸アルミニウムと緻密性のある微粉との比率が遮水性と強度に大きく関係していることがわかる。
(3) 試験配合比率(モルタル強度測定用成形型供試体40mm×40mm×160mmを3体)
撥水性セメント(本発明基本配合) 50%(容積)
珪砂5号 50%( 〃 )
w/c(水/セメント比) 50%/C
ステアリン酸塩(各種別) 2%(重量)
種類別に供試体を作成し28日養生後、その吸水性により水の侵入を確認すると共に硬化物の結合力に与える影響を圧縮強度にて確認した。
【0045】
JIS R 5201に準じて圧縮強度を測定した。
【0046】
JIS A 5430に準じて吸水率を測定した。
【0047】
【表5】
【0048】
脂肪酸の種類と効果
脂肪酸の種類
1.ラウリン酸アルミ
2.ミリスチン酸アルミ
3.パルミチン酸アルミ
4.オレイン酸アルミ
上記4種類の脂肪酸についてその効果を28日後と91日後の圧縮強度と吸水率にて判定する。結果を第6表及び第7表に記す。
【0049】
【表6】
【0050】
圧縮強度:打設して1日で脱型後、28日気中養生後測定
吸 水 率:上記同様、28日気中養生後、24時間水中にデッピングし、重量の変動を測定
【0051】
【表7】
【0052】
圧縮強度:打設して1日で脱型後、28日気中養生した後、91日間水にデッピングして測定
吸 水 率:上記同様、91日間水にデッピングして重量の変動を測定
ラウリン酸アルミ(NAA 312)
ラウリン酸Al 75%、カプリン酸Al 10%、ミリスチン酸Al 1 5%の配合物
ミリスチン酸アルミ(NAA 142)
パルミチン酸アルミ(NAA 160)
オレイン酸アルミ(NAA 34)
いずれも日本油脂(株)製。
【0053】
第6表、第7表の結果より、ステアリン酸アルミを配合したときは圧縮強度を高く維持しながら吸水率を低く押さえることができる。パルミチン酸アルミ及びミリスチン酸アルミの配合例は比較例である。
【0054】
エフロレッセンス(白華現象)の抑制効果を暴露試験にて観察した。試験体はつぎの通り用意した。
【0055】
観察は2002年5月7日より試験体の表面もしくは側面にエフロレッセンスの発生確認までを期間とした。(発生無きものは、2003年6月現在も継続中)
(1) コンクリート床用平板(300×300×55ミリ市販品)
(2) フライアッシュ等混和剤配合モルタル平板(300×300×15ミリ)
(3) 撥水性セメント(本発明)使用モルタル平板(300×300×13ミリ)
(4) 撥水性セメント内容物の各種エフロレッセンス防止効果確認モルタル平板
(5) ステアリン酸種類別エフロレッセンス防止効果確認モルタル平板
(エフロレッセンス暴露比較試験の略図を図3に示す)
本発明撥水性セメントと通常のポルトランドセメントにフライアッシュ等の混和材を混合して厚み13ミリの平板を製作し、28日養生後、次の要領で試験した。
【0056】
常温の室内にて、容器にスポンジを固定し水を8分目入れ、スポンジの上に暴露試験体を載せ白華現象の発生を観察した。
【0057】
水は常に8分目あることを確認した。
【0058】
通常のポルトランドセメント平板は1週間で表面にエフロレッセンス(白華)現象と見られる白色の結晶が認められた。
【0059】
混和材混合平板は4週間で表面に同様の現象を確認した。
【0060】
本発明撥水性セメント平板においては、2ケ月経っても異常は認められず、6ケ月に入り、裏面にスポンジの当たっている部分の変色が確認されたに留まっている。
【0061】
よって、通常のポルトランドセメントに混和材を混合した硬化物より、より高いエフロレッセンス防止効果があることを確認した。
実施例2
撥水性セメント内容物の組成効果範囲を圧縮強度と吸水率にて確認する。
【0062】
1.ポルトランドセメント
2.セラメント(高炉スラグ微粉末)
3.シリカヒューム(マイクロシリカ)
4.ウオラストナイト
5.ステアリン酸アルミニウム
上記5種類の組成物を第8表の撥水性セメント基準配合の一部を置換して、その効果を圧縮強度と吸水率にて判定する。
【0063】
効果範囲設定は下記と同条件において比較サンプルをポルトランドセメントで作成し、判定する。
【0064】
【表8】
【0065】
試験方法
1) JIS R 5201に準じてモルタルの供試体を作成する。
【0066】
試験体(モルタル強度測定用成形型供試体40mm×40mm×160mmを3体)を1試験体として作成した。
【0067】
2) 28日養生後、緻密性を確認する為に圧縮試験を実施した。
【0068】
JIS R 5201に準じて曲げ強度測定後、28日圧縮強度を測定6個の平均を値とした。
【0069】
3) ひび割れによる外部からの水の侵入を確認する為に供試体を水中に24時間デッピングしその重量の変動値を測定した。
【0070】
JIS A 5430に準じて吸水率を3個の平均で値とした。
【0071】
4) 骨材は珪砂5号を混合水は水道水を使用し配合は次の通りとした。
【0072】
試験体配合比率 (モルタル強度測定用成形型供試体40mm×40mm×160mmを3体)
撥水性セメント 50重量%
珪砂5号 50重量%
練り込み水w/c(水/セメント比) 50%
5) 範囲判定比較サンプル
【0073】
【表9】
【0074】
【表10】
【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
【表14】
【0079】
【表15】
【0080】
【表16】
【0081】
上記内容より、本発明撥水性セメントは長期性能の安定性と吸水率の長期間にわたり低い数値を維持したことを示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常のポルトランドセメント硬化物を使用した場合のコンクリート内部のひび割れと水の流れを示す模式図である。
【図2】本発明撥水性セメント組成物を使用した場合のコンクリート内部と水の流れを示す模式図である。
【図3】エフロレッセンス暴露比較試験の方法を示す模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は撥水性セメント組成物に関する。更に詳細には、セメントを固化させた後水が固化物中に侵入し、セメント水和物を徐々に溶かし出して発生するエフロレッセンス(白華現象)を防止するセメント組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
セメントは硬化するに際し硬化収縮がみられ、硬化後も乾燥収縮がおこり、収縮ひび割れが発生し、また、外気温の変化に伴う伸び縮みや、セメントの水和熱による温度ひび割れ等が発生し、そのひび割れを通じて雨水などの液体が侵入する。侵入した水は、セメントの水和生成物である水酸化カルシウム、あるいは硫酸塩を溶かし出し、エフロレッセンス(白華)の発生につながり、水の物理化学的作用による劣化により強度が低下するという欠点があった。このような欠点を防止する為、混和材を添加することによってアルカリ骨材反応の抑制と水和反応熱を低減することによりひび割れを防止するのが有効であるが、遮水処理に関しては表面に合成樹脂材料などを塗布する表面処理工法により外部からの水の進入を防止するのが一般的であった。
【0003】
しかしこのような方法では、すでに含まれている水分を外部へ逃がすことはできないために余分な水分の膨張による凍害やアルカリ骨材反応によるひび割れの劣化損傷や強度低下が起こる。この為必要以上の余分な水分を水蒸気として外部へ逃がすことが出来る無機質の撥水塗布剤を用いて遮水防止処理を行い劣化防止する方法が検討されているが、遮水防止処理を行わずにエフロレッセンス(白華)の発生を防止する方法は、知られていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の如き欠点を解消し、表面の遮水防止処理を必要としない撥水性セメント組成物に関するもので、(1)水硬性セメント、(2)マイクロシリカ、(3)ウオラストナイト、及び(4)ステアリン酸、ラウリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸のアルミニウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛塩、を含んでなる。又この組成物には高炉スラグ微粉末を加えることもできる。
【0005】
本発明において使用する水硬性セメントとは、ポルトランドセメント、アルミナセメント、石灰混合セメント、混合ポルトランドセメント等の、水中、空気中で硬化するセメントを云い、通常はポルトランドセメントが使用される。ここでポルトランドセメントとは、石灰、シリカ、アルミナ、酸化鉄、及び石こう等を主成分とする原料を焼成して得た、一般に使用されるセメントである。
【0006】
マイクロシリカとは非晶質のシリカを主成分とし、平均粒径0.1ミクロン程度の球形超微粒子のシリカヒュームを意味する。
【0007】
ウオラストナイト(珪灰石)とは天然鉱物の粉砕品で針状結晶のケイ酸カルシウムの微粉末をいい、石綿の代わりに使用できるものであるが、水和反応熱などによる体積の変動が極めて小さい為、凝固時の収縮や膨張によるひび割れを減少させることができる。
【0008】
本発明において任意に使用することができる高炉スラグとは、溶鉱炉から銑鉄と共に製造され、産業副産物として得られる高炉スラグであり、一般にシリカ32〜35重量%、酸化カルシウム39〜43重量%、アルミナ11〜14重量%、そしてマグネシヤ等を少量含有している。この微粉末を本発明セメント組成物に添加することにより、資源を有効に利用することができる。又アルカリ性の為セメント組成物にアルカリ性を付与し、耐塩害性が向上し、酸性雨による劣化防止、耐久性の向上等の効果がある。
【0009】
本発明においては撥水剤として、ステアリン酸、ラウリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸のアルミニウム、マグネシウム、カルシウム、又は亜鉛塩、をセメント組成物に添加する。これらは撥水性を有する超微粒子の為、結合材の緻密な内部の間に取り込まれることにより、外部からの水の侵入を防止し、内部の余分な水を水蒸気として、外部へと逃がすことができる。
【0010】
これらの微粒子の粉体をセメント組成物に加えることにより、マイクロフィラー効果により緻密な結晶体が撥水作用をもち、耐吸水性能を有する結合材は、この緻密な結晶体と撥水作用を利用して水の侵入を防ぐことにより、エフロレッセンス(白華)現象を防止することができる。
【0011】
撥水剤として特に好ましいのはステアリン酸アルミニウムである。
【0012】
本発明において上記成分の配合比率は、セメント組成物全体に対し、水硬性セメントが30〜85重量%、好ましくは50〜80重量%、マイクロシリカが5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、ウオラストナイトが5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%、上記脂肪酸の金属塩が1.0〜5.0重量%、好ましくは2.0〜4.0重量%である。
【0013】
又高炉スラグ微粉末を添加する場合には、セメント組成物全体に対し1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%である。
【0014】
本発明セメント組成物の典型的配合の一例を示すと次の如くである。
【0015】
【表1】
【0016】
本発明においては上記成分の他、更にマレイン酸誘導体共重合物であるAE減水剤(製造元:サンフローパリック(株)、商品名:フローリックSF500H)を、セメント組成物に対し0.25〜1.75重量%添加することにより、水/セメント比を小さくし、より緻密な組織が得られ、強度を高くすることもできる。
【0017】
これらを計量器により配合割合に基づき必要量計量し、密閉型ミキサー中で10分間ドライブレンドすることにより撥水性セメント組成物を得ることができる。又このセメント組成物から硬化物を得るには、必要量の骨材、撥水性セメント、練り込み用水等を計量し、変速機付ミキサー(低速回転と高速回転)に、最初に骨材を投入し、次いで撥水性セメントを投入し、30〜60秒間低速撹拌し、練り込み水を加えて低速にて30〜60秒撹拌し、次いで60〜180秒間高速撹拌してモルタルを製造する。そして型枠を振動機(テーブルバイブレーター)に載せ120秒間かける間に2層に分けてモルタルを投入し上面を平滑にし、振動機を停止したらサランラップ等を平滑面に載せて静止常温養生して6〜12時間経つと硬化物が出来上がるので型枠より外すと完成する。
【0018】
次に本発明セメント組成物と通常のポルトランドセメントを用いたセメント硬化物の内部における状況と水の流れを図面により説明する。
【0019】
図1は通常のポルトランドセメント硬化物の内部状況の模式図であり、水和反応熱やアルカリ骨材反応により膨張や収縮が起こり、コンクリートの結合体を破壊し、ひび割れが発生し、外部より多くの余分な水が侵入する。
【0020】
外部より侵入した水は、内部の物質を溶解し劣化の促進を進行させるなど、色々な耐久性を損なう現象が発生し、コンクリートの劣化を早める。
【0021】
白華現象も劣化の印である。
【0022】
図2は本発明セメント組成物硬化物の内部状況の模式図であり、水和反応熱や膨張や収縮によるひび割れがコンクリートの結合体を破壊しながら、外部との道スジを作ろうとするが、本発明組成物の緻密化と撥水性により気化した水分の通り道がふさがれ、水分は内部に閉じ込められ、残水分は未成熟なまま残った成分と徐々に反応し、より緻密な結合をする。更に、余分な水は、水蒸気となり外部へ逃げ、撥水作用により、水の侵入を防ぎ白華現象が防止される。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば高炉水砕スラグ微粉末や二酸化ケイ素を主成分としたマイクロシリカを混合し、セメント中の水酸化カルシウムと反応したり刺激されたりすることにより水に溶けにくい水和物が得られ、アルカリ骨材反応によるひび割れを抑制した物となり、結合物が緻密になり硬度や強度水密性が向上し、シリカ質物性を多く含有しているため水素イオンも安定している為、海水や酸性雨に対する化学抵抗性も大きいという効果が得られる。又、水の侵入を防止する性能が重金属等の溶出二次弊害を起こさずに抑制することができ、その結果、閉じ込めた内部の物も外部へと溶出しないことにより安全性の向上にもつながり、例えばコンクリート全般、特に水に係る施工場所(ダム、用水路、瓦や床、壁の建材など)、重金属などの溶出止め、及び処理後の再利用等、幅広い分野で活用することができる。
【0024】
【実施例】
実施例1
以下の実施例(比較例)においては第1表の配合割合(基本配合)を用いた。使用した撥水性セメントの使用材料の成分は次のとおりである。
ポルトランドセメント(ホワイトセメント)
酸化第二鉄を極端に減らした白色のポルトランドセメント
ケイ酸三カルシウム 46%
ケイ酸二カルシウム 34%
アルミン酸三カルシウム 10%
鉄アルミン酸四カルシウム 10%
(製造元:太平洋セメント(株))
高炉スラグ
高炉水枠スラグを乾燥、微粉砕したのち成分調整をしたセメント向け混和材(PH11〜12)
二酸化珪素 34〜36%
アルミナ 13〜15%
酸化第二鉄 0.3〜0.5%
酸化カルシウム 40〜43%
酸化マグネシウム 5〜7%
平均粒形 4μ メリライト鉱物 2CaO・AL2O3・SIO3
(製造元:第一セメント(株)、商品名:ファインセラメントFCR10A)マイクロシリカ(シリカヒューム)
超微粉末の非晶質の二酸化ケイ素SiO2
二酸化珪素 86〜96%
アルミナ 0.2〜2.2%
酸化第二鉄 0.3〜2.2%
酸化カルシウム 0.1〜0.6%
酸化マグネシウム 0.3〜3.5%
(製造元:花王、商品名:マイクロポズ)
ウオラストナイト
天然鉱物(珪灰石の微粉砕品で針状結晶)の微粉末
二酸化珪素 45%以上
アルミナ 1.5%以下
酸化第二鉄 1%以下
酸化カルシウム 42%以上
酸化マグネシウム 2.5%以下
平均粒形 44μ 化学式 CaSiO3
(製造元:川鉄鉱業(株)、商品名:ウオラストナイト)
ステアリン酸アルミニウム
白色微粉末 金属分 4.7〜5.3% 遊離脂肪酸 8.0%以下
融点 165±5℃ 比重 0.15〜0.3
マイクロスコープ目視 白色ワタ状結晶
(製造元:大日化学工業(株)、商品名:ダイワックスWAl)
ステアリン酸亜鉛
白色微粉 金属分 10.0〜11.0% 遊離脂肪酸 1.0%以下
融点 123±3℃ 比重 0.15〜0.05
マイクロスコープ目視 白色微粉砕結晶
(製造元:大日化学工業(株)、商品名:ダイワックス2P)
ステアリン酸マグネシウム
白色顆粒 金属分 4.2% 遊離脂肪酸 1.0%以下
融点 130±10℃ 比重 0.2〜0.4
マイクロスコープ目視 白色石英調微粉砕結晶
(製造元:大日化学工業(株)、商品名:ダイワックスM)
ステアリン酸カルシウム
白色顆粒 金属分 6.4〜7.0% 遊離脂肪酸 0.5%以下
融点 150±5℃ 比重 0.1〜0.2
マイクロスコープ目視 白色微粉砕結晶
(製造元:大日化学工業(株)、商品名:ダイワックスC)
実験方法
1) JIS R 5201に準じてモルタルの供試体を作成した。
【0025】
2) 1〜91日養生後、緻密性を確認する為に圧縮試験を実施した。
【0026】
3) ひび割れによる外部からの水の侵入を確認する為に供試体を水中に24時間デッピングしその重量の変動値を測定した。
【0027】
4) 撥水性セメントの使用材料効果の確認。
【0028】
5) ステアリン酸塩の種類と効果の確認。
【0029】
6) モルタルで平板を作り、裏面より常に水分を強制的に吸収させ、通気性の良い環境を作ることにより、エフロレッセンス発生の比較観察をした。
【0030】
7) その他の効果作用。
【0031】
8) 骨材は珪砂(製造元:川鉄鉱業(株)、商品名:日光珪砂5号)を、水は水道水を使用した。
【0032】
試験体(供試体40mm×40mm×160mmを3体)を1試験体 として作成した。
【0033】
9) JIS R 5201に準じて曲げ強度測定後、圧縮強度を6個の平均で測定した。
【0034】
10) JIS A 5430に準じて吸水率を3個の平均で測定した。
【0035】
これらの測定結果を第2表に、又第1表の配合割合(基本配合)から各成分を1種類づつ取り除いて試験した比較例を第3表に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
上記試験内容よりステアリン酸アルミニウムを添加することにより圧縮強度は低下するが、吸水率は小さくなり、遮水していることが確認できた。そして、マイクロシリカとウオラストナイトが強度、即ち、緻密化による結合力の強さに大きく影響していること、ステアリン酸アルミニウムとウオラストナイトとマイクロシリカの関係が遮水性と強度に大きく関係していることがわかる。
【0039】
種類別に供試体を作成し28日養生後、その吸水性により水の侵入を確認すると共に硬化物の結合力に与える影響を圧縮強度にて確認した。
【0040】
JIS R 5201に準じて圧縮強度を測定した。
【0041】
JIS A 5430に準じて吸水率を測定した。
【0042】
ステアリン酸アルミニウムの添加量を変化させてその効果を第4表に記した。
【0043】
【表4】
【0044】
上記試験内容よりステアリン酸アルミニウムの添加量が増すほど強度は低下するが、耐吸水性は向上する。その反応に添加量が減少するほど強度、即ち、結合力の強さが高くなり、添加量に適正量があることが解り、ステアリン酸アルミニウムと緻密性のある微粉との比率が遮水性と強度に大きく関係していることがわかる。
(3) 試験配合比率(モルタル強度測定用成形型供試体40mm×40mm×160mmを3体)
撥水性セメント(本発明基本配合) 50%(容積)
珪砂5号 50%( 〃 )
w/c(水/セメント比) 50%/C
ステアリン酸塩(各種別) 2%(重量)
種類別に供試体を作成し28日養生後、その吸水性により水の侵入を確認すると共に硬化物の結合力に与える影響を圧縮強度にて確認した。
【0045】
JIS R 5201に準じて圧縮強度を測定した。
【0046】
JIS A 5430に準じて吸水率を測定した。
【0047】
【表5】
【0048】
脂肪酸の種類と効果
脂肪酸の種類
1.ラウリン酸アルミ
2.ミリスチン酸アルミ
3.パルミチン酸アルミ
4.オレイン酸アルミ
上記4種類の脂肪酸についてその効果を28日後と91日後の圧縮強度と吸水率にて判定する。結果を第6表及び第7表に記す。
【0049】
【表6】
【0050】
圧縮強度:打設して1日で脱型後、28日気中養生後測定
吸 水 率:上記同様、28日気中養生後、24時間水中にデッピングし、重量の変動を測定
【0051】
【表7】
【0052】
圧縮強度:打設して1日で脱型後、28日気中養生した後、91日間水にデッピングして測定
吸 水 率:上記同様、91日間水にデッピングして重量の変動を測定
ラウリン酸アルミ(NAA 312)
ラウリン酸Al 75%、カプリン酸Al 10%、ミリスチン酸Al 1 5%の配合物
ミリスチン酸アルミ(NAA 142)
パルミチン酸アルミ(NAA 160)
オレイン酸アルミ(NAA 34)
いずれも日本油脂(株)製。
【0053】
第6表、第7表の結果より、ステアリン酸アルミを配合したときは圧縮強度を高く維持しながら吸水率を低く押さえることができる。パルミチン酸アルミ及びミリスチン酸アルミの配合例は比較例である。
【0054】
エフロレッセンス(白華現象)の抑制効果を暴露試験にて観察した。試験体はつぎの通り用意した。
【0055】
観察は2002年5月7日より試験体の表面もしくは側面にエフロレッセンスの発生確認までを期間とした。(発生無きものは、2003年6月現在も継続中)
(1) コンクリート床用平板(300×300×55ミリ市販品)
(2) フライアッシュ等混和剤配合モルタル平板(300×300×15ミリ)
(3) 撥水性セメント(本発明)使用モルタル平板(300×300×13ミリ)
(4) 撥水性セメント内容物の各種エフロレッセンス防止効果確認モルタル平板
(5) ステアリン酸種類別エフロレッセンス防止効果確認モルタル平板
(エフロレッセンス暴露比較試験の略図を図3に示す)
本発明撥水性セメントと通常のポルトランドセメントにフライアッシュ等の混和材を混合して厚み13ミリの平板を製作し、28日養生後、次の要領で試験した。
【0056】
常温の室内にて、容器にスポンジを固定し水を8分目入れ、スポンジの上に暴露試験体を載せ白華現象の発生を観察した。
【0057】
水は常に8分目あることを確認した。
【0058】
通常のポルトランドセメント平板は1週間で表面にエフロレッセンス(白華)現象と見られる白色の結晶が認められた。
【0059】
混和材混合平板は4週間で表面に同様の現象を確認した。
【0060】
本発明撥水性セメント平板においては、2ケ月経っても異常は認められず、6ケ月に入り、裏面にスポンジの当たっている部分の変色が確認されたに留まっている。
【0061】
よって、通常のポルトランドセメントに混和材を混合した硬化物より、より高いエフロレッセンス防止効果があることを確認した。
実施例2
撥水性セメント内容物の組成効果範囲を圧縮強度と吸水率にて確認する。
【0062】
1.ポルトランドセメント
2.セラメント(高炉スラグ微粉末)
3.シリカヒューム(マイクロシリカ)
4.ウオラストナイト
5.ステアリン酸アルミニウム
上記5種類の組成物を第8表の撥水性セメント基準配合の一部を置換して、その効果を圧縮強度と吸水率にて判定する。
【0063】
効果範囲設定は下記と同条件において比較サンプルをポルトランドセメントで作成し、判定する。
【0064】
【表8】
【0065】
試験方法
1) JIS R 5201に準じてモルタルの供試体を作成する。
【0066】
試験体(モルタル強度測定用成形型供試体40mm×40mm×160mmを3体)を1試験体として作成した。
【0067】
2) 28日養生後、緻密性を確認する為に圧縮試験を実施した。
【0068】
JIS R 5201に準じて曲げ強度測定後、28日圧縮強度を測定6個の平均を値とした。
【0069】
3) ひび割れによる外部からの水の侵入を確認する為に供試体を水中に24時間デッピングしその重量の変動値を測定した。
【0070】
JIS A 5430に準じて吸水率を3個の平均で値とした。
【0071】
4) 骨材は珪砂5号を混合水は水道水を使用し配合は次の通りとした。
【0072】
試験体配合比率 (モルタル強度測定用成形型供試体40mm×40mm×160mmを3体)
撥水性セメント 50重量%
珪砂5号 50重量%
練り込み水w/c(水/セメント比) 50%
5) 範囲判定比較サンプル
【0073】
【表9】
【0074】
【表10】
【0075】
【表11】
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
【表14】
【0079】
【表15】
【0080】
【表16】
【0081】
上記内容より、本発明撥水性セメントは長期性能の安定性と吸水率の長期間にわたり低い数値を維持したことを示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常のポルトランドセメント硬化物を使用した場合のコンクリート内部のひび割れと水の流れを示す模式図である。
【図2】本発明撥水性セメント組成物を使用した場合のコンクリート内部と水の流れを示す模式図である。
【図3】エフロレッセンス暴露比較試験の方法を示す模式図である。
Claims (2)
- (1)水硬性セメント、(2)マイクロシリカ、(3)ウオラストナイト、及び(4)ステアリン酸、ラウリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸のアルミニウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛塩、を含んでなる撥水性セメント組成物。
- (1)水硬性セメント30〜85重量%、(2)マイクロシリカ5〜40重量%、(3)ウオラストナイト5〜40重量%、及び(4)ステアリン酸、ラウリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸のアルミニウム、マグネシウム、カルシウム又は亜鉛塩1.0〜5.0重量%、を含んでなる撥水性セメント組成物。
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